JP2010150077A - 無機組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】バクテリアセルロース繊維により補強された、軽量かつ高強度の無機組成物を提供することにある。
【解決手段】無機硬化性物質とバクテリアセルロース繊維とを含み、該バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していることを特徴とする無機組成物。
【選択図】なし
【解決手段】無機硬化性物質とバクテリアセルロース繊維とを含み、該バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していることを特徴とする無機組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、無機組成物に関するものである。より詳しくは、バクテリアセルロース繊維により補強された、軽量かつ高強度の無機組成物に関するものである。
セルロースは、地球上で最も大量に生産されるバイオマスとして、また自然環境下において生分解可能な材料として、昨今、大きな注目を集めており、活用が進められている。なかでも、セルロースを高度にミクロフィブリル化することによって得られる微小繊維状セルロースや、微生物が産生するバクテリアセルロース繊維は、高強度、高弾性率という利点を有していることから、樹脂補強材、紙力増強剤など幅広い分野において活用の検討がなされている。
セメントなどの無機硬化性物質の硬化によって得られる無機組成物は、一般的にその内部に鉄筋などの補強材を配することによって補強されている。無機組成物を軽量化するために、鉄などの補強材に代わり、種々の補強繊維を用いた無機組成物の補強が行われている。従来より、高強度、高弾性率、不燃性かつ安価である石綿が、補強繊維として広く用いられてきた。しかし、石綿の吸入による健康被害が問題視された結果、現在ではその使用について世界的に厳しく規制されている。そこで、石綿代替の補強繊維として、ポリビニルアルコール繊維やセルロース繊維を用いた検討が進められている。例えば、ポリビニルアルコール繊維やセルロース繊維を補強繊維として用いた技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
ポリビニルアルコール繊維は、高強度、高弾性率かつ耐アルカリ性に優れているが、耐熱性が低いためにオートクレーブ養生や蒸気養生を行うことができず、空気中養生を行うことが必要となる。しかし、空気中養生は長時間を要するため、生産性が低下し、コストが高くなるという問題点がある。
セルロース繊維は、耐アルカリ性、耐熱性に優れているが、木材パルプなど通常のセルロース繊維は低強度、低弾性率であるために、十分な補強効果が得られないという問題点がある。これに対し、微小繊維状セルロースは高強度、高弾性率であるため、従来、例えば、微小繊維状セルロースを補強繊維として用いた無機組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この提案では、補強繊維自身の強度、弾性率は十分高いものの、補強繊維の繊維長が短いために引張時に欠陥が生じやすいという問題点があった。
このように、従来技術ではセルロース繊維を補強繊維として用いた際に、軽量かつ高強度の無機組成物を得ることができなかった。
特開昭62−78136号公報
特開昭59−131551号公報
特開2005−59513号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、バクテリアセルロース繊維により補強された、軽量かつ高強度の無機組成物を提供することにある。
本発明は上記の課題を解決するため、以下の構成を採用する。すなわち、
本発明の無機組成物は、無機硬化性物質とバクテリアセルロース繊維とを含み、該バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していることを特徴とするものである。
本発明の無機組成物は、無機硬化性物質とバクテリアセルロース繊維とを含み、該バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していることを特徴とするものである。
本発明の無機組成物の好ましい態様によれば、前記の無機組成物中のバクテリアセルロース繊維の平均繊維径が4〜100nmであることを特徴とするものである。
また、本発明の無機組成物の好ましい態様によれば、固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合が、前記の無機組成物全体の0.1〜10重量%であることを特徴とするものである。
本発明によれば、バクテリアセルロース繊維により補強された、軽量かつ高強度の無機組成物を提供することができる。本発明により得られる無機組成物は、内装材、外装材、床材、屋根材、壁材および遮音材などの建築材料として好適に用いることができる。
以下、本発明のバクテリアセルロース繊維により補強された、軽量かつ高強度の無機組成物、およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の無機組成物は、少なくとも無機硬化性物質およびバクテリアセルロース繊維を含有するものである。
本発明における無機硬化性物質としては、水硬性セメントと気硬性セメントが挙げられる。水硬性セメントの具体例としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントおよび耐硫酸塩ポルトランドセメントなどのポルトランドセメントや、高炉セメント、シリカセメントおよびフライアッシュセメントなどの混合セメントなどが挙げられる。気硬性セメントの具体例としては、消石灰、石膏およびマグネシアセメントなどが挙げられる。なかでも、水硬性セメントは、水中で硬化が進行するため特に好ましく用いられる。これら無機硬化性物質は、無機組成物の使用目的に応じて適宜選択することができ、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明におけるバクテリアセルロース繊維は、酢酸菌などの微生物が産生するセルロース繊維を意味している。バクテリアセルロース繊維は、グルコースなどを炭素源として微生物を培養する過程において、微生物が不規則に動き回りながらバクテリアセルロース繊維を産生することによって得られるため、三次元網目構造を形成している。バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していれば、無機組成物中においてセルロース繊維同士が分散してセルロース繊維間の相互作用が弱まることがない。
バクテリアセルロース繊維が形成する三次元網目構造内部の空隙は、通常、水などの液体で満たされている。通常のバクテリアセルロース繊維は、バクテリアセルロース繊維0.1〜3重量%および水などの液体97〜99.9重量%からなるゲル状物として得られる。なお、バクテリアセルロース繊維が形成する三次元網目構造は、液体への含浸や、圧縮などの変形などによって破壊されることはない。バクテリアセルロース繊維からなるゲル状物の形状は、無機組成物の使用目的に応じた最適な特性を得るために適宜選択することができる。バクテリアセルロース繊維からなるゲル状物の形状の具体例としては、板状、ブロック状、シート状、フィルム状などが挙げられる。
バクテリアセルロース繊維からなるゲル状物の密度は、微生物の培養条件やゲル状物を構成するバクテリアセルロース繊維の割合などによって異なるが、通常1.1〜1.5g/cm3である。セメントなどの無機硬化性物質の密度は、通常3.0〜3.2g/cm3であるため、バクテリアセルロース繊維を用いて無機硬化性物質を補強することによって、無機組成物を軽量化することができる。
バクテリアセルロース繊維からなるゲル状物は、結晶性が高いα−セルロースを主成分とし、一軸配向性が極めて高いバクテリアセルロース繊維によって構成されているため、極めて高強度、高弾性率である。すなわち、バクテリアセルロース繊維を用いて無機硬化性物質を補強することによって、無機組成物を高強度化することができる。
本発明におけるバクテリアセルロース繊維の平均繊維径は、4〜100nmであることが好ましい。平均繊維径が4nm以上であれば、高強度、高弾性率のバクテリアセルロース繊維が得られるため、無機組成物中において優れた補強効果が発現する。平均繊維径は、より好ましくは10nm以上であり、更に好ましくは20nm以上である。一方、平均繊維径が100nm以下であれば、無機組成物中においてバクテリアセルロース繊維同士の絡み合いによる優れた補強効果が発現する。平均繊維径は、より好ましくは70nm以下であり、更に好ましくは50nm以下である。繊維径が4〜100nmの範囲外であるバクテリアセルロース繊維が含まれていてもよいが、バクテリアセルロース繊維の総数に対して70%以上の繊維径が、4〜100nmの繊維であることが好ましい。
本発明におけるバクテリアセルロース繊維の平均繊維長は、0.1〜1mmであることが好ましい。平均繊維長が0.1mm以上であれば、無機組成物中においてバクテリアセルロース繊維同士の絡み合いによる優れた補強効果が発現する。平均繊維長は、より好ましくは0.2mm以上であり、更に好ましくは0.3mm以上である。一方、平均繊維長が1mm以下であれば、無機硬化性物質の性質を損なうことがない。平均繊維長は、より好ましくは0.7mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。繊維長が0.1〜1mmの範囲外であるバクテリアセルロース繊維が含まれていてもよいが、バクテリアセルロース繊維の総数に対して70%以上の繊維長が、0.1〜1mmの繊維であることが好ましい。
本発明の無機組成物は、骨材、混和材、混和剤、他の補強繊維などの添加剤を含有していても構わない。これら添加剤は、無機組成物の使用目的に応じた最適な特性を得るために適宜選択することができ、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明における骨材としては、川砂、山砂、海砂、砕砂、珪砂、鉱滓、ガラス砂、鉄砂、灰砂、炭酸カルシウムおよび人工砂などの細骨材や、砂利、礫、砕石、ぐり石、破石、スラグおよび人工骨材などの粗骨材、発泡真珠岩、発泡パーライト、発泡黒よう石、バーミキュライト、シラスバルーンおよび発泡ポリスチレンなどの人工軽量骨材などが挙げられる。これら骨材は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明における混和材としては、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ粉末、石灰石などが挙げられる。これら混和材は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明における混和剤としては、減水剤、高性能減水剤、AE剤(air entraining agent)、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、増粘剤、保水剤、撥水剤、膨張剤、硬化剤、硬化促進剤、凝固剤、凝結遅延剤、発泡剤、防錆剤、防水剤、分散剤、難燃剤、着色剤、可塑剤などが挙げられる。これら混和剤は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明における他の補強繊維としては、有機繊維や無機繊維が挙げられる。有機繊維の具体例としては、微小繊維状セルロース、レーヨン繊維、アセテート繊維、ビニロン繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、フェノール繊維などが挙げられる。無機繊維の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、金属繊維などが挙げられる。これら他の補強繊維は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
本発明における原料混合物は、無機硬化性物質および水の他、必要に応じて、骨材、混和材、混和剤、他の補強繊維などの添加剤を所定の割合で配合して、混合することによって得られる。
本発明における原料混合物は、無機硬化性物質の重量に対する水の重量が20〜70重量%であることが好ましい。無機硬化性物質の重量に対する水の重量が20重量%以上であれば、原料混合物の流動性が十分であるため、無機組成物の使用目的に応じた形状への成形が可能となる。無機硬化性物質の重量に対する水の重量は、より好ましくは25重量%以上であり、更に好ましくは30重量%以上である。一方、無機硬化性物質の重量に対する水の重量が70重量%以下であれば、保形性を損なうことがないため、無機組成物の使用目的に応じた形状への成形が可能となる。無機硬化性物質の重量に対する水の重量は、より好ましくは65重量%以下であり、更に好ましくは60重量%以下である。
本発明における原料混合物は、無機硬化性物質の重量に対する骨材、混和材、混和剤、他の補強繊維などの添加剤の重量を、無機組成物の使用目的に応じた最適な特性を得るために適宜選択することができる。無機硬化性物質の重量に対する、骨材の重量は10〜150重量%であることが好ましく、混和材の重量は5〜30重量%であることが好ましく、混和剤の重量は0.1〜5重量%であることが好ましく、他の補強繊維の重量は0.1〜20重量%であることが好ましい。
本発明の無機組成物は、固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合が、無機組成物全体の0.1〜10重量%であることが好ましい。固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合が、無機組成物全体の0.1重量%以上であれば、無機組成物中においてバクテリアセルロース繊維同士の絡み合いによる優れた補強効果が発現する。固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合は、より好ましくは無機組成物全体の0.3重量%以上であり、更に好ましくは無機組成物全体の0.5重量%以上である。一方、固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合が、無機組成物全体の10重量%以下であれば、無機硬化性物質の性質を損なうことがない。固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合は、より好ましくは無機組成物全体の7重量%以下であり、更に好ましくは無機組成物全体の5重量%以下である。
本発明の無機組成物の見掛け密度は、2.0g/cm3以下であることが好ましい。見掛け密度が2.0g/cm3以下であれば、軽量かつ高強度の無機組成物が得られる。見掛け密度は、より好ましくは1.8g/cm3以下であり、更に好ましくは1.6g/cm3以下である。
本発明の無機組成物の圧縮強度は、90N/mm2以上であることが好ましい。圧縮強度が90N/mm2以上であれば、バクテリアセルロース繊維により補強された高強度の無機組成物が得られる。圧縮強度は、より好ましくは92N/mm2以上であり、更に好ましくは94N/mm2以上である。
本発明の無機組成物の曲げ強度は、11N/mm2以上であることが好ましい。曲げ強度が11N/mm2以上であれば、バクテリアセルロース繊維により補強された高強度の無機組成物が得られる。曲げ強度は、より好ましくは13N/mm2以上であり、更に好ましくは15N/mm2以上である。
次に、本発明の無機組成物の製造方法について説明する。
本発明のバクテリアセルロース繊維は、グルコースなどを炭素源として微生物を培養することによって得られる。バクテリアセルロース繊維を産生する微生物としては、酢酸菌が用いられる。酢酸菌の具体例としては、アセトバクター属であるアセトバクターキシリナムなどが挙げられる。バクテリアセルロース繊維を産生する微生物は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。
バクテリアセルロース繊維を得るための微生物の培養は、公知の方法に従い、炭素源、窒素源、無機塩類の他、必要に応じて、微量のアミノ酸、ビタミンなどの栄養素を含有する培地に、酢酸菌などの微生物を接種して、20〜40℃で5〜30日間静置することなどにより行うことができる。微生物の培養によって、バクテリアセルロース繊維のゲル状物が得られる。
微生物の培養によって得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物は、その内部に酢酸菌などの微生物や培養液を含有するため、必要に応じて、水、希酸水溶液、希アルカリ水溶液および有機溶媒などの洗浄液を用いて洗浄する。これら洗浄液は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。洗浄の具体例としては、培養液から取り出したバクテリアセルロース繊維のゲル状物を0.01〜5重量%のアルカリ水溶液中で1時間以上煮沸することによって微生物を溶解除去した後、水洗によってアルカリ水溶液を除去する方法が挙げられる。
本発明における原料混合物は、各原料を所定の割合で配合して、公知の方法に従い、混合することによって得られる。混合の具体的な方法として、手練り、ハンドミキサー、ヘンシェルミキサー、オムニミキサーなどが挙げられる。各原料の添加順序、混合時間、混合温度などは、原料混合物の組成や無機組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の無機組成物は、公知の方法に従い、原料混合物を成形した後、養生硬化することによって得られる。成形の具体的な方法として、流し込み、抄造、吹き付け、プレスなどが挙げられる。養生硬化の具体的な方法として、常温常圧養生、常圧蒸気養生、水中養生、オートクレーブ養生などが挙げられる。成形や養生硬化の条件は、原料混合物の組成や無機組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の無機組成物は、セルロース繊維で補強された従来の無機組成物と異なり、軽量かつ高強度であるため、内装材、外装材、床材、屋根材、壁材および遮音材などの建築材料として幅広く利用することが可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
A.固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合
無機組成物の作製に使用したバクテリアセルロース繊維のゲル状物を80℃で24時間真空乾燥し、ゲル状物から水分を除去した固形分の重量(バクテリアセルロース繊維の重量)を測定した。さらに、得られた無機組成物の重量を測定し、下記式により固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合を算出した。
無機組成物の作製に使用したバクテリアセルロース繊維のゲル状物を80℃で24時間真空乾燥し、ゲル状物から水分を除去した固形分の重量(バクテリアセルロース繊維の重量)を測定した。さらに、得られた無機組成物の重量を測定し、下記式により固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合を算出した。
固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合(重量%)=バクテリアセルロース繊維の重量÷無機組成物の重量×100
B.平均繊維径
バクテリアセルロース繊維の平均繊維径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により算出した。バクテリアセルロース繊維のゲル状物をSEM観察用試料台へ貼付した後、白金−パラジウム合金を蒸着して、SEMにより表面を観察した。表面において無作為に選んだ20本の繊維径を計測し、その平均値を平均繊維径(nm)とした。
B.平均繊維径
バクテリアセルロース繊維の平均繊維径を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により算出した。バクテリアセルロース繊維のゲル状物をSEM観察用試料台へ貼付した後、白金−パラジウム合金を蒸着して、SEMにより表面を観察した。表面において無作為に選んだ20本の繊維径を計測し、その平均値を平均繊維径(nm)とした。
・SEM装置:日立製S−4000型
C.平均繊維長
バクテリアセルロース繊維の平均繊維長を、繊維長分布測定装置を用いて測定した。
C.平均繊維長
バクテリアセルロース繊維の平均繊維長を、繊維長分布測定装置を用いて測定した。
・繊維長分布測定装置:メッツォオートメーション社製KAJAANI FS−200型
D.密度
バクテリアセルロース繊維のゲル状物の単位体積当たりの重量を測定して、バクテリアセルロース繊維のゲル状物の密度を算出した。
D.密度
バクテリアセルロース繊維のゲル状物の単位体積当たりの重量を測定して、バクテリアセルロース繊維のゲル状物の密度を算出した。
E.見掛け密度
JIS A5430:2008(繊維強化セメント板)10.5に基づいて、無機組成物の見掛け密度を測定した。
JIS A5430:2008(繊維強化セメント板)10.5に基づいて、無機組成物の見掛け密度を測定した。
F.圧縮強度
JIS A1108:2006(コンクリートの圧縮強度試験方法)に基づいて、無機組成物の圧縮強度を測定した。
JIS A1108:2006(コンクリートの圧縮強度試験方法)に基づいて、無機組成物の圧縮強度を測定した。
G.曲げ強度
JIS A1106:2006(コンクリートの曲げ強度試験方法)に基づいて、無機組成物の曲げ強度を測定した。
JIS A1106:2006(コンクリートの曲げ強度試験方法)に基づいて、無機組成物の曲げ強度を測定した。
実施例1〜6
(バクテリアセルロース繊維の作製)
培地として、サッカロース5重量%、酵母エキス0.5重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、リン酸二水素カリウム0.3重量%、硫酸マグネシウム0.05重量%を用い、塩酸によってpH5.0に調整した水溶液を作製した。この培地を、オートクレーブ中で120℃、20分間加熱滅菌して培養液を作製した。また、酵母エキス0.5重量%、ペプトン0.3重量%、マンニトール2.5重量%からなる試験管斜面培地(pH6.0)を用いて30℃で3日間、酢酸菌を生育した。培養液へ酢酸菌を白金耳によって接種し、30℃で20日間静置培養を行い、バクテリアセルロース繊維のゲル状物を作製した。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物を培養液から取り出し、1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した後、十分水洗した。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物は、バクテリアセルロース繊維2重量%、水98重量%であり、三次元網目構造を形成しているものであった。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物を9cm角にカットし、温度30℃、圧力0.01MPaの条件にてプレスしてゲル状物の厚さを調整した。各実施例で用いたバクテリアセルロース繊維のゲル状物のサイズを表1に示した。
(無機組成物の作製)
表1に示した割合にて、普通ポルトランドセメント(電気化学工業社製)、珪砂6号(北日本産業社製)および水を撹拌混合して、原料混合物を調製した。原料混合物を型枠(縦10cm×横10cm×深さ10cm)内に深さ0.5cmまで流し込んだ後、表1に示したサイズのバクテリアセルロース繊維のゲル状物を型枠の中央部に配置した。さらに、バクテリアセルロース繊維のゲル状物の上面から厚さ0.5cmとなるように原料混合物を流し込んだ。60℃で24時間蒸気養生して、70℃で24時間乾燥した後、型枠を外して無機組成物を得た。
(バクテリアセルロース繊維の作製)
培地として、サッカロース5重量%、酵母エキス0.5重量%、硫酸アンモニウム0.5重量%、リン酸二水素カリウム0.3重量%、硫酸マグネシウム0.05重量%を用い、塩酸によってpH5.0に調整した水溶液を作製した。この培地を、オートクレーブ中で120℃、20分間加熱滅菌して培養液を作製した。また、酵母エキス0.5重量%、ペプトン0.3重量%、マンニトール2.5重量%からなる試験管斜面培地(pH6.0)を用いて30℃で3日間、酢酸菌を生育した。培養液へ酢酸菌を白金耳によって接種し、30℃で20日間静置培養を行い、バクテリアセルロース繊維のゲル状物を作製した。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物を培養液から取り出し、1重量%水酸化ナトリウム水溶液中で3時間煮沸した後、十分水洗した。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物は、バクテリアセルロース繊維2重量%、水98重量%であり、三次元網目構造を形成しているものであった。得られたバクテリアセルロース繊維のゲル状物を9cm角にカットし、温度30℃、圧力0.01MPaの条件にてプレスしてゲル状物の厚さを調整した。各実施例で用いたバクテリアセルロース繊維のゲル状物のサイズを表1に示した。
(無機組成物の作製)
表1に示した割合にて、普通ポルトランドセメント(電気化学工業社製)、珪砂6号(北日本産業社製)および水を撹拌混合して、原料混合物を調製した。原料混合物を型枠(縦10cm×横10cm×深さ10cm)内に深さ0.5cmまで流し込んだ後、表1に示したサイズのバクテリアセルロース繊維のゲル状物を型枠の中央部に配置した。さらに、バクテリアセルロース繊維のゲル状物の上面から厚さ0.5cmとなるように原料混合物を流し込んだ。60℃で24時間蒸気養生して、70℃で24時間乾燥した後、型枠を外して無機組成物を得た。
得られた無機組成物の物性値を表1に示した。バクテリアセルロース繊維によって補強された無機組成物は、いずれも見掛け密度が低く、軽量性に優れていた。さらには、いずれも圧縮強度、曲げ強度ともに高く、高強度の無機組成物であった。また、実施例1〜4において、バクテリアセルロース繊維の割合が増加するにつれ、軽量性、強度ともに向上した。実施例5、6において、原料混合物の配合比を変更しても軽量かつ高強度の無機組成物が得られた。
比較例1〜3
表2に示した割合にて、普通ポルトランドセメント(電気化学工業社製)、珪砂6号(北日本産業社製)、水およびセルロース繊維を撹拌混合して、原料混合物を調製した。なお、比較例1ではセルロース繊維を添加せず、比較例2ではセルロース繊維として溶解パルプ(日本製紙ケミカル社製)、比較例3ではセルロース繊維として微小繊維状セルロース(ダイセル化学工業社製「セリッシュKY−100G」:セルロース濃度10重量%の水分散体)を用いた。原料混合物を型枠(縦10cm×横10cm×深さ10cm)内に深さ1cmまで流し込んだ。60℃で24時間蒸気養生して、70℃で24時間乾燥した後、型枠を外して無機組成物を得た。
表2に示した割合にて、普通ポルトランドセメント(電気化学工業社製)、珪砂6号(北日本産業社製)、水およびセルロース繊維を撹拌混合して、原料混合物を調製した。なお、比較例1ではセルロース繊維を添加せず、比較例2ではセルロース繊維として溶解パルプ(日本製紙ケミカル社製)、比較例3ではセルロース繊維として微小繊維状セルロース(ダイセル化学工業社製「セリッシュKY−100G」:セルロース濃度10重量%の水分散体)を用いた。原料混合物を型枠(縦10cm×横10cm×深さ10cm)内に深さ1cmまで流し込んだ。60℃で24時間蒸気養生して、70℃で24時間乾燥した後、型枠を外して無機組成物を得た。
得られた無機組成物の物性値を表2に示した。いずれの無機組成物も見掛け密度が高く、軽量性に劣るものであった。比較例2では、補強繊維として用いた溶解パルプが低強度、低弾性率であるために、補強効果はほとんど見られなかった。比較例3では、微小繊維状セルロースが高強度、高弾性率であるため、溶解パルプよりも高い補強効果が見られた。しかし、バクテリアセルロース繊維を用いた場合と比べると、圧縮強度、曲げ強度ともに劣る結果であった。
本発明で得られた無機組成物は、バクテリアセルロース繊維により補強されており、軽量かつ高強度である。そのため、内装材、外装材、床材、屋根材、壁材および遮音材などの建築材料として好適に用いることができる。
Claims (3)
- 無機硬化性物質とバクテリアセルロース繊維とを含み、該バクテリアセルロース繊維が三次元網目構造を形成していることを特徴とする無機組成物。
- 無機組成物中のバクテリアセルロース繊維の平均繊維径が4〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の無機組成物。
- 固形分換算でのバクテリアセルロース繊維の割合が、無機組成物全体の0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の無機組成物。
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