JP2010146416A - マスフローコントローラ - Google Patents

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裕二 山口
Tomoyuki Himi
知之 氷見
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Abstract

【課題】一次側圧力センサを設けることなく、従来のマスフローコントローラの機械構成を用いてPI性能を発揮するマスフローコントローラを提供する。
【解決手段】流路1内を流れる流体Fの流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサ2と、流量センサ2の上流側に設けた流量制御バルブ3と、流量制御バルブ3の駆動電圧Vを検出する電圧検出部4と、少なくとも流量測定値(OUT)、流量設定値(SET)及び駆動電圧をパラメータとして所定の演算式から流量制御バルブ3の開度制御信号を算出して出力する制御部5と、を具備する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ガスや液体などの流体の流量を制御するマスフローコントローラに関するものである。
例えば、半導体の製造に用いられる各種ガス等を半導体製造装置に供給する場合、それらの供給流路にマスフローコントローラをそれぞれ設け、これによってガス流量をそれぞれ調節するようにしている。そして従前は、各マスフローコントローラにそれぞれ圧力レギュレータを直列付帯させ、各マスフローコントローラの流路内圧力に極端な変動が生じないようにして、流量制御を容易化している。
前記マスフローコントローラにおける流量制御方式としては、PID制御が基本であるが、例えば、特許文献1に示すように、PID制御にバリエーションを施したフィードバック制御を行うようにしたものも知られている。具体的に前記特許文献1に示すものは、偏差にPID演算を施し、その演算結果に、流量設定値が小さくなるほど値が大きくなるような関数を乗算して、フィードバック制御値を算出するようにしたものである。
ところで近時では、ボンベ等の流体供給源にのみレギュレータを設け、そこから分岐させた各供給流路には、それぞれマスフローコントローラを設けるものの、レギュレータは各個には設けないシステム構成も増加してきている。
しかしながら、このようなシステム構成の場合、例えば、ある1つの供給流路を突然閉止したり、1つのマスフローコントローラの流量を大きく変化させたりすると、それによる圧力変動が他の供給流路及びマスフローコントローラに及び(これをクロストークという)、従来のように圧力レギュレータによって圧力変動がある程度抑制されているという前提での制御方式では、十分な流量制御を行えなくなるという不具合が生じ得る。
より具体的に言えば、前記特許文献1に示すような制御方式を採用している場合に、例えば一次側の圧力(マスフローコントローラ(流量センサ部)の上流側の圧力)にある一定以上の変動が生じると、それに過敏に反応して規定以上の流量変動が生じてしまう。
そして、こういった圧力変動による流量変動の問題を解決すべく、特許文献2に示すように、マスフローコントローラの上流側又はマスフローコントローラ内部に一次側圧力を測定する圧力センサを設け、当該圧力センサからの検出信号を用いて、流量変動を補正するものが考えられている。
しかしながら、マスフローコントローラの上流側に圧力センサを設ける構成であると、部品点数が増えるだけでなく、システム全体として大型化してしまい、さらに圧力センサからの検出信号を取り入れる入力ポートを設ける必要があり製造コストがかかってしまうという問題がある。また、マスフローコントローラ内部に圧力センサを設ける構成であると、部品点数が増えるだけでなく、マスフローコントローラが大型化してしまい、製造コストもかかってしまうという問題がある。
特開2004−280689号公報 特開2004−302914号公報
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、本願発明者が流量制御バルブの駆動電圧が一次側圧力の変化に追従して変化することを見出し、流量制御バルブの駆動電圧と一次側圧力の関係に着目してなされたものであり、一次側圧力センサを設けることなく、従来のマスフローコントローラの機械構成を用いてPI(Pressure Insensitive)性能を発揮するマスフローコントローラを提供することをその主たる所期課題とするものである。
すなわち本発明に係るマスフローコントローラは、流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサと、前記流量センサの上流側又は下流側に設けた流量制御バルブと、前記流量制御バルブの駆動電圧を検出する電圧検出部と、少なくとも前記流量測定信号の示す流量測定値、目標値である流量設定値及び前記電圧検出部により得られる駆動電圧をパラメータとして所定の演算式から前記流量制御バルブの開度制御信号を算出して出力する制御部と、を具備することを特徴とする。
ここで、「所定の算出式」とは、少なくとも流量測定値、流量設定値及び駆動電圧をパラメータとして流量制御バルブの開度をフィードバック制御するための算出式であって、具体的態様しては、少なくとも比例演算(好適にはPID演算)を含むものが挙げられる。
このようなものであれば、一次側圧力と相関する駆動電圧を用いて流量制御弁の開度制御信号を算出するようにしているので、別途一次側圧力を測定する圧力センサを設けることなく、一次側圧力に変動があっても、その変動に起因する流量変動を駆動電圧を用いて補正することができる。したがって、一次側圧力センサを設ける必要がないので、部品点数の削減及び小型化を実現しつつ、PI性能を有するマスフローコントローラを提供することができる。
また、前記制御部が、前記流量設定値を所定量以上変化させた時点からの所定時間である変化期間と、それ以外の期間である安定期間とにおいて、前記算出式を互いに異ならせるとともに、少なくとも前記安定期間において、前記算出式のパラメータとして、前記駆動電圧を含むものであることが望ましい。
「流量設定値を所定量以上変化させる」具体的態様としては、例えば、瞬時(1制御サイクル)で、流量設定値を所定量以上変化させるものが挙げられる。
「前記算出式を互いに異ならせる」具体例としては、比例演算のゲイン(後述するP)などの係数を、変化期間と安定期間とで異ならせることを挙げることができる。このことにより、例えば、変化期間にはマスフローコントローラのバルブを高速応答させる制御を実現しつつ、安定期間には外乱ノイズ対して鈍感にするような制御とすればよい。
また、「算出式のパラメータとして含まれる駆動電圧」の態様としては、電圧検出部で検出した駆動電圧そのものの値が算出式に含まれる場合の他、所定時間における検出駆動電圧の変化量(時間微分値)や時間積分値など、実測した駆動電圧に関連する値(例えば検出駆動電圧を変換することにより得られたバルブ開度量等)が算出式に含まれる場合も含む。
これならば、安定期間と変化期間とで制御を切り替えているので、流量設定値が変化する変化期間では、例えば速応性に優れた制御とすることでその変化後の流量設定値に実流量を非常に速く追随させることができる。また、流量設定値がほとんど変化しない安定期間では、例えば安定性に優れた制御とすることで、仮に一次側等の圧力(マスフローコントローラ(流量センサ部)の上流側の圧力)に変動があっても、流量変動には大きく影響せず、その圧力に対する過敏な反応を抑えて実流量の安定化を図ることができる。
本発明における駆動電圧(時間微分値)が含まれる算出式としては、流量測定値と流量設定値との偏差εに基づくPID演算の結果に、駆動電圧時間微分値を加減乗除算する式、すなわち下式(a)または下式(b)に示されるものを用いることができる。
A=P・ε+I∫ε・δt+D・δε/δt+Y・ΔV ・・・(a)
A=(P・ε+I∫ε・δt+D・δε/δt)・Y・ΔV ・・・(b)
ただし、ε=S−OUT
なお、Aは、フィードバック制御値で、この値に基づき前記開度制御信号が設定される。P、I、D、Yは、それぞれ適宜に定められた係数である。Sは、前記流量設定値、OUTは、前記流量測定値である。ΔVは、前記電圧検出部で検出した駆動電圧の時間微分値、時間微分値を含む式で表される値又は駆動電圧の変化量等の駆動電圧から導き出される値である。
前記算出式としては、その他に、偏差そのものを算出する際に、駆動電圧時間微分値をパラメータとして加えたものを挙げることができる。これを式で表せば下式(c)のとおりとなる。
A=P・ε’+I∫ε’・δt+D・δε’/δt ・・・(c)
ただし ε’=h(S、OUT、ΔV)
なお、hは、S、OUT、ΔVを少なくともパラメータとする関数である。
前記関数hの具体的例としては、流量測定値又は流量設定値の少なくともいずれかに、駆動電圧時間微分値を加減乗除するようなものが考えられる。すなわち下式(d)(e)(f)(g)のようなものである。
ε’=S−(OUT+X・ΔV)・・・(d)
ε’=S−(OUT・X・ΔV)・・・(e)
ε’=S・X・ΔV−OUT ・・・(f)
ε’=(S−X・ΔV)−OUT・・・(g)
ここでXは、適宜に定められる係数である。
一方、マスフローコントローラから外部での利用に供するべく出力される流量表示値について言えば、従来は、一次側圧力変動に過敏に反応する流量制御バルブの制御との相互干渉によって、実際の下流側(又は上流側)の流量と異なった値を示す場合がある。
これを、上述した流量制御バルブにおける弁開度制御アルゴリズムの改良と対応させて改良し、流量表示値を安定させて実際の流量値に近づけるには、前記流量測定値に所定の演算を施して流量表示値として出力する流量出力部を設けておけばよい。これにより、実流量に対応させて、表示値も安定させることができる。
また、本発明に係るマスフローコントローラは、流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサと、前記流量センサの上流側又は下流側に設けた流量制御バルブと、前記流量制御バルブのバルブ開度量を検出するバルブ開度量検出部と、少なくとも前記流量測定信号の示す流量測定値、目標値である流量設定値及び前記バルブ開度量検出部により得られるバルブ開度量をパラメータとして所定の演算式から前記流量制御バルブの開度制御信号を算出して出力する制御部と、を具備することを特徴とする。このようなものでも、上記と同様に効果を奏することができる。
このように構成した本発明によれば、一次側圧力センサを設けることなく、従来のマスフローコントローラの機械構成を用いてPI(Pressure Insensitive)性能を発揮するマスフローコントローラを提供することができる。
<1.第1実施形態>
以下に本発明に係るマスフローコントローラ100について、図面を参照して説明する。なお、図1は本実施形態に係るマスフローコントローラ100の全体模式図、図2はマスフローコントローラを用いた流量制御システムの構成例を示す図、図3は一次側圧力の変動に対するバルブ開度量の変動を示す図、図4は制御部の機能ブロック図、図5は制御フローチャート(変化期間)、図6は制御フローチャート(安定期間)を示す図、図7はPID係数の変更に用いる関数を示す模式図である。
<1−1.装置構成>
本実施形態のマスフローコントローラ100は、図1に模式図を示すように、内部流路1と、その内部流路1内を流れる流体Fの流量を測定する流量センサ部2と、その流量センサ部2の例えば下流側に設けた流量制御バルブ3と、流量制御バルブ3の駆動電圧を検出する電圧検出部4と、制御部5と、を備えているもので、例えば図2に示すように、半導体プロセスにおけるチャンバへのガス供給システムに用いられる。
各部を説明すると、内部流路1は、上流端を導入ポートP1、下流端を導出ポートP2としてそれぞれ開口するもので、例えば、導入ポートP1には、外部配管を介してボンベ等の流体供給源Bが接続され、導出ポートP2には、外部配管を介して、半導体製造のためのチャンバ(図示しない)が接続されている。なお、この実施形態では、図2に示すように、1つの流体供給源Bから配管を複数分岐させ、各配管にそれぞれマスフローコントローラ100を設けるようにしている。また、圧力レギュレータPRは、流体供給源Bの出口(各配管への分岐前)にのみ設けてあり、各配管それぞれには、マスフローコントローラ100用の圧力レギュレータは設けられていない。なお符号FVは空圧弁である。
流量センサ部2は、詳細は図示しないが、例えば、内部流路1に設けられた一対の感熱センサ(サーマルセンサ)を備えたものであって、流体Fの瞬時流量がこの感熱センサによって電気信号として検出され、内部電気回路によってその電気信号が増幅等されて、検出流量に応じた値を有する流量測定信号として出力されるようにしたものである。
流量制御バルブ3は、やはり詳細は図示しないが、その弁開度をアクチュエータによって変化させうるように構成したものであって、外部からの電気信号である開度制御信号を与えられることによって前記アクチュエータを駆動し、その開度制御信号の値に応じた弁開度に調整して流体Fの流量を制御するものである。本実施形態では、一定の流量制御時において、一次側圧力変動に対して駆動電圧(バルブ開度量)が一定の関係(例えば比例、反比例等の所定の関数を満たす関係)を有するものであり(図3参照)、駆動電圧(バルブ開度量)とストローク分解能(弁開度)とにリニア特性を有するピエゾ素子を用いたピエゾバルブである。
電圧検出部4は、詳細は図示しないが、電圧検出用の分圧抵抗を有する電圧検出回路と、当該電圧検出回路により検出されたアクチュエータ(ピエゾ素子)に印加される駆動電圧(バルブ電圧)をバルブ開度量(0%〜100%)に変換するバルブ開度量変換回路とを備え、そのバルブ開度量に応じた値を有するバルブ開度量信号を制御部に出力するものである。なお、電圧検出部4は、流量制御バルブ3内に設けても良いし、制御部5内に設けても良い。
制御部5は、図示しないCPUやメモリ、A/D変換器、D/A変換器等を有したデジタル乃至アナログ電気回路で構成されたもので、専用のものであってもよいし、一部又は全部にパソコン等の汎用コンピュータを利用するようにしたものであってもよい。また、CPUを用いず、アナログ回路のみで前記各部としての機能を果たすように構成してもよいし、物理的に一体である必要はなく、有線乃至無線によって互いに接続された複数の機器からなるものであってもよい。
そして前記メモリに所定のプログラムを格納し、そのプログラムにしたがってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、この制御部5が、図4に示すように、流量信号受信部5a、バルブ開度量信号受信部5b、算出部5c、開度制御信号出力部5d及び流量出力部5eとしての機能を少なくとも発揮するように構成している。
流量信号受信部5aは、流量センサ部2から送信されてくる流量測定信号及び別コンピュータ等から入力される流量設定信号等を受信し、それらの値を例えばメモリ内の所定領域に格納するものである。
バルブ開度量信号受信部5bは、電圧検出部4から送信されてくるバルブ開度量信号を受信し、それらの値を例えばメモリ内の所定領域に格納するものである。
算出部5cは、前記流量測定信号の示す流量測定値を取得するとともに、その流量測定値と、前記流量設定信号が示す流量設定値との偏差を算出する偏差算出部5c1と、その偏差に少なくとも比例演算を施して流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する制御値算出部5c2と、を備えたものである。
この算出部5c(または制御値算出部5c2)での具体的な演算について説明すると、ここでは、下式(1)に基づいて、フィードバック制御値Aを算出するようにしている。
A=P・ε+I∫ε・δt+D・δε/δt+Y・ΔV・・・(1)
ただし、ε=S−OUT
ここで、εは前記偏差、P、I、D、Yは、それぞれ適宜に定められた、0を含む調整用の係数(以下、調整係数とも言う)を示す。ただし、D及びYは、0を含まない。Sは、流量設定値、OUTは流量測定値をそれぞれ示す。ΔVは、電圧検出部4で検出したバルブ開度量の変化量を示す。
開度制御信号出力部5dは、前記フィードバック制御値に対応した値を有する開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力するものである。
流量出力部5eは、前記流量測定値に所定の演算を施して流量表示値を算出し、その流量表示値を値として有する流量表示信号(アナログ又はデジタル信号)を、外部での利用が可能なように表示画面等に出力するものである。
ところで、この実施形態では、前記制御値算出部5c2が、前記流量設定値が単位時間で所定量(例えば、フルスケールに対し、0〜10%程度、さらに好ましくは0.3〜5%程度)以上変化した時点からの一定期間である変化期間(例えば数秒程度で、より具体的には0〜10秒程度で、さらに好ましくは0.3〜5秒程度)と、それ以外の期間である安定期間とを区別し、前記変化期間と安定期間とで、前記係数値を変えるなどして互いに異なるようにした前記算出式(1)を用いて、前記偏差からフィードバック制御値を算出するように構成している。
まず、変化期間での算出式につき説明する。この変化期間では、制御値算出部5c2が、式(1)の比例演算項における偏差εに乗算されるゲイン(係数)Pを、流量設定値をパラメータとする関数で表し、その関数を変化期間と安定期間とで互いに異ならせるようにしている。
変化期間で用いられる関数f1(以下、区別するときは、第1の関数ともいう)は、代入される流量設定値が小さくなれば大きな値が算出されるものであり、ここでは例えば以下の式(2)で表される。
f1(S)=(100+K1)/(K1+S)(=P)・・・(2)
ここで、Sは流量設定値(フルスケールに対する%値)、K1は調整係数である。
さらに、この変化期間では、Y=0とし、一次側圧力の変動によるバルブ開度量の影響を無視しているが、Yに0以外の値を与えて一次側圧力の変動によるバルブ開度量の影響を考慮するようにしてもよい。
一方、安定期間での関数f2(以下、区別するときは、第2の関数ともいう)は、代入される流量設定値が小さくなれば小さな値が算出されるものであり、ここでは例えば以下の式(3)で表される。
f2(S)=S・K2+d(=P)・・・(3)
ここで、Sは流量設定値(フルスケールに対する%値)、K2は調整係数、dはオフセット定数である。
また、この安定期間において、電圧検出部4のバルブ開度量信号の示すバルブ開度量が、単位時間あたり所定以上(例えば、一次側圧力に換算して10kPa以上)変動している場合には、式(1)におけるYに0以外の値を与え、バルブ開度量(より具体的には、バルブ開度量の変化量)をさらに加味した制御を行うようにしている。
さらにこの実施形態では、前記流量出力部5eが、前述の変化期間と安定期間とにおいて、それぞれ異なる演算を流量測定値に施して流量表示値を求め、流量表示信号として外部に出力するようにしている。具体的には、安定期間においては、前記流量測定値を時間的に鈍らせて流量表示値を求めて出力し、変化期間においては、前記流量測定値をそのまま出力するようにしている。
さらに、少なくとも安定期間において、電圧検出部4のバルブ開度量信号の示すバルブ開度量が、単位時間あたり所定量以上(例えば、一次側圧力に換算して10kPa以上)変動している場合には、前記流量測定値を前記バルブ開度量、より具体的にはバルブ開度量の時間変化量で補正するとともに、安定期間に固有の移動平均をとり、時間的に鈍らせて流量表示値を求め出力するようにしている。
実際の流量表示値は、以下の式(4)を用いて算出している。
MFCOUT=(OUT_new−MFCOUT_OLD)・Z+MFCOUT_OLD
ただし、OUT_new=OUT+Y1・ΔV ・・・(4)
ここで、MFCOUTは、現在の制御サイクルで算出された最新の流量表示値、MFCOUT_OLDは、前回の制御サイクルで算出された1つ古い流量表示値、Zは調整係数である。また、OUT_newは、バルブ開度量による補正後の流量測定値(以下、補正流量測定値ともいう)、OUTは、サンプリングされた生の流量測定値、ΔVは電圧検出部4で検出したバルブ開度量の時間変化量、Y1は調整係数を示し、前記Yと同値でも異値でも構わない。
しかして、流量表示を時間的に鈍らせるには、0<Z≦1とし、逆に時間遅れを生じさせないためにはZ=1とする。また、圧力を考慮する場合には、Y1に0以外の値を代入し、圧力を考慮しない場合にはY1に0を代入する。
<1−2.マスフローコントローラ100の動作>
次に、上記構成のマスフローコントローラ100の動作について制御部5を中心に図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
流量信号受信部5aは、流量センサ部2から常時出力されている流量測定信号と、専用の入力手段や他のコンピュータから出力されている流量設定信号とを一定サンプリング間隔で受信している(ステップS1)。
そこで、もし流量設定値が前回のサンプリング時と比較して所定量以上変化した場合には(ステップS2)、その時点から一定期間(約数秒間)は変化期間と判断して、ステップS3に進み、それ以外の期間は安定期間と判断してステップS12に進む。
<1−2−1.変化期間における制御フロー>
ステップS3では、偏差算出部5c1が、流量信号受信部5aで受信された流量測定信号の値(流量測定値)と前記流量設定信号の値である流量設定値との差、すなわち偏差εを算出する。
次に、制御値算出部5c2は、バルブ開度量が所定値以上変動しているか否かを判断し(ステップS4)、バルブ開度量が所定値以上変動している場合には、バルブ開度量の時間変化量及び所定の係数αを用いて、流量設定値を補正する(S−ΔV×α)(ステップS5)。そうでない場合(ステップS4)には、流量設定値は補正しない。
そして、制御値算出部5c2が、偏差に基づいて、PID係数を算出する。このとき、比例演算における偏差εに乗算されるゲイン(調整係数)として、前記流量設定値を前記第1の関数(式(2))に代入して得られる値を用いる(ステップS6、S7)。
その後、制御値算出部5c2は、式(1)に基づいて、その偏差にPID演算を施し、流量制御バルブ3へのフィードバック制御値を算出する(ステップS8)。なおステップS6のとき、式(1)でのYの値は0として計算する。つまりここではバルブ開度量変動(圧力変動)を無視する。
このようにしてフィードバック制御値が算出されると、開度制御信号出力部5dが、そのフィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力し、その弁開度を変えて流量調整を行う(ステップS10)。
<1−2−2.安定期間における制御フロー>
一方、安定期間と判断した場合(ステップS2)は、ステップS3同様、偏差算出部5c1が、流量測定値と流量設定値との差、すなわち偏差εを算出する(ステップS12)。
そして、かかる安定期間において、電圧検出部4のバルブ開度量信号の示すバルブ開度量が所定量以上変動している場合(ステップS13)には、バルブ開度量の時間変化量及び所定の係数αを用いて、流量設定値を補正する(S−ΔV×α)(ステップS14)。
そして、制御値算出部5c2は、偏差εに基づいて、PID係数を算出する。このとき、比例演算における偏差εに乗算されるゲイン(調整係数)として、前記流量設定値を前記第2の関数(式(3)参照)に代入して得られる値を用いる(ステップS15)。
また、制御値算出部5c2は、バルブ開度量の時間変化量の正負を判断する(ステップS16)。バルブ開度量の時間変化量が正の場合(dV/dt>0)と判断した場合、つまりバルブ開度量上昇時には、制御値算出部5c2は、以下の式により、補正後の流量設定値(S−ΔV×α(=S’))に基づいてPID係数を変更する(ステップS17)。
P’=P×Fu(S’) ・・・(5)
I’=I×Fu(S’) ・・・(6)
D’=D×Fu(S’) ・・・(7)
ここで、Fu()は、流量設定値に固有の関数である設定係数関数であり、SET’は補正後の流量設定値を示す。本実施形態の設定係数関数Fuは、図7(a)に示すように、0−50%の比例定数、50−100%の比例定数が異なる折れ線関数である。折れ線形状は、これに限られず適宜設定可能である。なお、この設定係数関数Fuは、曲線関数とすることができるが、演算処理量が増大し、またPID係数の調整が困難になるという問題がある。
次に、制御値算出部5c2は、以下の式により、上記(5)〜(7)により得られたP’I’D’係数をバルブ開度量に基づいて変更する(ステップS18)。
P”=P’×Gu(V) ・・・(8)
I”=I’×Gu(V) ・・・(9)
D”=D’×Gu(V) ・・・(10)
ここで、Gu()は、バルブ開度量に固有の関数であるバルブ開度量係数関数であり、Vはバルブ開度量を示す。本実施形態のバルブ開度量係数関数は、図7(a)に示すように、入力されるバルブ開度量に比例した値が算出される比例関数である。なお、このバルブ開度量係数関数Guは折れ線関数又は曲線関数とすることもできる。曲線関数とした場合、演算処理量が増大し、またPID係数の調整が困難になるという問題がある。
以上により、制御値算出部5c2は、バルブ開度量の時間変化量が正の場合に、流量設定値及びバルブ開度量に基づいてP、I、DをP”、I”、D”に変更し、当該PID係数(比例係数P”、積分係数I”及び微分係数D”)を用いて、式(1)に基づいて、偏差にPID演算を施してフィードバック制御値を算出する(ステップS19)。このとき、Yには0以外の予め定められた値を代入して計算する。つまり、ここではバルブ開度量変動(圧力変動)を考慮する。
一方、制御値算出部5c2は、バルブ開度量の変化量が負であると判断した場合(ステップS16)、つまりバルブ開度量下降時には、以下の式により、流量設定値に基づいてPID係数を変更する(ステップS21)。
P’=P×Fd(S’) ・・・(11)
I’=I×Fd(S’) ・・・(12)
D’=D×Fd(S’) ・・・(13)
ここで、Fd()は、流量設定値に固有の関数である設定係数関数であり、SET’は補正後の流量設定値を示す。この設定係数関数Fdは、図7(b)に示すように、前記設定係数関数Fuと同様折れ線関数であるが、屈曲点及び比例定数が異なる。なお、この設定係数関数Fdは、曲線関数とすることができるが、演算処理量が増大し、またPID係数の調整が困難になるという問題がある。
次に、制御値算出部5c2は、以下の式により、上記(11)〜(13)により得られたP’I’D’係数をバルブ開度量に基づいて変更する(ステップS22)。
P”=P’×Gd(V) ・・・(14)
I”=I’×Gd(V) ・・・(15)
D”=D’×Gd(V) ・・・(16)
ここで、Gd()は、バルブ開度量に固有の関数であるバルブ開度量係数関数であり、Vはバルブ開度量を示す。このバルブ開度量係数関数Gdは、図7(b)に示すように、前記バルブ開度量係数関数Fdと同様比例関数であるが、前記バルブ開度量係数関数Fdの比例定数とは異なる比例定数である。なお、このバルブ開度量係数関数Gdは折れ線関数又は曲線関数とすることもできる。曲線関数とした場合、演算処理量が増大し、またPID係数の調整が困難になるという問題がある。
以上により、制御値算出部5c2は、バルブ開度量の時間変化量が負の場合に、流量設定値及びバルブ開度量に基づいてP、I、DをP”、I”、D”に変更し、当該PID係数(比例係数P”、積分係数I”及び微分係数D”)を用いて、式(1)に基づいて、偏差にPID演算を施してフィードバック制御値を算出する(ステップS19)。
一方、そうでない場合(ステップS13)には、制御値算出部5c2が、やはり上記式(3)に基づいて、PID係数を算出し(ステップS23)、得られたPID係数及び偏差を用いて、上記式(1)に基づいて、フィードバック制御値の算出を行う(ステップS24)。このとき、Yには0を代入してバルブ開度量変動を無視して計算する。
このようにしてフィードバック制御値が算出されると、開度制御信号出力部5dが、そのフィードバック制御値に基づいて開度制御信号を生成し、その開度制御信号を流量制御バルブ3に出力し、その弁開度を変えて流量調整を行う(ステップS26)。
一方で、流量出力部5eの動作に着目すれば、前記変化期間においては、流量測定値がそのまま流量表示値となるように、すなわち、Z=1、Y1=0として前記流量測定値に式(4)に示される演算を施して流量表示値を求める(ステップS9)。
また、前記安定期間では、原則的には、流量測定値を時間的に鈍らせて、すなわち0<Z≦1、Y1=0として前記流量測定値に式(4)に示される演算を施して流量表示値を求め、その値を有する流量表示信号を、外部に出力する(ステップS25)。
ただし、同安定期間において、電圧検出部4のバルブ開度量信号の示すバルブ開度量が所定量以上(例えば、圧力換算して10kPa以上)変動している場合には、前記流量測定値をバルブ開度量の時間微分値で補正した上でさらに時間的に鈍らせて、すなわち、0<Z≦1、Y1≠0として前記流量測定値に式(4)に示される演算を施して流量表示値を求める(ステップS20)。
そして、このようにして求めた流量表示値を有する流量表示信号を、外部に出力する(ステップS11、S27)。
したがって、このようなマスフローコントローラ100によれば、安定期間と変化期間とで制御を切り替えているので、流量設定値が変化する変化期間では、その変化後の流量設定値に実流量を非常に速く追随させることができ、流量設定値がほとんど変化しない安定期間では、一次側などで圧力(マスフローコントローラ100の上流側の圧力)の変動が生じても、一次側圧力センサを設けることなく、それに対する過敏反応を抑えて実流量の安定化を図ることができる。また、少なくとも安定期間において、算出式(1)に示すように、算出式に、電圧検出部4で検知したバルブ開度量をパラメータとしてさらに含めるようにしているので、一次側圧力変動に追随して実流量の安定化を図ることができる。
さらに、外部に出力される流量表示信号の値(流量表示値)も、安定期間においては、前記流量測定値を時間的に鈍らせたものを用いたり、あるいはバルブ開度量によって補正を加えるようにしているため、一次側等の圧力変化に過敏に反応することなく、その流量表示値を安定させて実際の流量値に近づけることができる。
次に本実施形態のマスフローコントローラ100を用いた試験結果を図8及び図9に示す。図8は、窒素(N)ガスを一定流量に制御するにあたり、流量設定値をフルスケール(1slmF.S.)の10%とした場合において、一次側圧力の変動に対するバルブ開度量の変動及び実流量の変動を示す図である。また、図9は、八フッ化シクロブタン(C)ガスを一定流量に制御するにあたり、流量設定値をフルスケール(50sccmF.S.)の10%とした場合において、一次側圧力の変動に対するバルブ開度量の変動及び実流量の変動を示す図である。なお、図8及び図9において、横軸は時間、縦軸は流量値、圧力値及びバルブ開度量であり、上段のグラフは従来のマスフローコントローラを用いた流量制御を示し、下段のグラフは本実施形態のマスフローコントローラ100を用いた流量制御を示している。
これらの図から分かるように、一次側圧力が変動するとそれに伴いバルブ開度量が変動している。そして、本実施形態のマスフローコントローラ100を用いて流量制御したものでは、一次側圧力変動により実流量が大きくふらつくことなく、実流量の過敏な反応を抑えて実流量がほぼ安定に保たれていることが分かる。
<1−3.第1実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係るマスフローコントローラ100によれば、一次側圧力と相関するバルブ開度量を用いて流量制御バルブ3の開度制御信号を算出するようにしているので、別途一次側圧力を測定する圧力センサを設けることなく、一次側圧力に変動があっても、その変動に起因する流量変動をバルブ開度量を用いて補正することができる。したがって、一次側圧力センサを設ける必要がないので、部品点数の削減及び小型化を実現しつつ、PI性能を有するマスフローコントローラを提供することができる。
<2.第2実施形態>
前記第1実施形態では、偏差算出部5c1において、流量測定値と流量設定値との偏差を求めるようにしていたが、これに限られず、流量測定値又はそれを補正した値と、流量設定値又はそれを補正した値との偏差を算出するようにしてもよい。
そこで、この第2実施形態では、偏差算出部5c1において、前記流量測定値をバルブ開度量を用いて補正した値と流量設定値との偏差を算出するようにしたものにつき、図10を用いて説明する。
なお、図10に示す各部のうち、第1実施形態と同様のものについては同様の符号を付すとともに説明を省略し、異なるものについてのみを説明する。
偏差算出部51c1は、まず、バルブ開度量(時間変化量)にゲインを乗算したものに基づいて流量測定値を補正する。具体的には、下式(17)に示すように流量測定値に対してX・ΔVを加算又は減算する。
OUT_new=OUT+X・ΔV・・・(17)
ここで、OUT_newは圧力による補正後の流量測定値(補正流量測定値)、OUTはサンプリングされた流量測定値、ΔVは電圧検出部4で検出したバルブ開度量の時間変化量、Xは前記ゲイン調整係数を示し、ここでは一定値である。
かかる補正は、安定期間または変化期間を問わず、また一定以上バルブ開度量が変動しているか否かを問わず行うようにしてよい。このようにすれば、安定期間または変化期間を問わずに、すなわち全期間においてバルブ開度量変動(圧力変動)が生じ流量センサ部2がそれに引きずられた流量測定値を出力した場合であっても、それを補正し、流量センサ部2と流量制御バルブ3間を流れる実際の流量に対して適切にMFCのバルブ制御を行うことができる。なお,かかる補正は、安定期間にのみ行うようにしてもよいし、また、安定及び/又は変化期間で一定以上バルブ開度量が変動した場合にのみ行うようにしてもよい。
そして、この偏差算出部51c1は、前記補正流量測定値と流量設定値との偏差ε’を算出する。このε’を式で表せば以下のとおりである。
ε’=S−OUT_new
=S−(OUT+X・ΔV)・・・(6)
次に、制御値算出部51c2が、下式(7)に基づいて、流量制御バルブ3のフィードバック制御値Aを算出し、それを開度制御信号出力部へ送信する。
A=P・ε’+I∫ε’・δt+D・δε’/δt・・・(7)
この式(7)は前記式(1)に対応するものであり、第1実施形態同様、比例演算の係数Pを、変化期間においては、前記式(2)に基づいて算出し、安定期間においては、前記式(3)に基づいて算出する。
このようにして本実施形態では、少なくとも流量測定値と流量設定値とをパラメータとして含み、そしてさらに安定期間はもちろん両期間で、また、所定以上バルブ開度量が変動しているか否かを問わずバルブ開度量(時間変化量)をパラメータとして含む算出式を設けるとともに、その算出式を前記両期間で互いに異ならせて、開度制御値を算出している。
このように、バルブ開度量(特にその時間変化量)に基づいて流量測定値を補正したものと流量設定値とを比較し偏差ε’を求め、それにPID演算を施す制御系を構成することで、PID演算式中に含めてバルブ開度量変動分を直接的にバルブ動作に反映させる前述の実施形態に比し、不安定なバルブ動作の発生を可及的に抑えることができる。
<3.第3実施形態>
この第3実施形態では、第2実施形態における式(5)で、調整係数Xを一定値にしていたところ、その調整係数Xを状況に応じて異ならせるようにしている。なお、機能ブロック図は、記載のうえでは第2実施形態と同じ(図10と同じ)であるので省略する。
具体的には、Xを以下の式(7)、(8)にしたがって変化させる。
安定期間においては、
X=Q1+Q2・S ・・・(7)
変化期間においては、
X=Q1s+Q2s・S ・・・(8)
ここで、Q1、Q2、Q1s、Q2Sは、調整係数、Sは流量設定値である。
そして、これら調整係数を適宜設定することにより、変化期間、安定期間の双方において、少なくとも設定流量値が小さいほど、Xが大きくなるようにしている。これは設定流量が小さいときの方が、圧力変動の影響を受けやすく、補正を強めにかける必要があるからである。
また、変化期間と安定期間とでは、安定期間の方がXが大きくなるようにしている。これは、安定期間と同じ値のXを用いると、立ち上がり応答波形が乱れるため、Xの値を小さくして補正を弱くし、立ち上がり応答波形の乱れを防止するためである。
<4.第4実施形態>
前記第2、第3実施形態では、流量測定値にバルブ開度量による補正を施していたが、この第4実施形態では、流量設定値に、加減乗除算(特に加減算)してバルブ開度量補正を施している。なお、機能ブロック図は、記載のうえでは第2実施形態と同じ(図10と同じ)であるので省略する。
この補正を式で表すと、下記のようになる。
Snew=S+X’・ΔV ・・・(18)
この式(18)において、S_newはバルブ開度量による補正後の流量設定値(補正流量設定値)、Sは流量設定値、ΔVは電圧検出部4で検出したバルブ開度量の時間変化量、X’は調整係数を示す。
次に、この補正した流量設定値と測定流量値との偏差をとる。
その偏差ε”は以下の式(19)で表される。
ε”=Snew−OUT
=S+X’・ΔV−OUT
=S−OUT+X’・ΔV ・・・(19)
<5.その他の変形実施形態>
以上、第1〜第4実施形態に本発明の具体例を示してきたが、本発明は、これらに限られるものではない。
例えば、前記各実施形態では、バルブ開度量の変化量に調整係数を乗算したものを、元値に加減算するという補正を行っていたが、元値に乗除算するようにしてもよい。例えば、安定期間において、制御値算出部5c2が、上記算出式(3)に基づいて、フィードバック制御値の算出を行うようにしているが、次式(b)に基づいて、フィードバック制御値の算出を行うようにしてもよい。
A=(P・ε+I∫ε・δt+D・δε/δt)・ΔV・Y・・・(20)
また、圧力変動を寄与させる箇所、すなわちバルブ開度量(駆動電圧関連値)で補正を行う箇所は、前記各実施形態で示したように、フィードバック制御値、流量設定値、流量測定値の3箇所に限られず、流量センサ2から流量制御バルブ3までの入出力伝達系のいずれか1以上の箇所で行えばよい。
また、流量表示値に関しても、バルブ開度量(駆動電圧関連値)で補正することは有効である。
さらに、上述した補正を常に行う必要はなく、安定期間、変化期間、あるいはそれら期間のうちのさらに条件が限定されたある期間において、補正を行ってよいし、期間が変われば、補正の算出式(大きく言えば制御の算出式)を、調整係数を変えるなどして異ならせても構わない。このことにより、製品特性やその製品が適用されるシステム全体の特性にそれぞれマッチした良好で細やかな制御を行うことが可能になる。
また、変化期間は常に一定でなくともよく、変化期間の終了を、タイマー以外の何らかのトリガによって行っても良い。その一例としては、前記変化期間を、流量測定値と流量設定値との偏差が一定の範囲内に収束した時点で終了するようにしたものが挙げられる。
各期間において用いられる関数は、変動しない一定のものであってもよいし、変動するものであっても良い。
例えば、前記変化期間において用いられる関数(第1の関数)の値が、時間経過とともに、徐々に(段階的ないし連続的に)変化するように構成したものが考えられる。この場合、変化期間から安定期間に切り替わる際の、第1の関数の値と第2の関数の値とがほぼ同じとなるようにする、すなわち切り替わり時の制御係数(ゲイン)がほぼ同じとなるように構成すれば、切り替わり時の制御係数の変動による制御不安定要素を払拭することができる。
また、制御バルブを流量センサ部の上流側に設けてもよいし、流量センサ部は、前記サーマルセンサに限られるものではなく、差圧式センサなど他の流量測定方式のものであってもよい。
なお、前記実施形態の流量制御バルブは、ピエゾバルブを用いたものであったが、その他、一定の流量制御時において、一次側圧力変動に対して駆動電圧(バルブ開度量)が一定の関係を有し、駆動電圧(バルブ開度量)とストローク分解能(弁開度)とにリニア特性又はこれに類似する特性を有するものであれば、ソレノイドを用いたソレノイドバルブを用いたものであっても良い。
さらに、前記実施形態の電圧検出部は、電圧検出回路及びバルブ開度量変換回路を有するものであったが、電圧検出部が電圧検出回路から構成され、制御部がバルブ開度量変換回路を有するものであっても良い。この場合、電圧検出部は、アクチュエータに印加される駆動電圧に応じた値を有する駆動電圧信号を制御部に出力し、当該駆動電圧信号を受信した制御部のバルブ開度量変換回路が駆動電圧信号をバルブ開度量信号に変換する。
加えて、前記実施形態では駆動電圧に関連する値であるバルブ開度量(変化量)を用いてフィードバック制御値を算出するものであったが、バルブ開度量に変換することなく、駆動電圧値そのものや、駆動電圧の時間微分値を用いてフィードバック制御値を算出するようにしても良い。
その上、バルブ開度量検出部として電圧検出部(バルブ開度量変換回路を含む)を用いているが、その他、バルブ開度量検出部を、アクチュエータを流れる電流を検出する電流検出回路と、当該電流検出部により得られた電流値をバルブ開度量に変換するバルブ開度量変換回路とに構成しても良いし、アクチュエータの温度を検出する温度検出回路と、当該温度検出回路により得られた温度値をバルブ開度量に変換するバルブ開度量変換回路とにより構成しても良い。
さらに加えて、前記実施形態では、部品点数の削減及び小型化の観点から一次側圧力を用いていないが、ガスラインにマスフローコントローラを設ける場合において、圧力モニタ機能が必要であれば、一次側圧力センサを設けても良い。
その他、前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
本実施形態に係るマスフローコントローラ100の全体模式図。 マスフローコントローラを用いた流量制御システムの構成例を示す図。 一次側圧力の変動に対する駆動電圧の変動を示す図。 制御部の機能ブロック図 制御フローチャート(変化期間)。 制御フローチャート(安定期間) PID係数の変更に用いる関数を示す模式図。 ガスの一定流量制御において流量設定値をフルスケールの10%とした場合の、一次側圧力の変動に対するバルブ開度量の変動及び実流量の変動を示す図。 ガスの一定流量制御において流量設定値をフルスケールの10%とした場合の、一次側圧力の変動に対するバルブ開度量の変動及び実流量の変動を示す図。 第2実施形態における制御部の機能ブロック図。
符号の説明
100・・・マスフローコントローラ
2 ・・・流量センサ
3 ・・・流量制御バルブ
4 ・・・電圧検出部
5 ・・・制御部

Claims (3)

  1. 流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサと、
    前記流量センサの上流側又は下流側に設けた流量制御バルブと、
    前記流量制御バルブの駆動電圧を検出する電圧検出部と、
    少なくとも前記流量測定信号の示す流量測定値、目標値である流量設定値及び前記電圧検出部により得られる駆動電圧をパラメータとして所定の演算式から前記流量制御バルブの開度制御信号を算出して出力する制御部と、を具備するマスフローコントローラ。
  2. 前記制御部が、前記流量設定値を所定量以上変化させた時点からの所定時間である変化期間と、それ以外の期間である安定期間とにおいて、前記算出式を互いに異ならせるとともに、少なくとも前記安定期間において、前記算出式のパラメータとして、前記駆動電圧を含むものである請求項1記載のマスフローコントローラ。
  3. 流路内を流れる流体の流量を測定し、その測定値を示す流量測定信号を出力する流量センサと、
    前記流量センサの上流側又は下流側に設けた流量制御バルブと、
    前記流量制御バルブのバルブ開度量を検出するバルブ開度量検出部と、
    少なくとも前記流量測定信号の示す流量測定値、目標値である流量設定値及び前記バルブ開度量検出部により得られるバルブ開度量をパラメータとして所定の演算式から前記流量制御バルブの開度制御信号を算出して出力する制御部と、を具備するマスフローコントローラ。
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