JP2010137648A - 非空気式タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】スポーク構造体で構成された非空気式タイヤにおけるバックリングを防止すると共に、乗心地性を向上するようにした非空気式タイヤを提供する。
【解決手段】同心状に配置した外周輪3と内周輪4との間をタイヤ周方向に間欠的に配列した複数のスポーク5で連結して構成したスポーク構造体2の外周側にトレッドリング1を配置した非空気式タイヤにおいて、タイヤ周方向に互いに隣接するスポーク5,5間の空間に、給排気用バルブ9を有する弾性材料からなる中空封止体6を挿入し、中空封止体6に気体を圧入した
【選択図】図1

Description

本発明は、非空気式タイヤに関し、更に詳しくは、スポーク構造体で構成された非空気式タイヤにおけるバックリングを防止すると共に、乗心地性を向上するようにした非空気式タイヤに関する。
従来、乗用車用にも適用可能にするようにした非空気式タイヤTとして、図7に示すように構成したものが提案されている。ホイール20に組み付けられた非空気式タイヤTは、外周輪3と内周輪4との間をタイヤ周方向に間欠的に配置した複数のスポーク5で連結してスポーク構造体2を構成し、その外周側にトレッドリング1を配置することにより構成されたもので、このようにスポーク構造体2を介在させることで、軽量化と衝撃吸収性の向上を図っている。
しかし、この非空気式タイヤは、スポーク構造体の構成がスポークをタイヤ周方向に間欠的に配列する構造になっていることにより、そのスポーク間の領域で外周輪の剛性が低くなっているため、タイヤが接地回転する際に外周輪がスポーク間でバックリングを起こしやすくなっている。また、タイヤ回転時に振動やノイズが発生し、乗心地性を悪化するという問題があった。
このような問題の対策として、特許文献1は、スポーク構造体をタイヤ幅方向に複数に分割すると共に、隣接する分割帯域間でスポークの位置を周方向に互いにずらすようにすることを提案している。しかしながら、この改良は、ある程度の改善効果は認められるものの、スポークが周方向に間欠的に配置されていることに変わりはないため、タイヤ径方向のバネ定数が周方向に不均一であるという問題を本質的に解決しているとはいえなかった。
特許3966895号公報
本発明の目的は、上述する問題点を解決するもので、スポーク構造体で構成された非空気式タイヤにおけるバックリングを防止すると共に、乗心地性を向上するようにした非空気式タイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の非空気式タイヤは、同心状に配置した外周輪と内周輪との間をタイヤ周方向に間欠的に配列した複数のスポークで連結してスポーク構造体を構成し、該スポーク構造体の外周側にトレッドリングを配置した非空気式タイヤにおいて、タイヤ周方向に互いに隣接する前記スポーク間の空間に、給排気用バルブを有する弾性材料からなる中空封止体を挿入し、該中空封止体に気体を圧入したことを特徴とする。
また、上述する構成において、以下(1)〜(5)に記載するように構成することが好ましい。
(1)前記中空封止体間を相互に連通させ、これら複数の中空封止体のうちの1つに前記給排気用バルブを設ける。
(2)前記中空封止体に圧入した気体のゲージ圧が10kPa〜500kPaであるようにする。
(3)前記スポーク間のタイヤ側面に中空封止体の脱落防止用ストッパーを設ける。
(4)前記ストッパーのタイヤ径方向の長さを前記スポークの径方向長さの30〜80%にする。
(5)前記スポークのタイヤ側面視の形状が円弧状のフレームを左右対称に対をなすように形成する。
本発明によれば、スポーク構造体におけるタイヤ周方向に隣接するスポーク間に、気体の圧入された中空封止体を挿入しているため、タイヤ径方向に荷重がかかった場合、封じ込められた気体が圧縮して反発することにより外周輪にかかった荷重を分散させるため、外周輪のバックリングを防止すると共に、乗心地性を向上することができる。また、中空封止体に給排気用バルブを設けたため、中空封止体に封入する圧力調節が可能になるため乗心地性を調整することができ、更には、圧力が低下しても繰り返し圧入することにより長期にわたってバックリング防止及び乗心地性の向上の効果を維持することができる。
図1は、本発明の実施形態からなる非空気式タイヤの側面図であり、図2は、図1におけるX−X矢視断面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の非空気式タイヤは、トレッドリング1と、その内周側に接合するスポーク構造体2とから構成される。スポーク構造体2は、同心状に配置した外周輪3と内周輪4との間をタイヤ周方向に間欠的に配列した複数のスポーク5で連結して形成されている。
タイヤ周方向に互いに隣接するスポーク5,5間に形成された複数の空間には、それぞれに中空封止体6が挿入されている。これらの中空封止体6は、それぞれ給排気口7を介して連通チューブ8により互いに接続され、複数の中空封止体6間が相互に連通している。このように互いに連通した複数の連通チューブ8のうちの一箇所に給排気用バルブ9が設けられている。この給排気用バルブ9から気体が圧入されることにより、全ての中空封止体6が膨張し、その弾性力により外周輪3と内周輪4との間にかかる負荷を支えるようになっている。
また、スポーク構造体2には、内側の中空封止体6がスポーク5,5間から脱落しないように帯状のストッパー10が設けられている。ストッパー10の位置は内周輪4側及び外周輪3側のいずれでもよいが、好ましくは内周輪4側にするのがよい。
このようにタイヤ周方向に互いに隣接するスポーク5,5間の空間に気体が圧入された中空封止体6を挿入したことにより、外周輪3に荷重がかかった場合に、圧入された空気が圧縮力に対して反発することにより等方向に圧力を伝えるため、外周輪3にかかる荷重を分散させて、外周輪3のバックリングを防止することができる。
更に、中空封止体6に対して給排気用バルブ9を設けたので、中空封止体6の内圧を調節して、タイヤの剛性を調整することで乗心地性を向上することができる。また、長期使用の過程で中空封止体6の内圧が低下した場合にも給排気用バルブ9から気体を充填し、所期の性能を維持することができる。
図1のように、中空封止体6に給排気口7を設け、それらに連通チューブ8を接続して全体で1つの給排気用バルブ9を設けると、1回の気体充填作業で全ての中空封止体6に気体を封入できるため好ましい。しかし、図5に示す実施形態のように、中空封止体6のそれぞれに1つずつ給排気用バルブ9をもうけるようにしてもよい。即ち、中空封止体6間で連通していなくても、それぞれの中空封止体6に給排気用バルブ9を設ければ、中空封止体6の内圧を調節しタイヤの剛性を調整することで乗心地性を向上することができ、中空封止体6の内圧が低下した場合にも給排気用バルブ9から空気を充填できる。
中空封止体6の材質は、特に限定されるものではないが、好ましくはゴム又は弾性樹脂が好ましい。ゴムとしては、一般的なタイヤ用ゴムのSBR、NR、ブチルゴム等が例示でき、弾性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が例示できる。
中空封止体6の内部に封入する気体は、内圧を高めることができ、給排気用バルブ7から容易に注入でき、更に重量を増加させないものであれば、空気や不活性ガスなど、どのようなものであってもよい。中でも、経済性や安定性の観点からは空気が好ましい。
中空封止体6の内部の圧力は大気圧よりも高くする必要がある。気体が封じ込められた中空封止体6の内圧を大気圧よりも高い圧力にすることにより、外周輪3に荷重がかかったときに、封じ込められた気体が圧縮されて内圧がより高くなり、等方向に圧力を伝えて荷重を分散するので、外周輪3にバックリングが起こることを防止することができる。
このように中空封止体6に圧入する気体の圧力としては、ゲージ圧で10kPa〜500kPaにするとよい。好ましくは、50kPa〜300kPaにするとよい。ゲージ圧が10kPaよりも小さいと、外周輪3のバックリングを充分に抑制できない。逆に、ゲージ圧が500kPaよりも大きいと、高圧の気体を封じ込めるために、中空封止体6の強度やスポーク構造体2の各部材の強度を大きくしなければならず、そのために各部材を厚くすると非空気式タイヤの重量が増加してしまう。尚、中空封止体6に封入する気体のゲージ圧は20℃における圧力とする。
本発明において、スポーク構造体2の側面に設けるストッパー10は、必ずしも必要ではないが、図1の実施形態のような帯状のストッパーを設ける場合、ストッパー10のタイヤ径方向長さは、スポーク5のタイヤ径方向長さの30%以上とするとよく、この長さが30%より小さいと脱落防止の効果が充分に得られない。また、ストッパー10のタイヤ径方向長さに上限は必ずしも必要ではないが、給排気時の作業性を維持するために、給排気用バルブ9を遮蔽しないようにするのが好ましく、スポーク5のタイヤ径方向長さの80%以下が好ましい。
ストッパー10の形態としては、必ずしも図1、2に示したような帯状に限定されるものではなく、図3のように内周輪4から中空封止体6側に突き出すように設けた突片10aを設けてもよい。また、図4のように、コードやワイヤなどの線状材10bをスポーク5間に架け渡すようにしてもよい。ストッパー10が突片10aである場合、そのタイヤ径方向の長さは、図1、2の帯状材と同じでよい。また、線状材10bの場合は、内周輪4からのタイヤ径方向の高さを、上記長さの規定と同じにすればよい。
図5は、本発明の他の実施形態を示す斜視図である。ストッパーは、設けられることが好ましいが、図では省略して示してある。
図5において、スポーク5は、側面視の形状が円弧状のフレームを左右対称に対をなすように形成されている。互いに隣接するスポーク5,5′は、互いに凸面同士が周方向に対向するように湾曲して外周輪3と内周輪4との間を連結している。更に、隣接するスポーク5,5′の凸面間には凸面同士を連結するように連結部11が形成されている。この連結部11によりスポーク5,5′間の空間が径方向に2つに区分されている。
このようなスポーク構造において、中空封止体6は、連結部11により区分された径方向外側の空間と、連結部11を設けていない隣接したスポーク5,5′間と、に設けられている。スポーク5,5′をこのような形態にして設けることで、スポーク5,5′間に中空封止体6を挿入したとき、中空封止体6が接触する面積を増やすことができるので、荷重がかかった際の圧力をより効果的に分散することができ、外周輪3にバックリングが起こるのを防止することができる。
図5では、中空封止体6のそれぞれに給排気用バルブ9が設けてあるが、図1のように、複数の中空封止体6間をチューブなどで相互に連通させ、これら複数の中空封止体6のうちの1つに給排気用バルブ9を設けるようにしてもよい。
スポーク5の形態は上述した図1や図5の例に限定されない。どのようにスポーク5を設けた場合でも、スポーク間に形成される空間に中空封止体6を挿入することで、荷重がかかった際の圧力を分散してバックリングを防止することができる。また、どのようなスポーク構造であっても中空封止体間を相互に連通させ、これら複数の中空封止体のうちの1つに前記給排気用バルブを設けるのが好ましい。このとき、連通チューブ8はどのように中空封止体6間を連通しても構わない。図1のように各中空封止体6に設けられた給排気口7を繋ぐような円形の連通チューブ8の他にも、給排気用バルブ9から蛸足状に分岐して給排気口7に接続されるような連通チューブ8であってもよい。
スポーク構造体2は、図6のように、タイヤ幅方向に複数の帯域に区分され、隣接する帯域間で、スポーク5の配列位置を周方向に互いにずれるようにしてもよい。このように配置することで、タイヤ幅方向に複数に分割されたスポーク5,5′の位置が、隣接する帯域(帯域12aと12b)間で周方向に互いにずれるため、帯域12bのスポーク5′の配置を帯域12aのスポーク5,5間の外周輪3の剛性強化にも作用するようになる。
しかも、それぞれの帯域のスポーク間に形成された空間に中空封止体6を挿入しているので、スポークを帯域間でずらすことによる剛性向上の効果に加えて、中空封止体6による圧力分散の効果を得ることができる。
本発明の実施形態による非空気式タイヤの側面図である。 図1の実施形態におけるX−X矢視断面図である。 本発明の他の実施形態による非空気式タイヤの一部を拡大して示す側面図である。 本発明の更に他の実施形態による非空気式タイヤの一部を拡大して示す側眼図である。 本発明の更に他の実施形態による非空気式タイヤの斜視図である。 本発明の非空気式タイヤを構成するスポーク構造体から外周部材を除き、周方向に展開した一例を示す説明図である。 従来の非空気式タイヤを示す斜視図である。
符号の説明
1 トレッドリング
2 スポーク構造体
3 外周輪
4 内周輪
5 スポーク
6 中空封止体
9 給排気用バルブ
10 ストッパー

Claims (6)

  1. 同心状に配置した外周輪と内周輪との間をタイヤ周方向に間欠的に配列した複数のスポークで連結してスポーク構造体を構成し、該スポーク構造体の外周側にトレッドリングを配置した非空気式タイヤにおいて、
    タイヤ周方向に互いに隣接する前記スポーク間の空間に、給排気用バルブを有する弾性材料からなる中空封止体を挿入し、該中空封止体に気体を圧入した非空気式タイヤ。
  2. 前記中空封止体間を相互に連通させ、これら複数の中空封止体のうちの1つに前記給排気用バルブを設けた請求項1に記載の非空気式タイヤ。
  3. 前記中空封止体に圧入した気体のゲージ圧が10kPa〜500kPaである請求項1又は2に記載の非空気式タイヤ。
  4. 前記スポーク間のタイヤ側面に中空封止体の脱落防止用ストッパーを設けた請求項1、2又は3に記載の非空気式タイヤ。
  5. 前記ストッパーのタイヤ径方向の長さを前記スポークの径方向長さの30〜80%にした請求項4に記載の非空気式タイヤ。
  6. 前記スポークのタイヤ側面視の形状が円弧状のフレームを左右対称に対をなすように形成した請求項1〜5のいずれかに記載の非空気式タイヤ。
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