JP2010144054A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)と、前記(A)以外のエポキシ樹脂(B)と、硬化剤(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物。
(式中、R1〜R8及びR10〜R17は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、ニトロ基、カルボキシル基を示し、R9は置換基を有していてもよい2価以上の官能基を示す。)
【選択図】なし
Description
トリレンジイソシアネート以外の化合物で変性した樹脂として、特許文献2には、ポリメチレンイソシアネートを用いてビスフェノールA型エポキシ樹脂を変性させたエポキシ樹脂が開示されている。
特許文献3には、耐熱性を高めた樹脂として、4,4’−ビス−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルのグリシジルエーテルが開示されている。
特許文献4には、更に改良を加えた樹脂として、4,4’−ビス−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルのグリシジルエーテルを多価フェノールで変性させ、軟化点を下げた樹脂が開示されている。
特許文献3に開示された樹脂は、耐熱性は高いものの、軟化点が高く、また急激な粘度低下があるため、複合材料用途には向いていない。
特許文献4に開示された樹脂は、耐熱性の向上は見られず、また得られる樹脂は脆いものである。
[1]
下記一般式(1)で表される構造を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)と、
前記(A)以外のエポキシ樹脂(B)と、
硬化剤(C)と、
を含むエポキシ樹脂組成物。
[2]
可塑剤(D)を更に含む、上記[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[3]
R9が、イソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル、ヘキサメチレンから選択される1種以上の骨格を含む、上記[1]又は[2]記載のエポキシ樹脂組成物。
[4]
前記エポキシ樹脂組成物中の前記(A)成分の割合が、(A)/(A)+(B)の質量比で10〜95である、上記[1]〜[3]のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
[5]
上記[1]〜[4]のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に塗布及び/又は浸漬により含浸させる工程を含む製造方法により得られるプリプレグ。
[6]
上記[5]記載のプリプレグを積層し、加熱加圧成形する工程を含む製造方法により得られる繊維強化複合材料。
下記一般式(1)で表される構造を有するイソシアネート変性エポキシ樹脂(A)と、
前記(A)以外のエポキシ樹脂(B)と、
硬化剤(C)と、を含む。
一般式(1)において、R1〜R8及びR10〜R17で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオフォスフェート)−3,3’、4,4’−ジフェニルメタンテトライソシアネート等の多官能イソシアネート化合物;
上記イソシアネート化合物の2量体や3量体等の多量体、アルコールやフェノールによりマスクされたブロックイソシアネート及びビスウレタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらイソシアネート化合物は2種以上組み合わせて用いてもよい。
本実施形態で使用される触媒は、オキサゾリドン環形成に使用されるものであれば、特に限定されないが、グリシジル化合物とイソシアネート化合物との反応において、オキサゾリドン環を選択的に生成する触媒であることが好ましい。
テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;
ジメチルアミノエタノール、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、N−メチルモルホリン等の3級アミン;
トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;
アリルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ジアリルジフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、エチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、テトラブチルホスホニウムアセテート・酢酸錯体、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヨーダイド等のホスホニウム化合物;
トリフェニルアンチモン及びヨウ素の組み合わせ;
2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;
等が挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂、及び、これらをハロゲン化したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化剤(C)としては、特に限定されるものではなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができるが、硬化時の反応速度の観点から、グアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらのグアニジン誘導体、芳香族アミン化合物及びノボラック型フェノール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、可塑剤(D)を更に含んでもよい。可塑剤(D)としては、例えば、熱可塑性エラストマーや架橋ゴム等が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、フィラー(E)を更に含んでもよい。フィラー(E)を含有することは、レオロジー制御即ち増粘やチキソトロピー性付与効果があるため好ましい。
上記エポキシ樹脂ワニスを用いてプリプレグを製造することができる。本実施形態のプリプレグは、例えば、上記のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に塗布及び/又は浸漬により含浸させる工程を含む製造方法により得ることができる。また、本実施形態のプリプレグを得るための別の方法としては、有機及び/又は無機の短繊維を、本実施形態のエポキシ樹脂組成物に加える工程を含む製造方法が挙げられる。
繊維強化複合材料は、上記のプリプレグを積層し、加熱加圧成形することにより製造することができる。加熱加圧成形は、常法にしたがって行なえばよく、例えば、温度80〜300℃、圧力0.01〜100MPa、時間1分〜10時間の条件下、より好ましくは、温度120〜250℃、圧力0.1〜10MPa、時間1分〜5時間の条件下で行なう。
実施例中の物性は以下の方法により測定した。
エポキシ樹脂組成物を含浸させて硬化させた炭素繊維強化複合材料について、SACMA−SRM−2R−94に準拠し、圧縮強度を測定した。
日本分光株式会社 FT/IR−6100を使用して、600〜4000cm−1の範囲で測定を行った。
反応器内に、原料グリシジル化合物としてビフェノール型エポキシ樹脂(商品名:YX4000、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量185g/eq)100質量部、及び、テトラブチルアンモニウムブロマイド(商品名:臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、和光純薬工業(株)製)0.04質量部を投入し、撹拌加熱し、内温を175℃にした。さらに、原料イソシアネート化合物としてトリレンジイソシアネート(商品名:コロネートT80(商標)、日本ポリウレタン(株)製)11.8質量部を90分かけて反応器内に投入した。投入終了後、反応温度を175℃に保ち、8時間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−1)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。
反応器内に、原料グリシジル化合物としてビフェノール型エポキシ樹脂(商品名:YX4000H、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量185g/eq)100質量部とヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:デュラネート50M、旭化成ケミカルズ(株)製)8.9質量部を混合し、100℃で加熱溶融させた。次いで、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.04質量部を投入し、均一になるまで撹拌した後で、昇温し、内温を175℃にした。反応温度を175℃に保ち、8時間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−2)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。
原料イソシアネート化合物を、イソホロンジイソシアネート(商品名:デスモジュールI(商標)、住化バイエルウレタン工業(株)製)6.0質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により変性を行い、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−3)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。
原料グリシジル化合物としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:AER260、旭化成ケミカルズ(株)製、エポキシ当量186g/eq)90質量部を150℃に加熱し、窒素を充填した。そこに2−メチルイミダゾール(和光純薬工業(株)製)0.03質量部を投入し、撹拌加熱し、内温を160℃にした。さらに、原料イソシアネート化合物として4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(商品名:ミリオネートMT(商標)、日本ポリウレタン(株)製)10質量部を30分かけて反応器内に投入した。投入終了後、反応温度を160℃に保ち、15分間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂(A−4)を得た。得られた樹脂をIR測定したところ、1750cm−1と910cm−1にピークが観測され、オキサゾリドン環とエポキシ基を含むことを確認した。
特開昭63−30520記載のエポキシ樹脂製造例Aと同様の方法により実施した。即ち、4、4’−ビス−3、3’,5,5’−テトラメチルビフェニルのグリシジルエーテル100質量部及びテトラブロムビスフェノールA54質量部に、触媒としてテトラメチルアンモニウムアイオダイド0.03質量部を添加し、170℃で3時間反応させて、室温で固形のエポキシ樹脂(B−1)(エポキシ当量460)を得た。
得られたイソシアネート変性エポキシ樹脂(A−1)〜(A−4)、エポキシ樹脂(B−1)及びYX4000を用いて、表1に示す配合によりエポキシ樹脂組成物を調製した。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂組成物に炭素繊維クロス(商品名:トレカクロスCO6343、東レ(株)社製)を5分間浸漬し、炭素繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸せしめた後、該ガラスクロスを170℃のオーブンで2分間加熱して、プリプレグを得た。
得られたプリプレグを10cm四方に切断し、7枚重ねて、熱板プレスにて40kgf/cm2、180℃で60分プレスを行い、炭素繊維強化複合材料を得た。得られた炭素繊維強化複合材料のガラス転移温度(弾性率E’の低下開始温度)、破壊靭性(KIC)、及び圧縮強度を測定し、結果を表1に示した。
Claims (6)
- 可塑剤(D)を更に含む、請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- R9が、イソホロン、ベンゼン、トルエン、ジフェニルメタン、ナフタレン、ポリメチレンポリフェニレンポリフェニル、ヘキサメチレンから選択される1種以上の骨格を含む、請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂組成物中の前記(A)成分の割合が、(A)/(A)+(B)の質量比で10〜95である、請求項1〜3のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のエポキシ樹脂組成物を、繊維基材に塗布及び/又は浸漬により含浸させる工程を含む製造方法により得られるプリプレグ。
- 請求項5記載のプリプレグを積層し、加熱加圧成形する工程を含む製造方法により得られる繊維強化複合材料。
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