JP2010161139A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光の漏れが低減され、リードと封止樹脂との密着強度が高められた発光装置を提供する。
【解決手段】発光素子と、一方の端部に凹部が設けられた第1のリードであって、前記凹部は、前記発光素子が接着された第1の底面と、貫通孔及び切り欠きの少なくともいずれかと、前記発光素子からの放出光が前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかから漏れることを抑制可能な遮光部と、を有する第1のリードと、前記第1のリードと対向した第2のリードと、前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかを充填するとともに前記発光素子を覆い、且つ前記第1のリードの少なくとも一部と前記第2のリードの少なくとも一部とを埋め込み、透光性樹脂からなる成型体と、を備えたことを特徴とする発光装置が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光装置に関する。
車載用インテリア及びエクステリア、信号機、などを含む照明装置用途の発光装置では、その高輝度、高光束化がますます要求されている。リードに凹部を設け、凹部の底面に発光素子を接着する構造とした発光装置は、発光素子から側方へ放出された光を凹部の傾いた内側壁により上方へ反射することができるので光出力を高めることが容易となる。
また、発光素子が接着されたリードは、例えばシリコーンのような樹脂を用いて封止し内部を保護する。シリコーンなど樹脂の熱膨張係数は、金属リードの熱膨張係数や発光素子の熱膨張係数よりも通常大きい。
発光装置を基板に実装する場合、半田ディップ工程やリフロー半田工程では昇温及び降温時において熱膨張係数の違いにより応力を生じる。例えば冷却工程において、熱膨張係数の大きな樹脂の収縮により生じる応力が、リード、チップ、及びボンディングワイヤなどの加わる。このために、これらとの界面において樹脂の剥離を生じることがあり、光学及び電気的特性の劣化や素子破壊を起こす場合がある。
樹脂封止パッケージにおけるクラックの発生を防止する技術開示例がある(特許文献1)。この技術開示例では、タブに切り起こし部を形成し、切り抜き孔及び切り起こし片が封止樹脂により包囲されており、その投錨(アンカー)効果によりクラックの発生を抑制している。
しかしながら、この構造を発光装置に用いると、切り起こし孔を通過した光を有効に取り出すことが困難であり、高輝度、高光束とすることは容易ではない。
特開平6−140550号公報
光の漏れが低減され、リードと封止樹脂との密着強度が高められた発光装置を提供する。
本発明の一態様によれば、発光素子と、一方の端部に凹部が設けられた第1のリードであって、前記凹部は、前記発光素子が接着された第1の底面と、貫通孔及び切り欠きの少なくともいずれかと、前記発光素子からの放出光が前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかから漏れることを抑制可能な遮光部と、を有する第1のリードと、前記第1のリードと対向した第2のリードと、前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかを充填するとともに前記発光素子を覆い、且つ前記第1のリードの少なくとも一部と前記第2のリードの少なくとも一部とを埋め込み、透光性樹脂からなる成型体と、を備えたことを特徴とする発光装置が提供される。
また、本発明の他の一態様によれば、発光素子と、前記発光素子が接着される底面と、前記発光素子からの放出光の一部を上方に向かって反射可能な側壁と、を有する凹部が設けられ、前記凹部の光取り出し側に曲げられた第1及び第2の屈曲部を有する第1のリードと、前記第1のリードと対向した第2のリードと、前記第1及び第2の屈曲部の間を充填するとともに前記発光素子を覆い、且つ前記第1のリードの少なくとも一部と前記第2のリードの少なくとも一部とを埋め込み、透光性樹脂からなる成型体と、を備え、前記第1及び第2の屈曲部は、前記放出光の一部を上方に向かって反射可能とすることを特徴とする発光装置が提供される。
光の漏れが低減され、リードと封止樹脂との密着強度が高められた発光装置が提供される。
第1の実施形態にかかる発光装置の模式図 変形例にかかる発光装置の模式図 第2の実施形態にかかる発光装置の模式図 比較例にかかる発光装置の模式図 第3の実施形態にかかる発光装置の模式図 第4の実施形態にかかる発光装置の模式図 第5の実施形態にかかる発光装置の模式図 変形例にかかる凹部の展開図 第6の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図 屈曲部を説明する図 屈曲部の変形例を説明する模式断面図 配光特性を説明するグラフ図 比較例を説明する図 第7の実施形態にかかる発光装置の模式図
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図1(a)は平面図、図1(b)はA−A線に沿った断面図、図1(c)はA−A線に沿ったリードの断面図、である。
図1(c)に表すように、第1のリード12には、カップ状の凹部12aが設けられている。凹部12aの底面は、マウントベッド面12bとされ、発光素子10が銀ペーストや金属半田などを用いてマウント(接着)されている。また、凹部12aの側壁12cには、U字形状の所定領域に切り込みが設けられ、発光素子10の側にブロック矢印で表すように折り曲げられて屈曲部12dとされる。すなわち、第1のリード12の所定領域が発光素子10に向かって折り曲げられて屈曲部12dとされている。
屈曲部12dのあとの空間は、貫通孔12eとなる。この屈曲部12dの内表面は、発光素子10からの放出光を上方に向かって反射可能とされ、放出光が貫通孔12eから側方または下方に漏れることを抑制可能である。すなわち、屈曲部12dは、貫通孔12eからの光の漏れを抑制する遮光部として機能する。なお、屈曲部12dが設けられない側壁12cの内表面も放出光を上方に反射可能である。
また、第2のリード14は、第1のリード12において凹部12aが設けられた一方の端部と対向する一方の端部を有している。第2のリード14の一方の端部と、発光素子10の上面の電極(図示せず)と、は、ボンディングワイヤ16により接続されている。
発光素子10の発光層は、GaPまたはGaAsなどの基板上に、In(GaAl1−y1−xP(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)からなり緑〜赤色光を放出可能なもの、または、In(AlGa1−y1−xN(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり青色光を放出可能なもの、などとすることができる。また、高出力型の発光素子10のサイズは、1mm×1mmの正方形且つ0.1〜0.3mm厚さなどとすることができる。
第1のリード12と、第2のリード14と、は、リードフレーム状に多数個連結されている。リードフレームは、例えば厚さが0.15〜0.3mmの銅系金属または鉄系合金などとする。また、凹部12aの側壁12c、屈曲部12d、及び第1の底面12bの内表面にはコーティングを施し反射率を高めることが好ましい。コーティングとしては、例えば、Ag、またはNi/Pd/Auをこの順に積層したものとすることができる。Agをコーティングする場合の厚さは、例えば10μm程度とすることができる。また、積層の場合、Niを1μm程度、Pdを0.03μm程度、Auを0.01μm程度とすることができる。
第1のリード12の他方の端部と、第2のリード14の他方の端部と、は、シリコーンやエポキシなどの透明樹脂からなる成型体20から互いに反対方向に突出するように設けられている。透明樹脂の屈折率は、略1.4であり、成型体20の上部をレンズ部20aとする。このために、図1(b)のように光軸近傍に放出光G1を集光し、光軸近傍の光強度を高め、高輝度、高光束とすることが容易となる。レンズ部20aは、トランスファーモールド法により形成可能である。なお、屈曲部12dの内表面により上方に向かって反射された光は、光軸を交差する方向に放出されてもよい。この場合、目標とする仕様に応じて、屈曲部12dの折り曲げ角度を変化して放出方向を適正に制御可能である。
このような発光装置は、実装基板へリフロー工程などを経て半田により固定されることが多い。この場合、環境保全のためにAgSn系など鉛フリー半田を使用すると、少なくとも260℃前後まで昇温、半田がなじむまでの保持(例えば5〜10秒)、及び室温への急冷、などの熱履歴を経ることになる。
この場合、急冷時には熱応力が生じる。すなわち、シリコーンやエポキシなどの透明樹脂の熱膨張係数は、金属からなる第1及び第2のリード12、14の熱膨張係数及び発光素子10の熱膨張係数のいずれよりも大きいので、急冷時に第1及び第2のリード12、14及び発光素子10に収縮応力が加わる。この収縮応力に耐える限界を越えると、リードと成型体20との界面、または発光素子10と成型体20との界面、において剥離を生じることがある。また、実装工程に限定されず、例えば使用環境によっては発光素子10のオン・オフの繰り返しサイクルによる熱応力によっても剥離を生じることがある。
本実施形態では、凹部12aの所定領域(屈曲部12dのあとに生じた領域)に形成された貫通孔12eが第1のリード12を貫通しており、第1のリード12と透明樹脂などからなる成型体20との「ぶれ」を抑制可能である。また、貫通孔12e内には成型体20が充填されるので、第1のリード12と成型体20との「食いつき」が改善可能である。このようにして、第1のリード12と成型体20との密着強度を高め、これらが剥離することを抑制可能である。すなわち、貫通孔12eは、アンカー効果を有している。
さらに、屈曲部12dは成型体20に突出するように埋め込まれるので、「食いつき」がより改善され、密着強度をさらに高めることが容易である。貫通孔12e及び屈曲部12dは第1のリード12の凹部12aに設けられるので、特に発光素子10の近傍において、第1のリード12と透明樹脂からなる成型体20との密着強度を高めることが容易となる。このために、発光素子10と成型体20との間で剥離が発生することを抑制できる。
もし、発光素子10と成型体20との界面において剥離を生じると、放出光の放射パターンが変化するが、本実施形態ではこのような光学特性の劣化を抑制することが容易である。また、第1のリード12及び第2のリード14と、成型体20と、の界面において剥離を生じると、ボンディングワイヤ16の断線を生じ電気的特性の劣化を生じる可能性があるが、本実施形態ではこのような劣化を抑制可能である。
さらに、剥離に至らないまでも、熱応力によりクラックを生じることがある。クラックが生じると、クラックを介した吸湿により発光素子10の特性が劣化することがあるが、本実施形態ではこれを抑制可能であり、信頼性が改善された発光装置が提供される。
図2は、第1の実施形態の変形例にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図2(a)は平面図、図2(b)はA−A線に沿った断面図、を表す。
本変形例では、上方からみて、ボンディングワイヤ16と屈曲部12dとが互いに交差しない。このため、発光素子10側に屈曲部12dが曲げられても、ボンディングワイヤ16と屈曲部12dとが接触することを抑制可能であり、屈曲部12dをより高くすることができる。また、屈曲部12dが放出光強度が比較的低くなるチップの対角線の延長近傍に配置されるので、貫通孔から漏れる光を低減することが容易となる。
図3は、第2の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図3(a)は平面図、図3(b)はA−A線に沿った断面図、である。
本実施形態では、切り込みはU字形状ではなく直線状とし、折り曲げられた屈曲部12dのあとの空間には、上からみて第1のリード12に切り欠き12fを生じる。切り欠き12f及び屈曲部12dにより、第1のリード12と、透明樹脂からなる成型体20との「食いつき」が改善され、密着強度を高めることができる。また、切り欠きには成型体20が充填されるので「ぶれ」を抑制することが可能であり、密着強度改善に寄与する。
なお、第1のリード12の成型体20から突出する側には切り欠きを設けず、貫通孔12eを設けることができるが、貫通孔を省略してもよい。なお、切り込みを曲線状とすると、屈曲部12dの形状をより自由に決定することが容易であり、折り曲げも容易となる。
図4は、比較例にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図4(a)は平面図、図4(b)はB−B線に沿った断面図、である。
貫通孔112eは、凹部の側壁112cを上下方向に貫通するように設けられ、成型体120が貫通孔112eを充填するように設けられている。本比較例において、発光素子110からの放出光のうち、その側方成分の一部G11は、貫通孔112eから漏れて外部に出射し、光取り出し効率を低下させる。この場合、貫通孔112eを小さくして光取り出し効率を高めようとすると、アンカー効果が低下する。
これに対して、本実施形態では、屈曲部12dの内表面は上方へ向けて光を反射可能であり、外部への光の漏れを抑制可能な遮光部として機能し、放出光G1の光出力、輝度、及び光束を高く保つことが容易となる。
図5は、第3の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図5(a)は平面図、図5(b)はA−A線に沿った断面図である。
本実施形態において、屈曲部12dは、発光素子10がマウントされたマウントベッド面12bに設けられている。図5(a)において、発光素子10の4つの側面を囲むように、屈曲部12dが設けられている。マウントベッド面12bを大きくすると、屈曲部12dを大きくするか、または数を増やすなどが可能となり、上方への反射を高め、より光出力を高めることが容易となる。
発光素子10からの放出光は、マウントベッド面12bに設けられた貫通孔12eから下方へ出射することが困難であり、光出力を高く保つことができる。また、成型体20は、貫通孔12e内を充填し、屈曲部12dを包むように埋め込むので、第1のリード12との間での「ぶれ」が抑制され、且つ「食いつき」が改善されいる。このために、特に発光素子10の近傍において密着強度が高められ、成型体20と第1のリード12との剥離が抑制可能である。
図6は、第4の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図6(a)は平面図、図6(b)はA−A線に沿った断面図である。
本実施形態において、凹部12aの底面は2段底とする。すなわち、第1のリード12の凹部12aは、マウントベッド面(第1の底面)12bと、マウントベッド面12bよりも深い第2の底面12gと、を有している。マウントベッド面12bには発光素子10が銀ペーストまたは金属半田などを用いて接着されている。
マウントベッド面12bは、第2の底面12gから立設した下部側壁12hにより連結されている。その下部側壁12には貫通孔12eが設けられ、透明樹脂からなる成型体20が貫通するように充填され、第1のリード12と成型体20とが確実にかみ合い密着強度を高めている。放出光は、下部側壁12hに設けられた貫通孔12eから外部に漏れることは困難である。
すなわち、第1の底面12bよりも下方に設けられ、貫通孔12eを有する下部側壁12は、遮光部として機能する。このために、上方への光出力を高く保つことが容易となる。このような2段底は、金型を用いたリードフレームのプレス工程により形成することができる。下部側壁12hに設けられた貫通孔12eにより、成型体20とリード12との「ぶれ」が抑制可能であり、且つ「食いつき」が改善され、密着強度を高めることが容易となる。
図7は、第5の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図7(a)はリードの展開図、図7(b)、図7(c)、及び図7(d)は折り曲げ状態を表す平面図、図7(e)は遮光状態を表す平面図、図7(f)は切り欠きを表す平面図、図7(g)は斜視図、である。本図において、マウントベッド面12bは上方からみて六角形とするが、六角形以外の多角形であってもよい。
図7(a)において、マウントベッド面12bに対して、切り込みが設けられた部分を折り曲げる(図7(b)及び図7(c))。折り曲げにより、図7(d)のように、凹部12aを構成する側壁12cが形成される。この場合、図7(a)に表すように、側壁12cの第1の端部12sに角度θだけ傾斜を設けておくと、発光素子10からの放出光は、折り曲げ後に凹部12aの側壁12cに設けられた切り欠き12mから外へ漏れないようにできる。
すなわち、図7(e)のように、ドット線で囲んだ第1の端部12sと、ドット線で囲んだ第2の端部12tと、は、発光素子10からみて、重なり合い遮光部として機能し、放出光が側壁12cに設けられた切り欠き12mから外へ漏れることを抑制可能とする。
他方、図7(f)のように、第1の端部12sと、第2の端部12tと、の間の切り欠き12mにより、透明樹脂からなる成型体20と第1のリード12との「食いつき」が改善可能とされ、且つ「ぶれ」が抑制可能とされ、密着強度が高められる。このため、成型体20と第1のリード12との剥離が抑制される。
このようにして、発光素子10からの光は、凹部12aの側壁12cの内表面で上方に反射され、放出光G3の光出力、輝度、及び光束を高めることが容易となる。
また、図8は、第5の実施形態の変形例を説明する図である。すなわち、図8(a)は
リードの展開図、図8(b)は凹部の展開図、である。
凹部12aは多角形状の凹部に限定されない。本図のように、第1のリード12の円形領域に切り込みを設けて折り曲げても良い。この場合、図8(b)に破線で表すC領域のように、折り目を円周からずらすと、側壁の端部で互いに重なる領域が形成でき、且つ切り欠きを設けることができる。互いに重なる領域は切り欠きから漏れる光を抑制可能な遮光部として機能し、光出力を高めることができる。また、切り欠きにより「食いつき」が改善可能となり、且つ「ぶれ」が抑制され、密着強度を高めて成型体とリードとの剥離が抑制可能となる。
図9は、第6の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
第1のリード32の一方の端部に、凹部32aが設けられている。また、この一方の端部は、第2のリード34と互いに対向している。第1のリード32は、凹部32aの光取り出し側に折り曲げられた扇状の屈曲部32dを少なくとも2つ有している。本図においては2つの屈曲部32dの間からアウターリードが延びている。なお、第1のリード32の形状は図9に限定されることはない。例えば、第1のリード32の屈曲部32dが1つで、これに隣接する部分をアウターリードとしてもよい。また、凹部32aの底面には発光素子10が接着されている。
また、第2のリード34も扇状の屈曲部34dを2つ有している。
さらに、透光性樹脂からなる成型体20が、発光素子10を覆い、屈曲部32d、34dの間を充填し、且つ第1のリード32及び第2のリード34の一部を埋め込むように成型されている。
凹部32aの底面に接着された発光素子10からの放出光は、凹部32aの内壁、第1のリード32の屈曲部32d、及び第2のリード34の屈曲部34d、により上方に反射される。このために、光の漏れを低減できて高輝度とすることができる。また、成型体20の上方をドーム状のレンズ部20aとするとより高輝度とできる。さらに、屈曲部32d、34dの間には透光性樹脂を充填するために、第1及び第2のリード32、34と成型体20との密着強度を高めることができる。すなわちアンカー効果を高めることができる。
図10は、屈曲部の構造及び効果を説明する模式図である。すなわち、図10(a)はくりぬき後のリードフレームの平面図、図10(b)は折り曲げ後のリードフレームの平面図、図10(c)は発光装置の断面図、図10(d)は、変形例の屈曲部を有する発光装置の部分断面図、をそれぞれ表す。
図10(a)において、リードフレームは、例えば、厚さが0.25mmの銅系合金材料とすることができる。カップ状の凹部32aの底面32bの直径を650μmとし、直径Dを2.8mmとする円を分割した扇状領域32p、34pをプレス工程によりくりぬく。続いて、図10(b)のように、扇状領域32p、34pを凹部32aの底面32bの側とは反対となる側(光取り出し側)に折り曲げ、屈曲部32d、34dを形成する。この場合、例えば、屈曲角度θを45〜70度の範囲、屈曲部32d、34dの高さTを0.6〜1.0mmの範囲などとすることができる。このあと、発光素子10を底面32bに接着し、ワイヤボンディングを行い、透光性樹脂を用いてインジェクションモールド法により成型体20を形成すると、図10(c)の断面図となる。
なお、リードフレームの表面に金属をメッキなどによりコーティングすると反射率を高めることができる。すなわち、放出光は、凹部32aの側壁32cにより上方に反射可能となる(g1)。また、上方に直接放出されず、且つ32aの側壁32cで反射されること無く側方に漏れようとする光は、屈曲部32d、34dにより上方に反射可能とされる(g2)。もちろん、上方に直接放出される光g1が多い。
図10(d)は、屈曲部の第1変形例であり、屈曲部の最上部がレンズ部20a内に入り込んでいる。すなわち、屈曲部32d、34dの最上部のリードの表面から測った高さTは、レンズ部20aの稜線の最下部(点R)のリード表面から測った高さHLよりも大とされる。このようにすると、レンズ部20aにより効率よく集光することが可能となる。
また、図11は、屈曲部の第2の変形例を説明する模式断面図である。
本図は、図10(d)の断面と直交する断面を表し、第1のリード32から第2のリード34の方向を見た断面を表すものとする。発光素子10と第2のリード34の端部とをワイヤボンディングする場合に、屈曲部34dの角に丸みEをつけるとワイヤが第2のリード34の2つの屈曲部34dの狭い隙間において仮にその角に接触しても断線などを抑制できる。
(表1)は、本実施形態にかかる発光装置の配光特性を表す。
Figure 2010161139
プレスによるくりぬき後の扇状領域32p、34pの直径D(mm)、屈曲角度θ(度)、及び屈曲部32d、34dの高さT(mm)を変化した時の、半値半角(度)、半値全角(度)、及び角度90度の光束を基準とした光束利用率(%)がそれぞれ表されている。直径Dが2.5、2.8mmのいずれであっても、屈曲部32d、34dの角度θが60度近傍において光束利用率が最も高く、81%以上とできることが明らかである。
図12は、40度の配光レンズを用いた場合の配光特性を説明するグラフ図である。すなわち、図12(a)は直径Dが2.8mmの場合の配光特性、図12(b)は光束利用率の角度に対する依存性を表す。
図12(a)において、縦軸は相対光度(%)、横軸は角度(度)を表す。屈曲角度θを45度から70度まで変化するにともない、半値全角が39.3度から37.4度まで狭くなる。また、図12(b)において、縦軸は光束利用率(%)、横軸は角度(度)を表す。光軸中心から35度以内を有効照射領域とする場合、θが60度及び70度において、光束利用率を80%以上とすることが可能である。
図13は、比較例にかかる発光装置を説明する図である。すなわち、図13(a)は模式斜視図、図13(b)はシミュレーションによる光線追跡図を表す。図13(a)において、第1のリード132及び第2のリード134には、屈曲部が設けられておらず、反射面とする凹部132aの側壁とレンズ部120aとが離間している。このために、図13(b)に表すように、側方(g12、g14)及び裏面(g13)方向に漏れる光を生じ輝度を低下させる。例えば、発光素子10のチップサイズを290μmとする場合、光軸中心から35度以内の有効照射領域において、半値半角は20.6度、半値全角は41.2度、光束利用率は77.6%である。すなわち、光束利用率が本実施形態よりも低くなる。
なお、比較例において、凹部132aを深くすると光の漏れを低減することができるが、ボンディングワイヤのアンダーループによる短絡を生じやすい。また、樹脂成型体120と第1及び第2のリード132、134との間に生じる応力により、発光素子110と成型体120との間に空隙を生じたり、発光素子110が剥離することがある。もし凹部132aの近傍にアンカーホールとなる貫通孔を設けると応力を低減することが容易となるが、光漏れを低減する手段が別に必要である。
これに対して、第6の実施形態では、凹部32aの側壁32cで反射されることなく斜め側方に放出された光であっても、屈曲部32d、34dにより上方に向かって反射可能である。すなわち、側方に漏れる光を低減可能である。この場合、例えば凹部32aの深さを発光素子10の高さの1〜1.5倍の範囲とすると、発光素子10などに加わる応力が低減でき信頼性を高めつつ、凹部32aの側壁32c及び屈曲部32d、34dにより構成された反射構造により光束利用効率を高めることができるのでより好ましい。
図14は、第7の実施形態にかかる発光装置の模式図である。すなわち、図14(a)はくりぬき後のリードフレームの平面図、図14(b)は折り曲げ後のリードフレームの平面図、図14(c)は発光装置の断面図、をそれぞれ表す。
図14(a)において、リードフレームに、直径が2.8mmとする円を分割した扇状領域32pを4つプレス工程によりくりぬく。続いて、図14(b)のように、扇状領域32pを凹部32aの底面32bの側とは反対となる側(光取り出し側)に折り曲げ、屈曲部32dを4つ形成する。このあと、発光素子10を底面32bに接着し、ワイヤボンディングを行い、透光性樹脂を用いてインジェクションモールド法により成型体20を形成すると、図14(c)の断面図となる。このように、一方のリードにのみ屈曲部を設けても、放出光の漏れを低減する効果及びアンカー効果を高めることができる。この場合、発光素子10が接着される側に屈曲部を設けると、光の漏れを低減することが容易となるのでより好ましい。また、屈曲部の数と配置は、第6及び第7の実施形態に限定されることはない。
第1〜第7の実施形態及びこれらに付随する変形例において、光出力、輝度、及び光束を高く保ちつつ、リードと成型体、及び発光素子と成型体、とのそれぞれの界面において密着強度が高められた発光装置が提供される。このような高輝度発光装置は、各種ディスプレイ、信号機などの標識、及び車載用インテリア及びエクステリア、などの用途に用いることができる。この場合、実装工程や厳しい使用環境における温度変化に対して安定した電気的及び光学的特性とすることができ、高い信頼性を得ることが容易となる。
以上、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されない。発光装置を構成する発光素子、リード、透光性樹脂、成型体などの形状、材質、サイズ、及び配置などに関して、当業者が各種の設計変更を行ったものであっても本発明の主旨を逸脱しない限り本発明の範囲に包含される。
10 発光素子、12、32 第1のリード、12a、32a 凹部、12b マウントベッド面(第1の底面)、12c、32c 側壁、12d、32d、34d 屈曲部、12e 貫通孔、12f、12m 切り欠き、12g 第2の底面、12h 下部側壁、14、34 第2のリード、20 成型体、20a レンズ部、G1、G3 放出光

Claims (5)

  1. 発光素子と、
    一方の端部に凹部が設けられた第1のリードであって、前記凹部は、前記発光素子が接着された第1の底面と、貫通孔及び切り欠きの少なくともいずれかと、前記発光素子からの放出光が前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかから漏れることを抑制可能な遮光部と、を有する第1のリードと、
    前記第1のリードと対向した第2のリードと、
    前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかを充填するとともに前記発光素子を覆い、且つ前記第1のリードの少なくとも一部と前記第2のリードの少なくとも一部とを埋め込み、透光性樹脂からなる成型体と、
    を備えたことを特徴とする発光装置。
  2. 前記遮光部は、前記第1のリードの所定領域が前記発光素子に向かって折り曲げられた屈曲部であり、
    前記貫通孔及び前記切り欠きの前記いずれかは、前記所定領域に生じた空間であることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
  3. 前記凹部は、前記第1の底面よりも深い第2の底面をさらに有し、
    前記遮光部は、前記第1の底面と前記第2の底面とを連結し前記放出光を遮光可能な下部側壁であり、
    前記貫通孔は、前記下部側壁に設けられたことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
  4. 発光素子と、
    前記発光素子が接着される底面と、前記発光素子からの放出光の一部を上方に向かって反射可能な側壁と、を有する凹部が設けられ、前記凹部の光取り出し側に曲げられた第1及び第2の屈曲部を有する第1のリードと、
    前記第1のリードと対向した第2のリードと、
    前記第1及び第2の屈曲部の間を充填するとともに前記発光素子を覆い、且つ前記第1のリードの少なくとも一部と前記第2のリードの少なくとも一部とを埋め込み、透光性樹脂からなる成型体と、
    を備え、
    前記第1及び第2の屈曲部は、前記放出光の一部を上方に向かって反射可能とすることを特徴とする発光装置。
  5. 前記成型体の光取り出し側の表面にはレンズ曲面が形成され、
    前記第1のリードの表面から測った前記第1及び第2の屈曲部の高さは、前記表面から測った前記レンズ曲面の最下部の高さよりも大とされることを特徴とする請求項4記載の発光装置。
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