JP2010145790A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電防止性に優れた、液晶からなる光学異方性層を有する偏光板保護フィルム、その偏光板保護フィルムを使用した偏光板および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】視認側から、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板およびバックライト、の順で構成される液晶表示装置において、該第1の偏光板が偏光板保護フィルムT1、偏光子および偏光板保護フィルムT2、該第2の偏光板が偏光板保護フィルムT3、偏光子および偏光板保護フィルムT4の構成を、視認側からこの順で有し、該T1が、空隙率30%以上95%以下の空隙保持層を有し、該T3が、セルロースエステルフィルムの一方の面に棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層および帯電防止層を有する光学フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、液晶からなる光学異方性層および帯電防止層を有する光学フィルムを使用した液晶表示装置に関する。
液晶表示装置としては、視野角特性に優れた横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置および、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。
近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の提案された方式の多くは、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を、位相差フィルム等の光学補償シートを使用して視野角を改善する方式であるために、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを十分に解決できないという問題がある。
そこで特許文献1では、支持体上に光学補償シートに垂直配向してなる位相差層を光学異方性層を設ける技術が提案されている。
特許文献2には、さらにその層に添加剤を併用することにより視野角だけでなく、位相差ムラを原因とする画面のムラも改善する技術が提案されている。
一方、液晶表示装置には、多数のプラスチックフィルムが使用されるため、非常に帯電し易い状態にあり、この静電気が液晶セルの液晶配列の乱れ、基板IC故障の原因となるため、プラスチックフィルムには帯電防止層を設けることが行われてきた(特許文献3)。
この帯電防止層は、液晶表示装置内の配置された位置によって効果の大小があることから、その位置は液晶表示装置毎に定める必要がある。
しかしながらすべてのプラスチックフィルムに帯電防止層を設けることはコスト的にできず、液晶表示装置の設計の制約となっていた。
特に、IPSモードの偏光板を貼合した後の保護フィルムの剥離時に発生する液晶セルの液晶配列の乱れについては、有効な手段が求められていた。
特表2006−520008号公報 特開2007−45993号公報 特開2008−134624号公報
本発明は、環境変化に耐久性があり、液晶層の配向ムラも小さく帯電防止性に優れた液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
1.視認側から、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板およびバックライト、の順で構成される液晶表示装置において、該第1の偏光板が偏光板保護フィルムT1、偏光子および偏光板保護フィルムT2、該第2の偏光板が偏光板保護フィルムT3、偏光子および偏光板保護フィルムT4の構成を、視認側からこの順で有し、該T1が、空隙率30%以上95%以下の空隙保持層を有し、該T3が、セルロースエステルフィルムの一方の面に棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層および帯電防止層を有する光学フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
2.前記T2が、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を95:5〜30:70の質量比で、かつ相溶状態で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上1000000以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.0以上3.0以下、炭素数が3以上7以下のアシル基の置換度が1.2以上、3.0以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量Mwが75000以上280000以下である光学フィルムであることを特徴とする前記1記載の液晶表示装置。
本発明によって、環境変化に耐久性があり、液晶層の配向ムラも小さく帯電防止性に優れた液晶表示装置を得ることができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
<本発明の液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、視認側から、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板およびバックライト、の順で構成される液晶表示装置において、該第1の偏光板が偏光板保護フィルムT1、偏光子および偏光板保護フィルムT2、該第2の偏光板が偏光板保護フィルムT3、偏光子および偏光板保護フィルムT4の構成を、視認側からこの順で有し、該T1が、空隙率30%以上の空隙保持層を有し、該T3が、セルロースエステルフィルムの一方の面に棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層および帯電防止層を有する光学フィルムであることを特徴とする。
<偏光板保護フィルムT1>
本発明の偏光板保護フィルムT1は、液晶セルに対して最も視認側に位置する偏光板保護フィルムであり、偏光板保護フィルムを構成するフィルム基材の上に、空隙保持層を有する。
<空隙保持層>
本発明における空隙保持層とは、層内に空隙(空気相)を有することでフィルム基材の屈折率より低い層を形成し、該屈折率は23℃、波長550nm測定で、屈折率が1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
また、空隙保持層の膜厚は、特に限定されるものではないが、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
<空隙率>
本発明では、T1上に設けられる空隙保持層の空隙率が30%以上であることを一つの特徴としている。好ましい空隙率は、50%〜95%であり、該範囲において、より過酷な耐久性試験を実施した際、特に好ましい効果を発揮する。
本発明の空隙保持層とは層がその一部または全部に空気相を有している状態にあることを意味しており、該空気相の形成方法は、例えば、フィルム基材上に微細な凹凸形状を有する層を形成させ、凸部間の凹み部分に空気相を付与する方法、層内にミクロボイドを形成し空気相を付与する方法、中空もしくは気泡を内在する有機粒子や無機粒子を配合して空気相を付与する方法等が挙げられる。
また空隙率はミクロトームを用いてT1の断面を切り出し、該T1の空隙を有する層を電子顕微鏡(透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡)により観察し、観察した断面部分の粒子間の空隙面積、あるいは/および粒子の中空もしくは気泡部分の面積と膜厚面積の割合からの計算、空隙を有する層の凹み面積と膜厚面積の割合から求めることができる。
以下、空隙の形成について具体的に説明する。
空隙の形成には例えば以下の方法が挙げられる。
(1)空隙保持層が微細凹凸構造体を有し、該微細凹凸構造体が可視光波長以下の大きさを有し、微細凹凸構造体の外周面が、頂部から底部に傾きを有する楕円錐形状または楕円錐台形状からなるように設計されることで、凸部間にある凹部に空気領域(空気相)を有することで空隙を形成する方法。
(2)空隙保持層内に、ミクロボイドを形成して空隙を形成する方法。
(3)空隙保持層内に、中空もしくは気泡を内在する有機粒子や無機粒子を配合して空隙を形成する方法。
以下、順次説明する。
〔(1)微細凹凸構造体の形成〕
特開2004−205990号公報、特開2008−158013号公報、特開2008−176076号公報記載の原理、方法に従って空隙保持層に空隙を形成することができる。
図1は、本発明により形成される微細凹凸構造体の一例を模式的に示す斜視図である。本発明により形成される微細凹凸構造体は、微細凹凸の頂点における周期Pmaxが、可視光の波長帯域の最小波長λminである380nm以下の非常に微細な凹凸パターンを有する構造体であることが好ましい。
このような微細凹凸構造体を反射防止物品の表面に設けることによって、空気相との境界部における急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次推移する屈折率変化に変えることが可能となるため、該物品の表面における光反射が減少する。
微細凹凸構造体1は、図1の如く、その最凸部1tにおける周期をPmaxとしたときに、このPmaxが、可視光の波長帯域の最小波長λminである380nm以下とすれば、微細凹凸構造体の形成面への到達光は、媒質(支持体及び空気)の屈折率に空間的な分布があっても、その分布が直接に光に作用せず、平均化されたものとして作用する。従って、平均化された後の屈折率(有効屈折率)を光が進行すると連続的に変化する分布となり、光の反射を低下できる。
なお、ここで、より厳密に言うと、物体中での光の波長は、真空中の波長をλ、物体の屈折率をnとしたときに、λ/nとなり、λよりは一般にある程度小となる。但し、物体が空気の場合の屈折率は、n≒1のため、本発明では、λ/n≒λと考えている。
微細凹凸構造体は、これを凹凸方向と直交する面(XY平面)で切断したと仮定したときに、断面内における微細凹凸構造体の材料部分の断面積占有率が、最凸部(頂上)から最凹部(谷底)に行くに従って漸次増加していく形状、すなわち凹凸の側面の少なくとも一部が、谷底に向かって広がる斜面形状、または最凸部(頂上)から最凹部(谷底)に行くに従って漸次減少していく形状、すなわち凹凸の側面の少なくとも一部が、谷底に向かって狭まる斜面形状、のどちらの形状でもよいが、微細凹凸構造体の外周面が、頂部から底部にある傾きを有する錐体形状が、成形しやすく、厚み方向の屈折率を連続的に変化させ、反射率の低減効果が得られやすい事から、好ましい。
錐体形状としては、四角錐、三角錐といった多角錐、楕円錐形状または楕円錐台形状等が挙げられ、特に好ましくは楕円錐形状または楕円錐台形状であり、具体的には、水平断面の材料部分の断面積占有率が最凸部において0に収束し、最凹部において1に収束する形状とする例えば、図2の(A)、(C)、(E)および(F)が挙げられる。
また、特開2008−176076号公報図9〜11、図22の形状を有する微細凹凸構造体であることが好ましい。
微細凹凸構造体は、凹凸の高さが高いほど反射防止性能が高いとされており、照射光の波長と同一か又はそれ以上の高さであることが好ましい。そのため、狭く且つ/又は深い微細凹凸構造体を形成するために、周期および高さの再現性が求められる。
微細凹凸構造体を再現性よく形成するには、例えば、フィルム基材上に固体状の硬化性樹脂組成物からなる凹凸構造形成層を設け、スタンパーを圧接してエンボス加工を行うことにより、微細凹凸構造を賦形することができる。
フィルム基材が連続フィルム状である場合には、ロールストック形態に巻き取り、必要に応じて保管、移動した後でフィルム基材を繰り出し、凹凸構造体形成層を設け、次いでエンボス工程に供給しながら連続的にエンボス加工を行うことができるので、大量生産に非常に適している。
用いられるフィルム基材としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系高分子(代表的にはノルボルネン系樹脂等があるが、例えば、日本ゼオン株式会社製の製品名「ゼオノア」、JSR株式会社製の「アートン」等がある)等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、或いは、ガラス(セラミックスを含む)等が挙げられるが、後述するセルロース系樹脂が透明性、光学的等方性、鹸化処理等の加工適性が優れるため好ましい。
硬化性樹脂組成物は、エンボス加工により形成した微細凹凸構造を固定すると共に、強度等の充分な被膜物性を得るために硬化性を必要とする。
硬化性を発揮するための反応としては、例えば、光硬化性、熱硬化性等が挙げられる。光硬化性樹脂組成物は、エンボス加工のプロセス温度よりも低い温度で硬化させることができ、硬化工程でのパターン崩れを起こし難いので好ましい。
硬化性樹脂組成物は、バインダーポリマーに、必要に応じて光硬化性や熱硬化性等の硬化反応を引き起こし、促進し又は調節する成分および他の成分を配合することにより調製される。
バインダーポリマーは、それ自体が硬化性を有しているものおよび有していないもののいずれを用いてもよく、また、2種類以上のバインダーポリマーを組み合わせて用いても良い。
バインダーポリマーが硬化性を有しない場合には、硬化性を有するモノマー又はオリゴマーを1種以上使用することで、樹脂組成物に硬化性を付与することができる。
バインダーポリマーとしては、フィルム基材等の支持体上に塗布した時に微細凹凸構造を賦形するのに充分な厚さの皮膜とすることができる成膜性を有すると共に、硬化後において光学物品の用途に応じて、透明性、強度、耐擦傷性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性、可とう性等の一般的性質を満足する微細凹凸の表面構造を形成し得るポリマーを用いる。
例えば、アクリル樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、スチロール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、スチレン−イソプレンゴム等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の中でも本発明の空隙保持層は、後述するカチオン性重合化合物、およびカチオン重合開始剤を少なくとも含有することが好ましい。
また、他の光重合開始剤、重合禁止剤等の光硬化系成分を配合し、さらに離型剤、有機金属カップリング剤等の他の成分を配合して調製することができる。
光重合開始剤は、光硬化性樹脂組成物の固形分全量に対して0.5〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。光重合開始剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化性樹脂組成物に離型剤を配合することにより、硬化性樹脂組成物の層に押し付けたスタンパーを取り外す時に樹脂の版取られを防止し、スタンパーを長期間連続して使用(反復エンボス性)することができるようになる。
離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。
特に好ましいのはシリコーン系離型剤であり、ポリシロキサン、変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサン、シリコーン系アクリル樹脂等がある。
硬化性樹脂組成物には、微細凹凸構造体の耐熱性、強度、或いは、金属蒸着層との密着性を高めるために、有機金属カップリング剤を配合してもよい。また、有機金属カップリング剤は、熱硬化反応を促進させる効果も持つため有効である。
有機金属カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、スズカップリング剤等の各種カップリング剤を使用できる。
また、硬化性樹脂組成物には透明性、滑り性、屈折率の調整を目的に有機粒子、無機粒子を含有させることも好ましい。特に好ましくはサブミクロンオーダーの粒径を有するコロイダルシリカ(SiO)である。
硬化性樹脂組成物は、通常、希釈溶剤を用いて塗布液の状態に調製し、凹凸パターン形成層の形成に用いる。
上記したような各材料を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤に溶解、分散することにより、塗布液を調製することができる。塗布液は、通常、固形分濃度が10〜50質量%程度となるように調節される。
上記硬化性樹脂組成物をフィルム基材等の支持体の表面に塗布し、必要に応じて乾燥させて微細凹凸構造体形成層を形成することにより、凹凸構造受容体が作製される。
微細凹凸構造体は光の波長以下の周期構造をもつ非常に微細な構造を有することから、微細凹凸構造体形成層の厚さは、通常0.3〜5μm程度で充分であり、0.5〜3μmの範囲であることが好ましい。
連続フィルム状の凹凸構造受容体を作製する一例を示すと、先ず、トリアセチルセルロース等の連続プラスチックからなるフィルム基材(支持体)をロールストックから繰り出す。
繰り出したフィルム基材の上に、光硬化性樹脂組成物からなる微細凹凸構造体形成材料(例えば硬化性樹脂組成物)をグラビアコーターを用いて塗布し、次いで、組成物に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、100〜165℃に設定した加熱炉内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させて微細凹凸構造体形成層を形成して凹凸構造受容体を作製する。
上記グラビアコーター以外の塗工機としては、例えばロールコーター、カーテンコーター、フローコーター、リップコーター、ドクターブレードコーター等も使用できる。
スタンパーとしては、微細凹凸形状を最初に造形した原型は用いずに、該原型から1回、あるいは2回以上の型取・反転による複製工程を経て作製した複製型を用いるのが好ましい。
つまり、最初に一旦、原型(これを原版、或いはマザー版とも呼ぶ)を作製した後、この原型から複製型を作製する複製操作を1回又は2回以上行い、その結果、得られた複製型をスタンパーとして使用する。
この様な複製型のスタンパーは原型から容易に再作製できるので、工業的生産性、コスト等に優れており、例えば、スタンパーが傷ついた場合の交換が容易である。
賦形型の元となる原型としては、必要な微細凹凸が形成されているものであれば、その作製方法には基本的には特に限定はなく、生産性、コスト等を考慮して適宜なものを使用すれば良い。
原型の作製は、微細凹凸を賦形する為の凹凸形状を最初に造形する工程であり、半導体分野等に於ける微細加工技術、すなわち、光(電子ビームを含む)をパターン形成に利用する所謂露光法を利用できる。
但し、半導体の場合は、凹凸形状はその側面が通常垂直面で良く、本発明の如く斜面にする必要は特に無いため、本発明では、山側が谷側よりも尖った形状となる様な斜面が形成できる様にしてアレンジして微細加工する。
露光法に該当する微細加工技術としては、例えば、電子線描画法を利用できる。この方法による作製方法の一例を示せば、石英ガラス上にクロム膜(110nm厚)を成膜後、更にスピンコートにてレジストを400nm厚に塗布した後、電子線描画装置にて周期300nmのメッシュ状の描画データを用いて描画し、現像液を用い現像処理を施す。
描画条件は5〜8μC/cmである。これにより、描画データの斜線領域に対応する領域が現像により開口する。次いで、レジストの開口から露出している金属クロム膜を、塩素系のガスを用いてドライエッチングして、これを開口する。
尚、金属クロム膜のドライエッチングにはUnaxis社製ドライエッチング装置「VERSALOCK7000」が使用できる。
次いで、レジストと金属クロム膜を耐エッチング層として、フッ素系のガスを用いて石英ガラスのドライエッチングを行えば、所望の微細凹凸形状が得られる。尚、加工用素材(石英ガラス)のドライエッチングには、日本真空株式会社製「MEPS−6025D」が使用できる。
また、レジスト膜へのパターン形成に際しては、電子線描画法の他の露光法として、レーザ描画法も利用できる。レーザ描画法では、ホログラム、回折格子等の作製等に利用されているレーザ干渉法が利用できる。
回折格子の場合は、一次元的配置であるが、角度を変えて多重露光すれば、二次元配置も可能となる。
この方法による作製方法の一例を示せば、ガラス表面にレジスト(シプレイ社製のフォトレジスト「S1805」等)をスピンコートした後、2方向露光を角度を変えて2回行う。1回の露光量は80〜200mJである。
これを20〜505%に希釈した現像液(例えば、シプレイ社製の「Developer CONC」等)で現像すれば、所望の微細凹凸形状が得られる。
尚、上記レーザ干渉法では、得られる微細凹凸は、通常規則的配置となるが、これに対して、前記電子線描画法では、予め所定の描画パターン情報を記憶装置にデジタルデータとして記憶しておき、該描画パターン情報により、走査する電子線のON、OFF、乃至は強弱を変調する。
その為、規則配置の他にも、不規則配置も可能である。また、レーザ描画法および電子線描画法には各々長所、短所が有る為、設計諸元、目的、生産性等を考慮の上、適宜な手法および条件を選択する。
上記原型からスタンパーとして使用する複製型を作製する方法としては、公知の電鋳法や2P法等の公知の方法がある。
微細凹凸構造体の作製は、凹凸構造受容体の凹凸構造体形成層の表面にスタンパーを圧接して微細凹凸構造体を形成した後、凹凸構造体形成層を露光又は加熱等の適切な方法で硬化させることにより、微細凹凸構造体を作製することができる。
凹凸構造受容体がエンボスローラーの間を通過すると、凹凸構造体形成層の微細凹凸構造体が賦形された部分はスタンパーから引き剥がされ、硬化工程が行われる。
凹凸構造体形成層が光硬化性樹脂からなる場合には光照射により、また、凹凸構造体形成層が熱硬化性樹脂からなる場合には加熱により硬化させる。
硬化に用いる光としては、高エネルギー電離放射線および紫外線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。
〔(2)ミクロボイドの形成〕
空隙保持層として、無機若しくは有機の微粒子を用い、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして形成した空隙を有する層を用いることも好ましい。
微粒子の平均粒径は、0.5〜200nmであることが好ましく、1〜100nmであることがより好ましく、3〜70nmであることが更に好ましく、5〜40nmの範囲であることが最も好ましい。
微粒子の粒径は、なるべく均一(単分散)であることが好ましい。無機微粒子としては、非晶質であることが好ましい。
無機微粒子は、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物からなることが好ましく、金属酸化物または金属ハロゲン化物からなることが更に好ましく、金属酸化物または金属フッ化物からなることが最も好ましい。
金属原子としては、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが好ましく、Mg、Ca、BおよびSiが更に好ましい。二種類の金属を含む無機化合物を用いてもよい。好ましい無機化合物の具体例としては、SiO、またはMgFであり、特に好ましくはSiOである。
無機微粒子内にミクロボイドを有する粒子は、例えば、粒子を形成するシリカの分子を架橋させることにより形成することができる。
シリカの分子を架橋させると体積が縮小し、粒子が多孔質になる。ミクロボイドを有する(多孔質)無機微粒子は、ゾル−ゲル法(特開昭53−112732号、特公昭57−9051号に記載)または析出法(APPLIED OPTICS,27巻,3356頁(1988)記載)により、分散物として直接合成することができる。
また、乾燥・沈澱法で得られた粉体を、機械的に粉砕して分散物を得ることもできる。市販の多孔質無機微粒子(例えば、SiOゾル)を用いてもよい。
これらの無機微粒子は、空隙保持層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)が好ましい。
有機微粒子も非晶質であることが好ましい。有機微粒子は、モノマーの重合反応(例えば乳化重合法)により合成されるポリマー微粒子であることが好ましい。有機微粒子のポリマーはフッ素原子を含むことが好ましい。
ポリマー中のフッ素原子の割合は、35〜80質量%であることが好ましく、45〜75質量%であることが更に好ましい。
また、有機微粒子内に、例えば、粒子を形成するポリマーを架橋させ、体積を縮小させることによりミクロボイドを形成させることも好ましい。粒子を形成するポリマーを架橋させるためには、ポリマーを合成するためのモノマーの20モル%以上を多官能モノマーとすることが好ましい。
多官能モノマーの割合は、30〜80モル%であることが更に好ましく、35〜50モル%であることが最も好ましい。
上記有機微粒子の合成に用いられるモノマーとしては、含フッ素ポリマーを合成するために用いるフッ素原子を含むモノマーの例として、フルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、アクリル酸またはメタクリル酸のフッ素化アルキルエステル類およびフッ素化ビニルエーテル類が挙げられる。
フッ素原子を含むモノマーとフッ素原子を含まないモノマーとのコポリマーを用いてもよい。フッ素原子を含まないモノマーの例としては、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル類(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル)、スチレン類(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル)、アクリルアミド類(例えば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド類およびアクリルニトリル類が挙げられる。
多官能モノマーの例としては、ジエン類(例えば、ブタジエン、ペンタジエン)、多価アルコールとアクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、多価アルコールとメタクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート)、ジビニル化合物(例えば、ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルベンゼン)、ジビニルスルホン、ビスアクリルアミド類(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびビスメタクリルアミド類が挙げられる。
粒子間のミクロボイドは、微粒子を少なくとも2個以上積み重ねることにより形成することができる。尚、粒径が等しい(完全な単分散の)球状微粒子を最密充填すると、26体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。
粒径が等しい球状微粒子を単純立方充填すると、48体積%の空隙率の微粒子間ミクロボイドが形成される。
実際の空隙保持層では、微粒子の粒径の分布や粒子内ミクロボイドが存在するため、空隙率は上記の理論値からかなり変動する。空隙率を増加させると、空隙保持層の屈折率が低下する。
微粒子を積み重ねてミクロボイドを形成すると、微粒子の粒径を調整することで、粒子間ミクロボイドの大きさも適度の(光を散乱せず、空隙保持層の強度に問題が生じない)値に容易に調節できる。
更に、微粒子の粒径を均一にすることで、粒子間ミクロボイドの大きさも均一である光学的に均一な空隙保持層を得ることができる。これにより、空隙保持層は微視的にはミクロボイド含有多孔質膜であるが、光学的あるいは巨視的には均一な膜にすることができる。
粒子間ミクロボイドは、微粒子およびポリマーによって空隙保持層内で閉じていることが好ましい。即ち、空隙が層内に分散していることが好ましい。
閉じている空隙には、空隙保持層表面に開かれた開口と比較して、空隙保持層表面での光の散乱が少ないとの利点もある。
ミクロボイドを形成することにより、空隙保持層の巨視的屈折率は、空隙保持層を構成する成分の屈折率の和よりも低い値になる。層の屈折率は、層の構成要素の体積当たりの屈折率の和になる。微粒子やポリマーのような空隙保持層の構成成分の屈折率は1よりも大きな値であるのに対して、空気の屈折率は1.00である。その為、ミクロボイドを形成することによって、屈折率が非常に低い空隙保持層を得ることができる。
〔(3)中空もしくは気泡を有する粒子の配合〕
本発明の空隙保持層は中空もしくは気泡を有する粒子を含有することも好ましい。特に外殻層を有し内部が多孔質または空洞の粒子を少なくとも1種類以上含有することが好ましく、中でも該外殻層を有し内部が多孔質または空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子が好ましい。
(中空シリカ系微粒子)
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、且つ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。
なお、空隙保持層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は被覆層(粒子壁ともいう。)で覆われている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。
このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子の平均粒子径は、形成される空隙保持層の平均膜厚の3/2〜1/10好ましくは2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。
これらの中空微粒子は、空隙保持層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。
分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)およびケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)、あるいはこれらを含む混合溶媒が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。
複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部の空隙部分に進入して粒子の屈折率を増加させ、低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。
また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。
また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。
複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。
シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との1種または2種以上を挙げることができる。
このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MO)で表したときのモル比MO/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。
多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MO/SiOが、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。
細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。
溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。
また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程から中空微粒子は製造される。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。
有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。
なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。
より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。
水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類およびその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。
また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiOまたはZrO等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。
更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。
この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、または、シード粒子上に析出して粒子成長が起こる。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MO)に換算し、MO/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MO/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。
なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるような量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。
また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。
また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。
また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。なお、中空シリカ系微粒子は触媒化成(株)から市販されているものも好ましく利用することができる。
外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子の空隙保持層中の含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。
低屈折率の効果を得る上で、15質量%以上が好ましく、50質量%を超えるとバインダー成分が少なくなり膜強度が不十分となる。特に好ましくは20〜50質量%である。
空隙保持層への添加方法としては、例えばテトラアルコキシシラン、純水、およびアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。
このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。
また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。また、シリカ系微粒子は、WO2007/099814号パンフレットに記載の製造法により作製されたものを用いてもよい。
(カチオン重合性化合物)
前記空隙保持層は、バインダーとして、カチオン重合性化合物を含有することが、本発明の目的効果をより良く発揮する点から好ましい。
カチオン重合性化合物としては、エネルギー活性線照射や熱によってカチオン重合を起こして樹脂化するものであればいずれも使用できる。
具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。中でもエポキシ基やビニルエーテル基などの官能基を有する化合物が本発明においては、好適に用いられる。エポキシ基またはビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ化合物としては、ポリマー化合物も使用することができ、例えば、特開平7−247313号公報に開示されている手法で合成することができる。
また、カチオン重合性化合物として、オキセタン化合物も挙げる事ができる。オキセタン化合物としては、分子中に少なくとも1個のオキセタン環を有する化合物であればよく、このようなオキセタン化合物としては、種々のものが使用できるが、好ましい化合物として、下記の一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)の化合物である。
Figure 2010145790
(式中、Rは、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基またはフリル基を表し、mは1〜4の整数を表し、Zは酸素または硫黄を表し、Rはmの値に応じて1〜4価の有機基を表す。)
Figure 2010145790
(式中、RおよびR10は各々独立して、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基またはフリル基を表す。)
Figure 2010145790
(式中、R11は、水素、フッ素、アルキル基、フルオロアルキル基、アリル基、アリール基またはフリル基を表し、R12は水素または不活性な1価の有機基を表し、R13は加水分解可能な官能基を表し、nは1〜5の整数を表し、pは0〜2の整数を表す。)
上記一般式(I)〜(III)において、R、R、R10、R11がアルキル基の場合、その炭素数は1〜6程度であることができ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどが挙げられる。またフルオロアルキル基も、炭素数1〜6程度であることができる。更にアリール基は、典型的にはフェニルまたはナフチルであり、これらは他の基で置換されていてもよい。
また、上記一般式(I)においてRで表される有機基は、特に限定されないが、例えば、mが1の場合は、アルキル基、フェニル基などが、mが2の場合は、炭素数1〜12の直鎖または分枝状アルキレン基、直鎖または分枝状のポリ(アルキレンオキシ)基などが、mが3または4の場合は、類似の多価官能基が挙げられる。
上記一般式(II)においてR12で表される不活性な1価の有機基として、典型的には炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、またR13で表される加水分解可能な官能基としては、例えば、メトキシやエトキシなどを包含する炭素数1〜5のアルコキシ基、塩素原子や臭素原子のようなハロゲン原子などが挙げられる。
更に、必要に応じて水素結合形成基を有するモノマーを含む(共)重合体で、主鎖や側鎖にオキセタニル基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども使用できる。
また、下記一般式で示されるような含フッ素のビニルエーテル化合物を用いてもよい。
CH=CH−O−(CH)a−O−(CH)b−Rf−(CH)b−O−(CH)a−O−CH=CH
(式中、Rfはフッ素含有アルキル基、aは1〜2、bは0〜3の整数を表す。Rfは直鎖或いは分枝のアルキル基のいずれであってもよい。)
具体的化合物としては次の通りである。
CH=CH−O−CH−O−(CF)k−O−CH−O−CH=CH
CH=CH−O−CH−O−CH−(CF)k−CH−O−CH−O−CH=CH
CH=CH−O−CH−O−(CH−(CF)k−(CH−O−CH−O−CH=CH
CH=CH−O−CH−O−(CH−(CF)k−(CH−O−CH−O−CH=CH
CH=CH−O−(CH−O−(CF)k−O−(CH−O−CH=CH
CH=CH−O−(CH−O−CH−(CF)k−CH−O−(CH−O−CH=CH
CH=CH−O−(CH−O−(CH−(CF)k−(CH−O−(CH−O−CH=CH
CH=CH−O−(CH−O−(CH−(CF)k−(CH−O−(CH−O−CH=CH
上記において、kは好ましくは2以上12以下の整数であり、更に好ましくは、kが4以上10以下である。上記含フッ素のビニルエーテル化合物は、含フッ素ジアルコール体とハロゲン基をもつビニルエーテルをアルカリ触媒下で反応させることによって製造することができる。また、含フッ素エポキシ化合物を含有してもよく、例えば特開平11−309830号公報の一般式(1)〜(4)に記載の化合物を用いることができる。具体的には以下に示す含フッ素エポキシ化合物1〜4の化合物を挙げる事ができるが、これらに限定されない。
含フッ素エポキシ化合物1
Figure 2010145790
含フッ素エポキシ化合物2
Figure 2010145790
含フッ素エポキシ化合物3
Figure 2010145790
含フッ素エポキシ化合物4
Figure 2010145790
その他、特開2007−254650号公報段落番号[116]〜[126]に記載の化合物を挙げることもできる。
上記したカチオン重合性化合物は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(カチオン重合促進剤)
また、カチオン重合性化合物の重合を促進する化合物として、公知の酸や光酸発生剤を挙げる事ができる。光酸発生剤としては、カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の化合物およびそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えば、オニウム化合物、有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物が挙げられ、好ましくは、オニウム化合物である。オニウム化合物としては、以下の各式に示されるジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが好適に使用される。
ArN
(R)
(R)
式中、Arはアリール基を表し、Rはアリール基または炭素数1〜20のアルキル基を表し、一分子内にRが複数回現れる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Zは非塩基性でかつ非求核性の陰イオンを表す。
上記各式において、ArまたはRで表されるアリール基も、典型的にはフェニルやナフチルであり、これらは適当な基で置換されていてもよい。また、Zで表される陰イオンとして具体的には、テトラフルオロボレートイオン(BF )、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン(B(C )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF )、ヘキサフルオロアーセネートイオン(AsF )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン(SbF )、ヘキサクロロアンチモネートイオン(SbCl )、硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(ClO )などが挙げられる。
その他のオニウム化合物としては、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩、ホウ素塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号公報の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号[0035]に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号公報の段落番号[0010]〜[0011]に記載のジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号[0017]に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号[0030]〜[0033]に記載のオニウム塩等が挙げられる。
光酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号[0059]〜[0062]に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。これら化合物の多くは市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の開始剤としては、例えば、ダウケミカル日本(株)から販売されている“サイラキュアUVI−6990”(商品名)、各々(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトマーSP−150”(商品名)、“アデカオプトマーSP−300”(商品名)、ローディアジャパン(株)から販売されている“RHODORSIL PHOTOINITIAOR2074”(商品名)などが挙げられる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物なども挙げられる。
酸としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの酸や光酸発生剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部の割合で添加することである。添加量が上記範囲において、硬化性組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
また、本発明の空隙保持層は、バインダーとしてラジカル重合性化合物を含有することもできる。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。また、ラジカル重合性化合物としては、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、およびジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボロニルアクリレート等が好ましく挙げられる。
これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
市販品の多官能アクリレートとしては、アデカオプトマーKR・BYシリーズ:KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(旭電化(株)製);コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(広栄化学(株)製);セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(大日精化工業(株)製);KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(ダイセル・ユーシービー(株)製);RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(大日本インキ化学工業(株)製);オーレックスNo.340クリヤ(中国塗料(株)製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507(昭和高分子(株)製);RCC−15C(グレース・ジャパン(株)製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(東亞合成(株)製);B420(新中村化学工業(株)製)等を適宜選択して利用できる。
ラジカル重合性化合物の添加量は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(ラジカル重合促進剤)
ラジカル重合性化合物の硬化促進のために、光重合開始剤をラジカル重合性化合物と併用して用いることが好ましい。光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを併用して用いる場合には、光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを質量比で20:100〜0.01:100含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
(珪素化合物)
空隙保持層には、下記一般式(A)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物或いはその重縮合物を含有しても良い。
R2SiX24−m ・・・(A)
式中、R2はエポキシ基、X2は水酸基または加水分解可能な置換基であり、mは0〜3の整数である。
一般式(A)で示されるエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物のR2は特に制限はないが、例えば2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、3−グリシドキシブチル基等のグリシドキシC1〜C4アルキル基、好ましくはグリシドキシC1〜C3アルキル基、グリシジル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のオキシラン基を持ったC5〜C8のシクロアルキル基で置換されたC1〜C3アルキル基が挙げられる。これらの中で2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。これらの置換基R2を有する一般式(1)の化合物として用いることのできる化合物の好ましい具体例として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4)−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは単独でも2種以上使用してもよい。
アルコキシシラン化合物は、例えば、特開平10−324749号、特開平6−298940号公報に記載の方法で製造する事が出来る。特開2006−348061号に記載されているように塩基触媒下で、一般式(1)のアルコキシシラン化合物を(共)縮合させて得る事も出来る。その場合、(共)縮合を促進するため、必要に応じ水を添加することができる。水の添加量は、反応混合物全体のアルコキシ基1モルに対し、通常0.05〜1.5モル、好ましくは0.1〜1.2モルである。縮合反応に使用する触媒は塩基性であれば特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機塩基を使用する事が出来る。これらの中でも、特に生成物からの触媒除去が容易である点で無機塩基又はアンモニアが好ましい。触媒の添加量としては、アルコキシシラン化合物の量に対し、通常5×10−4〜7.5質量%、好ましくは1×10−3〜5質量%である。上記縮合反応は、無溶剤または溶剤中で行うことができる。溶剤を用いる場合の溶剤としては、アルコキシシラン化合物を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの非極性溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、好ましくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンである。
更に、下記一般式(OSi−2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有しても良い。
Figure 2010145790
前記一般式(OSi−2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物について説明する。
式中、R〜Rは炭素数1〜16、好ましくは1〜4のアルキル基、炭素数1〜6、好ましくは1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12、好ましくは6〜10のアリール基、炭素数7〜14、好ましくは7〜12のアルキルアリール基、アリールアルキル基、炭素数2〜8、好ましくは2〜6のアルケニル基、または炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルコキシ基、水素原子またはハロゲン原子を示す。
Rfは−(CaHbFc)−を表し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数を示す。このようなRfとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。具体的に、このような含フッ素シリコーン系化合物としては、(MeO)SiCSi(MeO)、(MeO)SiCSi(MeO)、(MeO)SiC12Si(MeO)、(HO)SiCSi(OC、(HO)SiC12Si(OCで表されるメトキシジシラン化合物等が挙げられる。
空隙保持層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシランおよびメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよびγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)およびその加水分解物が挙げられる。
また、空隙保持層にはCF(CF)nCHCHSi(OR1)で表される珪素化合物を含有してもよい。(式中、R1は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、そしてnは、0〜12の整数を表す。)具体的化合物としては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。また、HNCONH(CH)mSi(OR2)で表される末端位にウレイド基(HNCONH−)を有する珪素化合物を含有してもよい。(式中、R2は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)具体的化合物としては、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリプロポキシシランなどが挙げられる。これらの中でもγ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが特に好ましい。
その他、空隙保持層はバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、フルオロアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂等を用いることができる。
空隙保持層は、全体で5〜95質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、空隙を含む空隙保持層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく空隙保持層の強度を維持できるように適宜調整する。
(溶媒)
空隙保持層を形成する場合は有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
空隙保持層塗布組成物中の固形分濃度は1〜4質量%であることが好ましく、該固形分濃度が4質量%以下にすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上にすることによって乾燥負荷が軽減される。
空隙保持層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、空隙保持層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
また、空隙保持層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行う工程を含んでもよい。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
<T1に設けられる空隙保持層以外の層>
T1には、空隙保持層以外の層を設けることができる。例えば、T1のフィルム基材と空隙保持層の間にハードコート層、空隙保持層の上に反射防止層等を設けることができる。
(ハードコート層)
ハードコート層は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の熱可塑性アクリル樹脂、空隙保持層に用いることのできるラジカル重合性化合物、ラジカル重合促進剤、カチオン重合性化合物、カチオン重合促進剤、その他公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーなどを、バインダーとして用いることが好ましい。
また、ハードコート層には耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでもよい。
ハードコート層に使用される無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物を加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が挙げられる。フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えば日本ペイント製:FS−701等の市販品が挙げられる。また、アクリル粒子として、例えば日本ペイント製:S−4000,アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製:S−1200、MG−251等が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、更に、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。紫外線硬化性樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。
更にハードコート層には、シリコーン系界面活性剤或いはポリオキシエーテル化合物を含有させることが好ましい。シリコーン系界面活性剤としてはポリエーテル変性シリコーンが好ましく、具体的には、BYK−UV3500,BYK−UV3510、BYK−333、BYK−331、BYK−337(ビックケミ−ジャパン社製)、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452、TSF4460(GE東芝シリコーン製)、KF−351、KF−351A、KF−352、KF−353、KF−354、KF−355、KF−615、KF−618、KF−945、KF−6004(ポリエーテル変性シリコーンオイル;信越化学工業社製)等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、ポリオキシエーテル化合物の中では、好ましくはポリオキシエチレンオレイルエーテル化合物であり、一般的に一般式(α)で表される化合物である。
一般式(α) C1835−O(CO)nH
式中、nは2〜40を表す。
オレイル部分に対するエチレンオキシドの平均付加個数(n)は、2〜40であり、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは2〜8である。また一般式(α)の化合物はエチレンオキシドとオレイルアルコールとを反応させて得られる。
具体的商品としては、エマルゲン404(ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル)、エマルゲン408(ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル)、エマルゲン409P(ポリオキシエチレン(9)オレイルエーテル)、エマルゲン420(ポリオキシエチレン(13)オレイルエーテル)、エマルゲン430(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル)以上花王社製、日本油脂製NOFABLEEAO−9905(ポリオキシエチレン(5)オレイルエーテル)等が挙げられる。
尚、( )がnの数字を表す。非イオン性のポリオキシエーテル化合物は単独或いは2種以上を併用しても良い。
これらは塗布性を高め、これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
また、ハードコート層にはフッ素−シロキサングラフトポリマーを含有しても良い。
フッ素−シロキサングラフトポリマーとは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサンおよび/またはオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサンまたはオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体のポリマーをいう。
市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。
またこれら化合物は混合して用いても良い。フッ素−シロキサングラフトポリマーは活性光線硬化型樹脂との含有質量比率をフッ素−シロキサングラフトポリマー:エネルギー活性線硬化樹脂=0.05:100〜5.00:100で用いることが塗布液中の安定性から好ましい。
また、ハードコート層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。本発明においては、ハードコート層が積層体からなり、フィルム基材と隣接するハードコート層が熱可塑性アクリル樹脂を含有することは、より過酷な試験条件においても本発明の目的効果をより良く発揮される点から好ましい。
また、その中の1層、または全層とも、例えば導電性微粒子、π共役系導電性ポリマー、または、イオン性ポリマーを含有する所謂導電性層としてもよい。π共役系導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−N−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でも良いし、2種からなる共重合体でも好適に用いることができる。
ハードコート層塗布液の塗布方法としては、前述のものを用いることができる。塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては1〜20μmの範囲であることが好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層、または微粒子等を添加しRaが0.1〜1μmに調整された防眩性ハードコート層であってもよい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定することができる。
<フィルム基材>
T1を構成するフィルム基材としては、通常の偏光板保護フィルムとして使用することができる樹脂フィルムをそのまま使用することができる。例えば、セルロースエステルフィルム、シクロオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等を挙げることができる。このなかでも、セルロースエステルフィルムであることが好ましい。
市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)を好ましく使用することができる。
<偏光板保護フィルムT3>
本発明の偏光板保護フィルムT3は、偏光板保護フィルムを構成するフィルム基材の上に、帯電防止層と棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層とを有することを特徴とする。
<帯電防止層>
本発明の帯電防止層は、公知の帯電防止層をそのまま使用でき、その構成は、バインダー樹脂と帯電防止剤の混合物であることが好ましい。
バインダー樹脂100質量部に対し、帯電防止剤を1〜30質量部含有することが好ましい。
帯電防止剤としては、特に制限はなく、公知の帯電防止剤を用いることができるが、その中でも、アニオン性帯電防止剤、カチオン性帯電防止剤、非イオン性帯電防止剤、両性イオン性帯電防止剤、高分子帯電防止剤および導電性微粒子から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに好ましくは導電性微粒子であり、特に好ましくは酸化セリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモンおよび酸化シリコンから選ばれる少なくとも1種である。
以下、本発明に適用できる帯電防止剤について、さらに説明する。
アニオン性帯電防止剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アミンおよび脂肪属アマイドの硫酸塩類、脂肪属アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、脂肪族アミドスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合のナフタリンスルホン酸塩類等が挙げられ、カチオン性帯電防止剤としては、例えば、脂肪族アミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩等が挙げられる。
非イオン性帯電防止剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等が挙げられ、両性イオン性帯電防止剤としては、例えば、イミダゾリン誘導体、ベタイン型高級アルキルアミノ誘導体、硫酸エステル誘導体、リン酸エステル誘導体等が挙げられ、具体的な化合物は、丸茂秀雄著「帯電防止剤 高分子の表面改質」幸書房、増補「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧 p333〜p455」化学工業社刊、特開平11−256143号、特公昭52−32572号、特開平10−158484号等に記載されている。
好ましい帯電防止剤としては、アニオン性帯電防止剤やカチオン性帯電防止剤といったイオン性高分子化合物を挙げることができる。
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物;特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号等にみられるような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマー:特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー、特開平5−230161号にみられるようなグラフト共重合体等を挙げることができる。
本発明において好ましく用いることのできる帯電防止剤は、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマーあるいは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマー等である。
架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、微粒子内のカチオン成分を高濃度、高密度にもたせることができるため、優れた導電性を有しているばかりでなく、樹脂との相溶性が良く、高い透明性が選られることにある、さらに低相対湿度下においても導電性の劣化は見られない。
帯電防止に用いられる架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒状ポリマーは一般に約0.01〜0.3μmの微粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05〜0.15μmの範囲の微粒子サイズが用いられる。
また、本発明において特に好ましく用いることのできる導電性微粒子としては、金属酸化物の例として、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、CeO、Sb、MoO、VOあるいはこれらの複合酸化物が好ましく、特に、CeO、In、SnO、Sb、およびSiOが好ましい。
異種原子を含む例としては、例えば、ZnOに対してはAl、In等の添加、TiOに対してはNb、Ta等の添加、またSnOに対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
本発明においては、導電性微粒子の平均微粒子径が100nm以下であることが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。導電性微粒子の平均微粒子径が100nm以下であれば、樹脂材料に含有した際に、十分な帯電特性を付与できると共に、樹脂材料の透明性を損なうことがないため好ましい。
特に好ましい帯電防止剤は、帯電防止性能と添加量の関係から、表面固有抵抗値が1×10〜1×1011Ωのものが好ましい。
表面固有抵抗値は、試料を23℃、50%RHの雰囲気で24時間調湿した後、超絶縁計を用いて、ASTM D257に準拠し測定する。
帯電防止層は、前述の帯電防止剤を有する混合物を光学素子表面に塗布することにより設けてもよいし、蒸着のような方法によって設けてもよい。なお、帯電防止層の厚さは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
<フィルム基材としてのセルロースエステルフィルム>
本発明のフィルム基材としては、セルロースエステルフィルムが好ましく、セルロースエステルフィルムは、下記の特性を有することが好ましい。
透過率:80%以上
膜厚 :20〜80μm
0nm≦Ro≦330nm
−100nm≦Rt≦340nm
なお、Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相軸に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向の屈折率を、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。屈折率の測定波長は590nmである。)
上記屈折率は、例えばKOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムは、含有溶媒量が0.01質量%以下であることを特徴とする。
セルロースエステルは、高温高湿下での平面性劣化が、含有溶媒量に強く依存し、その理由としては、溶媒による微小領域内で置換基の構造にバラツキが発生してしまうことに起因していると考えられる。
そのため本発明のセルロースエステルフィルムは、溶融製膜法により製造することが好ましい。この方法は、基本的にセルロースエステルを溶解するための溶媒を使用しないことから、製膜乾燥後の残留溶媒量(フィルム中に最終的に含有される含有溶媒量)をセルロースエステルフィルム全体の0.01質量%とすることができる。
ここで含有溶媒とは、流延製膜において使用した沸点120℃以下の有機溶媒であって、製膜終了後のフィルムの状態にあってもフィルム中に残留している溶媒をいう。
本発明のセルロースエステルフィルムは、基本的な構成としてセルロースエステルおよび添加剤とからなることを特徴とする。
〈セルロースエステル〉
本発明に用いるセルロースエステルは、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでもよく、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低および肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味している。水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。さらに別の置換基が置換してもよい。
同じ置換度である場合、前記炭素数が多いとフィルムの腰がなくなるため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。
本発明のセルロースエステルとしては、前記(A1)および(A2)を同時に満足するものが必要となるが、Yがプロピオニル基であって、0.5≦Y≦2.0が好ましく、さらに0.8≦Y≦1.8が特に光漏れに対し好ましい。
本発明における置換度範囲は、延伸速度を上げることができ、さらに弾性率も本発明の範囲を達成することができる。
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルの分子量は数平均分子量(Mn)で60000〜300000のものが好ましく、70000〜200000のものがさらに好ましい。さらに用いられるセルロースエステルは重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比が4.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.4〜2.3である。
セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、その比を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製および本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,300,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明のセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜45ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が45ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加する傾向がある。
また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなる傾向がある。従って1〜30ppmの範囲がより好ましい。残留硫酸含有量は、ASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
本発明のセルロースエステル中の遊離酸含有量は、1〜500ppmであることが好ましい。上記の範囲であると、ダイリップ部の付着物の増加がなく、また破断しにくい。
さらに、本発明については、1〜100ppmの範囲であることが好ましく、さらに破断しにくくなる。特に1〜70ppmの範囲が好ましい。遊離酸含有量はASTM D817−96に規定の方法により測定することができる。
合成したセルロースエステルの洗浄を、溶液流延法に用いられる場合に比べて、さらに十分に行うことによって、残留アルカリ土類金属含有量、残留硫酸含有量、および残留酸含有量を上記の範囲とすることができ好ましい。
また、セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、あるいは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることができ、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去することができる。
また、本発明のセルロースエステルはフィルムにした時の輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm以下であることが好ましく、さらに100個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以下であることが好ましく、30個/cm以下であることが好ましく、10個/cm以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
また、0.005〜0.01mm以下の輝点についても200個/cm以下であることが好ましく、さらに100個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以下であることが好ましく、30個/cm以下であることが好ましく、10個/cm以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
<添加剤>
本発明では、MD、TDの弾性率を本発明の範囲に調整するに当たり、セルロースエステルフィルム中に、アクリル系重合体、およびピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物、から選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする。
これらの化合物を、セルロースエステルに含有させることにより、所望のリターデーションと弾性率を達成することができる。
〈糖エステル化合物〉
本発明のセルロースエステルフィルムは、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物を使用することが好ましい。
本発明に用いられる糖エステル化合物としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
本発明に用いられる糖エステル化合物は、糖化合物の有する水酸基の一部または全部がエステル化されているものまたはその混合物である。
本発明の糖エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2010145790
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基はさらに置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、さらにこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も、本発明のエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
Figure 2010145790
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市販品としては、例えばモノペットSB(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
〈アクリル系重合体〉
本発明では、アクリル系重合体をセルロースエステルフィルムに添加する。なお、ここでアクリル系重合体にはメタクリル系重合体も含まれる。
本発明に用いられるアクリル系重合体としては、セルロースエステルフィルムに含有させた場合、機能として延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが好ましく、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上30000以下である重合体であることが好ましい。
本発明に用いられる重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリル系重合体は、芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体であってもよい。
該重合体の重量平均分子量が500以上30000以下のもので該重合体の組成を制御することにより、例えばセルロースエステルフィルムが本発明において特に好ましいセルロースエステルフィルムである場合、該セルロースエステルと該重合体との相溶性を良好にすることができる。
芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体について、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
該重合体は、重量平均分子量が500以上30000以下であるから、オリゴマーから低分子量重合体の間にあると考えられるものである。このような重合体を合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
特に、本発明のセルロースエステルフィルムに用いられるアクリル系重合体としては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbと、Xa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の重合体X、または芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体Yであることが好ましい。
[重合体X、重合体Y]
本発明に係るセルロースエステルフィルムのRoおよびRtを調整する方法としては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の高分子量の重合体X、そして、より好ましくは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の低分子量の重合体Yを含有することが好ましい。
本発明に用いられる重合体Xは、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上、30000以下の重合体である。
好ましくは、Xaは分子内に芳香環と水酸基を有しないアクリルまたはメタクリルモノマー、Xbは分子内に芳香環を有せず水酸基を有するアクリルまたはメタクリルモノマーである。
本発明に用いられる重合体Xは、下記一般式(X)で表される。
一般式(X)
−[Xa]m−[Xb]n−[Xc]p−
上記一般式(X)において、Xaは分子内に芳香環と水酸基とを有しないエチレン性不飽和モノマーを表し、Xbは分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを表し、XcはXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを表す。m、nおよびpは、各々モル組成比を表す。ただし、m≠0、m+n+p=100である。
さらに、重合体Xとして好ましくは、下記一般式(X−1)で表される重合体である。
一般式(X−1)
−[CH−C(−R1)(−COR2)]m−[CH−C(−R3)(−COR4−OH)−]n−[Xc]p−
上記一般式(X−1)において、R1、R3は、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。R4は−CH−、−C−または−C−を表す。Xcは、[CH−C(−R1)(−COR2)]または[CH−C(−R3)(−COR4−OH)−]に重合可能なモノマー単位を表す。m、nおよびpは、モル組成比を表す。ただしm≠0、m+n+p=100である。
本発明に係る重合体Xを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるが、これに限定されない。
Xにおいて、水酸基とは、水酸基のみならずエチレンオキシド連鎖を有する基をいう。
分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)およびメタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)である。
Xcとしては、Xa、Xb以外のモノマーで、かつ共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば、特に制限はないが、芳香環を有していないものが好ましい。
XaおよびXbのモル組成比m:nは99:1〜65:35の範囲が好ましく、さらに好ましくは95:5〜75:25の範囲である。Xcのpは0〜10である。Xcは複数のモノマー単位であってもよい。
Xおよびモル組成比が多いと、セルロースエステルとの相溶性が良化するがフィルム厚み方向のリターデーション値Rtが大きくなる。Xbのモル組成比が多いと上記相溶性が悪くなるおよびRtを低減させる効果が高い。
また、Xbのモル組成比が上記範囲を超えると製膜時にヘイズが出る傾向があり、これらの最適化を図りXa、Xbのモル組成比を決めることが好ましい。
高分子量の重合体Xの分子量は、重量平均分子量が5000以上30000以下であることがより好ましく、さらに好ましくは8000以上25000以下である。
重量平均分子量を5000以上とすることにより、セルロースエステルフィルムの高温高湿下における寸法変化が少ない等の利点が得られ好ましい。
重量平均分子量が30000以下とした場合は、セルロースエステルとの相溶性がより向上し、高温高湿下においてのブリードアウト、さらに製膜直後でのヘイズの発生が抑制される。
本発明に係る重合体Xの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば、四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。
また、重合温度は、通常、室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度または重合反応時間を調整することで可能である。
なお、重量平均分子量等は、前述の方法に準じて求めることができる。
本発明に用いられる低分子量の重合体Yは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体である。重量平均分子量500以上であれば重合体の残存モノマーが減少し好ましい。
また、3000以下とすることは、リターデーション値Rt低下性能を維持するために好ましい。Yaは、好ましくは芳香環を有さないアクリルまたはメタクリルモノマーである。
本発明に用いられる重合体Yは、下記一般式(Y)で表される。
一般式(Y)
−[Ya]k−[Yb]q−
上記一般式(Y)において、Yaは芳香環を有しないエチレン性不飽和モノマーを表し、YbはYaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを表す。kおよびqは、各々モル組成比を表す。ただし、k≠0、k+q=100である。
本発明に係る重合体Yにおいて、さらに好ましくは下記一般式(Y−1)で表される重合体である。
一般式(Y−1)
−[CH−C(−R5)(−COR6)]k−[Yb]q−
上記一般式(Y−1)において、R5は、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。Ybは、[CH−C(−R5)(−COR6)]と共重合可能なモノマー単位を表す。kおよびqは、それぞれモル組成比を表す。ただしk≠0、k+q=100である。
Ybは、Yaである[CH−C(−R5)(−COR6)]と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はない。Ybは複数であってもよい。k+q=100、qは好ましくは0〜30である。
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られる重合体Yを構成するエチレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であってもよい。
重合体X、Yを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法で、かつできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、いずれも本発明において好ましく用いられる。
特に、重合体Yは、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、重合体Yの末端には、重合触媒および連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、Yとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。
重合体XおよびYの水酸基価は、30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
なお水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1をアセチル化させ、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。
具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。
1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。
次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、次の式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。
上述の重合体X、重合体Yはいずれもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
重合体Xと重合体Yのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好ましい。重合体Xの含有量をXg(質量%=(重合体Xの質量/セルロースエステルの質量)×100)、重合体Yの含有量をYg(質量%)とすると、
式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
式(i)の(Xg+Yg)の好ましい範囲は、10〜35質量%である。重合体Xと重合体Yは、セルロースエステル全質量に対し、総量として5質量%以上であれば、リターデーション値Rtの調整に十分な作用をする。
重合体Xと重合体Yは、後述する溶融を構成する素材として直接添加し混練する。
本発明におけるセルロースエステルフィルムには、フィルムに加工性を付与する可塑剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリターデーションを調整するリターデーション調整剤等の添加剤を含有させても良い。
<その他の添加剤>
その他の添加剤としては可塑剤を適宜選択することが必要とされる。
〈可塑剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造においては、フィルム形成材料中に少なくとも1種の可塑剤を含有することが好ましい。
本発明では、可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、少なくとも1種は有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有する分子量350〜1500の多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
使用することができるその他の可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、芳香族末端ポリエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤、糖エステル化合物等から選択される。
可塑剤の使用量は、セルロース誘導体に対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えると高温耐久時のフィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。以下、好ましい可塑剤について述べる。
(多価アルコールエステル系可塑剤)
本発明の多価アルコールエステル系可塑剤は、有機酸と多価アルコールとのエステルでありその有機酸は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2010145790
式中、R〜Rは水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。Lは連結基を表し、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。
〜Rで表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の基である。これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、フェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8のアシル基、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のカルボニルオキシ基等が挙げられる。
〜Rで表されるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、γ−フェニルプロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、もしくはt−ブトキシ等の各アルコキシ基である。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)、アルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい))、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基が、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。
〜Rで表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基としては炭素数1〜8のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基が挙げられる。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置できとしては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基が挙げられるが、このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよい基として挙げられた置換基で置換されていてもよい。
〜Rで表されるアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8の無置換のアシル基が挙げられ(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらの基はさらに前記シクロアルキル基に置換してもよい基と同様の基により置換されていてもよい。
〜Rで表されるオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、またフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基を表す。
これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるオキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシカルボニルオキシ基を表し、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rのうちのいずれか同士で互いに連結し、環構造を形成していてもよい。
また、Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の基であり、これらの基は、さらに前記のR〜Rで表される基に置換してもよい基としてあげられた基で置換されていてもよい。
なかでも、Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボン酸である。
また、これら本発明において可塑剤となるエステル化合物を構成する、前記一般式(1)で表される有機酸としては、少なくともRまたはRに前記アルコキシ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基を有するものが好ましい。また複数の置換基を有する化合物も好ましい。
なお本発明においては3価以上のアルコールの水酸基を置換する有機酸は単一種であっても複数種であってもよい。
本発明における、前記一般式(1)で表される有機酸と反応して多価アルコールエステル化合物を形成する3価以上のアルコール化合物としては、好ましくは3〜20価の脂肪族多価アルコールであり、本発明おいて3価以上のアルコールは下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
一般式(2) R′−(OH)m
式中、R′はm価の有機基、mは3以上の正の整数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に好ましいのは、mとしては3または4の多価アルコールである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
一般式(1)で表される有機酸と一般式(2)で表される3価以上の多価アルコールのエステルは、公知の方法により合成できる。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(1)で表される有機酸と、一般式(2)で表される多価アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸をあらかじめ酸クロライドあるいは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフェニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、目的とするエステル化合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
一般式(1)で表される有機酸と一般式(2)で表される3価以上の多価アルコールのエステルからなる可塑剤としては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010145790
式中、R〜R20は水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。R21は水素原子またはアルキル基を表す。
〜R20のシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基については、前記一般式(1)のR〜Rと同様の基が挙げられる。
以下に、本発明に係わる多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
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Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
〈芳香族末端ポリエステル系可塑剤〉
本発明では、下記一般式(I)で表せる芳香族末端ポリエステル系可塑剤を使用することができる。
一般式(I) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはアリールカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(I)中、Bで示されるアリールカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系化合物と同様の反応により得られる。
本発明で使用される芳香族末端ポリエステル系可塑剤のアリールカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いることのできる芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用される芳香族末端ポリエステル系可塑剤は、nが1以上100以下であることが好ましく、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。
また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものである。
本発明の一般式(I)に示す芳香族末端ポリエステル系可塑剤は、セルロースエステルに対して、0.5〜30質量%含有させることが好ましい。
以下に、本発明に用いることのできる芳香族末端ポリエステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
Figure 2010145790
(ポリマー可塑剤)
本発明のセルロースエステルフィルムは前記のアクリル系重合体以外のポリマー可塑剤を使用することも好ましい。
具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、メタクリル酸メチルとN−ビニルピロリドンの共重合体(例えば、共重合比1:99〜99:1の間の任意の比率)、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。
数平均分子量は1,000〜500,000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1,000以下では揮発性が大きくなり、500,000を超えると可塑化能力が低下する傾向があり、セルロースエステル位相差フィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす可能性がある。
これらポリマー可塑剤は1種のモノマーの繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数のモノマーの繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
また表面の可塑剤量の測定法は特に限定されないが、例えば、ナイフなどを用いて、フィルムの表面から20nmほど削って定量分析する方法やフィルムの厚さ方向の可塑剤量をIRや原子吸光などでスキャンする方法などを用いて定量したものである。
本発明のアクリル系重合体としては、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〈酸化防止剤〉
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“IrgafosXP40”、“IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・ジャパン株式会社、“Irganox1076”、“Irganox1010”、(株)ADEKA”アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”(AO2)、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”(AO1)および“ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”(AO4)、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”(AO3)という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“Tinuvin144(AO2)”および“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R“および“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から、“Sumilizer GM”(AO5)および“Sumilizer GS”(AO3)という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸捕捉剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈リターデーション調整剤〉
本発明のセルロースエステルフィルムにおいてリターデーションを調整するための化合物を含有させてもよい。
リターデーションを調整するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することもできる。
また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。なかでも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
〈着色剤〉
本発明においては、着色剤を使用することが好ましい。着色剤と言うのは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
〈マット剤〉
本発明では、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。
本発明で用いられるマット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物または有機化合物どちらでもよく、例えば、タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
これらのマット剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、セルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。
粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
〈粘度低下剤〉
本発明において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下することができる。
または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下することができる。
水素結合性溶媒としては、例えば、アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類:例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N−メチルピロリドン等、アミン類:例えば、トリメチルアミン、ピリジン等、等を例示することができる。
これら水素結合性溶媒は、単独で、または2種以上混合して用いることができる。これらのうちでも、アルコール、ケトン、エーテル類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランのような水溶性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう。
これらの溶媒は、溶融製膜時に揮発し、最終的には含有溶媒量として0.01質量%以下とされる。
<溶融流延製膜法>
本発明における溶融流延製膜とは、セルロースエステルおよび可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延することを溶融製膜として定義する。
加熱溶融する成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるセルロースエステルフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
〈製膜方法〉
以下、フィルムの製膜方法について説明する。
(セルロースエステルと添加剤の溶融ペレット製造工程)
溶融押出に用いる複数の原材料は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出機に供給し一軸や二軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押し出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤さらに均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、セルロースエステルに含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
また、押出機への供給ホッパー等は保温しておくことが吸湿防止できるので好ましい。
マット剤やUV吸収剤などは、得られたペレットにまぶしたり、フィルム製膜時に押出機中で添加したりしてもよい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、二軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
ニーダーディスクは、混錬性を向上できるが、せん断発熱に注意が必要である。ニーダーディスクを用いなくても混合性は十分である。ベント孔からの吸引は必要に応じて行えばよい。低温であれば揮発成分はほとんど発生しないのでベント孔なしでもよい。
ペレットの色は、黄味の指標であるb値が−5〜10の範囲にあることが好ましく、−1〜8の範囲にあることがさらに好ましく、−1〜5の範囲にあることがより好ましい。
値は分光測色計CM−3700d(コニカミノルタセンシング(株)製)で、光源をD65(色温度6504K)とし、視野角10°で測定することができる。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
(セルロースエステルと添加剤の溶融物をダイから押し出す工程)
除湿熱風や真空または減圧下で乾燥したポリマーを一軸や二軸タイプの押出し機を用いて、押し出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去したあと、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押し出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。
ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
濾過精度を粗、密と連続的に複数回繰り返した多層体としたものが好ましい。また、濾過精度を順次上げていく構成としたり、濾過精度の粗、密を繰り返す方法をとることで、フィルターの濾過寿命が延び、異物やゲルなどの補足精度も向上できるので好ましい。
ダイに傷や異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥をダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力ないものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
可塑剤などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押出機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
(ダイから押し出された溶融物を冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延する工程)
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
(延伸工程)
本発明では、上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、MDさらに、TDに延伸速度が400%/min〜1500%/minで延伸すること、前記フィルムを少なくとも製膜方向か幅手方向のどちらか一方に50%〜200%延伸することが好ましい。
この延伸工程により、本発明のMD、TDの弾性率が決定付けられる。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。
延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
フィルム構成材料のガラス転移温度Tgはフィルムを構成する材料種および構成する材料の比率を異ならしめることにより制御できる。位相差フィルムを作製する場合、Tgは110℃以上、好ましくは125℃以上とすることが好ましい。
フィルムのTgが高過ぎると、フィルム構成材料をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、またフィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、Tgは250℃以下が好ましい。
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよく、目的とする位相差フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよい。
延伸は、幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
本発明において延伸倍率としては、少なくとも一方に1%〜250%、より好ましくは2%〜200%、さらに好ましくは3%〜150%である。縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。
縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよいが、小さい方の延伸倍率は0%〜30%が好ましく、より好ましくは0%〜25%であり、さらに好ましくは0%〜20%である。大きいほうの延伸倍率は1%〜250%であり、より好ましくは10%〜200%、さらに好ましくは30%〜150%である。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
これらの縦延伸と横延伸は、それぞれ単独で行ってもよく(一軸延伸)、組み合わせて行ってもよい(二軸延伸)。二軸延伸の場合、縦、横逐次で実施してもよく(逐次延伸)、同時に実施してもよい(同時延伸)。
このような延伸に引き続き、縦または横方向に0%〜10%緩和することが好ましい。さらに、延伸に引き続き、150℃〜250℃で1秒〜3分熱固定することも好ましい。
ここで、Roとは面内リターデーションを示し、面内の製膜方向MDの屈折率と幅手方向TDの屈折率との差に厚みを乗じたもの、Rtとは厚み方向リターデーションを示し、面内の屈折率(製膜方向MDと幅方向TDの平均)と厚み方向の屈折率との差に厚みを乗じたものである。
延伸は、例えばフィルムの製膜方向および幅手方向に対して、逐次または同時に行うことができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となりフィルム破断が発生してしまう場合がある。
互いに直交する二軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に入れるために有効な方法である。
ここで、nxとはフィルムMD方向の屈折率、nyとはTD方向の屈折率、nzとは厚み方向の屈折率である。
例えばフィルム製膜方向に延伸した場合、幅手方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制、あるいは幅手方向にも延伸することで改善できる。幅手方向に延伸する場合、幅手方向で屈折率に分布が生じることがある。
この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、フィルムを幅手方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。
この場合でも、フィルム製膜方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅手方向の位相差の分布を少なくできる。
互いに直交する二軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のむらが問題となることがある。
本発明のセルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。
延伸後、フィルムの端部をスリッターにより製品となる幅にスリットして裁ち落としたあと、エンボスリングおよびバックロールよりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り機によって巻き取ることにより、セルロースエステルフィルム(元巻き)の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。
(機能性層の形成)
本発明のセルロースエステルフィルム製造に際し、延伸の前および/または後で透明導電層、ハードコート層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。
特に、透明導電層、ハードコート層、反射防止層、易接着層、防眩層および光学補償層から選ばれる少なくとも1層を設けることが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各表面処理を必要に応じて施すことができる。
<棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層>
本発明の光学異方性層は、下記特性を有することが好ましい。
0≦Ro≦10
−500≦Rt≦−100
本発明の光学異方性層は、液晶材料もしくは液晶の溶液をセルロースエステルフィルム上に直接または中間層上に塗布し、乾燥と熱処理(配向処理ともいう)を行い紫外線硬化もしくは熱重合などで液晶配向の固定化を行い、垂直方向に配向した棒状液晶による位相差層を有することが特徴である。
ここで垂直方向に配向するとは、棒状液晶が支持体となるフィルム面に対して70〜90°(垂直方向を90°とする)の範囲内にあることをいう。
棒状液晶は、斜め配向しても、配向角を徐々に変化していてもよい。好ましくは80〜90°の範囲である。
本発明の位相差層はRoが0〜10nm、Rtが−500〜−100nmの範囲にある垂直方向に配向した棒状液晶による位相差層である。さらにRoは0〜5nmの範囲がより好ましい。これらの支持体上の液晶配向を固定化した層の位相差の位相差測定は、株式会社オプトサイエンス社製AxoScanを用いて測定することができる。
棒状液晶を配向させて位相差層を形成する際には、いわゆる液晶材料が垂直方向に配列するような垂直配向剤を塗布した配向膜を用い、液晶材料を垂直配向したのち固定する方法をとることができる。
液晶材料自身が空気界面で垂直方向に配向する場合には、その配向規制力が空気界面と反対の界面までおよび、該配向膜は特に必要ではなく、構成が簡素化できる観点からもその方が好ましい。
液晶材料を垂直に配向する具体的な方法としては、特開2005−148473号公報などに記載されている(メタ)アクリル系ブロックポリマーを含有するブロックポリマー組成物の架橋体からなる配向膜等を用いる方法、同2005−265889号公報に記載されている垂直配向膜を使用する方法、空気界面垂直配向剤を使用する方法等公知の方法を使用することができる。
位相差層を上記範囲とするためには、棒状液晶層の配向、膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、および支持体と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
前記液晶層は、所定の温度で液晶相となり得る液晶材料が、所定の液晶規則性を有して硬化することにより形成されたものである。液晶相を示す温度の上限は、例えば基材のセルロースエステルフィルムがダメージを受けない温度であれば特に限定されるものはない。
具体的には、プロセス温度のコントロールの容易性と寸法精度維持の観点から120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下の温度で液晶相となる液晶材料が好適に用いられる。一方、液晶相を示す温度の下限は、偏光板として用いる際に、液晶材料が配向状態を保持し得る温度であるといえる。
本発明の位相差層に用いられる液晶材料としては、重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では垂直の配向状態は固定化される。
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、配向に際しての感度が高く垂直に配向させることが容易であることから重合性液晶モノマーが好適に用いられる。
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(1)で表される棒状液晶性化合物(I)、および下記の一般式(2)で表される棒状液晶性化合物(II)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(II)としては、一般式(2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(I)を1種以上と化合物(II)を1種以上を混合して使用することもできる。
Figure 2010145790
Figure 2010145790
化合物(I)を表す一般式(1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1およびR2は共に水素であることが好ましい。
Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。
また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。
以上の他、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとして、従来提案されている公知の材料を適宜選択して用いることが可能である。
例えば、重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同95/24455号パンフレット、同97/00600号パンフレット、同98/23580号パンフレット、同98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報などに記載の化合物を用いることができる。
市販の化合物としてはUCL−018(大日本インキ化学工業(株)製)、パリオカラーLC242(BASF(株)製)等を使用することができる。
本発明においては、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を使用する。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられる。
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01%〜20%が好ましく、より好ましくは0.1%〜10%であり、もっと好ましくは0.5%〜5%の範囲で、本発明の重合性液晶材料に添加することができる。
尚、光重合開始剤の他に、本発明の目的が損なわれない範囲で増感剤を添加することも可能である。
本発明における液晶層の膜厚は0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して液晶層形成用組成物を調製して用い、基材上に塗工し、液晶層形成用層を形成する。
液晶の配向を固定した層を形成する方法としては、例えばドライフィルム等をあらかじめ形成してこれを液晶の配向を固定した層としたものを基材上に積層する方法や、液晶組成物を溶解あるいは融解させて基材上に塗工する方法等をとることも可能であるが、本発明においては、液晶組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗工用組成物を用いて基材上に塗工し、溶媒を除去することにより液晶の配向を固定した層を形成することが好ましい。これは、他の方法と比較して工程上簡便である。
溶媒としては、上述した重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつ透明樹脂フィルムの性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように基材が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。
上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。
溶液の濃度は、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする液晶層の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1%〜60%が好ましく、より好ましくは3%〜40%の範囲で調整される。
本発明に用いられる液晶層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。
添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物、特開2007−45993号公報に記載のオニウム塩、フッ化アクリレートポリマー等が挙げられる。
本発明の液晶層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の液晶層形成用組成物の40%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。
これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
また、溶剤を配合した液晶層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活性剤等を加えることができる。
添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗工する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5%であり、もっと好ましくは0.1〜1%の範囲である。
液晶層形成用組成物を塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、もしくは押し出しコート法等が挙げられる。
液晶層形成用組成物を塗工した後、溶媒を除去する方法としては、例えば、風乾、加熱除去、もしくは減圧除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除去されることにより、液晶の配向を固定した層が形成される。
重合性液晶材料を硬化させる工程では、重合性液晶材料を硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある電離放射線の照射によって行う。
必要であれば重合性液晶材料内に重合開始剤が含まれていてもよい。電離放射線としては、重合性液晶材料を重合させることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、より好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
本発明においては、紫外線(UV)を活性放射線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。
なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、液晶の配向を固定した層の形成に用いられる重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
活性放射線の照射による配向固定化工程は、上述した液晶層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。
〈中間層〉
本発明のセルロースエステルフィルムと棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層の間には中間層を設けることができる。
本発明の中間層は、透明樹脂で構成される。透明樹脂は、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。
特に好ましくは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂、あるいは架橋剤と反応部位を有する樹脂との混合組成物である。
硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等の紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物をさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。
例えば、特開昭59−151110号号公報に記載のものを用いることができる。例えば、紫光UV−7510B(日本合成化学(株)製)、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光重合開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号公報に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
これら硬化性樹脂の光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。
また、エポキシアクリレート系の光重合開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。
硬化性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜25質量部であり、好ましくは1〜15質量部である。
本発明の架橋剤と反応部位を有する樹脂の混合組成物としては、例えばポリビニルアルコールとグリオキザール、ゼラチンとグリオキザール等が挙げられる。
また、中間層には、フッ素−アクリル共重合体樹脂を含有しても良い。フッ素−アクリル共重合体樹脂とは、フッ素単量体とアクリル単量体とからなる共重合体樹脂で、特にフッ素単量体セグメントとアクリル単量体セグメントとから成るブロック共重合体が好ましい。
本発明の中間層は、2層以上であってもよい。
<中間層の製造方法>
中間層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、本発明のリターデーション上昇剤を含有する中間層を形成する塗布組成物を塗布し、支持体上に塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することが好ましい。
塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。
また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.01〜1μm、好ましくは0.02〜0.7μmである。
上記UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、さらに好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。
張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによってさらに平面性優れたフィルムを得ることができる。
中間層を形成する塗布組成物には溶媒が含まれていてもよい。塗布組成物に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒からも適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。
有機溶媒としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等が好ましい。また、有機溶媒の含有量としては塗布組成物中、5〜80質量%が好ましい。
<偏光板保護フィルムT2>
本発明の偏光板保護フィルムT2は、通常使用される偏光板保護フィルム以外に、位相差フィルムを使用してもよく、下記のアクリルフィルム(a)であることが好ましい。
<アクリルフィルム(a)>
本発明のアクリルフィルム(a)の透湿度は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル樹脂(A)およびセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂、およびその他の添加剤の構成を有する。
より具体的には、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂を95:5〜30:70の質量比かつ相溶状態で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上1000000以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、該セルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が75000以上280000以下であることを特徴とする。
さらに、前記アクリルフィルムは、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜30質量%のアクリル粒子(C)を含有することが好ましい構成である。
〈アクリル樹脂(A)〉
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の単量体を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のアクリルフィルムに用いられるアクリル樹脂(A)は、特にアクリルフィルムとしての脆性の改善およびセルロースエステル樹脂(B)と相溶した際の透明性の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が80000以上である。アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が80000を下回ると、十分な脆性の改善が得られず、セルロースエステル樹脂(B)との相溶性が劣化する。
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、80000〜1000000の範囲内であることがさらに好ましく、100000〜600000の範囲内であることが特に好ましく、150000〜400000の範囲であることが最も好ましい。
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は特に限定されるものではないが、製造上の観点から1000000以下とされることが好ましい形態である。
本発明のアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することでききる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(A)の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。
本発明に係るアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
〈セルロースエステル樹脂(B)〉
本発明のセルロースエステル樹脂(B)は、特に脆性の改善やアクリル樹脂(A)と相溶させたときに透明性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度は、2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂は炭素数が3〜7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
本発明のセルロースエステル樹脂(B)のアシル置換度は、総置換度(T)が2.0〜3.0であり、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0が好ましく、炭素数が3〜7以外のアシル基、即ち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが好ましい。
また、セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)は、2.5〜3.0の範囲であることがさらに好ましい。
本発明において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。本発明におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
上記セルロースエステル樹脂(B)が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0〜5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3〜7であるアシル基の置換度が1.2〜3.0となるように留意が必要である。
さらに、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記のようなセルロースエステル樹脂(B)においては、炭素数3〜7の脂肪族アシル基の少なくとも1種を有する構造を有することが、本発明のセルロース樹脂に用いる構造として用いられる。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)の置換度は、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0である。
また、炭素数が3〜7のアシル基以外、即ちアセチル基と炭素数が8以上のアシル基の置換度の総和が1.3以下であることが好ましい構造である。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、即ち、炭素原子数3または4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本発明に係るセルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂(A)との相溶性、脆性の改善の観点から75000以上であり、75000〜300000の範囲であることが好ましく、100000〜240000の範囲内であることがさらに好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。なお、重量平均分子量は、前述の方法に従って測定した。
本発明では2種以上のセルロース樹脂を混合して用いることもできる。
本発明のアクリルフィルムにおいて、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、95:5〜30:70の質量比で、かつ相溶状態で含有されるが、好ましくは95:5〜50:50であり、さらに好ましくは90:10〜60:40である。
本発明のアクリルフィルムにおいては、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶状態で含有される必要がある。アクリルフィルムとして必要とされる物性や品質を、異なる樹脂を相溶させることで相互に補うことにより達成している。
〈相溶状態の判断〉
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶状態となっていることが好ましく、ガラス転移温度Tgにより判断することができる。
両樹脂を単に混合した状態は、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
この相溶状態となった混合物のガラス転移温度Tg1,2は、ゴードン−テイラーの式(M.Gordon and J.S.Taylor, 2 J.of Applied Chem. 493−500(1952))によって近似できることが知られている。
g1,2=(wg1+Kwg2)/(w+Kw
〔ここで、wおよびwは、構成成分1(アクリル樹脂(A))および2(セルロースエステル樹脂(B))の質量分率であり、Tg1およびTg2は、それぞれ、構成成分1および2のガラス転移温度(ケルビン温度)であり、Tg1,2は、構成成分1および2の混合物のガラス転移温度であり、Kは、2つの樹脂の自由体積に関する定数である。〕
なお、ここでいうガラス転移温度とは、23℃55%RHの雰囲気下で24時間保存した試料を同雰囲気下に置かれた示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、いずれか一方が結晶性高分子、あるいは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、本発明においてアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
本発明のアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を相溶させるためには、あらかじめ相溶性試験を行い、相溶する樹脂をあらかじめ選択しておくことが好ましい。
具体的には、例えばそれぞれメチレンクロライド100mlに溶解した樹脂(A)、(B)の5質量%濃度の溶液を混合し、濁度および目視で混合状態を観察することにより相溶性試験とすることができる。濁度が著しく大きくなったり、目視で2層分離状態が観察されなければ、相溶しているといえる。この試験により簡易的に樹脂の選択が可能となる。
なお、本発明において、アクリル樹脂(A)やセルロースエステル樹脂(B)を相溶状態で含有するとは、各々の樹脂(ポリマー)を混合することで、結果として相溶された状態となることを意味しており、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂(B)に混合させた後に重合させることにより混合樹脂とされた状態は含まれないものとする。
例えば、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステル樹脂(B)に混合させた後に重合されることにより混合樹脂を得る工程は、重合反応が複雑であり、この方法で作成した樹脂は、反応の制御が困難であり、分子量の調整も困難となる。
本発明のアクリルフィルム(a)は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、相溶せずに単に混合、分散されていてもよい。
本発明のアクリルフィルム(a)におけるアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の総質量は、アクリルフィルム(a)の55質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは、70質量%以上である。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂や添加剤を用いる際には、本発明のアクリルフィルム(a)の機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
<アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂>
〈アクリル粒子(C)〉
本発明のアクリルフィルム(a)は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂としてアクリル粒子(C)を含有することができる。
本発明に係るアクリル粒子(C)は、アクリル樹脂(A)およびセルロースエステル樹脂(B)を相溶状態で含有するアクリルフィルム(a)中に相溶せずに、混合・分散状態で存在する。
上記アクリル粒子(C)は、例えば、作製したアクリルフィルム(a)を所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子(C)の平均粒子径未満の孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶物の重さが、アクリルフィルム(a)に添加したアクリル粒子(C)の90質量%以上あることが好ましい。
本発明に用いられるアクリル粒子(C)は特に限定されるものではないが、2層以上の層構造を有するアクリル粒子(C)であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、および最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体を言う。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製メタブレンW−341(C2)、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明のアクリルフィルム(a)において、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5〜30質量%のアクリル粒子(C)を含有することが好ましく、1.0〜15質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
〈その他の添加剤〉
本発明のアクリルフィルム(a)においては、前記T3においてセルロースエステルフィルムに添加する添加剤をそのまま使用することができる。
<アクリルフィルム(a)の物性>
本発明のアクリルフィルム(a)は、延性破壊が起こらないアクリルフィルムであることが好ましい。
ここで、延性破壊とは、ある材料が有する強度よりも、大きな応力が作用することで生じる破断のことであり、最終破断までに材料の著しい伸びや絞りを伴う破壊と定義される。
本発明では、「延性破壊が起こらないアクリルフィルム」であるか否かは、23℃55%RHの雰囲気下で、フィルムを2つに折り曲げるような大きな応力を作用させても破断等の破壊がみられないことにより評価するものとする。
本発明においては、23℃55%RHの雰囲気下での張力軟化点が、105℃〜145℃であれば、十分な耐熱性を示すものと判断できる。特に110℃〜130℃に制御することがより好ましい。
また、耐熱性の観点では、アクリルフィルム(a)は、ガラス転移温度(Tg)が110℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上である。特に好ましくは150℃以上である。
本発明におけるアクリルフィルム(a)の透明性を判断する指標としては、ヘイズ値(濁度)を用いる。特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められる為、ヘイズ値は1.0%以下であることが必要とされ、0.5%以下であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を含有する本発明のアクリルフィルム(a)によれば、高い透明性を得ることができるが、別の物性を改善する目的でアクリル粒子を使用する場合は、樹脂(アクリル系樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B))とアクリル粒子(C)との屈折率差を小さくすることで、ヘイズ値の上昇を防ぐことができる。
また、表面の粗さも表面ヘイズとしてヘイズ値に影響するため、アクリル粒子(C)の粒子径や添加量を前記範囲内に抑えること、製膜時のフィルム接触部の表面粗さを小さくすることも、有効である。
また、本発明のアクリルフィルム(a)は、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
また、本発明のアクリルフィルム(a)は、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
本発明のアクリルフィルム(a)の厚みは、20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。
本発明のアクリルフィルム(a)は、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。
本発明のアクリルフィルム(a)は、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
このような物性は、アクリルフィルム(a)を、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を95:5〜30:70の質量比で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.00〜3.00、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であり、重量平均分子量(Mw)が75000以上であることを特徴とするアクリルフィルム(a)とすることにより得ることができる。
〈アクリルフィルム(a)の製造方法〉
アクリルフィルム(a)の製造方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のアクリルフィルム(a)の製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液流延製膜法、溶融流延製膜法が好ましい。
(有機溶媒)
本発明のアクリルフィルム(a)を溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル粒子(C)およびその他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、および炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)と、場合によってアクリル粒子(C)の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
以下、本発明のアクリルフィルム(a)の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)、場合によってアクリル粒子(C)、その他の添加剤を攪拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは該アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)溶液に、場合によってアクリル粒子(C)溶液、その他の添加剤溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、または特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の如き高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のアクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)は、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中または後のドープに添加剤を加えて溶解および分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。
この方法では、粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程および乾燥工程の一例を模式的に示した図である。
必要な場合は、アクリル粒子仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へアクリル粒子添加液を添加する。
その後主ドープ液は主濾過器3にて濾過され、これに紫外線吸収剤添加液が16よりインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。返材にはアクリル粒子が含まれることがある、その場合には返材の添加量に合わせてアクリル粒子添加液の添加量をコントロールすることが好ましい。
アクリル粒子を含有する添加液には、アクリル粒子を0.5〜10質量%含有していることが好ましく、1〜10質量%含有していることがさらに好ましく、1〜5質量%含有していることが最も好ましい。
上記範囲内であれば、添加液は低粘度で取り扱い易く、主ドープへの添加が容易であるため好ましい。
返材とは、アクリルフィルム(a)を細かく粉砕した物で、アクリルフィルム(a)を製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトしたアクリルフィルム(a)原反が使用される。
また、あらかじめアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、場合によってアクリル粒子を混練してペレット化したものも、好ましく用いることができる。
2)流延工程
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属ベルト31、例えばステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。あるいは複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法および/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。又、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、さらに好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入り易い場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、さらには、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥および延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、および/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。
また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンターを行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になる迄テンターを掛けながら乾燥を行うことが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。
テンターを行う場合の乾燥温度は、30〜160℃が好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、70〜140℃が最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからアクリルフィルム(a)として巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。特に0.00〜0.10質量%で巻き取ることが好ましい。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明のアクリルフィルム(a)は、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100m〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明のアクリルフィルム(a)の膜厚に特に制限はないが、偏光板保護フィルムに使用する場合は20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
<偏光板>
本発明の偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の偏光板保護フィルムを、通常の方法により、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
例えば、セルロースエステルフィルムであれば、アルカリ鹸化処理され、またセルロースエステルフィルム以外の光学異方性フィルムの場合は、アクリル系またはウレタン系接着剤を使用することが好ましい。
本発明の偏光子としては、ポリビニルアルコール系偏光フィルムであって、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
該偏光子の面上に、本発明のセルロースエステルフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
本発明において製造される長尺状偏光板保護フィルムは、長尺状の偏光子(偏光フィルム)とアルカリケン化処理を施して貼合することができるため、特に100m以上の長尺で生産的効果が得られ、1500m、2500m、5000mとより長尺化する程偏光板製造の生産的効果が高まる。
<液晶表示装置>
本発明の偏光板保護フィルムを含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を発現させることができ、本発明のように構成し液晶表示装置とすることができる。
本発明は、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane Switching)モード等に応用することができるが、IPSモードにおいて最も効果が得られる。
液晶表示装置はカラー化および動画表示用の装置として応用され、本発明により表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<偏光板保護フィルムT1−1の製造>
<空隙保持層を有するフィルムT1−1の作製>
(石英マスタの型の作製)
特開2008−176076号公報の実施例に準じ型を作製した。
石英基板上に、レジスト層を厚さ150nmとなるように塗布し、このレジスト層に、特開2008−176076号公報図5に示した露光装置を用いて準六方格子パターンの潜像を形成した。
レーザ光の波長は266nm、レーザパワーは0.50mJ/mとした。なお、レーザ光は、電気光学変調器において、振幅が非周期的に±10%程度変動するサイン波形に変調した後、変調光学系に導いた。
また、レジスト層に対するレーザ光の照射周期を1トラック毎に変化させた。その後、レジスト層を現像処理して、準六方格子状のレジストパターンを作製した。現像液としては、アルカリ現像液を用いた。
次に、酸素アッシングによりレジストパターンを除去して開口径を広げるプロセスと、フッ素系ガス雰囲気でのプラズマエッチングで石英基板をエッチングするプロセスとを繰り返し行い、特開2008−176076号公報図4Cに模式的に示した凹凸を有する石英マスタの型を作製した。
アッシングおよびエッチングは、(1)酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング2分、(2)酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング2分、(3)酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング2分、(4)4.酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング2分、(5)酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング4分、(6)酸素アッシング4秒、フッ素系ガスエッチング6分のプロセスを、プロセス(1)〜(6)の順序で順次行った。
また、石英マスタの型のRaは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定し、250nmであった。
(空隙保持層の塗設)
800mm幅にカットしたコニカミノルタタックKC−8UY(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)に、両端部に幅1cm、平均高さ18μmのナーリング加工を施し、再び巻き取った。
このセルロースエステルフィルム(L−2)上に、下記のハードコート層組成物1を、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層塗布液を調製し、マイクログラビアコーターを用いて塗布し、温度80℃・60秒条件で乾燥した。
次に、乾燥後の未硬化状態のハードコート層に、上記作製した表面に凹凸を有する石英マスタ型の凹凸面と、ハードコート層を密着させ、板側となるようにロールで押し付けた。
この状態でセルロースエステルフィルムL−2側から、紫外線ランプを用い照射部の照度が300mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、更に凹凸を有する型を外し、ハードコート層側から、紫外線ランプを用い照射部の照度が300mW/cmで、照射量を0.3J/cmで照射して、ドライ膜厚8μmの空隙保持層L−1を有するフィルムT1−1を作製した。
・空隙率の測定
空隙保持層をAFM(原子間力顕微鏡)を用いて測定した結果、Raは330nmであった。また、ミクロトームを用いて空隙保持層の断面を切り出し、透過電子顕微鏡(TEM)により観察し、AFMから求めたRaからの凹部分の面積とTEMにより求めた層の断面籍の割合から、空隙率を測定した。結果、空隙保持層の空隙率は36%であった。
微細凹凸構造体の頂部における周期Pmaxは250nmであり、Pmax≦380nmの関係にあった。
(ハードコート組成物1)
カチオン重合性化合物:〔1−(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル
170質量部
カチオン重合性化合物:含フッ素エポキシ化合物1 10質量部
(光カチオン重合開始剤)
4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニル]ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート 6質量部
(ロードシル2074、ローディアジャパン(株)製)
シーホスターKEP−50(日本触媒(株)製) 9質量部
ポリエーテル変性シリコーン化合物(KF−355A、信越化学工業(株)製)
9質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸エチル 80質量部
メチルエチルケトン 100質量部
〈含フッ素エポキシ化合物1の調製〉
1,3−ジヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼン81.03gとエピクロロヒドリン185gを混合し、水酸化ナトリウム16.27gと水40mlを加え、撹拌下で加熱還流させた。
130℃で3時間反応後、自然冷却し、生成した塩化ナトリウムを吸引濾過により除去した。得られた濾液をクロロホルム−水により抽出し、有機層を乾燥、濾過、濃縮することにより、含フッ素エポキシ化合物1を95.7g得た。
<偏光板保護フィルムT3−1の製造>
<溶融法による偏光板保護フィルムT3−1の作製>
(アクリル系重合体X1の合成)
特開2000−344823号公報に記載の重合方法により塊状重合を行った。すなわち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口および環流冷却管を備えたフラスコに下記メチルアクリレートとルテノセンを導入しながら内容物を70℃に加熱した。
次いで、充分に窒素ガス置換した下記β−メルカプトプロピオン酸の半分を攪拌下フラスコ内に添加した。β−メルカプトプロピオン酸添加後、攪拌中のフラスコ内の内容物を70℃に維持し2時間重合を行った。
更に、窒素ガス置換したβ−メルカプトプロピオン酸の残りの半分を追加添加後、更に攪拌中の内容物の温度が70℃に維持し重合を4時間行った。反応物の温度を室温に戻し、反応物に5質量%ベンゾキノンのテトラヒドロフラン溶液を20質量部添加して重合を停止させた。
重合物をエバポレーターで減圧下80℃まで徐々に加熱しながらテトラヒドロフラン、残存モノマーおよび残存チオール化合物を除去してアクリル系重合体X1を得た。重量平均分子量Mwは1000であった。
メチルアクリレート 100質量部
ルテノセン(金属触媒) 0.05質量部
β−メルカプトプロピオン酸 12質量部
80℃で6時間乾燥済み(水分率200ppm)のセルロースエステルA(セルロースアセテートプロピオネート(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000))100質量部、可塑剤(多価アルコールエステル系可塑剤具体例No.63)を8質量部、モノペットSB(糖エステル化合物)4質量部、紫外線吸収剤LA−31(ADEKA(株)製)1.05質量部、Irganox1010(チバ・ジャパン(株)製)0.5質量部、アデカスタブPEP−36(ADEKA(株)製)0.08質量部、SumilizerGS(住友化学(株)製)0.2質量部、シーホスターKEP−30(日本触媒(株)製)0.1質量部を真空ナウターミキサーで80℃、1Torrで3時間混合しながらさらに乾燥した。
得られた混合物を、二軸式押出機を用いて235℃で溶融混合しペレット化した。
ペレット(水分率50ppm)を、1軸押出機を用いてTダイから表面温度が100℃の第1冷却ロール上に溶融温度245℃でフィルム状に溶融押し出し、初期膜厚128μm、幅1.0mのキャストフィルムを毎分35mの長さで得た。
この際第1冷却ロール上でフィルムを2mm厚の金属表面を有する弾性タッチロールで押圧した。
得られたフィルムを、まずロール周速差を利用した延伸機によって195℃で製膜方向に60%で延伸速度1000%/minで延伸し、膜厚40μmの保護フィルム101を得た。
このとき幅手方向の延伸は、製膜方向に延伸したあと、予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーン(各ゾーン間には各ゾーン間の断熱を確実にするためのニュートラルゾーンも有する)を有するテンターにて延伸ゾーンにおいて165℃で行い、その後30℃まで冷却し、クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落としてセルロースエステルフィルムA(L−3)を得た。
このセルロースエステルフィルムAは、Ro=71nm、Rt=185nmであった。
<帯電防止層の作製>
このセルロースエステルフィルムAの一方の面(帯電防止層が液晶表示装置の構成としてhの位置となる面)に、下記帯電防止層塗布組成物1を28℃、82%RHの環境下でウェット膜厚で7μmとなるようにコロナ放電後、フィルムの搬送速度30m/minで塗布幅1mで塗布し、次いで80±5℃に設定された乾燥部で乾燥して乾燥膜厚で約0.2μmの樹脂層を設け、帯電防止層付きセルロースエステルフィルムAを得た。
(帯電防止層塗布組成物1)
ポリメチルメタアクリレート(質量平均分子量55万、Tg:90℃) 0.5質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
メチルエチルケトン 16質量部
乳酸エチル 5質量部
メタノール 8質量部
導電性ポリマー樹脂P−1(0.1〜0.3μm粒子) 0.5質量部
Figure 2010145790
<垂直液晶配向層(光学異方性層)の作製>
下記中間層塗布液を、帯電防止層付きセルロースエステルフィルムAの帯電防止層と反対面(L−4)に、コロナ放電後、ワイヤーバー#3で塗布し80℃で30秒乾燥後、紫外線を120mJ/cmを10秒照射して硬化した。乾燥後の中間層の膜厚は、0.5μmであった。
(中間層塗布液)
ポリエステルアクリレート 25質量部
(ラロマーLR8800 BASFジャパン(株)製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 290質量部
イソプロピルアルコール 685質量部
光重合開始剤(イルガキュア184 チバ・ジャパン(株)製) 0.05質量部
(異方性層塗布液)
紫外線重合性液晶材料 20質量部
(UCL−018 大日本インキ化学工業(株)製)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 80質量部
ヒンダードアミン 0.02質量部
LS−765(三共ライフテック(株)製)
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.10質量部
下記空気界面側垂直配向剤1 0.01質量部
Figure 2010145790
この異方性層塗布液をダイコーターにより前記中間層上(L−4)にウェット8μmの厚みで塗布した。その後100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた層を得た。
次にコートしたフィルムに酸素濃度0.2%、温度28℃にて250mJ/cmの紫外線を10秒照射して、重合性液晶組成物を硬化させ垂直液晶配向層(L−5)からなる光学異方性層とし、偏光板保護フィルムT3−1を得た。異方性層の厚みは、1.2μmであった。
この偏光板保護フィルムT3−1全体としてのRoは71nm、Rtは−10nmであった。
T3−2は、帯電防止層として下記の帯電防止層塗布組成物2を使用し、T3−1と同じ位置(h)となるように帯電防止層を設けた。
(帯電防止層塗布組成物2)
メチレンクロライド 300質量部
メタノール 100質量部
アセトン 300質量部
導電性SnOアンチモン複合微粒子(三菱マテリアル(株)製:一次粒子径0.015nm、表面固有抵抗値1×10Ω)
500質量部
上記組成物をサンドミルを用いて2時間分散した。
T3−3では、垂直配向液晶層を塗設したのち、その上の位置(液晶表示装置の構成としてgの位置)に帯電防止層塗布組成物1を塗設した帯電防止層を設けた。T3−4は、T3−3において、帯電防止層塗布組成物1の代わりに2を使用した。T3−5では、T3−1と同じ層構成であって、先に垂直配向液晶層を塗設した後、帯電防止層を設けた。T3−6は、帯電防止層を設けない比較例である。
その他比較として、セルロースエステルフィルムAの代わりに、特開2008−134624号公報実施例1で使用のゼオノアフィルムZF14−100(日本ゼオン社製、厚み100μm)を使用し、T3−1、T3−3と同様にh、gの位置に帯電防止層を設けた試料T3−201、T3−202、帯電防止層を設けない試料T3−203を作製した。
上記試料について、配向ムラおよび帯電防止性について評価した。
(配向ムラの評価方法)
〈位相差ムラ〉
位相差フィルム試料を、複屈折測定装置MIZOJIRI(溝尻光学工業所製)を用いて、測定スポット0.5mmで0.5mmピッチでのリターデーションRo測定を行った。測定は、フィルムの面内遅相軸を傾斜軸として40°傾斜させて行った。
なお、液晶層の塗布を行う前にセルロースエステルフィルムの位相差ムラは測定して、0.1mm間隔で0.080nm未満でムラがないことを確認しておいた。
位相差ムラの基準としては、以下を用いた。
間隔 リターデーション差 評価
0.1mm 0.080nm未満 ◎
0.1mm 0.080nm以上0.200nm未満 ○
0.1mm 0.200nm以上0.500nm未満 △
0.1mm 0.500nm以上 ×
〈表面比抵抗〉
試料を23℃、20%RHの条件にて24時間調湿し、川口電機(株)製テラオームメーターモデルVE−30を用いて帯電防止層の表面比抵抗を測定した。測定に用いた電極は、2本の電極(試料と接触する部分が1cm×5cm)を間隔を1cmで平行に配置し、該電極に試料を接触させて測定し、測定値を5倍にした値を表面比抵抗値Ω/cmとした。
〈ゴミ付着テスト〉
試料を23℃、20%RHの条件にて24時間調湿し、その試料を水平のアクリル製の机に置き、天然ゴムローラーで2往復擦り、即座と5分後に、採取して1時間以内の乾燥したタバコの灰を位相差フィルムの垂直液晶配向層面側を10秒間、高さ1cmまで近づけ、ゴミの付着を観察した。
○・・・ゴミ付着は全く見られなかった
△・・・ゴミ付着は少し認められた
×・・・ゴミ付着が著しく認められた
Figure 2010145790
表1から明らかなように、本発明の偏光板保護フィルムは、配向ムラ、帯電防止性に優れている。
実施例2
実施例1で作製したT1、T3試料について、さらにT2を下記のように作製し、それらを使用して偏光板および液晶表示装置を作製し、下記の評価を行った。
<偏光板および液晶表示装置の作製>
<偏光板保護フィルムT2−1の作製>
(ドープ液1組成)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 70質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、Mw=200000) 30質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、加熱しながら十分に溶解し、ドープ液1を作製した。
この作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離したアクリル樹脂のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、アクリル樹脂フィルムである偏光板保護フィルムT2−1を得た。
ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.1倍であった。
偏光板保護フィルムT2−1の残留溶剤量は0.1%であり、膜厚は60μm、巻長は4000mであった。Ro=1nm、Rt=0nmであった。
<偏光板保護フィルムT2−2の作製>
(ドープ液2組成)
・トリアセチルセルロース(酢化度61.0%) 85質量部
・2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール 1.5質量部
・メチルメタクリレート−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体 8質量部
(85/15(質量比)) Mw;8000
・メチルアクリレート重合体(*) Mw;1000 5質量部
・メチレンクロライド 475質量部
・エタノール 50質量部(*)特開2000−128911号公報の実施例3記載の重合方法でメチルアクリレートモノマーを重合し、Mw1000、Mn700のポリマーを得た。この反応物の水酸基価(OHV;mg/g KOH)は、50であった。
(マット剤溶液組成)
・平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 11.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 76.1質量部
・エタノール(第2溶媒) 3.5質量部
・アセチルプロピオニルセルロース(アセチル置換度2.06、プロピオニル置換度0.79) 1.9質量部
(マット剤溶液の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
上記処方のドープ液2組成を密封容器に投入し、70℃まで加熱し、撹拌しながら、セルローストリアセテート(TAC)を完全に溶解しドープを得た。溶解に要した時間は4時間であった。ドープ液2組成を濾過した後、マット剤溶液6.5質量部を混合し、その混合液をベルト流延装置を用い、ドープ温度35℃で22℃のステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンド支持体の温度は20℃であった。
その後、剥離可能な範囲まで乾燥させた後、ステンレスバンド支持体上からドープを剥離した。このときのドープの残留溶媒量は25質量%であった。ドープ流延から剥離までに要した時間は3分であった。
ステンレスバンド支持体から10kg/mの張力で剥離させ、140℃下にてテンターで幅方向に2%延伸させた後、多数のロールで搬送させながら120℃、135℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に巻き取り長は500mとした。幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、膜厚40μmの偏光板保護フィルムT2−2を製造した。
フィルム幅は1500mm、ヘイズ((株)村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHM150により測定)は0.3%、単体透過率((株)日立製作所製積分球付き分光光度計U−4100により測定)は99.7%であった。MD方向の引張弾性率は、4.6GPa、TD方向は、3.9GPaであった。巻き取り張力は、初期張力10kg/m、最終巻張力8kg/mとした。Ro=0.5nm、Rt=−1nmであった。
<偏光板の作製>
(アルカリケン化処理)
上記作製した偏光板保護フィルムを下記に記載するアルカリケン化処理した。
ケン化工程 2.5M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量部HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥。
〈偏光子の作製と貼り合わせ〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に製膜方向に延伸して偏光子Po1、Po2を作った。
次に、ポリビニルアルコール系の接着剤を用いて、偏光子Po1の透過軸と偏光板保護フィルムの面内遅相軸が平行になるように偏光子の片面にT1、反対面にT2を図3に示す組み合わせになるように貼り合わせ第1の偏光板を作製した。
また、偏光子Po2についても同様に、片面にT3、反対面にT4を図3に示す組み合わせになるように貼り合わせて第2の偏光板を作製した。
図3において、g、hが本発明、e、fが比較の帯電防止層の位置である。
比較試料の201〜203は、ウレタン系接着剤を使用して偏光子Po2と接着、貼り合わせた。
このようにして、表2に記載する層構成を有する液晶表示装置を下記のように作製した。
T1としては、実施例1で作製したT1−1を使用し、T4としては、コニカミノルタタックKC−4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を使用した。
T2およびT3は表2に記載の通りである。
なお、L−2セルロースエステルフィルム(コニカミノルタタックKC−8UY)の空隙保持層とは反対面に(eの位置)に、帯電防止層塗布組成物1を用いてT3−1と同様にして帯電防止層を設け、液晶表示装置7に比較として使用した。また、T2−1の偏光子を貼合する面と反対面(fの位置)に同様に帯電防止層を設け、液晶表示装置8に比較として使用した。
(液晶画面の乱れ)
パナソニック(株)製26インチ液晶テレビ、TH−26LX70の液晶パネルの偏光板を剥がし、代わりに、第1の偏光板1のT1側にポリエチレンカバーシートを貼り合わせ、T2側に厚さ5μmの粘着剤を設けた後、液晶セルガラスに貼合し、10分後ポリエチレンカバーシートを剥がし、その後5分後の液晶画面の乱れを目視で評価した。
◎・・・剥がす前と変化なし
○・・・液晶の乱れを若干感じた
△・・・液晶の乱れをかなり感じた
×・・・乱れて暫く元の状態に戻りそうもない。
〈熱ムラ〉
パナソニック(株)製ビエラTH−26LX70の液晶セルの両側に貼られている偏光板を剥がし、図3の構成となるように偏光板を配置した表示装置を作製し、評価を行った。
上記のようにして作製した液晶パネルを60℃90%RHで24時間保存し、バックライトを点灯して黒表示にして2時間後に目視でムラの発生強度を観察した。
状況 評価
四隅に強いムラと全面に雲状ムラが発生 ×
四隅に強いムラが発生 △
弱い雲状ムラが発生 ○
ムラの発生ナシ ◎
Figure 2010145790
表2から明らかなように、本発明によれば、帯電防止性に優れ、画面のムラも小さな液晶表示装置を提供することができる。
本発明により作製される微細凹凸構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 微細凹凸構造体の形状の例である。 本発明の実施態様の液晶表示装置(IPSモード)の概略図である。 本発明のセルロースエステルフィルムの製造装置の概略図である。
符号の説明
1 微細凹凸構造体
2 形成面
L−1 空隙保持層
L−2 セルロースエステルフィルム(コニカミノルタタックKC−8UY)
L−3 セルローエステルフィルムA
L−4 中間層
L−5 棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層
L−13 バックライト
Po1、Po2 偏光子(吸収軸は互いに直交している)
T1 第1の偏光板保護フィルム
T2 第2の偏光板保護フィルム
T3 第3の偏光板保護フィルム
T4 第4の偏光板保護フィルム(コニカミノルタタックKC−4UY)
e、f、g、h 帯電防止層
E1 押出し機
E2 フィルター
E3 スタチックミキサー
E4 流延ダイ
E5 回転支持体(第1冷却ロール)
E6 挟圧回転体(タッチロール)
E7 回転支持体(第2冷却ロール)
E8 回転支持体(第3冷却ロール)
E9、11、13、14、15 搬送ロール
E10 セルロースエステルフィルム
E16 巻取り装置
F フィルム

Claims (2)

  1. 視認側から、第1の偏光板、液晶セル、第2の偏光板およびバックライト、の順で構成される液晶表示装置において、該第1の偏光板が偏光板保護フィルムT1、偏光子および偏光板保護フィルムT2、該第2の偏光板が偏光板保護フィルムT3、偏光子および偏光板保護フィルムT4の構成を、視認側からこの順で有し、該T1が、空隙率30%以上95%以下の空隙保持層を有し、該T3が、セルロースエステルフィルムの一方の面に棒状の液晶を垂直に配向させて配向を固定した光学異方性層および帯電防止層を有する光学フィルムであることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記T2が、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を95:5〜30:70の質量比で、かつ相溶状態で含有し、前記アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが80000以上1000000以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)のアシル基の総置換度(T)が2.0以上3.0以下、炭素数が3以上7以下のアシル基の置換度が1.2以上、3.0以下であり、該セルロースエステル樹脂(B)の重量平均分子量Mwが75000以上280000以下である光学フィルムであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
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