JP2010139575A - シースルー型ヘッドマウント表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シースルー型ヘッドマウント表示装置を使用して実像の近地点と遠地点との間を交互に見る場合に、観察者が見る対象がずれることにより投影像により形成される虚像がぼやけるなどの画像品質が低下することを防止する。
【解決手段】観察者の網膜11に投影像を投影して虚像を形成する前記投影装置2に、実像を形成する作業空間の奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定部6と、投影像の焦点深度を調整する焦点深度調整部5とを設け、奥行き範囲指定部6が指定した奥行き範囲に基づいて投影像の焦点深度を設定する。
【選択図】図1
【解決手段】観察者の網膜11に投影像を投影して虚像を形成する前記投影装置2に、実像を形成する作業空間の奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定部6と、投影像の焦点深度を調整する焦点深度調整部5とを設け、奥行き範囲指定部6が指定した奥行き範囲に基づいて投影像の焦点深度を設定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、観察者の網膜に投影装置から投影像を直接投影して、外界の実像と投画像による虚像を重畳して見ることができるシースルー型ヘッドマウント表示装置(以下、シースルー型HMDという。)に関する。
シースルー型のヘッドマウント表示装置は、外界を見ながら同時にビディオ画像を見ることができる次世代表示装置として注目されている。例えば、特許文献1にこの種の画像表示装置が記載されている。光ビーム走査型の投影装置を眼鏡フレームに取り付け、投影装置からの投影光をハーフミラーにより反射させて観察者の目の網膜に直接像を形成する。更に、観察者はハーフミラーを介して外界も見ることができる。そのため、観察者は外界の実像と投影装置からの虚像とを同時に見ることができる。
図9(a)は、実像の遠近に応じて眼が自動的に焦点を合わせる様子を表している。眼球50は、レンズの機能を有する水晶体51と外界の実像を結像させる網膜52を備えている。遠地点PAに位置する物体Aに焦点が合っている状態(実線)から、近地点PBに位置する物体Bに見る対象を移すと、眼の水晶体51は厚みを厚くして網膜52上に焦点が合うように調節する(破線)。
図9(b)は、ハーフミラー54を介して投影装置53から投影像を網膜52に投影している様子を表している。投影像の形成は、光ビームを点滅させながら一筆書きのように走査して一画面を形成する。一画面を、例えば60回/secの速度で繰り返して形成する。この走査を図9(b)は、その投影像を網膜52上に投影している状態を表している。走査する光ビームは、所定のビーム径dを有している。光ビームはレンズの機能を有する水晶体51により屈折され、網膜52上に焦点を結ぶ。
いま、投影装置53から投影される投影像の焦点が、観察者が遠地点PAの物体Aを見ている状態に合わせてある。すなわち、観察者が物体Aを見ているときは、投影像による虚像の焦点も合っているので、虚像をはっきり見ることができる。その後、観察者が見る対象を物体Bに移したときは、図9(a)で説明したように、水晶体51の厚さが変化する。その結果、破線で示すように、光ビーム55は網膜52上で焦点を結ばなくなる。これは、投影像による虚像のピントがずれた状態である。そのため、観察者が近くの物体Bを見るときは、虚像はぼやけて見えることになる。逆に、予め近地点PBに虚像の位置を設定しておき、観察者が見る対象を遠地点PAに移したときは、虚像は同様にピントがずれた状態となる。
特許文献1は、投影装置53から投影する虚像の提示位置、即ち投影像の焦点距離を、光ビームの波面を変更して調整可能とすることを記載している。例えば、物体Aを見るときは、投影装置53から投影される虚像を遠地点PAに設定し、物体Bを見るときは、虚像の近地点PBに設定する。具体的には、圧電体からなる圧電アクチュエーターを用いて光ビームの波面を変更し、投影像による虚像の焦点距離を変更する。また、見ている物体の距離を観察者の頭部の傾斜角や姿勢により検出し、検出された距離に応じて虚像の焦点距離を設定する。
また、特許文献2には、音響光学装置や電子光学装置を用いて光ビームの波面を変更することにより、虚像の距離を変更可能とする構成が記載されている。また、カメラのオートフォーカス機構を用いて物体の距離を測長し、この距離に基づいて虚像の距離を設定することが記載されている。
特開2008−176096号公報
特表2002−529801号公報
しかしながら、観察者は遠地点と近地点を視野内に入れて、頭部を動かさないで遠地点を見たり近地点を見たりする。観察者の水晶体はそのたびに厚さを変更し、像が網膜上に焦点を結ぶように調節している。このような観察者の動作においては、注視している対象物と観察者との間の距離を特許文献1や特許文献2に記載される方法では検出することができない。そのため、投影像による虚像の位置を、注視している外界の実像の位置に追随させることができない。また、観察者の注視している位置を検出し、その都度注視対象との間の距離を測長し、虚像の位置を調節するようにしようとすると、装置が複雑でかつ重くなり、HMDを使用する観察者に負担がかかる。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で、投影装置により形成される虚像の焦点距離を外界の実像の奥行きの範囲に応じて調整できるようにして、距離の異なる実像を見る場合でも虚像が鮮明に見えるシースルー型ヘッドマウント表示装置を提供することである。
本発明においては上記課題を解決するために以下の手段を講じた。
請求項1に係る発明においては、外界の作業空間である実景に、投影装置から投影される投影像により形成される虚像を重畳して視認可能とするシースルー型ヘッドマウント表示装置であって、前記投影装置は、前記作業空間の遠端と近端との奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定部と、前記投影像の焦点距離を調整する焦点距離調整部と、を備え、前記焦点距離調整部は、前記指定された奥行き範囲の中間に前記投影像の焦点距離を設定するシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項2に係る発明においては、前記投影装置は、前記投影像の焦点深度を調整する焦点深度調整部を備え、前記焦点深度調整部は、前記指定された奥行き範囲に基づいて前記投影像の焦点深度を設定する請求項1に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項3に係る発明においては、前記投影装置は、前記作業空間の遠端と近端の距離を測定する距離測定部を備え、前記奥行き範囲指定部は、前記距離測定部により測定された遠端と近端の距離に基づいて前記作業空間の奥行き範囲を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項4に係る発明においては、前記投影装置は、作業の種類を識別する作業識別情報と、前記作業空間の奥行き範囲とを対応付けた対応表を記憶する記憶部と、作業の種類を入力する入力部とを備え、前記奥行き範囲指定部は、前記入力部から作業の種類を入力することにより前記記憶部に記憶された前記対応表を参照して、前記作業空間の奥行き範囲を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項5に係る発明においては、前記奥行き範囲指定部は、前記焦点深度調整部に対して前記投影像の焦点深度を指定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項6に係る発明においては、前記投影装置は、画像情報に応じて変調されたレーザー光からなる光ビームを出射する光源部と、前記光源部からの光ビームを走査する光スキャナ部と、前記走査された光ビームを観察者の網膜に導くリレー光学系とを更に備え、前記焦点深度調整部は、前記光源部と前記光スキャナ部との間に設置され、前記光源部から出射された光ビームのビーム径を調整するビーム径調整部と、前記指定された奥行き範囲に基づいて前記ビーム径調整部を制御するビーム径制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項7に係る発明においては、前記ビーム径調整部は、可変絞り部であることを特徴とする請求項6に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項8に係る発明においては、前記ビーム径調整部は、可変ビームエキスパンダであることを特徴とする請求項6に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置とした。
請求項1の構成としたことにより、作業空間の遠端と近端の奥行き範囲を設定でき、奥行き範囲の中間に投影像の焦点距離を設定するので、観察者が近地点を見る場合と遠地点を見る場合とを頻繁に繰り返しても投影像による虚像がぼやけて画像品質が低下することを防止することができる。
請求項2の構成としたことにより、指定された奥行き範囲に基づいて焦点深度を設定するので、観察者は作業空間のどの地点を見ても虚像の焦点が合った高品質の画像を見ることができる。
また、請求項3の構成としたことにより、作業空間の遠端と近端の距離を測定するので、観察者の作業の種別に関係なく、投影像による虚像がぼやけて像品質が低下することを防止することができる。
また、請求項4の構成としたことにより、シースルー型HMDに作業空間の遠端と近端の奥行きを測定するための検出装置等を設置する必要がないので、装置全体の構成を簡単にして、作業に応じた高品質の虚像を見ることができる。
また、請求項5の構成としたことにより、投影像の焦点深度も作業空間の奥行き範囲に合わせて指定されるので、投影像による虚像の品質をより向上させることができる。
また、請求項6の構成としたことにより、レーザー光による光ビームのビーム径を調節して投影像の焦点深度を調節するので、より深い焦点深度を得ることができる。
また、請求項7の構成としたことにより、ビーム径調整部を可変絞部としたので、装置の構成を簡単化することができる。
また、請求項8の構成としたことにより、ビーム径調整部を可変エキスパンダとしたので、焦点深度を変更しても投影される虚像の明るさを略一定に保持することができる。
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の基本的な実施形態1に係るシースルー型HMD1の構成図である。シースルー型HMD1は、投影装置2とハーフミラー9から構成されている。外界からの光はハーフミラー9を通して、又はハーフミラー9の周囲を通過して眼球10に導入される。投影装置2から出射された投影光は、ハーフミラー9により反射されて眼球10に導入される。従って、眼球10の網膜11には外界の像と投影装置2からの投影像が結像し、観察者には外界の実像に投影像による虚像が重畳されて見える。
図1は、本発明の基本的な実施形態1に係るシースルー型HMD1の構成図である。シースルー型HMD1は、投影装置2とハーフミラー9から構成されている。外界からの光はハーフミラー9を通して、又はハーフミラー9の周囲を通過して眼球10に導入される。投影装置2から出射された投影光は、ハーフミラー9により反射されて眼球10に導入される。従って、眼球10の網膜11には外界の像と投影装置2からの投影像が結像し、観察者には外界の実像に投影像による虚像が重畳されて見える。
投影装置2は、外部から入力された画像信号を処理して同期信号や輝度信号を生成する表示制御部3と、表示制御部3からの輝度信号により変調された光ビームを出射する光源部4と、光源部4から射出される光ビームのビーム径を制御して投影像の焦点距離を調整する焦点距離調整部5と、観察者が見ている作業空間の近端(以下、近地点という。)及び遠端(以下、遠地点という。)の奥行き範囲を決定する奥行き範囲指定部6と、表示制御部3から同期信号を入力して、光ビームを走査する光スキャナ部7と、走査された光ビームをハーフミラー9に導くリレー光学系8と、を備えている。なお、遠地点(遠端)、近地点(近端)は、必ずしも観察者が見ている作業空間における最遠地点、最近地点を意味しない。観察者が見ている作業空間において注目する範囲内の遠地点、近地点を意味する。
本発明の基本的な構成は、奥行き範囲指定部6により指定された作業空間の奥行き範囲に基づいて、焦点距離調整部18が投影装置2により形成される投影像の焦点距離を変更することである。具体的には、網膜上に投影される投影像の焦点距離を調節することにより、観察者が見る虚像の焦点距離が作業空間の遠地点と近地点の間に入るようにする。より具体的には、焦点距離を奥行き範囲の中央部に設定する。これにより、観察者が作業空間の遠地点を見る場合にも、また近地点を見る場合にも、投影される投影像、すなわち虚像の焦点が大きく外れることが無い。従って、観察者が近地点を見る場合と遠地点を見る場合とを頻繁に繰り返しても投影像による虚像がぼやけて画像品質が低下することを防止することができる。
更に、本発明の実施形態1においては、投影像の焦点深度を調節可能な焦点深度調整部5を設けている。焦点深度調整部5は、奥行き範囲指定部6により指定された作業空間の奥行き範囲に基づいて、投影装置2により形成される投影像の焦点深度を設定する。より具体的には、焦点距離調整部18により設定される焦点距離を中心にして、奥行き範囲指定部6により指定された作業空間の奥行き範囲に合致するように、焦点深度調整部6が投影像の焦点深度を設定する。これにより、観察者が作業空間内のどの対象を見ていても、投影される投影像により形成される虚像は焦点が合う。つまり、観察者が見ている視点が、距離の近い近地点と距離の遠い遠地点との間を行き来する場合にも、投影像により形成される虚像の焦点はぼけることがない。
焦点距離調整部18は、観察者の網膜上に結像する投影像の焦点距離を調節する。例えば、リレー光学系8を構成するレンズの位置を移動させることにより投影像の焦点距離を変更することができる。また、光スキャナ7に照射されるコリメート光の波面曲率を、波面調整部47により変更させて、投影像の焦点距離を調節することができる。
焦点深度調整部5は、投影像を形成する光ビームのビーム径を調整する。光ビームのビーム径が細くなれば、投影像の焦点深度は深くなる。しかし、ビーム径が細くなれば、光スキャナの反射面や光学系のレンズ表面の傷や付着した異物等に投影像が左右されやすくなる。また、焦点深度が深くなると投影像の解像度は低下するので、投影装置2の画素数を減少させる必要も出てくる。従って、通常はビーム径はある広がりを持った所定の大きさに設定され、奥行き範囲指定部6からの奥行き範囲に応じて光ビームのビーム径が調節される。
奥行き範囲指定部6は、観察者が変化させる近地点と遠地点との間の距離に対応する情報を指定する。焦点距離調整部18は、奥行き範囲指定部6から遠地点と近地点の距離情報を取得して、この中間の位置に虚像が位置するように投影像の焦点距離を設定する。焦点深度調整部5は、奥行き範囲指定部6から作業空間のこの距離情報を取得して、光ビームのビーム径を調節することにより所定の焦点深度を設定する。ここで、奥行き範囲とは、例えば、観察者が作業しながら見る作業空間の近地点と遠地点との間の距離情報をいう。距離情報は、具体的な距離であってもよいし、距離を置き換えた記号等であっても良い。観察者は、視野内に奥行きのある作業空間を見ているときは、眼球の水晶体の焦点を、作業空間の手前側の近地点と奥側の遠地点との間で常に変化させている。
表示制御部3は、投影装置2全体の動作の制御を行う。また、表示制御部3は、外部から入力された画像信号に基づいて、光源部4から発光する光ビームの強度を変調するための輝度信号を生成する。光源部4は、光源としての半導体レーザー、半導体レーザーの発光を制御するレーザドライバ、ダイクロイックミラーや光学系を含む。光スキャナ部7は、入射した光ビームを走査して投影像を形成するための走査光ビームを出射する。より具体的には、光スキャナ部7は、高速走査と、この高速走査に直交する方向に低速走査を行い、2次元投影像を生成する。高速走査と低速走査を1台の光スキャナで行なわれてもよいし、高速走査と低速走査を夫々分離して2台の光スキャナで行なわれてもよい。リレー光学系8及びハーフミラー9は、観察者の眼球10に走査された光ビームを導く。
次に、奥行き範囲指定部6について、具体的に説明する。奥行き範囲指定部6は、作業空間の遠地点と近地点との間の奥行き範囲を指定する。図2は、観察者Xが机Tの上の文書Dを見ている状態の側面図である。観察者Xの視野には机T上の文書D全体が含まれている。観察者Xは手前側の文書DBを見たり、奥側の文書DAを見たりする。観察者Xが奥側の文書DAを見るときの文書までの距離をLA、手前側の文書DBまでの距離をLBとして、この場合の奥行き範囲δDは、δD=(LA−LB)である。奥行き範囲指定部6は、例えば奥行き範囲として奥行き範囲δDを指定する。
投影装置2は、観察者が見ている実像と観察者との間の距離を測定する距離測定部を備えることができる。距離測定部として、例えば超音波測距離計を利用することができる。観察者は、シースルー型HMD1を装着した状態で、現在の作業における近地点を正面にして向く。そして、観察者は、投影装置2を操作するために設けられた操作部を操作して、超音波測距離計から超音波を出射させて、近地点と目の距離LBを測定する。次に、観察者は、現在の作業における遠地点を正面にして向く。そして、操作部を操作して、超音波測距離計から超音波を出射させて、遠地点と目の距離LAを測定する。奥行き範囲指定部6は、測定した近地点と遠地点との間の奥行き範囲δDを算出する。焦点距離調整部18は、奥側の文書DAまでの距離LAと手前側の文書DBまでの距離LBに基づいて、投影像によって形成される虚像の位置を概ねその中間部に位置するように、光ビームの焦点距離を設定する。また、焦点深度調整部5は、奥行き範囲δDの奥行き範囲に基づいて、虚像の焦点深度を概ねδDとするように、光ビームのビーム径を調節する。
また、超音波測距離計の代わりに、オートフォーカス機構を有するカメラがシースルー型HMD1に設置されてもよい。カメラのオートフォーカス機構を利用して距離を求めることができる。すなわち、コントラストが最大となるようフォーカスのあったカメラレンズの調整位置とフォーカスのあった対象物までの距離は対応しているので、レンズの調整位置から距離を求めることができる。カメラで撮像したフォーカス調整に用いる映像をシースルー型HMD1に表示し、オートフォーカスに用いられる映像範囲を確認することでより正確に近地点、遠地点を指定することができる。
他の態様として、予め記憶部が設けられており、作業を表す作業識別情報(以下、作業IDという。)と奥行き量を表す奥行き範囲とを対応付けた対応表が記憶部に記憶されている。観察者はこれから行う作業を操作部から入力する。奥行き範囲指定部6は、入力された作業の作業IDに基づいて記憶部に記憶された平均距離と奥行き範囲を特定し、焦点距離調整部18と焦点深度調整部5に与える。この構成によれば、観察者が見ている実像の距離を測定する距離測定部を必要としないので、投影装置2の構成をより簡素化することができる。
図3は、上記対応表の一例を表しており、作業の種類と奥行き範囲としての奥行き範囲δDとを対応付けている。作業IDの「1」は、机上作業を表し、奥行き量は1m、平均距離は0.4mである。作業IDの「2」はプレゼンテーションを想定している。発表者は、シースルー型HMDを装着して、プロジェクタを使用しながらプレゼンテーションを行う。発表者は、プロジェクタから投影された画像と、その聴衆を交互に見ながら発表している。この場合、奥行き範囲δDは8mで、平均距離は6mである。作業ID3は、散策の場合を表し、近景と遠景とを交互に見る場合を想定しており、奥行き量は100mで、平均距離は100mである。焦点距離調整部18は、奥行き指定部6により指定された平均距離に基づいて光ビームの焦点距離を設定し、この光ビームにより形成される虚像の位置をこの平均距離とすることができる。また、焦点深度調整部5は、上記のように、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に基づいて、光ビームのビーム径を調整して投影像の焦点深度を調整し、この投影像により形成される虚像の焦点深度を設定することができる。
これにより、作業空間の平均的な距離に虚像の焦点距離を合わせ、同時に、虚像の焦点深度を作業空間の遠地点と近地点の奥行き範囲をカバーするように設定することができる。その結果、観察者は、注視点が作業空間の遠地点と近地点のどの位置であっても、ピントがぼけない虚像を見ることができる。
また、作業空間の遠地点と近地点の距離を測定するための距離測定部として、カメラのオートフォーカス機構と同様に、CCD等からなる撮像素子、フォーカス調整部及び画像解析部により構成することができる。フォーカス調整部によりフォーカスを変化させたときの画像データを被写体の領域ごとに解析して、作業空間の領域ごと、すなわち遠地点と近地点との奥行き範囲やその距離を検出することができる。また、オートフォーカス機構に変えて三角法により測長することもできる。この場合は、観察者の両眼球近傍に撮像素子を設置して、撮像した画像を三角法に基づいて解析し、作業空間の遠地点と近地点の奥行き範囲や距離を検出することができる。
次に、焦点距離調整部18について、具体的に説明する。光ビームを走査して投影像を網膜上に形成する網膜走査型の投影装置2の場合には、網膜上に走査される光ビームの焦点距離を調整することにより、虚像が見える位置を調整することができる。従って、アクチュエーター等によりリレー光学系8を構成するレンズの位置を移動させて、光ビームの焦点位置を調整することができる。焦点距離調整部18は、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に基づいて、例えば指定された奥行き範囲の中間の位置に焦点距離を設定するように、リレー光学系8を制御する。
また、網膜走査型の投影装置2の場合には、光ビームの波面の曲率を調整することにより、焦点距離を調整することができる。図8は、波面変調部47の構成を表す模式図である。波面変調部47は、入射光ビームを分割するビームスプリッタ50と、ビームスプリッタ50からの反射光ビームを絞る凸レンズ51と、凸レンズからの入射光ビームを凸レンズ51に反射するミラー52と、ミラー52の位置を光軸55方向に移動させる可動部53と、可動部53を固定する支持体54a、54bとから構成されている。ここで、可動部53は、ミラー52と凸レンズ51との距離が、凸レンズ51の焦点距離f以下になる様にミラー52の位置を移動させる。焦点距離調整部18は、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に基づいて、可動部53の位置を調整して、投影像の焦点距離を調節する。
次に、焦点深度調整部5について、具体的に説明する。図4は、本発明の実施形態に係るシースルー型HMD1に使用される焦点深度調整部5の例を示し、図4(a)は可変絞り部13の概念図を表し、図4(b)は可変絞り部13の模式図を表す。図4(a)に示されるように、可変絞り部13は、光源部4から出射され、コリメートされた入射光ビーム15のビーム径を絞り機構Sにより変更して出射光ビーム16として出射する。図4(b)に示されるように、可変絞り部13は、ケーシングKと、その内周に摺動可能に設置された複数のブレードBRと、矢印方向に回転させることにより複数のブレードBRにより形成される開口部17の開口径を可変するノッチNにより構成されている。ノッチNを上方に回動させることにより開口部17の開口径は縮小し、投影像の焦点深度は深くなる。その結果、投影像により形成される虚像の焦点深度も深くなる。なお、絞り機構Sは、図示しないアクチュエーター、例えばステッピングモータにより駆動して、奥行き範囲指定部6からの指定奥行き範囲に応じて、開口部17の開口径を設定することができる。
図5は、本発明に実施形態に係るシースルー型HMD1に使用される他の焦点深度調整部5の他の実施例を表し、可変ビームエキスパンダ14の概念図である。一例として、可変ビームエキスパンダ14は、3つのレンズR1、R2、R3により構成される。可変ビームエキスパンダ14は、光源部4から出射され、コリメートされた入射光ビーム15のビーム径を、レンズR2とR3を光軸に沿って移動させることにより可変して、出射光ビーム16として出射する。可変ビームエキスパンダ14を使用すれば、光量を減少させないで光ビームのビーム径を変更することができる。従って、投影像の明るさを一定に保持することができる。レンズR1に対して、レンズR2、R3をモータ等のアクチュエーターにより移動可能に構成することができる。
なお、焦点深度調整部5として、上記構成に代えて、光ビームの光軸に直交する方向に開口径の異なる複数のスリットを設けて、手動又はアクチュエーターによりスリットを選択してビーム径を変更可能に構成することができる。また、焦点深度調整部5のビーム径調整部として、液晶素子を用いて光ビームが通過するビーム径が変更されてもよい。
(実施形態2)
図6は本発明の実施形態2に係るシースルー型HMD1の構成図を表す。本実施形態2は投影装置2の具体例を表している。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
図6は本発明の実施形態2に係るシースルー型HMD1の構成図を表す。本実施形態2は投影装置2の具体例を表している。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
シースルー型HMD1は、投影装置2とハーフミラー9から構成されている。投影装置2は、画像信号の処理及び装置の制御を行う表示制御部3と、画像信号により変調された光を発光する光源部4と、光源部4から発光した光ビームのビーム径を調整するビーム径調整部45と、網膜上に結像させる投影像の焦点距離を調整するための波面調整部47と、変調された光ビームを走査する光スキャナ部7a、7bと、光スキャナ部7a、7bによって走査された走査光ビームをハーフミラー9に導くリレー光学系8と、観察者が見ている実像の奥行き範囲及び距離を検出する距離測定部43と、投影像の制御を行う投影像制御部48から構成されている。以下、各構成部について説明する。
表示制御部3は、投影装置2の装置全体を制御する制御部20と、入力した画像信号を処理して投影像を生成するための画像信号処理回路21と、観察者が投影装置2を操作するための操作部26を備えている。また、投影像制御部48は、距離測定部43から作業空間の奥行き範囲を測長した測長情報に基づいて奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定部6と、ビーム径調整部45を制御するためのビーム径制御部44と、波面調整部47を制御する焦点距離制御部18を備えている。ここで、ビーム径調整部45とビーム径制御部44により焦点深度調整部5が構成される。また、波面調整部47と焦点距離制御部18により焦点距離調整部が構成される。
制御部20は、プログラムの実行を制御するCPU25と、投影装置1の動作を制御するメインプログラム、距離測定部43の駆動を制御する奥行き範囲指定プログラム、焦点深度調整部5の駆動を制御する焦点深度調整プログラム、焦点距離調整部の駆動を制御する焦点距離調整プログラム等を格納するROM22と、CPU31がROM32からプログラムを読み出して、その作業領域として使用するRAM23と、外部から入力された画像信号が変換された画像データを記憶するVRAM24を備えている。即ち、奥行き範囲指定部6は奥行き範囲指定プログラムを実行することにより実現され、ビーム径制御部44は焦点深度調整プログラムを実行することにより実現され、焦点距離制御部18は焦点距離調整プログラムを実行することにより実現される。
画像信号処理回路21は、外部から入力された画像信号及びVRAM24から入力された画像データを処理して2次元画像を生成するための各種信号を生成する。画像信号処理回路21は、入力された画像信号から水平同期信号及び垂直同期信号を生成して水平走査ドライバ37及び垂直走査ドライバ40に供給する。また、画像信号処理回路21は、Rレーザドライバ28R、Gレーザドライバ28G及びBレーザドライバ28Bの夫々に、赤色輝度信号、緑色輝度信号及び青色輝度信号の夫々を時系列的に供給する。
奥行き範囲指定部6は、距離測定部43からの作業空間の実像に関する距離情報から作業空間の遠地点と近地点との間の奥行き範囲情報を生成する。ビーム径制御部44は、この奥行き範囲情報に基づいて、ビーム径調整部45を制御する。
ビーム径調整部45は、コリメート光学系36から出射される光ビームのビーム径を調整する。ビーム径調整部45として図4に示す可変絞り部13が使用される場合には、ビーム径調整部45は絞り機構Sをアクチュエーターにより駆動して光ビームを所望のビーム径に調整する。ビーム径調整部45として図5に示す可変ビームエキスパンダが使用される場合には、ビーム径調整部45はレンズR2、R3の位置をアクチュエーターにより駆動して光ビームを所望のビーム径に調整する。
ビーム径制御部44は、例えば、遠地点と近地点の奥行き範囲が広い場合は、光源部4から出射される光ビームのビーム径を小さくするようにビーム径調整部45を制御する。これにより、投影像の焦点深度は深くなる。ビーム径制御部44は、遠地点と近地点の奥行き範囲が狭い場合は、光源部4から出射される光ビームのビーム径を大きくするようにビーム径調整部45を制御する。これにより、投影像の焦点深度は浅くなる。
波面調整部47は、投影像の焦点距離を調整して観察者が見る虚像の位置を調整する。図8を用いて説明する。ビーム径調整部45から入射したコリメートされた光ビームは、ビームスプリッタ50、凸レンズ51、ミラー52、凸レンズ51を経由して再びビームスプリッタ50に入射し、水平走査光スキャナ38に向けて出射される。入射光ビームがコリメート光であり、ミラー52の位置が凸レンズ51の焦点距離fに位置するときは、水平走査光スキャナ38に向けて出射される光ビームもコリメート光であり、その波面はフラットである。この光ビームにより形成される投影像、即ち観察者が観察する虚像の位置は無限遠である。ミラー52の反射面が凸レンズ51の焦点距離fの位置よりも凸レンズ51側に移動すると、ビームスプリッタ50から出射される出射光ビームの波面は進行方向に対して凸状になる。その結果、観察者の眼球10は、出射光ビームが有限距離の物体から放射されたかのように振舞うので、この光ビームにより形成される投影像、即ち観察者が観察する虚像の位置は近づく方向に変化する。このように、波面調整部47により投影像の焦点距離の調整が可能となり、虚像の位置が調整される。
焦点距離制御部18は、奥行き範囲指定部6からの奥行き範囲情報に基づいて、波面調整部47を制御する。奥行き範囲情報には作業空間の遠地点と近地点の距離情報が含まれている。焦点距離制御部18は、この距離情報から、例えば遠地点と近地点の中間点の距離を算出する。焦点距離制御部18はこの中間点の距離に基づいて波面調整部47のミラー52の位置を制御して、光ビームの波面の曲率を調整する。中間点の距離が大きい場合、即ち観察者の見ている作業空間が平均的に遠い場合には、焦点距離調整部46は、光ビームの波面が平らになる方向、即ち、波面調整部47のミラー52を凸レンズ51の反対方向へ移動させるように制御する。中間点の距離が小さい場合、即ち観察者の見ている作業空間が平均的に近い場合には、焦点距離調整部46は、光ビームの波面が光ビームの進む方向に対して凸状になる方向、即ち、波面調整部47のミラー52を凸レンズ51の方向へ移動させるように制御する。これにより、作業空間の距離に応じて投影像の結像する位置を調整することができ、観察者が見ている虚像の焦点距離を調整することが可能となる。
このように、作業空間の平均的な距離に虚像の焦点距離を合わせ、同時に、虚像の焦点深度を作業空間の遠地点と近地点の奥行き範囲をカバーするように設定することができる。その結果、観察者は、注視点が作業空間の遠地点と近地点の間のどの位置であっても、ピントがぼけない虚像を見ることができる。
操作部26は、投影装置2に情報を入力するための入力機能を有する。例えば、作業空間の作業内容を入力する。また、距離測定部43により、作業空間の遠地点及び近地点の測長の際の入力手段として使用する。
光源部4は、レーザダイオード29R、29G、29Bと、各レーザダイオード29R、29G、29Bを駆動するためのレーザドライバ28R、28G、28Bと、各レーザダイオード29R、29G、29Bが発光した赤色光ビーム、緑色光ビーム、青色光ビームの夫々をコリメートするコリメート光学系30、31、32と、各色の光ビームを合成するダイクロイックミラー33と、ダイクロイックミラー33からの合成光を光ファイバ35に導入するための結像光学系34と、光ファイバ35から出射される光ビームをコリメートするコリメート光学系36とから構成されている。
光スキャナ部7aは、焦点深度調整部5によりビーム径が調整された光ビームを水平方向に走査する水平走査光スキャナ38と、水平走査光スキャナ38を駆動する水平走査ドライバ37を備えている。水平走査ドライバ37は、画像信号処理回路21から入力された水平駆動信号に従って水平走査光スキャナ38の反射部を矢印方向に揺動させる。リレー光学系39は光スキャナ部7aから出射される走査光ビームを光スキャナ部7bに導く。光スキャナ部7bは、入射した走査光ビームを垂直方向に走査する垂直走査光スキャナ41と、垂直走査光スキャナ41を駆動する垂直走査ドライバ40を備えている。垂直走査ドライバ40は、画像信号処理回路21から入力された垂直駆動信号に従って垂直走査光スキャナ41の反射部を揺動させる。リレー光学系42は、水平及び垂直に走査された走査光ビームをハーフミラー9に向けて出射する。ハーフミラー9から反射された走査光ビームにより、観察者の網膜11上に投影像が形成される。観察者はこの投影像を虚像として視認することができる。
距離測定部43は、観察者の作業空間の奥行き範囲を検出する。距離測定部43として、例えば超音波測距離計を使用することができる。制御部20の奥行き範囲指定部6の制御の元に、超音波測距離計は超音波を出射しその反射波を検出し、作業空間の遠地点及び近地点の距離を測長する。奥行き範囲指定部6は、観察者が観察する作業空間の奥行き範囲を指定する。なお、奥行き範囲指定部6は、検出した遠地点と近地点の奥行き範囲をビーム径制御部44に与え、更に、検出した遠地点及び近地点の中間点の距離を算出して、焦点距離制御部18に与える。
また、距離測定部43に代えて、ROM22又は他の記憶部に図3に示すような対応表を記憶して、この対応表から作業空間の奥行き範囲及び平均距離を指定することができる。例えばプレゼンテーションを行う場合、観察者は操作部26から作業IDの2を入力する。すると、奥行き範囲指定部6はこの一覧表を参照して、奥行き範囲δD=8m、平均距離L=6mを指定する。ビーム径制御部44は、ビーム径調整部45を制御して、虚像の焦点深度が8mとなるビーム径に設定する。更に、焦点距離制御部56は、波面調整部47を制御して、虚像の焦点距離が6mになるように光ビームの波面曲率を設定する。これにより、比較的簡単な構成で、観察者が注視点を頻繁に移動する場合でも、ボケのない虚像を見ることができる。
また、ビーム径調整部45として、図4に示すような絞り機構Sを使用する場合には、スリットの開口部の開口径を縮小させるに従い、レーザダイオード29R、29G、29Bの発光強度が強くなるように、制御することができる。絞り機構Sの開口径が小さくなるに従い、スリットを通過する光ビームの強度が低下し、観察者が見る虚像の明るさが低下する。この明るさの低下を防止するために、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に関連付けて、画像信号処理回路21から出力される輝度信号が画像信号処理回路21又は制御部20により調整されるようにすればよい。
以上の構成により、観察者は奥行きのある実像を見ながら手前側と奥側に頻繁に視点を移動させても、その度に投影される虚像がぼやけて虚像の品質が劣化することを防止することができる。なお、上記の投影装置2の各構成要素を一体的に筐体に組み込むことができる。一体的に組む込むことにより、装置全体をコンパクトに構成することができる。また、投影装置2を、表示制御部3及び光源部4を含む本体と、焦点深度調整部5、光スキャナ部7、リレー光学系8、距離測定部43をヘッドマウント部とに分離して構成してもよい。このように分離すれば、観察者の頭部に装着するヘッドマウント部の重量を軽くすることができ、装着による観察者への負担を軽減することができる。また、光スキャナとして、水平走査光スキャナ38と垂直走査光スキャナ41とを分離し、これらの間にリレー光学系39を設置したが、これに代えて、水平走査光スキャナ38と垂直走査光スキャナ41とを一体的に構成することができる。これにより、構成部品点数を減少させて、よりコンパクトに、且つ、軽量化を図ることができる。
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3に係るシースルー型HMD1の情報処理方法を表すフローチャート図である。図7(a)は、メイン情報処理方法を表すフローチャート図であり、図7(b)は、近地点と遠地点間の奥行き範囲指定処理の一例を表すフローチャート図であり、図7(c)は、近地点と遠地点間の奥行き範囲指定処理の他の一例を表すフローチャート図である。
図7は、本発明の実施形態3に係るシースルー型HMD1の情報処理方法を表すフローチャート図である。図7(a)は、メイン情報処理方法を表すフローチャート図であり、図7(b)は、近地点と遠地点間の奥行き範囲指定処理の一例を表すフローチャート図であり、図7(c)は、近地点と遠地点間の奥行き範囲指定処理の他の一例を表すフローチャート図である。
メイン情報処理方法を、図7(a)を用いて説明する。観察者は操作部26の奥行き測定ボタンを押下して、メイン情報処理を開始する。奥行き範囲指定部6は、近地点と遠地点の奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定処理を実行する(ステップS1)。焦点距離調整部18は、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に基づいて、焦点距離を決定する。更に、焦点深度調整部5は、奥行き範囲指定部6により指定された奥行き範囲に基づいて、焦点深度を決定する(ステップS2)。リレー光学系8又は波面調整部47は、設定された焦点距離に基づいて投影像の焦点距離を調節する。更に、焦点深度調整部5のアクチュエーターの可動範囲を設定する。焦点深度調整部5は、アクチュエーターに可動範囲に応じた駆動信号を与えて駆動し、焦点深度を調節する(ステップS3)。例えば、アクチュエーターがステッピングモータの場合は、ステッピングモータに与えるパルス数を設定して、焦点深度を調整する。
次に、図7(b)を用いて、奥行き範囲指定処理の一例を説明する。距離測定部として超音波測距離計が用いられる場合である。表示制御部3は、近地点を正視したかどうかの表示を行う(ステップS4)。観察者は、作業を行う視野内の近地点を正視して、操作部26の測定開始ボタンを押下する(ステップS4のY)。すると、超音波測距離計は近地点に向けて超音波を出射し、その反射波を検出する。超音波測距離計は、出射波に対する反射波の遅延時間から近地点の距離を算出する(ステップS5)。観察者が操作部26から入力しない場合は(ステップS4のN)、待ちの状態となる。表示制御部3は、遠地点を正視したかどうかの表示を行う(ステップS6)。観察者は、作業を行う視野内の遠地点を正視して、操作部26の測定開始ボタンを押下する。すると、上記と同様に、超音波測距離計は、超音波を出射し、反射波を検する。超音波測距離計は、出射波に対する反射波の遅延時間から遠地点の距離を算出する(ステップS7)。観察者が操作部26から入力しない場合は(ステップS6のN)、待ちの状態となる。奥行き範囲指定部6は、近地点の距離と遠地点の中間の距離を算出し、また遠地点と近地点の距離との差を計算して奥行き範囲を指定する(ステップS8)。
次に、図7(c)を用いて、奥行き範囲指定処理の他の一例を説明する。奥行き範囲指定部6は、作業IDと奥行き範囲δDの対応表を参照して奥行き範囲を指定する場合である。表示制御部3は、奥行き範囲を指定するかどうかの表示を行う(ステップS9)。観察者は、操作部26から奥行き範囲を指定する旨の入力を行うと(ステップS9のY)、表示制御部3は、奥行き作業の一覧表を表示する。観察者は、これから作業しようとする作業を特定する作業IDを入力する(ステップS10)。奥行き範囲指定部6は、記憶部、例えばROM22から読み出した対応表を参照して、入力された作業IDに対応する奥行き範囲δDを指定し(ステップS11)、奥行き範囲を指定する。観察者は、奥行き範囲を指定しないときは操作部からその旨を入力すると(ステップS9のN)、奥行き範囲指定部6によって奥行き範囲δDが指定されない。
以上説明したように、超音波測距離計により測長し、或いは作業IDと奥行き量との対応表から奥行き範囲を特定し、光ビームのビーム径を調整して焦点深度を調整する方法は、複雑な測定や画像処理を行う必要なく、高品質の虚像を映し出すことができる。
1 シースルー型ヘッドマウント表示装置
2 投影装置
3 表示制御部
4 光源部
5 焦点深度調整部
6 奥行き範囲指定部
7 光スキャナ部
8 リレー光学系
9 ハーフミラー
10 眼球
11 網膜
2 投影装置
3 表示制御部
4 光源部
5 焦点深度調整部
6 奥行き範囲指定部
7 光スキャナ部
8 リレー光学系
9 ハーフミラー
10 眼球
11 網膜
Claims (8)
- 外界の作業空間である実景に、投影装置から投影される投影像により形成される虚像を重畳して視認可能とするシースルー型ヘッドマウント表示装置であって、
前記投影装置は、前記作業空間の遠端と近端との奥行き範囲を指定する奥行き範囲指定部と、前記投影像の焦点距離を調整する焦点距離調整部と、を備え、
前記焦点距離調整部は、前記指定された奥行き範囲の中間に前記投影像の焦点距離を設定するシースルー型ヘッドマウント表示装置。 - 前記投影装置は、前記投影像の焦点深度を調整する焦点深度調整部を備え、前記焦点深度調整部は、前記指定された奥行き範囲に基づいて前記投影像の焦点深度を設定する請求項1に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。
- 前記投影装置は、前記作業空間の遠端と近端の距離を測定する距離測定部を備え、
前記奥行き範囲指定部は、前記距離測定部により測定された遠端と近端の距離に基づいて前記作業空間の奥行き範囲を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。 - 前記投影装置は、作業の種類を識別する作業識別情報と、前記作業空間の奥行き範囲とを対応付けた対応表を記憶する記憶部と、作業の種類を入力する入力部とを備え、
前記奥行き範囲指定部は、前記入力部から作業の種類を入力することにより前記記憶部に記憶された前記対応表を参照して、前記作業空間の奥行き範囲を指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。 - 前記奥行き範囲指定部は、前記焦点深度調整部に対して前記投影像の焦点深度を指定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。
- 前記投影装置は、画像情報に応じて変調されたレーザー光からなる光ビームを出射する光源部と、前記光源部からの光ビームを走査する光スキャナ部と、前記走査された光ビームを観察者の網膜に導くリレー光学系とを更に備え、
前記焦点深度調整部は、前記光源部と前記光スキャナ部との間に設置され、前記光源部から出射された光ビームのビーム径を調整するビーム径調整部と、前記指定された奥行き範囲に基づいて前記ビーム径調整部を制御するビーム径制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。 - 前記ビーム径調整部は、可変絞り部であることを特徴とする請求項6に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。
- 前記ビーム径調整部は、可変ビームエキスパンダであることを特徴とする請求項6に記載のシースルー型ヘッドマウント表示装置。
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