JP2010149626A - 車両用サスペンションのキャスタ角調整構造 - Google Patents

車両用サスペンションのキャスタ角調整構造 Download PDF

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Abstract

【課題】シムを用いて簡単かつ確実にキャスタ角を調整でき、しかも、給脂等の定期的な潤滑を必要としないメンテナンスフリーとするとともに、さらに、ゴムブッシュを介在させて路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させる車両用サスペンションのキャスタ角調整構造を提供することを課題とする。
【解決手段】ダブルウイッシュボーン型独立懸架式のサスペンションを備えた車両用サスペンションのキャスタ角調整構造において、車体側に車体前後方向に延在するシャフト7が固定され、同シャフト7の両端部が略A型に形成されたアッパアーム1の両基端部Y、Yに挿嵌すると共に、シャフト1が前記アッパアーム1に挿嵌する部位を他の部位より細径にして段付部23を形成し、同段付部23の壁面と基端部Y、Yとの間にシム25を介在させ、同シム25の枚数を調整することによってキャスタ角を調整することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両のホイールアライメントのうち、独立懸架サスペンションのキャスタ角調整構造に関するものである。
車両のホイールアライメントは主として、キャンバ、キャスタ、トーインなどの要素からからなり、正確な角度に調整するために従来から種々の調整機構が提案されている。
例えば、キャスタ調整については、図6に示すような、アッパアーム01とロワアーム03とからなるダブルウイッシュボーン型のサスペンション機構において、アッパアーム01を矢印で示すように、車体前後方向に移動させることによって行っていた。
このアッパアーム01の車体前後方向への移動は、図7のように、A型形状のアッパアーム01の開口端部間を車体側に固定されるシャフト05で連結し、該シャフト05の両端部とアッパアーム01の開口端部とをねじ部012によってねじ締結し、該ねじの締め込みによって前後移動を行っていた。すなわち、アーム側に雌ねじを切って、シャフト側に雄ねじを切ってねじによって締結されている。
また、特許文献1(実公平1−43283号公報)に示されるようにシムを用いた調整装置についても知られている。この特許文献1のキャスタ調整装置は図8に示すように、A型アーム020の先端Pの部分を車体前後方向に移動せしめるために、取付ボルト022、022を緩めて、取付ブラケット024とシャフト026との間に、車体前後方向において厚さの異なるシム028を挿入して、再び取付ボルト022を締め付けて、取付ブラケット024全体を傾斜(図8の平面視状態で取付ブラケット024を回動)せしめることで、先端部分Pを移動させるようにしている。
実公平1−43283号公報
しかし、図7に示すような、ねじ式の調整装置においては、ねじ機構のため、シャフト05とアッパアーム01の両端部とはねじ機構のために金属接触になっており、給脂等の定期的な潤滑が必要となり整備性に劣っていた。また、金属接触のため接触部分にラバーブッシュを使用できず、路面からタイヤに入った振動を車体に直接伝達してしまい、乗り心地の悪化を招いていた。
また、前記特許文献1に示される技術においては、厚さの異なるシム028を前後方向でそれぞれ取付ボルト022によって締め付けるため、シャフト026に対する取付ブラケット024の取付面が傾いてしまうため、すなわち、シャフト026の平坦状の長手方向の取付面に対して傾いての締め付けとなるため、ボルト締め付け力が斜めに作用して不安定となり緩み、ガタ等の発生のおそれがある。
そこで、本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、シムを用いて簡単かつ確実にキャスタ角を調整でき、しかも、給脂等の定期的な潤滑を必要としないメンテナンスフリーとするとともに、さらに、ゴムブッシュを介在させて路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させる車両用サスペンションのキャスタ角調整構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ダブルウイッシュボーン型独立懸架式のサスペンションを備えた車両用サスペンションのキャスタ角調整構造において、車体側に車体前後方向に延在するシャフトが固定され、同シャフトの両端部が略A型に形成された前記サスペンションを構成するアッパアームの両基端部に挿嵌すると共に、前記シャフトが前記アッパアームに挿嵌する部位を他の部位より細径にして段付部を形成し、同段付部の壁面と前記アッパアームの基端部との間にシムを介在させ、同シムの枚数を調整することによってキャスタ角を調整することを特徴とする。
かかる発明によれば、アッパアームの両基端部と、車体側に車体前後方向に延在して固定されたシャフトとの軸方向における間に、シムを介在させ、同シムの枚数を調整することでアッパアームを車体前後方向に移動可能にして、キャスタ角を調整することができる。
即ち、例えば、アッパアームの前側の端部とシャフトとの間の枚数を、アッパアームの後側の端部と、シャフトとの間の枚数よりも多くして、アッパアームを前側に移動すると図6のキャスタ角θが小さくなってキングピン軸が立ち上がり、逆に、アッパアームの前側の端部とシャフトとの間の枚数を、アッパアームの後側の端部と、シャフトとの間の枚数よりも少なくして、アッパアームを後側に移動すると図6のキャスタ角が大きくなりキングピン軸が傾斜する。
従って、軸方向に介在されるシムの枚数を調整することで簡単にかつ確実にキャスタ角を調整することができる。
また、従来のねじ機構による調整構造のように給脂等の定期的な潤滑を必要としないためメンテナンスフリーとすることができる。
また、シムを追加するだけのため、キャスタ角調整機構を追加する場合のコスト増を最小限に抑えることができる。
また、本発明において、好ましくは、前記シムは略五角形状の板部材からなり、前記シャフトの細径部分に遊間状態でシャフトの径方向から嵌合可能な嵌合穴が前記略五角形状の一辺部分に切欠かれ、同嵌合穴の位置とは反対側につまみ部を有して形成されるとよい。
すなわち、シムの形状が、いわゆるスパナの頭のような五角形状をしており、その端部につまみ部を有しているので、簡単にそのつまみ部を摘まんで取り付け、取り外しができるため、キャスタ角の調整作業が容易になる。
具体的には、前記シャフトの細径部分がアッパアームの端部に挿嵌され、その端部より突出した先端部をナットによって締め付ける構造となっているため、シャフトの両側のナットを緩めて、シャフトの左側のシムを右側に移動し、または右側のシムを左側に移動してシムを挿入する。
また、シムは、略五角形状をしており、同五角形状の一辺部分を切欠いて嵌合穴を形成しているため、シムの肉幅(W1、W2、図4参照)は先端側からつまみ部がある根本側にかけて徐々に広がり、嵌合穴の穴底部の位置において最も幅広になる(W1>W2)ように形成されているので、シムを介在させた状態でシャフトをアッパアームの端部に挿嵌してシャフト端部をナットで締め付けて固定する際、ナットの締め付力によって、シムに回転力が作用して嵌合穴の開口部が開いてしまうことがない、つまり、W1>W2のようになっているため、W1の位置において、W2の位置よりも剛性が高くなっており開口部が開くことを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、前記シャフトの細径部分と、同細径部分が挿嵌する前記アッパアームの基端部との間にはゴムブッシュが介装されているとよい。
かかる構成によって、従来のねじタイプでは難しかったゴムブッシュの採用が可能になり、路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させる車両用サスペンションのキャスタ角調整構造を得ることができる。
本発明によれば、シムを用いて簡単かつ確実にキャスタ角を調整でき、しかも、給脂等の定期的な潤滑を必要としないメンテナンスフリーとするとともに、さらに、ゴムブッシュを介在させて路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させる車両用サスペンションのキャスタ角調整構造を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1〜図5を参照して、本発明の車両用サスペンションのキャスタ角調整構造について説明する。
図1は、ダブルウイッシュボーン型独立懸架式のサスペンションのアッパアーム1の全体構成を示す斜視図である。この図において、アッパアーム1は、A型アッパアームよりなり、平面略U字状になっており、先端部Xは、ボルト3、3によってボールジョイント5が取り付けられており、該ボールジョイント5によってキングピンの上端部に枢支されている。
また、該A型アームの平面略U字状の両基端部Y、Yの間には、車体側に固定されて車体前後方向に延在する棒状体からなるシャフト7が設けられ、シャフト7の両端部には、アッパアーム1の両端部が回転自在に支持されている。
シャフト7は、図3に示すように両端の嵌挿部分(細径部分)11、11は中央部分13より細径に形成され、該嵌挿部分11、11の両先端部にはナット15、15がそれぞれ螺合するためのねじ部17、17が形成されている。中央部分にはボルト穴19、19が2つ形成され、ボルト21、21(図1参照)によって車体側にシャフト7を車体前後方向に延在して取り付けている。
また、嵌挿部分11と中央部分13との境に段付部23を形成し、同段付部23の壁面とアッパアーム1の基端部Yとの間には、例えば、2枚のシム25、25が介在されている。
シム25の形状は、いわゆるスパナの頭の形状をしており、略正五角形状を有していて、その一辺部分には嵌合穴27が切欠かれ、同嵌合穴27の位置とは反対側には、つまみ部29が突出して形成されている。シム25の板厚は、例えば、約1.0〜1.5ミリ程度の厚み有している。板厚については、キャスタ角θの調整範囲に応じて適宜設定する。
嵌合穴27が形成されている一辺部分の開口は、嵌挿部分(細径部分)11の径よりわずか広い幅を有し、深さが細径より大きい寸法を有して形成されている。
さらに、シム25の肉幅W1、W2(図4参照)は先端側からつまみ部がある根本側にかけて徐々に広がり、嵌合穴27の穴底部の位置において最も幅広になる(W1>W2)ように形成されているので、シム25を介在させた状態でシャフト7をアッパアーム1の基端部Yに挿嵌してシャフト7の嵌挿部分11をナット15で締め付けて固定する際、ナット15の締め付力によって、シム25に回転力が作用して嵌合穴27の開口部が広がるように開いてしまうことがない、つまり、シム25の肉幅W1、W2が、W1>W2の関係になっているため、W1の位置において、W2の位置よりも剛性が高くなっており開口部が開きにくい形状となっている。このため、シム25が変形することなく締め付けられるので、シム25におけるガタの発生や緩みが生じ難い。
また、アッパアーム1の先端部Yには、嵌挿部分11との間にゴムブッシュ31が介装されている。このゴムブッシュ31は、図3のC−C線断面図の図5に示すように、円筒形状のゴムブッシュであり中心部分には細径の嵌挿部分11が挿入されるようになっており、さらに外径部分に金属リング33が一体に形成されて設けられ、同金属リング33を介してアッパアーム1の先端部に圧入固定されている。
次に、以上のように構成されたサスペンション機構において、キャスタ角の調整手順について説明する。
まず、両側のナット15、15を緩めて、図2、3に示すアッパアーム1の車両前側(D1側)の段付部23に介在されているシム25を、そのつまみ部29をつまんで上方に引き抜き、後側(D2側)に移動して、後側の段付部23に差し込み、再び前記両側のナット15、15を締め付ける。このシム25の移動によって、アッパアーム1が後側に移動する(図3の2点鎖線)。これによって、図6で示すキャスタ角θ、すなわち、キングピン中心線Kの側方から見た軸と垂直線との成す角が増大する。
また、逆に、車両後側(D2側)のシム25を前側(D1側)に移動させることによって、アッパアーム1が前側に移動する。これによって、キャスタ角θを減少させることができる。
本実施形態によれば、アッパアーム1の両基端部Y、Yと、車体側に車体前後方向に延在して固定されたシャフト7との間に、シム25を介在させ、同シム25の枚数を前後の段付部23において調整することでアッパアーム1を車体前後方向に移動可能にして、キャスタ角を調整することができる。このようにシムの枚数を調整するという簡単な操作によって確実にキャスタ角θを調整することができる。
また、従来のねじ機構による調整構造のように給脂等の定期的な潤滑を必要としないためメンテナンスフリーとすることができる。さらに、シムを追加するだけのため、キャスタ角調整機構を追加する場合のコスト増を最小限に抑えることができる。
また、前記シャフトの嵌挿部分(細径部分)11と、同嵌挿部分11が挿嵌するアッパアーム1の基端部Yとの間にゴムブッシュ31を介装できる構成であるので、従来のねじタイプでは難しかったゴムブッシュの採用が可能になり、路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させる車両用サスペンションのキャスタ角調整構造を得ることができる。
本発明によれば、シムを用いて簡単かつ確実にキャスタ角を調整でき、しかも、給脂等の定期的な潤滑を必要としないメンテナンスフリーとするとともに、さらに、ゴムブッシュを介在させて路面からの振動を吸収させて乗り心地を向上させることができるので、車両用サスペンションのキャスタ角調整構造への適用に際して有益である。
ダブルウイッシュボーン型独立懸架式のサスペンションのアッパアームの全体構成を示す斜視図である。 図1のA視説明図である。 図1のB−B線の一部断面図である。 シムの形状を示す説明図である。 図2のC−C線断面図であり、ゴムブッシュの説明図である。 キャスタ角を示す説明図である。 従来技術の説明図である。 従来技術の説明図である。
符号の説明
1 アッパアーム
7 シャフト
11 嵌挿部分(細径部分)
13 中央部分
15 ナット
17 ねじ部
21 ボルト
25 シム
27 嵌合穴
29 つまみ部
31 ゴムブッシュ
33 金属リング
θ キャスタ角
X アッパアームの先端部
Y アッパアームの基端部

Claims (3)

  1. ダブルウイッシュボーン型独立懸架式のサスペンションを備えた車両用サスペンションのキャスタ角調整構造において、
    車体側に車体前後方向に延在するシャフトが固定され、同シャフトの両端部が略A型に形成された前記サスペンションを構成するアッパアームの両基端部に挿嵌すると共に、前記シャフトが前記アッパアームに挿嵌する部位を他の部位より細径にして段付部を形成し、同段付部の壁面と前記アッパアームの基端部との間にシムを介在させ、同シムの枚数を調整することによってキャスタ角を調整することを特徴とする車両用サスペンションのキャスタ角調整構造。
  2. 前記シムは略五角形状の板部材からなり、前記シャフトの細径部分に遊間状態でシャフトの径方向から嵌合可能な嵌合穴が前記略五角形状の一辺部分に切欠かれ、同嵌合穴の位置とは反対側につまみ部を有して形成されたことを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンションのキャスタ角調整構造。
  3. 前記シャフトの細径部分と、同細径部分が挿嵌する前記アッパアームの基端部との間にはゴムブッシュが介装されていることを特徴とする請求項1記載の車両用サスペンションのキャスタ角調整構造。
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