JP2010141780A - Iirフィルタ設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高次IIRフィルターのフィルター係数を精度よく算出することができるIIRフィルター設計方法を得る。
【解決手段】 所定の演算によって暫定的フィルター係数を算出するステップと、暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルター係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルターのフィルター係数として記憶するステップと、記憶されたフィルター係数を用いて低次IIRフィルターを縦列接続したIIRフィルターを生成するステップと、生成されたIIRフィルターを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有するIIRフィルターの設計方法による。
【選択図】図1
【解決手段】 所定の演算によって暫定的フィルター係数を算出するステップと、暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルター係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルターのフィルター係数として記憶するステップと、記憶されたフィルター係数を用いて低次IIRフィルターを縦列接続したIIRフィルターを生成するステップと、生成されたIIRフィルターを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有するIIRフィルターの設計方法による。
【選択図】図1
Description
本発明は、デジタルフィルタの設計方法に関するもので、より詳しくは、高次IIRフィルタのフィルタ係数を精度よく算出することができるIIRフィルタ設計方法に関するものである。
デジタルフィルタは、デジタル信号処理装置(DSP)にて実行されるプログラムによって所定のフィルタ特性を発揮するものである。デジタルフィルタには、主に有限インパルス応答フィルタ(FIRフィルタ)と、無限インパルス応答フィルタ(IIRフィルタ)がある。FIRフィルタは、入力されるデジタルデータをある決められた有限な期間のみを用いて、期間が経過した後は当該入力データを演算に用いないという処理を行うように演算処理とフィルタ係数を設定したものであって、フィルタ位相応答が重要なシステムに使用される。IIRフィルタは、入力されるデータを期間で区切ることなく無限にフィードバックするように演算処理とフィルタ係数を設定したものであって、FIRフィルタよりも少ない演算(タップ数)で所望するフィルタ特性を実現することができる(例えば特許文献1参照)。
IIRフィルタは、FIRフィルタと比較すると演算時間が短く、処理速度が速いフィルタであるのでリアルタイム性が高い。しかし、フィードバックパスがあるので係数感度が高く、音響システムに用いる狭帯域フィルタとしては不適である。これは、FIRフィルタに比べるとフィルタ設計の精度を高める必要があるからである。従って従来は、高速なフィルタ処理が求められるノイズキャンセルシステムなどであっても、IIRフィルタを用いずにFIRフィルタを用いていた。
IIRフィルタの伝達関数は(a0+a1z−1+a2z−2+・・・+aNz−N)/(b0+b1z−1+b2z−2+・・・+bMz−M)で表される。ここで、Mはフィルタにおける順序を示す。IIRフィルタの設計とは、所望するフィルタ特性を有する伝達関数の係数を算出することである。
この係数の算出方法として、逐次演算法が知られている。逐次演算法は、まず各係数の初期値を設定し、この初期値を基にして伝達関数をつくり所望するフィルタ特性に合致する係数が見つかるまで、逐次(繰り返し)演算を行う。
この係数の算出方法として、逐次演算法が知られている。逐次演算法は、まず各係数の初期値を設定し、この初期値を基にして伝達関数をつくり所望するフィルタ特性に合致する係数が見つかるまで、逐次(繰り返し)演算を行う。
例えば、分子項の係数がa0=1、a1=1、a2=1、分母項の係数がb0=1、b1=1、b2=1であると仮定してフィルタ特性の演算を行い、所定のフィルタ特性(例えば、特定の帯域を−10dBにすることができるなど)が得られるまで、上記の各係数を変更しながら最適解を算出する方法が逐次演算法である。
DSPには、浮動小数点に対応したものと固定小数点に対応したものがある。浮動小数点に対応したDSPは、扱える数値範囲が固定小数点対応のものにくらべて大きい反面、コストが高くなる。固定小数点に対応したDSP(固定小数点DSP)はコストが安く、演算処理が高速であるが、扱える数値範囲の制約によって、IIRフィルタとして用いるときにフィルタ係数が1を超えてはならない。このため、固定小数点DSPを用いたIIRフィルタにおいては、上記の演算方法などで算出されたフィルタ係数に「1」を超えるものがあるとき、正規化を行う必要がある。
なお、本明細書において、フィルタ係数が1を超えないIIRフィルタを「低次IIRフィルタ」とし、フィルタ係数が1を超えるIIRフィルタを「高次IIRフィルタ」として表記している。
図4は、従来のIIRフィルタ設計方法の流れを示すフローチャートである。この従来のIIRフィルタ設計方法は、コンピュータにおいて動作するプログラムによって実行されるものである。従って、図4に示したフローチャートは上記のプログラムのフローチャートの例である。
図4において各処理のステップはS101、S102・・・として表記する。まず、上記のような所定の算出方法によってフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する、また、後の処理で使用する変数Scaleの値を「1」に設定する(S101)。次に、記憶されている係数の中に値が「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S102)。記憶されている係数の中に最大値が「1」を超えるものが無ければ(S102のN)、処理をS105に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタの出力結果に変数Scaleを乗じて出力するIIRフィルタをDSPにプログラムする(S105)。
算出された係数の最大値に「1」を超えるものがあれば(S102のY)、その「1」を超えている係数の値の小数点以下を切り上げた値を変数Scaleに記憶する(S103)。次に、一時記憶領域に記憶されている全ての係数に対して変数Scaleの値を用いて除算をし、その結果をIIRフィルタの係数として一時記憶領域に記憶する(S104)。記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタの出力結果に変数Scaleを乗じて出力するIIRフィルタをDSPにプログラムする(S105)。
このように、固定小数点DSPを用いたIIRフィルタの場合、設計段階で算出されたフィルタ係数の大きさに応じて正規化処理が必要となる。また、正規化処理を行ったフィルタ係数を用いるときは、IIRフィルタの出力において逆正規化演算を行う必要が生じる。この正規化演算、逆正規化演算は、IIRフィルタの出力における桁落ちや誤差の原因となる。
また、IIRフィルタは、伝達関数の分母多項式の根(極)の絶対値が1を超えた値になるときは、そのIIRフィルタの出力信号は発散してハウリングに近い音を出力してしまう。従って、このようなフィルタ係数のときは、上記のように正規化処理とは別に、極の絶対値が発散しないような分母多項式の係数b0、b1、b2・・・の補正係数を求める必要がある。そのために、r<1なる定数を用いて、b0、b1、b2・・・をそれぞれ、b0×r0、b1×r1、b2×r2・・・と置き換えて(a0+a1z−1+a2z−2+・・・+aNz−N)/((b0×r0)+(b1×r1)z−1+(b2×r2)z−2+・・・+(bM×rM)z−M)として、分母多項式の根が発散しないフィルタ係数に補正をしてDSPにプログラムをする。
しかしながら、IIRフィルタの伝達関数は分母項と分子項の比で表されているため、分母項の係数を上記のように修正して発散を防いでも、フィルタ全体の精度は低下する原因となる。
しかしながら、IIRフィルタの伝達関数は分母項と分子項の比で表されているため、分母項の係数を上記のように修正して発散を防いでも、フィルタ全体の精度は低下する原因となる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、固定小数点DSPを用いた高次IIRフィルタを精度よく設計することができる、IIRフィルタ設計方法を提供することを目的とする。
本発明は、コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルタのフィルタ係数を算出するIIRフィルタの設計方法であって、所定の演算によって暫定的フィルタ係数を算出するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルタ係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルタのフィルタ係数として記憶するステップと、記憶されたフィルタ係数を用いて低次IIRフィルタを縦列接続したIIRフィルタを生成するステップと、生成されたIIRフィルタを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有することを主な特徴とする。
また、本発明は、コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルタのフィルタ係数を算出するIIRフィルタの設計方法であって、所定の演算によって暫定的フィルタ係数を算出するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるとき、暫定的フィルタ係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルタのフィルタ係数として記憶するステップと、記憶された複数の低次IIRフィルタのフィルタ係数の中に1を超えるフィルタ係数があるか否かを判定するステップと、1を超えるフィルタ係数があるとき、除算によってその1を超えるフィルタ係数の中の最大値が1以下になる定数を算出するステップと、算出された定数を用いて、上記1を超えるフィルタ係数を有する低次IIRフィルタのフィルタ係数の全てを除算するステップと、算出された定数を乗じても1を超えないフィルタ係数のみで構成される低次IIRフィルタを特定し、この特定されたIIRフィルタの全フィルタ係数に上記定数を乗じるステップと、除算と乗算により算出されたフィルタ係数によって構成される低次IIRフィルタを縦列接続したIIRフィルタを生成するステップと、生成されたIIRフィルタを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明は、コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルタのフィルタ係数を算出するIIRフィルタの設計方法であって、所定の演算によって暫定的フィルタ係数を算出するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、暫定的フィルタ係数の最大値が1を超えるとき、暫定的フィルタ係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルタのフィルタ係数として記憶するステップと、記憶された複数の低次IIRフィルタの分母多項式において、根の絶対値が1を超える分母多項式があるか否かを判定するステップと、判定ステップにおいて絶対値が1を超えるものがあったとき、絶対値が1を超える分母多項式を有するIIRフィルタの分子多項式を近似する係数を算出するステップと、算出された上記近似する係数を用いて上記低次IIRフィルタを生成し、因数分解処理によって算出された各係数を用いた低次IIRフィルタを縦列接続したIIRフィルタを生成するステップと、生成されたIIRフィルタを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、リアルタイム性に優れた高次IIRフィルタの係数の精度を向上させることができる。
以下、本発明に係るIIRフィルタ設計方法の実施形態の例について説明をする。本発明はコンピュータにおいて動作するプログラムによって実行されるものである。従って、図1に示すフローチャートは、このプログラムのフローチャートの例である。高次IIRフィルタは概ね4次以上のものが多い。4次以上の多項式は、必ず因数分解することができる。本発明は、この性質を利用して高次IIRフィルタの設計における係数算出精度を向上させるものである。
図1において各処理のステップはS11、S12・・・として表記する。まず、従来方法と同様の係数算出方法によって暫定的なフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する(S11)。次に、記憶されているフィルタ係数の中に「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S12)。「1」を超えるフィルタ係数が存在しなければ(S12のN)、処理をS15に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムをDSPに記憶させる(S15)。
算出された係数に「1」を超えるものがあれば(S12のY)、一時記憶領域に記憶した係数を多項式としてみなして、この多項式を因数分解する処理を行う(S13)。因数分解処理によって算出された各項の係数を低次のフィルタ係数として、一時記憶領域に記憶する(S14)。一時記憶領域に記憶された低次のフィルタ係数を用いて、複数のIIRフィルタを生成する(S15)。生成された複数のIIRフィルタを縦列接続して動作するように、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S16)。
このように高次IIRフィルタ係数を多項式とみなして因数分解することによって、算出したフィルタ係数が1を超えるときであっても、正規化処理をすることなく、IIRフィルタの設計をすることができるようになる。すなわち、高次IIRフィルタの係数を多項式とみなした因数分解処理によって、複数の低次のIIRフィルタに展開し、これを縦列接続して動作させるようにすることで、号用のフィルタ特性を発揮するIIRフィルタを得ることができ、桁落ちが無く精度が高いIIRフィルタを得ることができる。
次に、本発明に係るIIRフィルタ設計方法の別の実施例について説明をする。この実施例も先の実施例と同様にコンピュータにおいて動作するプログラムによって実行されるものである。図2において各処理のステップはS21、S22・・・として表記する。
まず、従来方法と同様の所定の係数算出方法によってフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する(S21)。次に、記憶されているフィルタ係数の中に「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S22)。「1」を超えるフィルタ係数が存在しなければ(S22のN)、処理をS28に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
まず、従来方法と同様の所定の係数算出方法によってフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する(S21)。次に、記憶されているフィルタ係数の中に「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S22)。「1」を超えるフィルタ係数が存在しなければ(S22のN)、処理をS28に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
算出されたフィルタ係数に「1」を超えるものがあれば(S22のY)、一時記憶領域に記憶したフィルタ係数を多項式としてみなして、この多項式を因数分解する処理を行う(S23)。因数分解処理によって算出された各項の係数を低次のフィルタ係数として、一時記憶領域に記憶する(S24)。
このように、実施例1と同様の因数分解処理によってフィルタ係数を算出した場合であっても、算出されたフィルタ係数の中に「1」を超える値が存在することがある。本実施例は、このような場合に適用可能なものである。
上記の処理で算出されたフィルタ係数に「1」を超えているフィルタ係数が存在するか否かを判定し(S25)、「1」を超えているフィルタ係数がなければ(S25のN)、処理をS28に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
算出したフィルタ係数に「1」を超える値があれば(S25のY)、この最大のフィルタ係数を除算によって1以下にすることができる値「A」を算出する(S26)。算出された「A」を用いて、最大値が「1」以上のフィルタ係数を有するフィルタの全係数をAで除算して新たなフィルタ係数を算出し、最大値が「1」以下のフィルタ係数を有し、かつ、Aを乗じても「1」を超えない大きさのフィルタ係数のみを有する別のフィルタの全係数にAを乗じて新たなフィルタ係数を算出して、それぞれを記憶する(S27)。
記憶されたフィルタ係数を用いてIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
このように高次IIRフィルタ係数を多項式とみなして因数分解することによって、高次IIRフィルタのフィルタ係数が複数の低次IIRフィルタのフィルタ係数に変換し、さらに、変換された低次IIRフィルタの係数に「1」を超えるものが含まれるとき、縦列接続される他のIIRフィルタに係数を振り分けることによって、全体として、高次IIRフィルタと等価な特性を有し、桁落ちが無く精度が高いIIRフィルタを得ることができる。
次に、本発明に係るIIRフィルタ設計方法の別の実施例について説明をする。この実施例も先の実施例と同様にコンピュータにおいて動作するプログラムによって実行されるものである。図3において各処理のステップはS31、S32・・・として表記する。
まず、従来方法と同様の所定の係数算出方法によってフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する(S31)。次に、記憶されているフィルタ係数の中に「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S32)。「1」を超えるフィルタ係数が存在しなければ(S32のN)、処理をS28に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
まず、従来方法と同様の所定の係数算出方法によってフィルタ係数を算出し、これをコンピュータが有する一時記憶領域に記憶する(S31)。次に、記憶されているフィルタ係数の中に「1」を超えるものが存在するか否かを判定する(S32)。「1」を超えるフィルタ係数が存在しなければ(S32のN)、処理をS28に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S28)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S29)。
算出されたフィルタ係数に「1」を超えるものがあれば(S32のY)、一時記憶領域に記憶したフィルタ係数を多項式としてみなした因数分解処理を行う(S33)。因数分解処理によって算出された各項のフィルタ係数を低次のフィルタ係数として、一時記憶領域に記憶する(S34)。
このように、実施例1と同様の因数分解処理によってフィルタ係数を算出した場合であっても、分母多項式の根の絶対値が1を超える値になるときは、従来方法と同様に出力信号が発散してしまうので、これを解決する必要がある。本実施例は、このような場合において適用可能なものである。
上記の処理で算出されたフィルタ係数において、分母多項式の根の絶対値をそれぞれ算出し、絶対値が「1」を超えているものがあるか否かを判定する(S35)、絶対値が「1」を超えているものがなければ(S35のN)、処理をS37に移行して、記憶されているフィルタ係数を用いたIIRフィルタプログラムを生成し(S37)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S38)。
絶対値が1を超えているものがあれば、その分母多項式を有するIIRフィルタ伝達関数の分子多項式を近似する分子項のフィルタ係数を算出する(S36)。算出されたフィルタ係数を用いてIIRフィルタプログラムを生成し(S37)、DSPにIIRフィルタプログラムを記憶させる(S38)。
上記のS36における処理について説明をする。r=1−2−nとする変数において、例えばn=6とした場合の分母多項式((b0×r0)+(b1×r1)z−1+(b2×r2)z−2+・・・+(bM×rM)z−M))において、根の絶対値Pが1を超えるか否かを判定し、1を超えるときは、n=7,8・・・というように順次増やして根の絶対値Pが1を超えないrを算出する。
算出されたrの値を用いて、IIRフィルタの伝達関数(a0+a1z−1+a2z−2+・・・+aNz−N)/((b0×r0)+(b1×r1)z−1+(b2×r2)z−2+・・・+(bM×rM)z−M))=a0‘+a1‘z−1+a2‘z−2+・・・+aN‘z−Nを満たすようなa0‘、a1‘、a2‘、・・・、aN‘を算出する。
上記によって算出された分母項の係数と分子項の係数を用いてIIRフィルタを生成する(S36,S37)。
上記によって算出された分母項の係数と分子項の係数を用いてIIRフィルタを生成する(S36,S37)。
このように、本発明に係るIIRフィルタ設計方法によれば、高次IIRフィルタ係数を多項式とみなして因数分解することによって、高次IIRフィルタのフィルタ係数が複数の低次IIRフィルタのフィルタ係数に変換し、さらに、変換された低次IIRフィルタの分母多項式が発散するものであれば、それを精度よく補正する近似する分子多項式の係数を用いることで、全体として、高次IIRフィルタと等価な特性を有し、桁落ちが無く精度が高いIIRフィルタを得ることができる。
本発明に係るIIRフィルタ設計方法は、例えば、ヘッドホンなどにおけるデジタルノイズキャンセルシステムに用いるIIRフィルタの設計に適用できる。
S13 因数分解処理
S15 縦列接続IIRフィルタ生成処理
S15 縦列接続IIRフィルタ生成処理
Claims (3)
- コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルターのフィルター係数を算出するIIRフィルターの設計方法であって、
所定の演算によって暫定的フィルター係数を算出するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルター係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、
上記因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルターのフィルター係数として記憶するステップと、
上記記憶されたフィルター係数を用いて低次IIRフィルターを縦列接続したIIRフィルターを生成するステップと、
上記生成されたIIRフィルターを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有するIIRフィルター設計方法。 - コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルターのフィルター係数を算出するIIRフィルターの設計方法であって、
所定の演算によって暫定的フィルター係数を算出するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルター係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、
上記因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルターのフィルター係数として記憶するステップと、
上記記憶された複数の低次IIRフィルターのフィルター係数の中に1を超えるフィルター係数があるか否かを判定するステップと、
1を超えるフィルター係数があるとき、除算によってその1を超えるフィルター係数の中の最大値が1以下になる定数を算出するステップと、
上記算出された定数を用いて、上記1を超えるフィルター係数を有する低次IIRフィルターのフィルター係数の全てを除算するステップと、
上記算出された定数を乗じても1を超えないフィルター係数のみで構成される低次IIRフィルターを特定し、この特定されたIIRフィルターの全フィルター係数に上記定数を乗じるステップと、
上記除算と乗算により算出されたフィルター係数によって構成される低次IIRフィルターを縦列接続したIIRフィルターを生成するステップと、
上記生成されたIIRフィルターを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有するIIRフィルター設計方法。 - コンピュータプログラムによってデジタル信号処理装置で動作する高次IIRフィルターのフィルター係数を算出するIIRフィルターの設計方法であって、
所定の演算によって暫定的フィルター係数を算出するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるか否かを判定するステップと、
上記暫定的フィルター係数の最大値が1を超えるとき、上記暫定的フィルター係数を多項式とみなして因数分解処理を行うステップと、
上記因数分解処理の結果算出された各係数を低次IIRフィルターのフィルター係数として記憶するステップと、
上記記憶された複数の低次IIRフィルターの分母多項式において、根の絶対値が1を超える分母多項式があるか否かを判定するステップと、
上記判定ステップにおいて絶対値が1を超えるものがあったとき、絶対値が1を超える分母多項式を有するIIRフィルターの分子多項式を近似する係数を算出するステップと、
算出された上記近似する係数を用いて上記低次IIRフィルターを生成し、因数分解処理によって算出された各係数を用いた低次IIRフィルターを縦列接続したIIRフィルターを生成するステップと、
上記生成されたIIRフィルターを上記デジタル信号処理装置にプログラムするステップと、を有するIIRフィルター設計方法。
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CN102620729A (zh) * | 2012-04-19 | 2012-08-01 | 北京航空航天大学 | 一种机抖激光陀螺惯性测量单元数字滤波器设计方法 |
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