JP2010139415A - 非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置 - Google Patents

非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】接触超音波探傷検査方法と同等ないしそれ以上に傷の検出精度及び検出能力を向上させ得る非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置を提供する。
【解決手段】被検査体Wを挟んで送信側探触子3及び受信側探触子4を被検査体Wの両側に所定の距離をおいて各々配置し、送信側探触子3から超音波を被検査体Wに向けて送信すると共に、被検査体Wを透過した超音波を受信側探触子5で受信させて、透過した超音波の振幅値により被検査体W内部の傷の有無を判別するに際して、送信側探触子3と被検査体Wとの間の空間を耐圧壁10で覆うと共に、受信側探触子5と被検査体Wとの間の空間を耐圧壁11で覆い、これらの耐圧壁10,11で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する空気をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成して、送信側探触子3から超音波を被検査体Wに向けて送信させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検査体、例えば、航空機やロケットの構造部材であるCFRPなどの複合材の内部に傷が存在しているか否かを判別するのに用いられる非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置に関するものである。
従来において、例えば、上記したCFRPなどの複合材の内部における傷の有無を確認する場合には、接触媒質である水に浸した複合材に探触子を接触させて超音波をあてる水浸式超音波探傷検査方法や、接触媒質であるグリセリンを局部的に塗布した複合材に探触子を接触させて超音波をあてる局部水浸式超音波探傷検査方法などの接触超音波探傷検査方法が広く用いられている。
このような水やグリセリンを接触媒質とする接触超音波探傷検査方法では、水槽などの付帯設備を必要とすると共に、乾燥工程を設ける必要があり、加えて、接着直後などのように検査を行えない時間帯が生じる、すなわち、時間的な制約を受けるといったデメリットがあることから、近年では、これらのデメリットをなくすべく、空気を接触媒質とする非接触超音波探傷検査方法が考えられている。
この非接触超音波探傷検査方法では、被検査体を挟んで送信側探触子及び受信側探触子を被検査体の両側に所定の距離をおいてそれぞれ配置して、送信側探触子から空気を介して超音波を被検査体に入射させ、これにより被検査体を透過した超音波を空気を介して受信側探触子で受けさせて、この透過した超音波の振幅値により被検査体内部の傷の有無を判別するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−128965号公報
ところが、上記した従来の非接触超音波探傷検査方法では、超音波が伝播し難い空気を接触媒質としているので、水やグリセリンを接触媒質とする接触超音波探傷検査方法と比べて、SN比(Signal to Noise ratio)が低い分だけ傷の検出精度が高くなく、加えて、高周波成分の減衰も大きいことから、被検査体の内部の微細な傷の検出が困難であるという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、超音波の伝播特性を向上させることで、高いSN比を得ることができると共に、高周波成分の減衰を少なく抑えることが可能であり、その結果、水やグリセリンを接触媒質とする接触超音波探傷検査方法の欠点を払拭したうえで、この接触超音波探傷検査方法と同等ないしそれ以上に傷の検出精度及び検出能力を向上させることができる非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1に係る非接触超音波探傷検査方法は、被検査体を挟んで送信側探触子及び受信側探触子を該被検査体の両側に所定の距離をおいてそれぞれ配置し、前記送信側探触子から超音波を被検査体に向けて送信すると共に、この被検査体を透過した超音波を前記受信側探触子で受信させて、この透過した超音波の振幅値により前記被検査体内部の傷の有無を判別するに際して、少なくとも前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を高密度雰囲気にして、前記送信側探触子から超音波を被検査体に向けて送信させる構成としたことを特徴としており、この非接触超音波探傷検査方法の構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
ここで、超音波の伝播において、接触媒質1と接触媒質2との界面での伝達エネルギ効率E12は、媒質密度ρ及び音速vとの積で表される接触媒質1の音響インピーダンスをZ、接触媒質2の音響インピーダンスをZとすると、式(1)で表される。
12=(2Z/(Z+Z))・(Z/Z
4Z/(Z+Z 式(1)
本発明に係る非接触超音波探傷検査方法のように、送信側探触子からの超音波を空間を介して被検査体にあて、この被検査体を透過する送信側探触子からの超音波を空間を介して受信側探触子で受ける場合において、上記空間に存在する気体を空気とすると共に探触子を構成する振動子をセラミックス製とし、被検査体を鋼とすると、空気の音響インピーダンスZair、振動子(セラミックス)の音響インピーダンスZceramics及び鋼の音響インピーダンスZsteelは、それぞれ式(2)〜(4)で表される。
air=1.3(kg・m−3)×340(m・s−1
=4.42×10(kg・m−2.s−1) 式(2)
ceramics=7400(kg・m−3)×4000(m・s−1
=2.96×10(kg・m−2.s−1) 式(3)
steel=7800(kg・m−3)×5920(m・s−1
=4.62×10(kg・m−2.s−1) 式(4)
振動子と空気との界面での伝達エネルギ効率は、
式(1)においてZ=Zair,Z=Zceramicsとすれば、
5.97×10−5になるので、振動子→空気→振動子の伝達は、式(5)で表され、
(5.97×10−5=3.57×10−9 式(5)
同じく空気と鋼との界面での伝達エネルギ効率は、
式(1)においてZ=Zair,Z=Zsteelとすれば、
3.83×10−5になるので、振動子→空気→鋼→空気→振動子の伝達は、式(6)で表される。
(5.97×10−5×(3.83×10−5=5.23×10−18
式(6)
そこで、例えば、空気を5気圧に加圧すると、音速がほぼ不変なので密度が5倍になることから、振動子と空気との界面での伝達エネルギ効率は、2.99×10−4となり、空気と鋼との界面での伝達エネルギ効率は1.91×10−4となって、
振動子→空気→振動子の伝達は、式(7)で表される。
(2.99×10−4=8.92×10−8 式(7)
つまり、式(5),式(7)を比較して判るように、空間に存在する空気を5気圧に加圧すると、大気圧中に比べて、約25倍のエネルギが伝達されることとなり、この際、音圧はエネルギ倍数の平方根、すなわち、(25)1/2=5(倍)=14dBになる。
そして、振動子→空気→鋼→空気→振動子の伝達は、式(8)で表され、
(2.99×10−4×(1.91×10−4=3.27×10−15
式(8)
式(6),式(8)を比較して判るように、空間に存在する空気を5気圧に加圧すると、大気圧中に比べて、約625倍のエネルギが伝達されることとなり、この際も、音圧はエネルギ倍数の平方根なので、(625)1/2=25(倍)=27dBになる。
被検査体がFRPである場合には、FRPの音響インピーダンスZFRPは、式(9)で表される。
FRP=1510(kg・m−3)×2900(m・s−1
=4.38×10(kg・m−2.s−1) 式(9)
空気とFRPとの界面での伝達エネルギ効率は、
式(1)においてZ=Zair,Z=ZFRPとすれば、
4.04×10−4になるので、
振動子→空気→FRP→空気→振動子の伝達は、式(10)で表され、
(5.97×10−5×(4.04×10−4=5.81×10−16
式(10)
上記と同じく、空気を5気圧に加圧すると、密度が5倍になることから、空気とFRPとの界面での伝達エネルギ効率は、2.02×10−3となり、
振動子→空気→FRP→空気→振動子の伝達は、式(11)で表される。
(2.99×10−4×(2.02×10−3=3.63×10−13
式(11)
この場合も、式(10),式(11)を比較して判るように、空間に存在する空気を5気圧に加圧すると、大気圧中に比べて、約625倍のエネルギが伝達され、音圧はエネルギ倍数の平方根なので、(625)1/2=25(倍)=27dBになる。
接触媒質1を気体とした場合には、音響インピーダンスZはZに比べて十分に小さいので、式(1)は式(12)として表され、
12=4Z/(Z+Z = 4Z/Z
式(12)
空間に存在する気体、例えば、空気を5気圧に加圧すると、伝達エネルギ効率は5倍となって、超音波の伝播特性が高まることとなり、境界面が二つのときは伝達エネルギ効率が5=25倍となり、境界面が四つのときは、5=625倍となる。
このように、送信側探触子と被検査体との間の空間及び受信側探触子と被検査体との間の空間に存在する接触媒質である気体に圧力を加えることで、高密度雰囲気が簡単に形成できることから、本発明に係る非接触超音波探傷検査方法において、高密度雰囲気を形成する手段として、空間に存在する接触媒質である気体に圧力を加える手段を採用することが望ましい。
そこで、本発明の請求項2に係る非接触超音波探傷検査方法では、少なくとも前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間に存在する気体及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する構成としている。
この際、本発明の請求項3に係る非接触超音波探傷検査方法のように、前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間を耐圧壁で覆うと共に、前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を耐圧壁で覆い、これらの耐圧壁で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する構成や、本発明の請求項4に係る非接触超音波探傷検査方法のように、前記送信側探触子,受信側探触子及び被検査体をチャンバ内に配置し、前記チャンバの内部に存在する気体を加圧して前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間に高密度雰囲気を形成する構成を採用することができるほか、本発明の請求項5に係る非接触超音波探傷検査方法のように、前記気体としてアルゴンガスや炭酸ガスなどの高密度の気体を用いる構成とすることができる。
なお、本発明に係る非接触超音波探傷検査方法において、送信側探触子と被検査体との間の空間及び受信側探触子と被検査体との間の空間を高密度雰囲気にする手段としては、送信側空間及び受信側空間に存在する気体を加圧するほかに、接触媒質にアルゴンガスや炭酸ガスなどの密度の高い気体を使用したり、雰囲気温度を下げたりする手段を採用することができる。
一方、本発明の請求項6に係る非接触超音波探傷検査装置は、本発明の請求項3に係る非接触超音波探傷検査方法を行うのに適した非接触超音波探傷検査装置であって、被検査体に所定の距離をおいて配置されて、前記被検査体に向けて超音波を発する送信側探触子と、前記被検査体を間にして前記信側探触子に対向し且つ前記被検査体に所定の距離をおいて配置されて、該被検査体を透過した超音波を受ける受信側探触子を備えた非接触超音波探傷検査装置において、前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間を覆う耐圧壁及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を覆う耐圧壁を設けると共に、前記耐圧壁で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する加圧手段を設けた構成としている。
この際、本発明の請求項7に係る非接触超音波探傷検査装置のように、前記気体としてアルゴンガスや炭酸ガスなどの高密度の気体を用いる構成とすることができる。
ここで、送信側空間及び受信側空間に存在する気体の加圧にあたっては、使用する加圧手段の加圧能力によって圧力の上限が定まるが、10dB(3倍)以上のSN比を得るために、少なくとも2気圧以上に加圧することが望ましく、また、傷の検出能力を高めるべく1MHzの超音波を発した際に、その周波数近傍に有意なピークを周波数分析データ上で出現させるために、少なくとも3気圧以上に加圧することが望ましい。
本発明に係る非接触超音波探傷検査方法では、被検査体の一方の側に所定の距離をおいて配置した送信側探触子からこの被検査体に向けて超音波を発すると、この超音波は被検査体に入射してそして透過し、この被検査体を透過した超音波は、被検査体の他方の側に所定の距離をおいて配置した受信側探触子に到達する。
このとき、送信側探触子と被検査体との間の空間、及び、受信側探触子と被検査体との間の空間は、いずれも高密度雰囲気としてあるので、音響インピーダンス的に音が透過し易くなって、すなわち、超音波の伝播特性が高まって、SN比が向上することとなる。
また、送信側探触子と被検査体との間の空間、及び、受信側探触子と被検査体との間の空間に存在する気体の平均自由行程が狭くなるので、高周波成分が減衰せずに伝わるようになり、その結果、被検査体内部の微細な傷をも検出し得ることとなる。
本発明の請求項1に係る非接触超音波探傷検査方法では、上記した構成としているので、水やグリセリンを接触媒質とする接触超音波探傷検査方法の欠点を払拭したうえで、この接触超音波探傷検査方法と同等ないしそれ以上に傷の検出精度及び検出能力を向上させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
また、本発明の請求項2に係る非接触超音波探傷検査方法では、上記した構成としているので、傷の検出精度及び検出能力をより向上させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
さらに、本発明の請求項4に係る非接触超音波探傷検査方法では、上記した構成としているので、本発明の請求項1に係る非接触超音波探傷検査方法と同じ効果が得られるのに加えて、既存の設備を用いて簡単に探傷検査を行うことができるという非常に優れた効果がもたらされる。
さらにまた、本発明の請求項3に係る非接触超音波探傷検査方法及び請求項6に係る非接触超音波探傷検査装置では、上記した構成としているので、本発明の請求項1に係る非接触超音波探傷検査方法と同じ効果が得られるのに加えて、簡単且つ確実に探傷検査を行うことができるという非常に優れた効果がもたらされる。
さらにまた、本発明の請求項5に係る非接触超音波探傷検査方法及び請求項7に係る非接触超音波探傷検査装置では、上記した構成としているので、傷の検出精度及び検出能力をより一層向上させることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
以下、本発明に係る非接触超音波探傷検査方法及び非接触超音波探傷検査装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る非接触超音波探傷検査装置の一実施形態を示しており、この実施形態では、被検査体がCFRP製の平板である場合を例に挙げて説明する。
図1に示すように、この非接触超音波探傷検査装置1は、被検査体Wの表面(図示上面)に所定の距離をおいて配置されたセラミックス製の振動子2を有する送信側探触子3と、被検査体Wを間にして送信側探触子3と対向し且つこの被検査体Wの裏面(図示下面)に所定の距離をおいて配置されたセラミックス製の振動子4を有する受信側探触子5と、送信側探触子3に出力信号を送って振動子2を振動させて超音波を送信させると共に、受信側探触子5の振動子4から送られる被検査体Wを透過した超音波の信号を受ける超音波送受信器6と、受けた信号を増幅する信号増幅器7と、増幅された信号を表示する信号表示器8を備えており、この非接触超音波探傷検査装置1では、送信側探触子3から超音波を被検査体Wに入射させ、これにより被検査体Wを透過した超音波を受信側探触子5で受けさせて、この透過した超音波の振幅値により被検査体W内部の傷の有無を判別するようになっている。
この場合、この非接触超音波探傷検査装置1は、送信側探触子3と被検査体W表面との間の空間を覆う耐圧壁10と、受信側探触子5と被検査体W裏面との間の空間を覆う耐圧壁11と、圧力調整器12を介して耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間内の空気(気体)をそれぞれ加圧する加圧手段としての加圧器13を備えており、この加圧器13を作動させて圧力調整器12を介して上記送信側空間及び受信側空間内の気体を加圧することで、これらの空間内に高密度雰囲気を形成するようにしている。
上記した非接触超音波探傷検査装置1によって非接触超音波探傷検査を行うに際しては、まず、加圧器13を作動させて耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間内の空気を加圧し、圧力調整器12により圧力を調整して、送信側空間及び受信側空間内に高密度雰囲気を形成する。
次いで、送信側空間及び受信側空間内を高密度雰囲気に保ったまま、被検査体Wの表面に所定の距離をおいて配置した送信側探触子3に対して、超音波送受信器6から出力信号を送って振動子2を振動させて超音波を送信させると、この超音波は被検査体Wに入射してそして透過し、この被検査体Wを透過した超音波は、被検査体Wの裏面に所定の距離をおいて配置した受信側探触子5の振動子4に到達する。
そして、超音波送受信器6が受信側探触子5の振動子4から送られる被検査体Wを透過した超音波の信号を受けると、この受けた信号が信号増幅器7で増幅されて信号表示器8で表示される。
このとき、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間はいずれも高密度雰囲気としてあるので、送信側探触子3から発せられた超音波が音響インピーダンス的に透過し易くなって、すなわち、超音波の伝播特性が高まって、信号表示器8で表示される信号のSN比が向上することとなる。
また、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間がいずれも高密度雰囲気になっているので、これらの空間に存在する空気の平均自由行程が狭くなって、高周波成分が減衰せずに伝わるようになり、その結果、被検査体Wの内部の微細な傷をも検出し得ることとなる。
したがって、水やグリセリンを接触媒質とする接触超音波探傷検査方法と同等ないしそれ以上の傷の検出精度及び検出能力が得られることとなる。
そこで、この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1の精度を評価するために、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間の両空間内をそれぞれ5気圧の高密度雰囲気に保ちつつ、超音波として0.33MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図2及び図3の結果を得た。この際、比較のため、従来の非接触超音波探傷検査方法の要領で、大気圧雰囲気中で超音波として0.33MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図9及び図10の結果を得た。
この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1では、図2の信号波形から判るように、50μsecまでのイニシャル波が少なく、200μsec近辺において被検査体Wを透過する超音波の波形が鮮明に表れているうえ、図3の周波数スペクトルから判るように、周波数0.33MHz付近においてノイズの少ないピークが表れているのに対して、従来の非接触超音波探傷検査方法では、図9の信号波形から判るように、50μsecまでのイニシャル波が非常に多いうえ、全体的にノイズが多く表れていて、200μsec近辺における被検査体Wを透過する超音波の波形と区別がつきづらく、加えて、図10の周波数スペクトルから判るように、周波数0.33MHz付近においてピークが表れているものの、その前後にノイズも多く表れている。
これらの結果から、この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1による探傷検査では、従来の非接触超音波探傷検査方法と比べて、超音波の伝播特性が高まってSN比が向上すること、すなわち、傷の検出精度が向上することが実証できた。
なお、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間の両空間内をそれぞれ2気圧の高密度雰囲気に保ちつつ、超音波として0.33MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図4の結果が得られ、この結果から、送信側空間及び受信側空間の両空間内の圧力を少なくとも2気圧程度に上げれば、被検査体Wを透過する超音波の波形が鮮明に表れて、傷の検出精度が向上することが実証できた。
また、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間の両空間内をそれぞれ3気圧の高密度雰囲気に保ちつつ、超音波として1MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図5の結果が得られ、比較のため、大気圧雰囲気中で超音波として1MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図11の結果が得られ、これらの結果から、1MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてた場合も、0.33MHzのバースト波3波の場合と同様に、気圧の増加に伴って被検査体Wを透過する超音波の波形がより鮮明に表れることが実証できた。
次に、この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1の性能を評価するために、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間の両空間内の圧力を大気圧雰囲気から5気圧まで1気圧ずつ上昇させる毎に、超音波として0.33MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図6及び図7の結果を得た。
この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1では、図6に示すように、加圧する毎に音圧(エコー高さ)が上昇し、送信側空間及び受信側空間の両空間内をそれぞれ5気圧の高密度雰囲気にしたときには、大気圧雰囲気での超音波の送信時、すなわち、従来の非接触超音波探傷検査方法による超音波の送信時と比べて、音圧が約25dBにまで上昇することが判る。
また、図7の縦軸の出力を対数で表した周波数スペクトルに示すように、送信側空間及び受信側空間の両空間内の加圧による音圧の上昇に伴って、0.6MHzや0.8MHz付近においてもピークが表れていることが判る、すなわち、高周波数成分が減衰せずに強く表れていることが判る(2気圧時及び4気圧時における波形省略)。
次いで、耐圧壁10,11で囲まれた送信側空間及び受信側空間の両空間内の圧力を大気圧雰囲気から5気圧まで1気圧ずつ上昇させる毎に、超音波として1MHzのバースト波3波を被検査体Wにあてたところ、図8の結果を得た。
この図8の縦軸の出力を対数で表した周波数スペクトルから、超音波として1MHzのバースト波3波を用いた場合には、超音波として0.33MHzのバースト波3波を用いた場合と比べて、3気圧程度の圧力において、0.9MHz付近に顕著なピークが見られることが判る、すなわち、より高周波数の成分が減衰せずに強く表れることが判る(2気圧時及び4気圧時における波形省略)。
これらの結果から、この実施形態における非接触超音波探傷検査装置1による探傷検査では、送信側空間及び受信側空間の両空間内をそれぞれ加圧して高密度雰囲気にすることで、超音波の伝播特性を高め得ることが実証でき、加えて、高周波数成分が増大すること、すなわち、傷の検出性能が向上することが実証できた。
この実施形態に係る非接触超音波探傷検査装置1では、送信側探触子3と被検査体Wとの間の送信側空間及び受信側探触子5と被検査体Wとの間の受信側空間の両空間内をそれぞれ高密度雰囲気にするにあたって、送信側空間及び受信側空間を耐圧壁10,11でそれぞれ覆い、これらの耐圧壁10,11で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する空気をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成するようにしているが、他の構成として、例えば、既存のチャンバ内に送信側探触子3,受信側探触子4及び被検査体Wを配置し、チャンバの内部に存在する空気を加圧して、送信側探触子3と被検査体Wとの間の空間及び受信側探触子5と被検査体Wとの間の空間に高密度雰囲気を形成する構成を採用することができる。
また、この実施形態に係る非接触超音波探傷検査装置1では、加圧する気体が空気である場合を示したが、空気に代えてアルゴンガスや炭酸ガスなどの密度の高い気体を使用してもよい。
さらに、この実施形態に係る非接触超音波探傷検査装置1では、送信側探触子3と被検査体Wとの間の空間及び受信側探触子5と被検査体Wとの間の空間を高密度雰囲気にするにあたって、送信側空間及び受信側空間に存在する気体を加圧するようにしているが、これに限定されるものではなく、送信側空間及び受信側空間に存在する接触媒質としてアルゴンガスや炭酸ガスなどの密度の高い気体を採用したり、送信側空間及び受信側空間の雰囲気温度を全体的に下げたりする手法を採用することができる。
なお、上記した実施形態では、被検査体がCFRP製の平板である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被検査体が鋼板である場合にも、本発明に係る非接触超音波探傷検査装置を適用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る非接触超音波探傷検査装置を簡略的に示す構成説明図である。 図1における非接触超音波探傷検査装置から超音波を発した際の信号波形を示すグラフである。 図1における非接触超音波探傷検査装置から発した超音波の周波数スペクトルを示すグラフである。 図1における非接触超音波探傷検査装置から圧力条件を変えて超音波を発した際の信号波形を示すグラフである。 図1における非接触超音波探傷検査装置からより高周波数の超音波を発した際の信号波形を示すグラフである。 図1の非接触超音波探傷検査装置において送信側空間及び受信側空間の圧力を変化させる際のエコー高さの変化を示すグラフである。 図1の非接触超音波探傷検査装置において送信側空間及び受信側空間の圧力を変化させる際の縦軸の出力を対数で表した超音波の周波数スペクトルを示すグラフである。 図1の非接触超音波探傷検査装置において送信側空間及び受信側空間の圧力を変化させる際の縦軸の出力を対数で表したより高周波数の超音波の周波数スペクトルを示すグラフである。 従来における非接触超音波探傷検査装置から超音波を発した際の信号波形を示すグラフである。 従来における非接触超音波探傷検査装置から発した超音波の周波数スペクトルを示すグラフである。 従来における非接触超音波探傷検査装置からより高周波数の超音波を発した際の信号波形を示すグラフである。
符号の説明
1 非接触超音波探傷検査装置
3 送信側探触子
5 受信側探触子
10,11 耐圧壁
13 加圧器(加圧手段)
W 被検査体

Claims (7)

  1. 被検査体を挟んで送信側探触子及び受信側探触子を該被検査体の両側に所定の距離をおいてそれぞれ配置し、前記送信側探触子から超音波を被検査体に向けて送信すると共に、この被検査体を透過した超音波を前記受信側探触子で受信させて、この透過した超音波の振幅値により前記被検査体内部の傷の有無を判別するに際して、
    少なくとも前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を高密度雰囲気にして、前記送信側探触子から超音波を被検査体に向けて送信させる
    ことを特徴とする非接触超音波探傷検査方法。
  2. 少なくとも前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間に存在する気体及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する請求項1に記載の非接触超音波探傷検査方法。
  3. 前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間を耐圧壁で覆うと共に、前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を耐圧壁で覆い、これらの耐圧壁で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する請求項2に記載の非接触超音波探傷検査方法。
  4. 前記送信側探触子,受信側探触子及び被検査体をチャンバ内に配置し、前記チャンバの内部に存在する気体を加圧して前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間に高密度雰囲気を形成する請求項2に記載の非接触超音波探傷検査方法。
  5. 前記気体として高密度の気体を用いる請求項2〜4のいずれか一つの項に記載の非接触超音波探傷検査方法。
  6. 被検査体に所定の距離をおいて配置されて、前記被検査体に向けて超音波を発する送信側探触子と、
    前記被検査体を間にして前記信側探触子に対向し且つ前記被検査体に所定の距離をおいて配置されて、該被検査体を透過した超音波を受ける受信側探触子を備えた非接触超音波探傷検査装置において、
    前記送信側探触子と前記被検査体との間の空間を覆う耐圧壁及び前記受信側探触子と前記被検査体との間の空間を覆う耐圧壁を設けると共に、前記耐圧壁で覆われた送信側空間及び受信側空間に存在する気体をそれぞれ加圧して高密度雰囲気を形成する加圧手段を設けた
    ことを特徴とする非接触超音波探傷検査装置。
  7. 前記気体として高密度の気体を用いる請求項6に記載の非接触超音波探傷検査装置。
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