JP2010143396A - 車両の駆動力制御装置及び車両のジェネレータダイオードの冷却方法 - Google Patents

車両の駆動力制御装置及び車両のジェネレータダイオードの冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発電機のジェネレータダイオードの温度上昇を適切に抑制する。さらに、冷却媒体の流量を増加させるためのエンジン回転数の変化を自車両の走行状態に適合させて行う。
【解決手段】車両の駆動力制御装置は、ジェネレータダイオードの冷却の要否の判定をし(ステップS2)、その結果、ジェネレータダイオードの冷却が必要であると判定した場合、ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得し(ステップS3)、その取得した目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得し(ステップS4)、舵角変化率の絶対値を基に、自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定し(ステップS6〜ステップS13)、取得した変速比に、その設定した速度で変化させる変速制御をする(ステップS14)。
【選択図】図6

Description

本発明は、駆動輪を駆動するモータに電力を供給等する発電機を搭載した車両の駆動力制御装置及び、発電機のジェネレータダイオードを冷却する車両のジェネレータダイオードの冷却方法に関するものである。
車両駆動装置として、エンジンに発電機を駆動し、発電機の発電電力によりモータを駆動し駆動輪を駆動するものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2004−248498号公報
ところで、特許文献1のような発電機を用いた車両駆動装置では、発電機のジェネレータダイオードの発熱が問題となる。特に発電機が低回転、高出力となるときの発熱が問題となる。例えば、発電機が低回転、高出力となり、発電機のジェネレータダイオードの温度が高くなり過ぎて、発電機のジェネレータダイオードの能力が低下する場合がある。
本発明の課題は、発電機のジェネレータダイオードの温度上昇を適切に抑制することである。
前記課題を解決するために、本発明は、発電機のジェネレータダイオードの冷却を冷却媒体を用いて行い、エンジン回転数を高くして前記冷却媒体の流量を増加させる。そして、本発明は、ジェネレータダイオードの冷却の要否の判定をし、その結果、ジェネレータダイオードの冷却が必要であると判定した場合、ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得する。そして、本発明は、その取得した目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得する。一方、本発明は、舵角変化率の絶対値を基に、自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定する。そして、本発明は、設定した速度で、取得した変速比に変化させる変速制御をする。
本発明によれば、発電機のジェネレータダイオードを冷却する冷却媒体の流量をエンジン回転数を高くして増加させることで、発電機のジェネレータダイオードの温度上昇を適切に抑制できる。また、本発明によれば、舵角変化率の絶対値を基に設定した速度で変速比を変化させることで、冷却媒体の流量を増加させるための変速比の変更を自車両の旋回状態に合致させて行うことができる。これにより、エンジン回転数の増加も自車両の旋回状態に合致したものとなる。この結果、冷却媒体の流量を増加させるためのエンジン回転数の変化を自車両の走行状態に適合させて行うことができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(構成)
本実施形態は、本発明を適用した車両である。
図1は、本実施形態の車両の概略構成図である。図1に示すように、この車両は、エンジン2及びモータ(交流モータ)4により車輪1FL,1FR,1RL,1RRを駆動する車両である。車両は、エンジン2によって主駆動輪となる左右前輪1FL,1FRを駆動する。具体的には、車両は、自動変速機5及びフロントディファンシャル等を通じてエンジン2の出力トルクTeを左右前輪1FL,1FRに伝達する。自動変速機5は、セレクトレバー81の操作位置(Dレンジ、Rレンジ等)に応じて、左右前輪1FL,1FRを正転駆動又は逆転駆動させる。そして、車両は、従駆動輪(副駆動輪)となる左右後輪1RL,1RRをモータ4によって駆動する。ここで、発電機7からの発電電力によりモータ4を駆動する。このようなことから、車両は、エンジン2の出力トルクTeの一部を、無端ベルト6を介して発電機7に伝達している。発電機7は、エンジン2の回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Ngで回転する。
図2は、自動変速機5を含む前輪の駆動系の構成を示す。図2に示すように、車両は、駆動系として、発電機7、ベルト6、エンジン側プーリ32、クランクシャフト33及びエンジン2を備える。また、車両は、自動変速機5の構成として、エンジン出力軸34、オイルポンプ35、トルクコンバータ36、トルクコンバータ出力軸37、フォワードクラッチ38(発進締結要素)、変速機入力軸39、ベルト式無段変速機(ベルト式CVT(ContinuouslyVariable Transmission))40、変速機出力軸42、出力ギヤ45、ドライブギヤ46、ディファレンシャル47、ドライブシャフト48,49及びCVT油圧ユニット50を備える。
オイルポンプ35は、エンジン出力軸34により駆動される油圧供給源としてのメカポンプである。オイルポンプ35は、CVT油圧ユニット50にポンプ吐出油を供給する。CVT油圧ユニット50は、クラッチアクチュエータ51によりフォワードクラッチ38の締結状態を制御する。具体的には、CVT油圧ユニット50は、ECU(ElectronicControl Unit)16からのフォワードクラッチ38の締結開始指令を受けて、その締結状態を制御する。例えば、ECU16をCVTコントローラともいう。また、ECU16は、後述の4WD制御部20からの変速指令により、変速制御を行う。
駆動力の伝達経路上、すなわちトルクコンバータ出力軸37と変速機入力軸39との間にフォワードクラッチ38を介装している。フォワードクラッチ38は、油圧締結される多板摩擦クラッチ等による発進締結要素である。CVT油圧ユニット50からのクラッチ制御圧によりフォワードクラッチ38を締結する。
ベルト式無段変速機40は、変速機入力軸39に設置したプライマリプーリ41、変速機出力軸42に設置したセカンダリプーリ43、及びプライマリプーリ41とセカンダリプーリ43との間に掛け渡したVベルト44を備える。CVT油圧ユニット50は、ベルト接触径を決めるプライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧(=ライン圧)とをプライマリプーリ41及びセカンダリプーリ43に供給する。
なお、変速機出力軸42には出力ギヤ45を備える。変速機出力軸42は、出力ギヤ45に噛み合うドライブギヤ46を介してディファレンシャル47に回転駆動力を伝達する。ディファレンシャル47は、右ドライブシャフト48を介して右前輪1FRに回転駆動力を伝達する。また、ディファレンシャル47は、左ドライブシャフト49を介して左前輪1FLに回転駆動力を伝達する。
4WD制御部(4WD C/U)20は、発電機7を制御する。具体的には、4WD制御部20は、界磁電流Ifgを調整し発電機7を制御する。そして、発電機7は、その調整された界磁電流Ifgに応じてエンジン2に対し負荷となり、その負荷トルクに応じた発電をする。発電機7の発電電力の大きさは、回転数Ngと界磁電流Ifgとの大きさにより決まる。ここで、発電機7の回転数Ngは、エンジン2の回転数Neからプーリ比に基づき演算できる。発電機7が発電した電力は、ジャンクションボックス10及びインバータ9を介してモータ4に供給可能となる。すなわち、インバータ9によって直流を三相交流に変換して交流モータであるモータ4に供給して該モータ4を駆動する。
図2に示すように、4WD制御部20は、双方向通信線であるCAN(Control Area Network)通信線52を介してECU16と相互に情報交換を行う。なお、ECU16内に4WD制御部20を組み込んで構築することもできる。この場合、ECU16は、4WD制御部20に相当する機能を有する。
図3は、モータ4及びインバータ9等の構成を示す。モータ4は、界磁巻線型同期モータである。図3に示すように、モータ4は、界磁コイル4aを有したロ一タと、回転磁界を発生するための3相巻線(電機子コイル4b)が巻かれたステータとを備える。モータ4は、ロータの界磁コイル3aに電流を流すことで発生する磁界とステータの電機子コイル4bから発生する磁界との相互作用により回転運動する。また、モータ4は、ロータが外力により回転させられる場合、これらの磁界の相互作用により電機子コイル4bの両端に起電力を発生し発電動作する。図1に示すモータ制御部21が指令値によりモータ4を制御する。図1に示すように、モータ4の駆動軸は、減速機11及びクラッチ12を介して後輪1RL,1RRに接続可能となっている。
ジャンクションボックス10内には、インバータ9と発電機7とを接続・遮断するリレーを備える。このリレーが接続されている状態で、発電機7から整流器を介して直流の電力をインバータ9に供給する。インバータ9内で三相交流に変換されてモータ4を駆動する。また、ジャンクションボックス10内には、発電電圧を検出する不図示の発電機電圧センサ、及びインバータ9の入力電流である発電電流を検出する不図示の発電機電流センサを備える。ジャンクションボックス10は、これらセンサの検出信号を4WD制御部20に出力する。また、モータ4の駆動軸には不図示のレゾルバを連結している。レゾルバは、モータ4の磁極位置信号θを出力する。
インバータ9は、図3に示すように、6個のスイッチング素子9a(MOSFET)を備える。6個のスイッチング素子9aは、モータ4の電機子コイル4bの三相に対応して3組の上下アームのスイッチング素子9aとなる。この3組の各スイッチング素子9aをそれぞれスイッチング制御することでモータ4に3相交流を供給する。インバータ9は、モータ制御部21からの指令を基に、そのスイッチング制御を行う。また、インバータ9は、該インバータ9で変換した各相の電流値を検出、つまり電機子電流Iaの電流を検出する不図示の電流センサを備える。インバータ9は、電流センサで検出した電流信号をモータ制御部21に出力する。
また、車両(例えばインバータ9)は、図3に示すように、モータ4の界磁コイル4aに界磁電流Ifmを流す界磁駆動回路22を備える。界磁駆動回路22は、2組の組を成す4個のスイッチング素子22a(MOSFET)を備える。界磁駆動回路22は、モータ制御部21からの指令に応じて、各スイッチング素子22aをスイッチングして、界磁電流Ifmの向き及び界磁電流Ifmの大きさを制御する。また、車両(例えばインバータ9)は、界磁コイル4aの電流を検出する不図示の電流センサを備える。電流センサは、検出した電流信号をモータ制御部21に出力する。
なお、界磁駆動回路22を介してモータ4の界磁コイル4aへ補助バッテリの電力を通電することもできる。又は、界磁駆動回路22を介してモータ4の界磁コイル4aに、インバータ9で変換された電力を通電することもできる。
車両は、以上のようなモータ4及びインバータ9等の構成により、左右後輪1RL,1RRを駆動する。すなわち、車両は、必要に応じてモータ4を駆動して左右後輪1RL,1RRを駆動する。例えば、4WD制御部20は、発進時に、左右前輪1FL,1FRに加えて、左右後輪1RL,1RRを駆動する。具体的には、4WD制御部20は、発進時に、左右前輪1FL,1FRに加速スリップが発生する前に、左右後輪1RL,1RRを駆動する。このとき、4WD制御部20は、アクセル開度に応じた目標モータトルクを基に、モータ4及び発電機7を制御する。
また、この車両は、ホイールシリンダ62FL〜62RRの圧力を制御するブレーキアクチュエータ61を備える。各車輪1FL〜1RRにホイールシリンダ62FL〜62RRを設ける。ブレーキアクチュエータ61は、上位コントローラ等から入力された制御信号に応じてホイールシリンダ62FL〜62RRの圧力を制御する。ホイールシリンダ62FL〜62RRは、押圧力によってブレーキパッドをブレーキディスク63FL〜63RRに押し当てる。ここで、ブレーキディスク63FL〜63RRは、車輪1FL〜1RRと一体に回転する。これにより、車輪1FL〜1RRには、その摩擦力に応じた制動力が発生する。
また、この車両は、発電機7のジェネレータダイオードを冷却するための循環経路を有する。図4は、その循環経路31を示す。図4に示すように、車両において、ジェネレータ7、サーモスタッド32、ラジエータ33、ポンプ34及びエンジン2を経由して冷却媒体(冷却水、具体的には不凍液)の循環経路31(図4に示す矢印)を形成している。この構成において、循環経路31で冷却媒体を循環させるためのポンプ34をエンジン2により駆動している。また、ジェネレータダイオード7aは、発電機7において交流電流を直流電流に変換するものとして機能する。例えば、3相ブリッジによりジェネレータダイオード7aを構成する。
このようなジェネレータダイオード7aを冷却するための構成では、エンジン2のエンジン回転数を増加させてポンプ34による冷却媒体の供給量を多くすることで、ジェネレータダイオード7aの冷却効率を高めるようにしている。
図5は、発電機7の回転数(発電機回転数)及び発電機7の出力電流とジェネレータダイオード7aの温度変化との関係の一例を示す。図5に示す例では、発電機回転数を4500rpm/minと9000rpm/minとで変化させている。また、発電機7の出力電流の100A、200A及び250Aで変化させている。
図5に示すように、発電機回転数が低くなるほどジェネレータダイオード7aの温度上昇は大きくなる。また、発電機7の出力電流が大きくなるほどジェネレータダイオード7aの温度上昇は大きくなる。前記図4に示す構成により、この図5に例示するような温度特性を有するジェネレータダイオード7aを冷却媒体で冷却する。
また、この車両は、舵角センサ71を備える。舵角センサ71は、ステアリングホイールの舵角及び舵角変化率(単位時間当たりの舵角変化量)を4WD制御部20に出力する。4WD制御部20は、舵角センサ71からの入力を基に、ECU16を介して、CVT制御する。
図6は、舵角センサ71からの入力に基づくCVT制御の処理手順を示す。図6に示すように、処理を開始すると、先ずステップS1において、4WD制御部20は、エンジン回転数Neng及びシステムDC電流Idcを取得する。なお、システムDC電流Idcは、自車両の走行状態に応じて変化する。例えば、システムDC電流Idcは、2WD状態、4WD状態に応じて変化する。ジェネレータダイオードには、このシステムDC電流Idcの値の電流が流れる。
続いてステップS2において、4WD制御部20は、ジェネレータ保護(冷却水量増加)が必要か否かを判定する。
図7は、システムDC電流Idcとエンジン回転数Nengとの関係を示す。図7中の斜線領域は、ジェネレータ保護が必要となる領域となる。斜線領域内(例えば動作点Na)では、システムDC電流Idcのある程度大きくなっているのにもかかわらずエンジン回転数Nengが低いため、連続通電するとジェネレータダイオードが耐熱超過してしまう。一方、斜線領域以外の領域は、ジェネレータダイオードが耐熱超過しない温度飽和領域であり、連続通電が可能な領域となる。図7からわかるように、ジェネレータ保護をするために、システムDC電流Idcが大きくなるほど、エンジン回転数Nengを高くする必要がある。これは、ジェネレータダイオードの飽和温度が、エンジン回転数NengとシステムDC電流Idcにより決まることを意味している。
4WD制御部20は、この図7の特性図(関係図)をマップ等として有している。そして、ステップS2では、4WD制御部20は、このマップ等を参照して、エンジン回転数Neng及びシステムDC電流Idcを基に、ジェネレータ保護が必要か否かを判定する。ここで、4WD制御部20は、ジェネレータ保護が必要な場合(図7の斜線領域内の場合、例えばNa点)、ステップS3に進む。また、4WD制御部20は、ジェネレータ保護が必要でない場合(図7の斜線領域外の場合)、該図6に示す処理を終了する。
ここでの判定処理は、ジェネレータダイオードの通電電流の大きさに応じて決まる冷却要否判定用エンジン回転数と、実エンジン回転数とを比較して、ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定することと等価である。
ステップS3では、4WD制御部20は、目標エンジン回転数Nengを算出する。耐熱超過しない温度飽和領域であり、ジェネレータダイオードに連続通電が可能な領域内となる動作点のエンジン回転数を目標エンジン回転数Nengとして算出する。例えば、図7に示すように、動作点Naに対して、動作点Nbのエンジン回転数を目標エンジン回転数Nengとして算出する。
続いてステップS4において、4WD制御部20は、目標エンジン回転数Nengを実現する変速比を算出する。すなわち、エンジン回転数Neng(実エンジン回転数)から目標エンジン回転数Nengに変化させるためにCVTの変速線上の動作点を得る。
図8は、車速とプライマリプーリ回転数との関係で示すCVT線図である。例えば、図7に示すように、エンジン回転数を動作点Naから動作点Nbに変化させるために、図8に示すように、CVTを動作点Paから動作点Pbに変化させる。さらに、車速を一定値に維持できるように、CVTを動作点Paから動作点Pbに変化させる。
例えば、CVTの動作点を変化させる情報を別のマップに持っている。さらに、アクセル開度に応じて変化させる動作点も異なることから、そのようなマップをアクセル開度毎に持っている。
続いてステップS5において、4WD制御部20は、舵角及び舵角変化率を取得する。
続いてステップS6〜ステップS13において、前記ステップS5で取得した舵角(絶対値)及び舵角変化率(絶対値)を基に、変速速度を設定(決定、算出)する。
図9は、舵角と舵角変化率に基づいて設定する変速速度を示す。ステップS6〜ステップS13の処理は、この図9の設定条件を実現する処理となる。
先ずステップS6では、4WD制御部20は、舵角(絶対値)の値を基に、ハンドル舵角が有るか(操舵しているか)否かを判定する。ここで、4WD制御部20は、ハンドル舵角が有る場合、ステップS7に進む。ハンドル舵角が有るとは、舵角(絶対値)が零以外或いはほぼ零以外であること、又は操舵していることを言う。また、4WD制御部20は、ハンドル舵角が無い場合、ステップS9に進む。ハンドル舵角が無いとは、舵角(絶対値)が零或いはほぼ零であること、又はハンドルが中立位置或いはほぼ中立位置にあることを言う。
ステップS7では、4WD制御部20は、舵角変化率(絶対値)が小さいか否かを判定する。例えば、舵角変化率が第1のしきい値以下か否かを判定する。ここで、4WD制御部20は、舵角変化率が小さい場合(例えば舵角変化率が第1のしきい値以下の場合)、ステップS10に進む。また、4WD制御部20は、舵角変化率が小さくない場合(例えば舵角変化率が第1のしきい値よりも大きい場合)、ステップS8に進む。
ステップS8では、4WD制御部20は、舵角変化率が中程度か否かを判定する。例えば、舵角変化率が第2のしきい値(>第1のしきい値)以下か否かを判定する。ここで、4WD制御部20は、舵角変化率が中程度の場合、ステップS11に進む。また、4WD制御部20は、舵角変化率が中程度でない場合(舵角変化率が大きい場合)、ステップS12に進む。
例えば、舵角変化率を判定するための数値範囲を3つ設けて、舵角変化率の大、中、小を判定する。
ステップS10では、4WD制御部20は、変速速度を「中」(中速)に設定する。また、ステップS11では、4WD制御部20は、変速速度を「低」(低速)に設定する。そして、ステップS12では、4WD制御部20は、変速しない決定(変速比を維持する決定)をする。
また、前記ステップS6でハンドル舵角が無い場合に進むステップS9では、4WD制御部20は、舵角変化率が小さいか否かを判定する。例えば、舵角変化率が第1のしきい値以下か否かを判定する。ここで、4WD制御部20は、舵角変化率が小さい場合(例えば舵角変化率が第1のしきい値以下の場合)、ステップS13に進む。また、4WD制御部20は、舵角変化率が小さくない場合(例えば舵角変化率が第1のしきい値よりも大きい場合)、前記ステップS8に進む。ここで、ステップS8以降の処理は、前記ステップS6でハンドル舵角が有る場合(操舵している場合)に進む処理と同じである。
ステップS13では、4WD制御部20は、変速速度を「高」(高速)に設定する。
続いてステップS14において、4WD制御部20は、前記ステップS10〜ステップS13の設定結果に基づく変速指令をECU16に出力する。ECU16は、変速指令を基に、CVTを変速制御する。
(動作及び作用)
4WD制御部20は、エンジン回転数Neng及びシステムDC電流Idcを基に、ジェネレータ保護が必要であると判定した場合(前記ステップS1、ステップS2)、目標エンジン回転数Nengを算出し、その算出した目標エンジン回転数Nengを実現する変速比を算出する(前記ステップS3、ステップS4)。そして、4WD制御部20は、舵角(絶対値)及び舵角変化率(絶対値)を基に、変速比を変化させる変速速度を設定する(前記ステップS6〜ステップS13)。そして、4WD制御部20は、変速比及び変速速度を実現する変速指令をECU16に出力する(前記ステップS14)。ECU16では、変速指令を基に、CVTを変速制御する。
このとき、変速速度は次のようになる。
ハンドル舵角が有り(舵角が零以外又はほぼ零以外)、舵角変化率が小さいときには、変速速度を中速にする(前記ステップS10)。また、ハンドル舵角が有り、舵角変化率が中程度のときには、変速速度を低速にする(前記ステップS11)。また、ハンドル舵角が有り、舵角変化率が大きいときには、変速をしない決定(変速比を維持する決定)をする(前記ステップS12)。
また、ハンドル舵角が無く(舵角が零又はほぼ零)、舵角変化率が小さいときには、変速速度を高速にする(前記ステップS13)。また、ハンドル舵角が無く、舵角変化率が中程度のときには、変速速度を低速にする(前記ステップS11)。また、ハンドル舵角が無く、舵角変化率が大きいときには、変速をしない決定(変速比を維持する決定)をする(前記ステップS12)。
これにより、舵角及び舵角変化率に応じて、変速速度は変化する。さらに、一定周期で舵角及び舵角変化率がサンプリングされるたびに、その舵角及び舵角変化率に応じて、変速速度は変化する。
図10は、(A)ハンドル舵角、(B)舵角変化率、(C)エンジン回転数及び(D)変速比の間の関係を示す。図10に示すように、A区間では、ハンドル操角が零であり、ハンドルを中立位置に維持している。よって、舵角変化率も零に維持されている状態になる(図10(A)、(B))。例えば、A区間は直線路である。この場合、その舵角及び舵角変化率に対応して、変速比をHIからLOに向かって高速で変化させる(図10(D))。これにより、エンジン回転数は、高い増加割合で増加する(図10(C))。
また、その後のB区間では、ハンドルを切り増し後に切り戻したときのハンドル舵角の変化を示す(図10(A))。例えば、B区間は急カーブ路である。このとき、ハンドルの切り増し、切り戻しに応じて、舵角変化率も大きくなる(図10(B))。この場合、その舵角及び舵角変化率に対応して、変速しないようにする(図10(D))。これにより、エンジン回転数は変化しない(図10(C))。
また、その後のC区間では、再び、ハンドルを中立に維持しており、舵角変化率も零に維持されている状態になる(図10(A)、(B))。この場合、その舵角及び舵角変化率に対応して、変速比を高速で変化させる(図10(D))。これにより、エンジン回転数は、高い増加割合で増加する(図10(C))。
また、その後のD区間では、ハンドルを緩やかに切り増したときのハンドル舵角の変化を示す(図10(A))。例えば、D区間は緩やかなカーブ路である。このとき、ハンドル舵角の緩やかな切り増しに応じて、舵角変化率もある程度大きくなる(図10(B))。この場合、その舵角及び舵角変化率に対応して、変速比を低速で変化させる(図10(D))。これにより、エンジン回転数は、低い増加割合で増加する(図10(C))。
また、その後のE区間では、ハンドルが緩やかに切り増しされ、あるハンドル舵角で維持されている状態になる(図10(A))。例えば、E区間は長く続くカーブ路である。このとき、ハンドル舵角が維持されているので、舵角変化率は小さくなる(図10(B))。この場合、その舵角及び舵角変化率に対応して、変速比を中速で変化させる(図10(D))。このとき、エンジン回転数は、中程度の増加割合で増加する(図10(C))。
(実施形態の変形例)
(1)路面μを基に、変速速度を設定することもできる。具体的には、自車両の走行路が高路面μ路のときの変速速度よりも低路面μ路のときの変速速度を小さくする。
(2)この実施形態では、舵角(絶対値)を、零(又はほぼ零)、零以外(又はほぼ零以外)といったように断続的に分け、変速速度を、低、中、高といったように断続的に分けている。これに対して、舵角(絶対値)の変化に対して、連続的に、変速速度を変化させることもできる。
(3)この実施形態では、舵角変化率(絶対値)を、大、中、小といったように断続的に分け、変速速度を、低、中、高といったように断続的に分けている。これに対して、舵角変化率(絶対値)の変化に対して、連続的に、変速速度を変化させることもできる。
なお、この実施形態では、4WD制御部20のステップS2の処理は、ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する冷却判定手段を実現している。また、4WD制御部20のステップS3の処理は、前記冷却判定手段が冷却が必要であると判定した場合、前記ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得する目標エンジン回転数取得手段を実現している。また、4WD制御部20のステップS4の処理は、前記目標エンジン回転数取得手段が取得した前記目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得する変速比取得手段を実現している。また、舵角センサ71及び4WD制御部20のステップS5の処理は、舵角変化率を検出する舵角情報検出手段を実現している。また、4WD制御部20のステップS6〜ステップS13の処理は、前記舵角情報検出手段が検出した舵角変化率の絶対値を基に、前記自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定する変速速度設定手段を実現している。また、4WD制御部20のステップS14の処理及びECU16によるCVTの変速制御は、前記変速速度設定手段で設定した速度で前記変速比取得手段が取得した変速比に変化させる変速制御をする変速制御手段を実現している。
また、この実施形態では、発電機のジェネレータダイオードの冷却を冷却媒体を用いて行い、エンジン回転数を高くして前記冷却媒体の流量を増加させる車両のジェネレータダイオードの冷却方法であって、前記ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する冷却判定ステップと、前記冷却判定ステップで冷却が必要であると判定した場合、前記ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得する目標エンジン回転数取得ステップと、前記目標エンジン回転数取得ステップで取得した前記目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得する変速比取得ステップと、舵角変化率の絶対値を基に、前記自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定する変速速度設定ステップと、前記変速速度設定ステップで設定した速度で前記変速比取得ステップで取得した変速比に変化させる変速制御をする変速制御ステップと、を有する車両のジェネレータダイオードの冷却方法を実現している。
(効果)
本実施形態における効果は次のようになる。
(1)発電機7のジェネレータダイオードの冷却を冷却媒体を用いて行い、エンジン回転数を高くして冷却媒体の流量を増加させる。そして、ジェネレータ保護が必要か否かの判定をする(前記ステップS1)。その結果、冷却が必要であると判定した場合(前記ステップS2)、ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数Nengを算出する(前記ステップS3)。そして、その算出した目標エンジン回転数NengにするCVTの変速比(動作点)を算出している(前記ステップS4)。また、舵角及び舵角変化率を取得し(前記ステップS5)、その取得した舵角(絶対値)及び舵角変化率(絶対値)を基に、変速速度を設定している(前記ステップS6〜ステップS13)。そして、その設定した変速速度で先に算出した変速比に変化させる変速制御をする(前記ステップS14)。
これにより、発電機7のジェネレータダイオードを冷却する冷却媒体の流量をエンジン回転数を高くして増加させることで、発電機7のジェネレータダイオードの温度上昇を適切に抑制できる。
ここで、自車両の走行状態にかかわらず冷却水流量を増加させるためにシフトダウンさせてしまうと、エンジン回転数の変化による自車両の挙動の変化が運転者に違和感を与えてしまう場合がある。これに対して、本実施形態では、舵角変化率を基に設定した速度で変速比を変化させることで、冷却水流量を増加させるための変速比の変更を自車両の旋回状態に合致させて行うことができる。
これにより、エンジン回転数の増加も自車両の旋回状態に合致したものとなる。この結果、旋回中の変速比の変化、すなわちエンジン回転数の変化による車両挙動の変化を抑制し、運転者に違和感を与えるのを防止できる。
また、自動変速機としてのAT(Automatic Transmission)の変速比を変化させ、エンジン回転数を上げて冷却媒体の流量を増加させることも考えられる。これに対して、本実施形態では、車両が自動変速機としてCVTを搭載し、そのCVTの変速比を変化させてエンジン回転数を増加させている。
これにより、エンジン回転数を円滑に変化させることができ、エンジン回転数の変化による車両挙動への影響をより抑制できる。
(2)舵角変化率が大きくなるほど、連続的又は断続的に、変速速度を小さくする。
これにより、自車両の旋回度合いが大きくなると推定される場合、それに応じて緩やかに変速比及びエンジン回転数を変化させることができ、自車両の旋回状態に合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
また、緩やかに変速比が変化する結果、エンジン回転数の上昇も緩やかになる。この場合、熱の影響に対する時定数(熱時定数)を有するジェネレータダイオードの温度変化に対して、過渡又は短時間に変速比を変更することがなくなる。
また、舵角変化率が大きくなるほど、連続的に変速速度を小さくすることで、連続的に緩やかに変速比及びエンジン回転数を変化させることができ、自車両の旋回状態に合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
(3)舵角を基に、変速比を設定している。
これにより、自車両の旋回状態に合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
(4)舵角が大きくなるほど、連続的又は断続的に、変速速度を小さくする。
これにより、自車両の旋回度合いが大きくなると推定される場合、それに応じて緩やかに変速比及びエンジン回転数を変化させることができ、自車両の旋回状態に合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
また、舵角が大きくなるほど、連続的に変速速度を小さくすることで、連続的に緩やかに変速比及びエンジン回転数を変化させることができ、自車両の旋回状態に合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
(5)変速速度を、自車両の走行路が高路面μ路のときよりも低路面μ路のときの方を小さくしている。
これにより、路面μが小さくなる場合、それに応じて緩やかに変速比及びエンジン回転数を変化させることができ、路面μに合致させて変速比及びエンジン回転数を変化させることができる。
(6)エンジン回転数に増加させる変速比を一定の車速に維持できる値にしている。
これにより、車速変動なくしてエンジン回転数を変化させることができるから、車両挙動の変化を抑制してエンジン回転数を増加させることができる。
(7)ジェネレータダイオードの通電電流の大きさに応じて決まる冷却要否判定用エンジン回転数と、実エンジン回転数とを比較して、ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する。具体的には、マップ等(図7)を参照して、ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する。
これにより、ジェネレータダイオードの冷却の要否を簡単に判定できる。
本発明の実施形態の車両の構成概要を示す図である。 自動変速機を含む前輪の駆動系の構成を示す図である。 インバータ及び界磁駆動回路の構成を示す図である。 ジェネレータダイオードを冷却するための循環経路の構成を示す図である。 ジェネレータダイオードの温度特性の一例を示す特性図である。 4WD制御部の処理手順を示すフローチャートである。 ジェネレータ保護が必要となる領域の説明に使用した特性図である。 車速とプライマリプーリ回転数との関係で示すCVT線図を示す。 舵角と舵角変化率に基づいて設定する変速速度を示す図である。 (A)ハンドル舵角、(B)舵角変化率、(C)エンジン回転数及び(D)変速比の間の関係を示す特性図である。
符号の説明
1FL,1FR 前輪(主駆動輪)、1RL,1RR 後輪(従駆動輪)、2 エンジン、4 モータ、5 自動変速機(CVT)、7 発電機、7a ジェネレータダイオード、16 ECU、20 4WD制御部、71 舵角センサ

Claims (8)

  1. 発電機のジェネレータダイオードの冷却を冷却媒体を用いて行い、エンジン回転数を高くして前記冷却媒体の流量を増加させる車両の駆動力制御装置であって、
    前記ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する冷却判定手段と、
    前記冷却判定手段が冷却が必要であると判定した場合、前記ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得する目標エンジン回転数取得手段と、
    前記目標エンジン回転数取得手段が取得した前記目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得する変速比取得手段と、
    舵角変化率を検出する舵角情報検出手段と、
    前記舵角情報検出手段が検出した舵角変化率の絶対値を基に、前記自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定する変速速度設定手段と、
    前記変速速度設定手段で設定した速度で前記変速比取得手段が取得した変速比に変化させる変速制御をする変速制御手段と、
    を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記変速速度設定手段は、前記舵角情報検出手段が検出した舵角変化率の絶対値が大きくなるほど、連続的又は断続的に、前記変速比を変化させる速度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記舵角情報検出手段は、舵角を検出しており、
    前記変速速度設定手段は、前記舵角情報検出手段が検出した舵角の絶対値を基に、前記自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記変速速度設定手段は、前記舵角情報検出手段が検出した舵角の絶対値が大きくなるほど、連続的又は断続的に、前記変速比を変化させる速度を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の車両の駆動力制御装置。
  5. 前記変速速度設定手段は、前記変速比を変化させる速度を、自車両の走行路が高路面μ路のときよりも低路面μ路のときの方を小さくすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両の駆動力制御装置。
  6. 前記変速比取得手段は、前記目標エンジン回転数取得手段が取得した前記目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を一定車速に維持できる値として取得することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両の駆動力制御装置。
  7. 前記冷却判定手段は、前記ジェネレータダイオードの通電電流の大きさに応じて決まる冷却要否判定用エンジン回転数と、実エンジン回転数とを比較して、前記ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の駆動力制御装置。
  8. 発電機のジェネレータダイオードの冷却を冷却媒体を用いて行い、エンジン回転数を高くして前記冷却媒体の流量を増加させる車両のジェネレータダイオードの冷却方法であって、
    前記ジェネレータダイオードの冷却の要否を判定する冷却判定ステップと、
    前記冷却判定ステップで冷却が必要であると判定した場合、前記ジェネレータダイオードを冷却するために要求される目標エンジン回転数を取得する目標エンジン回転数取得ステップと、
    前記目標エンジン回転数取得ステップで取得した前記目標エンジン回転数にする自動無段変速機の変速比を取得する変速比取得ステップと、
    舵角変化率の絶対値を基に、前記自動無段変速機の変速比を変化させる速度を設定する変速速度設定ステップと、
    前記変速速度設定ステップで設定した速度で前記変速比取得ステップで取得した変速比に変化させる変速制御をする変速制御ステップと、
    を有することを特徴とする車両のジェネレータダイオードの冷却方法。
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