JP2010139625A - 光学装置および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学部材の固定方法に起因する光学性能の低下を抑制すること。
【解決手段】レーザ光を吸収する材料によって形成されたレンズホルダ107と、光軸方向においてレンズホルダ107に隣り合って配置され、レーザ光を吸収する材料によって形成された押さえ環102と、を、レンズホルダ107および押さえ環102に対して相溶性を有するとともにレーザ光を透過する材料によって形成され、レンズホルダ107および押さえ環102に対してレーザ溶着によって固定された接合ピン108とを介して接合した。
【選択図】図4
【解決手段】レーザ光を吸収する材料によって形成されたレンズホルダ107と、光軸方向においてレンズホルダ107に隣り合って配置され、レーザ光を吸収する材料によって形成された押さえ環102と、を、レンズホルダ107および押さえ環102に対して相溶性を有するとともにレーザ光を透過する材料によって形成され、レンズホルダ107および押さえ環102に対してレーザ溶着によって固定された接合ピン108とを介して接合した。
【選択図】図4
Description
この発明は、互いの位置関係が固定される複数の光学部材を備えた光学装置、および当該光学装置を備えた撮像装置に関する。
近年、携帯型電話機やコンパクトカメラなど、撮像機能を備えた各種装置(以下「撮像装置」という)に対する小型化の要望にともなって、当該撮像装置が搭載するレンズなどの光学部材あるいは当該光学部材を複数用いて構成される光学装置(光学系)が小型化される傾向にある。また、近年、携帯型電話機やコンパクトカメラなどのような小型の撮像装置においては撮像素子の高画素化が図られる傾向にあり、撮像素子の高画素化にともなって、小型でありながらも精度の高い光学装置が望まれている。
たとえば投げ込み式の組み立て方法を採用した場合、光学装置を構成する各光学部材の部品公差を狭めることによって高精度化を図ることができる。一方で、各光学部材の部品公差を狭めることにより各光学部材の量産性が低下し、光学装置や当該光学装置を備えた撮像装置の量産に際しての歩留まりが低下してしまう。また、投げ込み式の組み立て方法を採用した場合、光学装置の精度(光学性能)は部品の製造精度に依存するため、量産性を向上させるため部品公差を広げると光学装置の精度(光学性能)が低下してしまう。
樹脂材料を用いた射出成形によって形成された樹脂製品は、金型技術の高精度化や精密成型技術の向上によって、比較的高い製造精度を確保することができる。このため、従来、樹脂製の光学部材に、別の光学部材の位置決めをおこなうための位置決め構造を設け、この位置決め構造によって別の光学部材の位置決めをおこなうことによって、投げ込み式によって組み立てる場合の光学装置の精度(光学性能)を確保するようにした技術があった。
また、従来、たとえば光学装置の組み立てに際して光学性能にかかわる光学部材を、基準となる光学部材にあわせる、いわゆる調芯をおこなうことによって、光学装置に要求される精度(光学性能)を確保するようにした技術があった。このような調芯は、ガラス材料を用いたガラスモールド法などによって形成されたレンズなど、光学部材がガラス製である場合に有効となる。
すなわち、ガラス材料を用いたガラスモールド法などによって形成されたガラス製の光学部材は、ガラス製の光学部材単体で高い偏芯精度を確保することが困難であるため、光学系の組み立てに際して調芯を必要とする。たとえばレンズどうしを直接接合することによって小型化を図るようにしたレンズユニットなどの光学装置において、樹脂製のレンズとガラス製のレンズとが混在する場合、製造精度の高い樹脂製のレンズに対してガラス製のレンズの調芯をおこなうことによって樹脂製のレンズとガラス製のレンズとの位置関係を調整している。
また、ガラス製の光学部材は当該光学部材単体で製造精度を確保することが困難であるため、精度の高い位置決め構造をガラス製の光学部材に設けることは困難である。たとえばガラス製の光学部材の中でも、とくにガラス材料を用いたガラスモールド法などによって形成されたガラス製のレンズは、表裏相互面の偏芯精度、隣り合うレンズとの間隔(面間隔)、外形に対する光学面の偏芯精度などを高度に維持することが困難である。このため、従来、ガラス製のレンズを備えた光学装置の組み立てに際しては、調芯作業や面間隔の調整作業が必要となっていた。
具体的には、たとえば樹脂製のレンズとガラス製のレンズとが混在する場合は、以下のようにして各レンズの位置決めをおこなう。樹脂製のレンズにおいては、高い製造精度を確保できるため、樹脂製のレンズホルダの所定の位置に樹脂製のレンズを嵌め込むことによって、光軸方向および光軸に直交する方向における位置決めをおこなうことができる。位置決めされた樹脂製のレンズホルダおよび樹脂製のレンズは、UV硬化型の接着剤などを用いて固定してもよい。
ガラス製のレンズにおいては、たとえばガラス製のレンズを保持する補助リングと、樹脂製のレンズホルダあるいは樹脂製のレンズとの間に間隔調整用のスペーサを設けることによって光軸方向における位置決めをおこなう。間隔調整用のスペーサは、ガラス製のレンズの製造精度のばらつきを想定し、あらかじめ厚さを複数パターンに分けて製造された複数種類の中から最適なものを用いる。
また、ガラス製のレンズにおいては、樹脂製のレンズに対する調芯をおこなうことによって光軸に直交する方向における位置決めをおこなう。ガラス製のレンズにおいては高い製造精度を確保することは困難であるため、ガラス製のレンズあるいは補助リングには位置決め用のガイド構造などは設けられていない。調芯後は、たとえば調芯用のジグを用いて、樹脂製のレンズとガラス製のレンズとの位置関係を仮保持し、その後UV硬化型の接着剤を用いて樹脂製のレンズとガラス製のレンズとの位置関係を固定していた(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
従来、UV硬化型の接着剤を用いて樹脂製のレンズとガラス製のレンズとを固定することにより、作業性を高めるようにしていた。UV硬化型の接着剤は、調芯用のジグによって樹脂製のレンズとガラス製のレンズとの位置関係を固定した状態で、ポッティングなどの方法によって塗布する。調芯用のジグは、塗布された接着剤にUV光を照射して、UV硬化型の接着剤を1次硬化させた後に取り外す。調芯用のジグを取り外した後のレンズは、2次硬化が促進される場所などに保管される。
また、従来、光学ピックアップにおいて、当該光学ピックアップの光路中に挿入された光学部品を、他の光学要素が取り付けられるベース部材に対して、このベース部材と線膨張係数の異なる材料により形成された保持部材を介して固定するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
しかしながら、上述した従来の技術は、レンズホルダと補助リングとの間に、ガラス製のレンズの形状に応じた厚さの間隔調整用のスペーサを設けるため、レンズホルダと補助リングとの間隔が一定とはならない。そして、一定ではない間隔で配置されるレンズホルダと補助リングとを接着剤を用いて固定するために、光学装置ごとに、接着剤の塗布状態にばらつきが生じる。UV硬化型の接着剤は1次硬化した後も硬化が完了するまでの間に収縮するため、接着剤の塗布状態にばらつきがあると硬化が完了するまでの間の収縮状態が光学装置ごとに異なり、光学装置ごとに光学性能のばらつきを生じるという問題があった。
また、UV硬化型の接着剤は1次硬化した後も硬化が完了するまでの間に収縮するため、UV硬化型の接着剤を1次硬化させた後に調芯用のジグを取り外すようにした上述した従来の技術では、2次硬化において収縮する接着剤によって、樹脂製のレンズとガラス製のレンズとの位置関係が崩れ、相対的な位置関係がずれてしまう。そして、光学部材間の相対的な位置関係がずれてしまうことによって光学装置における光学性能が低下してしまうという問題があった。
この対策として、ジグの保持力を強固にするとともに2次硬化が完了するまでの間ジグを取り付けておくようにした場合、ガラス製のレンズあるいはガラス製のレンズを接着する接着剤に、接着剤の収縮に起因する応力が生じる。この応力によって、ガラス製のレンズあるいはガラス製のレンズを接着する接着剤に歪みが発生し、光学部材どうしの位置関係にずれが生じて光学装置における光学性能が低下してしまう。
また、光学装置においては、レンズホルダや補助リングなどを、紫外線を通しにくい黒色の樹脂材料を用いて形成するため、レンズホルダと補助リングとの間に入り込んだ接着剤に紫外線を照射することが困難であった。このため、すべての接着剤の硬化が完了するまでに時間がかかり、硬化にともなう接着剤の収縮が長期間にわたることとなり、光学部材間の相対的な位置関係のずれが顕著になるという問題があった。
また、樹脂製のレンズおよびガラス製のレンズのように、接着剤によって相互に固定される光学部材どうしの線膨張係数が異なる場合は環境温度の変化による伸縮の程度に差が生じるため、接着剤の部分に圧縮あるいは引っ張り方向の応力が作用して、接着剤が変形してしまうことがあった。そして、接着剤が変形することによって光学部材どうしの位置関係がずれてしまったり光学部材が歪んでしまったりして、光学性能が低下するという問題があった。
接着剤の変形は環境温度の変化が繰り返して起こるほど顕著になり、接着剤の変形が顕著であるほど光学部材どうしの位置関係のずれや光学部材の歪みが顕著に発生する。このため、環境温度の変化が繰り返して起こるほど、光学性能の低下が顕著になる。互いに固定された部材どうしの線膨張係数の違いによる不具合は、上述した特許文献2の技術においても同様に発生する。また、上述した特許文献2の技術においては、さらに調芯作業をおこなうことができないという問題があった。
この対策として、2次硬化が完了した後に調芯用のジグを取り外すようにした場合、調芯用のジグを取り外すまでの長時間にわたって、組み立て作業を継続することができず、光学系すなわち当該光学系を備えた光学装置や撮像装置の量産における歩留まりが低下してしまうという問題が生じる。また、この場合、調芯用のジグを取り外すまでの長時間にわたって、調芯用のジグが取り付けられたレンズを保管する場所を確保しなくてはならず、生産コストが増加する一因となる。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、光学部材の固定方法に起因する光学性能の低下を抑制することができる光学装置および撮像装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる光学装置は、レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、重なる方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定された接合用部材と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、第1の部材および第2の部材の間に間隙が存在するために第1の部材と第2の部材とを直接当接させることが困難である場合にも、第1の部材および第2の部材にレーザ溶着される接合用部材を介して、第1の部材と第2の部材との相対的な位置関係を短時間で固定することができる。
また、この発明によれば、第1の部材および第2の部材と接合用部材とをレーザ溶着によって固定することによって、たとえば硬化の途中で体積収縮をともなう接着剤を用いて固定する場合のように、固定に際して、第1の部材と第2の部材との相対的な位置関係がずれることを防止できる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記接合用部材が、前記重なる方向において前記第2の部材を貫通し、前記第1の部材に当接する第1の当接部と、前記第2の部材に当接する第2の当接部と、入射した前記レーザ光を前記第2の当接部に向けて反射する反射面部と、を有し、前記第1の当接部において前記第1の部材に対してレーザ溶着によって固定され、前記第2の当接部において前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定されたことを特徴とする。
この発明によれば、第1の部材および第2の部材に対して、それぞれ第1の当接部および第2の当接部において確実に当接しているため、単一の接合用部材を用いて、第1の部材と第2の部材との相対的な位置関係を確実に固定することができる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記第1の部材および前記第2の部材が、それぞれ、同一種類の基剤となる樹脂材料にレーザ光を吸収する材料を混合することによって形成され、前記接合用部材は、前記基剤となる樹脂材料と同一種類の樹脂材料にレーザ光を透過する材料を混合することによって形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、第1の部材、第2の部材および接合用部材が同一種類の樹脂材料を基本として形成されているため、環境温度の変化によって各部材が膨張あるいは収縮して体積変化した場合にも、各部材の線膨張係数の違いによる各光学部材どうしの位置関係のずれや各光学部材における歪みの発生を防止できる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記反射面部が、前記第2の当接部に向かって前記重なる方向に対して傾斜した平面であることを特徴とする。この発明によれば、簡易な構成によって、入射したレーザ光を第2の当接部に向けて反射することができる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記反射面部が、入射した前記レーザ光が前記第2の当接部において集光するようにレンズ状に湾曲していることを特徴とする。この発明によれば、入射したレーザ光を効率よく利用することができる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記接合用部材が、前記重なる方向を軸心の方向とする略角柱形状をなし、前記第2の部材を貫通した状態において、前記軸心を中心とする円の外周方向へ向かって前記第2の部材を付勢する付勢部を備えていることを特徴とする。
この発明によれば、第2の部材を貫通した状態における接合用部材の位置を安定化し、接合用部材が第2の部材から脱落することを防止することができる。これによって、接合用部材を挿入した後の第2の部材に対して、接合用部材が落下しないような姿勢の制限を不要とし、光学装置の組み立て作業にかかる作業性の向上を図ることができる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記第1の部材によって保持され、ガラス材料によって形成された第1のレンズと、前記第2の部材によって保持され、樹脂材料によって形成された第2のレンズと、を備え、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの位置関係が、前記接合用部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴とする。
この発明によれば、固定対象とする第1のレンズおよび第2のレンズの材質にかかわらず、第1の部材と第2の部材とを固定することによって、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で固定することができる。また、この発明によれば、第1の部材および第2の部材の間に間隙が存在するために第1の部材と第2の部材とを直接当接させることが困難である場合にも第1のレンズと第2のレンズとをレーザ溶着によって固定することができ、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で精度よく固定することができる。
また、この発明にかかる光学装置は、ガラス材料によって形成された第1のレンズと、樹脂材料によって形成された第2のレンズと、前記第1のレンズを保持し、レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、前記第2のレンズを保持し、重なる方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、を備え、前記第1のレンズと前記第2のレンズとの位置関係は、前記第1の部材と前記第2の部材とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴とする。
この発明によれば、固定対象とする第1のレンズおよび第2のレンズの材質にかかわらず、第1のレンズを保持する第1の部材と第2のレンズを保持する第2の部材とをレーザ溶着によって固定することができる。そして、第1の部材と第2の部材とを固定することによって、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で固定することができる。
また、この発明にかかる光学装置は、上記の発明において、前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してそれぞれレーザ溶着によって固定された接合用部材を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、第1の部材および第2の部材の間に間隙が存在するために第1の部材と第2の部材とを直接当接させることが困難である場合にも第1のレンズと第2のレンズとをレーザ用着によって固定することができ、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で精度よく固定することができる。
また、この発明にかかる撮像装置は、レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、重なる方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定された接合用部材と、前記第1の部材および前記第2の部材を介して受光した外光を電気信号に変換する撮像用の光電変換素子と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、直接当接させることが困難である第1の部材と第2の部材との位置関係を接合用部材を介したレーザ溶着によって短時間で固定することができる。レーザ溶着によって短時間で固定することによって、たとえば硬化の途中で体積収縮をともなう接着剤を用いて固定する場合のように、第1の部材と第2の部材との固定に際しての位置関係のずれを防止し、安定した撮像性能を確保することができる。
また、この発明によれば、レーザ溶着によって、第1の部材と第2の部材とを接合用部材を介して一体化することで、環境温度の変化に起因する膨張や収縮などの形状変化に起因して接合用部材と第1の部材あるいは第2の部材との間に発生する応力を低減することができ、第1の部材と第2の部材との位置関係のずれを防止し、安定した撮像性能を確保することができる。
この発明にかかる光学装置および撮像装置によれば、光学部材の固定方法に起因して光学部材どうしの位置関係がずれることを防止できるという効果を奏する。これによって、光学部材の固定方法に起因する光学性能の低下を抑制することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光学装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態においては、この発明にかかる光学装置としてレンズ装置への適用例を示す。
(実施の形態1)
まず、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置の概略構成について説明する。この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置は、光学部材としてのレンズを複数備えている。複数のレンズは、それぞれ、略円筒形状からなる鏡筒の内側に設けられている。
まず、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置の概略構成について説明する。この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置は、光学部材としてのレンズを複数備えている。複数のレンズは、それぞれ、略円筒形状からなる鏡筒の内側に設けられている。
複数のレンズの一部あるいはすべては、光軸方向に沿って鏡筒に対して相対的に移動可能に設けられている。鏡筒の形状および鏡筒内における各レンズの移動機構については、公知の技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。複数のレンズの一部のレンズは、ユニット化されたレンズ群を構成している。レンズ群は、光軸方向に沿って鏡筒に対して相対的に移動可能であってもよいし、鏡筒に対する相対的な位置が固定されていてもよい。
レンズ装置は、図示を省略する撮像装置本体が備えるマウントなどに取り付けられる。撮像装置本体内には、撮像用の光電変換素子すなわち撮像素子(図示を省略する)が配置されている。撮像素子は、レンズ装置を介して入射した外光を光電変換し、入射光量に応じた電気信号を出力する。撮像素子は、具体的には、たとえばCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)などの固体撮像素子によって実現することができる。
つぎに、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置が備えるレンズ群について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置が備えるレンズ群を示す説明図である。図1においては、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置が備えるレンズ群を、光軸に直交する方向から見た状態を示している。図2においては、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置が備えるレンズ群を、光軸を通り光軸に平行な平面で切断した断面(図1におけるA−A断面)を示している。
図1および図2において、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置が備えるレンズ群100は、第1レンズ101と第2レンズ201とを備えている。第1レンズ101および第2レンズ201は、第1レンズ101の光軸と第2レンズ201の光軸とが揃った状態、すなわち調芯された状態で、互いの位置関係が固定されている。第1レンズ101および第2レンズ201は、光軸方向において重なった状態で(重なる方向に沿って)配置されている。
第1レンズ101は、ガラス材料を用い、ガラスモールド法によって形成されている。第1レンズ101は、ガラス材料を用いて形成してもよいし、たとえば樹脂材料などガラス材料以外の材料を用いて形成してもよい。第1レンズ101は、押さえ環102によって保持されている。この実施の形態1においては、第1レンズ101によって第1のレンズを実現することができる。
押さえ環102は、光軸Cを中心とする略環形状からなる。押さえ環102の内周面は、光軸Cを中心とする円の半径方向における寸法が第1レンズ101の半径よりも小さい小径部103と、光軸Cを中心とする円の半径方向における寸法が第1レンズ101の半径よりも大きい大径部104と、が円周方向に沿って交互に出現するような凹凸をなしている。小径部103と大径部104とは、連結部105を介して連結されている。
押さえ環102は、小径部103、大径部104および連結部105が順番に並んで連結されることによって環形状をなしている。小径部103、大径部104および連結部105は、それぞれ、光軸Cを中心とする同心円上において、等間隔で設けられている。この実施の形態においては、小径部103、大径部104および連結部105は、それぞれ、3箇所に設けられている。
押さえ環102における小径部103は、光軸Cに直交する面内において、光軸Cから離間する方向に向かって変位可能に設けられている。連結部105は、小径部103の変位にともなって変位する。小径部103および連結部105は、光軸Cを中心とする同一円周上において、大径部104の間に位置するような方向に変位する。これによって、押さえ環102は、小径部103および連結部105を変位させることによって、内径が拡開する方向に変形可能とされている。
第1レンズ101は、内径を拡開させるように変形した押さえ環102の内周部分に位置づけられている。押さえ環102は、小径部103を第1レンズ101の外周縁に当接させ、小径部103から光軸Cに向かう付勢力を第1レンズ101に作用させることによって、第1レンズ101を保持している。
押さえ環102において、小径部103から光軸Cに向かう付勢力は、押さえ環102を形成する材料が有する弾性力に起因し、拡開された小径部103が元の位置に復帰しようとする復元力に起因している。この実施の形態においては、押さえ環102によって保持部材を実現することができる。
第1レンズ101の外径寸法は、小径部103によって形成される光軸Cを中心とする円の直径寸法よりも大きい。これにより、第1レンズ101を保持した状態の押さえ環102においては、押さえ環102を形成する樹脂材料が有する弾性によって、元の形状に復帰しようとする付勢力、すなわち内径寸法を収縮させる方向への付勢力が作用する。
このように、押さえ環102の内周側に、押さえ環102の内径寸法よりも外径が大きい第1レンズ101を位置付け、押さえ環102によって第1レンズ101を保持することによって、押さえ環102の弾性力によって第1レンズ101を保持することができる。押さえ環102の弾性力によって第1レンズ101を保持することにより、接着剤などを用いることなく、押さえ環102と第1レンズ101との位置関係を固定することができる。
押さえ環102は、押さえ環102の内周面から光軸方向に向かって突出する突起106を備えている。突起106は、複数(この実施の形態においては3つ)設けられており、それぞれが小径部103に設けられている。これにより、複数の突起106は、それぞれ、光軸Cを中心とする同心円上に、等間隔で設けられている。突起106は、押さえ環102によって第1レンズ101を保持した状態において、光軸方向における一端側から第1レンズ101に当接するように設けられている。
押さえ環102は、複数の突起106を第1レンズ101の一面側に当接させ、第1レンズ101に対して当該第1レンズ101を光軸方向における一方側(レンズホルダ側)に付勢する付勢力を作用させることによって、第1レンズ101を保持している。小径部103および突起106は、光軸Cを中心とする同一円周上において3箇所あるいは3箇所よりも多箇所において第1レンズ101に当接することが好ましい。
小径部103および突起106が第1レンズ101に当接する箇所は、3あるいは3の倍数箇所であることが好ましい。これにより、第1レンズ101全体に対して均等な付勢力を作用させることができ、第1レンズ101を安定して保持することができる。小径部103および突起106が第1レンズ101に当接する箇所は、2箇所であってもよいし、3の倍数以外の数の箇所に設けてもよい。
押さえ環102は、樹脂材料を用い、射出成形法によって形成されている。樹脂材料を用いた射出成形法によって形成することにより、押さえ環102を高精度に形成することができる。押さえ環102を形成する樹脂材料は、レーザ光を吸収する性質を有している。押さえ環102を形成する樹脂材料は、レーザ光を吸収する性質を有する。レーザ光を吸収する性質を有する樹脂材料は、具体的には、たとえば基剤となる樹脂材料に、レーザ光を吸収する性質を有する物質を混合あるいは分散させることによって実現することができる。
第2レンズ201は、樹脂材料を用いた射出成形によって形成されている。樹脂材料を用いた射出成形によって形成することにより、第2レンズ201を高精度に製造することができる。第2レンズ201はレンズホルダ107に保持されており、レンズホルダ107に対する第2レンズ201の位置決めの基準となる基準面を備えている。この実施の形態1においては、第2レンズ201によって第2のレンズを実現することができる。
レンズホルダ107は光軸Cを中心とする環形状からなり、内周に段差部202を備えている。段差部202は、光軸方向においてレンズホルダ107の内径を異ならせることによって形成されている。段差部202は、具体的には、たとえば第2レンズ201の外径寸法と略同一寸法の内径部分と、第2レンズ201の外形寸法よりも小さい内径部分とによって構成することができる。
レンズホルダ107は、樹脂材料を用いた射出成形によって形成されている。樹脂材料を用いた射出成形によって形成することにより、レンズホルダ107を高精度に製造することができる。レンズホルダ107を形成する樹脂材料は、押さえ環102を形成する材料と同様に、レーザ光を吸収する性質を有する。また、レンズホルダ107を形成する樹脂材料は、押さえ環102を形成する樹脂材料に対する相溶性を有している。この実施の形態1において、押さえ環102およびレンズホルダ107は、同一種類の樹脂材料を用いて形成されている。
第2レンズ201は、レンズホルダ107内において、基準となる面を段差部202に当接させることによって、鏡筒に対する位置決めがなされている。基準となる面は、第2レンズ201において、段差部202に対向する面とすることができる。第2レンズ201およびレンズホルダ107は、ともに、樹脂材料を用いた射出成形によって形成されているため、鏡筒に対して第2レンズ201を高精度に位置決めすることができる。
第2レンズ201と押さえ環102とが重なる方向、すなわち光軸方向において第2レンズ201と押さえ環102との間には、スペーサ203が設けられている。スペーサ203は、光軸方向における第2レンズ201と押さえ環102との位置関係に応じて1または複数設けられる。この実施の形態のレンズ装置においては、スペーサ203の枚数によって、押さえ環102とレンズホルダ107との間隔が調整される。
押さえ環102とレンズホルダ107との間隔は、スペーサ203によって調整する場合に限らず、スペーサ203の厚さを調整することによって調整してもよい。具体的には、たとえば厚さの異なる複数種類のスペーサ203の中から、目的とする押さえ環102とレンズホルダ107との間隔を確保できるスペーサ203を選択するようにしてもよい。
押さえ環102とレンズホルダ107とは、接合ピン108を介して、互いの位置関係が固定されている。接合ピン108は、略円柱形状をなし、押さえ環102に設けられた取り付け用の孔109に挿入される。取り付け用の孔109は光軸方向において押さえ環102を貫通しており、接合ピン108は光軸方向において押さえ環102を貫通するように挿入される。
接合ピン108は、取り付け用の孔109の開口径と同程度の直径寸法を有し、取り付け用の孔109に挿入された状態においては接合ピン108の外周面における少なくとも一部が押さえ環102に当接するような形状をなしている。接合ピン108は、押さえ環102に設けられた取り付け用の孔109に挿入されることにより、押さえ環102に対する位置が定められる。
また、接合ピン108は、押さえ環102を貫通し、レンズホルダ107側に位置する一端部が、レンズホルダ107に当接するように設けられている。接合ピン108は、押さえ環102およびレンズホルダ107に当接する各位置において、押さえ環102とレンズホルダ107とに対して、それぞれレーザ溶着によって固定されている。これによって押さえ環102およびレンズホルダ107の、互いの位置関係を固定することができる。図2において、符号204はレンズホルダ107と接合ピン108との溶着位置を示しており、符号205は押さえ環102と接合ピン108との溶着位置を示している。
レーザ溶着は、熱可塑性の樹脂材料によって形成された接合対象部材を、当該樹脂材料の融点を超えるまでレーザ光を用いて昇温し、昇温した状態で圧力を加えることによって、複数の接合対象部材を分子レベルで結合する技術として知られている。レーザ溶着に際しては、基本的には、レーザ光を吸収する性質を有する熱可塑性の樹脂材料によって形成された接合対象部材(以下、適宜「レーザ光吸収部材」という)と、レーザ光を透過する性質を有する熱可塑性の樹脂材料によって形成された接合対象部材(以下、適宜「レーザ光透過部材」という)とを当接させた界面に、レーザ光透過部材側からレーザ光を照射する。
熱可塑性の樹脂材料によって形成された接合対象部材を分子レベルで結合する技術としては、レーザ溶着の他にインパルス溶着、熱板溶着、非接触熱板溶着、超音波溶着、高周波溶着、振動溶着、赤外線溶着などがあるが、レーザ光の照射範囲を極めて小さくすることができるので、レーザ溶着を用いることによって接合対象部材が小さい場合にも確実に接合することができる。また、レーザ溶着は振動を利用することなく接合することができるので、接合時における振動によって接合対象部材が破損するなどの悪影響の発生を防止することができる。
レーザ溶着に用いる樹脂材料は、基剤となる所定の材料に、各種の色材を含めて構成することができる。具体的には、レーザ光を吸収する性質を有する熱可塑性の樹脂材料としては、たとえば使用する波長域のレーザ光を吸収して熱に換える際の効率が良い色材を含有する樹脂材料を用いることができる。また、具体的には、レーザ光を透過する性質を有する熱可塑性の樹脂材料としては、たとえば使用する波長域のレーザ光をほとんど透過する染料系の色材を含有する樹脂材料を用いることができる。
レーザ溶着は、照射したレーザ光を、レーザ光透過部材の表面を溶かすことなくレーザ光吸収部材に到達させ、レーザ光吸収部材の温度をレーザ光吸収部材の融点より高く昇温させる。そして、レーザ光吸収部材の熱をレーザ光透過部材へ伝導させてレーザ光透過部材を溶解させる。レーザ光吸収部材とレーザ光透過部材とは、溶解した部分において互いの分子が混ざり合う。レーザ光の照射を停止すると、溶解した樹脂材料の温度が融点よりも下がり、溶着が完了する。
レーザ溶着を用いて接合対象部材どうしを接合することによって、接着剤を使用することなく接合対象部材どうしを接合することができる。これによって、接着剤を用いることに由来する、環境に対する悪影響を抑制することができる。また、接着剤が不要であるため、接着剤を用いる場合と比較して軽量化を図ることができる。
接合ピン108は、樹脂材料を用いて形成されている。接合ピン108を形成する樹脂材料は、レーザ光を透過する性質を有する。レーザ光を透過する性質を有する樹脂材料は、具体的には、たとえば基剤となる樹脂材料に、レーザ光を透過する性質を有する物質を混合あるいは分散させることによって実現することができる。接合ピン108を射出成形によって形成することにより、高い製造精度が確保された接合ピン108を形成することができる。
また、接合ピン108を形成する樹脂材料は、押さえ環102およびレンズホルダ107を形成する樹脂材料に対する相溶性を有している。接合ピン108を形成する樹脂材料は、具体的には、たとえば押さえ環102およびレンズホルダ107を形成する樹脂材料における基剤と同一種類の基剤を用いた樹脂材料によって実現することができる。
接合ピン108は、単数であってもよいし、複数設けられていてもよい。接合ピン108を複数設ける場合、押さえ環102とレンズホルダ107とは複数箇所(この実施の形態1においては3カ所)において接合される。複数の接合ピン108は、光軸Cを中心とする同一円周上に設けられていることが好ましい。また、複数の接合ピン108は、光軸Cを中心とする同一円周上において、等間隔で設けられていることが好ましい。
接合ピン108の位置すなわち取り付け用の孔109の位置は、大径部104とすることが好ましい。これによって、第1レンズ101の外径寸法の変化にともなう押さえ環102の変形、すなわち小径部103の変位に影響を与えることなく、押さえ環102とレンズホルダ107との位置関係を固定することができる。
つぎに、接合ピン108の形状について説明する。図3−1および図3−2は、この発明にかかる実施の形態1の接合ピン108を示す説明図である。図3−1においては、接合ピン108を斜め方向から見た状態を示している。図3−2においては、接合ピン108を光軸方向における一端側から見た状態、および、接合ピン108を切断した断面を示している。
図3−1および図3−2において、接合ピン108は、略円柱形状からなる。接合ピン108は、光軸方向すなわち接合ピン108の長手方向における一端から、当該長手方向における中央部分に向かってくぼんだ穴部301を備えている。穴部301は、光軸に直交する面内における接合ピン108の形状、すなわち円形をなす接合ピン108の断面のうちの半分(半円部分)をくり抜いた形状からなる。これにより、穴部301は、接合ピン108の内側において、略半月形状の断面をなす空洞を形成している。穴部301の底部302は、接合ピン108の長手方向における略中心部分に位置している。
穴部301の底部302は、接合ピン108における外周側の方が、接合ピン108における中心部側よりも穴が深くなるように傾斜した斜面をなしている。接合ピン108は、穴部301の底部302がなす斜面が、光軸Cを中心とする円の中心部(光軸)に向かって傾斜するようにして、押さえ環102における取り付け用の孔109に挿入される。具体的には、接合ピン108は、斜面をなす底部302が接合ピン108と押さえ環102とが当接する位置(溶着位置205)に対して斜めに対向するようにして、押さえ環102における取り付け用の孔109に挿入される。
つぎに、押さえ環102とレンズホルダ107との固定方法について説明する。図4は、この発明にかかる実施の形態1の押さえ環102とレンズホルダ107との固定方法を示す説明図である。図4において、押さえ環102とレンズホルダ107との固定に際しては、光軸方向において、第1レンズ101を保持した状態の押さえ環102と、第2レンズ201が取り付けられた状態のレンズホルダ107と、の間に間隔調整用のスペーサ203を設ける。これによって光軸方向における、第1レンズ101と第2レンズ201との位置関係が定められる。
間隔調整用のスペーサ203は、第1レンズ101の製造精度のばらつきを想定し、あらかじめ厚さを複数パターンに分けて製造された複数種類の中から選択した最適なものを用いる。また、間隔調整用のスペーサ203は、第1レンズ101の製造精度のばらつきやレンズ装置において目的とする光学性能などにしたがって、所定枚数設けることができる。
そして、第1レンズ101と第2レンズ201との光軸方向における位置関係を定めた状態で、光軸に直交する面内において押さえ環102を移動させる。押さえ環102の移動に際しては、第1レンズ101の光軸が第2レンズ201の光軸に揃う位置に第1レンズ101が位置するように、押さえ環102を移動させる。これによって、光軸に直交する面内における第1レンズ101と第2レンズ201との位置関係を、高精度に定めることができる。
つぎに、光軸方向および光軸に直交する面内における第1レンズ101と第2レンズ201との位置関係が定められた状態で、押さえ環102における取り付け用の孔109に接合ピン108を挿入する。接合ピン108は、接合ピン108におけるレンズホルダ107側の一端部が、レンズホルダ107に当接するまで挿入する。また、接合ピン108は、底部302が光軸に斜めに対向するようにして、取り付け用の孔109に挿入する。接合ピン108の外周面は、取り付け用の孔109に挿入されることによって、少なくとも一部が押さえ環102に当接した状態とされる。
その後、接合ピン108にレーザ光を照射する。レーザ光の照射は、所定のレーザ光照射装置401を用いておこなう。レーザ光照射装置401は、レーザ光源402やレーザ光源402から発光されたレーザ光を集光するレンズ403などを備える。レーザ光照射装置401については、公知の各種技術を用いて容易に実現可能であるため説明を省略する。
レーザ光は、たとえばレンズホルダ107とは反対側の端面から、光軸方向と平行に照射する。レーザ光の照射に際しては、照射されたレーザ光の少なくとも一部がレンズホルダ107および接合ピン108の当接部を照射し、他の一部が底部302を照射するように、レーザ光の照射位置(照射範囲)を調整する。レンズホルダ107および接合ピン108の当接部のうち、レーザ光が照射された位置が溶着位置204となる。
レーザ光の照射に際して、具体的には、たとえばレンズホルダ107および接合ピン108の当接部と底部302とを、1回の照射で同時に照射するように、レーザ光の照射位置(照射範囲)を調整する。より具体的には、たとえば接合ピン108の軸芯とレーザ光の光軸とを一致させた状態でレーザ光を照射する。
また、レーザ光の照射に際して、具体的には、たとえば所定の時間内に、レンズホルダ107および接合ピン108の当接部と底部302とを順次照射するように、レーザ光の照射位置(照射範囲)を移動させることによってレーザ光の照射位置(照射範囲)を調整するようにしてもよい。底部302を照射したレーザ光は、底部302において屈曲し、押さえ環102と接合ピン108との当接部を照射する。押さえ環102および接合ピン108の当接部のうち、レーザ光が照射された位置が溶着位置205となる。
レーザ(LASER:Light Amplification Stimulated Emission of Radiation)光は、光(電磁波)を増幅したコヒーレントな光であり、たとえば近赤外領域の波長を用いることができる。具体的には、たとえばYAGレーザ(YAG LASER)を用いることができる。より具体的には、たとえばYAGレーザ、YVO4レーザ、半導体レーザなどを用いて、800〜1100nmのレーザ光を用いることが好ましい。
YAGレーザにおけるYAGとは、イットリウム(Yittrium)、アルミニウム(Aluminium)、ガーネット(Garnet)のそれぞれの頭文字に由来する。YVO4レーザにおけるYVO4とは、イットリウム・バナデート(YVO4)の略であり、固体レーザ発振器のレーザ媒質の一種を示している。レーザ光は、近赤外領域の波長に限るものではなく、紫外線やX線などの可視光よりも短い波長、また赤外線のような可視光より長い波長であってもよい。
レンズホルダ107および接合ピン108の当接部に照射されたレーザ光は、接合ピン108を通過してレンズホルダ107に到達する。レンズホルダ107を形成する樹脂材料はレーザ光を吸収する性質を有しているため、レンズホルダ107に到達したレーザ光はレンズホルダ107に吸収され、レンズホルダ107において熱エネルギーに変換される。レンズホルダ107において光エネルギーから変換された熱エネルギーは、レンズホルダ107におけるレーザ光の照射部分を昇温させる。レンズホルダ107においては、融点より高い温度まで昇温した箇所の樹脂材料のみが溶融し、その結果、溶着位置204において溶融プールが形成される。
レンズホルダ107には接合ピン108が当接しているため、レンズホルダ107において発生した熱エネルギーは、接合ピン108に伝導し、接合ピン108の温度を昇温させる。接合ピン108においては、融点より高い温度まで昇温した箇所の樹脂材料のみが溶融し、その結果、溶着位置204において溶融プールが形成される。
溶着位置204において、レンズホルダ107で溶融プールを形成する樹脂材料と接合ピン108で溶融プールを形成する樹脂材料とは、相溶性を有しているため互いに混ざり合い、1つの溶融プールを形成する。1つの溶融プールは、レンズホルダ107を形成する樹脂材料および接合ピン108を形成する樹脂材料を含んでいる。
レンズホルダ107および接合ピン108は、相溶性を有する樹脂材料を用いて形成されているため、レンズホルダ107における溶融プールと接合ピン108における溶融プールとによって形成される1つの溶融プール内においては、レンズホルダ107を形成する樹脂材料および接合ピン108を形成する樹脂材料が均一にムラなく混ざり合う。
レンズホルダ107と接合ピン108とによって1つの溶融プールが形成された後、レーザ光の照射を停止すると、1つの溶融プールにおける樹脂材料の温度が低下して固化する。固化した1つの溶融プールは、レンズホルダ107の一部をなすとともに、接合ピン108の一部をなす。すなわち、1つの溶融プールにおける樹脂材料の温度が低下して固化することにより、1つの溶融プールを形成していた樹脂材料を介してレンズホルダ107および接合ピン108が接合される。
レーザ光は、小さな照射範囲で正確な位置を照射することができるので、レンズホルダ107および接合ピン108において接合したい箇所のみに溶融プールを形成し、接合することができる。これによって、接合箇所の美観を損ねることなく、レンズホルダ107と接合ピン108とを接合することができる。
一方、接合ピン108における斜面に照射されたレーザ光は、斜面をなす底部302において反射されて、押さえ環102および接合ピン108の当接部に到達する。押さえ環102を形成する樹脂材料はレーザ光を吸収する性質を有しているため、レンズホルダ107と同様に、押さえ環102および接合ピン108の当接部に到達したレーザ光は押さえ環102に吸収され、押さえ環102において熱エネルギーに変換される。
押さえ環102において光エネルギーから変換された熱エネルギーは、押さえ環102におけるレーザ光の照射部分を昇温させる。押さえ環102においては、融点より高い温度まで昇温した箇所の樹脂材料のみが溶融し、その結果、溶着位置205において溶融プールが形成される。
押さえ環102には接合ピン108が当接しているため、押さえ環102において発生した熱エネルギーは、接合ピン108に伝導し、接合ピン108の温度を昇温させる。接合ピン108においては、融点より高い温度まで昇温した箇所の樹脂材料のみが溶融し、その結果、溶着位置204において溶融プールが形成される。溶着位置204において、押さえ環102で溶融プールを形成する樹脂材料と接合ピン108で溶融プールを形成する樹脂材料とは、相溶性を有しているため互いに混ざり合い、1つの溶融プールを形成する。1つの溶融プールは、押さえ環102を形成する樹脂材料および接合ピン108を形成する樹脂材料を含んでいる。
押さえ環102および接合ピン108は、相溶性を有する樹脂材料を用いて形成されているため、押さえ環102における溶融プールと接合ピン108における溶融プールとによって形成される1つの溶融プール内においては、押さえ環102を形成する樹脂材料および接合ピン108を形成する樹脂材料が均一にムラなく混ざり合う。
押さえ環102と接合ピン108とによって1つの溶融プールが形成された後、レーザ光の照射を停止すると、1つの溶融プールにおける樹脂材料の温度が低下して固化する。固化した1つの溶融プールは、押さえ環102の一部をなすとともに、接合ピン108の一部をなす。すなわち、1つの溶融プールにおける樹脂材料の温度が低下して固化することにより、1つの溶融プールを形成していた樹脂材料を介して押さえ環102および接合ピン108が接合される。
レーザ光は、小さな照射範囲で正確な位置を照射することができるので、レンズホルダ107および接合ピン108において接合したい箇所、および、押さえ環102および接合ピン108において接合したい箇所のみに溶融プールを形成し、接合することができる。これによって、接合箇所の美観を損ねることなく、レンズホルダ107と接合ピン108、および、押さえ環102と接合ピン108とを接合することができる。
レーザ光を照射する箇所は、1箇所であってもよいし複数箇所であってもよい。レーザ光を複数箇所に照射する場合、光軸Cを中心とする同一円周上にレーザ光を照射することが好ましい。また、レーザ光を複数箇所に照射する場合、光軸Cを中心とする同一円周上において、等間隔にレーザ光を照射することが好ましい。また、レーザ光を複数箇所に照射する場合、各箇所を同時あるいは短時間内に照射することが好ましい。
図5は、接合ピンの別の形状を示す説明図である。図5において、接合ピン501は、略円柱形状をなし、外側の一部が切り欠かれた形状をなしている。接合ピン501は、接合ピン108と比較して、接合ピン108の内側をくり抜くようにくぼんだ穴部301に代えて切り欠きを備えている。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置は、レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材の一例としてのレンズホルダ107と、光軸方向においてレンズホルダ107に隣り合って配置され、レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材の一例としての押さえ環102と、レンズホルダ107および押さえ環102に対して相溶性を有するとともにレーザ光を透過する材料によって形成され、レンズホルダ107および押さえ環102に対してレーザ溶着によって固定された接合用部材の一例としての接合ピン108と、を備えたことを特徴としている。
上記の構成とすることによって、レンズホルダ107および押さえ環102の間に間隙が存在するためにレンズホルダ107と押さえ環102とを直接当接させることが困難である場合にも、レンズホルダ107および押さえ環102にレーザ溶着される接合ピン108を介して、レンズホルダ107と押さえ環102との相対的な位置関係を短時間で固定することができる。
このように、レンズホルダ107および押さえ環102と接合ピン108とをレーザ溶着によって固定することによって、たとえば硬化の途中で体積収縮をともなう接着剤を用いて固定する場合のように、固定に際して、レンズホルダ107と押さえ環102との相対的な位置関係がずれることを防止し、レンズホルダ107と押さえ環102との相対的な位置関係を確実に固定することができる。
これによって、互いの間に間隙が存在するレンズホルダ107および押さえ環102を接着剤を用いて固定する従来の方法のように、接着剤を用いて固定することに起因してレンズホルダ107と押さえ環102との相対的な位置関係がずれることを防止することができる。そして、これによって、レンズ群100を備えたレンズ装置における光学性能の低下を抑制することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置によれば、接合ピン108が、光軸方向において押さえ環102を貫通し、レンズホルダ107に当接する第1の当接部(溶着位置204を参照)と、押さえ環102に当接する第2の当接部(溶着位置205を参照)と、入射したレーザ光を第2の当接部に向けて反射する反射面部と、を有し、溶着位置204においてレンズホルダ107に対してレーザ溶着によって固定され、溶着位置205において押さえ環102に対してレーザ溶着によって固定されたことを特徴とするため、レンズホルダ107および押さえ環102に対して、それぞれ第1の当接部および第2の当接部において確実に当接しているため、単一の接合ピン108を用いて、レンズホルダ107と押さえ環102との相対的な位置関係を確実に固定することができる。
また、接合ピン108に照射したレーザ光を、斜面で反射して第2の当接部に照射することにより、溶着位置205がレーザ光を直接照射することが困難な位置である場合にも、溶着位置205において溶融プールを確実に形成し、押さえ環102と接合ピン108とを確実に接合することができる。
このように、溶着位置205を直接照射するためのレーザ光照射用の孔などをレンズホルダ107や押さえ環102に設けることなく押さえ環102と接合ピン108とを確実に接合することができるので、たとえばレーザ光照射用の孔から不要な外光が入射することによる、レンズ装置における光学性能の低下を抑制することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置は、レンズホルダ107および押さえ環102が、それぞれ、同一種類の基剤となる樹脂材料にレーザ光を吸収する材料を混合することによって形成され、接合ピン108は、レンズホルダ107および押さえ環102の基剤となる樹脂材料と同一種類の樹脂材料にレーザ光を透過する材料を混合することによって形成されていることを特徴としている。
上記の構成とすることにより、環境温度の変化によって各部材が膨張あるいは収縮して体積変化した場合にも、各部材の線膨張係数の違いによる第1レンズ101、第2レンズ201どうしの位置関係のずれや、第1レンズ101、第2レンズ201における歪みの発生を防止できる。そして、環境温度の変化による各部材の体積変化に起因する第1レンズ101、第2レンズ201どうしの位置関係のずれや、第1レンズ101、第2レンズ201どうしにおける歪みの発生を防止することにより、レンズ装置における光学性能の低下を抑制することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置によれば、反射面部の一例としての底部302が、溶着位置205に向かって光軸方向に対して傾斜した平面であることを特徴とするため、溶着位置205までにレーザ光を照射するための構成あるいは光路を複雑にすることなく、簡易な構成によって、入射したレーザ光を溶着位置205に向けて反射することができる。
上記実施の形態1のレンズ装置においては、溶着位置205に向かって光軸方向に対して傾斜した平面からなる斜面によって反射面部を実現するようにしたが、これに限るものではない。具体的には、たとえば入射したレーザ光が溶着位置205において集光するようにレンズ状に湾曲した曲面によって反射面部を実現するようにしてもよい。このような曲面によって実現される反射面部を備えた接合ピン108とすることにより、入射したレーザ光を所望の位置に集光し、レーザ光を効率よく利用することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置によれば、レンズホルダ107によって保持され、ガラス材料によって形成された第1のレンズの一例としての第1レンズ101と、押さえ環102によって保持され、樹脂材料によって形成された第2のレンズの一例としての第2レンズ201と、を備え、第1レンズ101と第2レンズ201との位置関係が、接合ピン108を介してレンズホルダ107と押さえ環102とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴としている。
上記の構成とすることにより、固定対象とする第1のレンズおよび第2のレンズの材質にかかわらず、レンズホルダ107と押さえ環102とを固定することによって、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で固定することができる。また、上記の構成とすることにより、レンズホルダ107および押さえ環102の間に間隙が存在するためにレンズホルダ107と押さえ環102とを直接当接させることが困難である場合にも第1のレンズと第2のレンズとをレーザ溶着によって固定することができ、第1のレンズと第2のレンズとの相対的な位置関係を短時間で精度よく固定することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置によれば、ガラス材料によって形成された第1レンズ101と、樹脂材料によって形成された第2レンズ201と、第1レンズ101を保持し、レーザ光を吸収する材料によって形成されたレンズホルダ107と、第2レンズ201を保持し、重なる方向においてレンズホルダ107に隣り合って配置され、レーザ光を吸収する材料によって形成された押さえ環102と、を備え、第1レンズ101と第2のレンズ201との位置関係が、レンズホルダ107と押さえ環102とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴としている。
上記の構成とすることにより、固定対象とする第1レンズ101および第2レンズ201の材質にかかわらず、レンズホルダ107と押さえ環102とを固定することによって、第1レンズ101と第2レンズ201との相対的な位置関係を短時間で固定することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置によれば、レンズホルダ107および押さえ環102に対して相溶性を有するとともにレーザ光を透過する材料によって形成され、レンズホルダ107および押さえ環102に対してそれぞれレーザ溶着によって固定された接合ピン108を備えたことを特徴としている。
上記の構成とすることにより、レンズホルダ107および押さえ環102の間に間隙が存在するためにレンズホルダ107と押さえ環102とを直接当接させることが困難である場合にも第1レンズ101と第2レンズ201とをレーザ用着によって固定することができ、第1レンズ101と第2レンズ201との相対的な位置関係を短時間で精度よく固定することができる。
また、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置を備えた撮像装置によれば、レンズホルダ107と押さえ環102との固定に際しての位置関係のずれを防止し、安定した撮像性能を確保することができる。さらに、この発明にかかる実施の形態1のレンズ装置を備えた撮像装置によれば、環境温度の変化に起因する膨張や収縮などの形状変化に起因して接合ピン108とレンズホルダ107あるいは押さえ環102との間に発生する応力を低減することができるので、これによってもレンズホルダ107と押さえ環102との位置関係のずれを防止し、安定した撮像性能を確保することができる。
(実施の形態2)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置の概略構成について説明する。この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置においては、実施の形態1と同じ部分については同一符号で示し、説明を省略する。
つぎに、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置の概略構成について説明する。この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置においては、実施の形態1と同じ部分については同一符号で示し、説明を省略する。
図6および図7は、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置が備えるレンズ群を示す説明図である。図6においては、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置が備えるレンズ群を、光軸に交差する方向から見た状態を示している。図7においては、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置が備えるレンズ群を、光軸を通り光軸に平行な平面で切断した断面を示している。
図6および図7において、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置は、レンズ群600を備えている。レンズ群600は、略四角柱形状の外観からなる接合ピン601を備えている。具体的には、接合ピン601は、光軸Cに直交する平面で切断した場合の断面が、正方形をなすような四角柱形状をなしている。接合ピン601は、光軸Cを中心とする同一円周上において、等間隔で3カ所に設けられている。各接合ピン601は、四角柱をなす外周の4面のうち1つの面(図8における符号802を参照)が、光軸Cを中心とする円の半径に直交するような向きで、押さえ環102に取り付けられている。
取り付け用の孔602は、接合ピン601がなす四角柱と同等の大きさの四角形状をなし、押さえ環102を光軸方向に貫通している。四角形状をなす取り付け用の孔602に四角形状をなす接合ピン601を挿入することによって、接合ピン601の位置を安定化することができる。
つぎに、接合ピン601の形状について説明する。図8−1、図8−2は、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置が備える接合ピン601を示す説明図である。図8−1、図8−2において、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置が備える接合ピン601は、押さえ環102と接合ピン601との当接部において接合ピン601を押さえ環102側に付勢する付勢機構801を備えている。
付勢機構801は、四角柱をなす外周の4面のうち1つの面802を、接合ピン601を形成する材料が有する弾性によって弾性変形させ、弾性変形させることによって発生する復元力を利用して接合ピン601を押さえ環102側に付勢する。具体的には、たとえば四角柱をなす外周の4面のうち1つの面802を他の3面に対して変位可能とするとともに、1つの面802の外周側に突起803を設ける。
これによって、接合ピン601の外径が、取り付け用の孔602の内径よりも突起803の分だけ飛び出すような形状となる。そして、このような形状の接合ピン601を取り付け用の孔602に挿入することによって、外周の4面のうち1つの面802を、飛び出した突起803の分だけ内側に位置するように、接合ピン601を変形させることができる。そして、この変形によって接合ピン601を押さえ環102側に付勢する復元力を発生させることができる。
つぎに、接合ピン601を用いた場合の、押さえ環102とレンズホルダ107との固定方法について説明する。図9は、この発明にかかる実施の形態2の押さえ環102とレンズホルダ107との固定方法を示す説明図である。図9において、整合ピン120を用いて押さえ環102とレンズホルダ107とを固定する場合、上述した実施の形態1の接合ピン601を用いた場合と同様にして、光軸方向および光軸Cに直交する面内における第1レンズ101と第2レンズ201との位置関係が定められた状態で、押さえ環102における取り付け用の孔602に接合ピン601を挿入する。
接合ピン601の断面は、突起803によって取り付け用の孔602の内径寸法よりも大きいことから、接合ピン601を取り付け用の孔602に挿入するだけで、四角柱をなす外周の4面のうち1つの面802を内側に変形させ、接合ピン601の外径が拡開する方向への復元力を発生させることができる。
接合ピン601の外径が拡開する方向への復元力は、接合ピン601を押さえ環102側に付勢する付勢力として作用する。これによって、接合ピン601を取り付け用の孔602に挿入するだけで、接合ピン601を押さえ環102側に付勢することができる。そして、接合ピン601を押さえ環102側に付勢することにより、接合ピン601の位置を一層安定化することができる。
接合ピン601が備える突起803は、1つの面802からの突出量がレンズホルダ107側の先端ほど小さくなるように、当該1つの面802から突出している。これによって、取り付け用の孔602に対して接合ピン601を容易に挿入することができ、レンズホルダ107と押さえ環102との固定作業における作業性の向上を図ることができる。
この実施の形態2においては、四角柱形状をなす接合ピン601としたが、接合ピン601の形状は四角柱形状に限るものではない。接合ピン601の形状は、三角柱、五角柱、六角柱、・・・などのように多角形状をなしていてもよい。また、接合ピン601は、角柱形状をなすものに限らず、円柱形状であってもよい。円柱形状をなす接合ピン601においては、接合ピン601の外周面に光軸に平行なスリットを2カ所以上設け、当該スリットによって区切られる部分に突起803を設けることによって、接合ピン601を押さえ環102側に付勢する付勢機構801を実現するようにしてもよい。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2のレンズ装置によれば、接合ピン601が、光軸方向を軸心の方向とする略角柱形状をなし、押さえ環102を貫通した状態において、軸心を中心とする円の外周方向へ向かって押さえ環102を付勢する付勢部の一例としての付勢機構801を備えていることを特徴とするため、押さえ環102を貫通した状態における接合ピン601の位置を安定化し、接合ピン601が押さえ環102から脱落することを防止することができる。これによって、接合ピン601を挿入した後の押さえ環102に対して、接合ピン601が落下しないような姿勢の制限を不要とし、光学装置の組み立て作業にかかる作業性の向上を図ることができる。
上述した実施の形態においては、レンズ装置などの光学装置への適用例を示したが、この発明にかかる部材連結機構は、光学装置への適用に限るものではない。この発明にかかる部材連結機構は、レーザ溶着を用いて固定される複数の部材を備えた各種の装置への適用することができる。
以上のように、この発明にかかる光学装置および撮像装置は、互いの位置関係が固定される複数の光学部材を備えた光学装置および当該光学装置を備えた撮像装置に有用であり、特に、固定される光学部材どうしが間隔を空けて配置される光学装置および当該光学装置を備えた撮像装置に適している。
101 第1レンズ
102 押さえ環
107 レンズホルダ
108 接合ピン
201 第2レンズ
601 接合ピン
102 押さえ環
107 レンズホルダ
108 接合ピン
201 第2レンズ
601 接合ピン
Claims (10)
- レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、
重なる方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、
前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定された接合用部材と、
を備えたことを特徴とする光学装置。 - 前記接合用部材は、前記重なる方向において前記第2の部材を貫通し、前記第1の部材に当接する第1の当接部と、前記第2の部材に当接する第2の当接部と、入射した前記レーザ光を前記第2の当接部に向けて反射する反射面部と、を有し、前記第1の当接部において前記第1の部材に対してレーザ溶着によって固定され、前記第2の当接部において前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定されたことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
- 前記第1の部材および前記第2の部材は、それぞれ、同一種類の基剤となる樹脂材料にレーザ光を吸収する材料を混合することによって形成され、
前記接合用部材は、前記基剤となる樹脂材料と同一種類の樹脂材料にレーザ光を透過する材料を混合することによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置。 - 前記反射面部は、前記第2の当接部に向かって前記重なる方向に対して傾斜した平面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光学装置。
- 前記反射面部は、入射した前記レーザ光が前記第2の当接部において集光するようにレンズ状に湾曲していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光学装置。
- 前記接合用部材は、前記重なる方向を軸心の方向とする略角柱形状をなし、前記第2の部材を貫通した状態において、前記軸心を中心とする円の外周方向へ向かって前記第2の部材を付勢する付勢部を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光学装置。
- 前記第1の部材によって保持され、ガラス材料によって形成された第1のレンズと、
前記第2の部材によって保持され、樹脂材料によって形成された第2のレンズと、
を備え、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの位置関係は、前記接合用部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学装置。 - ガラス材料によって形成された第1のレンズと、
樹脂材料によって形成された第2のレンズと、
前記第1のレンズを保持し、レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、
前記第2のレンズを保持し、重なる方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、
を備え、
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの位置関係は、前記第1の部材と前記第2の部材とをレーザ溶着によって固定することによって固定されていることを特徴とする光学装置。 - 前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してそれぞれレーザ溶着によって固定された接合用部材を備えたことを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
- レーザ光を吸収する材料によって形成された第1の部材と、
光軸方向において前記第1の部材に隣り合って配置され、前記レーザ光を吸収する材料によって形成された第2の部材と、
前記第1の部材および前記第2の部材に対して相溶性を有するとともに前記レーザ光を透過する材料によって形成され、前記第1の部材および前記第2の部材に対してレーザ溶着によって固定された接合用部材と、
前記第1の部材および前記第2の部材を介して受光した外光を電気信号に変換する撮像用の光電変換素子と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
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JP2008314324A JP2010139625A (ja) | 2008-12-10 | 2008-12-10 | 光学装置および撮像装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-12-10 JP JP2008314324A patent/JP2010139625A/ja active Pending
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