(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る燃料電池制御システムについて説明する。
図1は、本実施形態1における燃料電池制御システムの構成例を示す図である。本実施形態1の燃料電池制御システムは、燃料電池システム11、12と、燃料電池システム11、12からの出力を合成する出力合成手段2とを備えている。ここでは、出力合成手段2に蓄電手段を設けた構成を示す。
燃料電池システム11は、燃料電池111と、燃料電池111で発電された電力を一時蓄積する蓄電手段112と、蓄電手段112に蓄積された電力を出力合成手段2に出力する出力手段としての出力端子11aと、出力合成手段2から出力された信号を受け取る入力手段としての入力端子11bとを備えている。
同様に、燃料電池システム12は、燃料電池111と、燃料電池111で発電された電力を一時蓄積する蓄電手段112と、蓄電手段112に蓄積された電力を出力合成手段2に出力する出力手段としての出力端子12aと、出力合成手段2から出力された信号を受け取る入力手段としての入力端子12bとを備えている。
燃料電池111は、例えば、アルミニウム粉に水を添加し加熱することにより水素を発生させ、その水素を燃料として発電を行う。また、蓄電手段112は、例えば、リチウムイオン電池で実現される。
出力合成手段2は、入力手段としての入力端子21a、22a、2Na(Nは、3以上の整数)と、出力手段としての出力端子21b、22b、2Nbと、調整手段3と、合成蓄電手段4と、制御回路5と、出力回路6とを備えている。
入力端子21a、22a、2Naは、各燃料電池システムの出力端子と機械的及び電気的に接続され、該各燃料電池システムからの出力を受け入れる。図1では、入力端子21aは、燃料電池システム11の出力端子11aに機械的に接続され、入力端子22aは、燃料電池システム12の出力端子12aに機械的に接続されている。入力端子2Naは、N個目の燃料電池システムの出力端子と機械的に接続される端子である。入力端子の数は、出力合成手段2と機械的及び電気的に接続しようとする燃料電池システムの数に応じて増設可能である。
出力端子21b、22b、2Nbは、制御回路5で生成される、各燃料電池システム内の燃料電池111を制御するための信号を出力する。図1では、出力端子21bは、燃料電池システム11の入力端子11bに機械的に接続され、出力端子22bは、燃料電池システム12の入力端子12bに機械的に接続されている。出力端子2Nbは、N個目の燃料電池システムの入力端子と機械的に接続される端子である。入力端子の数は、出力合成手段2と機械的及び電気的に接続しようとする燃料電池システムの数に応じて増設可能である。
ここで、以下の説明において、燃料電池システムの入出力端子と出力合成手段2の入出力端子とが機械的に接続されることを「挿入」と呼び、該機械的な接続を切り離すことを「抜去」と呼ぶ。
調整手段3は、合成蓄電手段4と燃料電池システムの蓄電手段112との間の電気的な接続を調整し、過大な電流が流れるのを防止する。この調整手段3は、複数の調整回路31、32、3Nで構成される。調整回路31は、合成蓄電手段4と燃料電池システム11の蓄電手段112との間の電気的な接続を調整し、調整回路32は、合成蓄電手段4と燃料電池システム12の蓄電手段112との間の電気的な接続を調整し、調整回路3Nは、合成蓄電手段4とN個目の燃料電池システムの蓄電手段112との間の電気的な接続を調整する。調整手段3を構成する調整回路の数は、出力合成手段2と機械的及び電気的に接続しようとする燃料電池システムの数に応じて増設可能である。
合成蓄電手段4は、入力端子21a、22a、2Naを介して受け取った複数の燃料電池システムからの出力を合成し蓄積する。
制御回路5は、出力合成手段2に挿入されている各燃料電池システムの燃料電池111の制御、及び、調整手段3の制御を行う。
出力回路6は、外部とのインターフェースであり、必要に応じ出力電圧を調整するコンバータにより実現される。この出力回路6は、出力合成手段2に挿入された複数の燃料電池システムからの出力を合成し外部に出力する。
また、本実施形態1の燃料電池システムの出力合成手段2は、さらに検出手段を備えている。この検出手段は、燃料電池システムの出力手段と出力合成手段2の入力手段との機械的な接続状態を検出するものであり、例えば、挿抜スイッチ(以下、挿抜SWと略す。)7で実現される。この挿抜SW7を燃料電池システムの挿抜時に押すと、挿抜SW7から制御回路5に対し、新たな燃料電池システムが挿入される状態、あるいは、既に挿入されている燃料電池システムが抜去される状態であることが通知される。この通知を受けた制御回路5による調整手段3の制御については後述する。
このような構成の本実施形態1の燃料電池制御システムの動作について図1を参照しながら説明する。
まず、調整手段3の動作について説明する。調整手段3では、出力合成手段2に挿入されている各燃料電池システム11、12の蓄電手段112の電圧と、出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧との差異を監視し、電位差に基づいて、各燃料電池システムとの間の電気的な接続を調整する。
具体的には、燃料電池システム11の蓄電手段112と、出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差を、調整回路31により監視し、電位差が予め設定された値よりも大きい場合には、上記2つの蓄電手段間を抵抗体を介して電気的に接続し、互いに充放電するように動作させる。そして、上記2つの蓄電手段間の電圧がほぼ一致すると、上記2つの蓄電手段間を電気的に直結する。このように上記2つの蓄電手段間の通電状態を切り替えることにより、過大な電流が流れるのを防止し、燃料電池システム11の蓄電手段112、出力合成手段2の合成蓄電手段4、出力端子11a等にダメージが発生するのを防止できる。
同様に、燃料電池システム12の蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差を、調整回路32により監視し、この電位差に基づいて、蓄電手段112と合成蓄電手段4との間の通電状態を切り替える。これにより、過大な電流が流れるのを防止し、燃料電池システム12の蓄電手段112、出力合成手段2の合成蓄電手段4、出力端子12a等にダメージが発生するのを防止できる。
上記各調整回路31、32の動作により、最終的には、出力合成手段2に挿入されている全ての燃料電池システム11、12の蓄電手段112の電位と、出力合成手段2の合成蓄電手段4の電位とがほぼ同一に保たれるため、各燃料電池システム11、12からの出力を、途中の電流経路において損失することなく合成蓄電手段4及び出力回路6に接続できる。
なお、図1では、2つの燃料電池システムの出力を合成して出力する場合について示したが、必要とされる出力電力に応じて燃料電池システムの数を増やすことが可能で、3つ以上の燃料電池システムの出力を合成する場合にも同様に制御すれば良い。たとえば、出力合成手段2の入力端子2Naに、新たな燃料電池システム1Nが接続された場合、調整回路3Nにより、当該燃料電池システム1Nの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の通電状態を、蓄電手段112と合成蓄電手段4との間の電位差に基づいて切り替えれば良い。
以下、制御回路5の動作について説明する。
まず、燃料電池システム内の燃料電池111の制御について説明する。出力合成手段2の端子20からの出力電力と各燃料電池システム11、12の発電量との差異により、出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧が変化すると、制御回路5は、燃料電池システム11、12の発電量の増大あるいは抑制を指示する制御信号を生成し、出力端子21b、22bを介して燃料電池システム11、12に出力する。たとえば、合成蓄電手段4がリチウムイオン電池で構成されている場合は過充電とならないように、あるいは、合成蓄電手段4がキャパシタで構成されている場合は定格電圧以上とならないように、燃料電池システム11、12に対し、発電量の抑制を指示する制御信号を出力する。また、合成蓄電手段4の放電が進行した場合には、制御回路5は、燃料電池システム11、12に対し、発電量の増大を指示する制御信号を出力する。
次に、燃料電池システムの挿抜時における制御について説明する。燃料電池システムを挿抜する際に挿抜SW7が押されると、挿抜SW7から制御回路5に対し、新たな燃料電池システムが挿入される状態、あるいは既に挿入されている燃料電池システムが抜去される状態であることが通知される。通知を受けた制御回路5は、燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の通電状態を切り替えるための制御信号を生成し、調整手段3を構成する各調整回路に出力する。上記制御信号を受け取った各調整回路は、出力合成手段2の合成蓄電手段4と燃料電池システムの蓄電手段112との間の接続を、過大な電流が流れないように調整する。
ここで、燃料電池システムの挿抜時に上記制御を行う理由を以下に示す。既に挿入されている燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との電位が同一に保たれた状態で、新たな燃料電池システムを出力合成手段2に挿入した場合、新たな燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間に電位差があれば、新たな燃料電池システムと出力合成手段2とを電気的に接続したときに過大な電流が流れ、電流経路が破損する恐れがある。このような問題を解決する従来の方法として、既に接続されている燃料電池システムと出力合成手段との電気的な接続を遮断してから新たな燃料電池システムを増設する方法が提案されている。しかし、この従来の方法では、全ての燃料電池システムと出力合成手段2との通電状態を遮断するため、新たな燃料電池システムを増設した後、全ての燃料電池システムと出力合成手段2との通電を再開してから、全ての燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との電位が同一に保たれるまでに時間がかかる。その他にも、新たな燃料電池システムの蓄電手段112の充電状態に応じて、燃料電池システムと出力合成手段2との通電状態を制御する方法も考えられるが、予め新たな燃料電池システムの充電状態を調べるための他の装置が必要となり、コストがかかるだけでなく、手間がかかる。
これに対し、本発明では、出力合成手段2に挿抜SW7を設け、燃料電池システムの挿入時に挿抜SW7を押すと、調整手段3が、新たな燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差が大きいと仮定して、既に接続されている燃料電池システムと出力合成手段2との間の電気的な接続を、過大な電流が流れないように調整する。これにより、複数の燃料電池システムと出力合成手段とが電気的に接続されている状態、つまり、活線状態であっても、これらの電気的な接続を遮断することなく、新たな燃料電池システムを出力合成手段2に挿入することができ、上記問題を回避できる。
一方、出力合成手段2に挿入されている燃料電池システムを抜去する場合、抜去しようとする燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4とが通電中であれば、該燃料電池システムと出力合成手段2との接点で過大なアークが発生し、電極を損耗する可能性がある。しかし、本発明では、燃料電池システムの抜去時にも挿抜SW7を押すだけで、抜去する燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電気的な接続を、過大な電流が流れないように調整することができる。これにより、活線状態であっても、これらの電気的な接続を遮断することなく、出力合成手段2に挿入されている燃料電池システムを抜去することができ、上記問題を回避できる。
このような本実施形態1の燃料電池制御システムによれば、燃料電池システムの蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との電位差に基づいて、蓄電手段112と合成蓄電手段4との間の通電状態を切り替えることにより、燃料電池システムと出力合成手段との間の電気的な接続を調整して過大な電流が流れるのを防止するとともに、複数の燃料電池システムからの出力を途中の電流経路で損失することなく合成し、燃料電池制御システムからの出力電力を増大できる。
また、本実施形態1の燃料電池制御システムによれば、出力合成手段2に挿抜SW7を備えたことにより、活線挿抜に対応可能な燃料電池制御システムを構築できる。そのため、燃料電池システムの増設が容易で、必要とされる出力電力以上の電力を出力可能なように燃料電池システムを増設すれば、それぞれの燃料電池システムの出力電力を低下でき、各燃料電池システムの発電量を減少させて運転させることができる。これにより、燃料を節約でき、かつ発電時間の長時間化が図れる燃料電池制御システムを実現できる。
なお、本実施形態1では、各燃料電池システムを挿抜する際に、挿抜SW7を使用して制御する場合について説明したが、もちろん他の方法も可能である。
燃料電池システムの挿入時における他の制御方法としては、例えば、制御の信号線等の応答により各燃料電池システムの挿入を検出するように構成し、未挿入である場合は、出力合成手段2の合成蓄電手段4と各燃料電池システム内の蓄電手段112との電位差が大きいと判定し、燃料電池システムの挿入を検出した場合は、実際の電位差を判定し、上述したような制御を実施してもよい。
燃料電池システムの抜去時における他の制御方法として、例えば、抜去検出用の信号線を設け、出力用の接続が解除される前に抜去検出用の信号線の接続が解除された場合には直ちに過大な電流が流れないように、例えば、抵抗体を介した接続に変更することにより、過大なアークの発生を防止し、電極の損耗を抑制する。
アークは、回路系のインダクタ成分により電流を流し続けようとすることから生じる。そのため、高電圧となる前にツェナーダイオードやバリスタ等を経由して電流を逃がすように構成し、アークの発生を抑えてもよい。ただし、効果的にアークの発生を抑える為には電流容量の大きい素子を選択する必要があるため、上述した抜去検出用の信号線を利用した構成の方が小型化には適していると考えられる。
また、出力合成手段2と各燃料電池システムとの間に制御ラインを設け、各燃料電池システムの発電量を制御することが望ましい。通常、燃料電池システム11や燃料電池システム12は単独で使用することも想定されており、このような燃料電池システムを出力合成手段2に接続した場合に、個別の燃料電池システムの挙動が、それぞれの燃料電池システムの燃料消費にアンバランスを生じさせることもあるが、出力合成手段2と各燃料電池システムとの間に制御ラインを設けることで、これを防止できる。
より詳細に説明すると、これまで図示や説明はしていないが、本発明は、単独で発電できる複数の燃料電池システムを接続して出力電力を増大させることを目的としており、このような燃料電池システムは、通常、発電を自立的に調整できるように構成される。例えば、発電中に負荷が低下し、燃料電池システムの出力端子からの出力が減少した場合、蓄電手段への充電が促進され充電電圧が上昇するが、これを抑えるために、発電量を減少させるように調整可能な発電調整手段を備えることによって、発電を自立的に調整できる燃料電池システムが実現される。
このような発電調整手段を有する燃料電池システム11及び燃料電池システム12を、そのまま出力合成手段2に接続し発電させた場合、出力合成手段2の出力回路6からの出力が減少して合成蓄電手段4の電圧が上昇すると、その上昇を燃料電池システム11あるいは燃料電池システム12の何れかの発電調整手段が検知し、先に検知した方の燃料電池システムの発電量が減少する。この結果、発電量が減少しない方の燃料電池システムの発電が継続することになり燃料の消費が多くなってしまう。これを防止するためには、それぞれの燃料電池システムが有する発電調整手段の検出電圧の設定値を同一にする必要があるが、このような設定を行うことは通常、困難である。また、上述した各燃料電池システムの挙動はしばしば発生することが予想され、出力合成手段2を含む燃料電池制御システム全体の挙動としては好ましくない。
出力合成手段2としては、接続された燃料電池システムの燃料消費が同じように進行することが、出力電力を維持しつつ、且つ最も効率よく長時間動作させるためには望ましい。これを実現するための最も簡便な方法としては、出力合成手段2の制御回路5により、各蓄電手段の充電状態を判断し、あるいは、各燃料電池システムを接続後は出力合成手段2の蓄電手段を含めて同一の状態に移行するのでこれを判断し、判断の結果に基づいて、出力合成手段2に接続された全ての燃料電池システムの発電量を制御することが考えられる。具体的には、出力合成手段2と各燃料電池システムとの間に制御ラインを設け、各燃料電池システムの発電量を制御する構成をとることが望ましい。
更には、燃料電池システムの展開を考えると、幾種類かの燃料電池システムの出力を合成する場合も想定されるので、例えば、燃料電池システム11のトータル発電量と燃料電池システム12のトータル発電量が、出力電力や積み込む燃料によって異なる場合、各々の燃料電池システムの出力電力やトータル発電量のデータを制御ラインを介して制御回路5が検知し、それらのデータや現在の蓄電量に応じて、個別に各燃料電池システムの発電を制御することが望ましい。
(実施形態2)
本実施形態2では、本発明の燃料電池制御システムを構成する出力合成手段の調整回路について図2を用いて説明する。
図2は、図1における出力合成手段2の調整回路31の構成例を示す図である。図2に示す調整回路31は、端子31a、31b及び31cと、抵抗体311と、インダクタ312と、スイッチ回路(以下、SW回路と略す。)313と、調整制御回路315とを備えている。
端子31aは、図1の燃料電池システム11の蓄電手段112に電気的に接続されている。端子31bは、図1の合成蓄電手段4に電気的に接続されている。端子31cは、図1の制御回路5に電気的に接続されている。
SW回路313は、調整制御回路315からの制御により、端子31aと端子31bとの間をインダクタ312を介して電気的に接続する。
調整制御回路315は、図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差が大きいと判定するための尺度となる第1の閾値を有し、SW回路313を制御して端子31aと端子31bとの間の通電状態を切り替える。
次に、本実施形態2における調整回路31の動作について説明する。調整回路31では、調整制御回路315により、端子31aに電気的に接続されている図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と、端子31bに電気的に接続されている図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差を監視する。
上記電位差が第1の閾値より小さい場合は、上記2つの蓄電手段間の電位差は小さいと判定し、SW回路313を導通させ、端子31aと端子31bとの間を抵抗体311及びインダクタ312を介して通電させる。
上記電位差が第1の閾値以上の場合、上記2つの蓄電手段間の電位差は大きいと判定し、SW回路313を遮断し、端子31aと端子31bとの間を抵抗体311のみを介して通電させる。その後、上記電位差が第1の閾値より小さくなると、SW回路313を導通させ、端子31aと端子31bとの間を、インダクタ312を介しても通電させる。
燃料電池システムの挿抜時に図1の挿抜SW7が押され、図1の制御回路5から端子31cを介して制御信号を受け取った場合、SW回路313を遮断し、端子31aと端子31bとの間の通電状態を、抵抗体311のみを介して通電させる。その後、電位差が第1の閾値より小さくなると、SW回路313を導通させ、端子31aと端子31bとの間を、インダクタ312を介しても導通させる。
図2から分かるように、端子31aと端子31bとは、少なくとも抵抗体311を介して電気的に接続されている。従って、端子31aが燃料電池システム11と電気的に接続されていない場合も、両端子31a、31bの電圧はほぼ同電位となり、SW回路313が導通して端子31aと端子31bは電気的にほぼ直結している状態となる。このときに、新たな燃料電池システムが図1の出力合成手段2に挿入されると、端子31aと端子31bとの間に過大な電流が流れる恐れがあるが、これを防止するために、図1に示す挿抜SW7が設けられている。
以上のようにして、調整回路31により、図1における燃料電池システム11と出力合成手段2との間の電気的な接続を調整するとともに、他の調整回路32、3Nも同様の動作を行うことにより、最終的には図1の出力合成手段2に挿入されている全ての燃料電池システムの蓄電手段112の電位と、出力合成手段2の合成蓄電手段4の電位を同一に保つことができる。
このような本実施形態2の調整回路によれば、燃料電池システム11の蓄電手段112と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差に基づいて、端子31a及び端子31b間の通電状態を、抵抗体311を介する抵抗接続、あるいは、インダクタ312を介して電気的にほぼ直結するインダクタ接続に切り替えることにより、過大な電流が流れるのを防止できるとともに、燃料電池システム11の出力を、途中の電流経路で損失させることなく図1の合成蓄電手段4及び出力回路6に接続でき、出力電力の増大の要望に応じた燃料電池制御システムを構築できる。また、図1に示す挿抜SW7が押された場合には、端子31a及び31b間の通電状態を、抵抗接続に切り替えることにより、活線挿抜に対応可能な燃料電池制御システムを構築できる。
なお、本実施形態2では、インダクタ接続を遮断可能なSW回路313を備えた場合について説明したが、抵抗体311を介する抵抗接続を遮断可能なSW回路をさらに設け、燃料電池システムが未挿入の場合は、端子31aと端子31bとの間を遮断しておき、制御信号等を元に燃料電池システムの挿抜を検出すると、調整制御回路315により端子31aと端子31bとの間の電位差を検出し、上述したような制御を実施してもよい。
(実施形態3)
本実施形態3では、本発明の燃料電池制御システムを構成する出力合成手段の調整回路について図3を用いて説明する。図3は、図1における出力合成手段2の調整回路31の構成例を示す図である。図3において、図2と同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図3に示す調整回路31は、端子31a、31b及び31cと、抵抗体311と、インダクタ312と、SW回路313及び314と、調整制御回路320とを備えている。
SW回路314は、調整制御回路320からの制御により、端子31aと端子31bとの間を電気的に直結する。
調整制御回路320は、図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差が大きいと判定するための尺度となる第1の閾値と、該第1の閾値よりも小さく、上記電位差が極めて小さいと判定するための尺度となる第2の閾値とを有し、SW回路313及び314を制御して端子31aと端子31bとの間の通電状態を切り替える。
次に、本実施形態3における調整回路31の動作について説明する。調整回路31では、調整制御回路320により、端子31aに電気的に接続されている図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と、端子31bに電気的に接続されている図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差を監視する。
上記電位差が第1の閾値以上の場合、上記2つの蓄電手段間の電位差は大きいと判定し、SW回路313及び314を遮断し、端子31aと端子31bとの間を抵抗体311のみを介して通電させる。
上記電位差が第1の閾値よりも小さく、第2の閾値以上の場合、上記2つの蓄電手段間の電位差は小さいと判定し、SW回路314のみを遮断して、端子31aと端子31bとの間を、抵抗体311及びインダクタ312を介して通電させる。
上記電位差が第2の閾値よりも小さい場合、上記2つの蓄電手段間の電位差は極めて小さいと判定し、SW回路314を導通させ、端子31aと端子31bとを電気的に直結する。
燃料電池システムの挿抜時に図1の挿抜SW7が押され、図1の制御回路5から端子31cを介して制御信号を受け取った場合、SW回路313及びSW回路314を遮断し、端子31aと端子31bとの間の通電状態を、抵抗体311のみを介して通電させる。そして、その後の電位差の変化に基づいて、端子31aと端子31bとの間の通電状態を、インダクタ312を介するインダクタ接続、あるいは電気的に直結する直結接続に切り替える。
以上のようにして、調整回路31により、図1における燃料電池システム11と出力合成手段2との間の電気的な接続を調整するとともに、他の調整回路32、3Nも同様の動作を行うことにより、最終的には図1の出力合成手段2に挿入されている全ての燃料電池システムの蓄電手段112の電位と、出力合成手段2の合成蓄電手段4の電位を同一に保つことができる。
このような本実施形態3の調整回路によれば、燃料電池システム11の蓄電手段112と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差に基づいて、端子31a及び端子31b間の通電状態を、抵抗体311を介する抵抗接続、インダクタ312を介するインダクタ接続、あるいは、電気的に直結させる直結接続に切り替えることにより、過大な電流が流れるのを防止できるとともに、燃料電池システム11の出力を、途中の電流経路で損失させることなく図1の合成蓄電手段4及び出力回路6に接続でき、出力電力の増大の要望に応じた燃料電池制御システムを構築できる。また、図1に示す挿抜SW7が押された場合には、端子31a及び31b間の通電状態を、抵抗接続に切り替えることにより、活線挿抜に対応可能な燃料電池制御システムを構築できる。
なお、本実施形態3では、インダクタ接続を遮断可能なSW回路313と、直結接続を遮断可能なSW回路314とを備えた場合について説明したが、抵抗体311を介する抵抗接続を遮断可能なSW回路をさらに設け、燃料電池システムが未挿入の場合は、端子31aと端子31bとの間を遮断しておき、制御信号等を元に燃料電池システムの挿抜を検出すると、調整制御回路320により端子31aと端子31bとの間の電位差を検出し、上述したような制御を実施してもよい。
(実施形態4)
本実施形態4では、本発明の燃料電池制御システムを構成する出力合成手段の調整回路について図4を用いて説明する。図4は、図1における出力合成手段2の調整回路31の構成例を示す図である。図4において、図2と同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す調整回路31は、端子31a、31b及び31cと、抵抗体311と、インダクタ312と、SW回路313と、調整制御回路316とを備えている。
SW回路313は、スイッチ用のPチャネルエンハンスメント形の電解効果トランジスタ(以下、FETと略す。)313a、313bを有する。なお、ゲート制御電圧を変更すればディプリーション形のFETも利用可能であるが、本実施形態4では説明を簡略化するため、スイッチング素子としてエンハンスメント形のFETを使用する場合について説明する。
調整制御回路316は、端子316a及び316bと、スイッチ3165a及び3166aと、オフセット用電圧源3161及び3164と、コンパレータ3162及び3163とを有する。
端子316aは、オフセット用電圧源3161の出力をコンパレータ3162の+入力側に入力する。端子316bは、オフセット用電圧源3164の出力をコンパレータ3163の+入力側に入力する。
スイッチ3165aは、端子31bあるいはグランド3165bのいずれかを、コンパレータ3162の−入力に電気的に接続する。スイッチ3166aは、端子31aあるいはグランド3166bのいずれかを、コンパレータ3163の−入力に電気的に接続する。なお、グランド3165b及びグランド3166bは、コンパレータ3162の不図示の電源のグランドと共通である。
オフセット電圧源3161は、端子31aと端子31bとの間の電位差をコンパレータ3162でオフセットを持たせて比較するための第1のオフセット電圧を、端子316aを介してコンパレータ3162の+入力側に供給する。オフセット電圧源3164は、端子31aと端子31bとの間の電位差をコンパレータ3163でオフセットを持たせて比較するための第1のオフセット電圧を、端子316bを介してコンパレータ3163の+入力側に供給する。
不図示であるが、コンパレータ3162等の電源を、ダイオード等を経由して端子31aあるいは端子31bから供給するように構成すれば、コンパレータの電源の電位は、端子31aあるいは端子31bのうち、電位が高い方のレベルと同じになる。例えば、コンパレータ3162の+入力側の電位が−入力側より高電位の場合は、コンパレータ3162の出力がHighとなり、そのレベルは電源の電位にまで上昇する。
コンパレータ3162の電源として端子31aと端子31bのどちらか高いほうの電位がダイオード等を介して供給されるので、コンパレータ3162の出力がHighの場合は、FET313aのゲートの電位はソースと同等かそれ以上となり、FET313aは必ず遮断される。また、コンパレータ3163も同様に、その電源として端子31aと端子31bのどちらか高いほうの電位がダイオード等を介して供給され、コンパレータ3163の出力がHighの場合は、FET313bのゲートの電位はソースと同等かそれ以上となり、FET313bは必ず遮断される。
通常、スイッチ3165aは、端子31bをコンパレータ3162の−入力側に電気的に接続し、スイッチ3166aは、端子31aをコンパレータ3163の−入力側に電気的に接続している。しかし、図1の挿抜SW7が押された場合、スイッチ3165a及び3166aはそれぞれ、図1の制御回路5からの制御信号を端子31cを介して受け取り、スイッチ3165aは、グランド3165bをコンパレータ3162の−入力側に接続するように切り替え、スイッチ3166aは、グランド3166bをコンパレータ3163の−入力側に電気的に接続するように切り替える。従って、コンパレータ3162,3163は共に−入力側に最低電位であるグランドレベルの電位が入力されるので、コンパレータ3162及びコンパレータ3163の出力はHighとなり、FET313a及びFET313bが遮断される。
第1のオフセット電圧としては、端子31a及び端子31b間がインダクタ312を介して接続されたとしても、端子31a及び端子31b間の電位差が燃料電池制御システム内の電流経路や部品等にダメージが出ない程度の値にまで低下したことを検出可能な電圧とするのが望ましい。これは、オフセット電圧が低すぎると、抵抗体312のみによる接続時間が増加し、電力損失が増加するからである。
なお、図1の挿抜SW7が押されたときのFET313a及び313bを遮断する方法としては、上記以外にも、直接FETのゲートを制御する方法等、様々な構成があることは言うまでも無い。
以上の説明のように、図1の挿抜SW7が押された場合は、FET313a及び313bが遮断され、端子31a及び31b間は、抵抗体311のみを介して電気的に接続される。なお、図示していないが、図1の調整手段を構成する他の調整回路も、図4に示す調整回路31と同一構成であり、上記調整回路31と同様の動作を同時に行う。たとえば、調整回路32の場合、図1の挿抜SW7が押されると、調整回路32の2つの端子31a、31b間が、抵抗体311のみを介して電気的に接続されることになる。
端子31a及び端子31b間が抵抗体311のみを介して接続されている状態で、たとえば、燃料電池システム11と同様の構成を有するN番目の燃料電池システム1N(図示していない)が、図1の出力合成手段2に挿入された場合、図1の調整回路3Nの端子31aには、燃料電池システム1Nの蓄電手段の電圧が印加され、図1の調整回路3Nの端子31bには、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧が印加される。
ところで、図1の燃料電池システム11の蓄電手段112の電位と、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電位とが平衡状態となり、端子31aと端子31bが同電位となった場合、コンパレータ3162あるいはコンパレータ3163の+入力側は、−入力側に比べて第1のオフセット電圧の分だけ電位が低下するため、常にコンパレータ出力がLowとなり、スイッチ回路313は導通状態となる。
新たな燃料電池システムを増設する場合には、先ず、図1の挿抜SW7を押してインダクタ312を介する電流経路を遮断した後、上記新たな燃料電池システムを出力合成手段2に挿入し、その後、挿抜SW7を解除して、調整手段31による調整動作を開始させるようにする。
例えば、増設しようとする燃料電池システム1Nの蓄電手段の電圧が、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧より大きく低下し、燃料電池システム1Nの蓄電手段と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との電位差が第1のスレッショルド電圧以上となっている場合、コンパレータ3162の+入力側より−入力側の方が高電位となり、コンパレータ3162の出力がLowとなるため、FET313aのゲート電位が低下し、Pチャネル形であるFET313aが導通する。一方、コンパレータ3163の+入力側にはオフセット用電圧源3164から第1のオフセット電圧が供給されるため、コンパレータ3163の+入力側は、第1のスレッショルド電圧の分だけ電位が低下しているにもかかわらず、コンパレータ3163の−入力側より+入力側の方が高電位となり、コンパレータ3163の出力がHighとなるため、FET313bのゲート電位が高くなり、Pチャネル形であるFET313bが遮断する。よって、SW回路313は遮断され、端子31aと端子31bとの間にはインダクタ312を介して電流は流れず、端子31aと端子31bとの間は、抵抗体311のみを介して通電されることになる。従って、抵抗体311で規制された電流のみが端子31a及び31b間を流れ、蓄電手段等を保護しつつ、燃料電池システム1Nの蓄電手段を充電できる。
燃料電池システム1Nの蓄電手段の充電が進むと、燃料電池システム1Nの蓄電手段の電圧が上昇し、端子31a及び31b間の電位差が第1のスレッショルド電圧より小さくなると、コンパレータ3163の+入力側より−入力側の方が高電位となり、コンパレータ3163の出力がLowになるため、FET313bのゲート電位が低下し、Pチャネル形であるFET313bが導通する。これにより、SW回路313が導通し、端子31a及び31b間にはインダクタ312を介しても電流が流れるようになる。このように、端子31a及び31b間は、低い直流抵抗を有するインダクタ312を介して通電されるため、燃料電池システム1Nの出力を途中の電流経路でほぼ損失させること無く、燃料電池システム1Nの蓄電手段が図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4に電気的に接続され、更に、両蓄電手段の電圧が平衡化される。
一方、燃料電池システム1Nの蓄電手段の電圧が、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧より大きく上昇し、燃料電池システム1Nの蓄電手段と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との電位差が第1のスレッショルド電圧以上となっている場合には、上述したように調整回路31を動作させることにより、燃料電池システム1Nの蓄電手段が放電し、最終的には端子31a及び31b間がインダクタ312を介して通電することになる。
このような本実施形態4の調整回路によれば、端子31aと端子31bとの間の電位差に基づいて、両端子31a、31b間の通電状態を、抵抗体311のみを介して接続する抵抗接続、あるいは、抵抗体311及びインダクタ312を介して電気的にほぼ直結するインダクタ接続のいずれかに切り替えることにより、燃料電池システム11と出力合成手段2とを通電させたときに過大な電流が流れるのを防止でき、燃料電池システム11の出力を、途中の電流経路で損失させることなく図1の合成蓄電手段4及び出力回路6に接続でき、出力電力の増大の要望に応じた燃料電池制御システムを構築できる。また、図1に示す挿抜SW7が押された場合には、端子31a及び31b間の通電状態を、抵抗接続に切り替えることにより、活線挿抜に対応可能な燃料電池制御システムを構築できる。
(実施形態5)
本実施形態5では、本発明の燃料電池制御システムを構成する出力合成手段の調整回路について図5を用いて説明する。
上記実施形態1〜4では、燃料電池システムの蓄電手段と出力合成手段の合成蓄電手段との間の電位差が大きいと判断したとき、上記2つの蓄電手段の間を抵抗体を介して電気的に接続する場合について説明したが、本実施形態5では、抵抗体を介する接続の代わりに、インダクタにスイッチを設けて電流を制限する場合について説明する。
図5は、図1における出力合成手段2の調整回路31の構成例を示す図である。図5において、図4と同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。また、同図において矢印は信号の流れを示している。
図5に示す調整回路31は、端子31a、31b、31d及び31eと、インダクタ312と、FET313a及び313bと、調整制御回路317とを備えている。
端子31dは、抵抗体317dを介して端子31eに接続される。また、抵抗体317dの一端は、グランド319aに接続されている。ここでは、電流を制限する例について説明するが、その電流は抵抗体317dの両端電圧を検出することにより行うので、高電圧側の配線に加えて、グランド側の配線を新たに示している。そのため、不図示であるが、調整回路31の外部において、端子31aと端子31dはそれぞれ、燃料電池システム11の出力の正極端子と負極端子に、端子31bと端子31eはそれぞれ、合成蓄電手段4の正極端子と負極端子に接続されている。
インダクタ312は、端子31a側をフライホイールダイオード318aを介して端子31dに電気的に接続し、端子31b側をフライホイールダイオード318bを介して端子31eに電気的に接続している。
調整制御回路317は、定電流制御回路317a及び317bと、状態制御回路317cと、電流検出用の抵抗体317dに流れる電流を検出する電流検出回路317eとを有する。
定電流制御回路317a、317bは、電流検出用の抵抗体317dに流れる電流を電流検出回路317eにより検出しつつ、これが一定となるよう、インダクタ312と、FET313a又は313b、フライホイールダイオード318a又は318bを用いて定電流制御を行う。
なお、図5では制御回路等の電源ライン等が不図示であるが、上記実施形態4と同様、電源は端子31a又は端子31bからダイオード接続により給電する。一方、抵抗体317dは電流検出用のため低い抵抗を用いており電圧降下が少ないので、グランドとしては抵抗体317dの一端から給電すれば、制御回路動作のための電源ラインを確保できる。図5ではグランド319aからグランドラインを取ることにしているが、端子31d側から給電するようにしてもよい。更には、抵抗体317dの中点をグランドラインとして端子319aを接続しても良い。
状態制御回路317cは、図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差が大きいと判定するための尺度となる第3の閾値を有し、端子31a及び31b間の電位差が第3の閾値以上の場合、端子31aに電気的に接続されている図1の燃料電池システム11の蓄電手段112と、端子31bに電気的に接続されている図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4との間で充放電を行わせ、上記電位差が第3の閾値より小さい場合、端子31a及び31b間を、インダクタ312を介して電気的に接続させる。
具体的には、端子31a及び31b間の電位差が第3の閾値以上の場合、端子31aの電位が端子31bの電位以上のときは、端子31aから端子31bへの定電流充電制御を行い、端子31bの電位が端子31aの電位よりも高いときは、端子31bから端子31aへの定電流充電制御を行うよう定電流制御回路317a及び317bを制御する。そして、上記端子31a及び31b間の電位差が第3の閾値より小さくなると、FET313a及びFET313bを導通させて、端子31a及び31b間をインダクタ312のみを介して通電させる。
ここで、定電流制御についてさらに詳細に説明する。端子31bに対して端子31aが高電位であり、端子31aから端子31bへの定電流充電制御を行う場合、FET313bは導通のまま保持し、FET313aをスイッチング動作させることにより、インダクタ312を介して流れる電流を制御する。
FET313a、インダクタ312とフライホイールダイオード318aにより降圧DC−DCコンバータの回路を構成しており、電流検出回路317eで検出した抵抗体317dに流れる電流を元にFET313aのスイッチング動作制御により定電流の充電制御を行う。
定電流制御回路317aでは、FET313aをスイッチングさせるためのスイッチング駆動パルスを発生させ、そのオン(導通)時間を変更することにより電流量を制御する。本実施形態5では、FET313aはPチャネル形のFETであるので、スイッチング駆動パルスがLowのときオン(導通)し、Highのときオフ(遮断)する。先ず、電流の往路は、スイッチング駆動パルスがLowでFET313aがオンの状態では、燃料電池システム11の出力の正極端子が接続される高電位の端子31aから端子31bに向かう電流がインダクタ312に流れ、インダクタ312に磁気エネルギーが蓄えられる。一方、電流の帰路は、端子31eから端子31dを経由して燃料電池システムの出力の負極端子に帰る。次に、スイッチング駆動パルスによりFET313aがオフの状態となると、インダクタ312に蓄えられた磁気エネルギーがインダクタ312に電流を流し続けようとしてインダクタ312の両端に高電圧が生じるので、オフとなったFET313aのドレインに代わり、端子31eから、フライホイールダイオード318a、インダクタ312を介して端子31bに電流が流れ続ける。これにより、端子31aから供給された電力が、端子31bに供給されることになりDC−DCコンバータ動作となる。この動作中に抵抗体317dに電流が流れ電圧が生じるので、電流検出回路317eにより抵抗体317dに流れる電流を検出する。そして、定電流制御回路317aは、抵抗体317dに流れる電流量が設定値以上である場合はスイッチング制御パルスのオン時間を短縮して電流量を低下させ、抵抗体317dに流れる電流量が設定値以下にまで低下している場合はスイッチング制御パルスのオン時間を延長して電流量を増加させるように制御することにより、定電流制御回路を構成する。なお、この制御動作自体は一般的なものであり、詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態5では、図1の挿抜SW7が押された場合の調整回路の動作については説明していないが、上記実施形態2〜4と同様に、挿抜SW7が押された場合は定電流の電流値を低下させ、あるいは、遮断させることで、端子31aと端子31bとの間の電位差を、接続されていない場合の電位差に近い状態にセットしてリセット動作を行わせるように構成すればよい。
ただし、本実施形態5の通電制御方式は、端子31aと端子31bとの間の電位差に基づいてインダクタを接続するかどうかを決定する上記実施形態2〜4の通電制御方式とは異なり、本実施形態5の調整回路は、端子31aと端子31bとの間の電位差によらずインダクタとFETスイッチの制御により一定電流を流す回路構成としているので、上記リセット動作をさせることなく接続しても過大電流が流れることは無い。従って、本実施形態5ではリセット動作が特に必要ではないため、使い勝手が向上するという利点がある。
ここで、過大電流が流れることが無い理由について説明する。燃料電池システム11が接続されておらず、且つ、FET313aとFET313bが導通状態になっている状態で、燃料電池システム11を接続した場合、燃料電池システム11の蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差に応じ、インダクタ312を介して電流が低電位の蓄電手段の方に流れようとする。しかし、インダクタ312の電流は、インダクタ312のインダクタンスの大きさと電位差に応じて徐々に増加する。燃料電池システム11が接続された瞬間はインダクタ312に流れる電流は0なので、図5に示した調整回路31の端子31aと端子31b間の電位差は蓄電手段112と合成蓄電手段4との間の電位差に等しく、これを状態制御回路317cが検出することにより、電位差に応じた定電流制御、又は、インダクタ接続が開始される。
このように、調整回路31の調整動作が開始されるが、図5の電流検出回路317eを用いて、過大な電流が流れないように制御することもできる。これは、電流検出回路317eにより過大な電流を検出した場合は、FET313aとFET313bを遮断し、その後、定電流制御回路を動作させるように構成すれば実現できる。もちろん、過大電流の程度に応じて、遮断を継続するか、定電流制御回路を動作させるかを判定し制御してもよい。ただ、ここではインダクタとFETスイッチ等を利用した調整回路31の説明が主であるので詳細は省略する。
なお、インダクタとFETスイッチ等を利用した調整回路に対し、図2〜図4に示した調整回路では、端子31a及び31b間が常に抵抗体311で接続されているため、燃料電池システム11が電気的に接続された直後から、抵抗値と電位差に応じて抵抗体311には電流が流れる。この為、正確な電位差を検出することは困難であり、調整回路での切り替え制御の判定に困難さが生じる。そこで、抵抗体を用いた調整回路では、挿抜SWにより確実に切り替え判定が出来るように構成している。
このような本実施形態5の調整回路によれば、インダクタ312とFET313a、313bを用いて、燃料電池システム11の蓄電手段112と出力合成手段2の合成蓄電手段4との間の電位差が大きい場合は上記2つの蓄電手段間を定電流充電制御して互いに充放電させ、上記電位差が小さくなると、FET313a、313bを導通させて、上記2つの蓄電手段間を、インダクタ312を介して電気的に接続することにより、過大な電流が流れるのを防止できるとともに、燃料電池システム11の出力を、途中の電流経路で損失させることなく図1の合成蓄電手段4及び出力回路6に接続でき、出力電力の増大の要望に応じた燃料電池制御システムを構築できる。特に、本実施形態5では、1つのインダクタ312だけを用いて充放電制御を行うため、上記実施形態2〜4で説明した抵抗接続を行う場合に比べて、定電流制御回路等の回路規模は大きくなるが、抵抗体による損失が無いので、より効率良く複数の燃料電池システムの出力を合成し外部に出力可能である。
(実施形態6)
本実施形態6では、本発明の燃料電池制御システムにおける、燃料電池システムについて詳細に説明する。
背景技術でも述べたように、固体高分子型燃料電池を構成するセルで発生する電圧は、通常1.2V未満である。高電圧を得るためには、セルを直列接続し、スタックを構成すればよいが、多数のセルを使用すると、コストが増加するという問題が生じる。そこで、少ないセル数で発電部を構成し、発電された出力を昇圧回路で必要な電圧まで昇圧して利用することにより、合理的に高電圧を得ることができる。このような特徴を有する燃料電池システムとして、図6に示すようなものが考えられる。
図6に示す燃料電池システム10は、出力手段としての出力端子10aと、入力手段としての入力端子10bと、水素発生手段101と、固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下、PEFCと略す。)104と、昇圧充電用直流電圧変換器(以下、昇圧充電用DDコンバータと略す。)105と、蓄電手段106とを備える。
出力端子10aは、蓄電手段106で蓄積されている電力を図1の出力合成手段2に出力する。入力端子10bは、図1の出力合成手段2から、PEFC104を制御するための制御信号を受け取る。
水素発生手段101は、アルミニウム粉102を水と反応させて水素103を発生させる。PEFC104は、水素103と空気中の酸素とを用いて発電を行う。昇圧充電用DDコンバータ105は、PEFC104からの出力を昇圧し蓄電手段106を充電する。
蓄電手段106は、たとえば、リチウムイオン電池で実現できる。この場合、昇圧充電用DDコンバータ105は、リチウムイオン電池の充電が進行し、電池電圧が上昇した場合、リチウムイオン電池で設定された過充電電圧、例えば1セル当り4.3Vより下に設定した充電電圧で定電圧充電する等の機能を備える必要がある。
また、蓄電手段106は、上記リチウムイオン電池以外にも、キャパシタで実現できる。この場合、定格電圧以下になるように充電する等の配慮が必要となるが、これらは蓄電手段106にどのようなものを使用するかにより設定すればよい。
ここでは、このように昇圧充電された蓄電手段106であっても、先に述べたように、図6の燃料電池システム10が図1の出力合成手段2に挿入され、図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4と電気的に接続された場合、実施形態1〜5で説明したような出力合成手段2内の調整手段3の制御により、互いの電位に応じて充電あるいは放電され、最終的には、図6の燃料電池システム10の蓄電手段106と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電圧はほぼ同一の電位に到達する。
このような動作は、図6の燃料電池システム10を複数、図1の出力合成手段2に挿入した場合も同じであり、図1の出力合成手段2内の調整手段3によって、上記複数の燃料電池システム10と図1の出力合成手段2との間の通電状態を、抵抗接続やインダクタ接続に切り替えることにより、全ての燃料電池システムの蓄電手段106の電位と図1の出力合成手段2の合成蓄電手段4の電位とが最終的にほぼ同一となるように充放電させる。これにより、挿入されている燃料電池システム10が発電中あるいは休止中、更には蓄電手段106の蓄電状態に関わらず、複数の燃料電池システム10からの出力を途中の電流経路で損失することなく合成可能で、かつ活線挿抜に対応可能な燃料電池制御システムを構築できる。
(実施形態7)
上記実施形態1〜6では、図1の出力合成手段2により、蓄電手段を持つ複数台の燃料電池システムの出力を、活線挿抜を行いつつ合成することが可能な燃料電池制御システムについて説明したが、燃料電池システムは蓄電手段を有しているため、図1の出力合成手段2が合成蓄電手段4を有することが構成上必須である必要はない。
本実施形態7では、図1の出力合成手段2が合成蓄電手段4を有さない場合の燃料電池制御システムについて説明する。
本実施形態7の燃料電池システムにおける出力合成手段の構成は、例えば、図1において、合成蓄電手段4の代わりに通常のキャパシタを載せた構成の出力合成手段2とする。
出力合成手段2に燃料電池システム11を接続する場合、上記実施形態4、5では、調整手段の電源として端子31a又は端子31bからダイオード接続により電源を供給することを述べたが、本実施形態7では、上記電源供給を出力合成手段2の調整回路全てに行うことにより、燃料電池システム11が接続された状態で出力合成手段2の調整回路が動作し、特に合成蓄電手段4からの電源供給を受けなくても調整動作が可能となる。従って、本実施形態7では、出力合成手段2に燃料電池システム11を接続すると、直ちに調整回路31の端子31a及び端子31b間の通電状態がほぼ直結接続となり、合成蓄電手段4の代わりに燃料電池システムの蓄電手段112から得られる電力が出力回路6を介して出力合成手段2の端子20から得られることになる。
上記燃料電池システム11を接続した状態で、燃料電池システム12をさらに接続する場合、すでに合成蓄電手段4の代わりに燃料電池システム11の蓄電手段112を元に出力合成手段2が動作しているため、調整手段3を介して燃料電池システム11の蓄電手段112と燃料電池システム12の蓄電手段112との充放電が開始される。最終的には双方の電圧が平衡状態に達して、調整手段3を介してほぼ直結接続される状態となる。このような状態となった後は、燃料電池システム11と燃料電池システム12との出力を合成した電力が、途中の電流経路で損失すること無く、出力合成手段2から得られる。
ただし、挿抜SW7を押しつつ新たな燃料電池システム12を接続する場合は、燃料電池システム11が接続されている調整回路31の端子31a及び端子31b間の通電状態は直結接続となっているが、たとえば、上記実施形態4で説明した図4に示す調整回路31の場合、挿抜SW7を押した段階で、端子31a及び端子31b間の通電状態が抵抗体311を介する接続となるので、抵抗体313により蓄電手段112の出力の電圧降下が生じ、出力回路6から外部への出力電力が減少することになる。従って、上記実施形態4のように出力合成手段2が合成蓄電手段4を有する場合と同様の出力電力を得るためには、燃料電池システムの挿抜を行う間だけ出力を補償する必要がある。そこで、本実施形態7では、合成蓄電手段4の代わりに、燃料電池システムの挿抜の間だけ出力を補償するキャパシタを接続するようにする。よって、合成蓄電手段4は不要である。
もちろん、調整回路31に、図5に示す電流検出回路317eを設けるようにすれば、電流が流れている場合は直結状態を維持するように制御可能であるため、合成蓄電手段4だけでなく、出力を補償するキャパシタも不要となる。
また、本実施形態7の出力合成手段2の調整回路として、図5に示す調整回路31を用いる場合、図5の調整回路31はインダクタのみを用いて充放電制御を行うものであるため、特に図1の挿抜SW7の信号により調整回路31の制御を変更する必要が無く、合成蓄電手段4を設ける必要はない。従って、出力合成手段2を単独で利用して合成蓄電手段4の出力を使用しない限り、特に合成蓄電手段4を備える必要はない。
なお、本実施形態7における出力合成手段2が、図4に示す調整回路31を装備している場合、挿抜SW7を押すことにより全ての調整回路31が抵抗接続に切り替わり活線挿抜に対応可能となるが、それぞれの調整回路31、調整回路32等に個別に挿抜SW7を設けてもよいことは言うまでもない。このようにすれば、挿抜する燃料電池システムのみが調整手段31により抵抗接続等で接続され、すでに接続されている他の燃料電池システムは直結接続が維持されるので、特に合成蓄電手段4を備える必要はない。