以下、本発明の実施の形態の詳細を説明するが、実施の形態に共通の前提として、PONはイーサネット(登録商標)ベースのPON(EPON)であり、IEEE802.3ahで定義されたMPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割当、ONUからの帯域要求などが行なわれるものとする。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置の概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、PONシステム301は、局側装置1aと、光ファイバであるN本のPON回線1〜N(3−1〜3−N)と、N個の光カプラ4−1〜4−Nと、複数の宅側装置(ONU)2とを備える。局側装置1aは、光スイッチ11aと、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、集線部13aと、局側装置1aの全体的な制御を行なう制御部14とを含む。Nは2以上の整数である。
局側装置1aは、N本のPON回線1〜Nに接続され、このN本のPON回線を終端する。PON回線1〜Nは、光カプラ4−1〜4−Nにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して複数のONU2に接続されている。
局側装置1aは、N:1の冗長構成を有している。すなわち、N+1個のOSU12のうち、OSU1〜Nが運用系(現用)OSUであり、OSU N+1が待機系(予備)OSUである。なお、局側装置1aは、2個以上の待機系OSUを含む構成であってもよい。
光スイッチ11aは、制御部14からの指示に従い、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、N本のPON回線1〜N(3−1〜3−N)との間の通信経路を切り替える。
集線部13aは、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)からの上りフレームを多重して上位ネットワーク(以下、アップリンクとも呼ぶ。)に送信するとともに、アップリンクから受信した下りフレームを適切なOSUに振り分ける処理を行なう。
図2は、光スイッチ11aの構成例を示す図である。この光スイッチ11aにおいては、PON側のN本の光ファイバと、OSU側のN本の光ファイバとが対向して配置されている。以下、これらのN組の光ファイバを、運用系光ファイバとも呼ぶ。
OSU側の各光ファイバの端面近くにコリメートレンズ23−1〜23−Nが配置され、PON回線側の各光ファイバの端面近くにコリメートレンズ24−1〜24−Nが配置されており、通常状態では対向している光ファイバ間で光空間伝送が行なわれるようになっている。このN組の運用系光ファイバによるN本の光軸は、同一平面上で平行となるように配置される。
可動ミラー22は、アクチュエータ21によって駆動され、N本の光ファイバ3−1〜3−Nの光軸と直交する軸上を移動する。可動ミラー22は、運用系光ファイバによるN本の光軸と可動ミラー22の移動軸との各交点、および待機系光ファイバの端面付近のうちのいずれかに位置する。アクチュエータ21は、制御部14からの制御信号に従い、可動ミラー22を上記(N+1)個の位置のいずれかに移動させる。なお、制御部14からの制御信号は、OSU冗長切り替えの有無および待機系OSUと接続するPON回線の番号を示し、アクチュエータ21はこの制御信号に基づいて可動ミラー22を移動させる。
可動ミラー22は、運用系光ファイバの光軸に対して45°だけ傾いており、PON回線側の光ファイバからの光線を、可動ミラー22の移動軸方向に反射する。可動ミラー22で反射された光線は、コリメートレンズ23−N+1を介して予備系光ファイバ3−N+1に入射される。
また、予備系光ファイバ3−N+1からの光線は可動ミラー22で反射され、可動ミラー22の位置に対応するPON回線側の光ファイバに入射されるので、可動ミラー22の位置に対応するPON回線側の光ファイバと予備系光ファイバ3−N+1との間で光空間伝送を行なうことができる。
ここで、可動ミラー22を移動させる際、可動ミラー22を一旦z方向(図2において紙面の表から裏への方向)にずらしてからx方向に移動させるなどすることにより、対向している光ファイバ対の中で切り替えに無関係な光ファイバ対間の光空間伝送に影響を与えないようにする。
図3は、OSUの構成例を示すブロック図である。OSU12は、集線IF(Interface)部31と、制御IF部32と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、ローカル制御部36と、上りフレームを蓄積するFIFO1(37)と、下りフレームを蓄積するFIFO2(38)とを含む。
なお、図3〜図5においては、後述の第4の実施の形態で説明する二重化を含むようにOSU、集線部および制御部の構成が記載されている。本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、集線IF部31および制御IF部32は二重化されておらず、それぞれ1つの集線部13aおよび制御部14に接続される。図4および図5についても同様である。また、PON送受信部35は、光スイッチ11aに接続される。
PON送受信部35は、光スイッチ11aと1本の光ファイバで接続され、この光ファイバ上で双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を受信し、電気信号に変換して受信処理部33に出力するとともに、送信処理部34から出力される電気信号を別波長、たとえば1490nm帯の下り光信号に変換して送信する。
受信処理部33は、PON送受信部35から受けた電気信号からフレームを再構成するとともに、フレームの種別に応じて制御IF部32、ローカル制御部36またはFIFO1(37)にフレームを振り分ける。具体的には、ユーザフレームをFIFO1(37)に出力し、ループバック試験などの特殊な制御フレームをローカル制御部36に出力し、その他一般の制御フレームを制御IF部32に出力する。
また、受信処理部33は、どのロジカルリンクからフレームをいつ受信するかを示すグラント情報を送信処理部34から受けて、グラント情報に示されていない受信フレームをフィルタリングする、すなわち廃棄するようにしてもよい。また、MPCPフレームに対して、受信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。
集線IF部31は、FIFO1(37)に蓄積された上りフレームを集線部13aに送るとともに、集線部13aから受けた下りフレームをFIFO2(38)に蓄積する。このとき、集線IF部31は、集線部13aの信号形式と内部信号形式との変換を行なう。
送信処理部34は、FIFO2(38)、制御IF部32またはローカル制御部36が送信すべきフレーム/メッセージを有する場合、優先順位に従ってそのフレーム/メッセージを受け取り、フレームを組み立ててPON送受信部35に出力する。このとき、MPCPフレームに対して、送信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。また、送信処理部34は、制御IF部32からのゲートメッセージに記されているグラント情報を受信処理部33に出力する。
制御IF部32は、受信処理部33から受けた制御メッセージを制御部14に出力する
とともに、制御部14から受けた制御メッセージを送信処理部34に出力する。このとき、制御IF部32は、制御部14の信号形式と内部信号形式との変換を行なう。
原則として、PONを管理運用する制御プロトコルは制御部14が終端する。ただし、制御部14の処理負荷を軽減するために、特定のプロトコルはローカル制御部36が終端する。本実施の形態においては、OAMの一種であるONUに対するループバック試験は、制御部14からの指示に従ってローカル制御部36が行なう。すなわち、ローカル制御部36は、ループバック試験モードの設定、ループバック試験フレームの生成、ループバックによって返ってきたフレームの検査、結果の通知、ループバックモードの解除を行なう。
送信処理部34は、送信フレーム数などの統計情報を収集し、制御IF部32を介して制御部14に通知する。
同様に、受信処理部33は、受信フレーム数、受信信号の符号エラー数などの統計情報を収集し、制御IF部32を介して制御部14に通知する。この統計情報は、OSUが冗長化された構成において、系の切り替え判断などを行なう際に使用される。たとえば、受信信号の符号エラー数が多い場合には、待機系OSUに切り替えるなどの制御が行なわれる。
また、PON送受信部35は、自らの送信光レベルをモニタしており、故障および発光素子の経年劣化によって送信光レベルが規定範囲外となった場合に、制御IF部32を介して制御部14に警報を通知する。
図4は、集線部13aの構成例を示すブロック図である。この集線部13aは、アップリンク送受信部41と、下り配信部42と、集線制御部43と、制御IF部44と、OSU IF部1〜N+1(45−1〜45−N+1)と、フィルタ部1〜N+1(46a−1〜46a−N+1)と、FIFO47−1〜47−N+1と、セレクタ48とを含む。
OSU IF部i(i=1〜N+1)は、対応するOSUiから送られる上りフレームを内部信号形式に変換し、フィルタ部iを経由してFIFO47−1〜47−N+1にそれぞれ一時的にバッファリングする。
集線制御部43は、FIFO47−1〜47−N+1の状態を管理しており、空でないFIFOを対象にアップリンクへの出力順序を決め、FIFOからアップリンク送受信部41への上りフレームの転送を指示する。このとき、集線制御部43は、セレクタ48を制御し、FIFOから出力された上りフレームがセレクタ48を経由してアップリンク送受信部41に到達するように設定を行なう。
アップリンク送受信部41は、セレクタ48から出力される上りフレームをアップリンクに送信するとともに、アップリンクから受信した下りフレームを下り配信部42に出力する。
下り配信部42は、アップリンク送受信部41から受けた下りフレームをコピーし、フィルタ部1〜N+1(46a−1〜46a−N+1)に出力する。
フィルタ部i(i=1〜N+1)は、下りフレームに格納されたVLAN(Virtual LAN)ヘッダ情報を参照して、どのPON回線iに送信されるべきフレームであるかを判断する。そして、フィルタ部iは、送信されるべきでない下りフレームをフィルタリングするとともに、送信されるべき下りフレームに対してヘッダの変換などの必要な処理を行なってOSU IF部iに出力する。また、フィルタ部iは、制御部14が有する冗長構成に関する情報に基づいて、上りパスおよび下りパスの接続または切断を行なう。
OSU N+1に対応するフィルタ部N+1(46a−N+1)は、他のすべてのフィルタ部の設定を保持し、切り替えられた回線に対応する設定を選択して適用するようにしてもよい。ここで、フィルタ部の設定とは、VLAN情報、特殊な予約MACアドレスなどの下りフレームをフレーム毎にフィルタリングするために使用される情報、および冗長構成に応じてパス全体での接続/切断を行なうために使用される情報などである。
制御IF部44は、制御部14と通信を行ない、集線部13aの各部の設定および状態の通知ならびに警報の転送などを行なう。
また、アップリンク送受信部41は、送信フレーム数、受信フレーム数、および受信信号の符号エラー数などの統計情報を収集し、制御部14からの問い合わせに応じてこれらの統計情報を制御IF部44を介して制御部14に出力する。また、アップリンク送受信部41は、アップリンクにおける対向装置との物理層レベルでのリンク確立/切断を検出するとともに、自らの出力信号をモニタすることによって送信異常を検出する。アップリンク送受信部41は、アップリンクの切断および送信異常を検出した場合に、対応する警報を制御IF部44を介して制御部14に通知する。
図5は、制御部14の構成例を示すブロック図である。この制御部14は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、IO(Input Output)制御部54と、OSU IF部55と、共有RAM56と、時計・タイマ57とを含む。
OSU IF部55は、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と接続され、ONUとの間で送受信される、PONを制御するための制御フレーム、ならびにOSUを管理および制御するためのOSU情報をメッセージ通信により送受信する。これらのメッセージは、共有RAM56に含まれる入力メッセージキューおよび出力メッセージキューを介してCPU51との間で送受信される。
IO制御部54は、CPU51からのコマンドを受けて、集線部13aおよび光スイッチ11aの設定および状態管理などを行なうとともに、オペレータに対して局側装置1aの操作インタフェース(以下、操作IFとも呼ぶ。)を提供する。また、IO制御部54は、操作IF、集線部13aおよび光スイッチ11aからの応答および警報などのイベントを受けると、CPU51に割込みとして通知する。
時計・タイマ57は、PONを管理するための時計および各種タイマを管理しており、CPU51に対して時刻およびタイマ終了の割込みを出力する。
ROM52は、制御部14全体を制御するためのプログラムおよび固定データなどを格納している。RAM53は、データを一時的に記憶するワークエリアなどとして使用される。
CPU51は、ROM52からプログラムを読み込んで実行するとともに、ROM52に記憶される固定データ読み込んだり、RAM53に対するデータの読み出し/書き込みを行なったりすることにより、後述する処理を実行する。
なお、PON時計を駆動するための基準クロックは各OSUにも与えられており、管理
通信による定期的な時刻通知と併せて、各OSUのPON時計は同期がとられている。
制御部14における処理は、OSUにおけるローカル制御部の公知の処理と基本的には同様であるが、単一のCPUおよびプログラムですべてのPONを制御しつつ、迅速なOSUの冗長切り替え/切り戻しを実施するために、仮想OSUおよびOSU変換という概念が導入されている。なお、切り戻しとは、冗長切り替えを行なった後、冗長切り替え前の状態に戻すことを指す。
CPU51がプログラムを実行することにより通常インタフェースするOSUは、仮想OSUである。すなわち、OSU変換を行なうことにより仮想OSUを実OSUにインタフェースする。たとえば、PON回線iの終端をOSUiからOSU N+1に切り替えるときに、OSU変換を(仮想OSUi⇔実OSUi)から(仮想OSUi⇔実OSU N+1)に変更する。これにより、仮想OSUiをOSUの冗長切り替え/切り戻しの状態にかかわらず、PON回線iに対応させることができる。
このようなOSU変換の実装は、CPU51によるソフトウェア処理でもよいが、本実施の形態では、後述のように、OSU IF部55によるハードウェア処理としている。ただし、OSUを管理および制御するためのOSU制御情報に関しては、CPU51がプログラムを実行して、実OSUを直接指定してメッセージ通信を行なうことも可能である。
図6は、制御部14による初期化処理の手順を説明するためのフローチャートである。この初期化処理は、局側装置1aの各部の必要な初期設定を行なうものである。ここで、仮想OSUごとに、ロジカルリンクテーブルLLTおよび最終割当時刻TEが設けられている。ロジカルリンクテーブルLLTの各要素には、ロジカルリンク固有の情報が格納される。具体的には、ロジカルリンクテーブルLLTは、ロジカルリンク状態LLstat、レポート情報RPinfo、レポート最新受信時刻RPtime、往復伝播時間RTT、OAMリンク接続性確認フレーム最新受信時刻OAMtを含む。
まず、入力メッセージキューQinおよび出力メッセージキューQegを空にし、ロジカルリンクテーブルLLTij(i=1,2,…,N:j∈{OSU iのLLID})をすべてNULLにし、最終割当時刻TEiをすべて現在時刻ctimeにし、OSU変換設定をOSUmap(i)=i(i=1,2,…,N)とする(S11)。
次に、他系の制御部と管理通信を行なうことにより(S12)、制御部が二重化されているか否か、待機系の制御部であるか否かを判定する(S13)。なお、本実施の形態においては制御部が二重化されていないが、第4の実施の形態において説明する制御部の二重化についても一緒に説明するために、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置の動作手順を示すフローチャートにはそのような手順も含めている。したがって、本実施の形態においては、必ず運用系の処理が行なわれる。
制御部が二重化されており、かつ当該制御部が待機系であれば(S13,Yes)、運用系の制御部の管理情報をコピーし、現在時刻ctimeを運用系のctimeとすることにより時計を運用系に合わせる(S14)。そして、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S15)、処理を終了する。
また、制御部が二重化されていないか、制御部が運用系の場合には(S13,No)、操作IFを介して構成定義情報を取り込み、光スイッチ11aを通常状態に設定する。そして、構成定義情報に含まれる転送規則、たとえばアップリンクを介した上位ネットワークにおけるVLAN IDとPON回線との対応を示す情報などに基づいて、集線部13a内の各フィルタ部の設定を行なう(S16)。
最後に、ディスカバリタイマ(TD)をセットし、管理通信タイマ(TMC)をセット
して(S17)、処理を終了する。
図7は、制御部14による割り込み処理ルーチンの手順を説明するためのフローチャートである。制御部14における処理は大部分が不定期に発生する処理であるため割込みを用いることとし、各割込み処理には優先順位を付ける。ステップS23〜S28の処理においては、S23の処理が最も優先順位が高く、S28の処理が最も優先順位が低いものとする。また、ステップS30〜S32の処理においては、S30の処理が最も優先順位が高く、S32の処理が最も優先順位が低いものとする。
まず、割込みが入ったときに、制御部14が運用系であるか否かが判定される(S21)。制御部14が運用系であれば(S21,Yes)、割込種別によって分岐する(S22)。割込種別が、入力メッセージキューにメッセージがあることを示していれば(S22,Qin非空)、メッセージ受信処理を行なって(S23)、処理を終了する。
割込種別がOAM処理起動タイマTOAMijの満了であれば(S22,TOAMij満了)、OAM処理を行なって(S24)、処理を終了する。また、割込種別が操作IFからの割込みであれば(S22,操作IF)、操作IF処理を行なって(S25)、処理を終了する。
割込種別がディスカバリタイマ(TD)の満了であれば(S22,TD満了)、ディスカバリ処理を行なって(S26)、処理を終了する。また、割込種別がタイマTLijの満了であれば(S22,TLij満了)、レポート(RP)タイムアウト処理を行なって(S27)、処理を終了する。また、割込種別が管理通信タイマTMCの満了であれば(S22,TMC満了)、管理通信マスタ処理を行なって(S28)、処理を終了する。
ステップS21において、制御部14が待機系であれば(S21,No)、割込種別によって分岐する(S29)。割込種別が、入力メッセージキューにメッセージがあることを示していれば(S29,Qin非空)、メッセージ受信処理を行なって(S30)、処理を終了する。
割込種別が管理通信であれば(S29,管理通信)、管理通信スレーブ処理を行なって(S31)、処理を終了する。また、割込種別が管理通信タイマTMCの満了であれば(S29,TMC満了)、制御系切替(入)処理を行なって(S32)、処理を終了する。
図8は、図7に示すディスカバリ処理(S26)の詳細を説明するためのフローチャートである。このディスカバリ処理は、契約されているロジカルリンクがすべて登録状態であれば行なわれなくてもよいし、あるPONに対して契約されているロジカルリンクがすべて登録状態であれば、ステップS41とS42とにおいて、そのPON(仮想OSU)に対するディスカバリゲートメッセージの送信をスキップしてもよい。
まず、OSUk(k=1,2,…,N)に対するディスカバリゲートメッセージを順次作成し、出力メッセージキューQegに入れる。このとき、開始時刻はTEkまたは現在時刻の遅い方を基準とする(S41)。そして、ディスカバリ期間の終わりを新しいTEkとする(S42)。すなわち、ディスカバリウィンドウの配置は、直前のTEkまたは現在時刻の遅い方を基準とし、想定されるRTTの範囲およびレジスタ要求の輻輳状態などを勘案して決められる。
最後に、ディスカバリタイマTDをセットして(S43)、処理を終了する。ディスカバリタイマTDにセットされる値は、予め定められた期間であるdiscovery_intervalである。すなわち、所定周期でOSUに対するディスカバリゲートメッセージが順次発行されることになる。
図9は、図7に示すRPタイムアウト処理(S27)の詳細を説明するためのフローチャートである。このRPタイムアウト処理は、タイマTLijの満了によって受信ウィンドウ期間にレポートメッセージを受けなかった場合の処理である。
まず、LLTijのLLstatを参照して、当該ロジカルリンクが登録中であるか否かを判定する(S51)。当該ロジカルリンクが登録中でなければ(S51,No)、現在時刻ctimeからレポート最新受信時刻RPtimeを差し引いた値を、RPlossTに代入する(S52)。このRPlossTは、レポート最新受信時刻からの経過時間である。
RPlossTが1秒よりも大きければ(S53,Yes)、ステップS56に処理が進む。また、RPlossTが1秒以下であれば(S53,No)、再度ロジカルリンクjからレポートメッセージを受信するために、OSUiのLIDjに対するゲートメッセージを作成し、出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレポートフレームだけを送信できる量として、受信ウィンドウを割り当てる(S54)。
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度のぶれ時間を見込んだ時刻にタイマTLijをセットして(S55)、処理を終了する。
ステップS51において、当該ロジカルリンクが登録中であれば(S51,Yes)、後述するデレジスタ処理を行ない(S56)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S57)、処理を終了する。
図10は、図7に示す管理通信マスタ処理(S28)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、他系(待機系)の制御部に対して現在時刻ctimeを通知して運用系が正常であることを知らせるとともに、待機系の制御部に状態を問い合わせ、二重系の有無および他系(待機系)の正常/異常を記録する(S61)。
次に、光スイッチ11aおよび集線部13aに対して運用系の制御部が正常であることを通知するとともに、光スイッチ11aおよび集線部13aの状態を問い合わせ、それを記録する(S62)。最後に、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S63)、処理を終了する。
図11は、図7に示す管理通信スレーブ処理(S31)の詳細を説明するためのフローチャートである。処理が定時確認処理であるか、個別処理であるかが判定される(S71)。定時確認処理であれば(S71,定時確認)、定時確認処理を行なって(S72)、処理を終了する。この定時確認処理は、図10の管理通信マスタ処理のステップS61に示す待機系の状態問い合わせに対して応えるものである。
また、処理が個別処理であれば(S71,個別処理)、個別処理を行なって(S73)、処理を終了する。この個別処理は、待機系の状態を運用系と同期させるための管理通信処理と、系切り替え指示とがある。これらの処理の詳細は、後述する。
図12は、図11に示す定時確認処理(S72)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、運用系の制御部から受けた運用系の現在時刻ctimeを待機系の現在時刻ctimeにセットすることにより時計を運用系に合わせるとともに、運用系の制御部からの問い合わせに応える(S81)。
最後に、光スイッチ11aおよび集線部13aに対して待機系の制御部が正常であることを通知するとともに、光スイッチ11aおよび集線部13aの状態を問い合わせ、それを記録し(S82)、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S83)、処理を終了する。
図13は、図7に示す制御系切替(入)処理(S32)の詳細を説明するためのフローチャートである。
制御系切替(入)処理においては、運用系に移行して(S95)、ディスカバリタイマ(TD)をセットし、管理通信タイマ(TMC)をセットする(S96)。
そして、LLTij(i=1,2,…,N:j∈{OSUiのLLID})を順に調べ、LLstatが登録済であれば、タイマTLijをセットする。さらに、OAMtがNULLでなければ、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S97)、処理を終了する。
このとき、タイマTLijにセットする値は現在時刻ctimeに帯域割当周期の上限値を加えたものとし、OAM処理起動タイマTOAMijにセットする値は現在時刻ctimeにOAMmaxinterval(後述)を加えたものとする。
図14は、図7に示すメッセージ受信処理(S23)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、入力メッセージキューQinから先頭メッセージを取り出し(S101)、メッセージ種別によって分岐する(S102)。
メッセージ種別がレジスタ要求メッセージであれば(S102,レジスタ要求)、レジスタ要求処理を行なって(S103)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がレジスタ確認メッセージであれば(S102,レジスタ確認)、レジスタ確認処理を行なって(S104)、ステップS110に処理が進む。
メッセージ種別がデレジスタ要求メッセージであれば(S102,デレジスタ要求)、デレジスタ処理を行なって(S105)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がレポートメッセージであれば(S102,レポート)、レポート受信処理を行ない(S106)、帯域割当処理を行なって(S107)、ステップS110に処理が進む。
メッセージ種別がOAMメッセージであれば(S102,OAM)、OAMメッセージ処理を行なって(S108)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がOSU管理メッセージであれば(S102,OSU管理)、OSU管理メッセージ処理を行なって(S109)、ステップS110に処理が進む。
ステップS110において、入力メッセージキューQinが空か否かが判定される。入力メッセージキューが空でなければ(S110,No)、ステップS101に戻って次のメッセージを取り出し、以降の処理を行なう。また、入力メッセージキューQinが空であれば(S110,Yes)、処理を終了する。
図15は、図14に示すレジスタ要求処理(S103)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUi、MACアドレスmの宅側装置からのレジスタ要求メッセージを受けると、まず、送信元ONUが正当か否かが判定される(S111)。
送信元ONUが正当なものであれば(S111,Yes)、OSUiに対して新しいLLIDjを割り当てる。そして、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatを登録中に設定し、レポート情報RPinfoをNULLにし、往復伝播時間RTTに(T2−T1)を設定する(S112)。ここで、T1は宅側装置がメッセージに記録したタイムスタンプであり、T2はOSUiが受信時に追加したタイムスタンプである。
次に、制御部が運用系であるか否かが判定される(S113)。制御部が待機系であれば(S113,No)、そのまま処理を終了する。
また、制御部が運用系であれば(S113,Yes)、OSUiに対するレジスタメッセージ(w/Ack)を作成して、出力メッセージキューQegに入れる(S114)。
このとき、レジスタメッセージの送信先アドレスDAをmとし、LLIDをjとする。なお、(w/Ack)は、Ackが付加されたレジスタメッセージであることを示す。
次に、OSUiのLLIDjに対するゲートメッセージを作成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレジスタ確認フレームだけを送信できる量として受信ウィンドウを割り当てる(S115)。
なお、受信ウィンドウの配置は、精度誤差を考慮するとともに、レーザオン/オフのオーバラップは許容したとしても他のロジカルリンクの受信ウィンドウと重ならないようにするのは勿論であるが、当該ゲートメッセージの予定送信時刻よりも、RTTおよびONU処理時間分だけ先に配置するようにする。
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度ぶれ時間を見込んだ時刻をタイマTLijにセットし(S116)、処理を終了する。
ステップS111において、ONUが正当でない場合であって(S111,No)制御部が運用系のときには(S118,Yes)、OSUiに対するレジスタメッセージ(w/Nack)を作成して出力メッセージキューに入れる。このとき、レジスタメッセージの送信先アドレスをmとし(S117)、処理を終了する。一方、制御部が待機系であれば(S118,No)、そのまま処理を終了する。
図16は、図14に示すレジスタ確認処理(S104)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiのLLIDjからレジスタ確認メッセージを受信するものとする。まず、後述するRTT更新処理を行ない、RTT更新処理が正常に終了したか否かが判定される(S121)。RTT更新処理が正常に終了しなければ(S121,NG)、そのまま処理を終了する。
RTT更新処理が正常に終了すれば(S121,OK)、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatを登録済に設定し、レポート最新受信時刻RPtimeに現在時刻ctimeを設定する(S122)。そして、制御部が運用系であるか否かが判定される(S123)。制御部が待機系であれば(S123,No)、そのまま処理を終了する。
また、制御部が運用系であれば(S123,Yes)、OSUiのLLIDjに対するゲートメッセージを作成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。また、開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレポートフレームだけを送信できる量として受信ウィンドウを割り当てる(S124)。
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度ぶれ時間を見込んだ時刻をタイマTLijにセットし(S125)、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S126)、処理を終了する。
図17は、図14に示すデレジスタ処理(S105)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUiのLLIDjをデレジスタするものである。まず、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatをNULLにしてロジカルリンクjを解放する(S131)。次に、制御部が運用系であれば(S132,Yes)、OSUiのLLIDjに対するデレジスタメッセージを作成して出力メッセージキューQegに入れ、処理を終了する(S133)。一方、制御部が待機系であれば(S132,No)、そのまま処理を終了する。
図18は、図14に示すレポート受信処理(S106)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUiのLLIDjからレポートを受信するものである。まず、LLTijに対して、レポート最新受信時刻RPtimeを現在時刻ctimeにし(S141)、後述するRTT更新処理を行ない、RTT更新処理が正常に終了したか否かが判定される(S142)。
RTT更新処理が正常に終了すれば(S142,OK)、LLTijに対して、入力メッセージキューQinから取り出したレポート情報に含まれるONUの上りキュー長queueK_reportの合計をレポート情報RPinfoに代入して(S143)、処理を終了する。
また、RTT更新処理が正常に終了しなければ(S142,NG)、そのまま処理を終了する。
図19は、RTT更新処理の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、OSUiが受信時に追加したタイムスタンプT2から、宅側装置がメッセージに記録したタイムスタンプT1を差し引いた値を新たなRTT(newRTT)とする(S151)。そして、newRTTとRTTとの差の絶対値がドリフトの許容値DRIFTmaxを超えているか否が判定される(S152)。
ドリフトの許容値DRIFTmax以下であれば(S152,No)、LLTijに対して、RTTをnewRTTにし(S153)、RTT更新処理が正常に終了したものとして、処理を終了する。また、ドリフトの許容値DRIFTmaxを超えていれば(S152,Yes)、制御部が運用系であるか否かが判定される(S154)。
制御部が運用系であれば(S154,Yes)、図17に示すデレジスタ処理を行ない(S155)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知し(S156)、RTT更新処理が正常に終了しなかったものとして、処理を終了する。また、制御部が待機系であれば(S154,No)、RTT更新処理が正常に終了しなかったものとして、そのまま処理を終了する。
なお、OSU切り替え処理(S221)およびOSU切り戻し処理(S222)において、経路を切り替えるために必要な遷移期間を参照でき、かつ制御フレームの受信時刻がその遷移期間に該当する場合、S152において、ドリフト許容値を経路切り替えに伴うぶれを加味して大きくするか、比較を無視する(S152が常にNo)ようにしてもよい。
図20は、図14に示すOAMメッセージ処理(S108)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiのLLIDjからOAMメッセージを受信するものとする。まず、OAMメッセージがOAMリンク接続性確認メッセージの場合は、LLTijに対して、OAMtを現在時刻ctimeとし(S171)、制御部が運用系であるか否かが判定される(S172)。
制御部が運用系でなければ(S172,No)、そのまま処理を終了する。また、制御部が運用系であれば(S172,Yes)、OAMメッセージ内容に従った処理を行なって(S173)、処理を終了する。
図21は、図14に示すOSU管理メッセージ処理(S109)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiからOSU管理メッセージを受信するものとする。まず、制御部が運用系であるか否かが判定される(S211)。制御部が待機系であれば(S211,No)、そのまま処理を終了する。
制御部が運用系であれば(S211,Yes)、障害通知があったか否かが判定される(S212)。障害通知があれば(S212,Yes)、後述するOSU切り替え処理を行なって(S213)、処理を終了する。また、障害通知がなければ(S212,No)、メッセージ内容に従った処理を行なって(S214)、処理を終了する。
図22は、図7に示すOAM処理(S24)の詳細を説明するためのフローチャートである。このOAM処理は、仮想OSU(iとする)およびロジカルリンク(jとする)ごとに独立して行なわれ、対応するONUとのOAM通信によってONUの設定や状態確認を行なうものである。
まず、LLTijのOAMtがNULLであるか否かが判定される(S191)。LLTijのOAMtがNULLであれば(S191,Yes)、OAMリンクが初期状態であることを表すので、OAMループバック試験が実施され(S192)、成功したか否かが判定される(S193)。
OAMループバック試験が成功すれば(S193,Yes)、PONi、LLIDjに対応するONUを初期設定し(S194)、OSUiに対してLLIDjのPON側とアップリンク側との疎通を許可する(S195)。そして、OAMリンク接続性確認メッセージを送出し、LLIDij.OAMt=ctimeとする(S204)。そして、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S196)、処理を終了する。
また、OAMループバック試験が成功しなければ(S193,No)、デレジスタ処理を行なって(S197)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S198)、処理を終了する。
ステップS191において、LLTijのOAMtがNULLでなければ(S191,No)、現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値が、OAMmaxintervalよりも小さいか否かが判定される(S199)。このOAMmaxintervalは予め定められており、この値によってOAM通信が途絶したか否かを判定する。
現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値の方が小さければ(S199,Yes)、ONUiに対してOAMリンク接続性確認メッセージを送出し(S200)、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S201)、処理を終了する。
また、現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値の方が小さくなければ(S199,No)、デレジスタ処理を行ない(S202)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S203)、処理を終了する。
図23は、図7に示す操作IF処理(S25)の詳細を説明するためのフローチャートである。操作IFによる指示がOSU切り替え指示であれば、OSU切り替え処理を行なって(S221)、処理を終了する。
操作IFによる指示がOSU切り戻し指示であれば、OSU切り戻し処理を行って(S222)、処理を終了する。操作IFによる指示が制御系切り替え指示であれば、制御系切り替え処理を行なって(S223)、処理を終了する。また、操作IFによる指示がその他のものであれば、その指示に従った処理を行なって(S224)、処理を終了する。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置が行なう冗長切り替え動作について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る局側装置が行なう冗長切り替えは、無瞬断切替である。無瞬断切替とは、冗長切り替え時に、通信信号(フレーム)の廃棄をなくすか、あるいは通信信号の廃棄を極めて限定的にし、かつ通信信号のフレーム順序を保存することをいう。無瞬断切替は、障害時ではすでに通信信号の廃棄が発生していることから、障害時において冗長切り替えを行なう場合よりも、OSUの定期保守および予め計画されたOSUの交換作業のために冗長切り替えを行なう場合の方がより有用である。
したがって、局側装置1aが、OSUの保守時には本実施の形態に従う無瞬断切替を行ない、OSUの障害時には無瞬断ではない従来の冗長切り替えをできるかぎり迅速に行なう構成がより望ましい。なお、障害時であっても、障害を取り除いた後の切り戻し時には無瞬断切替を行なうことが望ましい。このような構成により、状況に応じた適切な冗長切り替えを行なうことができる。
図24は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置における無瞬断切り替え動作に関する概略構成を示す図である。ここでは、OSUi(i=1〜N+1)からOSUj(j=1〜N+1,i≠j)へ切り替えを行なう場合について説明する。
図24を参照して、下り方向には、集線部13aにおける下りスイッチDSWによる通信経路切り替えおよび光スイッチ11a(OSW)による通信経路切り替えが存在する。下りスイッチDSWおよび光スイッチ11aの間にOSUの下りバッファすなわちFIFO2が設けられている。
本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、下りフレームの廃棄および追い越しを防ぐために、以下の(1)〜(4)の順序で冗長切り替え処理を行なう。すなわち、(1)集線部13aにおける下りスイッチDSWの切り替えを行なう。以後の下りフレームはOSUjのFIFO2に蓄積する。(2)OSUiのFIFO2をフラッシュする、すなわちFIFO2に蓄積された下りフレームの送信を完了し、FIFO2を空にする。(3)光スイッチ11aの切り替えを行なう。(4)OSUjによる下りフレームの送信を開始する、すなわちOSUjのFIFO2に蓄積された下りフレームの送信を開始する。
PON回線および光スイッチ11aでは下り通信信号および上り通信信号が波長多重されている。したがって、光スイッチ11aは、下りの通信経路および上りの通信経路を同時に切り替える。
ここで、上り方向については、上記冗長切り替え処理(3)の切り替え期間において、ONUからの上りフレームが局側装置に到着しないように、制御部14が後述する帯域割当処理においてギャップを設定する。
図25は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置における下り制御フレームの送信に関する概略構成を示す図である。
図25を参照して、OSU IF部55は、送信制御部61と、OSU変換部62と、OSU振分け部63とを含む。
共有RAM56においては、CPU51から送られた制御メッセージが、仮想OSU毎にキューイングされている。OSU変換部62は、共有RAM56から制御メッセージを受け取り、制御メッセージに記された仮想OSUを実OSUに変換すなわちOSU変換した上で、OSU振分け部63に送る。そして、OSU振分け部63は、OSU変換部62から受けた制御メッセージを実OSUへ送る。
送信制御部61は、共有RAM内にキューイングされた制御メッセージの読み出しを制御する。また、送信制御部61は、CPU51の指示により、キュー読出しの一時停止ならびにOSU変換の設定および変更を行なう。これらのタイミングについては後述する。
図26は、図23に示すOSU切り替え処理(S221)の詳細を説明するためのフローチャートである。
図26を参照して、まず、制御部14は、OSUjの下りフレームの送信を停止させるとともに、OSUjのFIFO2をクリアする(S230)。
次に、制御部14は、集線部13aに対して下りスイッチDSWをOSUi側からOSUj側に切り替えるよう指示する。(S231)。
ステップS231の内容を図4を参照して詳細に説明する。下りスイッチDSWの切り替え前において、フィルタ部iおよびjのパス設定は、それぞれ”接続”および”切断”になっている。集線部13aの下りスイッチDSWの切り替え処理においては、まず、フィルタ部jの設定をフィルタ部iの設定と同じにする。そして、フィルタ部iおよびjのパス設定をそれぞれ”切断”および”接続”に同時に変更する、すなわち下りフレーム列における同じフレーム間ギャップにおいて各パス設定を変更する。
次に、制御部14は、OSUiのFIFO2が空になる時刻TFを予測する。また、制御部14は、後述する図27に示す帯域割当処理において算出した上りバーストの割当最終時刻TEiを参照する。そして、制御部14は、max{TF,TEi,ctimeP}すなわち時刻TF、時刻TEiおよび時刻ctimePの遅い方の時刻後に光スイッチOSW切替期間P1を設ける。制御部14は、この期間P1を切り替え対象を表わす仮想OSUの識別子iと結び付けて、帯域割当処理と共有する、すなわち帯域割当処理において期間P1および識別子iを参照可能とする(S232)。ここで、時刻ctimePは、現在時刻ctimeにOSU切り替え処理による遅延時間を加えた時刻である。また、光スイッチOSW切替期間は、光スイッチ11aが通信経路の切り替えを開始してから完了するまでの切り替え遷移期間にONUでの受信オーバーヘッド時間を加えたものである。ここで、ONUでの受信オーバーヘッド時間とは、ONUにおいて、光信号の瞬断に起因する、光受信部が再び安定するまでの時間とデータ再生回路の再同期時間とを加えたものである。なお、期間P1を下り方向および上り方向で区別して、上り方向の期間P1は光スイッチ11aの切り替え遷移期間のみとしてもよい。
次に、制御部14は、OSU IF部55に対し、OSU変換の仮想OSUiに関する設定をOSUmap(i)=iからOSUmap(i)=jへ期間P1において変更することを指示する(S233)。すなわち、出力メッセージキューQegから受けた下り制御メッセージに記された宛先OSUを、OSUiからOSUjへ変更する。また、OSU IF部55は、期間P1において、仮想OSUiに対応する出力メッセージキューQegからの制御メッセージの取り出しを一時停止する。これにより、期間P1を境に制御フレームの通信経路がOSUi経由からOSUj経由に切り替えられる。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の開始時刻になると、光スイッチ11aに対してOSUi側からOSUj側へ切り替えるよう指示する(S234)。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の終了時刻になると、OSUjに対して下りフレームの送信を開始するように指示する。また、送信制御部61は、制御部14からの制御メッセージすなわち制御フレームのOSUへの出力を再開する(S235)。
次に、制御部14は、待機系の制御部にOSUiからOSUjへの切り替えを通知して、処理を終了する(S236)。
なお、上り方向については、OSUiの通信期間およびOSUjの通信期間は期間P1を挟んで排他的に割り当てられるため、図4の詳細説明に従えば、OSUiの上り通信経路およびOSUjの上り通信経路を集線部13aにおいて単純に合流させることになる。
図27は、図14に示す帯域割当処理(S107)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUiのLLIDjに帯域を割り当てるものである。まず、LLTijのレポート情報RPinfo(ONUの上りキュー長)にレポートフレーム送出に必要な時間REPORT_lengthを加えてLenとし、レーザオン期間Tonに同期期間Syncを加えてオーバヘッド時間OVLとする。そして、Len、OVLおよびレーザオフ期間Toffの和と、グラント長の上限値GLmaxとの小さい方の値をGLとする。
また、OSUiの最終割当時刻TEiとバーストギャップburst_gapとの和をTSiとし、現在時刻ctimeとRTTと宅側装置の処理時間proc_timeとの和をTScとする。そして、TSiおよびTScの中で最も遅い時刻をTSとする(S162)。
次に、TS〜TS+GLの期間、すなわち時刻TSからGL経過までの期間が、OSU切り替え処理(S221)において求めた光スイッチOSW切替期間P1と重なる場合には、時刻TSを光スイッチOSW切替期間P1の後の時刻に変更する(S163)。ここで、切替期間P1に結び付けられた識別子がiと異なる、すなわち切り替え対象のOSUに対応する識別子と異なる場合には、切替期間P1は設定されない。
次に、OSUiのLLIDjに対するゲートメッセージを作成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。また、開始時刻はTSからRTTを差し引いた値とし、グラント長はGLとして受信ウィンドウを割り当てる(S164)。
そして、TSにGLを加算した値からToffを差し引いた値を最終割当時刻TEiとし(S165)、TEiにある程度ぶれを見込んだ時刻にタイマTLijをセットして(S166)、処理を終了する。
なお、上記Lenの算出過程においては、誤り訂正のためのパリティデータ分を加えるようにしてもよい。
さらに、帯域割当処理は、同じアップリンクに集線される仮想OSUを連携させて行なうようにしてもよい。特に、アップリンクの上り帯域割当に基づいて、仮想OSUが出力する上りフレームが集線部を滞留せずに通過できるように、各PON回線の帯域割当を行なうようにすれば、集線部のFIFOの量は少なくてもよく、ユーザフレームが局側装置を通過する時間を短縮することができる。
図28は、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置における無瞬断切り替え動作のタイミング関係を示す図である。
図28を参照して、OSUiのFIFO2が空になる時刻TFにおいて下りユーザフレームの送信が停止している。ONUからの上りバーストの最終到着時刻TEiが時刻TFより後であるため、光スイッチOSW切替期間P1は時刻TEiの後に設けられている(S232)。
そして、時刻TSは、TS〜TS+GLの期間が期間P1に重ならないように設定されている(S163)。また、下りフレームの送信は、期間P1の後に再開されている。
本発明の第1の実施の形態に係る局側装置において、OSU切り替え処理とOSU切り戻し処理とに本質的な差はない。すなわち、OSU切り戻し処理の詳細内容は図26に示したフローチャートにおいてOSUiとOSUjとの関係を入れ替えたものと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図29は、図23に示す制御系切替(切)処理(S223)の詳細を説明するためのフ
ローチャートである。まず、他系(待機系)の制御部に系切り替え指示を行ない(S251)、待機系に移行する(S252)。そして、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S253)、処理を終了する。
ここで、本実施の形態に係る光スイッチ11aにより、切替期間P1においても切り替え対象以外の通信経路では正常な通信が可能である。しかしながら、切替期間P1においてすべての通信経路の通信が不安定になることを許容すれば、光スイッチの構造を簡略化して経済化を図ることができる。このような光スイッチを使用する場合においても、以下のように動作を変更すれば、無瞬断切替が可能である。
すなわち、図26に示すOSU切替え処理のステップS232において、切替期間P1の設定をmax{TF、TEk}(k=1、2、・・・、N)とし、図27に示す帯域割当処理のステップS163において、切替期間P1は識別子がiであるか否かに関わらず、すなわち切り替え対象のOSUに対応する識別子であるか否かに関わらず有効とする。また、OSU IF部55は、期間P1において、すべての出力メッセージキューQegからの制御メッセージの取り出しを一時停止するとともに、OSU12−1〜Nに対して、期間P1において下り通信を一時停止するよう指示する。各OSU12は当該指示を受けると、期間P1においてFIFO2(38)の読み出しおよび送信を一時停止する。
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、まず、切り替え元のOSUiが下り通信信号の光スイッチ11aへの出力を停止する。次に、切り替え元のOSUiから受けた下り通信信号をPON回線へ出力する通信経路から、切り替え先のOSUjから受けた下り通信信号をPON回線へ出力する通信経路への切り替えを光スイッチ11aが開始してから完了するまでの切り替え遷移期間中、光スイッチ11aが複数のONUから上り通信信号を受信しないように、制御部14が光スイッチ11aの切り替えタイミングおよび複数のONUの送信タイミングを設定する。次に、光スイッチ11aが、設定された切り替えタイミングに基づいて通信経路の切り替えを行なう。次に、切り替え先のOSUjが下り通信信号の光スイッチ11aへの出力を開始する。
このような構成により、光スイッチにおいて、上り方向の通信信号が廃棄されることを防ぐことができ、かつ下り方向の通信信号が廃棄されることを防ぐことができる。したがって、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、冗長構成を有する通信システムにおいて、冗長切り替えを実施する際の通信の瞬断を防ぐことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、光スイッチ11aがOSUiからOSUjへの通信経路を切り替える前に、集線部13aが、下り通信信号の出力先を切り替え元のOSUiから切り替え先のOSUjに切り替える。そして、制御部14は、切り替え元のOSUiが自己のFIFO2に蓄積された下り通信信号の送信を完了するタイミングを予測する。制御部14は、予測したタイミングより後であって切り替え遷移期間より長く、かつ複数のONUが上り通信信号の送信を停止するギャップ期間を設定し、切り替え遷移期間がギャップ期間に含まれるように光スイッチ11aの切り替えタイミングを設定する。
すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置の冗長切り替え方法は、FIFO2の容量が小さいためにフラッシュ時間が短い場合であってフラッシュ時間の予測が可能なときに好適である。たとえば、下りバッファすなわちFIFO2の最大容量をPON回線の下り帯域で割った時間がフラッシュ時間の上限の目安となる。このような構成により、下りバッファすなわちFIFO2の容量が小さい場合において、無瞬断冗長切り替えを迅速に行なうことができる。また、光スイッチの切り替えに要する期間の長さに応じて、ギャップ期間を柔軟に設定することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、制御部14がOSU1〜OSU N+1(12−1〜12−N+1)の制御を一括して行なう。これにより、局側装置のコストを削減することが可能となる。なお、MPCPフレームの送受信タイミングは許容範囲が大きいので、送受信タイミングが多少ぶれても問題とはならない。したがって、MPCPフレームの終端を1つの制御部で行なったとしても、特に問題とはならない。
また、制御部14はONUの登録状態を維持したまま、通信経路を変更するだけでOSUの冗長切り替えを行なう。これにより、冗長切り替えが迅速に行なえるとともに、OSUの異常に影響を受けることがなくなる。
また、N個のOSUに対して1個の予備(待機系)OSUを用意するだけで冗長切り替えを行なえるため、経済性を大きく損なうことなく耐障害性能を向上させることが可能となる。
また、まず運用系OSUから予備OSUへの冗長切り替えを無瞬断で行い、つぎに運用系OSUを交換し、最後に予備OSUから交換後の運用系OSUへの冗長切り戻しを無瞬断で行なうことによって、ユーザへのサービスに影響を与えることなくOSUの交換ができるため、ネットワークの保守性を向上させることが可能となる。
本実施の形態において、OSUは、EPONおよび10GEPONが共存するシステムに対応する構成であってもよい。すなわち、局側装置は、同一のPON回線を介して、EPONのONUおよび10GEPONのONUに接続される。
上りおよび下りとも波長多重を行なうことによって上記2つのPONを共存させる場合、OSUの冗長切り替えは、2個のOSUを2個の待機系OSUへ並行して切り替えることに等しい。この場合、上記2つのPONについて個別に求めた切り替え期間のうち、遅い方を切り替え期間として選択すればよい。
また、上りにおいて時分割多重を行ない、下りにおいて波長多重を行なうことによって上記2つのPONを共存させる場合は、OSU12において、FIFO2(38)および送信距離部34をEPON用および10GEPON用で2系統設ける。そして、PON送受信部35が、EPON用の送信処理部からの電気信号と10GEPON用の送信処理部からの電気信号とを異なる波長の光信号に変換する。また、PON送受信部35および受信処理部33はバースト毎にレートが異なるデュアルレート信号を受信可能である。下り信号の切り替え可能期間について、EPON用および10GEPON用の2つのFIFO2が空になる時刻を個別に求めたもののうち、遅い方を切り替え期間として選択すればよい。上り信号は時分割多重されているので、上り信号の切り替え可能期間はEPONおよび10GEPONで同じである。なお、制御部14は、制御フレームをいずれの系から受信したかを判別し、かついずれの系に制御フレームを送信するかを選択する。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る局側装置と比べて冗長切り替えタイミングの設定方法を変更した局側装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る局側装置と同様である。
本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、本発明の第1の実施の形態に係る局側装置と異なり、制御部14は、OSUiのFIFO2が空になる時刻TFを予測するのではなく、OSUiからFIFO2が空になった旨のフラッシュ完了通知を受ける。
そして、制御部14は、フラッシュ完了通知を受けてから、光スイッチ切替用の上り方向のギャップを割り当てる。
このような構成により、下りバッファすなわちFIFO2の最大容量が大きい場合など、フラッシュ時間の上限を予測したのでは効率的でない場合においても、無瞬断冗長切り替えを迅速に行なうことができる。また、光スイッチの切り替えに要する期間の長さに応じて、ギャップ期間を柔軟に設定することができる。
しかしながら、このギャップ割り当てに必要となる局側装置およびONU間の通信処理を考えると、このギャップは少なくとも局側装置およびONU間の往復時間後に設けられることから、下り方向の通信停止時間が長くなってしまう。
そこで、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、制御部14は、上り帯域割当処理において、間欠的に発生する光スイッチ切替用ギャップを予め設定する。そして、制御部14は、フラッシュ完了通知を受けると、たとえば受けた時刻後の最初の光スイッチ切替用ギャップにおいて光スイッチ11aの切り替えを行なう。
図30は、図23に示すOSU切り替え処理(S221)の詳細を説明するためのフローチャートである。図30におけるステップS260,S261,S264〜S267は、図26に示すフローチャートのステップS230,S231,S233〜S236と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
図30を参照して、ステップS261の処理後、制御部14は、OSU切り替えギャップ要求フラグを1に設定する。また、制御部14は、次ギャップインターバルを現在時刻に設定し、帯域割当処理と共有する、すなわち帯域割当処理において次ギャップインターバルを参照可能とする(S262)。
次に、制御部14は、フラッシュ完了通知をOSUiから受けて、受けた時刻にOSU切替え処理による遅延時間を加えた時刻以降の最初の光スイッチ切替用ギャップにおいて光スイッチOSW切替期間Pkを設ける。また、制御部14は、OSU切り替えギャップ要求フラグを0に設定する(S263)。
図31は、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置における帯域割当処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図27におけるステップS163の代わりとなる図31におけるステップS273以外は図27に示すフローチャートと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
制御部14は、ギャップ要求フラグが1であり、かつ現在時刻が次ギャップインターバルを経過している場合には、TS=TS+ΔOSWとする。そして、制御部14は、TS−ΔOSWを光スイッチ切替用ギャップの開始時刻として記録するとともに、次ギャップインターバルを設定する(S273)。ここで、光スイッチ切替用ギャップの開始時刻は、たとえばリングバッファ上に時系列的に記録される。なお、現在時刻より前の開始時刻は無効であり、上書きしてよい。
ここで、ΔOSWは、光スイッチ11aが通信経路の切り替えを開始してから完了するまでの切り替え遷移時間として設定される時間である。冗長切り替え時における通信信号の廃棄および追い越しをなくしたとしても、通信信号の停止期間が長すぎると無瞬断とはいえない。停止期間の目安はアプリケーションに依存するが、電話およびビデオの場合、数100msが上限となる。ΔOSWが停止許容期間以内に収まる光スイッチ11aを使用する必要がある。
図32は、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置における無瞬断切り替え動作のタイミング関係を示す図である。
図32を参照して、OSUiのFIFO2が空になる時刻TFにおいて下りフレームの送信が停止している。ここでは、制御部14が時刻TFにおいてフラッシュ完了通知をOSUiから受けたと仮定して説明する。
制御部14は、時刻TF後の最初の光スイッチ切り替え用ギャップGkにおいて光スイッチOSW切替期間Pkを設ける。光スイッチ切り替え用ギャップGkの開始時刻はTS−ΔOSWに設定されており、終了時刻はTSに設定されている。ここでは、ΔOSWは、余裕を持たせるために光スイッチOSW切替期間Pkより長く設定されている。
ここで、前述のように、制御部14が、フラッシュ完了通知をOSUiから受けた後、光スイッチ切替用の上り方向のギャップを割り当てる場合を考える。この場合、時刻TFにおいて局側装置からONUへギャップ割り当てが指示され、ONUにおける処理時間TPを経過した後、ギャップGkDが生成される。局側装置におけるギャップGkDの開始時刻はTGとなり、光スイッチ11aの切り替えタイミングは時刻TG以降になってしまう。
これに対して、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置のように制御部14が複数の光スイッチ切り替え用ギャップを設ける構成では、時刻TGより前の光スイッチ切り替え用ギャップGkにおいて光スイッチ11aの切り替えを行なうことができるため、より迅速に冗長切り替えを行なうことができる。
このように、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、下りバッファすなわちFIFO2の容量が大きい場合においても、無瞬断冗長切り替えをさらに迅速に行なうことができる。また、下り方向の通信停止時間が長くなることを防ぐことができる。また、光スイッチの切り替えに要する期間の長さに応じて、ギャップ期間を柔軟に設定することができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、制御部14は、フラッシュ完了通知を受けると、受けた時刻後の最初の光スイッチ切替用ギャップにおいて光スイッチ11aの切り替えを行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部14が、フラッシュ完了通知を受けると、受けた時刻後の2番目、3番目の光スイッチ切替用ギャップ等、所定期間設定された複数の光スイッチ切替用ギャップのうち、フラッシュ完了通知を受けた後のいずれかの光スイッチ切替用ギャップにおいて光スイッチ11aの切り替えを行なう構成であっても、迅速に冗長切り替えを行なうことが可能である。
図33は、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置における帯域割当処理の変形例の詳細を説明するためのフローチャートである。図31におけるステップS273の代わりとなる図33におけるステップS274以外は図31に示すフローチャートと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
本発明の第2の実施の形態に係る局側装置では、上り帯域割当において、光スイッチ切替用ギャップを専用に設けている。しかしながら、ΔOSWが小さい場合にはバーストギャップ期間において光スイッチを切り替えてもよい。ここで、バーストギャップ期間とは、複数のONUが局側装置へ上り通信信号を排他的に送信する各期間の間に設けられた、複数のONUが局側装置へ上り通信信号を送信しない期間である。
図33を参照して、制御部14は、バーストギャップ期間において光スイッチ切り替え期間Pkを設定する。すなわち、制御部14は、TS−ΔOSWを光スイッチ切替用ギャップの開始時刻として記録する(S274)。
図34は、本発明の第2の実施の形態に係る局側装置におけるディスカバリ処理の変形例の詳細を説明するためのフローチャートである。図8におけるステップS41の代わりとなる図34におけるステップS275以外は図8に示すフローチャートと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
ΔOSWが大きい場合にはディスカバリ期間において光スイッチを切り替えてもよい。ここで、ディスカバリ期間とは、局側装置との通信を希望する新たなONUが局側装置へ上り通信信号を送信する期間である。
図34を参照して、まず、制御部14は、OSUk(k=1,2,…,N)に対するディスカバリゲートメッセージを順次作成し、出力メッセージキューQegに入れる。このとき、開始時刻はTEkまたは現在時刻の遅い方を基準とする。そして、制御部14は、この開始時刻を光スイッチ切替用ギャップの開始時刻として設定する(S275)。
なお、ディスカバリ処理の頻度は、通常、たとえば1秒に1回と多くないことから、障害時よりはOSUの定期保守および予め計画されたOSUの交換作業においてディスカバリ期間を利用することが好ましい。
図33および図34に示す変形例では、ΔOSWがこれらの期間以下となるような光スイッチ11aを使用する必要がある。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術およびシリコンフォトニクス技術を用いれば、ΔOSWを10nsオーダとすることが十分可能である。
このように、既存のバーストギャップ期間またはディスカバリ期間において光スイッチを切り替える構成により、冗長切り替えのために上り方向の帯域を別途割り当てる必要がなくなり、上り方向の帯域効率を高めることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る局側装置と比べて運用系のOSUおよび待機系のOSUを互いに異なる構成とした局側装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る局側装置と同様である。
図35は、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置における予備系OSUの構成例を示すブロック図である。
図35を参照して、予備系OSUjは、図3に示すOSU12と比べて、記憶部72をさらに含み、また、ローカル制御部36の代わりにローカル制御部81を含む。ローカル制御部81は、保守管理部71を含む。
保守管理部71は、局側装置における種々の保守管理を行なう。たとえば、機能追加あるいは不具合の未然解決のために、図26に示すようなOSUiからOSUjへの冗長切り替えを行なった後、OSUiを局側装置から取り外して交換する。このとき、OSUjは、OSUiの代わりにONUと通信を行なうとともに、保守管理部71によって必要な保守管理を行なう。
記憶部72は、たとえばフラッシュメモリであり、ローカル制御部81によってアクセスされ、ONUのファームウェアすなわちONUが実行するためのプログラムを記憶する。保守管理部71は、記憶部72に記憶されているプログラムをONUへダウンロードする。
ONUを始め、一般にプログラマブルな構造を有する端末装置に対して、局側装置から当該プログラムすなわちファームウェアを更新できるネットワークシステムが知られている。
PONにおいては、OAMリンクを利用してプログラムデータを局側装置からONUへダウンロードする。このように、端末装置を交換することなく、また、ユーザに手間をかけることなく、プログラムミスが原因である不具合の改修、および端末装置の機能追加が可能となる。これにより、ネットワークシステムの保守性を著しく高めることができる。
本発明の第3の実施の形態に係る局側装置では、ONUのファームウェア更新機能をOSUjのみが有している。OSUi配下のONUのファームウェアを更新したい場合には、OSUiからOSUjへの冗長切り替えを行なった後、OSUjがONUのファームウェアを更新する。そして、OSUjからOSUiへの冗長切り替えを行ない、OSUiに切戻す。
また、別の保守管理機能として、OSUjにおけるPON送受信部35が、光受信信号の品質モニタ機能を有していてもよい。光受信信号の品質としては、パワー、波長、消光比、ジッタ偏差および誤り率等がある。また、制御部14は、PON送受信部35がモニタした結果を継続的に受けて、経時的な変化もモニタする構成であってもよい。
本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る局側装置では、運用系のOSUi(i=1,2,・・・,N)と冗長系のOSUj(j=N+1)は同じ構成を有することを想定していた。しかしながら、本発明の第3の実施の形態に係る局側装置のように、運用系のOSUおよび冗長系のOSUを差別化することにより、局側装置全体としてのコストを低減することが可能である。すなわち、保守管理系の機能をOSUjに集中配備する一方で、他のOSUiを単純な機能に限定することにより、全体コストを低減することができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第4の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る局側装置と比べて集線部および制御部を二重化した局側装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る局側装置と同様である。
図36は、本発明の第4の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
この局側装置1bは、1系の集線部13a−1、2系の集線部13a−2、1系の制御部14−1および2系の制御部14−2を含む。
図37は、本発明の第4の実施の形態における光スイッチ11bの構成例を示す図である。この光スイッチ11bは、図2に示す第1の実施の形態における光スイッチ11aと比較して、系選択部25が追加されている点のみが異なる。この系選択部25は、1系の制御部14−1からの制御信号と2系の制御部14−2からの制御信号とのいずれかを選択するものである。
系選択部25は、1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断し、運用系となっている制御部からの制御信号をアクチュエータ21に出力する。
図3に示すOSU12の制御IF部32は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。制御IF部32は、このインタフェースを介して1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断する。そして、制御IF部32は、運用系の制御部からの信号のみを処理する一方、両方の制御部に同じ信号を出力する。
同様に、集線IF部31は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。集線部IF31は、上りフレームを集線部13a−1および13a−2の両系統に出力し、両系統から送られた下りフレームをFIFO2(38)に出力する。なお、待機系の集線部から下りフレームが送られることはないので、衝突はしない。また、集線部の異常に備えて、待機系からの入力信号を遮断するようにしてもよい。この場合、制御部14−1または14−2が、制御IF部32を介して系選択を行なう。
図4に示す集線部13aの制御IF部44は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。制御IF部32は、このインタフェースを介して1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断する。そして、制御IF部44は、運用系の制御部からの信号のみを処理する一方、両方の制御部に同じ信号を出力する。
集線部が二重系となっている場合、パスの選択はフィルタ部46aでのパス接続/パス切断の設定に反映される。運用系の制御部が、制御IF部44を介してこの指示を行なう。たとえば、集線部が1:1冗長化に対応する場合、待機系の集線部については、すべてのフィルタ部の上りパスおよび下りパスをともに切断に設定すればよい。また、1+1冗長化に対応する場合、待機系の集線部については、すべてのフィルタ部の下りパスを切断に設定すればよい。
図5に示す制御部14のIO制御部54は、他方の制御部のIO制御部とインタフェースできるようになっている。CPU51は、IO制御部54を介して他系のCPUと管理通信を行ない、運用系となるか、待機系となるかを自律的に判断している。また、操作IFから明示的に運用系/待機系が指示される場合もある。局側装置の各部からの信号は両系統に入力されるので、待機系であっても局側装置内の状態変化やPON回線の状態をトレースすることができる。
集線部の冗長化によって、1:1冗長化、1+1冗長化、負荷分散が可能である。ここで、負荷分散とは、OSUを2つのグループ(AグループおよびBグループ)に分け、通常時は1系の集線部13a−1がグループAを集線し、2系の制御部14−2がグループBを集線する。そして、たとえば1系の集線部13a−1またはアップリンクに障害が発生した場合、2系の集線部13a−2が両グループを集線するように切り替えるものである。1:1冗長化または負荷分散を行なう場合、集線部13aのアップリンク送受信部41は、アップリンクを介して管理通信を行ない、アップリンクの状態を監視するとともに、対向装置からの障害通知を受信して、異常があった場合は対応した警報を制御部14に通知する。
制御部14は、運用系の集線部の異常を認識すると、他系の集線部が正常である場合、他系に切り替える。この切り替えは、冗長構成(1:1、1+1、負荷分散)に応じて、集線部13aのフィルタ部46aのパス設定を変更することによって行なわれる。なお、負荷分散の場合には、制御部14が操作IFを介して外部からの指示を受け、集線部13aのフィルタ部46aのパス設定を変更することによって、負荷分散状態時に復旧させる。
制御部14の切り替えを行なう際に、帯域割当の引継ぎが行なわれるが、過去の割当分を含めて厳密に引継ぐ運用と、過去分は引継がずに新規に帯域計算を行なう運用とがある。前者の場合、運用系の制御部は、待機系の制御部に各PON回線に送信した制御メッセージを、どのOSUに対して送信したかを含めて通知するようにする。
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態に係る局側装置によれば、第1の実施の形態に係る局側装置の制御部および集線部を冗長化するようにしたので、第1の実施の形態において説明した効果に加えて、経済性を大きく損なうことなく、さらに耐障害性能を向上させることが可能となった。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第5の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る局側装置と比べて各PON回線を二重化したPONシステムにおける局側装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る局側装置と同様である。
本発明の第1の実施の形態に係る局側装置では、切り替え元のOSUiから受けた下り通信信号をPON回線へ出力する通信経路から、切り替え先のOSUjから受けた下り通信信号をPON回線へ出力する通信経路への切り替えを光スイッチ11aが行なう際、上記切り替え前後でPON回線は同じであることを前提としているが、このような構成に限定されるものではない。たとえば、PONシステムにおいてPON回線が二重化されており、切り替え元のOSUiから受けた下り通信信号を運用系のPON回線へ出力する通信経路から、切り替え先のOSUjから受けた下り通信信号を待機系のPON回線へ出力する通信経路への切り替えを光スイッチ11aが行なう場合であっても、本実施の形態に係る冗長切り替えを適用することが可能である。
図38は、本発明の第5の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
図38を参照して、PONシステム302では、PON回線i(i=1、2、・・・、N)が二重化されている(以下、PON回線iがA系のPON回線iAおよびB系のPON回線iBを含むものとする)。PONシステム302は、局側装置1cと、光ファイバである(2×N)本のPON回線1A〜NA(3−1A〜3−NA)および1B〜NB(3−1B〜3−NB)と、(2×N)個の光カプラ4−1A〜4−NAおよび4−1B〜4−NBと、複数の宅側装置(ONU)2とを備える。局側装置1cは、光スイッチ部11cと、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、集線部13aと、局側装置1cの全体的な制御を行なう制御部14とを含む。Nは2以上の整数である。
局側装置1cは、(2×N)本のPON回線1A〜NAおよび1B〜NBに接続され、この(2×N)本のPON回線を終端する。PON回線1A〜NAおよび1B〜NBは、光カプラ4−1A〜4−NAおよび4−1B〜4−NBにそれぞれ接続されており、これらの光カプラを介して複数のONU2に接続されている。PON回線iAおよびiBは、光カプラ4−iAおよび4−iBを介してそれぞれ共通の複数のONU2に接続されている。
図39は、本発明の第5の実施の形態における光スイッチ部の概略構成を示すブロック図である。図40は、本発明の第5の実施の形態に係る局側装置における無瞬断切り替え動作に関する概略構成を示す図である。
図39および図40を参照して、光スイッチ部11cは、PON回線i(i=1、2、・・・、N)の二重化に対応して、PON回線iAおよびPON回線iBに対する2つのインタフェースを備える。すなわち、光スイッチ部11cは、N:1光スイッチOSWnと、2:1光スイッチOSW2i(i=1、2、・・・、N)とを含む。
N:1光スイッチOSWnは、本発明の第1の実施の形態に係る光スイッチ11aと同じ構成である。本実施の形態においては、N:1光スイッチOSWnのPON回線側にさらに2:1光スイッチOSW2i(i=1、2、・・・、N)がPON回線ごとに接続されている。すなわち、N:1光スイッチがOSUの冗長切替を行い、2:1光スイッチがPON回線の冗長切替を行なう。なお、2:1光スイッチの構成は、図2においてN=1とした場合の光スイッチと同じであるが、図2の紙面左右の向きが逆になる。
すなわち、N:1光スイッチOSWnは、制御部14からの指示に従い、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、N個の2:1光スイッチOSW2iとの間の通信経路を切り替える。
2:1光スイッチOSW2iは、制御部14からの指示に従い、N:1光スイッチOSWnと、PON回線iAおよびiBとの間の通信経路を切り替える。
PONシステム302におけるONU2は、A系およびB系のPON回線に接続される。ONU2は、下り方向については、A系およびB系のPON回線のうち有効な下りフレームが送信されてくる方の系を選択する。ONU2は、上り方向については、A系およびB系のPON回線のいずれか一方へ上りフレームを送信する1:1冗長モードと、両系に同じ上りフレームを送信する1+1冗長モードのいずれかで動作する。そして、ONU2が1:1冗長モードで動作する場合において、さらに、ONU2は、上り方向の系の選択に関し、有効な下りフレームが送信されてくる方の系を選択する1:1自律冗長モード、およびOAMメッセージ等による局側装置からの明示的な指示に従い系を選択する1:1従属冗長モードのいずれかで動作する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、同一のPON回線に接続されているONU2間では、これらの動作モードが統一されているものと想定する。
図41は、本発明の第5の実施の形態に係る局側装置における切り替え処理の詳細を説明するためのフローチャートである。本発明の第5の実施の形態に係る局側装置では、本発明の第1の実施の形態における図21のOSU切替え処理(S213)および図23のOSU切替え処理(S221)が、図41に示す切り替え処理に置き換わる。
図41を参照して、制御部14は、計画保守すなわちOSUまたはPON回線の定期保守および予め計画されたOSUまたはPON回線の交換作業を目的として切り替え処理の実行が指示された場合であって(S301でYES)OSUの保守が目的であるときには(S302でYES)、OSU切り替え処理を行なって(S305)、処理を終了する。このOSU切り替え処理は、図26に示すOSU切り替え処理と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
また、制御部14は、PON回線の保守が目的であるときには(S301でYES、S302でNO、S303でYES)、PON回線切り替え処理を行なって(S306)、処理を終了する。
また、障害発生によって切り替え処理の実行が指示された場合には(S301でNO)、瞬時切り替え処理を行なって(S304)、処理を終了する。
計画保守時においては、OSUの冗長切り替えと、PON回線の冗長切り替えとは独立して考えればよい。すなわち、OSUを保守したい場合はOSUのみの冗長切り替えを行ない、PON回線を保守したい場合はPON回線のみの冗長切り替えを行なう。しかしながら、障害発生時には、通常、OSUおよびPON回線のいずれに障害があるのかすぐには特定できないことから、OSUの冗長切り替えとPON回線の冗長切り替えとを並行して行なうことが合理的である。
図42は、図41に示す瞬時切り替え処理(S304)の詳細を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部14は、光スイッチOSWおよびOSW2iをともに切り替える(S311)。すなわち、制御部14は、光スイッチOSWを切り替えることにより、たとえばOSUiからOSUjへの冗長切り替えを行なう。また、これと並行して、制御部14は、光スイッチOSW2iを切り替えることにより、たとえばPON回線iAからPON回線iBへの冗長切り替えを行なう。このPON回線の切り替え処理の詳細については後述する。
次に、制御部14は、ONU2が1:1従属冗長モードで動作している場合には、PON回線iに接続されているONU2に対し、OAMメッセージを用いてPON回線i経由で系切り替え指示をブロードキャストする(S312)。
次に、制御部14は、待機系の制御部にOSUiからOSUjへの切り替えおよびPON回線iAからPON回線iBへの切り替えを通知して、処理を終了する(S313)。
図43は、図41に示すPON回線切り替え処理(S306)の詳細を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部14は、図27に示す帯域割当処理において算出したPON回線iに対する上りバーストの割当最終時刻TEiを参照する。そして、制御部14は、max{ctimeP,TEi}すなわち時刻ctimePおよび時刻TEiの遅い方の時刻後に光スイッチOSW2iの切替期間P1を設ける。制御部14は、この期間P1を切り替え対象を表わす仮想OSUの識別子iと結び付けて、帯域割当処理と共有する、すなわち帯域割当処理において期間P1および識別子iを参照可能とする(S321)。ここで、時刻ctimePは、現在時刻ctimeにPON回線切り替え処理による遅延時間を加えた時刻である。また、光スイッチOSW2iの切替期間は、光スイッチOSW2iが通信経路の切り替えを開始してから完了するまでの切り替え遷移期間にONUでの受信オーバーヘッド時間を加えたものである。このONUでの受信オーバーヘッド時間とは、ONUにおいて、光信号の瞬断に起因する、光受信部が再び安定するまでの時間とデータ再生回路の再同期時間とを加えたものである。
次に、制御部14は、OSU IF部55に対し、OSU変換の仮想OSUiに関する設定をOSUmap(i)=iからOSUmap(i)=iへ期間P1において変更することを指示する(S322)。すなわち、出力メッセージキューQegから受けた下り制御メッセージに記された宛先OSUを、OSUiからOSUiへ変更する。また、OSU IF部55は、期間P1において、仮想OSUiに対応する出力メッセージキューQegからの制御メッセージの取り出しを一時停止する。すなわち、制御部14は、OSU変換は実質的には行なわないが、期間P1における制御メッセージの送信を停止する。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の開始時刻になると、OSUiの下りフレームの送信を停止するよう指示するとともに、光スイッチOSW2iに対してたとえばPON回線iA側からPON回線iB側へ切り替えるよう指示する(S323)。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の終了時刻になると、OSUiに対して下りフレームの送信を開始するように指示する(S324)。
次に、制御部14は、ONU2が1:1従属冗長モードで動作している場合には、PON回線iに接続されているONU2に対し、OAMメッセージを用いてPON回線i経由で系切り替え指示をブロードキャストする(S325)。
次に、制御部14は、待機系の制御部にたとえばPON回線iA側からPON回線iB側への切り替えを通知して、処理を終了する(S326)。
以上説明したように、本発明の第5の実施の形態に係る通信制御方法は、二重以上に冗長化された受動的光ネットワークを終端する光回線ユニットと、この冗長化された受動的光ネットワークと光回線ユニットとの間の通信経路を切り替える光スイッチと、光スイッチの切り替えおよび受動的光ネットワークに接続された複数の宅側装置による上り通信信号の送信を制御する制御部とを備え、光回線ユニットは、下り通信信号を光スイッチ経由で複数の宅側装置へ送信し、かつ複数の宅側装置からの上り通信信号を光スイッチ経由で受信する局側装置における通信制御方法であって、光スイッチが通信経路の切り替えを行なう切り替え遷移期間中、光スイッチが複数の宅側装置から上り通信信号を受信しないように、制御部が光スイッチの切り替えタイミングおよび複数の宅側装置の送信タイミングを設定するステップと、制御部が設定した光スイッチの切り替えタイミングに先立ち、光回線ユニットが下り通信信号の光スイッチへの出力を停止するステップと、光スイッチが、設定された切り替えタイミングに基づいて通信経路の切り替えを行なうステップと、光回線ユニットが下り通信信号の光スイッチへの出力を開始するステップとを含む。
これにより、PON回線の冗長切り替えを無瞬断で行なうことができる。
また、本発明の第5の実施の形態に係る局側装置は、少なくとも1組は冗長構成を有するN組の受動的光ネットワークを備えた光ネットワークシステムにおける局側装置であって、N個の光回線ユニットと、J個の予備光回線ユニットと、N個の光回線ユニットおよびJ個の予備光回線ユニットとN組の受動的光ネットワークとの間の通信経路の切り替え、ならびに冗長構成を有する受動的光ネットワークの組についてはいずれか1つの受動的光ネットワークの選択を行なう光スイッチと、この光スイッチの切り替えを制御する制御部とを含む。Jは1以上の整数である。
好ましくは、この局側装置では、制御部が、複数の受動的光ネットワークに接続されている複数の宅側装置に対して上り通信信号の送信を制御する。
さらに好ましくは、この局側装置では、制御部は、光スイッチの設定を変更する切り替え遷移期間中、光スイッチが複数の宅側装置から上り通信信号を受信しないように光スイッチの切り替えタイミングおよび複数の宅側装置の送信タイミングを制御する。
PON回線を二重化する場合は、通常、OSUも二重化するため、(2×N)個のOSUが必要であった。しかしながら、本発明の第5の実施の形態によれば、OSUは(N+1)個でもよいため、局側装置の低コスト化が可能である。さらに、OSUに対して独立に設けられた制御部がONUによる上り通信信号の送信を一括して制御するので、ONUの登録状態を維持したまま冗長切り替えを行なうことができる。これにより、迅速な冗長切り替えが可能となる。さらに、制御部が光スイッチの切り替えタイミングおよび複数の宅側装置の送信タイミングを制御するので、OSUの保守およびPON回線の保守を無瞬断で行なうことが可能となる。
なお、本発明の第5の実施の形態に係る局側装置では、OSUの保守ではPON回線の冗長切り替えを行わず、PON回線の保守ではOSUの冗長切り替えを行わない構成であるとしたが、これに限定するものではなく、これらの保守において、OSUの冗長切り替えおよびPON回線の冗長切り替えを並行して行なうようにしてもよい。この場合、光スイッチOSWnの切り替え時間および光スイッチOSW2iの切り替え時間の大きい方を光スイッチ切替時間として選択すればよい。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第6の実施の形態>
本実施の形態は、図33に示す帯域割当処理の変形例を適用した第2の実施の形態に係る局側装置と比べて各PON回線を二重化したPONシステムに対応させた局側装置に関する。また、以下で説明するPON回線切り替え処理以外の、各PON回線の二重化に対応するための構成および動作については、第5の実施の形態に係る局側装置と同様である。
本実施の形態においては、ONU2は1+1冗長化モードで動作し、二重化されているPON回線iすなわちPON回線iAおよびPON回線iBにおけるフレームの伝播時間の差がバーストギャップに比べて小さくなるよう調整されているものと想定する。
図44は、図41に示すPON回線切り替え処理(S306)の詳細を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部14は、記録されている光スイッチ切替用ギャップの開始時刻の中から時刻ctimeP以降の最も早い時刻を選択し、選択した開始時刻に対応する光スイッチ切替用ギャップにおいて光スイッチOSW2iの切替期間P1を設ける(S331)。
次に、制御部14は、OSU IF部55に対し、OSU変換の仮想OSUiに関する設定をOSUmap(i)=iからOSUmap(i)=iへ期間P1において変更することを指示する(S332)。すなわち、出力メッセージキューQegから受けた下り制御メッセージに記された宛先OSUを、OSUiからOSUiへ変更する。また、OSU IF部55は、期間P1において、仮想OSUiに対応する出力メッセージキューQegからの制御メッセージの取り出しを一時停止する。すなわち、制御部14は、OSU変換は実質的には行なわないが、期間P1における制御メッセージの送信を停止する。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の開始時刻になると、OSUiの下りフレームの送信を停止するよう指示するとともに、光スイッチOSW2iに対してたとえばPON回線iA側からPON回線iB側へ切り替えるよう指示する(S333)。
そして、制御部14は、現在時刻が期間P1の終了時刻になると、OSUiに対して下りフレームの送信を開始するように指示する(S334)。
次に、制御部14は、待機系の制御部にたとえばPON回線iA側からPON回線iB側への切り替えを通知して、処理を終了する(S335)。
以上説明したように、本発明の第6の実施の形態に係る通信制御方法は、二重以上に冗長化された受動的光ネットワークを終端する光回線ユニットと、この冗長化された受動的光ネットワークと光回線ユニットとの間の通信経路を切り替える光スイッチと、光スイッチの切り替えおよび受動的光ネットワークに接続された複数の宅側装置による上り通信信号の送信を制御する制御部とを備え、光回線ユニットは、下り通信信号を光スイッチ経由で複数の宅側装置へ送信し、かつ複数の宅側装置からの上り通信信号を光スイッチ経由で受信する局側装置における通信制御方法であって、制御部が、複数の宅側装置の送信タイミングを設定する際に設けた、複数の宅側装置が上り通信信号の送信を停止するギャップ期間を記録するステップと、制御部が、記録されたギャップ期間の中から、光スイッチの切り替えタイミングを設定すべきギャップ期間を選択するステップと、制御部が設定した光スイッチの切り替えタイミングに先立ち、光回線ユニットが下り通信信号の光スイッチへの出力を停止するステップと、光スイッチが、設定された切り替えタイミングに基づいて通信経路の切り替えを行なうステップと、光回線ユニットが下り通信信号の光スイッチへの出力を開始するステップとを含む。
本発明の第5の実施の形態では、PON回線の冗長切り替えの要求が発生してから、帯域割当処理により、まだ帯域が割り当てられていない期間に切替期間が設定される。このため、実際に冗長切り替えを実行するまでに、少なくともONUとOSUとの間の往復伝播時間分の遅延が通常発生していた。これに対して、本発明の第6の実施の形態では、予め帯域割当処理において記録されていたバーストギャップ期間を光スイッチ切替期間として利用するため、冗長切り替えを迅速に実行することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1a,1b 局側装置、2 宅側装置(ONU)、3−1〜3−N PON回線、4−1〜4−N 光カプラ、11a,11b 光スイッチ、12−1〜12−N+1 OSU、13,13a−1,13a−2 集線部、14,14−1,14−2 制御部、21 アクチュエータ、22 可動ミラー、23−1〜23−N+1,24−1〜24−N コリメートレンズ、25 系選択部、31 集線IF部、32 制御IF部、33 受信処理部、34 送信処理部、35 PON送受信部、36 ローカル制御部、37 FIFO1、38 FIFO2、41 アップリンク送受信部、42 下り配信部、43 集線制御部、44 制御IF部、45−1〜45−N+1 OSU IF部、46a−1〜46a−N+1 フィルタ部、47−1〜47−N+1 FIFO、48 セレクタ、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 IO制御部、55 OSU IF部、56 共有RAM、57 時計・タイマ、301 PONシステム。