JP2010157481A - 導光板の製造方法および導光板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂からなり少なくとも一方の表面にドットパターンまたは溝が配列して形成された基材20を、熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度+10〜40℃の加熱温度に加熱した状態で、フリーブロー法またはフリーバキューム法により、基材20を三次元曲面状に曲げ加工する。
【選択図】図2
Description
下記特許文献2には、同じくアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂をシート状に成形した導光板を、熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度−20〜0℃の範囲の温度に加熱した状態で曲げ加工することが記載されている。
前記基材の他方の表面を前記加熱温度に加熱し、前記一方の表面の温度を前記加熱温度未満とした状態で前記基材を曲げ加工してもよい。
はじめに、本方法の概要を説明する。
また、荷重たわみ温度は、熱変形温度とも呼ばれ、ASTM D648またはJIS 7191により測定することができる。
本方法に用いられるアクリル系の熱可塑性樹脂には、その他、メチルメタクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレート単量体や、芳香族ビニル化合物を、共重合成分として含んでもよい。さらに、熱可塑性樹脂は、衝撃強度改良剤や難燃剤などの添加剤を含んでもよい。
ドットパターンまたは溝(以下、導光パターンという場合がある)は、いわゆるエッジライト型の光源からの光を、均一な面発光に変えるための凹凸部である。導光パターンは基材の一方の主面上にのみ形成されていてもよく、両方の主面上に形成されていてもよい。
かかる熱プレスは、熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度およびガラス転移温度よりも+60℃以上の高温で行い、基材を平坦な板状に成形することが好ましい。これにより、導光パターンの形成位置および形状を高い精度で所望に実現することができる。
ここで、導光板には、拡散剤や拡散ビーズ(拡散剤等)を熱可塑性樹脂に練り込むことで導光性能を付与してなるものや、印刷方式によって導光パターンを形成するものも存在する。しかしながら、この種の導光板の場合には、曲げ加工を行うことで導光性能が低下する虞がある。拡散剤等を均一に練り込んだ導光板を曲げ加工した場合、曲げ加工の内側では拡散剤等の分散密度が高くなり、逆に曲げ加工の外側では分散密度が低くなって、導光板の輝度ムラが生じるためである。また、導光パターンを印刷した導光板を曲げ加工した場合には、印刷されたパターンの剥離が生じる虞がある。
これに対し、本方法のように基材の凹凸加工によって導光パターンを形成した場合には、曲げ加工の前後における導光パターンの崩れが抑制され、曲げ加工後の導光板において均一な輝度分布を得ることができる。
V溝などの溝をストライプ状または格子状に形成した溝パターンの場合、基材の曲げ加工によって溝角度が変動して導光特性が変動するおそれがある。これに対し、凸部を分散配置したドットパターンの場合、曲げ加工によって基材全体が湾曲しても、凸部は基材に対する突出方向と凸部自体の形状を維持したまま基材に追随して移動するため、導光特性の変動が少ないためである。
加熱時の基材の温度を荷重たわみ温度+40℃以下、かつ融点以下とすることで、基材の表面に設けられた導光パターンの形状を崩すことがなく、曲げ加工の前後において光源光の反射角度が変動することが抑制できる。これにより、導光板における輝度低下や輝度分布のムラを防ぐことができる。
さらに、加熱時の基材の温度を荷重たわみ温度+10℃以上とすることで、曲げ加工時に基材を型形状に応じて所望の形状に加工することができる。言い換えると、基材の型再現性を維持することができる。これにより、曲げ加工された基材の内部ひずみが抑えられるため、成形された導光板の機械特性が良好となり、具体的には長期使用中の変形と衝撃印加時の割れが防止される。
これに対し、導光パターンが一方の主面にのみ形成された基材(以下、片面導光パターンの基材という場合がある)を本方法に用いる場合、加熱時の基材の表面と内部とで温度差をもうけてもよい。具体的には、導光パターンの形成面の温度を、非形成面や基材内部よりも低温に維持したまま曲げ加工を行ってもよい。
パターン面の制御温度は、平坦面の加熱温度未満であって、荷重たわみ温度+0〜+20℃とするとよい。パターン面を荷重たわみ温度以上とすることにより、基材の曲げ加工性を損なわず、成形後の導光板に良好な機械特性を得ることができる。
また、基材の加熱時間は、基材の板厚によって調整することが好ましい。例えば基材が板厚2mmのときは15〜25分間の加熱時間とし、板厚8mmのときは20〜40分間の加熱時間とすることができる。
フリーブロー法やフリーバキューム法によれば、基材の曲げ加工部に形成された突起を金型で押潰してしまうことがない。このため、成形される導光板において三次元曲面上に位置する突起において、所期の反射角度にて光源光を反射することができる。
図1(a)は、フリーブロー法またはフリーバキューム法により基材を曲げ加工するための成形装置10と、成形装置10により三次元曲面状に成形される基材20の分解斜視図である。
図1(b)は、同図(a)のB−B断面図であり、中央部のみ図示し、両端は省略した。
突起22は、基材20の四辺からの距離にしたがって径が拡大し、パターン面21の面央には最大径の突起22が形成されている。
これにより、曲げ加工後の導光板40(図2(b)を参照)では、面内方向に入射した光源光を、均一な輝度にて面直方向に反射することができる。
空洞部14には、給排気管16が連通して設けられている。給排気管16にはポンプ(図示せず)が接続されており、空洞部14の内圧を、大気圧以上に加圧、または大気圧以下に減圧することができる。
開口15の形状は特に限定されないが、図1(a)では、円形の場合を例示している。
保持枠12には、通孔17の周囲に固定具18が設けられている。
一方、加減圧部11の載置面13には、開口15と通孔17とを位置合わせした状態で固定具18と係合する係合部19が設けられている。
固定具18は、保持枠12の四隅にそれぞれ設けられている。固定具18同士の間隔は、基材20の辺長よりも長く、保持枠12と載置面13とで基材20を挟持した状態で、固定具18と係合部19とは、基材20と干渉することなく互いに係合する。
荷重たわみ温度+10〜40℃より選択された所定の加熱温度に加熱された基材20は、給排気管16から供給される高圧空気Fの押圧力により、通孔17より露出した領域が三次元曲面状に膨出する。
つまり、加熱装置にて予め所定の加熱温度に加熱された基材20を、手作業または搬送装置によって成形装置10に移送し、これを載置面13にセットしてもよい。または、常温の基材20を成形装置10の載置面13にセットした状態で、基材20を加熱装置によって加熱してもよい。
前者の場合、成形装置10が加熱手段を具備する必要がなく、成形装置10の簡易化が可能である。一方、後者の場合、加熱後の基材20が載置面13にセットされる間に除熱されることがなく、基材20を均一かつ高精度に温度制御した状態で曲げ加工することができる。
膨出部41の内側面と平坦部42の下面は、導光パターンが配列して形成されたパターン面21であり、突起22(図1(b)を参照)が分散して形成されている。
本実施形態の導光板40は、平坦部42が矩形をなし、その四辺にそれぞれ光源30が装着されている。光源30としては、複数個のLED(Light Emitting Diode)を直線状に配列した直線型光源を例示することができる。
同図では、説明のため、四式の光源30のうちの一つ(光源31)を平坦部42から離間して図示している。
また、導光板40の平坦面(パターン非形成面)23の上には、突起22(図1(b)を参照)で反射して平坦面23から出た光源光を均一に拡散する拡散板(図示せず)が被着されている。
したがって、平坦部42の面内方向に入射した光源光は、突起22(図1(b)を参照)で反射する場合を除き、パターン面21または平坦面23では鏡面反射して導光板40の内部に留まる。
ここで、本実施形態の導光板40では、平坦部42と膨出部41とは、境界線43において滑らかに連続している。このため、平坦部42の内部を進行する光源光は、境界線43において乱反射することなく膨出部41に導入される。
膨出部41に導入された光源光もまた、突起22で反射する場合を除き、膨出部41の表裏のパターン面21または平坦面23で鏡面反射して導光板40の内部を面内方向に進行する。
そして、光源光は、導光板40の平坦部42または膨出部41に形成された突起22で反射すると、突起22から平坦面23に向かって、または反射シートで鏡面反射して、導光板40の厚さ方向に進行する。導光板40の厚さ方向に進行する光源光は平坦面23を通過して導光板40の外部に漏れ、導光板40を均一に発光させる。
このとき、上述のように、本実施形態の導光板40では面央における突起22の径が最大に形成されていることで、導光板40は平坦部42および膨出部41が均一な輝度で発光する。
これに対し、膨出部41を凹面状に形成することにより、光源光を集束させて放出することが可能となる。
<輝度測定>
長さ910mm×幅200mm×厚さ8mmのメタクリル樹脂を基材として、メタクリル樹脂で円柱状のドットパターンが裏面に分散して立設されている導光板(住友ベークライト社製 サンロイドルミキング(登録商標))を用いて輝度測定を行った。
具体的には、平坦に形成された上記の導光板の表面に拡散板(住友化学社製 スミペックス(登録商標)032 厚さ2mm)を設置し、導光板の裏面に反射フィルム(稲葉電機社製 ホワイトフィルム)を設置した。また、導光板のうち互いに対向する短辺をそれぞれ入光口として端面を開口し、短辺以外の二辺(長辺)の端面には上記の反射フィルムを設置した。
そして、二式の線状光源であるLED(稲葉電機社製 スリーワン)を光源として、対向する短辺の端面より長辺方向の内向きに入光を行った。
この状態で、輝度計(トプコン社製 BM−9)を用いて、拡散板の表面の輝度を、長辺方向のセンター部(幅中央)について、長さ方向に50mmピッチで測定して平均輝度を求めた。また、測定値の最大値と最小値との差を、輝度ムラとして取得した。
つぎに、上記の基材を、130℃の熱風循環式オーブン内で34分間加熱した。シート表面温度は120℃で安定した。本実施例に用いたメタクリル樹脂の荷重たわみ温度は100℃であり、上記加熱温度は、メタクリル樹脂の荷重たわみ温度+20℃の温度であった。
加熱状態の基材を、曲率半径(以下、R)500mmの雌型に沿わせて、長さ方向がR500mmとなるように曲げ加工を行った。
このようにして得られた曲げ加工品の表面に上記拡散板を設置し、裏面および互いに対向する短辺の端面(入光口)以外の二辺の端面に上記反射フィルムを設置した。そして、入光口から上記LEDを光源として入光を行った。この状態で、上記輝度計を用いて、曲げ加工後の拡散板の表面の輝度を、長辺方向のセンター部(幅中央)について、長さ方向に50mmピッチで測定して平均輝度を求めた。また、測定値の最大値と最小値との差を、輝度ムラとして取得した。そして、曲げ加工後の導光板における、平均輝度に対する輝度ムラの比率を算出した。ここで、導光板の平均輝度に対して輝度ムラが50%以下である場合、実用上問題のない程度の輝度ムラであると一般に評価することができる。
測定された輝度の最大値と最小値との差である輝度ムラについては、加工前が102cd/m2であったのに対し、加工後は48cd/m2であった。したがって、曲げ加工後の平均輝度(230cd/m2)に対する輝度ムラ(48cd/m2)は21%と、50%以下であった。
長さ820mm×幅300mm×厚さ8mmの上記基材を140℃の熱風循環式オーブン内で34分間加熱した。基材の表面温度は、メタクリル樹脂の荷重たわみ温度+30℃である130℃で安定した。
加熱状態の基材を、導光パターンが内側となるよう円筒内面に沿わせて、直径が260mmの円筒状に、長さ方向に曲げ加工を行った。このようにして得られた円筒加工品の外表面に上記拡散板を設置した。また、基材のうち互いに対向する短辺を入光口とし、基材の裏面および入光口以外の二辺(長辺)の端面に上記反射フィルムを設置した。そして、入光口から上記LEDを光源として入光を行った。この状態で、上記輝度計を用いて、曲げ加工前後の拡散板の表面の輝度を、長辺方向のセンター部(幅中央)について、長さ方向に50mmピッチで測定を行った。
輝度ムラについては、加工前が60cd/m2であったのに対し、加工後は104cd/m2であった。したがって、曲げ加工後の平均輝度(260cd/m2)に対する輝度ムラ(104cd/m2)は40%と、50%以下であった。
熱風循環式オーブンの温度設定を160℃とした以外は実施例1と同様にして、拡散板の表面における平均輝度および輝度ムラを測定した。加熱された基材の表面温度は、メタクリル樹脂の荷重たわみ温度+50℃である150℃で安定した。
その結果、加工前における拡散板の表面の平均輝度が308cd/m2であったのに対し、加工後の平均輝度は136cd/m2であった。したがって、平均輝度の低下は56%と、30%を超えた。
輝度ムラについては、加工前が122cd/m2であったのに対し、加工後は76cd/m2であった。したがって、曲げ加工後の平均輝度(136cd/m2)に対する輝度ムラ(76cd/m2)は56%と、50%を超えた。
円柱状のドットパターンのない平坦な板状のメタクリル樹脂の基材を導光板として用い、熱風循環式オーブンの温度設定を140℃とした以外は実施例1と同様にして、拡散板の表面における平均輝度および輝度ムラを測定した。基材(導光板)には、拡散剤としてポリスチレン系重合体微粒子を練り込んで導光性能を付与した。加熱された基材の表面温度は、メタクリル樹脂の荷重たわみ温度+30℃である130℃で安定した。
その結果、加工前における拡散板の表面の平均輝度が254cd/m2であったのに対し、加工後の平均輝度は148cd/m2であった。したがって、平均輝度の低下は42%と、30%を超えた。
輝度ムラについては、加工前が142cd/m2であったのに対し、加工後は146cd/m2であった。したがって、曲げ加工後の平均輝度(148cd/m2)に対する輝度ムラ(146cd/m2)は99%と、50%を超えた。
実施例1で用いた基材を、110℃の熱風循環式オーブン内で34分間加熱した。加熱された基材の表面温度は、メタクリル樹脂の荷重たわみ温度+0℃である100℃で安定した。
加熱状態の基材を、R500mmの雌型に沿わせて、長さ方向がR500mmとなるように曲げ加工を行った。
その結果、得られた加工品の曲率半径は560mmであり、雌型に対して12%もの大きな曲率半径となった。すなわち、本比較例の加工品は、金型の再現性が得られないものであった。そのため、輝度測定、曲げ加工後の評価は実施しなかった。
一方、基材の表面温度を、荷重たわみ温度+50℃とした比較例1と、ドットパターンまたは溝を有さない比較例2の導光板においては、加工後の輝度ムラが平均輝度の50%を超え、また加工の前後における平均輝度が30%を超えて低下した。
また、基材の表面温度を、荷重たわみ温度+0℃とした比較例3の導光板は、金型の曲率半径に対して加工品の曲率半径が12%も大きくなり、曲げ加工を適切に行うことができないことが分かった。
(1)少なくとも片面の表面にドットパターンまたは溝が付設された熱可塑性樹脂製シートの表面温度を熱オーブンによって110℃以上、140℃以下に加熱した後、曲げ加工することを特徴とする導光板の製造方法;
(2)前記加熱時間は、15分以上、40分以下である上記(1)に記載の導光板の製造方法;
(3)前記熱可塑性樹脂製シートの材質は、アクリル樹脂含むものである上記(1)または(2)に記載の導光板の製造方法;
(4)前記熱可塑性樹脂製シートの厚みは、3mm以上、10mm以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の導光板の製造方法;
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導光板の製造方法によって得られることを特徴とする導光板。
11 加減圧部
12 保持枠
13 載置面
14 空洞部
15 開口
16 給排気管
17 通孔
18 固定具
19 係合部
20 基材
21 パターン面
22 突起
23 平坦面
30,31 光源
40 導光板
41 膨出部
42 平坦部
43 境界線
50 照明装置
F 高圧空気
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂からなり少なくとも一方の表面にドットパターンまたは溝が配列して形成された基材を、前記熱可塑性樹脂の荷重たわみ温度+10〜40℃の加熱温度に加熱した状態で曲げ加工することを特徴とする導光板の製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂であり、前記加熱温度が110℃以上、140℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の導光板の製造方法。
- 前記加熱温度による前記基材の加熱時間が、15分以上、40分以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の導光板の製造方法。
- 前記基材の厚みが、2mm以上、10mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導光板の製造方法。
- 前記基材の一方の表面に前記ドットパターンまたは前記溝が形成されているとともに、
前記基材の他方の表面を前記加熱温度に加熱し、前記一方の表面の温度を前記加熱温度未満とした状態で前記基材を曲げ加工することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導光板の製造方法。 - 前記曲げ加工を、フリーブロー法またはフリーバキューム法により前記基材を三次元曲面状に成形して行うことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の導光板の製造方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の導光板の製造方法によって得られることを特徴とする導光板。
- 三次元曲面状に曲げ加工された熱可塑性樹脂の板材からなり、前記板材の少なくとも一方の表面にドットパターンまたは溝が配列して形成されていることを特徴とする導光板。
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