JP2010138352A - 着色インクと液体組成物とのセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

着色インクと液体組成物とのセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた画像品位及び画像濃度が得られ、画像の耐擦過性を高いレベルで両立することができる着色インクと液体組成物とのセット、かかるセットを用いたインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】 顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物と、で構成される着色インクと液体組成物とのセットであって、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分が、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂であることを特徴とする着色インクと液体組成物とのセット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット方式にも好適に適用可能な、着色インクと液体組成物とのセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット方式による記録方法や記録装置は、幅広い環境で使用可能であることや、取り扱いが容易であることから、広く使用されるようになっている。インクジェット用のインクの色材としては主に染料と顔料とが挙げられるが、インクとしての扱いやすさ、画像濃度に優れることから、これまでは主として水溶性の染料が用いられてきた。近年では、画像の耐候性や耐水性などの堅牢性をより高いレベルとすることができる色材として、顔料を含有するインクジェット用のインクについての検討が広く行われている。
顔料インクの開発と共に、インクジェット方式による記録方法や記録装置は、その用途が、ホーム分野からオフィスやビジネス分野などへと展開されるようになっている。これに伴い、得られる画像については、文字の滲みなどの画像品位だけでなく、耐擦過性などの堅牢性をも向上することが要求されるようになってきている。このような要求に対して、例えば、色材、特定構造のカチオン性樹脂、及び浸透材などを含有するインクにより超浸透を実現し、画像品位を向上させることに関する提案がある(特許文献1参照)。また、樹脂により分散された無機酸化物顔料を含有するインクと、pH緩衝液やカチオン樹脂を用いた液体とのセットにより、白色記録を行う場合の画像性能を向上させることに関する提案がある(特許文献2参照)。
特開2002−097389号公報 特開2007−223112号公報
しかし、本発明者の検討の結果、特許文献1に記載されたインクを用いて記録した画像は、その画像品位は多少向上するものの、耐擦過性などの堅牢性や画像濃度は不十分であった。また、特許文献2に記載されたインクセットを用いて記録した画像も、堅牢性は多少向上するものの、画像濃度は不十分であった。
したがって、本発明の目的は、優れた画像品位及び画像濃度が得られ、画像の耐擦過性を高いレベルで両立することができる着色インクと液体組成物とのセット、かかるセットを用いたインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明にかかる着色インクと液体組成物とのセットは、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物と、で構成される着色インクと液体組成物とのセットであって、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分が、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂であることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録方法は、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物とを、記録媒体において互いに接触するように付与するインクジェット記録方法であって、前記着色インク及び前記液体組成物として、上記の着色インクと液体組成物とのセットを用いることを特徴とする。
また、本発明の別の実施態様にかかるインクジェット記録装置は、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物とを、記録媒体において互いに接触するように付与する手段を有するインクジェット記録装置であって、前記着色インク及び前記液体組成物として、上記の着色インクと液体組成物とのセットを用いることを特徴とする。
本発明によれば、優れた画像品位及び画像濃度が得られ、画像の耐擦過性を高いレベルで両立することができる着色インクと液体組成物とのセット、かかるセットを用いたインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載においては、着色インクと液体組成物とのセットのことを「セット」、着色インクのことを「インク」と省略して呼ぶことがある。
<液体組成物>
本発明のセットを構成する液体組成物は、併用するインク中の顔料の分散状態を不安定化させる成分として、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂を含有する。本発明において、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂が、「顔料の分散状態を不安定化させる」こととは、以下のことを意味する。すなわち、液体組成物中のアミン構造を有する樹脂がカチオン性を示し、インク中の色材がアニオン性を示すため、記録媒体において液体組成物とインクとが接触した際に、これらが互いに反応し、色材が凝集を起こすことを意味する。なお、本発明においては、液体組成物は、無色、乳白色、ないしは白色であることが好ましく、このためには色材を含有させないことが好ましい。以下、液体組成物を構成する各成分について説明する。
(芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂)
本発明のセットを構成する液体組成物に使用するアミン構造を有する樹脂は、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂である。
一般に、アミノ基としては、1級、2級、3級、及び4級のアミノ基が挙げられる。そして、1級のアミノ基を有する樹脂としてはポリアリルアミンなど、2級のアミノ基を有する樹脂としてはポリエチレンイミンやジアリルアミンなどが挙げられる。また、3級のアミノ基を有する樹脂としてはメチルアリルアミンなど、4級のアミノ基を有する樹脂としてはジメチルジアリルアンモニウムなどが挙げられる。以下に、各級のアミノ基を有する樹脂として代表的なものについて、樹脂を構成するユニットの構造を示す。なお、下記の構造式中、a、b、c、d、e、f、及びgはそれぞれ任意の数として設定されるものであり、*は水素原子、水酸基、アルキル基などである。
Figure 2010138352
メチルアリルアミンやジメチルジアリルアミンなどの3級ないしは4級のアミノ基を有する樹脂は、インクと液体組成物とが互いに接触した際に生じる凝集反応における凝集力が弱い。このため、記録媒体において生じる凝集が緩慢になる結果、顔料が記録媒体の厚さ方向に浸透し、記録媒体の表面近傍に凝集物を存在させることできなくなり、画像濃度が得られない。また、記録媒体の厚さ方向への浸透のみならず、記録媒体の表面上(平面方向)に顔料が移動しやすく、フェザリングやブリーディングが生じ、画像品位も低下する。
このような理由から、本発明においては、インクと液体組成物とが互いに接触した際に生じる凝集反応における凝集力を十分に強めるため、1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂を用いることが必要である。
インクと液体組成物とが互いに接触した際に生じる凝集反応は、インクに由来するアニオン性成分と液体組成物に由来するカチオン性成分との静電的相互作用による架橋反応である。ここで、インクに由来するアニオン性成分とは、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料におけるアニオン性基のことである。
1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂は、3級ないしは4級のアミン構造を有する樹脂と比較して、窒素原子に置換し電子供与基として作用するアルキル基などの置換基が少ないため、カチオン電荷が窒素原子の中心部により局在化した状態となる。したがって、1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂は、3級ないしは4級のアミン構造を有する樹脂と比較して、カチオン強度がより高くなる。このため、1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂を用いることで、インクに由来するアニオン性成分と液体組成物に由来するカチオン性成分との静電的相互作用が大きくなり、強い凝集力を発現することができる。
また、1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂が、疎水性基である芳香族基を有することも必須である。このような樹脂を用いることで、上記で説明した静電的相互作用と、顔料の疎水性部分と樹脂との間や複数の樹脂の疎水性基間において生じる疎水−疎水相互作用と、が相乗的に作用することにより、強力な凝集力が得られるためである。
本発明において使用することができる芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂としては、上記で挙げたような、3級ないしは4級のアミノ基を有する化合物に、芳香族基として、例えば、フェニル基やナフチル基を縮合した樹脂が挙げられる。なお、液体組成物に使用する樹脂は、芳香族基の他に、その他の疎水性基を有してもよい。疎水性基としては、ヘキシル基、ヘキシレン基、ノニル基、ノニレン基などの炭素数6乃至10のアルキル基又はアルキレン基や、シクロヘキシル基、シクロヘキシレン基などの炭素数6乃至10の脂環式アルキル基又は脂環式アルキレン基などが挙げられる。
特に、インクと液体組成物とが互いに接触した際に生じる凝集反応における凝集力の観点から、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂として、芳香族基を有する多塩基酸とアミノ基を有する化合物との縮合樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で表される樹脂、すなわち、テレフタル酸とアルキレンアミンとの縮合樹脂が挙げられる。アルキレンアミンはpの値により構造が決定され、例えば、エチレンジアミン(p=0)、ジエチレントリアミン(p=1)、トリエチレンテトラミン(p=2)、テトラエチレンペンタミン(p=3)、ペンタエチレンヘキサミン(p=4)などが挙げられる。また、下記一般式(II)で表される樹脂、すなわち、テレフタル酸とポリアリルアミンとの縮合樹脂が挙げられる。勿論、本発明はこれらに限られるものではない。
Figure 2010138352
(一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基であり、pは0以上10以下の整数であり、qは1乃至300の数である。)
Figure 2010138352
(一般式(II)中、Rはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1乃至20の直鎖又は分岐のアルキル基であり、mは1乃至500の数であり、nは0以上5以下の整数でである。なお、nが0の場合は非置換のフェニル基である。)
本発明においては、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂の重量平均分子量が、1,000乃至100,000程度であることが好ましく、さらには5,000乃至30,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、樹脂分子間の架橋が十分でないため凝集力が弱くなり、画像濃度や耐擦過性が十分に得られない場合がある。一方、重量平均分子量が30,000を超えると、逆に凝集力は強くなるが、液体組成物の粘度が高くなったり、また、水性媒体への樹脂の溶解性が下がったりするため、液体組成物を均一に記録媒体に付与することができず、画像に乱れが生じる場合がある。
液体組成物を調製する際には、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂は塩基性であるので、酸で中和し、塩の形態として水性媒体に添加することが好ましい。このような酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。また、樹脂の中和率は、通常は樹脂のアミノ基に対して当量で中和すればよいが、所望のpHを有する液体組成物にする場合には、中和率を適宜調整することで達成できる。
(水性媒体)
液体組成物には、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。液体組成物中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、以下に挙げるようなものを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、以下の水溶性有機溶剤を用いることができる。メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどの炭素数1乃至4のアルキルアルコール類。1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどの直鎖又は分岐のアルカンジオール類。エチレングリコールメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールメチル(又はエチル、ブチル)エーテルなどの多価アルコールのモノ(又はジ、トリ)アルキルエーテル類。N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類。アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オンなどのケトン類又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのアルキレン基の炭素数が2乃至6のアルキレングリコール類。グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体などの多価アルコール類。平均分子量200乃至1,000程度の、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類。2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリンなどの複素環類。ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類。
水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。液体組成物中の水の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
液体組成物には、上記成分の他に、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。液体組成物中のこれらのような水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、液体組成物全質量を基準として、0.1質量%以上20.0質量%以下、さらには1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて所望の物性値を有する液体組成物とするために、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有してもよい。
<インク>
本発明のセットを構成するインクは、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する。以下、インクを構成する各成分について説明する。
〔顔料の分散方式〕
本発明のセットを構成するインクには、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有させることが必要である。顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料としては、顔料粒子の表面にアニオン性基を化学的に結合させた、いわゆる自己分散型顔料が挙げられる。また、アニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料としては、アニオン性基の作用により水性媒体に溶解可能な水溶性樹脂により分散させた、いわゆる樹脂分散型顔料が挙げられる。
[自己分散型顔料]
自己分散型顔料としては、顔料粒子の表面に少なくともひとつのアニオン性基が直接又は他の原子団(−R−)を介して化学的に結合しているものを用いることができる。このような自己分散型顔料を用いることにより、顔料をインク中に分散するための分散剤の添加が不要となる、又は分散剤の添加量を少量とすることができる。
顔料粒子の表面に結合している親水性基としては、具体的には、例えば、−(COOM)、−SOM、−POHM、−POなどが挙げられる。なお、式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、nは1以上の整数であるが挙げられる。また、前記他の原子団(−R−)としては、炭素原子数1乃至12のアルキレン基、置換若しくは未置換のフェニレン基、又は置換若しくは未置換のナフチレン基などが挙げられる。なお、インク中における親水性基の形態は、その一部が解離した状態、又は完全に解離した状態のいずれの形態であってもよい。本発明で使用する自己分散型顔料は、ジアゾカップリング法、次亜塩素酸ソーダなどを用いた酸化処理法、水中オゾン処理による酸化処理、オゾン処理後に酸化剤により湿式酸化して顔料粒子の表面を改質する方法などによって得ることができる。
本発明においては、インクと液体組成物とが互いに接触した際に生じる凝集反応における凝集力の観点から、自己分散型顔料を含有するインクを用いることが特に好ましい。自己分散型顔料は、液体組成物との接触により生じる凝集の際に、凝集を阻害する樹脂分散剤が存在しないため、樹脂分散型顔料よりもより凝集が生じやすく、画像濃度や画像品位を特に向上させることができる。一方、樹脂分散型顔料は、顔料粒子の表面近傍に多くの樹脂分散剤が存在するため、液体組成物との接触により生じる凝集の際に、樹脂による立体反発効果が生じ、凝集が生じにくくなるため、画像濃度や画像品位が十分に得られない場合がある。
[樹脂分散型顔料]
樹脂分散型顔料としては、アニオン性基の作用によって顔料を分散することができる水溶性樹脂により分散された顔料を用いることができる。分散剤として使用する水溶性樹脂は、アニオン性基を有するものであれば、どのような水溶性樹脂であってもよい。例えば、アニオン性基を有するモノマーユニットを含んで構成される水溶性樹脂が挙げられ、該水溶性樹脂の形態としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩などが挙げられる。通常、アニオン性基を有する水溶性樹脂は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミンなどのアミン類などによる中和物として顔料分散体やインクの調製に用いられる。
インク中の水溶性樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上15,000以下であることが好ましい。さらに、水溶性樹脂の酸価は、90mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましい。
〔顔料〕
上記で説明した自己分散型顔料や樹脂分散型顔料に使用する顔料としては、無機顔料や有機顔料が挙げられる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下、さらには1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
[カーボンブラック]
ブラックのインクに用いる顔料としては、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラックや、マグネタイトやフェライトなどの磁性体微粒子やチタンブラックなどを用いることができる。具体的には、以下に挙げるような市販品などを用いることができる。
レイヴァン:1170、1190ULTRA−II、1200、1255、1250、1500、2000、3500、5000、5250、5750、7000など(コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、ヴァルカンXC−72Rなど(キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:4、4A、5、6など(デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA7、MA8、MA100、MA600など(三菱化学製)。
[有機顔料]
カラーのインクに用いる顔料としては、有機顔料が挙げられる。有機顔料としては、具体的には、以下に挙げるようなものを用いることができる。
トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッドなどのイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系顔料、インジゴ系顔料。縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットなど。
(水性媒体及びその他の成分)
インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、液体組成物に使用可能なものとして挙げた水溶性有機溶剤と同様のものを使用することができる。水は脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インクには、上記の液体組成物に使用可能なものとして挙げたその他の成分と同様のものを使用することができる。なお、インクに含有させる水性媒体の構成やその他の成分は、液体組成物と同じ組成としても、又は異なる組成としてもよく、インクに使用する顔料やその分散方式に合わせて適宜決定することができる。
<インクと液体組成物とのセット>
本発明のセットを構成するインクの色調は特に限定されるものではなく、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー、及びブラックから選ばれる色調を有するインクであればよい。具体的には、所望の色調のインクとなるように上述の色材の中から適宜選択して用いることができる。また、液体組成物と組み合わせるインクは、1種類に限定されるものでなく、異なるインクを2種類以上組み合わせて多色画像の記録に適したセットとした態様がより好ましい。なお、この場合は、2種類以上のインクのうち、少なくとも1種類のインクが液体組成物と反応する形態であればよい。
<インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置>
本発明のセットを構成するインク及び液体組成物のうち、少なくともインクはインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に付与することが好ましい。また、液体組成物は、インクと同様にインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に付与する方法や、バーコート、スピンコート、ローラーコートなどにより記録媒体に塗布する方法で記録媒体に付与することができる。また、記録媒体において、液体組成物が付与される領域は、少なくともインクが付与される領域を含むことが好ましい。さらには、記録媒体においてインクが付与される領域を少なくとも含むように液体組成物を記録媒体に付与して、インクと液体組成物とを接触させることが特に好ましい。
本発明においては、インク及び液体組成物を共にインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に付与することが特に好ましい。このようにインクジェット記録方法屋インクジェット記録装置を構成することで、インクで記録する画像を少なくとも含む領域など、意図した領域に液体組成物を的確に付与することができ、また、これらの付与量も適切に調整することができるためである。なお、インクジェット方式によるインク及び液体組成物の付与量は、記録デューティなどを適切に決定することで調節できる。
液体組成物やインクの記録媒体への付与量は、液体組成物中の芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂の含有量や、併用するインクの構成によって適切に決定すればよい。特に、本発明においては、顔料の分散状態を不安定化させる成分の記録媒体への付与量が、顔料の記録媒体への付与量に対して、質量比率で、0.1倍以上0.5倍以下の範囲となるように液体組成物やインクを記録媒体に付与することが好ましい。なお、この場合の液体組成物やインクの付与量は単位面積(m)当たりの値であり、液体組成物やインクを記録媒体のある一部分のみに付与する場合は、記録媒体の全面に付与したと仮定して求めた値とする。前記質量比率が0.1倍未満であると、画像濃度や耐擦過性が十分に得られない場合がある。この理由としては、アニオン性成分に対してカチオン性成分が相対的に少なくなり、顔料を十分に凝集させることができないため画像濃度が十分に得られないことや、カチオン性成分の性能が相対的に小さくなり、耐擦過性が十分に得られないことが挙げられる。一方、前記質量比率が0.5倍を超えると、画像濃度が十分に得られない場合がある。この理由としては、過剰に存在する芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂が、顔料の凝集物を分散させる作用が生じ、凝集物が再分散されることになる結果、記録媒体の表面近傍に凝集物を存在させることができずに浸透することが考えられる。
本発明のインクジェット記録方法やインクジェット記録装置においては、インクと液体組成物とを記録媒体に付与する順序は、下記の(a)〜(d)の方法や、これらの方法の組み合わせなどが挙げられ、適宜選択することができる。
(a):液体組成物を付与した後にインクを付与する。
(b):インクを付与した後に液体組成物を付与する。
(c):インクを付与した後に液体組成物を付与し、さらにインクを付与する。
(d):液体組成物を付与した後にインクを付与し、さらに液体組成物を付与する。
本発明においては、液体組成物とインクとを記録媒体において効率的に接触させて、これらを反応させやすくするため、液体組成物を記録媒体に付与した後にインクを付与する工程を含む、(a)や(d)の方法を用いることが特に好ましい。
以下に、インクジェット記録装置の機構部の概略構成を説明する。なお、以下の記載ではインクを例に挙げて説明を行っているが、インクジェット方式の記録ヘッドから液体組成物を吐出させる場合は、必要に応じて「インク」を「液体組成物」と読み替えて適用することができる。
インクジェット記録装置は、各機構の役割から、給紙部、搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部、及びこれらを保護し、意匠性を持たせる外装部などで構成される。
図1は、インクジェット記録装置の斜視図である。また、図2及び図3は、インクジェット記録装置の内部機構を説明する図であり、図2は右上部からの斜視図、図3はインクジェット記録装置の側断面図をそれぞれ示す。
給紙を行う際には、給紙トレイM2060を含む給紙部において、記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に搬送された記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に搬送される。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転し、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
記録媒体に画像を形成する際には、キャリッジ部は、記録ヘッドH1001(図4;詳細な構成は後述する)を目的の画像を形成する位置に配置して、電気基板E0014からの信号にしたがって記録媒体にインクを吐出する。記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体を行方向に搬送する副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。画像が形成された記録媒体は、排紙部において、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれた状態で搬送されて、排紙トレイM3160に排出される。
なお、クリーニング部は、画像を形成する前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする。キャップM5010で記録ヘッドH1001の吐出口をキャッピングした状態で、ポンプM5000を作動すると、記録ヘッドH1001の吐出口から不要なインクなどが吸引されるようになっている。また、キャップM5010を開いた状態で、キャップM5010の内部に残っているインクなどを吸引することにより、残インクによる固着やその他の弊害が起こらないようになっている。
〔記録ヘッドの構成〕
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。図4は、ヘッドカートリッジH1000の構成を示した図であり、また、ヘッドカートリッジH1000に、インクカートリッジH1900を装着する様子を示した図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
インクジェット記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、及び淡シアンの各インク、並びに液体組成物で画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7種分が独立に用意されている。そして、図4に示すように、それぞれのインクカートリッジH1900が、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱可能となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000を搭載した状態でも行うことができる。
図5は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録素子基板、プレート、電気配線基板H1300、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などで構成される。記録素子基板は第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101で構成され、プレートは第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400で構成される。
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAlなどの電気配線は成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路はフォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
図6は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明する正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下、ノズル列ともいう)である。第1の記録素子基板H1100には、イエローインクのノズル列H2000、マゼンタインクのノズル列H2100、及びシアンインクのノズル列H2200の3色分のノズル列が形成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクのノズル列H2300、ブラックインクのノズル列H2400、液体組成物のノズル列H2500、及び淡マゼンタインクのノズル列H2600の4色分のノズル列が形成されている。
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に所定の間隔で並ぶ複数個のノズルによって構成されている。そして、各ノズルからは、それぞれ所定の体積のインクが吐出される。各吐出口における開口面積は、上記所定の体積のインクを吐出できるように設定することができる。
以下、図4及び図5を参照して説明する。第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されている。ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されている。この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持する。
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加する。この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有する。外部信号入力端子H1301は、カートリッジホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
インクカートリッジH1900を保持するカートリッジホルダーH1500には、流路形成部材H1600が、例えば、超音波溶着により固定され、インクカートリッジH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成する。インクカートリッジH1900と係合するインク流路H1501のインクカートリッジ側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクカートリッジH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、上記したように、カートリッジホルダー部と記録ヘッド部H1001とを接着などで結合することで、ヘッドカートリッジH1000が構成される。なお、カートリッジホルダー部は、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、及びシールゴムH1800から構成される。また、記録ヘッド部H1001は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される。
なお、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じた膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うサーマルインクジェット方式の記録ヘッドについて述べた。この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂、オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用することができる。
サーマルインクジェット方式は、オンデマンド型に適用することが特に有効である。オンデマンド型の場合には、インクを保持する液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。このことによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、インクに膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できる。この気泡の成長及び収縮により吐出口を介してインクを吐出することで、少なくともひとつの滴を形成する。駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長及び収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。
また、本発明のセットを構成するインクは、前記のサーマルインクジェット方式に限らず、下記に述べるような、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置においても好ましく用いることができる。かかる形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備えてなる。そして、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクをノズルから吐出する。
インクジェット記録装置は、上記したように、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。さらに、インクカートリッジは、記録ヘッドに対して分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもの、また、インクジェット記録装置の固定部位に設けられて、チューブなどのインク供給部材を介して記録ヘッドにインクを供給するものでもよい。また、記録ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクカートリッジに設ける場合には、以下の構成とすることができる。すなわち、インクカートリッジのインク収容部に吸収体を配置した形態、又は可撓性のインク収容袋とこれに対してその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などとすることができる。また、インクジェット記録装置は、上記したようなシリアル型の記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<顔料分散液の調製>
(顔料分散液1の調製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノフタル酸1.5gを加えた。次に、この溶液が入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常時10℃以下に保った状態にし、これに、5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液をさらに15分間撹拌後、比表面積が220m/gでDBP吸油量が110mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、さらに15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。さらに、上記で得られた自己分散型カーボンブラックにイオン交換水を加えて顔料の含有量が10%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子の表面に−C−(COONa)基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液1を得た。
(顔料分散液2の調製)
比表面積が220m/gでDBP吸油量が110mL/100gであるカーボンブラック20.0g、樹脂分散剤の10%水溶液40.0g、イオン交換水73.3g、0.3mm径のジルコニアビーズ70mL分を、容量200mLのサンプル瓶に入れた。なお、前記樹脂分散剤としては、酸価と当量の水酸化カリウムで中和した10.0%のスチレン−アクリル酸共重合体(重量平均分子量8,000、酸価150mgKOH/g)を用いた。この混合物を、分散機(LAU Disper DAS200;LAU GmbH製)を用いて6時間分散させ、分散液を調製した。ELS−8000(大塚電子製)で測定した前記分散液中のカーボンブラック粒子の平均粒子径は100nmであった。その後、前記分散液をろ過することによりジルコニアビーズを取り出し、さらにイオン交換水を加えて顔料の含有量が10.0%、樹脂分散剤の含有量が2.0%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子が樹脂分散剤により水中に分散された状態の顔料分散液2を得た。
<インクの調製>
上記で調製した顔料分散液を含む下記表1に示す各成分を、表1に示す組成で混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(製品名:HDCII;ポール製)にて加圧ろ過を行って各インクを調製した。
Figure 2010138352
<テレフタル酸とポリアリルアミンとの縮合樹脂の合成>
以下に示す手順にしたがって、テレフタル酸とポリアリルアミンとの縮合樹脂を合成した。容量500mLのフラスコに、重量平均分子量が2,000であるポリアリルアミン100g、安息香酸クロライド70g、テトラヒドロフラン100gを入れた。この混合物を、還流条件下で5時間、撹拌下で反応させた。その後、テトラヒドロフランを留去した後、イオン交換水を加えて、重量平均分子量が5,000であるテレフタル酸とポリアリルアミンとの縮合樹脂を、10.0%の水溶液として得た。
<液体組成物の調製>
上記で調製した縮合樹脂を含む下記表2及び表3に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ1.2μmのフィルター(製品名:HDCII;ポール製)にて加圧ろ過を行って各液体組成物を調製した。なお、各液体組成物は、1規定の塩酸水溶液を用いて、液体のpHが7となるように調整した。
また、表2及び表3に示すポリテレフタル酸ジエチレントリアミン及びポリテレフタル酸ペンタエチレンヘキサミンとしては、それぞれの化合物を塩酸塩として含む10.0%の水溶液を用いて各液体組成物を調製した。表2及び表3においてこれらの化合物の含有量は、それぞれ、ポリテレフタル酸ジエチレントリアミン及びポリテレフタル酸ペンタエチレンヘキサミンとしての質量%の値として示した。
Figure 2010138352
Figure 2010138352
<インクと液体組成物とのセットの評価>
上記で得られた各インク及び各液体組成物を、下記表4の左側に示す組み合わせで用いて、インクと液体組成物とセットとした。各セットを構成するインク及び液体組成物をそれぞれインクカートリッジに充填して、インクジェット記録装置BJF900(キヤノン製)に搭載した。そして、記録ヘッドの同一走査で、液体組成物及びインクの順序で記録媒体(キヤノンPPC用紙;キヤノン製)に付与し、液体組成物中の樹脂とインク中の顔料ないしは樹脂分散剤とを反応させて、ベタ画像及び文字を含む記録物を記録した。なお、液体組成物及びインクの付与量は、単位面積あたりの記録媒体に付与される、顔料の質量に対する樹脂の質量比率が下記表4の付与量比[倍]の値となるようにそれぞれ調整した。得られた記録物を室温で1日放置した後、画像濃度、画像品位、及び耐擦過性の評価を行った。
Figure 2010138352
(画像濃度)
上記で得られた記録物のベタ画像の部分について、分光光度計(商品名:Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で画像濃度を測定し、画像濃度の評価を行った。画像濃度の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。なお、本発明においては、下記の画像濃度の評価基準でCが不十分であるレベル、B以上が満足できるレベル、Aは特に優れているレベルとした。
A:画像濃度が1.35以上であった
B:画像濃度が1.20以上1.35未満であった
C:画像濃度が1.20未満であった。
(画像品位)
上記で得られた記録物の文字の部分を目視で確認して、画像品位の評価を行った。画像品位の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。なお、本発明においては、下記の画像品位の評価基準でCが不十分であるレベル、B以上が満足できるレベル、Aは特に優れているレベルとした。
A:ほとんど滲んでいなかった
B:少し滲んでいた
C:滲みが目立った。
(耐擦過性)
上記で得られた記録物のベタ画像の部分を、40g/cmの圧力をかけたシルボン紙で5回擦ったのち、記録物の状態を目視で確認して、耐擦過性の評価を行った。耐擦過性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。なお、本発明においては、下記の耐擦過性の評価基準でCが不十分であるレベル、B以上が満足できるレベル、Aは特に優れているレベルとした。
A:ベタ画像がわずかに削れていたか、又は非記録部分がほとんど汚れていなかった
B:ベタ画像が少し削れていたか、又は非記録部分が少し汚れていた
C:ベタ画像がかなり削れていたか、又は非記録部分が著しく汚れていた。
Figure 2010138352
なお、実施例10のセットを用いて得られた記録物の画像にはやや乱れが生じていた。
インクジェット記録装置の斜視図である。 インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。 インクジェット記録装置の断面図である。 ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態を示す斜視図である。 ヘッドカートリッジの分解斜視図である。 ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
符号の説明
M2041 分離ローラ
M2060 給紙トレイ
M2080 給紙ローラ
M3000 ピンチローラホルダ
M3030 ペーパーガイドフラッパー
M3040 プラテン
M3060 搬送ローラ
M3070 ピンチローラ
M3110 排紙ローラ
M3120 拍車
M3160 排紙トレイ
M4000 キャリッジ
M5000 ポンプ
M5010 キャップ
E0002 LFモータ
E0014 電気基板
H1000 ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1200 第1のプレート
H1201 インク供給口
H1300 電気配線基板
H1301 外部信号入力端子
H1400 第2のプレート
H1500 カートリッジホルダー
H1501 インク流路
H1600 流路形成部材
H1700 フィルター
H1800 シールゴム
H1900 インクカートリッジ
H2000 イエローノズル列
H2100 マゼンタノズル列
H2200 シアンノズル列
H2300 淡シアンノズル列
H2400 ブラックノズル列
H2500 液体組成物のノズル列
H2600 淡マゼンタノズル列

Claims (7)

  1. 顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物と、で構成される着色インクと液体組成物とのセットであって、
    前記顔料の分散状態を不安定化させる成分が、芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂であることを特徴とする着色インクと液体組成物とのセット。
  2. 前記芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂の重量平均分子量が、5,000乃至30,000である請求項1に記載の着色インクと液体組成物とのセット。
  3. 前記芳香族基と1級ないしは2級のアミン構造とを有する樹脂が、芳香族基を有する多塩基酸とアミノ基を有する化合物が縮合した1級ないしは2級のアミン構造を有する樹脂である請求項1又は2に記載の着色インクと液体組成物とのセット。
  4. 前記着色インクに含有されてなる顔料が、顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料である請求項1乃至3の何れか1項に記載の着色インクと液体組成物とのセット。
  5. 顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物とを、記録媒体において互いに接触するように付与するインクジェット記録方法であって、
    前記着色インク及び前記液体組成物として、請求項1乃至4の何れか1項に記載の着色インクと液体組成物とのセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 前記顔料の分散状態を不安定化させる成分の記録媒体への付与量が、前記顔料の記録媒体への付与量に対して、質量比率で、0.1倍以上0.5倍以下である請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 顔料粒子の表面にアニオン性基を有する顔料及び/又はアニオン性基を有する樹脂により分散されてなる顔料を色材として含有する着色インクと、前記顔料の分散状態を不安定化させる成分を含有する液体組成物とを、記録媒体において互いに接触するように付与する手段を有するインクジェット記録装置であって、 前記着色インク及び前記液体組成物として、請求項1乃至4の何れか1項に記載の着色インクと液体組成物とのセットを用いることを特徴とするインクジェット記録装置。
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