JP2010142238A - Npc1l1(npc3)およびその使用方法 - Google Patents

Npc1l1(npc3)およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】腸のコレステロール吸収の調節は、血清コレステロールレベルを調節するための有効な手段であり、コレステロール吸収インヒビターであるエゼチマイブが作用する遺伝子標的の同定は、コレステロール吸収プロセスを理解するため、および他の新規な吸収インヒビターの開発のために重要であり、エゼチマイブの標的であるヒトNPC1L1(NPC3としても公知であるラットホモログおよびマウスホモログを提供する。
【解決手段】特定の配列から選択されるアミノ酸配列からの42個以上連続するアミノ酸を含む、単離されたポリペプチド。特定の配列から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【選択図】なし

Description

本願は、2002年7月19日に出願した米国仮特許出願番号60/397,442(これは、その全体が参考として本明細書中に援用される)の利益を主張する。
(発明の分野)
本発明は、NPC1L1ポリペプチドおよびそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、それらの使用方法とともに包含する。
(発明の背景)
先進国における主要死亡原因である脈管疾患の発症をもたらす要因は、血清コレステロールの増加である。20歳〜74歳のアメリカ人のうちの19%が、高い血清コレステロールを有すると推定される。脈管疾患の最も有力な形態は、動脈硬化症であり、これは、動脈壁の肥厚および硬化に関連する状態である。大きな脈管の動脈硬化症は、アテローム性動脈硬化症と呼ばれる。アテローム性動脈硬化症は、脈管障害(例えば、冠状動脈疾患、大動脈瘤、下肢の動脈疾患、および脳血管疾患)における優勢な原因因子である。
コレステリルエステルは、アテローム性動脈硬化症性斑の主要成分であり、動脈壁細胞におけるコレステロールの主要な貯蔵形態である。コレステリルエステルの形成はまた、食餌コレステロールの腸吸収における一段階である。従って、コレステリルエステル形成の阻害および血清コレステロールの減少は、アテローム性動脈硬化症病変形成の進行を阻害し得、動脈壁におけるコレステリルエステルの蓄積を減少し得、そして食餌コレステロールの腸吸収をブロックし得る。
哺乳動物および動物における身体全体のコレステロールホメオスタシスの調節は、腸のコレステロール吸収の調節、細胞コレステロール輸送、食餌コレステロールおよびコレステロール生合成の調節、胆汁酸生合成、ステロイド生合成、およびコレステロール含有血漿リポタンパク質の代謝を包含する。腸のコレステロール吸収の調節は、血清コレステロールレベルを調節するための有効な手段であることが証明されている。例えば、コレステロール吸収インヒビターであるエゼチマイブ(ezetimibe)
Figure 2010142238
は、この点に関して有効であることが示されている。エゼチマイブが作用する遺伝子標的の同定は、コレステロール吸収プロセスを理解するため、および他の新規な吸収インヒビターの開発のために、重要である。本発明は、このエゼチマイブの標的であるヒトNPC1L1(NPC3としても公知である;Genbank登録番号AF192522;Davisら(2000)Genomics 65(2):137〜45および非特許文献1)のラットホモログおよびマウスホモログを提供することによって、この必要性に取り組む。
NPC1L1は、YQRL(配列番号38)モチーフ(すなわち、形質膜輸送シグナルへのトランスゴルジネットワークである;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4および非特許文献5を参照のこと)を含むNグリコシル化タンパク質であり、これは、限定的な組織分布および胃腸量を示す。また、ヒトNPC1L1プロモーターは、ステロール調節エレメント結合タンパク質1(SREBPl)結合コンセンサス配列を含む(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10、および非特許文献11)。NPClL1は、ヒトNPC1(Genbank登録番号AF002020)に対して42%のアミノ酸配列相同性を有し、このNCP1は、ニーマン−ピックC1疾患の原因となるレセプターである(非特許文献12)。ニーマン−ピックC1疾患は、リソソーム中での低密度リポタンパク質(LDL)由来非エステル化コレステロールの蓄積を生じる、ヒトにおいて稀な遺伝性疾患である(非特許文献13および非特許文献14)。さらに、npcl細胞のトランスゴルジネットワークにおけるコレステロール蓄積、および形質膜へのコレステロールの再配置および形質膜からのコレステロールの再配置が、遅れる。NPC1およびNPClL1は、各々、13回膜貫通セグメントおよびステロール検知ドメイン(SSD)を保有する。いくつかの他のタンパク質(HMG−CoAレダクターゼ(HMG−R)、パッチド(Patched)(PTC)およびステロール調節エレメント結合タンパク質切断−活性化タンパク質(SCAP)を含む)は、おそらく直接的コレステロール結合を含む機構によるコレステロールレベルの検知に関与するSSDを含む (非特許文献15;非特許文献16および非特許文献17)。
Ioannou(2000)Mol.Genet.Metab.71(1〜2):175〜81) Bosら、(1993)EMBO J.12.2219−2228 Humphreyら、(1993)J.Cell.Biol.120:1123−1135 Ponnambalamら、(1994)J.Cell.Biol.125:253−268 Rothmanら、(1996)Science 272:227−234 Athanikarら、(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:4935−4940 Ericssonら、(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:945−950 Metherallら、(1989)J.Biol.Chem.264:15634−15641 Smithら、(1990)J.Biol.Chem.265:2306−2310 Bennettら、(1999)J.Biol.Chem.274.13025−13032 Brownら、(1997)Cell 89:331−340 Carsteaら、(1997)Science 277:228−231 Pentchevら、(1994)Biochim.Biophys.Acta.1225:235−243 Vanierら、(1991)Biochim.Biophys.Acta.1096:328−337 Gilら、(1985)Cell 41:249−258 Kumagaiら、(1995)J.Biol.Chem.270:19107−19113 Huaら、(1996)Cell 87:415−426
エゼチマイブの標的であるヒトNPC1L1(NPC3としても公知であるのラットホモログおよびマウスホモログを提供すること。
(発明の要旨)
・(項目1)
単離されたポリペプチドであって、配列番号2および配列番号12から選択されるアミノ酸配列からの42個以上連続するアミノ酸を含み得る、ポリペプチド。
・(項目2)
単離されたポリペプチドであって、配列番号2および配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含み得る、ポリペプチド。
・(項目3)
項目1に記載のポリペプチドをコードし得る、単離されたポリヌクレオチド。
・(項目4)
単離されたポリヌクレオチドであって、配列番号1および配列番号11から選択されるヌクレオチド配列を含み得る、ポリヌクレオチド。
・(項目5)
項目3に記載のポリヌクレオチドを含み得る、組換えベクター。
・(項目6)
項目5に記載のベクターを含み得る、宿主細胞。
・(項目7)
項目1に記載のポリペプチドに特異的に結合し得る、抗体。
・(項目8)
配列番号39〜配列番号42から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合し得る、抗体。
・(項目9)
ポリペプチドを生成するための方法であって、上記方法は、
項目6に記載の宿主細胞を、上記核酸が発現される条件下で培養する工程
を包含し得る、方法。
・(項目10)
項目9に記載の方法であって、上記ポリペプチドが、上記培養物から単離され得る、方法。
・(項目11)
NPC1L1のアンタゴニストを同定するための方法であって、上記方法は、
(a)配列番号2、配列番号4、および配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能性フラグメントを細胞表面上に発現する宿主細胞を、既知量の検出可能に標識されたエゼチマイブの存在下で、上記アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルと接触する工程;ならびに
(b)上記ポリペプチドに特異的に結合した検出可能に標識されたエゼチマイブの量を測定する工程;
を包含し得、
上記サンプル中のNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアンタゴニストの非存在下で測定される結合と比較して、上記ポリペプチドに対する上記検出可能に標識されたエゼチマイブの実質的に減少した結合を測定することによって同定され得る、方法。
・(項目12)
NPC1L1のアンタゴニストを同定するための方法であって、上記方法は、
(a)水性懸濁物中に、蛍光剤を浸漬させた複数の支持体粒子を配置する工程であって、上記粒子に、配列番号2、配列番号4および配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能的フラグメントを、細胞表面上に発現する宿主細胞が結合している、工程;
(b)上記懸濁物に、放射標識エゼチマイブと、上記アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルとを添加する工程であって、上記放射標識は、上記エゼチマイブが上記ポリペプチドに結合した際に上記蛍光剤を活性化して光エネルギーを生成可能な放射線エネルギーを発し、一方、上記ポリペプチドに結合しない放射標識エゼチマイブは、概して、上記放射エネルギーが上記蛍光剤を活性化するのを可能にするには上記支持体粒子から離れすぎている、工程;ならびに
(c)上記懸濁物において上記蛍光剤により発せられた光エネルギーを測定する工程;を包含し得、
上記サンプル中のNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアンタゴニストの非存在下で測定される光エネルギー放出と比較して、実質的に減少した光エネルギー放出を測定することによって同定され得る、方法。
・(項目13)
項目12に記載の方法であって、上記蛍光剤は、ケイ酸イットリウム、酸化イットリウム、ジフェニルオキサゾール、およびポリビニルトルエンから選択され得る、方法。
・(項目14)
項目11に記載の方法であって、上記エゼチマイブは、Hおよび125Iから選択される放射標識で標識され得る、方法。
・(項目15)
項目12に記載の方法であって、上記エゼチマイブは、Hおよび125Iから選択される放射標識で標識され得る、方法。
・(項目16)
NPC1L1のアンタゴニストを同定するための方法であって、上記方法は、
(a)配列番号2、配列番号4および配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能性フラグメントを細胞表面上に発現する宿主細胞を、検出可能に標識されたコレステロール、および上記アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルと、接触させる工程;ならびに
(b)上記細胞における検出可能に標識されたコレステロールの量を測定する工程;
を包含し得、
上記サンプル中のNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアンタゴニストの非存在下で測定される検出可能なコレステロールと比較して、上記宿主細胞中の実質的に減少した検出可能に標識されたコレステロールを測定することによって同定され得る、方法。
・(項目17)
項目16に記載の方法であって、上記コレステロールは、Hおよび125Iから選択される放射標識で検出可能に標識され得る、方法。
・(項目18)
項目11に記載の方法であって、上記宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞から選択され得る、方法。
・(項目19)
項目12に記載の方法であって、上記宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞から選択され得る、方法。
・(項目20)
項目16に記載の方法であって、上記宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO
)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞から選択され得る、方法。
・(項目21)
内因性染色体NPC1L1のホモ接合性破壊を含む変異体マウスであって、上記マウスは、いかなる機能性NPC1L1タンパク質も生成しないものあり得る、マウス。
本発明は、配列番号2および配列番号12から選択されるアミノ酸配列からの42個以上連続するアミノ酸を含む単離されたポリペプチドを包含し、好ましくは、配列番号2および配列番号12から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを包含する。本発明はまた、配列番号2または配列番号12のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを包含し、好ましくは、配列番号1、配列番号5〜配列番号10、配列番号11および配列番号13から選択されるヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドを包含する。本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターもまた、そのベクターを含む宿主細胞とともに提供される。
本発明はまた、NPC1L1(例えば、マウスNPC1L1もしくはヒトNPC1L1)またはその任意の抗原性フラグメントに(好ましくは、ラットNPC1L1に、より好ましくは、配列番号39〜配列番号42から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに)特異的に結合する抗体を提供する。この抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。好ましくは、この抗体は、ウサギから得られる。
本発明はまた、本発明のNPC1L1ポリペプチドを生成するための方法を包含し、この方法は、本発明の宿主細胞を、その細胞中にあるNPC1L1ポリペプチドをコードすする核酸が発現される条件下で培養する工程、を包含する。好ましくは、この方法は、上記ポリペプチドを、上記培養物から単離する工程を包含する。
本発明は、NPC1L1のアゴニストもしくはアンタゴニストを同定するための方法を包含し、この方法は、
(a)配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能性フラグメントを細胞表面上に発現する宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞)を、既知量の検出可能に(例えば、Hおよび125Iで)標識されたエゼチマイブの存在下で、NPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルと接触する工程;ならびに
(b)そのポリペプチドに特異的に結合した検出可能に標識されたエゼチマイブの量を測定する工程;
を包含し、このサンプル中のNPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアゴニストまたはアンタゴニストの非存在下で測定される結合と比較して、そのポリペプチドに対する検出可能に標識されたエゼチマイブの実質的に減少した結合を測定することによって同定される。
NPC1L1のアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための別の方法もまた、提供される。この方法は、
(a)水性懸濁物中に、蛍光剤(例えば、ケイ酸イットリウム、酸化イットリウム、ジフェニルオキサゾール、およびポリビニルトルエン)を浸漬させた複数の支持体粒子を配置する工程であって、その粒子に、配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能性フラグメントを細胞表面上に発現する宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞)が結合している、工程;
(b)その懸濁物に、(例えば、Hおよび125Iによる)放射標識エゼチマイブと、アンタゴニストまたはアゴニストの存在について試験されるべきサンプルとを添加する
工程であって、その放射標識は、そのエゼチマイブがそのポリペプチドに結合した際にその蛍光剤を活性化して光エネルギーを生成可能な放射線エネルギーを発し、一方、そのポリペプチドに結合しない放射標識エゼチマイブは、概して、その放射エネルギーがその蛍光剤を活性化するのを可能にするにはその支持体粒子から離れすぎている、工程;ならびに
(c)その懸濁物においてその蛍光剤により発せられた光エネルギーを測定する工程;を包含し、
そのサンプル中のNPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアゴニストまたはアンタゴニストの非存在下で測定される光エネルギー放出と比較して、実質的に減少した光エネルギー放出を測定することによって同定される。
NPC1L1のアゴニストまたはアンタゴニストを同定するための方法もまた、提供され、この方法は、
(a)配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその機能性フラグメントを細胞表面上に発現する宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、J774細胞、マクロファージ細胞、およびCaco2細胞)を、(例えば、Hおよび125Iで)検出可能に標識されたコレステロールと、およびアンタゴニストまたはアゴニストの存在について試験されるべきサンプルと、接触させる工程;ならびに
(b)その細胞における検出可能に標識されたコレステロールの量を測定する工程;
を包含し、
そのサンプル中のNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアンタゴニストの非存在下で測定される検出可能なコレステロールと比較して、その宿主細胞中の実質的に減少した検出可能に標識されたコレステロールを測定することによって同定され、そしてそのサンプル中のNPC1L1アゴニストは、そのようなアゴニストの非存在下で測定される検出可能なコレステロールと比較して、その宿主細胞中の実質的に増加した検出可能に標識されたコレステロールを測定することによって同定される。
内因性染色体NPC1L1のホモ接合性破壊を含む変異体マウスもまた、本発明に包含され、好ましくは、このマウスは、いかなる機能性NPC1L1タンパク質も生成しない。
エゼチマイブの標的であるヒトNPC1L1(NPC3としても公知であるラットホモログおよびマウスホモログを提供し、NPC1L1ポリペプチドおよびそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、それらの使用方法とともに提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、ラット由来のおよびマウス由来のNPClL1ポリペプチドを、個々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとともに包含する。好ましくは、ラットNPC1L1ポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、マウスNPC1L1ポリペプチドは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む。配列番号1または配列番号10のラットNPC1L1ポリヌクレオチドは、ラットNPC1L1ポリペプチドをコードする。配列番号11または配列番号13のマウスNPC1L1ポリヌクレオチドは、マウスNPC1L1ポリペプチドをコードする。
本発明は、以下の表1において言及されるヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む、任意のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを包含する。
(表1.本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチド)
Figure 2010142238
ヒトNPC1L1はまた、Genbank登録番号AF192522の下で開示される。下記に考察されるように、配列番号1に示されるラットNPC1L1のヌクレオチド配列は、ラット空腸細胞cDNAライブラリー由来の発現配列タグ(EST)から得られた。配列番号5〜7は、3つの独立したcDNAクローンの部分的ヌクレオチド配列を含む。配列番号5の下流配列EST(603662080F1)が、決定された。これらの実験からの配列決定データは、配列番号8に示される。上流配列もまた、決定された。これらのデータは、配列番号9に示される。
配列番号43および44は、それぞれ、Genbank登録番号AF192522の下で開示されるヒトNPC1L1のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列である(Daviesら、(2000)Genomics 65(2):137−45を参照のこと)。
配列番号45は、Genbank登録番号AK078947の下で開示されるマウスNPC1L1のヌクレオチド配列である。
(分子生物学)
本発明に従って、当業者の範囲内にある従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術が使用され得る。そのような技術は、文献中に完全に説明される。例えば、例え
ば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(本明細書中では「Sambrookら、1989」);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻および第II巻(D.N.Glover編、1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984.;Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985));Transcription And Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984));Animal Cell Culture(R.I.Freshney編(1986));Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照のこと。
配列番号10および配列番号13の逆翻訳配列は、PCT Administrative Instruction in the Manual of Patent Examination Procedureの添付物2付属書Cの表1に示される1文字コードを使用する。
「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」は、一本鎖形態、二本鎖形態、または他の形態である、リン酸エステルポリマー形態のリボヌクレオチド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、もしくはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオチド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、もしくはデオキシシチジン(DNA分子」)、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ(例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステル)を指し得る。
「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)中の一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオシド」とも呼ばれる)であり、2つの以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。
「コード配列」または発現生成物(例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク質、もしくは酵素)を「コードする」配列は、発現された場合にその生成物の生成をもたらすヌクレオチド配列である。
用語「遺伝子」とは、1つ以上のRNA分子、タンパク質、もしくは酵素のすべてもしくは一部を含むリボヌクレオチドもしくはアミノ酸の特定の配列をコードするかまたはその特定の配列に対応する、DNA配列を意味する。このDNA配列は、例えばその遺伝子が発現される条件を決定する調節DNA配列(例えば、プロモーター配列)を含んでもよいし、含まなくてもよい。遺伝子は、DNAからRNAへと転写され得、このRNAは、アミノ酸配列に翻訳されても翻訳されなくてもよい。
本発明は、配列番号1、5〜11、または13のうちのいずれかの核酸フラグメントを包含する。核酸「フラグメント」とは、配列番号1、5〜11、または13のうちのいずれか由来の少なくとも30個(例えば、31、32、33、34個)、好ましくは少なくとも約35個(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、もしくは34個)、より好ましくは少なくとも45個(例えば、35、37、38、39、40、41、42、43、もしくは44個)、そして最も好ましいは少なくとも約126個
以上連続するヌクレオチド(例えば、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、1000または1200個)を含む。
本発明はまた、配列番号1、5〜11、または13のうちのいずれか由来の少なくとも7個(例えば、9、12、17、19個)、好ましくは少なくとも約20個(例えば、30、40、50、60個)、より好ましくは約70個(例えば、80、90、95個)、なおより好ましくは少なくとも約100個(例えば、105、110、114個)そしてなおより好ましくは少なくとも約115個(例えば、117、119、120、122、124、125、126個)連続するヌクレオチドからなる核酸フラグメントを包含する。
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」とは、目的とするゲノムDNA分子、cDNA分子、または遺伝子をコードするmRNA分子、mRNA、cDNA、もしくは他の核酸にハイブリダイズ可能であり得る、概して約100ヌクレオチド(例えば、30、40、50、60、70、80、または90ヌクレオチド)からなる、核酸を指す。オリゴヌクレオチドは、例えば、32P−ヌクレオチド、H−ヌクレオチド、14C−ヌクレオチド、35S−ヌクレオチド、または標識(例えば、ビオチン)が共有結合されているヌクレオチドを組み込むことによって、標識され得る。1つの実施形態において、標識オリゴヌクレオチドは、核酸の存在を検出するためのプローブとして使用され得る。別の実施形態において、オリゴヌクレオチド(その一方または両方が標識されている)は、全長遺伝子または遺伝子フラグメントをクローニングすること、または核酸の存在を検出することのいずれかのために、PCRプライマーとして使用され得る。一般に、オリゴヌクレオチドは、合成によって、好ましくは核酸合成機にて、調製される。
「タンパク質配列」、「ペプチド配列」、または「ポリペプチド配列」または「アミノ酸配列」は、タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド中にある一連の2つ以上のアミノ酸を指す。
「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、2つ以上のアミノ酸の連続列を含む。本発明の好ましいペプチドは、配列番号2もしくは12のいずれかに示されるペプチド、ならびにその改変体およびフラグメントを包含する。そのようなフラグメントは、好ましくは、配列番号2または12のうちのいずれかからの少なくとも約10個(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、もしくは19個)、より好ましくは少なくとも約20個(例えば、21、22、23、24、25、26,27、28、29、30、35、40個)、そしてなおより好ましくは少なくとも約42個(例えば、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、もしくは130個)以上連続するアミノ酸残基を含む。
本発明は、配列番号2または12のうちのいずれか由来の少なくとも7個(例えば、9、10、13、15、17、19個)、好ましくは少なくとも約20個(例えば、22、24、26、28個)、より好ましくは約30個(例えば、32、34、36、38個)、なおより好ましくは少なくとも約40個(例えば、41、42個)連続するアミノ酸からなるポリペプチド(好ましくは、抗原性ポリペプチド)もまた、包含する。
本発明のポリペプチドは、インタクトなペプチドのタンパク質分解切断によって、化学合成によって、または組換えDNA技術の適用によって、生成され得る。本発明のポリペプチドは、タンパク質分解切断部位によって線引きされたポリペプチドに限定されない。上記のポリペプチドは、単独でか、またはそのポリペプチドをより免疫原性にするために架橋されてかもしくはキャリア分子に結合体化されて、抗体および抗体フラグメントの生
成を惹起するための抗原として有用である。この抗体は、例えば、免疫親和性精製のためのイムノアッセイにおいて、またはNPC1L1の阻害のためなどに、使用され得る。
用語「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたポリペプチド」は、細胞中において通常は見出されない他の成分から部分的にかまたは完全に分離されているか、または組換えDNA発現系中にある、それぞれ、ポリヌクレオチド(例えば、RNA分子もしくはDNA分子、または混合ポリマー)またはポリペプチドを包含する。これらの成分としては、細胞膜、細胞壁、リボソーム、ポリメラーゼ、血清成分、および外来ゲノム配列が挙げられるが、これらに限定されない。
単離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、好ましくは、本質的に均質な分子組成であるが、いくらかの不均質性を含み得る。
DNAの「増幅」とは、本明細書中で使用される場合、DNA配列の混合物内の特定のDNA配列の濃度を増加するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用することを示し得る。PCRの説明については、Saikiら、Science(1988)239:487を参照のこと。
用語「宿主細胞」とは、その細胞による物質の生成(例えば、その細胞による遺伝子、DNA配列、もしくはRNA配列またはタンパク質の発現または複製)のために、何らかの様式で選択、改変、形質転換、増殖、または使用される、任意の生物の任意の細胞を包含する。好ましい宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウスマクロファージJ774細胞、または他の任意のマクロファージ細胞、およびヒト腸上皮Caco2細胞が挙げられる。
核酸のヌクレオチド配列は、当該分野で公知の任意の方法(例えば、化学的配列決定または酵素的配列決定)によって、決定され得る。DNAの「化学的配列決定」は、MaxamおよびGilbert(1997)(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)の方法などを包含し、この方法では、DNAは、個々の塩基特異的反応を使用してランダムに切断される。DNAの「酵素的配列決定」は、Sanger(Sangerら(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463)の方法などを包含する。
本明細書中の核酸は、天然の調節(発現制御)配列により隣接され得るか、または異種配列(プロモーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)、および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’非コード領域および3’非コード領域などを含む)に結合され得る。
一般に、「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼに(例えば、直接にか、または他のプロモーター結合タンパク質もしくはプロモーター結合物質を介して)結合可能であり、かつコード配列の転写を開始する、DNA調節領域である。プロモーター配列は、一般に、転写開始部位によってその3’末端で境界を形成しており、そして上流(5’方向)に延びて、任意のレベルで転写を開始するために必要な最小限の数の塩基またはエレメントを含む。このプロモーター配列内には、転写開始部位(簡便には、例えば、ヌクレアーゼS1を用いるマッピングによって規定される)、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が、見出され得る。このプロモーターは、他の発現制御配列(エンハンサー配列およびリプレッサー配列を含む)と、または本発明の核酸と、作動可能に結合され得る。遺伝子発現を制御するために使用され得るプロモーターとしては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同第5,168,062号)、SV40初期プロモーター領域(Benoistら(1981)Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら、(1980)Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1441−1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、(1982)Nature 296:39−42);原核生物発現ベクター(例えば、β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Komaroffら、(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:3727−3731)またはtacプロモーター(DeBoerら、(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21−25))(「Useful proteins from recombinant bacteria」Scientific American(1980)242:74−94もまた参照のこと);ならびに酵母もしくは他の真菌由来のプロモーターエレメント(例えば、Gal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)またはアルカリホスファターゼプロモーター)が挙げられるが、これらに限定されない。
コード配列は、細胞中の転写制御配列および翻訳制御配列がそのコード配列からRNA(好ましくはmRNA)へのRNAポリメラーゼ媒介性転写を指向し、そのRNAは、その後、(イントロンを含む場合には)RNAスプライシングされ得、必要に応じて、そのコード配列によりコードされるタンパク質へと翻訳され得る場合に、それらの転写制御配列よび翻訳制御配列「の制御下にある」、「と機能的に結合している」、または「と作動可能に結合している」。
用語「発現する」および「発現」は、遺伝子、RNA配列もしくはDNA配列中の情報が明らかになるのを可能にすることまたはそれを引き起こすこと(例えば、対応する遺伝子の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによって、タンパク質を生成すること)を意味する。DNA配列は、細胞中でかまたは細胞によって、「発現生成物」(例えば、RNA(例えば、mRNA)またはタンパク質)を形成するように発現される。その発現生成物自体はまた、その細胞によって「発現される」と言われ得る。
用語「形質転換」とは、核酸を細胞中に導入することを意味する。導入される遺伝子または配列は、「クローン」と呼ばれ得る。その導入されるDNAまたはRNAを受ける宿主細胞は、「形質転換」されており、これは、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、任意の供給源由来であり得、宿主細胞と同じ属または種の細胞由来であっても、異なる属または種の細胞由来であってもよい。
用語「ベクター」は、宿主を形質転換し、必要に応じて導入された配列の発現および/または複製を促進するように、DNA配列またはRNA配列が宿主細胞中に導入され得る媒体(例えば、プラスミド)を包含する。
本発明において使用され得るベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNAフラグメント、および宿主ゲノム中への核酸の導入を促進し得る他の媒体が挙げられる。プラスミドは、最も一般的に使用される形態のベクターであるが、同様の機能を提供しかつ当該分野で公知であるかまたは公知となる他のすべての形態のベクターが、本明細書中で野使用のために適切である。例えば、Pouwelsら、Cloning Vectors:A Laboratory Manual,1985
and Supplements,Elsevier,N.Y.およびRodriguezら、(編),Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses 1988,Butter
sworth,Boston,MAを参照のこと。
用語「発現系」とは、適切な条件下で、そのベクターにより保有されて宿主細胞中に導入されるタンパク質または核酸を発現し得る、宿主細胞および適合性ベクターを意味する。一般的な発現系としては、E.coli宿主細胞およびプラスミドベクター、昆虫宿主細胞およびバキュロウイルスベクター、ならびに哺乳動物宿主細胞およびベクターが挙げられる。
本発明のNPC1L1ポリペプチドをコードする核酸の発現は、原核生物細胞または真核生物細胞のいずれかにおいて従来の方法によって実行され得る。E.coli宿主細胞は、原核生物系において最も頻繁に使用されるが、他の多くの細菌(例えば、種々のPseudomonasおよびBacillusの株)が、当該分野で公知であり、そしてコレラも同様に、使用され得る。NPC1L1ポリペプチドをコードする核酸を発現するために適切な宿主細胞としては、原核生物および高等真核生物が挙げられる。原核生物は、グラム陰性生物およびグラム陽性生物(例えば、E.coliおよびB.subtilis)の両方を包含する。高等真核生物は、動物細胞(非哺乳動物起源(例えば、昆虫細胞)および哺乳動物起源(例えば、ヒト、霊長類、および齧歯類)の両方の動物細胞)由来の樹立された組織培養細胞株を包含する。
原核生物宿主−ベクター系は、多くの異なる種のための広範な種類のベクターを包含する。DNAを増幅するための代表的なベクターは、pBR322またはその誘導体の多く(例えば、pUC18もしくはpUC19)である。NPC1L1ポリペプチドを発現するために使用され得るベクターとしては、lacプロモーターを含むベクター(pUCシリーズ);trpプロモーターを含むベクター(pBR322−trp);Ippプロモーターを含むベクター(pINシリーズ);λ−pPプロモーターもしくはλ−pRプロモーターを含むベクター(pOTS);またはハイブリッドプロモーター(例えば、ptac)を含むベクター(pDR540)が挙げられるが、これらに限定されない。Brosiusら、「Expression Vectors Employing Lambda−,trp−,lac−,and Ipp−derived Promoters」,Rodriguez and Denhardt(編)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses,1988,Buttersworth,Boston,pp.205〜236を参照のこと。多くのポリペプチドは、米国特許第4,952,496号、同第5,693,489号および同第5,869,320号、ならびにDavanloo,P.ら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:2035〜2039;Studier,F.W.ら、(1986)J.Mol.Biol.189:113−130;Rosenberg,A.H.ら、(1987)Gene 56:125−135;およびDunn,J.J.ら、(1988)Gene 68:259に開示されるような、E.coli/T7発現系において、高レベルで発現され得る。
高等真核生物組織培養細胞もまた、本発明のNPC1L1ポリペプチドの組換え生成のために使用され得る。任意の高等真核生物組織培養細胞株(昆虫バキュロウイルス発現系が挙げられる)が使用され得るが、哺乳動物細胞が、好ましい。このような細胞の形質転換、トランスフェクションおよび増殖は、慣用的手順となっている。有用な細胞株の例としては、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、J774細胞、Caco2細胞、ラット乳児腎臓(BRK)細胞株、昆虫細胞株、鳥類細胞株、およびサル(COS)細胞株が挙げられる。そのような細胞株のための発現ベクターは、通常は、複製起点、プロモーター、翻訳開始部位、RNAスプライス部位(ゲノムDNAが使用される場合)、ポリアデニル化部位、および転写終結部位を含む。これらのベクターはまた、通常は、選択遺伝子または増幅遺伝子を含む。適切な発現ベクターは、例えば、アデノ
ウイルス、SV40、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、またはサイトメガロウイルスのような供給源に由来するプロモーターを保有する、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスであり得る。発現ベクターの例としては、pCR(登録商標)3.1、pCDNA1、pCD(Okayamaら、(1985)Mol.Cell Biol.5:1136)、pMC1neo Poly−A(Thomasら、(1987)Cell 51:503)、pREP8、pSVSPORTおよびそれらの誘導体、ならびにバキュロウイルスベクター(例えば、pAC373またはpAC610)が挙げられる。本発明の1つの実施形態は、膜結合型NPC1L1を包含する。この実施形態において、NPC1L1は、原核生物細胞の細胞膜において発現され得、そしてその膜結合型タンパク質は、当該分野で公知の従来の方法によって、その細胞から単離され得る。
本発明はまた、本発明のNPC1L1ポリペプチドおよびNPC1L1ポリヌクレオチドと、第2ポリペプチド部分もしくは第2ポリヌクレオチド部分(「タグ」と呼ばれ得る)とを含む、融合物を包含する。本発明の融合物は、表1に示されるポリヌクレオチドもしくはポリペプチドのいずれか、またはそれらの任意の部分配列もしくはフラグメント(上記に考察される)を含み得る。本発明の融合ポリペプチドは、例えば、本発明のポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを、発現ベクター中に挿入することによって、簡便に構築され得る。本発明の融合物は、精製または検出を容易するタグを含み得る。そのようなタグとしては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ヘキサヒスチジン(His6)タグ、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、赤血球凝集素(HA)タグ、セルロース結合タンパク質(CBP)タグ、およびmycタグが挙げられる。検出可能なタグ(例えば、32P、35S、H、99mTc、123I、111In、68Ga、18F、125I、131I、113mIn、76Br、67Ga、99mTc、123I、111Inおよび68Ga)もまた、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドを標識するために使用され得る。このような融合物を構築および使用するための方法は、非常に従来的であり、当該分野で周知である。
ポリペプチドにおいて生じる改変(例えば、翻訳後修飾)は、しばしば、それが行われる方法の関数である。例えば、宿主においてクローン化遺伝子を発現することによって生成されるポリペプチドについて、その改変の性質および程度は、大部分は、宿主細胞の翻訳後修飾能力、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列中に存在する修飾シグナルによって、決定される。例えば、周知であるように、グリコシル化は、しばしば、細菌宿主(例えば、E.coli)において生じない。従って、グリコシル化が望ましい場合、ポリペプチドは、グリコシル化する宿主(一般的には、真核生物細胞)において発現され得る。昆虫細胞は、しばしば、哺乳動物細胞と同様に翻訳後グリコシル化を行う。この理由のために、昆虫細胞発現系は、グリコシル化のネイティブパターンを有する哺乳動物タンパク質を効率的に発現するために開発されている。本発明において使用され得る昆虫細胞は、Insecta綱の生物に由来する任意の細胞である。好ましくは、その昆虫は、Spodopterafruigiperda(Sf9もしくはSf2l)またはTrichoplusia ni(High 5)である。本発明とともに、例えば、NPC1L1ポリペプチドを生成するために使用され得る昆虫発現系の例としては、Bac−To−Bac(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)またはGateway(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA)が挙げられる。望ましい場合、脱グリコシル化酵素が、真核生物発現系における生成の間に結合した糖質を除去するために、使用され得る。
他の改変としては、ポリペプチドカルボキシル末端への脂肪族エステルまたはアミドの付加のまた、挙げられ得る。本発明はまた、改変(例えば、非天然アミノ酸残基またはリン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシン残基、ホスホセリン残基、もしくはホスホスレオニン残基)の組込み)を含むNPC1L1ポリペプチドアナログを包含する。他の
改変としては、硫酸化、ビオチン化、または他の部分の付加が挙げられる。例えば、本発明のNPC1L1ポリペプチドは、被験体の身体においてそのペプチドの半減期を増加するポリマーを結合され得る。好ましいポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、分子量2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、および40kDaを有するPEG)、デキストラン、およびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられる。
本発明のペプチドはまた、環化され得る。具体的には、NPC1L1ポリペプチドのアミノ末端残基もしくはカルボキシ末端残基、または本発明のNPC1L1ポリペプチドの2つの内部残基が、融合されて、環化ペプチドを生成し得る。ペプチドを環化するための方法は、当該分野で非常に周知であり、例えば、Gurrathら、(1992)Eur.J.Biochem.210:911〜921を参照のこと。
本発明は、本発明のポリペプチドに対応するアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に対するあらゆる表面的な改変またはわずかな改変も企図する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸の改変体を企図する。ポリペプチド配列の「配列保存的改変体」は、所定のコドンの1つ以上のヌクレオチドの変化が、その位置においてコードされるアミノ酸の変化をもたらさない、改変体である。本発明のポリペプチドの機能保存的改変体もまた、本発明によって企図される。「機能保存的改変体」は、タンパク質または酵素中の1つ以上のアミノ酸残基が、そのポリペプチドの全体的立体構造および機能を変化することなく変化された、改変体であるが、アミノ酸を同様の特性を有するアミノ酸で置換することには、決して限定されない。同様の特性を有するアミノ酸は、当該分野で周知である。例えば、交換可能であり得る極性/親水性アミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、スレオニン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸が挙げられる;交換可能であり得る非極性/疎水性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられる;交換可能であり得る酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、交換可能であり得る塩基性アミノ酸としては、ヒスチジン、リジンおよびアルギニンが挙げられる。
本発明は、ラットもしくはマウスのNPC1L1をコードするポリヌクレオチドおよびそのフラグメント、ならびにそれらのポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸を包含する。好ましくは、その核酸は、低ストリンジェンシー条件下で、より好ましくは中ストリンジェシー条件下で、最も好ましくは高ストリンジェンシー条件下で、ハイブリダイズする。核酸分子は、その核酸分子の一本鎖形態が、適切な温度条件および溶液イオン強度条件(例えば、Sambrookら(前出)を参照のこと)下で別の核酸分子にアニールし得る場合に、その核酸分子(例えば、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA)に対して「ハイブリダイズ可能である」。温度条件およびイオン強度条件が、そのハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。代表的な低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、55℃、5X SSC、0.1% SDS、0.25%ミルク、ホルムアミドなし、42℃;または30%ホルムアミド、5X SSC、0.5% SDS、42℃である。代表的な中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、低ストリンジェンシー条件と同様であるが、但し、ハイブリダイゼーションは、40%ホルムアミド中で、5X SSCもしくは6X SSCを用いて42℃で実行される。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、低ストリンジェンシー条件と同様であるが、但し、このハイブリダイゼーション条件は、50%ホルムアミド、5X SSCもしくは6X SSC中で、必要に応じて、より高温(例えば、42℃より高く:57℃,59℃、60℃、62℃、63℃、65℃、または68℃)で実行される。一般に、SSCは、0.15M NaC1および0.015Mクエン酸Naである。ハイブリダイゼーシ
ョンには、その2つの核酸が、相補的配列を含むことが必要とされるが、そのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存して、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、当該分野で周知の変数である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きい程、それらの核酸がハイブリダイズし得るストリンジェンシーが高くなる。100ヌクレオチド長より長いハイブリッドについて、その融解温度を計算するための式が、誘導されている(Sambrookら(前出)9.50〜9.51を参照のこと)。より短い核酸(すなわち、オリゴヌクレオチド)とのハイブリダイゼーションについて、ミスマッチの位置が、より重要になり、そのオリゴヌクレオチドの長さは、その特異性を決定する(Sambrookら(前出)を参照のこと)。
本発明にまた含まれるのは、BLASTアルゴリズムにより比較を実施した場合に、参照ラットNPC1L1ヌクレオチド(例えば、配列番号1または5〜10)およびアミノ酸配列(例えば、配列番号2)またはマウスNPC1LCヌクレオチド(例えば、配列番号11または13)およびアミノ酸配列(例えば、配列番号12)に対して、少なくとも約70%同一、好ましくは少なくとも約80%同一、より好ましくは少なくとも約90%同一、最も好ましくは少なくとも約95%同一(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)である、ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドおよびそのようなアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、このBLASTアルゴリズムでは、このアルゴリズムのパラメーターは、個々の参照配列の長さ全体にわたって個々の配列間で最大の一致を生じるように選択される。BLASTアルゴリズムにより比較を実施した場合に、配列番号2の参照ラットNPC1L1アミノ酸配列または配列番号12のマウスNPC1LCアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%類似し、好ましくは少なくとも約80%類似し、より好ましくは少なくとも約90%類似し、最も好ましくは少なくとも約95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、100%)類似する、アミノ酸配列を含むポリペプチドもまた、本発明に包含される。ここで、このアルゴリズムのパラメーターは、個々の参照配列の長さ全体にわたって個々の配列間で最長の一致を生じるように選択される。
配列同一性とは、比較されている2つの配列のヌクレオチド間またはアミノ酸間で野正確な一致を指す。配列類似性とは、比較されている2つのポリペプチドのアミノ酸間での正確な一致、および同一でない生化学的に関連するアミノ酸間の一致の両方をさす。類似する特性を共有して交換可能であり得る生化学的に関連するアミノ酸は、上記に考察されている。
BLASTアルゴリズムに関する以下の参考文献は、本明細書中で参考として援用される:BLASTアルゴリズム:Altschul,S.F.ら、(1990)J.Mol.Biol.215:403−410;Gish,W.ら、(1993)Nature Genet.3:266−272;Madden,T.L.ら、(1996)Meth.Enzymol.266:131−141;Altschul,S.F.ら、(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Zhang,J.ら、(1997)Genome Res.7:649−656;Wootton,J.C.ら、(1993)Comput.Chem.17:149−163;Hancock,J.M.ら、(1994)Comput.Appl.Biosci.10:67−70;アライメントスコアリングシステム:Dayhoff,M.O.ら、「A model of evolutionary change in proteins.」Atlas of Protein Sequence and Structure(1978)第5巻、補遺3、M.O.Dayhoff(編)、pp.345〜352,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Schwartz,R.M.ら「Matrices for detecting distant re
lationships.」Atlas of Protein Sequence and Structure,(1978)第5巻,補遺3.」,M.O.Dayhoff(編),pp.353−358,Nad.Biomed.Res.Found.,Washington,DC;Altschul,S.F.,(1991)J.Mol.Biol.219:555−565;States,D.J.ら、(1991)Methods
3:66−70;Henikoff,S.ら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919;Altschul,S.F.ら、(1993)J.Mol.Evol.36:290−300;アライメント統計学:Karlin,S.ら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268;Karlin,S.ら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877;Dembo,A.ら、(1994)Ann.Prob.22.2022−2039;およびAltschul,S.F.「Evaluating the statistical significance of multiple distinct local alignments.」Theoretical and Computational Methods in Genome Research(S.Suhai編),(1997)pp.1−14,Plenum,New York。
(タンパク質精製)
本発明のタンパク質、ポリペプチド、および抗原性フラグメントは、標準的方法(塩沈もしくはアルコール沈殿、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、上記で考察したようなタグ化NPC1L1ポリペプチドの精製と組み合わせて使用する)、調製用ディスクゲル電気泳動、等電集束法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、逆相HPLC、ゲル濾過、カチオン交換クロマトグラフィーおよびアニオン交換クロマトグラフィー、および分配クロマトグラフィー、および向流分配が挙げられるが、これらに限定されない)によって、精製され得る。そのような精製方法は、当該分野で周知であり、例えば、「Guide to Protein Purification」Methods in Enzymology,第182巻,M.Deutscher編,1990,Academic Press,New York,NY.に開示される。
精製工程の後には、下記に記載されるようなレセプター結合活性についてのアッセイの実行が行われ得る。NPC1L1ポリペプチドが細胞供給源もしくは組織供給源から単離される場合には特に、アッセイ系にタンパク質分解酵素の1つ以上のインヒビター(例えば、フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)、Pefabloc SC、ペプスタチン、ロイペプトン、キモスタチン、およびEDTA)を含むことが、好ましい。
(抗体分子)
本発明のNPC1L1ポリペプチドの抗原性(免疫原性を含む)フラグメント(例えば、配列番号2、4、または12由来の42個以上連続するアミノ酸)は、本発明の範囲内にある。その抗原性ペプチドは、NPC1L1を認識する抗体分子を調製するために、特に有用であり得る。抗NPC1L1抗体分子は、有用なNPC1L1アンタゴニストである。
抗原は、抗体に特異的に結合し得る任意の分子である。いくつかの抗原は、単独では、抗体生成を惹起し得ない。抗体生成を誘導し得る抗原は、免疫原である。
好ましくは、抗NPC1L1抗体は、配列番号39〜42から選択されるアミノ酸配列を含む抗原性ペプチド(例えば、ラットNPC1L1由来の抗原)を認識する。より好ましくは、その抗体は、A0715、A0716、A0717、A0718、A0867、A0868、A1801、またはA1802である。
用語「抗体分子」は、抗体およびそのフラグメント(好ましくは、抗原結合フラグメント)を包含するが、これらに限定されない。この用語は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二重特異性抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab)抗体フラグメント、Fv抗体フラグメント(例えば、VまたはV)、単鎖Fv抗体フラグメント、およびdsFv抗体フラグメントを包含する。さらに、本発明の抗体分子は、完全ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ニワトリ抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得る。
常に必要であるわけではないが、NPC1L1ポリペプチドが、免疫学的に適格な宿主において抗体生成を惹起するための抗原として使用される場合、より小さい抗原性フラグメントが、好ましくは、まず、架橋もしくはコンカテマー形成によってか、または免疫原性キャリア分子(すなわち、宿主動物において免疫学的応答を独立して惹起する特性を有する高分子(例えば、ジフテリア毒素または破傷風毒素))に結合体化することによって、より免疫原性にされる。架橋またはキャリア分子への結合体化が、必要とされ得る。なぜなら、小さいポリペプチドフラグメントは、時には、ハプテン(抗体に特異的に結合可能であるが抗体生成を惹起する能力はない(すなわち、免疫原性ではない)分子)として作用するからである。免疫原性キャリア分子にこのようなフラグメントを結合体化すると、そのようなフラグメントは、一般的には「キャリア効果」として公知であるものを介して、より免疫原性になる。
キャリア分子としては、例えば、タンパク質、および天然ポリマー化合物または合成ポリマー化合物(例えば、ポリペプチド、多糖、リポ多糖など)が挙げられる。タンパク質キャリア分子が、特に好ましく、それには、キーホールリンペットヘモシアニンおよび哺乳動物血清タンパク質(例えば、ヒトガンマグロブリンもしくはウシガンマグロブリン、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、もしくはウサギ血清アルブミン、またはこのようなタンパク質のメチル化誘導体もしくは他の誘導体)が挙げられるが、これらに限定されない。他のタンパク質キャリアは、当業者にとって明らかである。好ましくは、このタンパク質キャリアは、そのフラグメントに対する抗体が惹起される宿主動物に対して、外来である。
このキャリア分子に対する共有結合は、当該分野で周知の方法を使用して達成され得、その正確な選択は、使用されるキャリア分子の性質によって示される。その免疫原性キャリア分子がタンパク質である場合、本発明のフラグメントは、例えば、水溶性カルボジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはグルタルアルデヒド)を使用して、結合され得る。
これらのようなカップリング剤はまた、別のキャリア分子を使用することなく、そのフラグメントをそのカップリング剤自体に架橋するために使用され得る。凝集物へのそのような架橋はまた、免疫原性を増加し得る。免疫原性はまた、既知のアジュバンを単独でかまたはカップリングもしくは凝集と組み合わせて使用することによって、増加され得る。
動物のワクチン接種のためのアジュバントとしては、アジュバント65(落花生油、モノオレイン酸マンノイド(mannide)、モノステアリン酸アルミニウムを含む);フロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバント;ミネラルゲル(例えば、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびミョウバン);界面活性剤(例えば、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、リソレシチン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、N,N−ジオクタデシル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシメチル)プロパンジアミン、メトキシヘキサデシルグリセロール、およびプルロニック(pluronic)ポリオール;ポリアニオン(例えば、ピラン、硫酸デキストラン、ポリI
C、ポリアクリル酸、およびカルボポール);ペプチド(例えば、ムラミルジペプチド、ジメチルグリシンおよびタフトシン(tuftsin);ならびに油乳濁物が挙げられるが、これらに限定されない。このポリペプチドはまた、リポソームまたは他のマイクロキャリア中に組み込まれた後に、投与され得る。
アジュバントおよび免疫アッセイの種々の局面に関する情報は、例えば、P.Tijssen,Practice and Theoly of Enzyme Immunoassays,第3版,1987,Elsevier,New Yorkによるシリーズ中に開示される。ポリクローナル抗血清を調製するための方法を網羅する他の有用な参考文献としては、Microbiology,1969,Hoeber Medical Division,HarperおよびRow;Landsteiner,Specificity of Serological Reactions,1962,Dover Publications,New York,ならびにWilliamsら、Methods in Immunology and lmmunochemisLry,Vol.1,1967,Academic Press,New Yorkが挙げられる。
本発明の抗NPC1L1抗体分子は、ヒト、マウス、またはラットのNPC1L1を好ましくは認識するが、本発明は、任意の種(好ましくは、哺乳動物(例えば、ネコ、ヒツジ、またはウマ)由来のNPC1L1を認識する抗体分子を包含する。本発明はまた、本発明のNPC1L1ポリペプチドと抗NPC1L1抗体分子とを含む、複合体を包含する。そのような複合体は、抗体分子を、その同族ポリペプチドと単に接触することによって、生成され得る。
種々の方法が、本発明の抗体分子を生成するために使用され得る。ヒト抗体は、例えば、米国特許第5,625,126号;同第5,877,397号;同第6,255,458号;同第6,023,010号および同第5,874,299号に開示される方法と同様の方法によって、生成され得る。
モノクローナル抗NPC1L1抗体を生成するハイブリドーマ細胞は、当該分野で一般的に公知である方法によって生成され得る。これらの方法としては、Kohlerら、(1975)(Nature 256:495−497)によって元々開発されたハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ技術(Heringら、(1988)Biomed.Biochim.Acta.47:211−216およびHagiwaraら、(1993)Hum.Antibod.Hybridomas 4:15)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、(1983)Immunology Today 4:72
and Coteら、(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 80:2026−2030)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、in Monoclonal Antibodies and Cancer Theraqp ,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96,1985)が挙げられるが、これらに限定されない。ELISAは、ハイブリドーマ細胞が抗NPC1L1抗体を発現しているか否かを決定するために、使用され得る。
本発明の抗NPC1L1抗体分子はまた、組換えにより(例えば、上記で考察したようなE.coli/T7発現系において)生成され得る。この実施形態において、本発明の抗体分子(例えば、VまたはV)をコードする核酸は、petベースのプラスミド中に挿入され得、そしてE.coli/T7系において発現され得る。組換え抗体を生成するためには、当該分野で公知であるいくつかの方法が、存在する。抗体の組換え生成のための方法の例は、米国特許第4,816,567号に開示される。また、Skerra,A.ら、(1988)Science 240:1038−1041;Better,M
.ら、(1988)Science 240:1041−1043およびBird,R.E.ら、(1988)Science 242:423〜426もまた、参照のこと。
用語「モノクローナル抗体」は、実質的な均質な抗体の集団から得られた抗体(すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、可能な天然に存在する変異以外は同一である)を包含する。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物(特に、他の免疫グロブリンによって汚染されていない)によって合成され得るという点で、有利である。修飾語「モノクローナル」とは、実質的な均質な抗体集団から得られたものとしてのその抗体の特徴を示し、特定の何らかの方法によるその抗体の生成を必要とするものとしては、解釈されるべきではない。本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495によって記載されるハイブリドーマ方法によって生成され得る。
用語「ポリクローナル抗体」は、他の1つ以上の同一でない抗体とともにか、またはそのような抗体の存在下で、生成された抗体を包含する。一般に、ポリクローナル抗体は、同一でない抗体を生成した他のいくつかのBリンパ球の存在下であるBリンパ球から生成される。代表的には、ポリクローナル抗体は、免疫された動物(例えば、ウサギ)から直接得られる。
「二重特異性抗体」は、別個の抗原に結合する2つの異なる抗原結合領域を含む。二重特異性抗体、ならびにその抗体を生成する方法および使用する方法は、従来通りであり、当該分野で非常に周知である。
抗イディオタイプ抗体または抗イディオタイプとは、別の抗体分子の抗原結合領域または可変領域(イディオタイプと呼ばれる)に対する抗体である。Jerne(Jerne,N.K.,(1974)Ann.Immunol.(Paris)125c:373およびJerne,N.K.ら、(1982)EMBO 1:234)により開示されるように、所定の抗原(例えば、NPC1L1)に対するパラと−プ(抗原結合部位)を発現する抗体分子による免疫は、一群の抗抗体を生成し、その抗抗体のいくつかは、その抗原と、そのパラと−プに対する相補的構造を共有する。その抗イディオタイプ抗体の部分集団による免疫は、その後、最初の抗原に対して反応性である抗体部分集団を生成するか、または細胞部分集団を免疫する。
用語「完全ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。同様に、「マウス抗体」とは、マウス免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
「ヒト/マウスキメラ抗体」とは、ヒト定常領域に融合されたマウス可変領域(VおよおびV)を含む抗体を指す。
「ヒト化」抗NPC1L1抗体もまた、本発明の範囲内にある。ヒト化形態の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、キメラ免疫グロブリンであり、これは、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含む。多くは、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域由来の残基が、望ましい特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、またはウサギ)の相補性決定領域由来の残基で置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合、そのヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基もまた、対応する非ヒト残基によって置換される。
「単鎖Fv」抗体フラグメントまたは「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVドメインおよび/またはVドメインを含み、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖中に
存在する。一般に、sFvポリペプチドは、このVドメインとVドメインとの間に、そのsFvが抗原結合のために望ましい構造を形成可能であるようにするポリペプチドリンカーを、さらに含む。単鎖抗体の生成について記載された技術(米国特許第5,476,786号;同第5,132,405号および同第4,946,778号)は、抗NPC1L1特異的単鎖抗体に適合され得る。sFvの概説について、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,第113巻,Rosenburg and Moore編,Springer−Verlag,N.Y.,pp.269−315(1994)を参照のこと。
「ジスルフィド安定化Fvフラグメント」および「dsFv」は、ジスルフィド結合によって連結された可変重鎖(V)および/または可変軽鎖(V)を有する分子を包含する。
本発明の範囲内にある抗体フラグメントはまた、IgGの酵素(例えば、ペプシン)切断により生成され得るF(ab)フラグメントを包含する。Fabフラグメントは、例えば、ジチオスレイトールまたはメルカプトエチルアミンを用いるF(ab)の還元によって、生成され得る。
Fvフラグメントは、V領域またはV領域である。
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンは、種々のクラスへと割当てられ得る。免疫グロブリンについて、少なくとも5つの主要なクラスが存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM。これらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2)へと分割され得る。
本発明の抗NPC1L1抗体分子は、キメラ抗体に結合体化され得る。この化学部分は、特に、ポリマー、放射性核種または細胞傷害性因子であり得る。好ましくは、この化学部分は、被験体の身体におけるその抗体分子の半減期を増加するポリマーである。適切なポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、分子量2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDa、または40kDaを有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第6,133,426号に記載されるPEG化抗IL−8抗体を生成するための方法は、本発明のPEG化抗NPC1L1抗体の生成に適用され得る。Leeら、(1999)(Bioconj.Chem.10:973−981)は、PEG結合体化単鎖抗体を開示する。Wenら、(2001)(Bioconj.Chem.12:545−553)は、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))に結合されたPEGと抗体を結合体化することを開示する。
本発明の抗体分子はまた、標識(例えば、99Tc、90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Th、40K、157Gd、55Mn、52Trまたは56Fe)と結合体化され得る。
本発明の抗体分子はまた、蛍光標識または化学発光標識(発蛍光団(例えば、希金属キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアネート、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド、フルオレサミン(fluorescamine)、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン(umbelliferone)、ルシフェリン、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン(aequorin)標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン(spin)標識、および安定なフリーラジカルを包含する)と結合体化され得る。
この抗体分子はまた、細胞傷害性因子(例えば、ジフテリア毒素、Pseudomonas aeruginosa内毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiのタンパク質および化合物(例えば、脂肪酸)、ジアンシン(dianthin)タンパク質、Phytoiacca americanaタンパク質PAPI、PAPIIおよびPAP−S、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、saponaria officinalisインヒビター、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシンおよびエノマイシン)に結合体化され得る。
本発明の抗体分子を種々の部分に結合体化するための当該分野で公知の任意の方法が、使用され得、その方法としては、Hunterら、(1962)Nature 144:945;Davidら、(1974)Biochemistry 13:1014;Painら、(1981)J.Immunol.Meth.40:219;およびNygren,J.,(1982)Histochem.and Cytochem.30:407が挙げられる。
抗体を結合体化するための方法は、従来通りであり、当該分野で非常に周知である。
(スクリーニングアッセイ)
本発明は、種々の医学的状態(上昇した血清コレステロールレベルを含む)の処置および管理において有用であり得る、NPC1L1(例えば、配列番号2、4、または12)の選択的アゴニストおよびアンタゴニストの発見を可能にする。従って、本発明のNPC1L1は、アゴニストまたはアンタゴニストを同定するためにスクリーニング系において使用され得る。本質的には、これらの系は、NPC1L1を、適切な既知のリガンドまたは既知のアゴニストもしくはアンタゴニスト(コレステロール、エゼチマイブ、BODIPY−エゼチマイブ(Altmannら(2002)Biochim.Biophys.Acta 1580(1):77〜93)またはDeNinnoら(1997)(J.Med.Chem.40(16):2574〜54)(Merck;L−166,143)に記載されるような11−ケトチゴゲニンの4’’,6’’−ビス[(2−フルオロフェニル)カルバモイル]−β−D−セロビオシル誘導体を包含する)、およびNPC1L1アゴニストもしくはNPC1L1アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルと接触させる方法を提供する。サンプルがNPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストを含むか否かを評価するための簡便な方法は、そのサンプルが、既知のアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、エゼチマイブ)と、NPC1L1との間の結合について競合する物質を含むか否かを決定することである。
エゼチマイブは、当業者に周知の種々の方法(例えば、米国特許第5,631,365号、同第5,767,115号、同第5,846,966号、同第6,207,822号、米国特許公開番号2002/0193607およびPCT特許出願WO93/02048(その各々は、その全体が参考として本明細書中で援用される)に開示される方法)によって、調製され得る。
「サンプル」、「候補化合物」または「候補物質」とは、例えば、NPC1L1(例えば、配列番号2、4、もしくは12)またはその機能性フラグメントとアゴナイズまたはアンタゴナイズする能力について、試験またはアッセイにおいて評価される組成物を指す。この組成物は、低分子、ペプチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、亜原子粒子(例えば、α粒子、β粒子)、または抗体であり得る。
2つの基本的な型のスクリーニング系が使用され得、それは、標識−リガンド結合アッセイ(例えば、直接結合アッセイまたはシンチレーション近接アッセイ(SPA))および「コレステロール取り込み」アッセイである。この結合アッセイにおける使用のための標識リガンドは、コレステロールまたは既知のNPC1L1アゴニストもしくは既知のNPC1L1アンタゴニストを、測定可能な基(例えば、125IまたはH)で標識することによって、得られ得る。種々の標識形態のコレステロールが、市販されているか、または標準的な技術を使用して生成され得る(例えば、コレステロール−[1,2−H(N)]、コレステロール−[1,2,6,7−H(N)]またはコレステロール−[7−H(N)];American Radiolabeled Chemicals,Inc;St.Louis,MO)。好ましい実施形態において、エゼチマイブは、BODIPY基で蛍光標識される(Altmannら、(2002)Biochim.Biophys.Acta 1580(l):77−93)か、または検出可能な基(例えば、125IまたはH)で標識される。
(直接結合アッセイ)
代表的には、所定量の本発明のNPC1L1(例えば、配列番号2、4、もしくは12)が、漸増量の標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニスト(上記に考察される)と接触され、結合した標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの量が、未結合の標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストを洗浄により除去した後に、測定される。標識されたリガンドまたは既知アゴニストもしくは既知アンタゴニストの量が増加した場合、すべてのレセプター結合部位が占有されるかまたは飽和される点に、最終的に到達する。その標識されたリガンドまたは既知アゴニストもしくは既知アンタゴニストの特異的レセプター結合は、大過剰の標識されていないリガンドまたは既知アゴニストもしくは既知アンタゴニストによって、廃止される。
好ましくは、レセプターに対する上記標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの非特異的結合が最小限であるアッセイ系が、使用される。非特異的結合は、代表的には、標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの全結合のうちの50%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満である。
本発明のNPC1L1ポリペプチド(例えば、配列番号2、4、または12)をコードする核酸は、適切な宿主細胞中にトランスフェクトされ得、それにより、上記レセプターは、その細胞の膜に組み込まれる。その後、膜画分が、その細胞から単離され得、アッセイのためにそのレセプターの供給源として使用され得る。あるいは、その細胞表面においてそのレセプターを発現する細胞全体が、アッセイにおいて使用され得る。好ましくは、トランスフェクトされていない宿主細胞/形質転換されていない宿主細胞に対する、またはトランスフェクトされていない宿主細胞/形質転換されていない宿主細胞由来の膜画分に対する、上記の標識されたリガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの特異的結合は、無視できる。
原理的には、本発明の結合アッセイは、本発明の可溶性NPC1L1ポリペプチドを、例えば、E.coli発現系からの標準的方法による生成およびリフォールディングの後に使用して、実行され得る。生じたレセプター−標識リガンド複合体は、例えば、そのレセプターに対する抗体を使用して沈殿され得る。その後、その沈殿物は、洗浄され得、結
合した標識されたリガンドまたはアンタゴニストもしくはアゴニストの量が、測定され得る。
基本的結合アッセイにおいて、NPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストを同定するための方法は、
(a)NPC1L1(例えば、配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12)またはその部分配列を、既知量の検出可能に標識されたコレステロールまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニスト(例えば、標識されたエゼチマイブ、または標識L−166,143)の存在下で、NPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストの存在について試験されるべきサンプルと接触する工程;ならびに
(b)そのレセプターに結合した標識されたコレステロールまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの量を測定する工程;
を包含する。
サンプル中のNPC1L1アンタゴニストまたはNPC1L1アゴニストは、そのようなアンタゴニストまたはアゴニストの非存在下で測定される結合と比較して、NPC1L1に対する上記標識されたコレステロールまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識された既知アゴニストの実質的に減少した結合を測定することによって、同定される。例えば、サンプルの存在下での[H]−コレステロールとNPC1L1との間における減少した結合は、そのサンプルが、NPC1L1結合について[H]−コレステロールと競合している物質を含むことを示唆する。
あるいは、サンプルは、NPC1L1(例えば、配列番号2、4、または12)に対する結合について直接試験され得る。この型の基本的アッセイは、以下の工程を包含し得る:
(a)NPC1L1(例えば、配列番号2もしくは4もしくは12)またはその部分配列を、標識候補化合物(例えば、[H]−エゼチマイブ)と接触する工程;および
(b)その標識候補化合物と、NPC1L1との間の結合を検出する工程。
NPC1L1に結合することが見出される候補化合物は、(例えば、コレステロール取り込みの阻害によって)NPC1L1のアゴニストまたはアンタゴニストとして機能し得る。
(SPAアッセイ)
NPC1L1アンタゴニストまたはNPC1L1アゴニストはまた、シンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用して測定され得る。SPAアッセイは、従来的であり、当該分野で非常に周知である。例えば、米国特許第4,568,649号を参照のこと。SPAにおいて、目的の標的は、直径約5ミクロンの小さいミクロスフェアに固定される。このミクロスフェアは、代表的には、ポリヒドロキシフィルムでコートされた固体シンチラントコアを含み、これは次いで、カップリング分子を含み、このカップリング分子は、アッセイ設計のための遺伝的関連付けを可能にする。放射性同位体標識された分子がこのミクロスフェアに結合する場合、この放射性同位体は、シンチラントに非常に近接され、この同位体により発せられる電子からの有効なエネルギー移動が、生じて、光の発生をもたらす。その放射性同位体が自由溶液中に残る間に、その放射性同位体は、シンチラントからあまりにも遠すぎる。電子は、水性媒体中にエネルギーを散逸し、従って、検出されないままである。シンチレーションは、シンチレーションカウンターを用いて検出され得る。一般に、H標識および125I標識が、SPAにとって十分に適切である。
レセプター媒介結合事象のアッセイのために、レクチンコムギ胚芽凝集素(WGA)が、SPAビーズカップリング分子(Amersham Biosciences;Pis
cataway,NJ)として使用され得る。このWGA結合ビーズは、グリコシル化された細胞膜および糖タンパク質を捕捉する。このビーズは、広範な種類のレセプター供給源および培養細胞膜のために使用されている。このレセプターは、WGA−SPAビーズ上に固定され、シグナルが、同位体標識されたリガンドの結合に際して生成される。レセプター結合SPAアッセイのために有用であり得る他のカップリング分子としては、ポリ−L−リジンおよびWGA/ポリエチレンイミン(Amersham Biosciences;Piscataway,NJ)が挙げられる。例えば、Berry,J.A.ら、(1991)Cardiovascular Pharmacol.17(Suppl.7):S143−S145;Hoffman,R.ら、(1992)Anal.Biochem.203:70−75;Kienhusら、(1992)J.Receptor
Research 12:389−399;Jing,S.ら、(1992)Neuron 9:1067〜1069。
SPAビーズ中に含まれるシンチラントとしては、例えば、ジフェニルアントラシン(DPA)の固体溶媒として作用する、ケイ酸イットリウム(YSi)、酸化イットリウム(YOx)、ジフェニルオキサゾールまたはポリビニルトルエン(PVT)が挙げられ得る。
SPAアッセイは、サンプルがNPC1L1アンタゴニストまたはNPC1L1アゴニストであるか否かを分析するために使用され得る。これらのアッセイにおいて、細胞表面上にNPC1L1(例えば、配列番号2もしくは4もしくは12)を発現する宿主細胞またはその膜画分が、SPAビーズ(例えば、WGAコートYOxビーズ、またはWGAコートYSiビーズ)、および標識された既知リガンドまたは標識された既知アゴニストもしくは標識された既知アンタゴニスト(例えば、H−コレステロール、H−エゼチマイブまたは125I−エゼチマイブ)とともにインキュベートされる。このアッセイ混合物は、試験されるべきサンプル、またはブランク(例えば、水)のいずれかをさらに含み得る。必要に応じたインキュベーションの後に、シンチレーションが、シンチレーションカウンターを使用して測定される。NPC1L1アゴニストまたはNPC1L1アンタゴニストが、そのようなアゴニストまたはアンタゴニスト(ブランク)の非存在下で測定される蛍光と比較して、実質的に減少した蛍光を測定することによって、サンプル中で同定され得る。実質的に減少した蛍光を測定することは、そのサンプルが、上記の既知リガンド、既知アゴニストまたは既知アンタゴニストとNPC1L1結合について競合する物質を含むことを、示唆し得る。
あるいは、サンプルは、SPAアッセイにおいて結合を直接検出することによって、NPC1L1のアンタゴニストまたはアゴニストとして同定され得る。このアッセイにおいて、試験されるべき候補化合物の標識形態が、SPAビーズに結合された、NPC1L1を発現する宿主細胞またはその膜画分と接触するように配置され得る。その後、蛍光は、標識候補化合物と、NPC1L1を発現する宿主細胞または膜画分との間の複合体の存在を検出するためにアッセイされ得る。NPC1L1に結合する候補化合物は、NPC1L1アゴニスト活性またはNPC1L1アンタゴニスト活性を保有し得る。
NPC1L1を発現する宿主細胞は、本発明のNPC1L1をコードする核酸を適切な宿主細胞中に形質転換またはトランスフェクトし、それによりそのレセプターがその細胞の膜中に組み込まれることによって調製され得る。その後、膜画分が、その細胞から単離され得、そしてアッセイについてそのレセプター供給源として使用され得る。あるいは、その細胞表面上でそのレセプターを発現する細胞全体が、アッセイにおいて使用され得る。好ましくは、トランスフェクトされていない宿主細胞/形質転換されていない宿主細胞、またはランスフェクトされていない宿主細胞/形質転換されていない宿主細胞由来の膜画分に対する、上記の標識リガンドまたは標識された既知アンタゴニストもしくは標識さ
れた既知アゴニストの特異的結合は、無視できる。好ましい宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、マウスマクロファージJ774細胞または他の任意のマクロファージ細胞株、およびヒト腸上皮Caco2細胞が挙げられる。
(コレステロール取り込みアッセイ)
アッセイは、サンプルが、NPC1L1媒介性コレステロール取り込みをアゴナイズまたはアンタゴナイズし得るか否かを決定するために、実施され得る。これらのアッセイにおいて、(上記で考察された)細胞表面にNPC1L1(例えば、配列番号2もしくは4もしくは12)を発現する宿主細胞が、検出可能に標識されたコレステロール(例えば、H−コレステロールまたは125I−コレステロール)と、サンプルまたはブランクのいずれかとともに接触され得る。必要に応じたインキュベーションの後、その細胞は、吸収されていないコレステロールを除去するために洗浄され得る。コレステロール取り込みは、宿主細胞における標識コレステロールの存在を検出することによって、決定され得る。例えば、アッセイされる細胞またはその溶解物もしくは画分(例えば、薄層クロマトグラフィーにより分離された画分)は、液体シンチレーションと接触され得、そしてシンチレーションが、シンチレーションカウンターを使用して測定され得る。
これらのアッセイにおいて、サンプル中のNPC1L1アンタゴニストは、そのようなアンタゴニストの非存在下で測定される取り込みと比較して、実質的に減少した標識コレステロール(例えば、H−コレステロール)の取り込みを測定することによって、同定され得、アゴニストは、そのようなアゴニストの非存在下で測定される取り込みと比較して、実質的に増加した標識コレステロール(例えば、H−コレステロール)の取り込みを測定することによって、同定され得る。
(薬学的組成物)
例えば、上記のスクリーニング方法によって発見されたNPC1L1アゴニストおよびNPC1L1アンタゴニストは、NPC1L1の活性を刺激またはブロックするために治療的に(例えば、薬学的組成物中で)使用されて、それにより、そのレセプターにより引き起こされるかまたは媒介される任意の医学的状態が処置され得る。例えば、本発明の抗体分子はまた、NPC1L1に結合するために治療的に(例えば、薬学的組成物中で)使用されて、それにより、そのレセプターがコレステロールに結合する能力がブロックされ得る。コレステロールの結合をブロックすることは、(例えば、腸細胞(例えば、腸細胞)による)その分子の吸収を防止し得る。コレステロールの吸収をブロックすることは、被験体における血清コレステロールレベルを低下させ、それによって、例えば、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈心疾患、発作または動脈硬化症の発生を減少するために有用な方法であり得る。
用語「被験体」または「患者」は、任意の生物(好ましくは動物、より好ましくは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ウマ、霊長類、ネコ)、最も好ましくはヒト)を包含する。
用語「薬学的組成物」は、活性成分と薬学的に受容可能なキャリアおよび/またはアジュバントとを含む、組成物を指す。
本発明の組成物は、単純溶液中で投与され得るが、その組成物は、代表的には、他の材料(例えば、キャリア、好ましくは薬学的に受容可能なキャリア)と組み合わせて使用される。有用な薬学的に受容可能なキャリアは、本発明の組成物を被験体に送達するために適切な、任意の適合性の非毒性物質であり得る。滅菌水、アルコール、脂肪、蝋、および不活性固体が、薬学的に受容可能なキャリア中に含まれ得る。薬学的に受容可能なアジュバント(緩衝剤、分散剤)はまた、薬学的に組成物中に組み込まれ得る。
好ましくは、本発明の薬学的組成物は、ピルまたはカプセル剤の形態である。ピルおよびカプセル剤を処方するための方法は、当該分野で非常に周知である。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分は、任意の経口非毒性の薬学的に受容可能な不活性キャリア(例えば、ラクトース、デンプン、ショ糖、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、滑石、マンニトール、エチルアルコール(液体形態)などと合わさられ得る。さらに、望ましい場合または必要な場合には、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色剤もまた、この混合物中に組み込まれ得る。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、天然ガムおよび合成ガム(例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、および蝋)が挙げられる。これらの投与形態での使用について言及され得るこの滑沢剤の中には、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどがある。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、ガーゴムなどが挙げられる。甘味料および矯味矯臭剤および保存剤もまた、適切な場合に含まれ得る。
本発明の薬学的組成物は、第2の薬学的組成物または物質と組み合わせて投与され得る。好ましい実施形態において、この第2の組成物は、コレステロール低下薬物を含む。併用治療が使用される場合、両方の組成物が、同時送達のために単一組成物へと処方され得るか、または2つ以上の組成物(例えば、キット)へと別々に処方され得る。
この処方物は、単位投与形態で簡便に提示され得、そして薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。例えば、Gilmanら(編)(1990),The Pharmacological Bases of Therapeutics,第8版,Pergamon Press;およびRemington’s Pharmaceutical Sciences(前出),Easton,Penn.;Avisら(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dekker,New York;Liebermanら、(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Dekker,New York;およびLiebermanら(編)(1990),Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems Dekker,New Yorkを参照のこと。
治療適用に関与する投与レジメンは、治療物質の作用を改変し得る種々の要因(例えば、患者の状態、体重、性別および食事、任意の感染の重篤度、投与回数、および他の臨床因子)を考慮して、医師によって決定され得る。しばしば、処置投与量は、低レベルから上向きに滴定されて、安全性および効力が最適にされる。投与量は、小さい分子サイズおよびおそらく減少する投与後の半減期(クリアランス時間)を計上するように調整され得る。
本発明のアンタゴニストの「有効量」は、腸コレステロール吸収のレベルを検出可能に減少するか、またはその組成物を投与された被験体中の血清コレステロールレベルを検出可能に減少する量であり得る。
そのような物質の治療投与のための代表的なプロトコルは、当該分野で周知である。本発明の薬学的組成物は、例えば、任意の腸管外経路または非腸管外経路によって、投与され得る。
本発明のピルおよびカプセル剤は、経口投与され得る。注射可能な組成物が、当該分野で公知の医療デバイスを用いて、例えば、皮下針を用いる注射によって、投与され得る。
本発明の注射可能な薬学的組成物はまた、針なし皮下注射デバイス(例えば、米国特許第5,399,163号;同第5,383,851号;同第5,312,335号;同第5,064,413号;同第4,941,880号;同第4,790,824号;または同第4,596,556号に開示されるデバイス)を用いて、投与され得る。
(アンチセンス)
本発明はまた、例えば配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12により規定されるアミノ酸配列またはその部分配列を有するNPC1L1をコードするmRNA(例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5〜配列番号11または配列番号13)に特異的にハイブリダイズしてそのmRNAの翻訳を防止することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。さらに、本発明は、例えば配列番号2もしくは配列番号4もしくは配列番号12により規定されるアミノ酸配列またはその部分配列を有するNPC1L1をコードするゲノムDNA配列にハイブリダイズ可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。
本発明はさらに、(a)NPC1L1媒介性コレステロール吸収を、細胞膜を通過してその細胞中のNPC1L1をコードするmRNAに特異的に結合してそのmRNAの翻訳を防止することによって減少するために有効な一定量のオリゴヌクレオチドと、(b)細胞膜を通過可能な薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物を提供する。一実施形態において、そのオリゴヌクレオチドは、mRNAを不活化する物質に結合されている。別の実施形態において、mRNAを不活化する物質は、リボザイムである。
以下の実施例は、本発明をより明確に記載するために提供されており、本発明の範囲を限定するとは決して解釈されるべきではない。
(実施例1:ラットNPC1L1、マウスNPC1L1およびヒトNPC1L1のクローニングおよび発現)
ラットNPC、マウスNPC1L1またはヒトNPC1L1は、すべてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して簡便に増幅し得る。このアプローチにおいて、ラットcDNAライブラリー、マウスcDNAライブラリー、またはヒトcDNAライブラリーからのDNAを、適切なプライマーおよび標準的PCR条件を使用して増幅し得る。プライマーの設計および最適な増幅条件は、当該分野で一般的に公知である標準的技術を構成する。
増幅したNPC1L1遺伝子は、これもまた当該分野で一般的に公知である方法を使用して、簡便に発現させ得る。例えば、NPC1L1を、pETベースのプラスミドベクター(Stratagene;La Joola,CA)中のT7 RNAポリメラーゼプロモーターの下流に挿入し得る。その後、このプラスミドを、T7発現系(例えば、BL21DE3 E.coli細胞)中に形質転換し得、液体培養中で増殖させ得、そして(例えば、IPTGをその細菌培養物に添加することによって)誘導し得る。
(実施例2:直接的結合アッセイ)
(膜調製物) NPC1L1(例えば、配列番号2、配列番号4、または配列番号12)をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターでトランスフェクトしたCaco2細胞を、5mM EDTA/リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中でインキュベートし、その後、繰返しピペッティングすることによって採集する。その細胞を、1000×gにて5分間遠心分離する。このEDTA/PBSを捨て、等容量の氷冷50mM Tris−HCl(pH7.5)を添加し、細胞をPolytron(PT10チップ、設定5、30秒)で破壊する。核および未破壊の細胞を、1000×gにて10分間沈降させ、そ
の後、上清を50,000×gで10分間遠心分離する。その上清を捨て、ペレットをPolytronにより再懸濁し、サンプルをタンパク質アッセイ(ビシンコニニン酸(bicinchoninic acid),Pierce)用に得、この組織を再度50,000×gで遠心分離する。ペレットを、−20℃にて凍結保存する。
(結合アッセイ) 飽和結合のために、4種類の濃度の[H]−エゼチマイブ(ezetimibe)(15Ci/mmol)を、10−5Mエゼチマイブを伴わずにか10−5Mエゼチマイブとともに、50μgの膜タンパク質とともに、総容量200μlの50mM Tris−HCl(pH7.5)中で30℃にて30分間、3連でインキュベートする。サンプルをGF/Bフィルターにて濾過し、2mlの冷Tris緩衝液で3回洗浄する。フィルターを電子レンジ中で乾燥し、Meltilexワックスシンチラントに浸漬し、そして45%効率で計数する。競合結合アッセイのために、5種類の濃度のサンプルを、上記の条件下で、18nM [H]−エゼチマイブおよび70μgの膜タンパク質とともに3連でインキュベートする。曲線を、Prism(GraphPad Software)非線形最小二乗曲線フィットプログラムを用いてこのデータにフィットさせ、K値を、ChengおよびPrusoff(Cheng,Y.C.ら(1973)Biochem.Pharmacol.22:3099〜3108)に従ってIC50値から誘導する。
(実施例3:SPAアッセイ)
96ウェルプレートの各ウェルについて、10μgのヒトNPC1L1−CHO過剰発現膜、マウスNPC1L1−CHO過剰発現膜またはラットNPC1L1−CHO過剰発現膜(Biosignal)と200μg/ウェルのYsi−WGA−SPAビーズ(Amersham)との反応混合物(100μl)を、NPC1L1アッセイ緩衝液(25mM HEPES(pH7.8)、2mM CaCl、1mM MgCl、125mM NaCl、0.1%BSA)中にて調製する。0.4nMのリガンド−[125I]−エゼチマイブストックを、NPC1L1アッセイ緩衝液中で調製する。上記の溶液を、以下のように96ウェルアッセイプレートに添加する:50μlのNPC1L1アッセイ緩衝液、100μlの反応混合物、50μlのリガンドストック(最終濃度は、0.1nMである)。このアッセイプレートを、プレート振盪機にて5分間振盪し、その後、8時間インキュベートした後に、cpm/ウェルを、Microbeta Triluxカウンター(PerkinElmer)にて測定する。
これらのアッセイは、[125I]−エゼチマイブが、ヒトNPC1L1を発現する細胞膜、マウスNPC1L1を発現する細胞膜またはラットNPC1L1を発現する細胞膜に結合することを示す。同様の結果が、同じ実験を放射標識コレステロール(例えば、125I−コレステロール)を用いて実施した場合に得られる。
(実施例4:コレステロール取り込みアッセイ)
SR−B1を発現するCHO細胞またはラットNPC1L1の3種の異なるクローンもしくは1種のマウスNPC1L1クローンを発現するCHO細胞のいずれかを、無コレステロール培地中で一晩飢餓にし、その後、混合合成ミセルエマルジョン中の[H]−コレステロールを、10μMエゼチマイブの非存在下または存在下で4分間、8分間、12分間、または24分間投与した。その細胞を採取し、脂質を組織的に抽出した。抽出した脂質を、薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート上にスポットし、有機蒸気相内で分離した。各アッセイについての遊離コレステロールのバンドを単離し、シンチレーションカウンターにて計数した。
SR−B1発現細胞は、4分間程度の初期に[H]−コレステロール取り込みの増加を示した。この増加はまた、エゼチマイブによって抑制された。これらの3種のラットク
ローンおよび1種のマウスクローンは、バックグラウンドレベルの[H]−コレステロール取り込みを生じるように見えた。この取り込みは、非形質転換CHO細胞の取り込みと同様であった。
これらの実験は、CHO細胞が、より最適な実験条件が開発された場合には、マウスNPC1L1依存性、ラットNPC1L1依存性、およびヒトNPC1L1依存性の[H]−コレステロール取り込みを実施し得ることを示すデータを生じる。
(実施例5:Wistarラット組織におけるラットNPC1L1の発現)
これらの実験において、いくつかのラット組織におけるラットNPC1L1 mRNAの発現を、評価した。評価した組織は、食道、胃、十二指腸、空腸、回腸、近位結腸、遠位結腸、肝臓、膵臓、心臓、大動脈、脾臓、肺、腎臓、脳、筋肉、精巣、卵巣、子宮、副腎および甲状腺であった。全RNAサンプルを、少なくとも3種の雄動物および3種の雌動物から単離し、そしてプールした。その後、それらのサンプルを、標準的二重標識蛍光発生オリゴヌクレオチドプローブを使用するTaqman分析を使用する、リアルタイム定量PCRに供した。代表的なプローブの設計は、5’レポーター色素(例えば、6FAM(6−カルボキシフルオレセイン)またはVIC)および3’クエンチ色素(例えば、TAMRA(6−カルボキシテトラメチル−ローダミン))を組み込んだ。
(ラットNPC1L1)
Figure 2010142238
ラットβ−アクチン)
Figure 2010142238
Figure 2010142238
(配列番号19)。
PCR反応を、各ウェル中に25μl反応混合物を含む96ウェル形式で実行した。この反応混合物は、Platinum SuperMix(12.5μl)、ROX Reference Dye(0.5μl)、50mM塩化マグネシウム(2μl)、逆転写反応からのcDNA(0.2μl)を含んだ。多重反応は、各々200nMの遺伝子特異的プライマー、および100nMのFAM標識プローブ、および各々100nMの遺伝子特異的プライマー、および50nMのVIC標識プローブを含んだ。反応は、標準的な2段階サイクリングプログラム(95℃で15秒間および60℃で1分間を、40サイクル)を用いて実行した。
最高レベルの発現が、十二指腸、空腸、および回腸組織において観察された。これらのデータは、NPC1L1が、腸におけるコレステロールにおいて役割を果たすことを示す。
(実施例6:マウス組織におけるマウスNPC1L1の発現)
これらの実験において、いくつかのマウス組織におけるマウスNPC1L1 mRNAの発現を、評価した。評価した組織は、副腎、BM、脳、心臓、ランゲルハンス島、LI、小腸、腎臓、肝臓、肺、MLN、PLN、筋肉、卵巣、下垂体、胎盤、パイエル板、皮膚、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、子宮および気管であった。全RNAサンプルを、少なくとも3種の雄動物および3種の雌動物から単離し、そしてプールした。その後、それらのサンプルを、以下のプライマーおよびプローブを使用するTaqman分析を使用する、リアルタイム定量PCRに供した:
(マウスNPC1L1)
Figure 2010142238
(配列番号22)。
最高レベルの発現が、パイエル板、小腸、胆嚢、および胃の組織において観察された。これらのデータは、消化系において生じるNPC1L1のコレステロール吸収の役割と一致する。
(実施例7:ヒト組織におけるヒトNPC1L1の発現)
これらの実験において、46種の正常組織を示す2045種のサンプルにおけるヒトNPC1L1 mRNAの発現を、評価した。マイクロアレイベースの遺伝子発現分析を、Affymetrixの確立されたプロトコルに厳密に従って、塩基対4192〜5117(配列番号43)に対応するcRNAプローブを使用して、Affymetrix HG−U95 GeneChipにて実施した。GeneChipを、低光増幅管(PMT)下でスキャンし、データを、Affymetrix MAS 4.0アルゴリズムまたはMAS5.0アルゴリズムのいずれかを使用して正規化した。さらに、ほとんどのサンプルについての「スパイクイン(spike in)」を使用して、Gene Logicアルゴリズムおよび手順に従って、標準曲線を構築してRNA濃度値を得た。これらの結果の要約が、以下の表2に示される。
(表2.種々のヒト組織におけるNPC1L1 mRNAの発現レベル)
Figure 2010142238
影を付けたデータは、最高レベルのNPC1L1 mRNAが検出された組織に対応す
る。「存在する」の欄は、NPC1L1 mRNAが検出された評価された特定の組織サンプルの割合を示す。「存在せず」の欄は、NPC1L1 RNAが検出されなかった評価された特定の組織サンプルの割合を示す。「下位25%」の欄、「中間」の欄および「上位75%」の欄は、評価された各組織セットについて観察された相対的NPC1L1シグナル強度の統計的分布を示す。
(実施例8:ラット小腸におけるラットNPC1L1 mRNA、ラットIBAT mRNA、ラットSR−B1 mRNAの分布)
これらの実験において、ラット小腸の近位−遠位軸に沿ったラットNPC1L1 mRNAの分布を、評価した。小腸を、5匹の独立した動物から単離し、ほぼ等しい長さの10個の切片に分割した。全RNAを単離し、そしてラットNPC1L1 mRNA、ラットIBAT(回腸胆汁酸輸送体)mRNAまたはラットSR−B1 mRNAの局所発現レベルについて、Taqman分析を使用するリアルタイム定量PCRによって、分析した。この分析において使用したプライマーおよびプローブは、
(ラットNPC1L1)
Figure 2010142238
(ラットビリン(Villin))
Figure 2010142238
(ラットSR−B1)
Figure 2010142238
(ラットIBAT)
Figure 2010142238
であった。
各動物の小腸切片のmRNA発現レベルを、別個に分析し、その後、観察された発現レベルを、その小腸切片において観察されたビリンmRNAレベルに対して正規化した。そ
の後、各切片について観察された正規化済みmRNA発現レベルを、平均化した。
NPC1L1およびSR−B1発現レベルは、より遠位の回腸切片と比較して、空腸(切片2〜5)において最高であった。空腸は、コレステロール吸収部位であると考えられるので、これらのデータは、ラットNPC1L1のそのような役割を示唆する。回腸を好むIBAT分布が、十分に記録され、この実験についてのコントロールとして役立った。
(実験9:ラット空腸組織におけるラットNPC1L1 mRNAのインサイチュ分析)
ラットNPC1L1 mRNAの局在化を、ラット空腸連続切片のインサイチュハイブリダイゼーション分析によって特徴付けた。この分析において使用したプローブは、
(T7−センスプローブ)
Figure 2010142238
(T7−アンチセンスプローブ)
Figure 2010142238
であった。
これらのRNAプローブは、ラットNPC1L1ヌクレオチドの3318〜3672(配列番号1)に対応するPCR増幅DNAフラグメントのT7 RNAポリメラーゼ増幅を使用して、合成した。センスジゴキシゲニン−UTP標識cRNAプローブおよびアンチセンスジゴキシゲニン−UTP標識cRNAプローブを、DIG RNA Labelling Kitを製造業者の指示に従って使用して、T7プロモーターから作製した。ラット空腸の連続凍結切片を、このセンスプローブおよびアンチセンスプローブとハイブリダイズさせた。ジゴキシゲニン標識を、以前の方法に基づいてDIG Nucleic
Acid Detection Kitを用いて検出した。ポジティブシグナルを、ハイブリダイゼーション部位における赤色反応産物の沈着によって特徴付ける。
このアンチセンスプローブは、低倍率(40×)下で、陰窩−繊毛軸に沿って、上皮の強い染色を示した。観察されたラットNPC1L1 mRNA発現レベルは、繊毛先端よりも陰窩において、いくらか高かったようであり得る。高倍率(200×)下では、染色は、腸細胞において観察されたが、杯細胞では観察されなかった。センスプローブ(コントロール)を用いて染色が観察されなかったことにより、NPC1L1アンチセンスシグナルの高い特異性が確認された。これらのデータは、腸コレステロール吸収におけるラットNPC1L1の役割のさらなる証拠を提供した。
(実施例10:一過性トランスフェクトされたCHO細胞への蛍光標識エゼチマイブの結合のFACS分析)
これらの実験において、BODIPY標識エゼチマイブ(Altmannら(2002)Biochim.Biophys.Acta 1580(1):77〜93)がNPC1L1およびSR−B1に結合する能力を、評価した。「BIODIPY」とは、BODIPY−エゼチマイブを検出するために使用した蛍光基である。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、ラットNPC1L1 DNA(rNPC1L1/CHO)、マウ
スNPC1L1 DNA(mNPC1L1/CHO)、マウスSR−B1 DNA(mSRBI/CHO)またはEGFP DNA(EGFP/CHO)で一過性トランスフェクトした。EGFPとは、ポジティブコントロールとして使用した増強型緑色蛍光タンパク質である。その後、トランスフェクトしたCHO細胞または非トランスフェクトCHO細胞を、100nM BODIPY標識エゼチマイブで染色し、そしてFACSにより分析した。コントロール実験もまた、実施し、その実験において、細胞は、BODIPY−−エゼチマイブで標識せず、非トランスフェクトCHO細胞を、BODIPY−エゼチマイブで標識した。
染色は、非トランスフェクトCHO細胞でも、rNPC1L1/CHO細胞でも、mNPC1L1/CHO細胞でも観察されなかった。蛍光が、ポジティブコントロールEGFP/CHO細胞において検出された。染色がまた、マウスSR−B1/CHO細胞において検出された。これらのデータは、試験した条件下で、BODIPY−エゼチマイブが、SR−B1に結合可能であること、およびそのような結合は、蛍光BODIPY基の存在によって剥離されないことを示す。より好適な条件が決定された場合、BODIPY−エゼチマイブは、rNPC1L1/CHO細胞およびmNPC1L1/CHO細胞を標識することが示される。
(実施例11:抗FLAG抗体M2で標識した一過性トランスフェクトCHO細胞のFACS分析)
これらの実験において、CHO細胞におけるFLAGタグ化NPC1L1の発現を、評価した。CHO細胞を、マウスNPC1L1 DNA、ラットNPC1L1 DNA、FLAG−ラット NPC1L1 DNAまたはFLAG−マウスNPC1L1 DNAで一過性トランスフェクトした。使用した8アミノ酸FLAGタグは、DYKDDDDK(配列番号37)であった。このタグは、分泌シグナル配列直後のアミノ末端細胞外ループ上に挿入した。これらの細胞を、市販の抗FLAGモノクローナルマウス抗体M2とともにインキュベートし、その後、BODIPYタグ化抗マウス二次抗体とともにインキュベートした。その後、処理した細胞を、FACSによって分析した。
このM2抗体は、FLAG−ラットNPC1L1 DNAでトランスフェクトしたCHO細胞、およびFLAG−マウスNPC1L1でトランスフェクトしたCHO細胞を染色した。マウスNPC1L1 DNAでトランスフェクトしたCHO細胞およびラットNPC1L1 DNAでトランスフェクトしたCHO細胞においては、染色は観察されなかった。これらのデータは、ラットNPC1L1およびマウスNPC1L1が、何ら有意な固有の蛍光を有さず、抗FLAG抗体によって結合されないことを、示した。これらの細胞の観察されたFLAG依存性標識は、このFLAG−マウスNPC1L1タンパク質およびFLAG−ラットNPC1L1タンパク質が、CHO細胞の細胞膜に局在化することを示した。
(実施例12:一過性トランスフェクトされたCHO細胞におけるFLAG−ラットNPC1L1−EGFPキメラのFACS分析)
これらの実験において、CHO細胞におけるラットNPC1L1の表面および細胞質での局在化を評価した。CHO細胞を、FLAG−ラットNPC1L1 DNAまたはFLAG−ラットNPC1L1−EGFP DNAで一過性トランスフェクトした。これらの融合物において、そのFLAGタグは、ラットNPC1L1のアミノ末端にあり、EGFP融合物は、ラットNPC1L1のカルボキシ末端にあった。その後、これらの細胞を、M2抗FLAGマウス(一次)抗体で染色し、その後、BODIPY標識抗マウス抗体で二次染色した。コントロール実験おいて、細胞を、この二次抗体のみで染色し、上記一次抗体(M2)では染色しなかった。その後、染色した細胞を、FACSにより分析した。
コントロール実験において、FLAG−ラットNPC1L1でトランスフェクトした細胞を、BODIPY抗マウス二次抗体で染色したが、上記一次抗体では染色しなかった。そのデータは、二次抗マウス抗体が、FLAG−ラットNPC1L1について何ら有意な特異性を有さないこと、およびFLAG−ラットNPC1L1自体が、何ら有意な蛍光を有さないことを示した。
別のコントロール実験において、非標識FLAG−ラットNPC1L1−EGFP細胞を、FACS分析した。これらの実験において、増強型緑色蛍光タンパク質(EGFP)の自己蛍光を、検出した。
FLAG−ラットNPC1L1細胞を、抗FLAGマウス抗体M2およびBODIPY標識抗マウス二次抗体で染色し、そしてFACS分析した。この分析からのデータは、これらの細胞が、二次BODIPY標識抗体で標識されたことを示した。このことは、CHO細胞の表面上でのFLAG−ラットNPC1L1タンパク質の発現を示した。
FLAG−ラットNPC1L1−EGFP細胞を、抗FLAGマウス抗体M2およびBODIPY標識抗マウス二次抗体で染色し、そしてFACS分析した。この分析からのデータは、両方のマーカー(BODIPYおよびEGFP)が存在することを示した。この存在は、上記キメラタンパク質の表面発現を示す。このデータはまた、上記タンパク質の一部が、上記細胞内に位置し、輸送小胞と関連し得ることを示した。これらのデータは、コレステロール、または亜細胞器官(例えば、粗面小胞体)において発現したタンパク質の小胞輸送におけるラットNPC1L1の役割を支持した。
(実施例13:クローン化CHO細胞株におけるFLAG−ラットNPC1L1−EGFPキメラのFACS分析および蛍光顕微鏡検査)
これらの実験において、ラットNPC1L1の細胞局在化を、FACS分析および免疫組織化学によって評価した。CHO細胞を、FLAG−ラットNPC1L1−EGFP DNAでトランスフェクトし、抗FLAGマウス抗体M2で染色し、その後、BODIPY標識抗マウス二次抗体で染色した。この融合物において、FLAGタグは、ラットNPC1L1のアミノ末端にあり、増強型緑色蛍光タンパク質(EGFP)タグは、ラットNPC1L1のカルボキシ末端にある。その後、染色した細胞を、FACSおよび蛍光顕微鏡検査法によって分析した。
FLAG−ラットNPC1L1−EGFP DNAでトランスフェクトした細胞を、抗FLAGマウス抗体M2で染色し、その後、BODIPY標識抗マウス二次抗体で染色した。これらの細胞のFACS分析によって、上記キメラタンパク質の表面発現を示す両方のマーカーが検出された。
FLAG−ラットNPC1L1−EGFPトランスフェクト細胞を、63×倍率で蛍光顕微鏡によって分析した。これらの細胞の蛍光顕微鏡分析は、非核染色を示し、有意な核周囲オルガネラ染色を伴った。その画像を解像しても、小胞関連タンパク質の存在は確認し得なかった。これらのデータは、上記融合タンパク質が、CHO細胞の細胞膜上で発現されたことを示した。
(実施例14:ポリクローナル抗ラットNPC1L1ウサギ抗体の作製)
アミノ末端システイン残基またはカルボキシ末端システイン残基を含む合成ペプチド(配列番号39〜42)を、ジスルフィド結合を介してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)キャリアタンパク一に結合し、抗原として使用して、ニュージーランド白色ウサギ(3ヶ月齢〜9ヶ月齢の範囲)においてポリクローナル抗血清を惹起した。このKLH−ペプチドを、等容量のフロイントアジュバントと混合することによって乳化し、3箇
所の皮下背面部位に注射した。16週間免疫スケジュールの前に、免疫前血清サンプルを収集し、その後、0.25mg KLH−ペプチドを初回注射し、そして3回の0.1mg KLH−ペプチドを3回、計画的にブースター注射した。動物の耳介動脈から採血させ、その血液を凝固させ、その後、その血清を遠心分離によって収集した。
抗ペプチド抗体力価を、固相において結合した遊離ペプチド(1μg/ウェル)を用いる酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELSIA)によって決定した。結果を、OD450 0.2を生じた血清希釈の逆数として表す。検出は、ビオチニル化抗ウサギIgG、ホースラディッシュペルオキシダーゼ−ストレプトアビジン(HRP−SA)結合体、およびABTSを使用して行った。
(実施例15:ウサギ抗ラットNPC1L1抗血清を使用する、ラットNPC1L1 DNAで一過性トランスフェクトしたCHO細胞におけるラットNPC1L1発現のFACS分析)
これらの実験において、CHO細胞の表面におけるラットNPC1L1の発現を、評価した。CHO細胞を、ラットNPC1L1 DNAでトランスフェクトし、その後、ウサギ免疫前血清または上記実施例14に記載した10週間抗ラットNPC1L1血清(すなわち、A0715、A0716、A0867またはA0868)のいずれかとともにインキュベートした。その後、一次抗血清で標識細胞を、BODIPY改変抗ウサギ二次抗体で染色し、その後、FACS分析した。
抗体表面標識は、免疫前血清サンプルのいずれについても観察されなかった。ラットNPC1L1トランスフェクト細胞の特異的細胞表面標識が、A0715およびA0868の両方について観察された。抗血清A0716およびA0867は、このアッセイ様式におけるラットNPC1L1表面発現を認識しなかった。このことは、ネイティブの非融合ラットNPC1L1タンパク質が、CHO細胞において発現され、CHO細胞膜に局在化することを示す。NPC1L1の細胞表面発現は、腸コレステロール吸収における役割と一致する。
(実施例16:ウサギ抗ラットNPC1L1抗血清を使用する、FLAG−マウスNPC1L1 DNAで一過性トランスフェクトしたCHO細胞またはFLAG−ラットNPC1L1 DNAで一過性トランスフェクトしたCHO細胞または非トランスフェクト細胞のFACS分析)
これらの実験において、CHO細胞におけるFLAG−マウスNPC1L1およびFLAG−ラットNPC1L1の発現を、評価した。CHO細胞を、FLAG−マウスNPC1L1 DNAまたはFLAG−ラットNPC1L1 DNAで一過性トランスフェクトした。FLAG−マウスNPC1L1トランスフェクト細胞およびFLAG−ラットNPC1L1トランスフェクト細胞を、A0801血清、A0802血清、A0715血清、またはA0868血清(実施例14参照)またはFLAG抗体M2のいずれかで標識した。その後、これらの標識細胞を、BODIPY標識抗ウサギ二次抗体で染色し、そしてFACS分析した。非トランスフェクトCHO細胞を、上記のトランスフェクト細胞株と同じ様式で分析した。
非トランスフェクトCHO細胞のポジティブ染色は、試験した抗血清のいずれについても観察されなかった。FLAG−ラットNPC1L1トランスフェクト細胞の血清A0801依存性標識が観察されたが、FLAG−マウスNPC1L1トランスフェクト細胞のそのような標識は、観察されなかった。FLAG−マウスNPC1L1トランスフェクト細胞またはFLAG−ラットNPC1L1トランスフェクト細胞の血清A0802依存性標識は、観察されなかった。FLAG−ラットNPC1L1トランスフェクト細胞の強い血清A0715依存性標識が、観察され、FLAG−マウスNPC1L1トランスフェク
ト細胞の弱い血清A0715依存性標識が、観察された。ラットNPC1L1トランスフェクト細胞およびマウスNPC1L1トランスフェクト細胞の弱い血清A0868依存性標識が、観察された。FLAG−ラットNPC1L1トランスフェクト細胞およびFLAG−マウスNPC1L1トランスフェクト細胞の強い抗FLAG M2抗体依存性標識が、観察された。この強いM2染色は、M2が、既知の濃度の親和性精製されたモノクローナル抗体であるという事実に起因する可能性がある。対照的に、個々の抗血清は、未精製のポリクローナルであり、非特定濃度の抗ラットNPC1L1抗体を含む。これらのデータは、FLAG−マウスNPC1L1タンパク質およびFLAG−ラットNPC1L1タンパク質が、CHO細胞において発現され、そしてCHO細胞膜に局在化されるというさらなる証拠を提供する。NPC1L1の細胞表面発現は、腸コレステロール吸収における役割と一致する。
(実施例17:ウサギ抗ラットNPC1L1抗血清A0715を用いるラット空腸の免疫組織化学分析)
これらの実験において、ラット空腸におけるラットNPC1L1の局在化を、免疫組織化学により分析した。ラット空腸を取り出し、すぐにO.C.T.化合物中に包埋し、そして液体窒素中に凍結した。切片(6μm)を、低温槽ミクロトームを用いて切断し、そしてスライドガラス上にマウントした。切片を室温で風乾し、その後、ブワン固定液中に固定した。ストレプトアビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ免疫染色を、ヒストスタイン(Histostain)−SPキットを使用して実行した。内因性組織ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中の3%H中で10分間インキュベートしてブロックし、非特異的抗体結合を、10%非免疫ウサギ血清中で45分間インキュベートして最小にした。切片を、ウサギ抗ラットNPC1L1抗血清A0715またはA0868とともに1:500希釈にて4℃でインキュベートし、その後、ビオチン化ヤギ抗ウサギIgGおよびストレプトアビジン−ペルオキシダーゼとともにインキュベートした。その後、これらの背ペンを、アミノエチルカルバゾール(AEO)−H染色系において発色させ、ヘマトキシリンを用いて対比染色し、そして顕微鏡検査法により試験した。このプロトコルを使用する陽性反応を、抗原−抗体反応部位での赤色反応産物の沈着によって特徴付ける。核は、ヘマトキシリン対比染色物から青色を呈した。コントロールは、同じ組織ブロックからの近傍切片に対して同時に実施した。コントロール手順は、以下の(1)一次抗体を免疫前血清で置換すること、(2)一次抗体を非免疫ウサギ血清で置換すること、(3)一次抗体をPBSで置換すること、(4)二次抗体をPBSで置換すること、からなった。
本実施例は、抗ラットNPC1L1血清A0715または免疫前血清で染色した組織を、低倍率(40×)および高倍率(200×9で分析したことを示す。A0715染色組織は、低倍率にて、繊毛上皮層(腸細胞)の強い陽性染色を示した。A0715染色組織は、高倍率にて、腸細胞頂端膜の強い陽性染色を示した。免疫前血清のみで処理した組織において、染色は観察されなかった。同様の結果が、血清A0868を用いて得られた。これらのデータは、ラットNPC1L1が、ラット空腸において発現されることを示し、これは、腸コレステロール吸収における役割と一致する。
(実施例18:標識コレステロール取り込みアッセイ)
本実施例において、ラットNPC1L1またはマウスSR−B1で安定にトランスフェクトしたCHO細胞が標識コレステロールを取り込む能力を、評価した。これらのアッセイにおいて、単一濃度におけるコレステロール取り込みを、パルスチェイス実験において評価した。これらの実験において生じたデータが、以下の表3において示される。
(細胞)
A.ラットNPC1L1 cDNAで安定にトランスフェクトされたCHO細胞
B.CHOバックグラウンド(トランスフェクションなし)
細胞は、12ウェルプレート中に500,000細胞/ウェル(mL)で播種した。
(手順)
すべての試薬および培養プレートを、特に記載しない限り、37℃で維持した。
(飢餓) 維持培地(F12 HAMS、1% Pen/Strep、10% FCS)を除去し、細胞を、無血清HAMS培地でリンスした。その後、この無血清培地を、1mL「飢餓」培地(F12 HAMS、Pen/Strep、5%リポタンパク質欠損血清(LPDS))で置換した。
各細胞株1プレートを、一晩飢餓させた。残りの2プレートを、「飢餓なし」と名付けた(以下を参照のこと)。
(プレインキュベーション) 培地をすべてのプレートから除去し、無血清HAMSでリンスし、そして飢餓培地で30分間置換した。
H−コレステロールパルス) 以下を、各ウェルに直接添加した:
50μlの混合胆汁酸塩ミセル中の0.5μCi H−コレステロール(約1.1×10dpm/ウェル)
4.8mMタウロコール酸ナトリウム(2.581mg/mL)
0.6mMオレイン酸ナトリウム(0.183mg/mL)
0.25mMコレステロール(0.1mg/mL)
(これらは、超音波振動により「飢餓」培地中に分散している)
(新鮮な培地のコレステロール濃度=5μg/mL)。
標識コレステロールパルスの時点は、0分、4分、12分、および24分であった。各処理について3連のウェルを調製した。
(洗浄) 指定した時間に、培地を吸引し、そして細胞を、37℃にて、Hobbs緩衝液A(50mM Tris、0.9% NaCl、0.2% BSA(pH7.4))で一回洗浄し、Hobbs緩衝液B(50mM Tris、0.9% NaCl(pH7.4)(BSAなし))で1回洗浄した。
(処理/分析) 細胞を0.2N NaOH(2mL/ウェル)を用いて室温で一晩消化した。1.5mlアリコートを各ウェルから取り出し、中和し、そしてシンチレーション計数により放射能を計数した。すべてのウェルからの50μlアリコートさらに2つずつを、Pierce micro BCA法により総タンパク質についてアッセイした。この細胞において観察された標識コレステロールの量を、その細胞におけるタンパク質の量により正規化した。
(表3.ラットNPC1L1でトランスフェクトしたCHO細胞またはマウスSR−B1でトランスフェクトした細胞または非トランスフェクトCHO細胞による、H−コレステロール取り込み)
Figure 2010142238
dpm=1分間当たりの崩壊
sem=平均の標準誤差。
(実施例19:コレステロール取り込みに対するエゼチマイブの効果)
マウスNPC1L1またはラットNPC1L1またはマウスSR−B1で安定にトランスフェクトしたCHO細胞がH−コレステロールを取り込む能力に対するエゼチマイブの効果を、パルスチェイス実験において評価した。1種類のマウスNPC1L1 cDNAクローン(C7)および3種類のラットNPC1L1クローン(C7、C17、およびC21)を、評価した。マウスSR−B1で安定にトランスフェクトしたCHO細胞、マウスNPC1L1で安定にトランスフェクトしたCHO細胞およびラットNPC1L1で安定にトランスフェクトした細胞が、エゼチマイブの非存在下で標識コレステロールを取り込む能力もまた、パルスチェイス実験において評価した。これらの実験において生じたデータは、以下の表4および表5に示される。さらに、4種類の種々の非標識コレステロール濃度の存在下においてトランスフェクトCHO細胞および非トランスフェクトCHO細胞によって取り込まれる総コレステロール量もまた、評価した。これらの実験からのデータを、以下の表6に示す。
(細胞)
A.ラットNPC1L1 cDNAまたはマウスNPC1L1 cDNAで安定にトランスフェクトしたCHO細胞
B.CHOバックグラウンド(トランスフェクションなし)
C.SR−B1トランスフェクトCHO細胞
(細胞は、12ウェルプレート中に500,000細胞/ウェル(mL)で播種した)。
(手順)
すべての試薬および培養プレートを、特に言及しない限りは、37℃で維持した。
(飢餓) 維持培地(F12 HAMS、1% Pen/Strep、10% FCS
)を除去し、細胞を、無血清HAMS培地でリンスした。その後、この無血清培地を、1mL「飢餓」培地(F12 HAMS、Pen/Strep、5%リポタンパク質欠損血清(LPDS))で置換した。細胞を一晩飢餓させた。
(プレインキュベーション/プレ投与) 培地をすべてのプレートから除去し、新鮮な飢餓培地で置換し、30分間プレインキュベートした。ウェルの半分に、エゼチマイブを含む培地を与えた(EtOH中のストック溶液;最終濃度=10μM)。
H−コレステロールパルス) 以下を、各ウェルに直接添加した:
50μlの混合胆汁酸塩ミセル中の0.5μCi H−コレステロール(約1.1×10dpm/ウェル)
4.8mMタウロコール酸ナトリウム(2.581mg/mL)
0.6mMオレイン酸ナトリウム(0.183mg/mL)
0.25mMコレステロール(0.1mg/mL)
(これらは、超音波振動により「飢餓」培地中に分散している)
(新鮮な培地のコレステロール濃度=5μg/mL)。
標識コレステロールパルスの時点は、4分、12分、24分および4時間であった。各処理について3連のウェルを調製した。
(洗浄) 指定した時間に、培地を吸引し、そして細胞を、37℃にて、Hobbs緩衝液A(50mM Tris、0.9% NaCl、0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)(pH7.4))で一回洗浄し、Hobbs緩衝液B(50mM Tris、0.9% NaCl(pH7.4)(BSAなし))で1回洗浄した。
(処理/分析)
(A.4分、12分、24分の時点) 細胞を0.2N NaOH(2mL/ウェル)を用いて室温で一晩消化した。1.5mlアリコートを各ウェルから取り出し、中和し、そしてシンチレーション計数により放射能を計数した。
(B.4時間の時点) 消化した細胞を、薄層クロマトグラフィーによって分析して、細胞中のコレステロールエステルの量を決定した。
抽出物を、TLCプレート上にスポットし、そして2mlのヘキサン:イソプロパノール(3:2)移動相中で30分間移動させ、その後、1mlのヘキサン:イソプロパノール(3:2)移動相中で15分間、二次移動させた。
(C.細胞抽出物のタンパク質測定) 細胞抽出物サンプルを含むプレートを、120rpmの楕円振盪器に指定した時間配置し、その後、抽出物を、12×75本のチューブ中にプールした。プレートを、乾燥させ、そしてNaOH(2ml/ウェル)を添加した。その後、サンプルのタンパク質含量を、測定した。すべてのウェルからの50μlアリコートをさらに2つずつ、Pierce micro BCA法によって全タンパク質についてアッセイした。細胞中で観察された標識コレステロールの量を、細胞中のタンパク質量に対して正規化した。
(表4.エゼチマイブの存在下および非存在下でのトランスフェクトCHO細胞の総コレステロール)
Figure 2010142238
EZ=エゼチマイブ。
(表5.エゼチマイブの存在下または非存在下でのCHO細胞のコレステロールエステル)
Figure 2010142238
EZ=エゼチマイブ。
(表6.漸増量の非標識コレステロールの存在下での標識コレステロールの取り込み)
Figure 2010142238
(実施例20:標識コレステロール取り込みアッセイ)
本実施例において、ラットNPC1L1またはマウスSR−B1で一過性トランスフェクトしたCHO細胞が標識コレステロールを取り込む能力を、評価した。また、マウスSR−B1でトランスフェクトしたCHO細胞が標識コレステロールを取り込む能力をラットNPC1L1が増強する能力も、評価した。これらのアッセイにおいて、単一濃度でのコレステロール取り込みを、パルスチェイス実験において評価した。これらの実験において生じたデータを、以下の表7に示す。
(細胞)
A.CHOバックグラウンド細胞(モックトランスフェクション)
B.マウスSR−B1で一過性トランスフェクトしたCHO細胞
C.ラットNPC1L1 cDNAで一過性トランスフェクトしたCHO(n=8クローン)。一過性トランスフェクトした細胞を、12ウェルプレート中に300,000細胞/ウェル(mL)で播種した。
(手順)
すべての試薬および培養プレートを、特に言及しない限りは、37℃で維持した。
(飢餓) 維持培地(F12 HAMS、1% Pen/Strep、10% FCS)を細胞から除去し、1mL「飢餓」培地(F12 HAMS、Pen/Strep、5%リポタンパク質欠損血清(LPDS))で置換した。細胞を1時間飢餓させた。
H−コレステロールパルス) 以下を、各ウェルに直接添加した:
50μlの混合胆汁酸塩ミセル中の0.5μCi H−コレステロール(約1.1×10dpm/ウェル)
4.8mMタウロコール酸ナトリウム(2.581mg/mL)
0.6mMオレイン酸ナトリウム(0.183mg/mL)
0.25mMコレステロール(0.1mg/mL)
(これらは、超音波振動により「飢餓」培地中に分散している)
(新鮮な培地のコレステロール濃度=5μg/mL)。
標識コレステロールパルスの時点は、24分および4時間であった。各処理について3連のウェルを調製した。
(洗浄) 指定した時間に、培地を吸引し、そして細胞を、37℃にて、Hobbs緩衝液A(50mM Tris、0.9% NaCl、0.2%BSA(pH7.4))で一回洗浄し、Hobbs緩衝液B(50mM Tris、0.9% NaCl(pH7.4)(BSAなし))で1回洗浄した。
(処理/分析)
(A.24分の時点) 細胞を0.2N NaOH(2mL/ウェル)を用いて室温で一晩消化した。1.5mlアリコートを各ウェルから取り出し、中和し、そしてシンチレーション計数により放射能を計数した。
(B.4時間の時点) 消化した細胞を、薄層クロマトグラフィーによって分析して、細胞中のコレステロールエステルの量を決定した。
抽出物を、薄層クロマトグラフィープレート上にスポットし、そして2mlのヘキサン:イソプロパノール(3:2)移動相中で30分間移動させ、その後、1mlのヘキサン:イソプロパノール(3:2)含有移動相中で15分間、二次移動させた。
(C.細胞抽出物のタンパク質測定) 細胞抽出物サンプルを含むプレートを、120rpmの楕円振盪器に指定した時間配置し、その後、抽出物を、12×75本のチューブ中にプールした。プレートを、乾燥させ、そしてNaOH(2ml/ウェル)を添加した。その後、サンプルのタンパク質含量を、測定した。すべてのウェルからの50μlアリコートをさらに2つずつ、Pierce micro BCA法によって全タンパク質についてアッセイした。細胞中で観察された標識コレステロールの量を、細胞中のタンパク質量に対して正規化した。
(表7.一過性トランスフェクトCHO細胞における標識コレステロール取り込み)
Figure 2010142238
(実施例21:ラットNPC1L1、マウスNPC1L1およびヒトNPC1L1の発現)
本実施例において、NPC1L1を細胞中に導入し、発現させた。種特異的NPC1L1発現構築物を、クローン特異的PCRプライマーを使用してプラスミドpCDNA3中にクローン化して、このベクターのポリリンカーと適合性の適切な制限部位が隣接したORFを作製した。NPC1L1の3つすべての種について、小腸全組織RNAを、オリゴdTをテンプレートプライマーとして使用する逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)のためのテンプレートとして使用した。このラットNPC1L1を、EcoRIフラグメントとしてクローン化し、ヒトNPC1L1を、XbaI/NotIフラグメントとしてクローン化し、マウスNPC1L1を、EcoRIフラグメントとしてクローン化した。各クローンの順方向鎖および逆方向鎖の配列決定を実施して、配列の完全性を確認した。標準的一過性トランスフェクション手順を、CHO細胞を用いて使用した。6ウェルプレートにおいて、CHO細胞を、プレーティング密度2×10細胞/ウェルで、トランスフェクションの1日前にプレートした。翌日、細胞を、2μgのプラスミドDNAおよび6μLのLipofectamineとともに5時間インキュベートし、その後、新鮮な培地に交換した。48時間後、細胞を、FACSまたはウェスタンブロットのいずれかによって、抗NPC1L1抗血清を使用するNPC1L1発現について分析した。NPC1L1を発現する安定な長期細胞株を樹立するために、トランスフェクトCHO細胞を、ジェネチシン(geneticin)(G418、0.8mg/ml)の存在下で製造業者(Life Technologies)により推奨されるように選択した。培
養中の1ヶ月間の選択の後、細胞集団を、抗NPC1L1抗血清で染色し、そしてFACSにより分別した。個々の陽性染色細胞を、限界希釈によって単離した後にクローン化し、その後、ジェネチシン(0.5mg/ml)を含む選択培地において維持した。;
トランスフェクション手順に対して感受性が低い他の細胞株が、アデノウイルスベクター系を使用して作製されている。NPC1L1を発現するために使用するこの系は、Ad5(C型アデノウイルス)から誘導される。この組換え複製欠損アデノウイルスベクターを、E1領域、E2領域およびE4領域の改変を介して欠損性にさせる。このベクターはまた、E3領域に対してさらなる改変を有し、E3b領域RIDaおよびRIDb遺伝子に一般的には影響を与える。NPC1L1発現を、上記アデノウイルスのE3領域において置換された発現カセットとしてCMVプロモーターを使用して、駆動する。ラットNPC1L1およびマウスNPC1L1を、上記アデノウイルスベクターと適合性の制限部位が隣接するクローン特異的プライマーを使用して、増幅した。アデノウイルスの感染性粒子を、力価5×1010P/mLで293−D22細胞から生成した。ウイルス溶解物を使用して、標準的なトランスフェクション方法に対して抵抗性の細胞に感染させた。CaCo2細胞(これは、異種タンパク質発現に対して高度に抵抗性である)において、NPC1L1のアデノウイルス媒介性発現が、感染後少なくとも21日間持続することが、ウェスタンブロット分析によって示された。
(実施例22:NPC1L1ノックアウトトランスジェニックマウス)
NPC1L1ノックアウトマウスを、標的化変異誘発を介して構築した。この方法は、マウスNPC1L1遺伝子の特定の領域を欠失するように設計された標的化構築物を利用した。この標的化プロセスの間に、E.coli lacZレポーター遺伝子を、内因性NPC1L1プロモーターの制御下に挿入した。NPC1L1(配列番号45)の欠失する領域は、ヌクレオチド790〜ヌクレオチド998である。この標的化ベクターは、ヌクレオチド789で終わる1.9kb 5’アームと、ヌクレオチド999で始まる3.2kb 3’アームとに隣接された、LacZ−Neoカセットを含む。組換え胚性幹細胞株からのゲノムDNAを、PCRを使用して、相同組換えについてアッセイした。増幅したDNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳動によって可視化した。この試験PCRは、遺伝子特異的プライマーを使用した。このプライマーは、上記標的化ベクターアームに外側に近接して存在し、LacZ−Neoカセット配列に特異的な3つのプライマーのうちの1つと対をなす。5’PCR再確認のために、NPC1L1特異的オリゴヌクレオチド
Figure 2010142238
(配列番号46)を、そして3’PCR再確認のために、NPC1L1特異的オリゴヌクレオチド
Figure 2010142238
(配列番号47)を、使用した。F2マウスの遺伝子型決定を、NPC1L1特異的順方向プライマー
Figure 2010142238
(配列番号48)、LacZ−Neoカセット特異的順方向プライマー
Figure 2010142238
(配列番号49)を、NPC1L1遺伝子特異的逆方向プライマー
Figure 2010142238
(配列番号50)と組み合わせて使用する、多重PCRによって実施し、標的化した対立遺伝子および内因性対立遺伝子の両方の決定を可能にした。アガロースゲル電気泳動によるPCR生成物の分析によって、野生型マウス、ヘテロ接合型ヌルマウスおよびホモ接合型ヌルマウスを互いに区別した。
本発明は、本明細書中に記載される具体的実施形態によっては範囲を限定されるべきではない。実際、本明細書中に記載される改変に加えて本発明の種々の改変が、上記の説明から当業者にとって明らかになる。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
特許、特許出願、刊行物、製品説明書、Genbank登録番号およびプロトコルが、本明細書全体を通じて引用される。これらの開示は、その全体がすべての目的のために本明細書中に参考として援用される。

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