JP2010138713A - 建設機械のエンジン吸気冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】インタクーラの大型化を招くことなく、また冷却ファンによる風量の増加によることなく、ターボチャージャで高加給され高温となった吸気の温度を燃焼に支障のない温度まで下げて、この温度を低下させた吸気をエンジンに供給することができる。
【解決手段】油圧ショベル101に設けられ、冷却ファン3と、ターボチャージャ9と、インタクーラ7と、インタクーラ上流配管11と、インタクーラ下流配管14と、冷却ファン3を囲むように配置されるファンシュラウド12とを備え、インタクーラ上流配管11の一部分を、冷却ファン3の下流であって冷却ファン3の外周近傍の位置に、冷却ファン3の回転方向に沿って延びるように設けた。例えば、インタクーラ上流配管11の上述した一部分は、ファンシュラウド12の上側部分に沿うように設けられる円弧状の第1配管部11dから成っている。
【選択図】図4

Description

本発明は、油圧ショベル等の建設機械に備えられ、熱交換器を冷却する風を生起させる冷却ファン、及び熱交換器に含まれエンジン吸気を冷却するインタクーラを有する建設機械のエンジン吸気冷却構造に関する。
油圧ショベル等のエンジン及び熱交換器が搭載された旋回体を有する建設機械に備えられるエンジン吸気冷却構造には、排ガス中の窒素酸化物などの濃度を小さくするために、熱交換器の中にインタクーラを含むものが多い。インタクーラは、ターボ加給されて断熱圧縮され例えば120℃程度の高温となったエンジン吸気を、所定の温度、例えば60℃程度までに冷却して充填効率を上げ、燃焼温度を低くし、これによって排ガス中のNOx(窒素酸化物)の発生を抑制するものである。
この種の従来の建設機械のエンジン吸気冷却構造として、例えば特許文献1に示されるものがある。この特許文献1に示される従来のエンジン吸気冷却構造には、エンジンを冷却する風を生起させる冷却ファンが備えられている。また、エンジンに供給される吸気を断熱圧縮するターボチャージャと、このターボチャージャから供給された吸気を冷却してエンジンに供給する上述のインタクーラとが備えられている。さらに、ターボチャージャで断熱圧縮された吸気をインタクーラに導くインタクーラ上流配管と、インタクーラで冷却された吸気をエンジンのインテーク部に導くインタクーラ下流配管も備えられている。
ターボチャージャで断熱圧縮された吸気は、このターボチャージャからインタクーラ上流配管を介してインタクーラに導かれ、冷却ファンによって生起された風によってインタクーラが冷却されることによりインタクーラ内に導かれた吸気が冷やされ、インタクーラからインタクーラ下流配管、インテーク部を介してエンジンに供給され、この吸気がエンジンの燃料の燃焼に活用される。
特開平11−280112号公報
ところで昨今、排ガス規制がより強化されてきており、排ガス中のNOxやHC(炭化水素)、PM(粒子状物質)の濃度を低減するためにターボチャージャで、今までよりも高加給にする傾向にある。この場合、ターボ加給されたエンジン吸気の温度は例えば150〜160℃程度まで上がり、その結果従前のインタクーラによっては例えば100℃程度までしかエンジン吸気の温度を下げることができなくなる。エンジンの燃焼温度が高くなることによる排ガスからの大量のNOxの排出を抑えるためには、上述した100℃程度の温度は高温すぎる温度であり、上述の60℃程度までエンジンに導かれる吸気の温度を下げることが必要になる。
このように高加給となるに際し、エンジンに導かれるエンジン吸気の温度を60℃程度まで下げるためには、今までよりもインタクーラを大型にすることが考えられる。あるいは、冷却ファンによってインタクーラに供給される風量を増加させることが考えられる。この場合、上述のようにインタクーラを大型にすると、インタクーラに係る製作コストが高くなるとともに、インタクーラによって占有される領域が大きくなることから、インタクーラの周囲の他の機器における配置設計に制約を与え、建設機械が小型のものである場合などにあっては、上述の他の機器の配置が難しくなる問題がある。また上述のようにインタクーラに供給される風量を増加させようとすると、大きな風量による騒音を生じてしまう。このような大きな風量による騒音を避けるために、上述の特許文献1に示されているように冷却ファンを複数台設け、1台当りの冷却ファンの風量を小さくして騒音を抑えることが考えられる。しかし、このように冷却ファンを複数台設けることは、冷却ファンに係る製作コストが高くなるとともに、冷却ファンによって占有される領域が大きくなることから、複数の冷却ファンの周囲の他の機器の配置設計に制約を与え、建設機械が小型のものである場合などにあっては、上述の他の機器の配置が難しくなる問題がある。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、インタクーラの大型化を招くことなく、また冷却ファンによる風量の増加によることなく、ターボチャージャで高加給され高温となった吸気の温度を、排ガスからのNOx濃度を規制値以下に抑えられる燃焼温度とすることができる温度まで下げて、この温度を低下させた吸気をエンジンに供給することができる建設機械のエンジン吸気冷却構造を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、エンジン及び熱交換器が搭載された旋回体を有する建設機械に設けられ、上記熱交換器を冷却する風を生起させる冷却ファンと、上記エンジンに供給される吸気を断熱圧縮するターボチャージャと、上記熱交換器に含まれ、上記ターボチャージャから供給された吸気を冷却して上記エンジンに供給するインタクーラと、上記ターボチャージャで断熱圧縮された吸気を上記インタクーラに導くインタクーラ上流配管と、上記インタクーラで冷却された吸気を上記エンジンのインテーク部に導くインタクーラ下流配管とを備えた建設機械のエンジン吸気冷却構造において、上記インタクーラ上流配管の一部分を、上記冷却ファンの下流であって上記冷却ファンの外周近傍の位置に、上記冷却ファンの回転方向に沿って延びるように設けたことを特徴としている。
このように構成した本発明は、ターボチャージャとインタクーラとを接続するインタクーラ上流配管のうちの冷却ファンの回転方向に沿って延びるように設けた一部分を、冷却ファンによって生起させた風によって冷却することができる。この場合、冷却ファンによって生起させた風の風速が大きな領域は、冷却ファンの下流の近傍であり、かつ冷却ファンによって遠心方向に吐き出される領域である。したがって、上述したインタクーラ上流配管の一部分は、冷却ファンによって生起される風の風速の大きい領域に配置されることになり、効率良く冷却される。これによりターボチャージャで高加給され従前に比べて高温となった吸気の温度を、吸気がインタクーラに導かれる前に、インタクーラ上流配管において冷却し始めることができる。これを、インタクーラの大幅な大型化を抑制して実現でき、また、冷却ファンによる風量を増加させることなく実現できる。すなわち、本発明は、インタクーラの大型化を招くことなく、また冷却ファンによる風量の増加によることなく、ターボチャージャで高加給され高温となった吸気の温度を、排ガスからのNOx濃度を減少させる燃焼温度とすることができる温度まで下げて、この温度を低下させた吸気をエンジンに供給することができる。
また、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、上記発明において、上記冷却ファンを囲むように配置されるファンシュラウドを備え、上記インタクーラ上流配管の上記一部分が、上記冷却ファンの回転方向に沿って延設され、上記ファンシュラウドの上側部分に沿うように形成される円弧状の第1配管部から成ることを特徴としている。
このように構成した本発明は、従来活用されていなかったファンシュラウドの上側部分付近のスペースを、インタクーラ上流配管の配置に有効に活用できるとともに、ファンシュラウド、冷却ファンの下流に配置される機器、部材等による制約を受けることなく、インタクーラ上流配管を冷却ファンの上側から取り付けることができ、インタクーラ上流配管の設置を容易に行なうことができる。
また、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、上記発明において、上記冷却ファンの回転軸方向と平行な方向に沿って位置する上記エンジンの両側部のうちの一方の側に上記ターボチャージャを配置し、他方の側に上記エンジンの上記インテーク部を配置し、上記インタクーラを、上記エンジンの上記インテーク部が配置される側に上記インテーク部に近接させて設け、上記インタクーラ上流配管が、上記円弧状の第1配管部と、この第1配管部の入口側と上記ターボチャージャとを接続する第2配管部と、上記第1配管部の出口側と上記インタクーラの上部側に形成される入口とを接続する第3配管部とを含み、上記インタクーラ下流配管が、上記インタクーラの下部側に形成される出口と上記エンジンの上記インテーク部とを接続する配管から成ることを特徴としている。
このように構成した本発明は、インタクーラの出口とエンジンのインテーク部とを接続するインタクーラ下流配管の長さを短くすることができる。インタクーラ下流配管が長すぎると、そのインタクーラ下流配管が高温環境に晒されることからインタクーラ下流配管を流れる吸気の温度が上昇しやすくなる。これに対して本発明は、この長さの短いインタクーラ下流配管を介して、インタクーラで冷却された吸気の温度上昇を抑えながら、吸気をエンジンに供給することができる。
また、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、上記発明において、上記インタクーラ上流配管の上記第1配管部、上記第2配管部、及び上記第3配管部のそれぞれを別体に設けるとともに、上記第1配管部と上記第2配管部とを接続する配管継手、及び上記第1配管部と上記第3配管部とを接続する配管継手を設けたことを特徴としている。
このように構成した本発明は、第1配管部と第2配管部とを接続する配管継手、及び第1配管部と第3配管部とを接続する配管継手を外し、ファンシュラウドの上側部分に沿うように設けられる円弧状の第1配管部を取り外すことにより、インタクーラを含む熱交換器、冷却ファン、及びインタクーラや冷却ファンの周辺に配置される機器のメンテナンスを容易に行なうことができる。
また、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、上記発明において、上記インタクーラ上流配管は、上記第1配管部と上記第2配管部と上記第3配管部とが一体化された1本の配管から成ることを特徴としている。
このように構成した本発明は、配管継手の数を減らしインタクーラ上流配管の単純化を実現でき、インタクーラ上流配管に係る組み込み作業性を向上させることができるとともに、インタクーラ上流配管に係る製作コストを安くすることができる。
また、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造は、上記発明において、上記インタクーラ上流配管の上記一部分を囲むように配置され、上記冷却ファンで生起された風を、上記インタクーラ上流配管の上記一部分方向へ案内する案内板を設けたことを特徴としている.
このように構成した本発明は、冷却ファンによって生起された風が案内板で案内されながらインタクーラ上流配管の一部分に供給されるので、このインタクーラ上流配管の一部分に対する冷却効率を高めることができる。また、冷却ファンの下流側に配置される機器等のメンテナンス時に、メンテナンス作業者が誤って高温となっているインタクーラ上流配管に接触することを案内板によって防ぐことができる。
本発明は、ターボチャージャで断熱圧縮された吸気をインタクーラに導くインタクーラ上流配管の一部分を、冷却ファンの下流であって、冷却ファンの外周近傍の位置に、冷却ファンの回転方向に沿って延びるように設けたことから、インタクーラ上流配管の一部分を冷却ファンによって生起させた風によって冷却し、これによりターボチャージャで高加給され従前に比べて高温となった吸気の温度を、この吸気がインタクーラに導かれる前にインタクーラ上流配管において冷却し始めることができる。すなわち、インタクーラを大幅に大型化することなく、また冷却ファンによる風量の増加によることなく、ターボチャージャで高加給され高温となった吸気の温度を、排ガスからのNOx濃度を減少させる燃焼温度とすることができる温度まで下げて、この温度に下げられた吸気をエンジンに供給することができる。これにより、今まで以上にターボチャージャが高加給される場合におけるインタクーラあるいは冷却ファンに係る製作コストを低減することができる。また、インタクーラあるいは冷却ファンによって占有される領域を小さく維持でき、インタクーラあるいは冷却ファンの周囲の他の機器における配置設計に対する制約を従来よりも緩和させることができる。したがって、建設機械が小型のものである場合でも、上述の他の機器の配置が容易になり、実用性に富む。
以下、本発明に係る建設機械のエンジン吸気冷却構造を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造が備えられる建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。
この図1に示すように、本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造が備えられる建設機械は、例えば油圧ショベルであり、この油圧ショベル101は、走行体105と、この走行体105上に設けられる旋回体112と、この旋回体112に上下方向の回動可能に装着されるフロント作業機113とを備えている。旋回体112の旋回フレーム102上の前側位置にはキャビン103が配置され、後側位置には重量バランスを確保するカウンタウエイト104が配置されている。
フロント作業機113は、旋回体112に上下方向の回動可能に取り付けられるブーム106と、このブーム106の先端に上下方向の回動可能に取り付けられるアーム108と、このアーム108の先端に上下方向の回動可能に取り付けられるバケット110とを含んでいる。また、ブーム106を駆動するブームシリンダ107と、アーム108を駆動するアームシリンダ109と、バケット110を駆動するバケットシリンダ111も含んでいる。
キャビン103とカウンタウエイト104の間には、側面を形成する建屋カバー31や、上面を形成する建屋カバー34等の建屋カバーによって構成されるエンジン室1が配置されている。例えば側面を形成する建屋カバー31には、外気を取り入れる開口部21が形成されている。
図2は図1に示される油圧ショベルに備えられる旋回体の平面図、図3は図2の要部を拡大して示した本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す平面図、図4は本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す斜視図、図5は本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す側面図である。
これらの図に示すように、エンジン室1は、一方の側面を形成する建屋カバー31,32、他方の側面を形成する建屋カバー33、上面を形成する前述の建屋カバー34、底面を形成する建屋カバー35等に囲まれるように形成されている。図5に示すように、建屋カバー31には、前述した開口部21の他、外気を取り入れる開口部22が形成されている。また、建屋カバー34,35には、それぞれ熱交換して温風となった空気を外部に排出させる開口部23,24が形成されている。
図2,3に示すように、エンジン室1内には、エンジン2と、このエンジン2によって駆動する油圧ポンプ4とを設けてある。また、互いに並列に配置される熱交換器、例えばラジエータ5、オイルクーラ6、インタクーラ7と、これらの熱交換器の下流に設けられ、これらの熱交換器を冷却する風を生起させる冷却ファン3とを設けてある。また、ホース10を介してエアクリーナ8に接続され、エンジン2に供給される吸気を断熱圧縮するターボチャージャ9を設けてある。図3,4に示すように、このターボチャージャ9は、冷却ファン3の回転軸方向と平行な方向に沿って位置するエンジン2の両側部のうちの一方の側部に配置してある。エンジン室1の上面を形成する建屋カバー34には、エンジン2の排気を外部に排出させるマフラ18を設けてある。
上述した熱交換器のうちのインタクーラ7は、ターボチャージャ9で高加給されて断熱圧縮され、例えば150〜160℃付近の高温となったエンジン吸気を、後述のようにして、例えば60℃付近の温度までに冷却するものである。
また、図4,5に示すように、冷却ファン3を囲むように設けたファンシュラウド12と、ファンガード13とを備えている。また、図5に示すように、エンジン2の駆動によって回転するクランクプーリ26と、冷却ファン3に回転力を伝えるファンプーリ25と、クランクプーリ26の回転力をファンプーリ25に伝達するファンベルト27とを備えている。
また、図4に示すように、ターボチャージャ9で断熱圧縮された吸気をインタクーラ7に導くインタクーラ上流配管11と、インタクーラ7で冷却された吸気をエンジン2のインテーク部2aに導くインタクーラ下流配管14とを備えている。インテーク部2aは、図3,4に示すように、エンジン2の両側部のうちのターボチャージャ9が設けられている側とは反対側の他方の側部に配置してある。インタクーラ7は、エンジン2のインテーク部2aが配置されている側に、インテーク部2aに近接させて設けてある。
図4,5に示すように、上述したインタクーラ上流配管11の一部分を、冷却ファン3の下流であって冷却ファン3の外周近傍の位置に、冷却ファン3の回転方向に沿って延びるように設けてある。例えば、インタクーラ上流配管11の上述した一部分は、ファンシュラウド12の上側部分に沿うように設けられる円弧状の第1配管部11dから成っている。
図4に示すように、インタクーラ上流配管11は、互いに別体に配置される上述の円弧状の第1配管部11dと、この第1配管部11dの入口側とターボチャージャ9とを接続する第2配管部11bと、第1配管部11dの出口側とインタクーラ7の上部側に形成される入口とを接続する第3配管部11fとを含んでいる。また、ターボチャージャ9と第2配管部11bとを接続する配管継手11aと、第2配管部11bと第1配管部11dとを接続する配管継手11cと、第1配管部11dと第3配管部11fとを接続する配管継手11eと、第3配管部11fとインタクーラ7とを接続する配管継手11gとを含んでいる。上述した第1配管部11d、第2配管部11b、及び第3配管部11fは、例えばスチール製であり、配管継手11a,11c,11e,11gは、例えばシリコンゴム製である。なお、第1配管部11dは、ブラケット28aとブラケット29aを介して、またブラケット28bとブラケット29bを介してエンジン2に固定してある。
インタクーラ下流配管14は、図4に示すように、インタクーラ7の下部側に形成される出口とエンジン2のインテーク部2aとを接続する配管から成っている。
本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造は、上述した各構成要素のうちの冷却ファン3と、ターボチャージャ9と、インタクーラ7と、円弧状の第1配管部11dを含むインタクーラ上流配管11と、インタクーラ下流配管14と、エンジン2のインテーク部2aとによって構成されている。
このように構成した本実施形態は、ターボチャージャ9とインタクーラ7とを接続するインタクーラ上流配管11のうちの冷却ファン3の回転方向に沿って延びるように設けた一部分、すなわち、ファンシュラウド12の上側部分に沿うように設けられる円弧状の第1配管部11dを、冷却ファン3によって生起させた風によって冷却することができる。この場合、図5に示すように、冷却ファン3によって生起させた風の風速が大きな領域は、冷却ファン3の下流の近傍であり、かつ、冷却ファン3によって遠心方向に吐き出される領域Cである。したがって、インタクーラ上流配管11の一部分を形成する第1配管部11dは、冷却ファン3によって生起される風の風速の大きい領域Cに配置されることになり、効率良く冷却される。
冷却ファン3の下流の風は、熱交換によって例えば60℃位の温風となっているが、ターボチャージャ9で高加給された吸気の温度は前述したように150〜160℃程度と高温であることから、ファン3の下流の風によって第1配管部11dを流れる吸気は、例えば120℃程度まで温度が下げられる。すなわち、ターボチャージャ9で高加給され従前に比べて高温となっている吸気の温度を、吸気がインタクーラ7に導かれる前に、従前のインタクーラ7に供給される吸気におけるのと同程度の温度まで下げることができる。これを、インタクーラ7を大型にすることなく実現でき、また、冷却ファン3による風量を増加させることなく実現できる。
このように温度が下げられた吸気がインタクーラ7内に導かれ、インタクーラ7で例えば60℃程度にまで冷却される。このように冷却された吸気が、インタクーラ7からインタクーラ下流配管14を介して、エンジン2のインテーク部2aに導かれ、エンジン2において燃料の燃焼に活用される。このときの燃焼温度を、排ガスからのNOxの大量排出を抑えられる温度とすることができる。
本実施形態によれば、インタクーラ7の大型化を招くことなく、また、冷却ファン3による風量の増加によることなく、ターボチャージャ9で高加給され例えば150〜160℃程度の高温となった吸気の温度を、排ガスからのNOxの大量排出を抑えられる燃焼温度とすることができる例えば60℃程度まで下げて、この温度を下げられた吸気をエンジン2に供給することができる。これにより、今まで以上にターボチャージャ9が高加給される場合におけるインタクーラ7あるいは冷却ファン3に係る製作コストを低減させることができる。また、インタクーラ7あるいは冷却ファン3によって占有される領域を小さく維持でき、インタクーラ7あるいは冷却ファン3の周囲の他の機器における配置設計に対する制約を緩和させることができる。したがって、当該油圧ショベル101が小型のものである場合でも、上述の他の機器の配置が容易になり、実用性に富む。
また、インタクーラ上流配管11の一部分である円弧状の第1配管部11dをファンシュラウド12の上側部分に沿うように設けてあることから、それまで活用されていなかったファンシュラウド12の上側部分付近のスペースを、インタクーラ上流配管11の配置のために有効に活用できる。また、ファンシュラウド12、冷却ファン3の下流に配置される機器、部材等による制約を受けることなく、インタクーラ上流配管11を冷却ファン3の上側から取り付けることができ、インタクーラ上流配管11の設置を容易に行なうことができる。
また、インタクーラ7をエンジン2のインテーク部2a側に配置し、このインタクーラ7の下部側に形成される出口とエンジン2のインテーク部2aとを接続する配管から成るインタクーラ下流配管14を設けたことから、インタクーラ下流配管14の長さを短くすることができる。インタクーラ下流配管14が長すぎると、そのインタクーラ下流配管14が高温環境に晒されることからインタクーラ下流配管14を流れる吸気の温度が上昇しやすくなる。これに対して本実施形態は、この長さの短いインタクーラ下流配管14を介して、インタクーラ7で冷却された吸気の温度上昇を抑えながら、吸気をエンジン2に供給することができる。
また、第1配管部11dと第2配管部11bとを接続する配管継手11c、及び第1配管部11dと第3配管部11fとを接続する配管継手11eを外し、ファンシュラウド12の上側部分に沿うように設けられる円弧状の第1配管部11dを取り外すことにより、インタクーラ7を含む熱交換器及び冷却ファン3や、インタクーラ7を含む熱交換器及び冷却ファン3の周辺に配置される機器のメンテナンスを容易に行なうことができる。
図6は別の実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す側面図である。この別の実施形態に係るエンジン吸気冷却構造は、インタクーラ上流配管11の一部分を形成する第1配管部11dを囲むように上側に配置され、冷却ファン3で生起された風をインタクーラ上流配管11の第1配管部11d方向へ案内する案内板30を設けた構成にしてある。この案内板30は、例えばファンガード13に固定してある。その他の構成は、前述した図1−図5に示した実施形態と同等である。
このように構成した別の実施形態によれば、前述した実施形態における作用効果に加えて、冷却ファン3によって生起された風が案内板30で案内されながらインタクーラ上流配管11の第1配管部11dに供給されるので、この第1配管部11dに対する冷却効率を高めることができる。また、冷却ファン3の下流側に配置される機器等のメンテナンス時に、メンテナンス作業者が誤って高温となっているインタクーラ上流配管11に接触することを案内板30によって防ぐことができる。
なお、上記各実施形態は、冷却ファン3の回転軸方向と平行な方向に沿って位置するエンジン2の両側部のうちの一方の側、すなわち図3においてエンジン2の上側に図示される側面にターボチャージャ9を配置し、他方の側、すなわち図3においてエンジン2の下側に図示される側面にエンジン2のインテーク部2aを配置し、インタクーラ7をエンジン2のインテーク部2aが配置される側にインテーク部2aに近接させて設け、インタクーラ上流配管11が、円弧状の第1配管部11dと、この第1配管部11dの入口側とターボチャージャ9とを接続する第2配管部11bと、第1配管部11dの出口側とインタクーラ7の上流側に形成される入口とを接続する第3配管部11fとを含み、インタクーラ下流配管14が、インタクーラ7の下部側に形成される出口とエンジン2のインテーク部2aとを接続する配管から成る構成にしてあるが、本発明は、各機器をこのように配置することには限られない。
すなわち、図3においてエンジン2の下側に図示される側面にターボチャージャ9を配置し、エンジン2の上側に図示される側面にエンジン2のインテーク部2aを配置し、インタクーラ7をエンジン2のインテーク部2aが配置される側にインテーク部2aに近接させて設け、インタクーラ上流配管11が、円弧状の第1配管部11dと、この第1配管部11dの入口側とターボチャージャ9とを接続する第2配管部11bと、第1配管部11dの出口側とインタクーラ7の上流側に形成される入口とを接続する第3配管部11fとを含み、インタクーラ下流配管14が、インタクーラ7の下部側に形成される出口とエンジン2のインテーク部2aとを接続する配管から成る構成にしてもよい。この構成は図3のターボチャージャ9、エンジン2のインテーク部2a、及びインタクーラ7の配置とは、それぞれ逆の配置である。このように構成したものも、インタクーラ下流配管14の長さを短くすることができ、前述した各実施形態におけるのと同等の作用効果が得られる。
また、上記各実施形態は、インタクーラ上流配管11の第1配管部11d、第2配管部、及び第3配管部11fのそれぞれを別体に設けた構成にしてあるが、インタクーラ上流配管11を、第1配管部11dと第2配管部11bと第3配管部11fとが一体化された1本の配管から成る構成にしてもよい。
このように構成したものでは、配管継手11c,11eを減らし、インタクーラ上流配管11の単純化を実現でき、インタクーラ上流配管11に係る組み込み作業性を向上させることができるとともに、インタクーラ上流配管11に係る製作コストを安くすることができる。
本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造が備えられる建設機械の一例として挙げた油圧ショベルを示す側面図である。 図1に示される油圧ショベルに備えられる旋回体の平面図である。 図2の要部を拡大して示した本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す平面図である。 本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す斜視図である。 本実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す側面図である。 別の実施形態に係るエンジン吸気冷却構造を示す側面図である。
符号の説明
1 エンジン室
2 エンジン
2a インテーク部
3 冷却ファン
7 インタクーラ
9 ターボチャージャ
11 インタクーラ上流配管
11a 配管継手
11b 第2配管部
11c 配管継手
11d 第1配管部
11e 配管継手
11f 第3配管部
11g 配管継手
12 ファンシュラウド
14 インタクーラ下流配管
21 開口部
22 開口部
23 開口部
24 開口部
30 案内板
101 油圧ショベル(建設機械)
112 旋回体

Claims (6)

  1. エンジン及び熱交換器が搭載された旋回体を有する建設機械に設けられ、
    上記熱交換器を冷却する風を生起させる冷却ファンと、上記エンジンに供給される吸気を断熱圧縮するターボチャージャと、上記熱交換器に含まれ、上記ターボチャージャから供給された吸気を冷却して上記エンジンに供給するインタクーラと、上記ターボチャージャで断熱圧縮された吸気を上記インタクーラに導くインタクーラ上流配管と、上記インタクーラで冷却された吸気を上記エンジンのインテーク部に導くインタクーラ下流配管とを備えた建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記インタクーラ上流配管の一部分を、上記冷却ファンの下流であって上記冷却ファンの外周近傍の位置に、上記冷却ファンの回転方向に沿って延びるように設けたことを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
  2. 請求項1に記載の建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記冷却ファンを囲むように配置されるファンシュラウドを備え、
    上記インタクーラ上流配管の上記一部分が、上記冷却ファンの回転方向に沿って延設され、上記ファンシュラウドの上側部分に沿うように形成される円弧状の第1配管部から成ることを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
  3. 請求項2に記載の建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記冷却ファンの回転軸方向と平行な方向に沿って位置する上記エンジンの両側部のうちの一方の側に上記ターボチャージャを配置し、他方の側に上記エンジンの上記インテーク部を配置し、
    上記インタクーラを、上記エンジンの上記インテーク部が配置される側に上記インテーク部に近接させて設け、
    上記インタクーラ上流配管が、上記円弧状の第1配管部と、この第1配管部の入口側と上記ターボチャージャとを接続する第2配管部と、上記第1配管部の出口側と上記インタクーラの上部側に形成される入口とを接続する第3配管部とを含み、
    上記インタクーラ下流配管が、上記インタクーラの下部側に形成される出口と上記エンジンの上記インテーク部とを接続する配管から成ることを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
  4. 請求項3に記載の建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記インタクーラ上流配管の上記第1配管部、上記第2配管部、及び上記第3配管部のそれぞれを別体に設けるとともに、上記第1配管部と上記第2配管部とを接続する配管継手、及び上記第1配管部と上記第3配管部とを接続する配管継手を設けたことを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
  5. 請求項3に記載の建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記インタクーラ上流配管は、上記第1配管部と上記第2配管部と上記第3配管部とが一体化された1本の配管から成ることを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の建設機械のエンジン吸気冷却構造において、
    上記インタクーラ上流配管の上記一部分を囲むように配置され、上記冷却ファンで生起された風を、上記インタクーラ上流配管の上記一部分方向へ案内する案内板を設けたことを特徴とする建設機械のエンジン吸気冷却構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104595009A (zh) * 2015-02-12 2015-05-06 广西玉柴机器股份有限公司 船用内燃机的中冷器
JP2015169128A (ja) * 2014-03-07 2015-09-28 スズキ株式会社 車両用インタクーラの配管構造

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