JP2010159519A - 製紙用フェルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バット繊維層を支持するベース層を、1方向に延在する糸のみを配列した糸層で構成する場合に、通気度及び空隙率の過度の低下や上昇を招くことなく、製造工程で糸層の形態を安定に保持して効率良く製造することができるようにする。
【解決手段】ベース層2が、1方向に延在する糸5のみを配列してなる糸層6に、その形態を保持する不織シート7を積層したベース材8で構成され、不織シートが、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿したものからなり、低融点繊維を加熱溶融させて糸層と不織シートとが固着されると共に、ニードリング工程の後に溶解性繊維が溶媒中に溶出して除去されたものとする。
【選択図】図1
【解決手段】ベース層2が、1方向に延在する糸5のみを配列してなる糸層6に、その形態を保持する不織シート7を積層したベース材8で構成され、不織シートが、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿したものからなり、低融点繊維を加熱溶融させて糸層と不織シートとが固着されると共に、ニードリング工程の後に溶解性繊維が溶媒中に溶出して除去されたものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層を有するベース層にニードリングによりバット繊維層を一体化させた製紙用フェルト及びその製造方法に関する。
製紙用フェルトにおいては、バット繊維層を支持するベース層に織物を用いることが一般的であるが、特に経糸がモノフィラメント糸からなる場合、経糸が緯糸に絡み合って屈曲するナックル部に対応して、プレスロールによる加圧時に圧力が高い部分が発生して、圧力斑、いわゆるナックルマークが紙に現れ、また経糸に沿った筋状の圧力斑、いわゆる経糸マークが紙に現れて、紙の表面性を低下させる要因となる。
そこで、このようなナックルマークや経糸マークを抑制するため、ベース層に、1方向に延在する糸のみを配列した糸層で構成されたベース材を用いたものが知られている(特許文献1・2)。これによると、フェルトの表面の平滑性を向上させて、表面性に優れた紙の抄造が可能になる上に、高価な織機を用いて織布を製織する必要がなくなり、製造コストを削減することができる。
しかしながら、1方向に延在する糸のみを配列しただけでは、糸を相互に固定するものがないため、糸層としての形態を維持することができず、効率の良い製造を行う上で、糸層の形態を維持することが重要な課題となる。特に、ニードリング工程の後はバット繊維層の繊維が糸層の糸に絡み付くことで糸層の形態が崩れることはないため、ニードルマシンに掛け入れるまで、糸層の糸を一体化して糸層の形態を維持することが必要になる。
そこで、糸層の形態を保持するため、ホットメルト樹脂を糸層に塗布して糸層の糸を相互に結合するようにしたもの(特許文献3)や、水溶性樹脂で糸や密実なシートあるいは不織シートを形成して、その溶解した樹脂材料の接着力で糸層の糸を相互に結合するようにしたもの(特許文献4・5・6)や、糸層の糸をホットメルト樹脂や接着剤で不織シートに結合するようにしたもの(特許文献7)が知られている。
しかるに、ホットメルト樹脂や接着剤を用いた手法では、フェルト内にホットメルト樹脂や接着剤が残存することで、通気度及び空隙率が過度に低下することがある。一方、水溶性樹脂を用いた手法では、水溶性樹脂が除去された後に空隙が残されるため、通気度及び空隙率が過度に高くなる場合がある。
このような通気度及び空隙率の過度の低下や上昇は、フェルトの搾水能力に影響を及ぼし、抄造される紙の品質の低下をもたらすおそれがあり、望ましくない。また、通気度及び空隙率の過度の低下は、汚れ、すなわち夾雑物の蓄積が顕著になる不具合を招き、一方、この通気度及び空隙率の過度の上昇は、湿紙に圧力がかからなくなるため、搾水性が悪くなり、不織シートを介して水が移動しやすくなるため、湿紙からフェルトに移動した水が再度湿紙に戻る再湿現象が顕著になる不具合を招き、望ましくない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、バット繊維層を支持するベース層を、1方向に延在する糸のみを配列した糸層で構成する場合に、通気度及び空隙率の過度の低下や上昇を招くことなく、製造工程で糸層の形態を安定に保持して効率良く製造することができるように構成された製紙用フェルト及びその製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明による製紙用フェルトは、請求項1に示すとおり、1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層を有するベース層にニードリングによりバット繊維層を一体化させた製紙用フェルトであって、前記ベース層が、前記糸層に、その形態を保持する不織シートを積層したベース材で構成され、前記不織シートが、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿したものからなり、前記低融点繊維を加熱溶融させて前記糸層と不織シートとが固着されると共に、ニードリング工程の後に前記溶解性繊維が前記溶媒中に溶出して除去されたものとした。
これによると、不織シート内の低融点繊維の溶融により糸層と不織シートとが固着されるため、糸層の形態を安定に保持することができる。そして、最終的に溶解性繊維が除去されて、不織シート内に適度な空隙が形成されることで、通気度及び空隙率が過度に低下することを避けることができ、また、フェルト内に低融点繊維が適度に残存することで、通気度及び空隙率が過度に高くなる避けることができる。
この場合、低融点繊維と溶解性繊維との配合割合(混綿比率)を変えることにより、通気度及び空隙率を任意に調整することができ、目的に応じた最適な特性を有するフェルトを簡単に製作することができる。例えば、溶解性繊維の割合を増やすことで、通気度及び空隙率が高くなり、汚れを防止する効果が得られ、逆に溶解性繊維の割合を減らせば、再湿現象を抑制する効果が得られる。
特に、低融点繊維は、高融点樹脂と低融点樹脂とを含む複合繊維であると良い。これによると、加熱処理により溶融した低融点樹脂が、溶融しない高融点樹脂により保持されるため、溶融した低融点樹脂で空隙が塞がれることを避けることができる。
また、溶解性繊維は、取り扱い易さの観点から水溶性高分子材料からなるものが好適であり、ニードリング工程の後に行われる洗浄工程で溶解性繊維を洗浄水中に溶出させて除去するようにすると良い。また、溶解性繊維は、有機溶剤に溶解可能な高分子材料からなるものも可能であり、有機溶剤には、フェルトの構成材料(ポリアミドや羊毛など)に対して化学的に安定で脆化などの悪影響を与えないものを採用する。
なお、糸層は、ベース層内に1層のみ有する構成の他、ベース層内に複数層有する構成も可能である。1層の場合には、丈方向の引張荷重に対して所要の強度を確保する上で、糸層の糸が丈方向に延在する構成とすることが好ましい。また、複数層の場合には、1層を糸が丈方向に延在する構成とし、別の層を糸が幅方向に延在する構成とすると良く、これにより寸法安定性に優れたフェルトを得ることができる。
前記製紙用フェルトにおいては、請求項2に示すとおり、前記溶解性繊維が、所定の溶媒に溶解可能で且つ所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む構成とすることができる。
これによると、溶解性繊維が、低融点繊維と同様に、糸層と不織シートとを固着して糸層の形態を保持する機能を有するものとなるため、糸層の形態を保持する効果をより一層高めることができる。このような特性を有する樹脂材料としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)が好適である。
この場合、ニードリング工程の後に溶解性繊維が除去されることで、溶解性繊維による糸層の形態を保持する機能は消失するが、ニードリング工程の後はバット繊維層の繊維が糸層の糸に絡み付いて糸層の形態を保持することから、不織シート内の溶解性繊維の有無に関係なく、糸層の形態が崩れることはない。
前記製紙用フェルトにおいては、請求項3に示すとおり、前記糸層の糸が、扁平な断面をなすモノフィラメント糸からなり、この糸をその長径方向に配列して前記糸層が形成された構成とすることができる。
これによると、糸層の糸がその平らな面で不織シートに接するようになるため、両者の接触面積が増大して、糸層と不織シートとの固着強度を高めることができ、糸層の形態を保持する効果をより一層高めることができる。また、糸層が薄い状態で安定するため、使用開始直後のフェルトの厚さ変化が小さく、早期に安定化するなじみ特性が向上する。
前記製紙用フェルトにおいては、請求項4に示すとおり、前記ベース材が、前記糸層を中心にしてその製紙面側及び走行面側の両方に前記不織シートが積層された構造をなす構成とすることができる。
これによると、糸層の糸が、製紙面側及び走行面側の両側で不織シートに支持されるため、糸層の形態を保持する効果をより一層高めることができる。
前記製紙用フェルトにおいては、請求項5に示すとおり、前記ベース層が、前記ベース材の製紙面側及び走行面側のいずれか一方あるいは両方に織布が積層された構造をなす構成とすることができる。
これによると、ベース材に織布が積層されるため、強度及び耐久性を高めることができる。特に、ベース材の製紙面側及び走行面側の両方に織布を積層すると、糸層の糸にモノフィラメント糸を用いた場合に、使用中にフェルトが揉まれることで糸が抜け出す現象、いわゆる糸抜けを発生し難くすることができる。
前記製紙用フェルトにおいては、請求項6に示すとおり、前記ベース材が、幅狭な帯状に形成され、らせん状に巻くことで所要の製作幅をなす無端状に形成された構成とすることができる。
これによると、ベース材の製造装置が製作幅より狭い小型のもので済むため、製作が容易になる。
また、本発明による製紙用フェルトの製造方法は、請求項7に示すとおり、1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層を有するベース層にニードリングによりバット繊維層を一体化させた製紙用フェルトの製造方法であって、1方向に延在する糸を配列して前記糸層を形成すると共に、その形態を保持するために、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿した不織シートを前記糸層に積層した上で、前記低融点繊維を加熱溶融させて前記糸層と不織シートとを固着し、これにより得られたベース材にバット繊維層を一体化するニードリングを行った後に、前記溶解性繊維を前記溶媒中に溶出させて除去するものとした。
これによると、不織シート内の低融点繊維の溶融により糸層と不織シートとが固着されるため、糸層の形態を安定に保持することができる。そして、最終的に溶解性繊維が除去されて、不織シート内に適度な空隙が形成されることで、通気度や空隙率が過度に低下することを避けることができ、また、フェルト内に低融点繊維が適度に残存することで、通気度や空隙率が過度に高くなる避けることができる。
このように本発明によれば、不織シート内の低融点繊維の溶融により糸層と不織シートとが固着されるため、糸層の形態を安定に保持することができる。そして、最終的に溶解性繊維が除去されて、不織シート内に適度な空隙が形成されることで、通気度や空隙率が過度に低下することを避けることができ、また、フェルト内に低融点繊維が適度に残存することで、通気度や空隙率が過度に高くなる避けることができ、特に、この通気度や空隙率は、低融点繊維と溶解性繊維との配合割合を変えることで任意に調整することができるため、目的に応じた最適な特性を有するフェルトを簡単に製作することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1に示すように、フェルト1は、ベース層2に製紙面1a側(上側)及び走行面1b側(下側)のバット繊維層3・4をニードリングにより積層一体化してなるものであり、ベース層2は、丈方向に延在する糸5のみを幅方向に配列してなる糸層6を備えたベース材8からなっている。
図1に示すように、フェルト1は、ベース層2に製紙面1a側(上側)及び走行面1b側(下側)のバット繊維層3・4をニードリングにより積層一体化してなるものであり、ベース層2は、丈方向に延在する糸5のみを幅方向に配列してなる糸層6を備えたベース材8からなっている。
ベース材8は、糸層6に、その形態を保持する不織シート7を積層した構造をなしている。特にここでは、ベース材8が、糸層6を中心にしてその上側及び下側の両方に不織シート7を積層した構造をなしている。
不織シート7は、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と水(溶媒)に溶解可能な樹脂材料を含む水溶性繊維(溶解性繊維)とを混綿したものからなり、加熱処理により低融点繊維を加熱溶融させて糸層6と不織シート7とが固着されると共に、ニードリング工程の後に行われる水洗処理により水溶性繊維が洗浄水中に溶出して除去されるようになっている。
フェルト1を製作するにあたっては、図2に示すように、まず、1方向に延在する糸5を配列した糸層6に不織シート7を重ね合わせ、ついで、不織シート7内の低融点繊維が溶融する温度に加熱して、低融点繊維を溶融させて糸層6と不織シート7とを固着する。次に、得られたベース材8に、バット繊維層3・4を形成するバットを重ねてニードリングを行う。そして、得られたフェルトに水洗処理を行う。これにより、不織シート7内の水溶性繊維が洗浄水中に溶出して除去されて、フェルト1が完成する。
ここで、糸層6は、糸5を一対のロールにらせん状に巻き掛けることで形成すれば良く、ロールに保持された状態の糸層6に不織シート7を重ね合わせて、ドライヤーから熱風を吹き付けるなどの加熱処理を施すことで不織シート7内の低融点繊維が溶融して、糸層6と不織シート7とが一体化されたベース材8が得られる。このように、ベース材8は、製織する必要がなく、簡単に製造することができる。
図3に示す例では、ベース材8が、製作幅Wより狭い幅W0をなす帯状に形成されて、一対のロール21・22にらせん状に巻き掛けられ、幅方向の端の耳部を切除することにより、所要の製作幅Wの無端状に形成される。これにより、ベース材の製造装置が製作幅より狭い小型のもので済むため、製作が容易になる。
ところで、図1に示したように、糸層6の糸5は、扁平な断面、ここでは楕円形状の断面をなすモノフィラメント糸からなり、この糸5をその長径方向に並べて糸層6が形成される。これにより、糸層6の糸5がその平らな面で不織シート7に接するようになるため、両者の接触面積が増大して、糸層6と不織シート7との固着強度を高めることができ、糸層6の形態を維持する効果をより一層向上させることができる。また、糸層6が薄い状態で安定しているため、使用開始直後のフェルト1の厚さ変化が小さく、早期に安定化するなじみ特性が向上する。
なお、糸層6の糸5は、方形状の断面をなす構成も可能である。このような構成でも、糸層6の糸5と不織シート7との接触面積が増大して、糸層6と不織シート7との固着強度を高めることができる。
糸層6の糸5の材質については、耐摩耗性、圧縮回復性及び耐衝撃性に優れたポリアミドが好適であるが、この他にポリエステルなど種々の樹脂が可能である。また、糸5の太さについては、要求強度などに応じて適宜に設定すれば良いが、フェルト1の平滑性を確保する観点から、0.10〜0.60mm、好ましくは0.12〜0.28mmとすると良い。
また、不織シート7を構成する低融点繊維は、高融点樹脂と低融点樹脂とを含む複合繊維であると良い。例えば、高融点材料からなる芯部と低融点材料からなる鞘部とで構成された芯鞘型繊維、繊維径の半分が高融点材料で、残りの半分が低融点材料でそれぞれ形成された並列型繊維、及び低融点材料からなる断面中に高融点材料が点在する海島型繊維などがある。これによると、加熱処理により溶融した低融点樹脂が、溶融しない高融点樹脂により保持されるため、溶融した低融点樹脂で空隙が塞がれることを避けることができる。
低融点繊維に用いられる低融点の熱可塑性の樹脂材料としては、例えば低融点ポリアミドがある。なお、低融点繊維は、非水溶性で、ニードリング工程の後の水洗処理により除去されることなく残存する。
一方、不織シート7を構成する水溶性繊維は、高融点で加熱処理により溶融しないものであっても良いが、水(溶媒)に溶解可能で、且つ低融点繊維と同様に所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含むものとすると良い。これによると、水溶性繊維が、低融点繊維と同様に、糸層6と不織シート7とを固着して糸層6の形態を保持する機能を有するものとなるため、糸層6の形態を保持する効果をより一層高めることができる。このような特性を有する樹脂材料としては、例えばPVA(ポリビニルアルコール)が好適である。
この場合、ニードリング工程の後に水溶性繊維が除去されることで、水溶性繊維による糸層6の形態を保持する機能は消失するが、ニードリング工程の後はバット繊維層3・4の繊維が糸層6の糸5に絡み付いて糸層6の形態を保持することから、不織シート7内の水溶性繊維の有無に関係なく、糸層6の形態が崩れることはない。
以上のように構成されたフェルト1では、バット繊維層3・4を支持するベース層2が、1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層6と不織シート7とで構成されるため、織布のようなナックル部がなく、製紙面1aが高い平滑性を有するものとなるため、紙の表面性を高めることができる。そして、最終的に水溶性繊維が除去されることで、不織シート7内に適度な空隙が形成されるため、不織シート7に低融点繊維のみを使用した構成と比較して、通気度や空隙率を高くすることができる。
特に、不織シート7を構成する低融点繊維と水溶性繊維との配合割合(混綿比率)を変えることにより、通気度や空隙率を調整することができ、目的に応じた最適な特性を有するフェルト1を製作することができる。例えば、水溶性繊維の割合を増やすことで、通気度や空隙率が高くなり、汚れ、すなわち夾雑物の蓄積を防止する効果が得られ、逆に水溶性繊維の割合を減らせば、不織シート7を介して製紙面1a側に水が移動し難くなるため、湿紙からフェルト1に移動した水が再度湿紙に戻る再湿現象を抑制する効果が得られる。
また、不織シート7の製作にあたっては、低融点繊維と水溶性繊維とを混綿すれば良く、特殊な糸材は必要ないため、製造コストの増大を抑えることができる。
<第2の実施形態>
図4に示すフェルト41においては、ベース層42が、丈方向に延在する糸5のみを幅方向に配列してなる糸層43を備えた第1のベース材44と、幅方向に延在する糸5のみを丈方向に配列してなる糸層45を備えた第2のベース材46とを重ね合わせた構造をなしている。各ベース材44・46は、前記の例と同様に、糸層43・45の製紙面41a側(上側)及び走行面41b側(下側)の両方に不織シート7を積層した構造となっている。
図4に示すフェルト41においては、ベース層42が、丈方向に延在する糸5のみを幅方向に配列してなる糸層43を備えた第1のベース材44と、幅方向に延在する糸5のみを丈方向に配列してなる糸層45を備えた第2のベース材46とを重ね合わせた構造をなしている。各ベース材44・46は、前記の例と同様に、糸層43・45の製紙面41a側(上側)及び走行面41b側(下側)の両方に不織シート7を積層した構造となっている。
この構成では、糸5を丈方向に延在させた第1のベース材44により、丈方向の引張荷重に対して所要の強度を確保することができ、さらに、糸5を幅方向に延在させた第2のベース材46により、フェルト41の寸法安定性を高めることができる。
なおここでは、ベース層42が、2枚のベース材44・46を重ねた構造としたが、ベース材を3枚以上重ねた構造も可能である。また、ここでは各ベース材44・46で糸の方向が互いに異なる構成としたが、各ベース材で糸の方向が互いに同一となる構成も可能である。
<第3の実施形態>
図5に示すフェルト51においては、ベース層52が、糸層6を備えたベース材8を中心にしてその製紙面51a側(上側)及び走行面51b側(下側)の両方に織布53・54を積層した構造をなしている。ベース材8は、前記の例と同様に、糸層6の上側及び下側の両方に不織シート7を積層した構造となっている。
図5に示すフェルト51においては、ベース層52が、糸層6を備えたベース材8を中心にしてその製紙面51a側(上側)及び走行面51b側(下側)の両方に織布53・54を積層した構造をなしている。ベース材8は、前記の例と同様に、糸層6の上側及び下側の両方に不織シート7を積層した構造となっている。
上下の織布53・54は、その組織や、経糸及び緯糸の種類など、特に限定されるものではないが、特に上側の織布53を、細い糸を用いて緻密に製織されたものとすると、フェルト51の製紙面51aの平滑性を向上させ、表面性に優れた紙を抄造することができる。また、下側の織布54に太い糸を用いると、紙の平滑性に影響を及ぼすことなく、強度を高めると共に、プレスロールによる加圧時の圧縮特性を向上させることができ、フェルト51の耐久性及び搾水性を高めることができる。
この構成では、ベース材8に織布53・54が積層されるため、強度及び耐久性を高めることができる。また、ベース材8の上側及び下側が織布53・54で覆われるため、糸層6の糸5にモノフィラメント糸を用いた場合に、使用中にフェルト51が揉まれることで糸が抜け出す現象、いわゆる糸抜けを発生し難くすることができる。
さらに、下側の織布54の上側がベース材8で覆われるため、下側の織布54に太い糸を用いた場合でも、下側の織布54の影響、特に下側の織布54における経糸のナックル部がフェルト51の製紙面51aの平滑性に及ぼす影響を抑えることができるため、紙にナックルマークや経糸マークが現れることを防止して、紙の表面性を向上させることができる。
この他、ベース材の上側及び下側のいずれか一方にのみ織布を積層した構造も可能である。また、ベース材の上側及び下側のいずれか一方あるいは双方に積層される織布にさらに別の織布を積層した構造も可能である。また、2枚のベース材の中間にバット繊維層を設けた構造も可能である。このようにすると、中間のバット繊維層が弾性層として機能し、紙に発生するマークを抑制する効果を高めることができる。
なお、前記の各例では、糸層の上下両側に不織シートを配置したが、糸層の上側及び下側のいずれか一方にのみ不織シートを配置した構成も可能である。図示した例のように、糸層の上下両側から不織シートで糸層の糸を支持するようにすると、糸層の形態を維持する効果をより一層向上させることができる。
以下、本発明に基づく実施例について説明する。
<通気度及び紙の表面性に関する検証>
まず、不織シート内の水溶性繊維が通気度に及ぼす効果と、1方向に延在する糸のみを配列した糸層が紙の表面性に及ぼす効果について、以下のように、実施例1・2並びに比較例1〜4の各例によるフェルトを製作して検証を行った。
まず、不織シート内の水溶性繊維が通気度に及ぼす効果と、1方向に延在する糸のみを配列した糸層が紙の表面性に及ぼす効果について、以下のように、実施例1・2並びに比較例1〜4の各例によるフェルトを製作して検証を行った。
(実施例)
実施例1は、図4に示した第2の実施形態にしたがったものである。各ベース材44・46の糸層43・45の糸5には、1辺が0.28mmの方形状の断面をなすポリアミドからなるモノフィラメント糸が用いられ、この糸5を糸密度35本/インチで配列して糸層43・45とした。不織シート7の低融点繊維には、融点140℃のポリアミド系の樹脂からなり、太さ11dtex、繊維長80mmのものを用いた。また、水溶性繊維には、PVAからなり、太さ11dtex、繊維長80mmのものを用いた。低融点繊維と水溶性繊維との混綿比率は、低融点繊維を66%、水溶性繊維を34%とした。各ベース材44・46は全体として目付297g/m2となっている。
実施例1は、図4に示した第2の実施形態にしたがったものである。各ベース材44・46の糸層43・45の糸5には、1辺が0.28mmの方形状の断面をなすポリアミドからなるモノフィラメント糸が用いられ、この糸5を糸密度35本/インチで配列して糸層43・45とした。不織シート7の低融点繊維には、融点140℃のポリアミド系の樹脂からなり、太さ11dtex、繊維長80mmのものを用いた。また、水溶性繊維には、PVAからなり、太さ11dtex、繊維長80mmのものを用いた。低融点繊維と水溶性繊維との混綿比率は、低融点繊維を66%、水溶性繊維を34%とした。各ベース材44・46は全体として目付297g/m2となっている。
バット繊維層3・4には、ポリアミド系の樹脂からなる太さ11dtexの繊維を用いた。ニードリング時のウェブの目付は、上側のバット繊維層3で600g/m2、下側のバット繊維層4で100g/m2とした。
実施例2は、図5に示した第3の実施形態にしたがったものである。ベース材8は、実施例1で使用したものと同一である。
上側の織布53では、経糸に、径が0.28mmのポリアミドからなるモノフィラメント糸を用い、緯糸に、径が0.25mmのポリアミドからなるモノフィラメント糸を用い、経糸の糸密度を35本/インチ、緯糸の糸密度を30本/インチとして、平組織で織り上げ、目付は226g/m2となっている。一方、下側の織布54では、経糸に、径が0.20mmのポリアミドからなるフィラメントを2本撚り合わせ、さらにその撚糸を3本撚り合わせた撚糸(合計6本のフィラメントからなる)を用い、緯糸に、径が0.33mmのボリアミドからなるモノフィラメント糸を用い、経糸の糸密度を17本/インチ、緯糸の糸密度を20本/インチとして、平組織で織り上げ、目付は280g/m2となっている。
(比較例)
比較例1は、ベース層の基本的な構造を実施例1と同一として、ベース材の糸層を構成する糸がモノフィラメント糸ではなく撚り糸である点、及び不織シートが低融点繊維のみで水溶性繊維を含まない点が実施例1と異なっている。その他の条件は、実施例1と同様である。具体的には、糸層の糸に、径が0.21mmのポリアミドからなるモノフィラメントを2本撚った撚糸2本と12メートル番手の紡績糸1本とを撚りあわせた撚り糸を用い、糸密度を27本/インチとした。不織シートに用いた低融点繊維は、実施例1と同一である。ベース材の目付は309g/m2となっている。
比較例1は、ベース層の基本的な構造を実施例1と同一として、ベース材の糸層を構成する糸がモノフィラメント糸ではなく撚り糸である点、及び不織シートが低融点繊維のみで水溶性繊維を含まない点が実施例1と異なっている。その他の条件は、実施例1と同様である。具体的には、糸層の糸に、径が0.21mmのポリアミドからなるモノフィラメントを2本撚った撚糸2本と12メートル番手の紡績糸1本とを撚りあわせた撚り糸を用い、糸密度を27本/インチとした。不織シートに用いた低融点繊維は、実施例1と同一である。ベース材の目付は309g/m2となっている。
比較例2は、ベース層の基本的な構造を実施例2と同一として、ベース材に比較例1と同一のものを使用した点が実施例2と異なっている。その他の条件は、実施例2と同様である。
比較例3及び比較例4は、1方向に延在する糸のみを配列した糸層を備えたベース材を用いずに、ベース層を上下2枚の織布のみで構成したものである。比較例3では、2枚の織布に、実施例2の上側の織布と同一のものを使用し、比較例4では、上下の織布にそれぞれ実施例2の上下の織布と同一のものを使用した。
(評価方法)
実施例1・2並びに比較例1・2によるフェルトを10cm四方に切り抜いてサンプルとし、その目付及び通気度を測定した。次いで、サンプルを常温の水に浸漬して5分間攪拌し、脱水乾燥の後に、再び目付及び通気度を測定した。その結果を以下の表1に示す。
実施例1・2並びに比較例1・2によるフェルトを10cm四方に切り抜いてサンプルとし、その目付及び通気度を測定した。次いで、サンプルを常温の水に浸漬して5分間攪拌し、脱水乾燥の後に、再び目付及び通気度を測定した。その結果を以下の表1に示す。
また、実施例1・2並びに比較例3・4によるフェルトと、坪量40g/m2の試験用手漉きパルプシートとを重ね、プレスロール加圧条件78.5kN/mで実験用抄紙機によりプレスして脱水し、得られたパルプシートのベック平滑度を、KRKベック平滑度試験機(HP型)を用いてJISP8119の方法にしたがって測定した。その結果を以下の表2に示す。なお、JISP8119の方法によるベック平滑度とは、真空度を水銀柱370mmに保った時に10mlの空気が試験片面と台のガラス表面の間を通過する時間であり、この値が大きい程、試験片が平滑であることを示す。
(評価結果)
表1に示すように、糸層の糸方向が異なる2枚のベース材を積層した構造を採用した実施例1及び比較例1について、不織シートに水溶性繊維を用いない比較例1では、水洗前後で目付や通気度の変化が殆どないのに対し、水溶性繊維を用いた実施例1では、水洗前に比べて水洗後の目付が小さい値を示すと共に、通気度が大きい値を示している。また、糸層を備えたベース材の上下に織物を積層した構造を採用した実施例2及び比較例2について、水溶性繊維を用いた実施例2と水溶性繊維を用いない比較例2との対比でも、水溶性繊維の有無による通気度の変化に同様の傾向が認められる。これより、不織シートに水溶性繊維を用いることで通気度が向上することがわかる。
表1に示すように、糸層の糸方向が異なる2枚のベース材を積層した構造を採用した実施例1及び比較例1について、不織シートに水溶性繊維を用いない比較例1では、水洗前後で目付や通気度の変化が殆どないのに対し、水溶性繊維を用いた実施例1では、水洗前に比べて水洗後の目付が小さい値を示すと共に、通気度が大きい値を示している。また、糸層を備えたベース材の上下に織物を積層した構造を採用した実施例2及び比較例2について、水溶性繊維を用いた実施例2と水溶性繊維を用いない比較例2との対比でも、水溶性繊維の有無による通気度の変化に同様の傾向が認められる。これより、不織シートに水溶性繊維を用いることで通気度が向上することがわかる。
また、表2に示すように、糸層を備えたベース材を用いずに織物のみでベース層を構成した比較例3・4と比較して、糸層を備えたベース材を用いた実施例1・2ではベック平滑度が大きな値を示している。これより、糸層を備えたベース材を用いることで紙の表面性が向上することがわかる。
<糸層の形態の維持に関する検証>
次に、不織シート内の低融点繊維及び糸層の糸の断面形状が糸層の形態の維持に及ぼす効果について、以下のように、実施例3〜5並びに比較例5〜7の各例によるベース層を製作して検証を行った。
次に、不織シート内の低融点繊維及び糸層の糸の断面形状が糸層の形態の維持に及ぼす効果について、以下のように、実施例3〜5並びに比較例5〜7の各例によるベース層を製作して検証を行った。
(実施例)
実施例3・4によるベース層はそれぞれ、前記の実施例1・2でのベース層と同一である。実施例5によるベース層は、基本的な構造を実施例3、すなわち実施例1でのベース層と同一として、糸層の糸に、方形状の断面をなすモノフィラメント糸ではなく、円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた。
実施例3・4によるベース層はそれぞれ、前記の実施例1・2でのベース層と同一である。実施例5によるベース層は、基本的な構造を実施例3、すなわち実施例1でのベース層と同一として、糸層の糸に、方形状の断面をなすモノフィラメント糸ではなく、円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた。
(比較例)
比較例5・6・7によるベース層は、前記の実施例3と同様に、基本的な構造を実施例1でのベース層と同一とし、特に比較例5・6では、不織シートが低融点繊維を含まない、すなわち融点140℃のポリアミド系樹脂繊維に代わって、高融点のポリアミド系樹脂繊維を用い、これと水溶性繊維としてのPVA繊維との混綿とした。比較例7では、不織シートが低融点繊維及び水溶性繊維を共に含まない、すなわち融点140℃のポリアミド系樹脂繊維及びPVA繊維に代わって、高融点のポリアミド系樹脂繊維のみを用いた。また、比較例6・7では、糸層の糸に、方形状の断面をなすモノフィラメント糸ではなく、円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた。
比較例5・6・7によるベース層は、前記の実施例3と同様に、基本的な構造を実施例1でのベース層と同一とし、特に比較例5・6では、不織シートが低融点繊維を含まない、すなわち融点140℃のポリアミド系樹脂繊維に代わって、高融点のポリアミド系樹脂繊維を用い、これと水溶性繊維としてのPVA繊維との混綿とした。比較例7では、不織シートが低融点繊維及び水溶性繊維を共に含まない、すなわち融点140℃のポリアミド系樹脂繊維及びPVA繊維に代わって、高融点のポリアミド系樹脂繊維のみを用いた。また、比較例6・7では、糸層の糸に、方形状の断面をなすモノフィラメント糸ではなく、円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた。
(評価方法)
実施例3〜5並びに比較例5〜7の各例によるベース層について、糸層の形態を維持する効果が要求される具体的な場面、すなわち製作されたベース層をニードルマシンに掛け入れるために搬送する際の搬送の容易さを評価した。その結果を以下の表3に示す。
実施例3〜5並びに比較例5〜7の各例によるベース層について、糸層の形態を維持する効果が要求される具体的な場面、すなわち製作されたベース層をニードルマシンに掛け入れるために搬送する際の搬送の容易さを評価した。その結果を以下の表3に示す。
(評価結果)
表3に示すように、不織シートが低融点繊維を含まず、且つ糸層の糸に円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた比較例6・7では、搬送が困難であった。また、不織シートが低融点繊維を含まず、且つ糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた比較例5では、比較例6・7より良好であるものの、注意をしなければ搬送することができなかった。これに対して、不織シートが低融点繊維を含み、且つ糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた実施例1・2では、搬送中に外力が作用しても問題なく搬送することができた。また、不織シートが低融点繊維を含み、且つ糸層の糸に円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた実施例3では、実施例1・2より劣るものの、一応の搬送は可能であった。これより、不織シートに低融点繊維を含ませることで糸層の形態を安定に維持する効果が得られ、さらに糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いることで糸層の形態を維持する効果が向上することがわかる。
表3に示すように、不織シートが低融点繊維を含まず、且つ糸層の糸に円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた比較例6・7では、搬送が困難であった。また、不織シートが低融点繊維を含まず、且つ糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた比較例5では、比較例6・7より良好であるものの、注意をしなければ搬送することができなかった。これに対して、不織シートが低融点繊維を含み、且つ糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた実施例1・2では、搬送中に外力が作用しても問題なく搬送することができた。また、不織シートが低融点繊維を含み、且つ糸層の糸に円形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いた実施例3では、実施例1・2より劣るものの、一応の搬送は可能であった。これより、不織シートに低融点繊維を含ませることで糸層の形態を安定に維持する効果が得られ、さらに糸層の糸に方形状の断面をなすモノフィラメント糸を用いることで糸層の形態を維持する効果が向上することがわかる。
本発明にかかる製紙用フェルト及びその製造方法は、バット繊維層を支持するベース層を、1方向に延在する糸のみを配列した糸層で構成する場合に、通気度及び空隙率の過度の低下や上昇を招くことなく、製造工程で糸層の形態を安定に保持して効率良く製造することができる効果を有し、基布にバット繊維層を一体化させた製紙用フェルト、例えば抄紙機のプレスパート(圧搾部)で用いられるプレスフェルトや、ドライパート(乾燥部)で用いられるドライヤーフェルトなどとして有用である。
1・41・51 フェルト、1a・41a・51a 製紙面、1b・41b・51b 走行面
2・42・52 ベース層
3・4 バット繊維層
5 糸
6・43・45 糸層
7 不織シート
8・44・46 ベース材
53・54 織布
2・42・52 ベース層
3・4 バット繊維層
5 糸
6・43・45 糸層
7 不織シート
8・44・46 ベース材
53・54 織布
Claims (7)
- 1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層を有するベース層にニードリングによりバット繊維層を一体化させた製紙用フェルトであって、
前記ベース層が、前記糸層に、その形態を保持する不織シートを積層したベース材で構成され、前記不織シートが、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿したものからなり、前記低融点繊維を加熱溶融させて前記糸層と不織シートとが固着されると共に、ニードリング工程の後に前記溶解性繊維が前記溶媒中に溶出して除去されたことを特徴とする製紙用フェルト。 - 前記溶解性繊維が、所定の溶媒に溶解可能で且つ所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の製紙用フェルト。
- 前記糸層の糸が、扁平な断面をなすモノフィラメント糸からなり、この糸をその長径方向に配列して前記糸層が形成されたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の製紙用フェルト。
- 前記ベース材が、前記糸層を中心にしてその製紙面側及び走行面側の両方に前記不織シートが積層された構造をなすことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製紙用フェルト。
- 前記ベース層が、前記ベース材の製紙面側及び走行面側のいずれか一方あるいは両方に織布が積層された構造をなすことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製紙用フェルト。
- 前記ベース材が、幅狭な帯状に形成され、らせん状に巻くことで所要の製作幅をなす無端状に形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製紙用フェルト。
- 1方向に延在する糸のみを配列してなる糸層を有するベース層にニードリングによりバット繊維層を一体化させた製紙用フェルトの製造方法であって、
1方向に延在する糸を配列して前記糸層を形成すると共に、その形態を保持するために、所定の温度で溶融可能な樹脂材料を含む低融点繊維と所定の溶媒に溶解可能な樹脂材料を含む溶解性繊維とを混綿した不織シートを前記糸層に積層した上で、前記低融点繊維を加熱溶融させて前記糸層と不織シートとを固着し、
これにより得られたベース材にバット繊維層を一体化するニードリングを行った後に、前記溶解性繊維を前記溶媒中に溶出させて除去することを特徴とする製紙用フェルトの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009003452A JP2010159519A (ja) | 2009-01-09 | 2009-01-09 | 製紙用フェルト及びその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106313744A (zh) * | 2016-08-24 | 2017-01-11 | 四川环龙技术织物有限公司 | 一种毡带及其制备工艺 |
JP2018131707A (ja) * | 2017-02-15 | 2018-08-23 | 日本フエルト株式会社 | 製紙用フェルト基布及びその製造方法 |
-
2009
- 2009-01-09 JP JP2009003452A patent/JP2010159519A/ja active Pending
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