JP2010146890A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010146890A
JP2010146890A JP2008323880A JP2008323880A JP2010146890A JP 2010146890 A JP2010146890 A JP 2010146890A JP 2008323880 A JP2008323880 A JP 2008323880A JP 2008323880 A JP2008323880 A JP 2008323880A JP 2010146890 A JP2010146890 A JP 2010146890A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass frit
gas
back plate
front plate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008323880A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Ashida
高之 芦田
Tomohiro Okumura
智洋 奥村
Takahiro Takizawa
貴博 滝澤
Hiroyoshi Sekiguchi
大好 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2008323880A priority Critical patent/JP2010146890A/ja
Publication of JP2010146890A publication Critical patent/JP2010146890A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

【課題】保護層表面の変質層を均一性よく除去するPDP製造方法を提供する。
【解決手段】(i)基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を準備する工程、 (ii) 基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供する工程、(iii)ガラスフリット材料を挟むように前面板と背面板とを対向配置する工程、(iv)加熱下において前面板および背面板のいずれかに設けられた開口部からガスを吹き込み、前面板と背面板との間にガスを流す工程、ならびに、(v)ガラスフリット材料を溶融させ、前面板と背面板とを封着させる工程を含んで成り、工程(iv)で吹き込まれるガスは、工程(ii)で供されたガラスフリット材料によって前面板と背面板との間へと全体的に案内される、プラズマディスプレイパネルの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。より詳細には、プラズマディスプレイパネルの製造に際して「前面板の保護層表面に形成された変質層」を除去する方法に関する。
高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、“PDP”とも称す)を用いたディスプレイ装置への期待は高まっている。
PDP(例えば3電極面放電型PDP)は、映像を見る人から見て表面側となる前面板とその裏側の背面板とを対向配置して、それらの周辺部を封着材で封着した構造を有している。前面板と背面板との間に形成された放電空間にはネオンおよびキセノンなどの放電ガスが封入されている。前面板は、ガラス基板上に形成された走査電極と維持電極とから成る表示電極と、これらの電極を覆う誘電体層と保護層とを備えている。背面板は、ガラス基板に上記表示電極と直交する方向にストライプ状に形成された複数のアドレス電極と、これらのアドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁(リブ)と、隔壁の側面および下地誘電体層上に形成された赤色(R)・緑色(G)・青色(B)の蛍光体層とを備えている(例えば特許文献1参照)。
表示電極とアドレス電極とは直交していて、その交差部が放電セルを成している。これらの放電セルはマトリクス状に配列されており、赤色・緑色・青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがフルカラー表示のための画素となっている。このようなPDPでは、順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧が印加されてガス放電を発生させている。そして、かかるガス放電で生じる紫外線により蛍光体層を励起させ可視光を発光させることによってカラー画像表示を実現している。
このようなPDPの保護層の成分としては、酸化マグネシウム(MgO)が一般に広く用いられている。PDPの動作電圧は、この保護層の2次電子放出係数に依存している。従って、動作電圧の低電圧化を図るため、仕事関数がより小さいアルカリ土類金属の酸化物(たとえば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなど)を保護層成分として用いることが提案されている。しかしながら、これらのアルカリ土類金属の酸化物は吸湿性が高く、保護層の形成後に周囲雰囲気中の水分を吸着し得る。これにより、保護層の表面領域が水酸化物に変質することになり、不安定な放電特性が引き起こされるといった問題があった。
上記問題に対処すべく、保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献2参照)や、保護層形成工程後から封着工程までを真空雰囲気中で連続して行う方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。このような方法は、保護層形成後において保護層に水分等の不純物を吸着させないことを意図している。しかしながら、前者の方法(「保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法」)では、乾燥空気中にある量の水分や二酸化炭素が含まれているので、その含有量が十分小さくない限り、数十分〜数時間の曝露によって変質層が形成されてしまう(例えば、露点−20℃の乾燥空気中には0.1%の水分、露点−40℃の乾燥空気中には0.013%の水分、露点−60℃の乾燥空気中には0.0011%[11ppm]の水分が含まれている)。PDPの製造工程では、一般に、保護層形成工程から封着工程までには数時間分以上の工程在庫があるため、仮に極めて露点の低い乾燥空気(例えば露点−60℃以下の乾燥空気)を用いたとしても、変質層の形成は避けられないといえる。また、後者の方法(「保護層形成工程後から封着工程までを真空雰囲気中で連続して行う方法」)であっても、搬送系及び封着装置の構成が極めて複雑となり、現実的ではない。また、広大な空間を常時真空に保つ必要があり、多大のコストを要してしまう。
不純物が吸着された保護層を清浄化しながら封着する方法も提案されている。この方法は、不純物をガス状態で保護層から脱離させることで、結果的に不純物を含んだ変質層を除去することを意図している。例えば、前面板または背面板に第1ガラス管及び第2ガラス管を設け、第1ガラス管からパネル内部を排気しながら第2ガラス管から乾燥ガスをパネル内部に供給することによって、パネル内部の残留不純物を低減させる方法が開示されている(特許文献4参照)。しかしながら、かかる方法では、2つのガラス管が必要となるので封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。仮にこれを実現したとしても、給気ガラス管に近い位置と遠い位置とでは、乾燥ガスの流速や不純物ガス濃度の点で大きな違いが生じるため、パネルの動作電圧に面内ムラを生じる(即ち、パネルの動作電圧がパネル面において均一とならない)。ガラス管を1つとし、封着前まではこのガラス管から乾燥ガスをパネル内に供給し、封着後に同一のガラス管から排気を行う場合であっても、給気ガラス管に近い位置と遠い位置とでは、乾燥ガスの流速や不純物ガス濃度に大きな違いが生じるため、パネルの動作電圧に面内ムラを生じてしまう。
また、加熱炉内に「対向配置させた前面板および背面板」を仕込んで加熱炉を密閉し、その後、加熱炉内ヘと雰囲気ガスを導入しつつ加熱炉からガスを排出することによって、パネル封着を行う方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、かかる方法では、乾燥ガスの多くがパネルの外部を流れることになり、ガス使用量が多大となる。更に、加熱炉を容器として密閉構造とする必要があるだけでなく、高温で背面板を動かす必要があり、装置としての構成が極めて複雑となってしまう。高温で背面板を動かすことは、“アライメントずれ”の危険性を引き起こし得る。
以上のように、従来のPDP製造では、保護層表面の変質層を均一性よく、簡単かつ低コストに除去できないといった問題点があった。
特開2002−216620号公報 特開2002−231129号公報 特開2000−156160号公報 特開2002−150938号公報 特開2001−35372号公報
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、保護層表面の変質層を均一性よく、簡単かつ低コストに除去できる製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
(i)基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を準備する工程、
(ii) 基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供する工程、
(iii)供されたガラスフリット材料を挟むように前面板と背面板とを対向配置する工程、
(iv)前面板および背面板を加熱下においた状態で、前面板および背面板のいずれかに設けられた開口部からガスを吹き込み、対向配置された前面板と背面板との間にガスを流す工程、ならびに
(v)ガラスフリット材料を溶融させて、前面板と背面板とを封着させる工程
を含んで成り、
工程(iv)で吹き込まれるガスは、工程(ii)で供されたガラスフリット材料によって前面板と背面板との間へと全体的に案内されることを特徴とする製造方法を提供する。本発明の製造方法では、工程(ii)で供されたガラスフリット材料の少なくとも一部の領域に複数の溝部を形成することによって、工程(iv)で吹き込まれるガスを溝部を介して前面板と背面板との間へと流す。尚、本発明において、保護層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上の酸化金属を含んで成ることが好ましく、開口部から吹き込むガスは、保護層に対して不活性なガスであって、例えば窒素ガス、希ガスおよび乾燥空気から成る群から選択される少なくとも1種以上のガスであることが好ましい。
本発明は、吹き込まれるガスが「基板Aまたは基板Bに対して供されたガラスフリット材料」の形態・構造によって導かれ、前面板と背面板との間へと全体的に案内されることを特徴の1つとしている(図1参照)。つまり、本発明では、前面板および背面板の外部にガス供給部材(特に「前面板と背面板との間へと全体的にガスを分散させるガス供給部材」)を用いることなく、基板の開口部からガスを吹き込むことによって、ガスを効果的に分散させることができる。より具体的には、前面板および背面板のいずれかに設けられた開口部からガスを吹き込むと、その吹き込まれたガスが、ガラスフリット材料に設けられた複数の溝部を通過するよう導かれ、それによって、前面板と背面板との間へと全体的にガスを流すことができる。このように、ガラスフリット材料に形成された複数の溝部は、前面板と背面板とが対向配置された際、吹き込まれるガスの通気経路を確保してガスを効果的に分散させる機能を有している。
本明細書において「前面板と背面板との間にガスを流す」とは、前面板と背面板との隙間へとガスを流すことを実質的に意味しており、特に、前面板と背面板とが対向する方向に対して実質的に垂直な方向(例えば“水平方向”)に沿って前面板と背面板との隙間にガスを流すことを意味している(図1参照)。また、本明細書において「基板Aまたは基板Bの周縁領域」とは、基板上に設けられた各種要素の外側に位置する周囲領域であって、一般的なPDP製造において封着材料が塗布される領域を実質的に意味している。更に、本明細書にいう「変質層の除去」とは、不純物が吸着された保護層から不純物を取り除くこと、あるいは、保護層が水酸化物になったり炭酸化物になったりした部分を本来の酸化物に回復させることを実質的に意味している。
ある好適な態様において、工程(ii)では、基板の周縁領域にて一続きの環を成すようにガラスフリット部aを形成すると共に、ガラスフリット部aの内部領域において前面板または背面板のエッジの一辺と実質的に平行となるようにガラスフリット部bを形成し、そのガラスフリット部bに複数の溝部を形成する。かかる場合、ガラスフリット部aがペースト状のガラスフリット材料から成り、その一方で、ガラスフリットbが「予め溝部が形成された固形状のガラスフリット材料」から成るものであってよい。尚、本明細書において「ペースト状」とは、常温(23℃程度)における粘度が50〜200Pa・sであるものを指しており、「固形状」または「固形」とは、流動性を全く有さず一定の形状を保持しているものを指している。
ある好適な態様において、工程(ii)では、「複数の溝部を備えた固形状のガラスフリット部材」を前面板または背面板のエッジの一辺に沿って配置し、このガラスフリット部材と共に基板の周縁領域にて一続きの環を成すようにペースト状のガラスフリット材料を塗布する。
工程(iv)の実施に際しては、工程(v)を併せて行うことができる。この場合、ガラスフリット材料の溶融に起因して、ガラスフリット材料に設けられた溝部が塞がれることになる。その結果、基板Aと基板Bとの間が全体的に周辺領域において塞がれるので、「前面板と背面板との間の空間へのガスの吹き込み」が自動的に又は自然に停止することになる。
尚、本発明の製造方法では、工程(v)の後に、(vi)前面板と背面板との間の空間のガスを排気し、前面板と背面板との間に放電ガスを封入する工程を更に含んで成る。工程(vi)では、前面板または背面板に設けられた貫通孔を介して排気および封入を行うことができる。
本発明の製造方法によれば、保護層表面の変質層を均一性よく、簡単かつ低コストに除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルを得ることができる。詳述すると以下のようになる:
本発明の製造方法では、保護層の表面近傍にてガス流れ(例えば窒素などの不活性ガス流れ)が存在する状態で加熱されるため、変質層を成す不純物が脱離してガス流れに同伴される。それゆえ、保護層表面から変質層が除去されることになり、保護層が清浄化する。
特に、吹き込まれたガスは、「ガラスフリット材料に設けられた複数の溝部」を通過するように導かれる。つまり、「ガラスフリット材料に設けられた複数の溝部」から並列的にガスが流出して前面板と背面板との間を流れることになるので、結果として、前面板と背面板との間へとガスを全体的に流すことができる。つまり、吹き込まれたガス流れのパネル面内での均一性は良いといえる。それゆえ、保護層の清浄度の面内均一性を向上させることができ、駆動電圧、輝度、色度等のパネル諸特性の均一性が向上したPDPを実現することが可能となる。即ち、特許文献4に開示されているような従来技術では、給気ガラス管に近い位置と遠い位置とにおいて、吹き込むガスの流速や不純ガス濃度に大きな違いが生じるため、パネルの駆動電圧、輝度、色度等に面内ムラが生じる。「ガラス管を1つとし、封着前まではこのガラス管から乾燥ガスをパネル内に供給し、封着後にガラス管から排気を行う」といった従来技術であっても同様に、給気ガラス管に近い位置と遠い位置とでは、乾燥ガスの流速や不純ガス濃度に大きな違いが生じるため、パネルの駆動電圧、輝度、色度等に面内ムラを生じることになる。この点、本発明の製造方法では、概ね面内に均一な“ガス流れ”を形成できるので、保護層の清浄度の面内均一性が良いといえ、駆動電圧、輝度、色度等のパネル諸特性の均一性を向上させることができる。また、「ガラス管を1つとし、封着前まではこのガラス管から乾燥ガスをパネル内に供給し、封着後にガラス管から排気を行う」場合では、乾燥ガスの供給中に2枚の基板間の内圧が上がり過ぎないよう、ガラスフリット材料の軟化点以上の温度においては、窒素ガスの吹き込み量を少なくするか、あるいは、窒素ガスの吹き込み量を実質的にゼロにする必要がある。つまり、かかる従来技術では、ガス流量の変更をタイミング良く行わなければならないといった点で煩雑といえる。この点、本発明の製造方法では、ガラスフリット材料の軟化とともにパネル内(即ち、前面板と背面板との間の空間)に吹き込まれるガス流量が実質的に低下していくことになるので、ガス流量を変更するタイミングは大雑把でよいといった利点がある。
更に言えば、本発明の製造方法では、保護層の表面のみならず、背面板の隔壁や蛍光体層の表面にも水分や二酸化炭素等がほとんど吸着していないPDPを製造することができる。つまり、製造されるPDPの内部には、水分、二酸化炭素など保護層表面を変質・劣化させる要因となるガスがほとんど含まれない。その結果、PDPを長時間駆動させても、「HOやCOなどの不純ガスが放電空間に放出されることに起因して保護層や蛍光体層が変質する」といったことが防止され、放電電圧・輝度等の変化が少なく、パネル寿命に優れたPDPを実現できる。また、「保護層の表面に変質層がなく、背面板におけるガス吸着がない」ということは、エージングが実質的に不要か、あるいは必要であっても極めて短時間で済むことになる。
以下にて、図面を参照して、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法を詳細に説明する。尚、図面に示す各種の要素は、本発明の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比や外観などは実物と異なり得ることに留意されたい。
プラズマディスプレイパネルの構成
まず、本発明の製造方法を経ることによって最終的に得られるプラズマディスプレイパネルを簡単に説明する。図2(a)に、PDPの構成を断面斜視図により模式的に示すと共に、図2(b)にPDPの前面板の断面図を模式的に示す。
本発明のPDP(100)の構成は、図2(a)に示すように、「基板A(10)に電極A(11)と誘電体層A(15)と保護層(16)とが設けられた前面板(1)」および「基板B(20)上に電極B(21)と誘電体層B(22)と隔壁(23)と蛍光体層(25)とが設けられた背面板(2)」からなる。
図示するように、前面板(1)では基板A(10)上に電極A(11)が設けられ、電極A(11)を覆うように誘電体層A(15)が基板A(10)上に設けられ、また、誘電体層A(15)上に保護層(16)が設けられている。背面板(2)では基板B(20)上に電極B(21)が設けられ、電極B(21)を覆うように誘電体層B(22)が基板B(20)上に設けられ、誘電体層B(22)上に隔壁(23)および蛍光体層(25)が設けられている。前面板(1)と背面板(2)とは、保護層(16)と蛍光体層(25)とが互いに向き合うように対向配置されている。前面板(1)および背面板(2)の周縁部は、例えば低融点フリットガラス材料などから成る封着部材によって気密封着されている(図示せず)。前面板(1)と背面板(2)との間に形成された放電空間(30)には放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)が好ましくは20kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
更に具体的に、本発明のPDP(100)を説明していく。本発明のPDP(100)の前面板(1)は、上述したように、基板A(10)、電極A(11)、誘電体層A(15)および保護層(16)を有して成る。基板A(10)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)である。基板A(10)としては、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板またはホウケイ酸塩ガラス基板などを挙げることができる。電極A(11)は、基板A(10)上にストライプ状に平行に複数配置されるものであり、例えば、走査電極(12)および維持電極(13)から成る表示電極である。この場合、走査電極(12)および維持電極(13)は、それぞれ「酸化インジウム(ITO)または酸化スズ(SnO)などから成る透明導電膜である透明電極(12a、13a)」、および、かかる透明電極上に形成された「銀を主成分としたバス電極(12b、13b)」から構成される(図2(b)参照)。透明電極(12a、13a)は、蛍光体層で発生した可視光を透過させる電極として主に機能する一方、バス電極(12b、13b)は、透明電極の長手方向に導電性を付与するための電極として主に機能する。透明電極(12a、13a)の厚さは、好ましくは約50nm〜約500nmである。また、バス電極(12b、13b)の厚さは、好ましくは約1μm以上かつ約20μm以下である。尚、図2(a)に示すように、基板A(10)上にはブラックストライプ(14)(遮光層)もパターン形成され得る。
誘電体層A(15)は、基板A(10)の表面に形成された電極A(11)を覆うように設けられている。かかる誘電体層A(15)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層A(15)の上には、例えば酸化マグネシウム(MgO)から成る保護層(16)が形成されている(厚さは例えば約0.5μm以上かつ約1.5μm以下)。保護層(16)は、放電の衝撃(より具体的には「プラズマによるイオン衝撃」)から誘電体層A(15)を守る機能を有している。
本発明のPDPの背面板(2)は、上述したように、基板B(20)、電極B(21)、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)を有して成る。基板B(20)は、透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm以上かつ約3mm以下)であることが好ましく、例えば、フロート法などで製造されたフロートガラス基板を挙げることができる他、ソーダライムガラス基板、ホウケイ酸塩ガラス基板または各種セラミック基板などを挙げることができる。電極B(21)は、基板B(20)上にストライプ状に複数形成される銀を主成分とした電極(厚さは例えば約1μm以上かつ約10μm以下)であり、例えば、アドレス電極(またはデータ電極)である。アドレス電極は、各放電セルを選択的に放電させる機能を主に有している。
誘電体層B(22)は、下地誘電体層と一般に呼ばれるものであり、基板B(20)の表面に形成された電極B(21)を覆うように設けられている。かかる誘電体層B(22)は、主としてガラス成分およびビヒクル成分(=バインダ樹脂および有機溶剤を含んだ成分)から成る誘電体原料ペーストを塗布および熱処理して得られるガラス組成から成る膜である。誘電体層B(22)の厚さは、例えば約5μm以上かつ約50μm以下である。誘電体層B(22)の上には、蛍光体材料を主成分とした蛍光体層(25)が形成されている(厚さは例えば約5μm以上かつ約20μm以下程度)。蛍光体層(25)は、放電によって放射された紫外線を可視光線に変換する機能を主に有している。かかる蛍光体層(25)は、赤色、緑色および青色を発する蛍光体層を構成単位としており、それぞれが隔壁(23)で区切られている。隔壁(23)は、放電空間をアドレス電極(21)毎に区画する目的で、ストライプ状または井桁状に誘電体層B(22)上に形成されている。かかる隔壁(23)は、ガラス成分、ビヒクル成分およびフィラー等を含んで成るペースト原料から形成される。
本発明のPDP(100)では、前面板(1)の表示電極(11)と背面板(2)のアドレス電極(21)とが直交するように、前面板(1)と背面板(2)とが放電空間(30)を挟んで対向して配置されている。このようなPDP(100)では、隔壁(23)によって仕切られ、アドレス電極(21)と表示電極(11)とが交差する放電空間(30)が放電セル(32)として機能することになる。換言すれば、マトリクス状に配列されている放電セルが画像表示領域を構成している。従って、外部駆動回路から表示電極(11)に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電ガスを放電させ、かかる放電によって生じる紫外線によって、各色の蛍光体層を励起させて赤色、緑色および青色の可視光を発生させる結果、カラー画像表示が実現される。
PDPの一般的な製造方法
次に、PDPの一般的な製造方法について簡潔に説明する。本発明に係るPDPは、原則、一般的なPDP製造法に基づいて得ることができる。本発明では、特に言及しない限り、各種構成部材の原材料(原料ペースト)/構成材料などは、一般的なPDP製造法で常套的に用いられているものであってよい。
まず、ガラス基板である基板A(10)上に、走査電極(12)と維持電極(13)とから構成される表示電極(11)を形成すると共に遮光層(14)も形成する。走査電極(12)および維持電極(13)のそれぞれの透明電極(12a、13a)とバス電極(12b、13b)とは、露光・現像するフォトリソグラフィ法などを用いてパターニングできる。透明電極(12a、13a)は薄膜プロセスなどを用いて形成でき、バス電極(12b、13b)は銀(Ag)材料を含むペーストを乾燥(100〜200℃程度)および焼成(400〜600℃程度)に付すことによって形成できる。また、遮光層(14)も同様に、黒色顔料を含んだ原料ペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料を含んだ原料をガラス基板の全面に設けた後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することによって形成できる。次いで、走査電極(12)、維持電極(13)および遮光層(14)を覆うように基板A(10)上に、ガラス成分(SiO、Bなどから形成される材料)とビヒクル成分とを主成分とした誘電体原料ペーストをダイコート法または印刷法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。塗布した後、所定の時間放置すると塗布された誘電体ペーストの表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成すると誘電体層A(15)が形成される。誘電体層A(15)を形成した後、かかる誘電体層A(15)上に保護膜(16)を形成する。保護膜(16)は、真空蒸着法、CVD法またはスパッタリング法などを用いて形成できる。
以上の工程により、基板A(10)上に所定の構成部材である電極A(走査電極(12)および維持電極(13))、誘電体層A(15)および保護層(16)が形成され、前面板(1)が完成する。
一方、背面板(2)は次のようにして形成する。まず、ガラス基板である基板B(20)上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、銀を主成分とした金属膜を全面に形成した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによって前駆体層を形成し、それを所望の温度(例えば約400〜約600℃)で焼成することによりアドレス電極(21)を形成する。この「アドレス電極」は、クロム/銅/クロムの3層薄膜上にフォトレジストを塗布したものをフォトリソグラフィ及びウェットエッチングによりパターニングして形成してもよい。次いで、アドレス電極(21)が形成された基板B(20)上に、下地誘電体層となる誘電体層B(22)を形成する。まず、「ガラス成分(SiO、Bなどから形成される材料)およびビヒクル成分などを主成分とした誘電体原料ペースト」をダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、かかる誘電体ペースト層を焼成することによって誘電体層B(22)を形成できる。次いで、隔壁(23)を形成する。具体的には、誘電体層B(22)上に隔壁形成用原料ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成し、その後、それを焼成に付して隔壁(23)を形成する。例えば、低融点ガラス材料、ビヒクル成分およびフィラー等を主成分とした原料ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィ法でパターニングし、次いで、約400℃〜約600℃の焼成に付すことによって隔壁(23)を形成する。尚、隔壁(23)は、サンドブラスト法、エッチング法または成型法などを用いることによっても形成できる。次いで、蛍光体層(25)を形成する。隣接する隔壁(23)間の誘電体層B(22)上および隔壁(23)の側面に蛍光体材料を含む蛍光体原料ペーストを塗布し、焼成することによって蛍光体層(25)を形成する。より具体的には、蛍光体粉末およびビヒクル成分等を主成分とした原料ペーストをダイコート法、印刷法、ディスペンス法またはインクジェット法などによって塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって蛍光体層(25)を形成する。
以上の工程により、基板B(20)上に、所定の構成部材たる電極B(アドレス電極(21))、誘電体層B(22)、隔壁(23)および蛍光体層(25)が形成され、背面板(2)が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板(1)と背面板(2)とは、表示電極(11)とアドレス電極(21)とが直交するように対向配置させる。次いで、前面板(1)と背面板(2)の周囲をガラスフリットで封着すると共に、形成される放電空間(30)に放電ガス(ヘリウム、ネオンまたはキセノンなど)を封入することによってPDP(100)が完成する。
本発明の製造方法
本発明は、上述のPDPの製造工程の中でも、特に前面板および背面板の形成後からパネル封着までの製造工程に特色を有している。
本発明の製造方法では、まず、工程(i)を実施する。即ち、基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を準備する。かかる前面板および背面板の準備は、上述の[PDPの一般的な製造方法]で説明しているので、重複を避けるために説明を省略する。尚、保護層は典型的には酸化マグネシウムであるが、これに微量の元素(シリコン、アルミニウムなど)を添加したものであってもよい。更に言えば、保護層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上を含むことが望ましい。保護層の成分として、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムまたは酸化バリウム等を用いることにより、駆動電圧のより低いPDPが実現できるだけでなく、ガス吹込みによる清浄化の効果が特に大きくなることが期待される。尚、仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(即ち、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなど)を保護層として用いた場合であっても、本発明では“変質層除去の効果”に起因して安定な放電特性を得ることができる。
工程(i)に引き続いて、工程(ii)を実施する。即ち、基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供する。供されるガラスフリット材料は、後に行う「封着工程(v)」で前面基板と背面基板との周縁をシールする機能を有するだけでなく、工程(iv)で吹き込まれるガスを前面板と背面板との間へと全体的に案内する機能も有している。従って、本発明の製造方法において、基板に供されたガラスフリット材料は“ガス流れ案内部材”または“ガス分配部材”とみなすことができるので、外付けのガス流れ分配手段を用いることなく、常套の封着材たるガラスフリット材料でもってガス流れを効果的に案内・分配することができる。
供されるガラスフリット材料は、一般的なPDPの製造において同様の目的(封着する目的)で用いられるものであれば特に制限はなく、低融点ガラス材料(例えば酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素系、酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素−酸化亜鉛系など)から成るガラスフリット材料であってよい。また、塗布し易いようにビヒクル成分などを含んで成るものであってよい。例えば、PbO系、P―SnO系またはBi系の低融点ガラス粉末とフィラーとを均一に混合した封着材料に対して「メチルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂」と「α−ターピネオール、酢酸アミル等の溶媒」とを含有するビヒクルを添加して、混合攪拌によりペースト状にしたものをガラスフリット材料として用いることができる。
工程(iv)で吹き込まれるガスが前面板と背面板との間へと全体的に案内されるように、供されたガラスフリット材料の一部の領域に複数の溝部を形成する。例えば、図3に示すように、前面板(1)の周縁領域にて一続きの環を成すようにガラスフリット部a(83a)を形成すると共に、ガラスフリット部aの内部領域において前面板のエッジの一辺に対して平行となるようにガラスフリット部b(83b)を形成し、ガラスフリット部bに複数の溝部(85)を形成する。ガラスフリット部aは、最終的には外周シールとして機能し得る一方、ガラスフリット部bは、ガス流れを分配させる部材として機能し得る。つまり、ガラスフリット部bの複数の溝部(85)は、前面板(1)と背面板(2)とが対向配置された際、吹き込まれるガスの通気経路を確保して前面板(1)と背面板(2)との間の空間へとガスを全体的に流す機能を有している(図4(a)参照)。
特に、ガラスフリット部b(83b)は、図4(a)に示すように、前面板(1)または背面板(2)のエッジの長辺に沿って設けることが好ましい。これにより、吹き込まれたガスが“長辺側”から全体的に流れることになるので、“短辺側”にガラスフリット部bを設ける場合と比べて、前面板と背面板との間で形成されるガス流線を短くすることができ、結果的に保護層表面の変質層をより均一性良く除去できる。また、図5に示すように、隔壁は井桁状に形成されており、パネルの長辺方向に沿った隔壁(23a)は短辺方向に沿った隔壁(23b)よりも低くなっている。従って、“長辺側”からガスを流し込むことによって、より効果的に前面板と背面板との間にガスを流すことができる。
「基板上のガラスフリット材料の複数の溝部」は、基板上に断続的にガラスフリット材料を供することによって、あるいは、基板上に供するガラスフリット材料の量を局所的に調整することによって(即ち、溝部に相当する箇所の供給量を少なくすることによって)形成できる。更には、基板上に連続的にガラスフリット材料を供した後で“溝部に相当する部分”を局所的に除去することによっても溝部を形成できる。尚、本明細書で用いる「複数の溝部」にいう「複数」とは、2〜16程度の個数を実質的に意味している。
ガラスフリット部a(83a)およびガラスフリット部b(83b)の寸法形状について説明する。図3の下方右側に示すようなガラスフリット部83’を例にとると、ガラスフリット部(即ち、ガラスフリット部aおよびガラスフリット部b)の平均幅寸法wは3〜10mm程度であり、その高さ寸法hは200〜600μm程度であることが好ましい。また、図3の下方左側に示すような溝部85を例にとると、溝部の幅寸法Laは0.5〜3mm程度であり、その深さ寸法haは100〜500μm程度であることが好ましい。更に、図4(a)に示すような溝部のピッチLbは、基板のサイズや溝部の個数・幅寸法などによって変わり得るものの、例えば50〜500mm程度であること好ましい。尚、後述でも触れるが、ガラスフリット部b(83b)は、工程(v)の封着に際してその溝部を埋めるように軟化するので、封着時では溝部の空隙に起因してガラスフリット部bの高さが減じられることになる。即ち、封着時においては、ガラスフリット部b(83b)はガラスフリット部a(83a)よりも高さが減じられることになる。従って、それを考慮して、ガラスフリット部bはガラスフリット部aよりも予め少し高く設けることが好ましい(例えばガラスフリット部bは、ガラスフリット部aよりも10〜200μm分だけ高く設けることが好ましい)。
基板上に供されるガラスフリット材料の態様は、図3および4に示す態様に必ずしも限定されず、図6に示すような態様であってもよい。図6に示す態様では、ガラスフリット部a(83a’)がペースト状のガラスフリット材料から成るのに対して、ガラスフリット部b(83b’)が、予め溝部(85’)が形成された固形状のガラスフリット材料から成っている。ガラスフリット部a(83a’)は、上述のペースト状のガラスフリット材料を塗布して形成する一方、ガラスフリット部b(83b’)は固形化されたガラスフリット材料を配置して設ける。かかる態様であっても、“固形ガラスフリット部b(83b’)に予め設けられた複数の溝部(85’)”が、前面板と背面板とが対向配置された際、吹き込まれるガスの通気経路を確保して前面板と背面板との間の空間へとガスを全体的に流す機能を有している。かかる固形ガラスフリット部b(83b’)は、例えば、ペースト状のガラスフリット材料(即ち、上述で説明した「ガラスフリット材料」)を金型に充填し、プレス成型した上で、約200〜350℃で仮焼成して樹脂成分を揮発・燃焼させた後、330〜430℃で焼結することによって作製することができる。かかる固形ガラスフリット部b(83b’)の作製に使用する材料はペースト状のガラスフリット部a(83a’)と同じであるので、ガラスフリット部aと同一設備を利用できる点でコスト的に有利である。また、このように固形ガラスフリット部b(83b’)はガラスフリット部a(83a’)と材質的には同一であるので溶融温度も同じであるものの、固形ガラスフリット部b(83b’)は金型でプレス成型を行うことで、ペースト状のガラスフリットの場合と比べて、溝部等の所望の形状を精度良く作製できる点でも有利である。尚、図6に示すような態様の場合、ガラスフリット部b(83b’)は、基板(図示する態様では背面板)の開口部(92)から吹き込まれたガスの流れを一旦せき止めるように機能し得るので、かかるガラスフリット部b(83b’)を“せき止め用ガラスフリット部”と称すこともできる。
また別法にて、基板上に供されるガラスフリット材料の形態は図7および図8に示すような形態であってもよい。図7および図8に示す態様では、複数の溝部(85”)を備えた固形状のガラスフリット部材(83b”)が前面板(1)のエッジの一辺に沿って配置されていると共に、かかるガラスフリット部材(83b”)と共に前面板(1)の周縁領域にて一続きの環を成すようにペースト状のガラスフリット材料(83a”)が塗布されている。換言すれば、固形状のガラスフリット部材(83b”)は、図示するように基板エッジの1つの長辺に沿うように基板同士が重なり合う部分の周縁部に配置されるのに対して、ペースト状のガラスフリット材料(83a”)は基板同士が重なり合う部分を囲うように前記長辺を除く3辺に沿うように“コの字型”に形成されている。このような態様であっても、固形状のガラスフリット部材(83b”)に設けられた複数の溝部(85”)が、前面板と背面板とが対向配置された際、吹き込まれるガスの通気経路を確保して前面板と背面板との間の空間へと全体的にガスを流す機能を有している。固形状のガラスフリット部材(83b”)も、例えば、ペースト状のガラスフリット材料(即ち、上述で説明した「ガラスフリット材料」)を金型に充填し、プレス成型した上で、約200〜350℃で仮焼成して樹脂成分を揮発・燃焼させた後、330〜430℃で焼結することによって作製できる。かかる固形状のガラスフリット部材(83b”)の作製に使用する材料は、ペースト状のガラスフリット部a(83a”)と同じであるので、溶融温度も同じであるものの、金型でプレス成型を行うことで、ペースト状のガラスフリットの場合と比べて、溝部等の所望形状を精度良く作製することができる点で有利である。尚、固形状のガラスフリット部材(83b”)というものは、封着処理に際して前面板と背面板との周縁部をシールする機能を奏するので、「ガス分散機能」と「シール機能」とを兼ね備えた部材であるといえる。
図9に示すように、固形状のガラスフリット部材(83b”)では、その長手方向にガス拡散溝部84が形成され、短手方向に複数の溝部85”(「ガス流出溝」)が形成されている。図示するように、ガス拡散溝部84はガスマニホールドの役割を果たすべく溝部85”よりも深く形成されていることが好ましい(例えば、ガス拡散溝部84は溝部85”よりも50〜300μm深くなっている)。固形状のガラスフリット部材(83b”)の寸法形状や溝部の幅寸法やピッチなどは、上述したガラスフリット部(即ち、ガラスフリット部aおよびガラスフリット部b)と同様である。尚、ガラスフリット部材(83b”)の高さ寸法について言えば、封着に際して溶融したガラスフリット部材(83b”)がガス拡散溝部84および溝部85”の体積を埋めることになるので、ガラスフリット部a(83a”)よりも少し高く(例えば10〜200μm分だけ高く)しておくことが好ましい(図7の右下側の一部拡大図を参照のこと)。尚、ガラスフリット部材(83b”)の中央領域が、基板同士のアラメント処理後に基板の吹込み用開口部92に位置することが好ましい。
工程(ii)に引き続いて、工程(iii)を実施する。つまり、ガラスフリット材料の供給後、ガラスフリット材料が基板Aと基板Bとの間に位置するように、前面板と背面板とを相互に対向して配置する(例えば図10参照)。別の表現を用いれば、前面板と背面板とは、保護層と蛍光体層とが互いに向き合うように対向して配置されると共に、表示電極とアドレス電極とが直交するように、前面板と背面板とが実質的に平行に配置される。対向配置された前面板および背面板は、以後に動かないようにクリップ70(図10の下図参照)などによって保持することが好ましい。対向配置された前面板と背面板との間の間隔(即ち、ギャップ幅)は、塗布されたガラスフリット材料の厚さなどに依存するが、例えば、好ましくは100〜600μmであり、より好ましくは300〜600μmである。ちなみに、背面板(2)には隔壁(23)が設けられているが、図4(b)または図8(b)に示すように、封着処理前の状態では隔壁(23)の高さよりもガラスフリット材料(83a,83b,83b”)の高さの方が大きいため、隔壁(23)の頂部は前面板(1)とは接触していない。
工程(iii)に引き続いて、工程(iv)を実施する。即ち、前面板および背面板を加熱下においた状態で、前面板および背面板のいずれかに設けられた開口部(図示する態様では背面板(2)に設けられた開口部(92))からガスを吹き込み、対向配置された前面板と背面板との間にガスを流す。
対向配置された前面板および背面板を封排炉などのチャンバーに投入することによってそれらを加熱下におくことができる。ガスの吹込みを常温にて開始しつつ、ガスを吹込みながら「対向配置された前面板および背面板」を炉内で加熱することが好ましい。加熱温度は、「保護層表面の変質層を成す不純物(例えば保護層成分に結合しているCO 2−やOHなど)」が脱離することになる限り特に制限はなく、例えば350〜450℃程度である。
前面板または背面板の開口部から吹き込まれるガスは、保護層に対して不活性なガスであることが好ましい。例えば、窒素ガスを挙げることができる。また、ヘリウム、アルゴン、ネオンまたはキセノン等の希ガスを用いてもよい。ちなみに、吹き込まれるガスは、少なくとも、水蒸気をほとんど含まないガスであることが望まれる。例えば、吹き込まれるガスの水分濃度は1ppm以下が好ましい。ここでいう「ガスの水分濃度(ppm)」は、ガスの全体積(0℃1気圧の標準状態)に占める水分(水蒸気)の体積割合を百万分率で示したものであり、常套の露点計で測定することによって得られる値を指している。窒素ガスは比較的高価であるので、乾燥空気を用いるとコスト的に効率の良いPDP製造法が実現できる。吹込まれるガス流量は、パネルの大きさ、溝部の個数や幅寸法、ガラスフリット材料の厚さやその頂部凹凸の大きさ等によって最適値は変わってくるものの、概ね0.1SLM〜10SLMの範囲である(SLM:気体の標準状態において1分間に供給したガスの量をリットルで示す単位)。ガス流量が少なすぎると外部の大気が混入したり、清浄化が不十分になるおそれがある一方、逆にガス流量が多すぎるとコスト的に不利になり得る。
開口部(92)からのガスの吹き込みは、図4(b)または図8(b)に示すようなガス吹込み管(91)(即ち、「ガス吹き込み治具」)を用いることが好ましい。尚、図示するガス吹込み管(91)は、それぞれ図4(a)または図8(a)における線A−A’および線B−B’に沿って切り取った断面図で示している。このガス吹込み管(91)自体は、ガス流れを分配する機能を有しておらず(即ち、その内部にマニホールドとして機能する中空部を有しておらず、かつ、その中空部と流体連通した複数の供給口も有していない)、単にガスを流し入れる機能を有するものである。図示する態様から分かるように、前面板(1)と背面板(2)とは、ガス吹込み管(91)が設けられている部分においては、ガラスフリット材料(83a,83b,83b”)を介して向かい合った状態である。図示する態様では、ガラスフリット材料(83a,83b,83b”)は前面板(1)に設けられており、そのガラスフリット材料の頂部が背面板(2)と接触している。かかるガス吹込み管(91)は、その中心と吹込み用開口部(92)の中心とが一致するように押し付けられ、吹込み用開口部(92)の直下にはガラスフリット材料のガス拡散溝部の中央領域が位置することが好ましい。ガス吹込み管(91)は、繰り返し封着温度にまで昇温されても変形・破損などがないようにステンレス鋼などの耐熱性の金属で製作され、その形状は、円筒形で先端がフレア形状になっていることが好ましい。これにより、ガス供給装置(図示せず)から供給された窒素ガスは、ガス供給管(93)およびガス吹込み管(91)を経由して、吹込み用開口部(92)からパネル内部へと供給される。そして、パネル内部に吹き込まれたガスは、ガラスフリット材料のガス拡散溝によって長辺方向に沿って拡散され、その後、複数の溝部を通過することによって前面板と背面板との間へと全体的に流れることになる。ガス吹込み管(91)は、その先端をフレア状にすることで基板表面との接触面積が大きくなり、背面板(2)とガス吹込み管(91)との間からのガス漏洩を少なくすることができるとともに、ガス吹込み管(91)と吹込み用開口部(92)との中心が相互にずれても、その影響を受けにくくなる。
吹込み用開口部(92)は、例えば、前面板または背面板を準備した後に、ドリル加工またはレーザー加工などの適当な方法で形成することができる。吹込み用開口部(92)を背面板に設ける場合、蛍光体のペースト原料を塗布して乾燥させた後に開口部(92)を設けることが好ましい。このような「吹込み用開口部(92)」は、ガス吹込み管(91)からのガス吹込みに供するものであれば、どのような形状・形態・サイズであってもかまわない(例えば、円形状の吹込み用開口部(92)の場合、直径サイズは1〜5mm程度であってよい)。
ガス吹込み管(91)からガスが吹き込まれると、その吹き込まれたガスが、ガラスフリット材料に設けられた複数の溝部を通過するよう導かれ、結果として、前面板と背面板との間へとガスが全体的に流れることになる。例えば、ペースト状のガラスフリット部aおよび固形ガラスフリットbを設ける場合(即ち、図6に示す態様)では、吹き込まれたガスは、ガラスフリット部a(83a’)とガラスフリット部b(83b’)との間の領域(図6で示すPの部分)を通ることによって基板の長辺方向に沿って拡散され、その後、ガラスフリット部b(83b’)に設けられた複数の溝部(85’)から流出するように、前面板(1)と背面板(2)との間の空間に向かって流れていく。また、固形状のガラスフリット部材(83b”)を用いる場合(即ち、図7に示す態様)でも同様に、吹き込まれたガスがガス拡散溝部によって長手方向に拡散し、その後、複数の溝部(85”)から流出して前面板(1)と背面板(2)との間の空間に向かって流れていく。尚、図示する態様から分かるように、本明細書において「前面板と背面板との間へと全体的に流す」とは、前面板と背面板とを対向配置させた際に相互に重なり合う領域を通るように流すことを実質的に意味している。
ここで、「前面板(1)に供されたガラスフリット材料」の頂部と背面板(2)とは接触しているとはいえ、ガラスフリット材料の頂部は完全な平面ではなく数十〜百μm程度の凹凸が存在している。従って、「前面板(1)と背面板(2)との間の空間」へと流れ込んだガスは、ガラスフリット材料と基板との間の隙間(例えば、図4(a)または図8(a)における領域Mまたは領域N)から、ガスが排出され得る(ちなみに、チップ管に繋がっているガス供給装置及び排気装置は作動させず、これらの装置とはバルブによって遮断しておく)。尚、必要に応じて、供されたガラスフリットの一部に排出溝部を設けておき、そこから「前面板と背面板との間の空間」へと流れ込んだガスを積極的に排出するようにしてもよい。
工程(iv)に引き続いて、工程(v)を実施する。即ち、ガラスフリット材料を溶融させることによって、前面板と背面板とを封着させる。より具体的には、加熱によりガラスフリット材料を溶融させ、その後に降温により溶融したガラスフリット材料を固化させることによって、前面板と背面板とを周辺領域にて気密接合させる。工程(v)の加熱温度は、ガラスフリットが溶融できる温度であれば特に制限はない(即ち、一般的なPDPの製造に際して用いられる「封着温度」であってよく、例えば400℃〜500℃程度である)。工程(v)の封着の実施に際して、工程(iv)のガスの吹き込みを併せて行ってもよい。これについて詳述する。ガスの吹込みは、常温において開始する。また、ガスを吹込みながら「対向配置された前面板および背面板」を炉内で加熱する。ガラスフリットの軟化点を越えるとガラスフリット材料が軟化し、徐々にガラスフリット材料と背面板との間の隙間が埋まっていく。また、ガラスフリット材料の軟化と共にガス溝部も埋まっていくことなになり、また、吹込み用開口部(92)の下方側開口端もガラスフリット材料によって塞がれることになる。これにより、開口部(92)から吹き込まれるガスが、前面板と背面板との間に流れることができず、パネル内部へのガス供給が停止することになる。例えば、ペースト状のガラスフリット部a(83a’)および固形状のガラスフリット部b(83b’)を設ける場合(即ち、図6に示す態様)では、ガラスフリット部a(83a’)が軟化し、徐々にガラスフリット部a(83a’)と背面板(2)との間の隙間が埋まっていくと共に、ガラスフリット部b(83b’)についても、ガラスフリット部aと同じ材質であるために軟化し、最終的にはガラスフリット部aおよびガラスフリット部bの横方向への広がりに起因して吹込み用開口部(92)が塞がることになる。
溶融後、ガラスフリット材料が完全に溶融する温度域(例えばガラスフリットの溶融温度よりも10〜70℃程度高い温度)にて数分〜十数分パネルを保持した後で冷却することによって、ガラスフリットが硬化し、前面板と背面板とが封着される。次いで、「封着された前面板および背面板」を封着時よりも若干低温(即ち、ガラスフリットの固化状態が維持される温度であって、例えば「ガラスフリットの溶融温度よりも10〜50℃程度低い温度」)に保持しながら、前面板と背面板との間を真空排気する。以上のように処理を行うと、ガラスフリットが完全に溶融する温度域では、ガラスフリットに起因して、吹き込まれるガスが「前面板と背面板との間の空間」へと入っていかないので、実質的なガス吹込みが停止することなり、ガスの使用量を最小限に抑制できる。
尚、「工程(iii)の対向配置」を実施した後に「工程(iv)のガス吹き込み」を経てから「工程(v)の封着」を行うということは、アライメント後はガラスフリットの頂部と背面板とが接触した状態で加熱を実施することを意味している。従って、本発明の製造方法では、“封着時のアライメントずれ”が起きにくく、信頼性の高い製造方法を実現できる。
前面板と背面板とを封着させた後、前面板と背面板との間を排気し、前面板と背面板との間に放電ガスを封入する。封入すべき放電ガスとしては、XeとNeの混合ガスを例示できるものの、Xeのみを封入してもよいし、Heを混入させたものであってもよい。このような排気および封入は、前面板または背面板に設けられた貫通孔を介して行うことが好ましい。図11には、背面板(2)に設けられた貫通孔(29)が示されている。かかる「貫通孔」は、対向配置された前面板と背面板との間のガスを排気し、放電ガスを供給することを可能にするものであれば、どのような形状・形態・サイズであってもかまわない(例えば、円形状の貫通孔の場合、直径サイズは1〜5mm程度である)。また、貫通孔(29)は、ガラスフリット材料が供される領域よりも内側に位置することが必要であるものの、完成されたPDPの画像表示を妨げることがないように、PDP表示部ではない前面板または背面板の周辺部分に位置することが好ましい。貫通孔の形成は、例えば、前面板または背面板を準備した後に、ドリル加工またはレーザー加工などの適当な方法で形成することができる。貫通孔を背面板側に設ける場合、蛍光体のペースト原料を塗布して乾燥させた後に貫通孔を設けることが好ましい。
「貫通孔(29)」およびそれに関連するパーツについて詳述する。貫通孔(29)には、図11に示すように、チップ管(55)がフリットリング(56)を介して設けられている。チップ管(55)の端部には、配管(58)の先端部を構成するチャックヘッド(57)が接続されている。チャックヘッド(57)には水冷配管・シール機構(図示せず)が配置されており、チップ管(55)および配管(58)が封着温度にまで昇温された場合においても一体的に密閉構造が維持されるように構成されている。配管(58)にはガス供給装置及び排気装置(図示せず)が接続されているので、貫通孔(29)を介して、前面板と背面板との間のガスを排気できたり、あるいは、かかる空間へと放電ガスを供給できるようになっている。尚、フリットリング(56)は、固形状のガラスフリット部b(83b’)またはガラスフリット部材(83b”)と同じ製法で製作された環状の固形物である。従って、炉内を溶融温度まで昇温した後に降温すると、フリットリング(56)はガラスフリット材料と同様に溶融・固化するので、背面板(2)とチップ管(55)とが相互に接着され得る。
ちなみに、ガス吹込み時においては、貫通孔(29)は実質的に“閉”の状態にされていることに留意されたい。より具体的には、チップ管(55)は、フリットリング(56)を介して貫通穴(29)に合わせて背面板(2)に押し当てられるものであるが、「チップ管(55)とフリットリング(56)が接触する面」および「フリットリング(56)と背面板(2)が接触する面」が平滑面なので、これらの面におけるガスの漏洩はほとんど無い。また、チップ管(55)と連通した配管(58)に設けられたバルブのうち、もっともチップ管(55)に近い側のバルブを閉じた状態でガスを吹込むので、チップ管(55)を介したガスの漏洩もほとんど無いことになる。
次に、本発明の実施形態を経時的に説明しておく。図12は、本発明に係るPDP製造方法の概略を示すフローチャートである。図示するように、まず、前面板と背面板とを準備する(図示するフローチャートでは、背面板側に対してガラスフリット・ペーストを塗布すると共に、ガラスフリット固形物を配置する)。次いで、アライメント装置内にて前面板および背面板の位置合わせを行った後、前面板と背面板とをガラスフリット材料を介して対向させて保持する。次に、吹込み用開口部にガス吹込み管を取り付ける。また、基板に設けた貫通穴に合わせてチップ管を取り付ける。保護層の形成からこの時点までは、保護層が大気に曝露されるため、保護層表面には変質層が形成され得る。次いで、ガス吹込み管およびガラスフリット固形物を介して「前面板と背面板との間の空間」へとガス(例えば窒素ガス)を流し込む。そして、ガスを流し込みながら前面板及び背面板を炉内で加熱し、ガラスフリットを溶融させて前面板と背面板とを封着する。引き続いて、前面板および背面板を封着時よりも若干低温に保持しながら、前面板と背面板との間の空間が真空状態になるまでチップ管を介してガス排気する。この排気処理が完了した後、前面板および背面板をほぼ常温になるまで冷却させる。かかる冷却後、ガス吹込み管を基板から取り外す。そして、「表面板と背面板との間の空間」に放電ガスを導入し、所定の圧力にて放電ガスの導入を停止する(封入)。そして、最終的にはチップ管を溶かしてガス封止・切断することでPDPが完成する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、固形状のガラスフリット部b(83b’)またはガラスフリット部材(83b”)は一体品となっている場合を例示したが、複数のパーツの組み合わせから成るものであってもよい。例えばガラスフリット部材(83b”)の長手方向に沿って別個にパーツを形成した後でそれらを相互に一体化させてよい(例えば、図13に示す点線部分で区切られたパーツをそれぞれ別個に作製してから最後に組み合わせてもよい)。複数のパーツから一体化することで、各パーツのサイズが小さくなり操作性に富むだけでなく、異なるサイズのパネルに対しても共通のパーツを使用することができるため、低コスト化に寄与し得る。
また、ガラスフリット部b(83b’)またはガラスフリット部材(83b”)が前面板または背面板のエッジの一辺に平行となるように延在する態様について例示したが、必ずしもその態様に限定されない。例えば、ガラスフリット部b(83b’)またはガラスフリット部材(83b”)を前面板または背面板のエッジの一辺に対して非平行に延在させてもよく、あるいは、ガラスフリット部b(83b’)またはガラスフリット部材(83b”)が直線状に延在しておらず曲線状に延在している態様であってもよい。
ガスの吹込みは、常温において開始する場合を例示したが、使用ガス量を更に減じるべく、変質層の除去に有効な温度域のみでガスの吹込みを行ってもよい。
更に、ガラスフリットを塗布した後かつアライメントの前において、フリットの仮焼成を行ってもよい。あるいは、蛍光体層形成ステップにおいて蛍光体層の焼成を経ずに、フリットの仮焼成と同時に一括で焼成することも可能である。
本発明の製造方法を通じて最終的に得られるPDPは、パネル寿命に優れているので、一般家庭向けのプラズマテレビおよび商業用プラズマテレビとして好適に用いることができる他、その他の各種表示デバイスとしても好適に用いることができる。
本発明の概念を模式的に示した断面図および平面図 PDPの概略構成を模式的に示す斜視図 PDP前面板を模式的に示す断面図 供されたガラスフリット材料の態様を示す斜視図 図4(a):供されたガラスフリット材料の態様を示す平面図、図4(b):図4(a)に示す線A−A’に沿って切り取った断面図 隔壁の形態を模式的に示す斜視図 供されたガラスフリット材料の態様(ペースト状のガラスフリット部aと固形ガラスフリット部bとを設ける態様)を示す斜視図 供されたガラスフリット材料の態様(ペースト状のガラスフリット部と固形状のガラスフリット部材とを設ける態様)を示す斜視図 図8(a):供されたガラスフリット材料の態様(ペースト状のガラスフリット部と固形状のガラスフリット部材とを設ける態様)を示す平面図、図8(b):図8(a)に示す線B−B’に沿って切り取った断面図 固形状のガラスフリット部材の平面図(図9(a):上面図、図9(b):正面図、図9(c):側断面図)および斜視図 前面板と背面板とを対向配置させた態様を模式的に示す斜視図 封着処理後の態様を模式的に示す断面図 本発明の製造方法に係るPDPの製造工程の概略を示すフローチャート 複数のパーツを組み合わせることによって形成される固形状のガラスフリット部材の態様を模式的に示す斜視図
符号の説明
1 前面板
2 背面板
10 前面板側の基板A
11 前面板側の電極A(表示電極)
12 走査電極
12a 透明電極
12b バス電極
13 維持電極
13a 透明電極
13b バス電極
14 ブラックストライプ(遮光層)
15 前面板側の誘電体層A
16 保護層
20 背面板側の基板B
21 背面板側の電極B(アドレス電極)
22 背面板側の誘電体層B
23 隔壁
23a 長辺方向に沿って延在する隔壁
23b 短辺方向に沿って延在する隔壁
25 蛍光体層
29 貫通穴(封入処理用)
30 放電空間
32 放電セル
55 チップ管
56 フリットリング
57 チャックヘッド
58 配管
61 ガス導入溝
62 ガス排出溝
70 クリップ
83 基板上に供されたガラスフリット材料
83’ 基板上に供されたガラスフリット材料(一部拡大図)
83a ガラスフリット部a
83a’ ペースト状のガラスフリット部a
83a” ペースト状のガラスフリット部a
83b ガラスフリット部b
83b’ 固形ガラスフリット部b
83b” 固形状のガラスフリット部材
84 ガス拡散部(またはガラスフリット材料に設けられたガス拡散溝部)
85 ガラスフリット材料に設けられた溝部
85’ 固形ガラスフリット部bに設けられた溝部
85” 固形状のガラスフリット部材に設けられた溝部
91 ガス吹き込み管
92 吹込み用開口部
93 ガス供給管
100 PDP

Claims (9)

  1. プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    (i)基板A上に電極Aと誘電体層Aと保護層とが形成された前面板、および、基板B上に電極Bと誘電体層Bと隔壁と蛍光体層とが形成された背面板を準備する工程、
    (ii) 基板Aまたは基板Bの周縁領域にガラスフリット材料を供する工程、
    (iii)供されたガラスフリット材料を挟むように前面板と背面板とを対向配置する工程、
    (iv)前面板および背面板を加熱下においた状態で、前面板および背面板のいずれかに設けられた開口部からガスを吹き込み、対向配置された前面板と背面板との間にガスを流す工程、ならびに
    (v)ガラスフリット材料を溶融させて、前面板と背面板とを封着させる工程
    を含んで成り、
    前記工程(iv)で吹き込まれるガスは、前記工程(ii)で供されたガラスフリット材料によって前面板と背面板との間へと全体的に案内されることを特徴とする、製造方法。
  2. 前記工程(ii)で供されたガラスフリット材料の少なくとも一部の領域に複数の溝部を形成し、
    前記工程(iv)で吹き込まれたガスが前記溝部を通過することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(ii)では、前記周縁領域にて一続きの環を成すようにガラスフリット部aを形成すると共に、前記ガラスフリット部aの内部領域において前面板または背面板のエッジの一辺に対して平行となるようにガラスフリット部bを形成し、前記ガラスフリット部bに複数の溝部を形成することを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記ガラスフリット部aがペースト状のガラスフリット材料から成り、
    前記ガラスフリットbが、予め溝部が形成された固形状のガラスフリット材料から成ることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記工程(ii)において、複数の溝部を備えた固形状のガラスフリット部材を前面板または背面板のエッジの一辺に沿って配置し、前記ガラスフリット部材と共に前記周縁領域にて一続きの環を成すようにペースト状のガラスフリット材を塗布することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記工程(iv)の実施に際して、前記工程(v)を併せて実施することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記工程(v)において、ガラスフリット材料の溶融に起因して前記溝部が塞がれ、それによって、前面板と背面板との間の空間へと供されるガスの吹き込みが停止することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに従属する請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記工程(iv)において、前記開口部から吹き込むガスが、保護層に対して不活性なガスであって、窒素ガス、希ガスおよび乾燥空気から成る群から選択される少なくとも1種以上のガスであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 保護層が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上の酸化金属を含んで成ることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
JP2008323880A 2008-12-19 2008-12-19 プラズマディスプレイパネルの製造方法 Pending JP2010146890A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008323880A JP2010146890A (ja) 2008-12-19 2008-12-19 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008323880A JP2010146890A (ja) 2008-12-19 2008-12-19 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010146890A true JP2010146890A (ja) 2010-07-01

Family

ID=42567076

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008323880A Pending JP2010146890A (ja) 2008-12-19 2008-12-19 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010146890A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4579318B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP4440225B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2002260537A (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP5014209B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
US7942971B2 (en) Method of manufacturing plasma display panels
JP5090401B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP4972173B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2010146890A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
US20090021167A1 (en) Plasma display panel and manufacturing method thereof
JP5154604B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2010212007A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP5007275B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2005056834A (ja) 表示パネルの製造方法
JP2010244964A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2009099395A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法及びそのための装置
JP2010277775A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2010165497A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2009043588A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法およびその製造装置
JP2008027597A (ja) プラズマディスプレイパネル
JP2009252716A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法及び装置
JP4691896B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP4760178B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4835318B2 (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP4374932B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP5155651B2 (ja) 塗布方法およびプラズマディスプレイ用背面板の製造方法