JP2010144497A - 水栓装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ドップラーセンサと、吐水口と、前記吐水口から吐水された水を受水する受水部と、前記吐水口からの吐止水を切り替えるためのバルブと、前記バルブの駆動を制御するための制御部と、を備えた水栓装置であって、速度成分のうち低速度成分のみを検知するための低速抽出部をさらに備え、前記制御部は、被洗浄物が吐水口に到達する前に吐水を開始させるために、前記低速抽出部により低速度成分が検知されたときの、低速度成分以外の他の速度成分の検知情報に基づいてバルブの駆動を制御し、前記吐水口からの吐止水を切り替えることを特徴とする水栓装置を提供することである。
【選択図】 図1
Description
ドップラーセンサと、吐水口と、前記吐水口から吐水された水を受水する受水部と、
前記吐水口からの吐止水を切り替えるためのバルブと、前記バルブの駆動を制御するための制御部と、を備えた水栓装置であって、速度成分のうち低速度成分のみを検知するための低速抽出部をさらに備え、前記制御部は、被洗浄物が吐水口に到達する前に吐水を開始させるために、前記低速抽出部により低速度成分が検知されたときの、低速度成分以外の他の速度成分の検知情報に基づいてバルブの駆動を制御し、前記吐水口からの吐止水を切り替えることを特徴とする水栓装置
が提供される。
(第1の実施例)
図1(a)に水栓装置の第1の実施例の概観図を示し、図1(b)に図1(a)の上視図を示し、図1(c)に図1(b)のA視断面図を示す。また、図2に制御ブロック図を示す。
電波センサは、水あるいは金属に対して反射するため、被検知体の素材によらず検知することができ、第一検知エリアaを設定した場合では、利用者の手などの被洗浄物が侵入されると、電波センサ3が被検知体を検知して、その結果が制御部5に転送され、制御部5がバルブ部4を開動し、スパウト1から水道水を吐水する。したがって、第一検知エリアaは、スイッチ機能を有しているエリアであり、利用者が手を差し出しやすいように受水部2の手前の端部2aにマーカー6を釉薬を用いて設けた方が使いやすく、他の方法としては、樹脂製やガラス製の可視光を透過する素材で受水部2を形成し、内部にLED等の発光部材を点灯させて利用者の洗浄行為を誘導してもよい。その場合は、第ニ検知エリアbは、スパウト1からの給水を継続するか、止水に切替えるかを識別するための自動止水機能を有しているエリアとなる。この検知方法の利点は、使用者がスパウトから吐水を開始させたいとき意外である、例えば物を受水部に置くための行為や受水部に置かれたものを取り上げる行為に対しては、スパウト1から水道水を供給することはないため、袖や服を濡らすことなく節水性の高い水栓装置を提供することができる。
一方、第ニ検知エリアbに検知エリアを設定した場合は、手を差し出す行為と洗浄行為が一つのアクションで成立するため、さっと手洗い動作を行うことができるため、手先のみをすばやく洗いたいときには好都合の水栓装置となる。詳細の制御フローについては、後述する。
電波センサ3は、電波を生成する発振回路11と、発振回路11で生成された電波を被検知体に送信し、被検知体からの反射電波を受信する送受信一体のアンテナ12と、アンテナ12からの受信信号により被検知体の有無を判断する検知部13と、で構成されている。尚アンテナ12は、送受信別体でも構わないが、本発明においては、受水部2の内部に設置するために、小型化を優先し一体にしている。このように、電波センサ3から放射される電波は、受水部2の材料が金属以外であれば透過することができ、また、水滴や水垢等の汚れに対しても電波の透過量が依存することもないために、赤外線センサや超音波センサや静電容量センサ等他のセンシング方式では、設置できない汚れる可能性のある受水部2の手前側に配設することができる。
この検知部13は、発振回路11からのローカル信号と、アンテナ12からのRF信号をミキシングするミキサ部14と、ミキサ部14で抽出したドップラー信号を周波数解析または所定の周波数のみを通過させる周波数変換部17とで、構成されている。周波数変換部17は、ソフト処理しても、電気回路で構成しても良いが、本発明では、ソフト処理を用いている。また、周波数変換部17で行われる周波数解析は、FFT解析を用いても良いが、本発明においては、複数の帯域に分けたフィルターを有し、それぞれのフィルターを通過後の波形の有無により実施している。この周波数変換部には、移動体が目標物に停止する直前の減速過程のゆっくりした低速成分の動きのみを抽出する低速抽出部15とその動きよりも速い高速成分を抽出する高速抽出部16とが設けられている。このように低速成分とは、被験者が到達地点に止まる寸前の遅い動きを示し、使用者の身長姿勢より様々な方向から移動した場合にもセンサ部で検知できる速度であり、後述するセンサ部100が検知する信号としては、所定の閾値、例えば、10Hz以下の周波数である。一方高速成分とは、スパウト近傍を横切る動きや、受水部内部で水を切る行為や、手と手をこする手もみ行為など加速または等速の動きを示しており、後述するセンサ部100が検知する信号としては、所定の閾値、例えば10Hz以上の動きである。
尚、このセンサ部100が検知するドップラー信号の周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことができる。
ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c 式(1)
但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×106m/s)
センサ部100に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む出力信号を得ることができる。出力信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。従って、ドップラー周波数ΔFを測定することにより速度vを求めることができる。なお、日本においては、人体を検知する目的には10.50〜10.55GHzの範囲、または24.05〜24.25GHzの範囲の周波数が使用できる。以下この得られたドップラー信号の周波数変換部17を用いた信号処理について説明をする。
最初にS01にて検知部13は、周波数変換部17の低速抽出部15からの信号を抽出する。低速抽出部は、前記のように10Hz以下の速度を検知するようにしている。このましくは、静止物体の手や受水部内部にある揺らぎを検知しないように数Hz〜10Hzの信号を抽出するのが望ましいが、ここでは、0〜10Hzに設定している。S01にて、低速抽出部の信号Vsが極大値と極小値がVs>V1または、Vs<V2になるかを判定している。ここで、信号Vsが図5(a)の状態から図5(b)に変化すると、前記S01で検知状態になるため、次にS02にて、高速抽出部16の信号を抽出する。ここで、高速抽出部が図6(a)に示すように信号VsがV3〜V4の間におさまっている場合は、第一検知エリアaに利用者の手が入ってきたと検知部13が判断でき、S03にて検知部13から制御部5にバルブ部4を“on”する命令が行われ、バルブ部4が開動し、スパウト1から受水部2に向かって水道水を供給する。一方、図6(b)に示すように、信号Vsの極大値と極小値がVs>V3または、Vs<V4になっている場合は、S05にて制御部はバルブ閉を継続する。このS02の判定時間は、低速抽出部15で検知する周波数の周期よりも早い時間に設定しているのがのぞましい。また、高速抽出部の信号波形を記憶し、S01にて低速抽出部が検知した時間にさかのぼって判断すると良い。
これは、受水部2内部で電波センサ3が検知する手洗い行為以外の動きを判別するためのアルゴリズムであり、例えば、手洗い行為以外に洗浄後の手に付着した水を切る行為や、石鹸を手につけて満遍なく汚れを浮きだたせる手もみ行為や、受水部内部に水を捨てる排水行為や、受水部内壁に付着した水の落下する動きである。これらの行為や水の移動は、電波センサ3に対して、水平方向、垂直方向様々な方向や様々な速度成分を有するため、動きの中で瞬間的に低速抽出部15が低周波成分を抽出することがある。その時制御部5は手の減速と判断する可能性があり、使用者が手洗い目的でないときに水が出てくる使い勝手の悪い水栓装置になる可能性があるが、これらの動きは、かならず低速成分だけでなく、同時に高速成分も検知したり、低速成分を検知後に周期的な動きの中で高速成分を発するため、S02による判断を入れることでスパウトからの誤吐水をなくすことができる。しかもこれらの信号処理を入れているにもかかわらず、このS02の判定時間は、低速抽出部15で検知する周波数の周期よりも早い時間に設定していたり、高速抽出部の信号波形を記憶し、S01にて低速抽出部が検知した時間にさかのぼって判断するアルゴリズムを加えると、センサ近傍に停止する前の減速する動きで制御部5が手洗い行為か否かを識別でき、バルブ”開”命令を送るため、目標物に停止する前の早いタイミングで吐水を開始することができ、使用者にとっては差し出す位置を迷わない使い勝手の良い水栓装置になる。このアルゴリズムは、前記第二検知エリアbに差し出された手に対して、スパウトから水を供給するときの制御部のアルゴリズムを説明したが、第一検知エリアaに差し出された検知エリアの場合は、同様のアルゴリズムにしても構わないし、S02にて第一検知エリアaにて被洗浄体を検知した後、その後手洗い行為を行うために、手を吐水口に向かって方向転換するため、節水性を考えるならば、検知した瞬間にバルブを開状態にするのではなく、制御部が検知したことを使用者に感知するブザー音またはLEDにて表示を行い、吐水口に停止するまでにバルブを開状態にするような時間差を設けても使い勝手を損なわず、快適な水栓装置を提供することができる。
バルブ開後は、S04にて検知部13は、第ニ検知エリアbにおける利用者の洗浄状態を識別するために、高速抽出部の信号Vsが周波数変換部17で1Hz以上のハイパスフィルタを通過させた時のドップラー信号Vsが、図7(c)に示すVs>V5あるいはVs<V6になるかを判定している。この時に図7(a)のような大きな振幅を有する波形を得た場合には、利用者の手または指先で飛散した水道水の水流に基づくドップラー信号を示しており、検知部13は、バルブ部4を“on”状態で継続する。しかし、図7(b)に示すVsの極大値と極小値が、V7<Vs<V5または、V8<Vs<V6となった場合は、利用者が手洗い動作を終了し、スパウト1水から供給される水だけの水流状態にあることを示しており、S05にて検知部13から制御部5にバルブ部4を“off”する命令が行われ、バルブ部4が閉動する。ただし、図7(c)のような、V8<Vs<V7の場合は、スパウト1から供給された水をコップ等の器に水を汲んでいる状態の水面の揺らぎを検知していることを示しており、検知部13は、バルブ部4を“on”状態で継続する。その後、コップから水があふれると、コップの周辺にて飛散する水からの反射電波に伴うドップラー信号を得る為、図7(b)のような振幅強度となり、検知部13は、S05にてバルブ部4を“off”にする。
尚、これまで手洗い行為を想定した説明を行ってきたが、歯ブラシを洗浄したり、コップに水を汲む行為も同様に、それぞれ水を利用したい物を持つ手が検知エリアに入る速度成分を識別し、スパウトからの吐水開始のタイミングをコントロールすることができるため、使用者が吐水口に停止する前に水を供給でき、差し出す行為を迷うことのない快適な水栓装置を提供することができる。
図8に水栓装置の第2の実施例の概観図を示しす。
第1の実施例とは、異なり電波センサ33がスパウト内部に配置されているため、受水部32は電波を通過させない金属製の材料など素材や形状に依存しないため何を利用してもよく汎用性が高くなる。またスパウトに向かって減速する手が、センサ向かってくる方向になるため、近づくに従い反射電力量が距離の反比例に2乗に反して大きくなるためS/Nが向上し、制御部はより精度の高い吐止水の判定を行うことができる。
図9(a)にキッチン水栓装置に水栓装置を組み込んだ第3の実施例の概観図を示し、図9(b)に図9(a)のB視断面図を示す。
第1の実施例同様、第一検知エリアdでは、利用者の手などの被洗浄物が侵入されると、電波センサ53の検知部(図示せず)は、制御部55にバルブ部54を開動するための命令を行い、スパウト51から水道水を吐水するため、スイッチ機能を有したエリアとなっている。尚、この第一検知エリアdは、シンク52の壁面にあるため、作業台の前からシンク52を横切ってスパウト51を利用する場合に便利であり、また利用者が受水部の前に立った際にもシンク52の奥まで手を差出すことなく水道水の供給を開始することができるため使いやすい。更に使い勝手を向上させるには、利用者が手を差し出しやすいように調理作業台51の上面と受水部52の側面52aにマーカー56を設けた方がよりよい。このマーカー56は、利用者が慣れるまでの間、取外し可能なシールタイプの物であれば、キッチン水栓装置70がシンプルに構成できて良いし、調理作業台51が、樹脂製やガラス製の可視光を透過する素材で形成している場合は、内部にLED等の発光部材を点灯させて利用者の洗浄行為を誘導してもよい。また、第ニ検知エリアeでは、スパウト51からの給水を継続するか、止水に切替えるかを識別するための自動止水機能を有しているエリアである。
2,22,52、 受水部
3,23,53、 電波センサ
4,24,54、 バルブ部
5,25,55、 制御部
10,50,60、水栓装置
発振回路
アンテナ
検知部
ミキサー部
低速抽出部
高速抽出部
周波数変換部
吐水口
導波管
水路
38、 封し部材
70、 キッチン水栓装置
Claims (3)
- ドップラーセンサと、
吐水口と、
前記吐水口から吐水された水を受水する受水部と、
前記吐水口からの吐止水を切り替えるためのバルブと、
前記バルブの駆動を制御するための制御部と、
を備えた水栓装置であって、
速度成分のうち低速度成分のみを検知するための低速抽出部をさらに備え、
前記制御部は、被洗浄物が吐水口に到達する前に吐水を開始させるために、前記低速抽出部により低速度成分が検知されたときの、低速度成分以外の他の速度成分の検知情報に基づいてバルブの駆動を制御し、前記吐水口からの吐止水を切り替えることを特徴とする水栓装置。 - 前記ドップラーセンサは、異なる帯域の速度を識別するための少なくとも2ヶのフィルタを有し、最も低速度帯を検知するフィルタが前記低速抽出部であることを特徴とする請求項1記載の水栓装置。
- 前記ドップラーセンサは、前記受水部の内部または前記吐水口に向かって電波を放射するように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水栓装置。
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