JP2010137144A - ジメチルスルホキシド含有有機性排水の嫌気性処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジメチルスルホキシドと共にモノエタノールアミン、イソプロピルアルコール、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機物を含む排水を効率的に嫌気性処理して、TOCの低い高水質処理水を得る。
【解決手段】ジメチルスルホキシドを副成分として含む有機性排水を嫌気性処理する方法において、ジメチルスルホキシド及び/又は硫化メチルを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を用いて嫌気性処理する。ジメチルスルホキシド及び/又は硫化メチルを主成分とした馴養液で馴養して、特に増殖の遅い硫化メチルの分解にかかわる菌体を選択的に増殖させた後、排水処理を行うことにより、排水中のジメチルスルホキシドを効率的に分解処理することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ジメチルスルホキシド(CHSO:DMSO)を副成分として含む有機性排水を嫌気性処理する方法に係り、特に、増殖の遅いDMSO分解菌を効率的に馴養してDMSOと共にモノエタノールアミン(MEA)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等の有機物を含む排水を効率的に嫌気性処理して、TOCの低い高水質処理水を得る方法に関する。
近年、半導体製造工場や液晶パネル製造工場においては、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む洗浄剤や剥離剤が多く使用されるようになり、これらの工場から排出されるDMSO含有排水の処理が重要となっている。
従来、DMSO含有排水の処理方法としては、
(1)活性汚泥による生物分解法
(2)オゾンや過酸化水素などの酸化剤を用いて分解する方法
(3)焼却処理方法
などが提案されてきた。しかし、(1)の活性汚泥法では、好気性条件を保てなくなるとメチルメルカプタン(CHSH:MM)や硫化水素(HS)などの臭気性毒性ガスを発生するという問題が生じ、また、(2)の酸化剤による酸化分解法では、DMSOの分解効率が悪く、反応に長時間を要し、ランニングコストもかかるという問題がある。また、(3)の焼却処理では、低濃度のDMSO含有排水を処理できないなどの問題があった。このようなことから、DMSOを用いる工場から排出されるDMSO含有排水の多くは、廃棄物処理業者による引き取りにより処分されることもあった。
この問題を解決すべく、DMSO含有排水を嫌気槽(嫌気性生物処理槽)で嫌気性処理(嫌気性生物処理)した後、好気槽(好気性生物処理槽)で好気性処理(好気性生物処理)し、次いで固液分離処理して処理水を得るDMSO含有排水の処理方法が提案されている(特開平6−91289号公報)。この方法は、DMSOを嫌気性処理により還元反応させて硫化メチル((CHS:DMS、硫化ジメチルともいう。)とし、生成したDMSを好気性処理によりMM、HSを経て硫酸イオンにまで酸化分解するものであり、嫌気性処理と好気性処理との組み合わせで、DMSO含有排水を臭気発生の問題を引き起こすことなく、高い処理効率で、低コストに処理することができる。
一方で、近年、大量の洗浄水を使用する電子産業工場などでは、排出される有機物含有排水(有機性排水)を生物処理し、その処理水を純水製造の原料として再利用する水回収が進んでおり、生物処理水を純水製造の原料とするために、例えば、生物処理水を固液分離処理して菌体を分離した後、逆浸透膜分離装置で脱塩処理する方法(特開2007−175582号公報)などが提案されている。このように生物処理水を逆浸透膜分離装置で処理する場合、特開平6−91289号公報のようにDMSOを好気性処理によって硫酸イオンにまで酸化分解すると、水中のイオン量が増加するため、逆浸透膜分離装置に負荷がかかり、望ましくない。そこで、好気槽で曝気を行う好気性処理に代えて、生成する硫化水素をメタンとともにガスとして処理水から取り除くことができる嫌気性処理によってDMSO含有排水を処理することが望まれる。嫌気性処理であれば、好気性処理のように好気槽で曝気を行うこともないため、たとえ中間体としてMMやHS、DMSといた悪臭成分が生成したとしても大気中に放散されにくくなるという利点もある。
特開平6−91289号公報 特開2007−175582号公報
DMSOは馴養された菌体を用いることで生物分解が可能であり、好気、嫌気のいずれの条件においても生物処理可能である。この生物分解の過程では、好気、嫌気のいずれの条件においても、中間体として悪臭物質であるDMS、MMが生成するため、これら中間体を蓄積させないように処理する必要がある。しかし、DMSOの分解中間体であるDMSを基質とする菌体は、モノエタノールアミン(MEA)、イソプロピルアルコール(IPA)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)など、DMSO以外に電子産業工場排水に含まれることが多い有機物を基質とする菌体に比べ、増殖速度が遅い上に菌体への転換率も低いため、DMSO以外に、これらMEA、IPA、TMAHなどの有機物を含む有機性排水を嫌気性処理した場合、DMS分解菌が馴養されずに、処理水中に上述の悪臭物質の中間体が長期間に渡って残存し続けてしまうこととなる。
即ち、通常、現場で排水処理の運転を開始する際には、下水汚泥等の種汚泥を投入した生物処理槽に排水を通水して低い負荷から分解菌の馴養を始め、徐々に負荷を上げていき、目標とする負荷が得られるようになってから本稼働へと移していく。ところが、前述の如く、DMS分解菌、即ちDMSをメタンと硫化水素に分解するDMS分解菌は、電子産業工場排水中に含まれる他の成分であるMEA、IPA、TMAHといった有機物の分解菌に比べ、増殖速度が遅い上に菌体への転換率も低い。そのため、DMSOは、DMSO分解菌(結合酸素を利用して有機物を分解する菌)により、速やかにDMSに分解されるが、他のMEA、IPA、TMAHなどの分解菌の馴養が進んでも、DMS分解菌は、なかなか増殖せず、分解が進みにくい。したがって、DMS分解菌の馴養は進まず、その状態でこれらの有機物を含有する排水を処理すると、MEA、IPA、TMAHは順調に分解が行われても、DMSOの分解が十分ではなく、特に中間体であるDMS、MMといった悪臭成分が生成して処理水質の悪化や臭気が問題となることがあった。また、DMS分解菌の馴養が進むまで時間をかけて馴養するとなると、本格的な稼働が可能になるまでには多大な時間を要し、生産ライン工程にも影響を及ぼすという問題もあった。
本発明は上記従来の問題点を解決し、DMSOを副成分として含み、DMSO以外にMEA、IPA、TMAHといった有機物を含む有機性排水を効率的に嫌気性処理する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を用いて嫌気性処理することにより、DMSO分解過程でとりわけ増殖の遅いDMS分解菌を選択的に増殖させた後、排水処理を行うことにより、排水中のDMSOを効率的に分解処理することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであって、請求項1のDMSO含有有機性排水の嫌気性処理方法は、DMSOを副成分として含む有機性排水を嫌気性処理する方法において、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を用いて嫌気性処理する。
また、請求項2のDMSO含有有機性排水の嫌気性処理方法は、DMSOを副成分として含む有機性排水を嫌気槽で嫌気性処理する方法において、該嫌気槽に投入した種汚泥を、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養して馴養汚泥とした後、該嫌気槽に前記有機性排水の供給を開始して嫌気性処理することを特徴とする。
また、請求項3のDMSO含有有機性排水の嫌気性処理方法は、DMSOを副成分として含む有機性排水を嫌気槽で嫌気性処理する方法において、該嫌気槽に、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を投入して前記有機性排水を嫌気性処理することを特徴とする。
本発明によれば、予め、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養(メタン発酵)することにより、DMSO分解菌及びDMSO分解菌によるDMSOの分解で生成したDMSをメタンと硫化水素に分解するDMS分解菌が選択的に増殖した馴養種汚泥を得、この馴養種汚泥を用いて嫌気性処理することにより、DMSOを副成分として含み、DMSO以外にMEA、IPA、TMAHといった有機物を含む有機性排水を効率的に嫌気性処理して、TOC濃度が著しく低減された高水質の処理水を得ることができる。即ち、このようなDMSO及び/又はDMSを主成分とする馴養液を用いて嫌気条件で汚泥を馴養(メタン発酵)した場合、DMSOないしは中間体のDMSが完全に分解されなければガスも発生しないため、DMSOの分解中間体であるDMSやMMがガス中に逃げてしまうこともなく、DMSO分解菌と、特に増殖の遅いDMSをメタンと硫化水素に分解するDMS分解菌とを効率的に馴養することができる。
本発明の方法は、具体的には、DMSO含有有機性排水を嫌気槽で嫌気性処理するに際し、嫌気槽に投入した種汚泥を、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養して馴養汚泥とした後、即ち、該馴養液を予め嫌気槽に通水して嫌気槽内の汚泥を馴養して、DMSOの分解速度が当該DMSO含有有機性排水によるDMSO負荷に見合った値に達したところで、該嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の供給を開始して嫌気性処理することにより(請求項2)、或いは、嫌気槽に、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を投入して、即ち、別途該馴養液で馴養して、DMSOの分解速度がDMSO含有有機性排水によるDMSOの負荷に見合った値に達した馴養種汚泥を投入した嫌気槽にDMSO含有有機性排水を供給して嫌気性処理することにより(請求項3)、容易に実施することができ、嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の通水開始当初から高いDMSO分解率を得、排水処理の立ち上げの短縮を図った上で高水質の処理水を得ることができる。
以下に本発明のDMSO含有有機性排水の嫌気性処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明において、処理対象とするDMSO含有有機性排水は、前述の電子産業工場排水のように、副成分としてDMSOを含み、MEA、IPA、TMAHといったDMSOやDMSOの分解中間体以外の有機物を含むことにより、そのままでは、DMSO分解菌やDMS分解菌の増殖が遅く、DMSOの分解中間体の残留の問題のある排水であり、例えば、以下のような水質のものである。
TOC :50〜2000mg/L
T−N :0〜500mg/L
DMSO:10〜1000mg/L
MEA、IPA及びTMAHの1種又は2種以上:合計50〜5000mg/L
特に、本発明は、DMSOに対して、MEA、IPA、TMAHといったDMSOやDMSOの分解中間体以外の有機物を2重量倍以上含み、そのままでは、DMSOの嫌気性処理が困難な排水に対して有効であり、このようなDMSO含有有機性排水としては、半導体製造工場や液晶パネル製造工場などの電子産業工場排水が挙げられる。
本発明では、このようなDMSO含有有機性排水を嫌気性処理するに当たり、予め、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で馴養(メタン発酵)することにより、DMSO分解菌及びDMSO分解菌によるDMSOの分解で生成したDMSをメタンと硫化水素に分解するDMS分解菌が選択的に増殖した馴養種汚泥を用いて嫌気性処理する。
具体的には、DMSO含有有機性排水を通水して嫌気性処理する嫌気槽に、下水汚泥等の種汚泥を投入し、この嫌気槽にDMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液を通水して嫌気槽内の汚泥を馴養し、槽内汚泥のDMS分解速度が処理するDMSO含有有機性排水によるDMS負荷に見合った値に達したところで、該嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の通水を開始する。或いは、DMSO含有有機性排水を通水して嫌気性処理する嫌気槽に、別途DMSO及び/又はDMSを主成分とする馴養液で馴養して、DMSの分解速度が当該DMSO含有有機性排水によるDMSの負荷に見合った値に達した馴養種汚泥を投入した後、DMSO含有有機性排水の通水を開始して嫌気性処理する。
このように、DMSO及び/又はDMSを主成分とした馴養液で汚泥を馴養することにより、DMSO分解菌と、DMSO分解菌によるDMSOの分解で生成したDMSをメタンと硫化水素に分解する、とりわけ増殖速度の遅いDMS分解菌を十分に増殖させて、DMSOの分解に適した馴養汚泥を得ることができる。従って、このような馴養種汚泥を保持する嫌気槽にDMSO含有有機性排水を通水することにより、嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の通水開始当初から高いDMSO分解率を得、排水処理の立ち上げの短縮を図った上で高水質の処理水を得ることができる。
ここで、DMSO及び/又はDMSを主成分とする馴養液とは、液中に含まれる有機物がDMSO及び/又はDMSを主成分とするものであり、具体的には、液中の有機物の50重量%以上、好ましくは75重量%以上がDMSO及び/又はDMSであるものである。なお、馴養液中のDMSO及び/又はDMS濃度としては特に制限はないが、通常、100〜3000mg/L程度のものが用いられる。この馴養液は、工業用水や市水、或いは本発明によるDMSO含有有機性排水の処理で得られる処理水や各種産業排水の処理水に、上述のDMSO及び/又はDMS濃度となるようにDMSO及び/又はDMSを溶解させて調製したものであっても良く、原水であるDMSO含有有機性排水にDMSO及び/又はDMSを添加してDMSO及び/又はDMS濃度を高めたものであっても良い。
種汚泥の馴養は、例えば、50〜200mg/L程度の低濃度DMSO及び/又はDMS含有液を供給して馴養した後、徐々にDMSO及び/又はDMS濃度を高め、最終的に1000〜3000mg/L程度の高濃度DMSO及び/又はDMS含有液を供給して馴養する方法も好適に採用することができる。
汚泥の馴養期間については特に制限はなく、目的とするDMSO及びDMS分解速度が得られる程度であれば良いが、本発明においては、予め、嫌気槽内の汚泥を馴養した後、DMSO含有有機性排水を通水して嫌気性処理する場合には、嫌気槽内の汚泥が、DMSの処理負荷として、0.03〜1.0kg−COD/kg−VSS/day、特に0.05〜0.2kg−COD/kg−VSS/day程度の処理能力を有するようになった後に、DMSO含有有機性排水を通水することが好ましい。
また、予め馴養した汚泥を嫌気槽に投入してDMSO含有有機性排水の処理を行う場合は、汚泥の投入量によっても異なるが、DMSの処理負荷として、0.1〜1.0kg−COD/kg−VSS/day、特に0.5〜1.0kg−COD/kg−VSS/day程度の処理能力に馴養した汚泥を、実際の嫌気槽のDMSO負荷との関係で、当該馴養種汚泥の嫌気槽への投入量を決定して嫌気性処理を行うようにすることが好ましい。なお、この場合、馴養種汚泥は、嫌気槽に直接投入しても良く、嫌気槽に通水されるDMSO含有有機性排水に添加して嫌気槽に供給するようにしても良い。
いずれの場合も、予め馴養する汚泥のDMS処理能力が高い程、DMSO含有有機性排水の処理開始当初からDMSO及びDMSを高効率で分解することができ、処理の立ち上げに要する時間を短縮することができるが、一方で、汚泥の馴養のための時間と費用を要することとなることから、嫌気槽のDMSO負荷や必要とされる処理効率、処理水の採水開始時期(即ち、立ち上げ期間の短縮の程度)などに応じて、時間と費用の兼ね合いで汚泥の馴養の程度を適宜決定することが好ましい。
なお、嫌気槽に馴養液を通水して嫌気槽内の汚泥を馴養する場合、DMSO含有有機性排水の通水開始に先立ち馴養液を通水して嫌気槽内の汚泥を馴養した後、DMSO含有有機性排水の通水期間中に、必要に応じて、DMSO含有有機性排水の通水と馴養液の通水とを切り換え、DMSO含有有機性排水の嫌気性処理の途中で嫌気槽内汚泥を再度馴養するようにしても良い。
また、別途馴養した馴養種汚泥を嫌気槽又は嫌気槽に通水されるDMSO含有有機性排水に添加して嫌気性処理を行う場合においても、嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の通水開始時にこの馴養種汚泥を添加した後、DMSO含有有機性排水の嫌気性処理中に必要に応じて別途馴養した馴養種汚泥を嫌気槽又は嫌気槽に通水されるDMSO含有有機性排水に添加して嫌気槽内汚泥のDMS処理能力を高めるようにしても良い。
なお、本発明の方法は、具体的には、前述の如く、DMSO含有有機性排水の通水に先立ち、予め嫌気槽内の汚泥を馴養した後DMSO含有有機性排水を通水したり、別途馴養した汚泥を嫌気槽又は嫌気槽に通水されるDMSO含有有機性排水に添加することにより実施されるが、これらの方法に限らず、嫌気槽へのDMSO含有有機性排水の通水初期にDMSO含有有機性排水にDMSO及び/又はDMSを添加して、DMSO含有有機性排水を高濃度DMSO及び/又はDMS含有馴養液として汚泥の馴養を行い、その後DMSO及び/又はDMSを添加しないDMSO含有有機性排水を通水して嫌気性処理するなどの方法で実施することもできる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施態様I:嫌気槽内汚泥の馴養]
<実施例1>
下記水質のDMSO含有有機性排水を原水として、下記条件の嫌気槽にて嫌気性処理を行った後、下記の膜分離装置で固液分離して処理水を得る実験を行った。なお、膜分離装置の濃縮水は嫌気槽に循環した。
(原水水質)
TOC:200mg/L
T−N:70mg/L
有機物の組成
MEA=300mg/L
DMSO=50mg/L
TMAH=100mg/L
(嫌気槽)
水温:35℃
実容量:5L
種汚泥:下水消化汚泥(VSS12,000mg/L)
槽内VSS12,000mg/Lを維持するように汚泥を引き抜き
(膜分離装置)
チューブラー形式の精密濾過膜(旭化成ケミカルズ社製「マイクローザMF UMP−153」)を装填したMF膜分離装置
嫌気槽への原水の通水に先立ち、馴養液として下記表1に示すようにDMSO濃度を徐々に増加させたDMSO水溶液を0.5L/dayで嫌気槽に通水し、その後に原水を15L/dayで通水した。
Figure 2010137144
原水通水開始から50日間の処理水(膜分離装置の透過水)のTOC濃度の経時変化を図1に示す。
<比較例1>
実施例1において、嫌気槽へのDMSO水溶液の通水を行わず、当初から原水を通水したこと以外は同様にして処理を行った。
原水通水開始から50日間の処理水(膜分離装置の透過水)のTOC濃度の経時変化を図1に示す。
図1より、次のことが分かる。
実施例1、比較例1ともに、原水通水開始後一週間程度でMEA、TMAHに対する汚泥の馴養が進み、処理水のTOC濃度は急激に低下した。実施例1では8日目以降、処理水TOC濃度は3mg/L以下で推移したのに対し、比較例1では13〜17mg/Lで推移し、それ以下に下がることはなかった。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、比較例1の処理水中のDMS濃度は平均33mg/Lであり、残存したTOC成分の大部分がDMSOの分解における中間体のDMSであった。
この結果から、実施例1では、予め汚泥の馴養を行ったことにより、原水通水開始時には既にDMSO分解菌及びDMS分解菌が増殖しており、MEA、TMAHの分解菌の増殖に伴って処理水質が良好となったのに対して、比較例1では、増殖の遅いDMSOの分解に関わる菌体の増殖が進まず、この結果、DMSの残留で処理水TOCが十分に下がらないことが考えられた。
[実施態様II:馴養種汚泥の添加]
<実施例2>
下記水質のDMSO含有有機性排水を原水として、下記条件の嫌気槽にて嫌気性処理を行った後、下記の膜分離装置で固液分離して処理水を得る実験を行った。なお、膜分離装置の濃縮水は嫌気槽に循環した。
(原水水質)
TOC:186mg/L
T−N:70mg/L
有機物の組成
MEA=300mg/L
DMSO=50mg/L
TMAH=100mg/L
(嫌気槽)
水温:35℃
実容量:5L
種汚泥:下水消化汚泥(VSS12,000mg/L)
槽内VSS12,000mg/Lを維持するように汚泥を引き抜き
(膜分離装置)
チューブラー形式の精密濾過膜(旭化成ケミカルズ社製「マイクローザMF UMP−153」)を装填したMF膜分離装置
原水の通水に先立ち、DMSOをメタン発酵する微生物群として別途、馴養しておいたDMSOの汚泥負荷0.8kg−COD/kg−VSS/dayの能力を有する汚泥を嫌気槽に0.5L添加し、その後、原水を15L/dayで通水した。
原水通水後の処理水(膜分離装置の透過水)のTOC濃度の経時変化を表2に示す。
<比較例2>
実施例2において、嫌気槽への馴養種汚泥の添加を行わずに原水を通水したこと以外は同様にして処理を行った。
原水通水後の処理水(膜分離装置の透過水)のTOC濃度の経時変化を表2に示す。
Figure 2010137144
表2より、次のことが分かる。
実施例2及び比較例2ともに、原水通水5日後までは時間の経過とともにTOC濃度が低下したが、10日以降は実施例2で1.2〜1.5mg/Lと低い値を示したのに対し、比較例2では12.2〜15.0mg/Lと高い値を示した。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、10日後の比較例2のTOC成分は殆どがDMSであることが分かった。
この結果から、原水の通水開始から5日後まではMEAとTMAHの分解が進んでTOCの低下がみられたが、比較例2ではDMSO分解菌及びDMS分解菌の馴養が進まないため、10日以降にDMSO分解の中間体であるDMSが残存したものと考えられる。これに対して、実施例2では、馴養が進んだ汚泥を投入したため、中間体の残存もなく、良好な水質の処理水が得られる。
実施例1及び比較例1における処理水のTOC濃度の経時変化を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ジメチルスルホキシドを副成分として含む有機性排水を嫌気性処理する方法において、
    ジメチルスルホキシド及び/又は硫化メチルを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を用いて嫌気性処理することを特徴とするジメチルスルホキシド含有有機性排水の嫌気性処理方法。
  2. ジメチルスルホキシドを副成分として含む有機性排水を嫌気槽で嫌気性処理する方法において、
    該嫌気槽に投入した種汚泥を、ジメチルスルホキシド及び/又は硫化メチルを主成分とした馴養液で馴養して馴養汚泥とした後、該嫌気槽に前記有機性排水の供給を開始して嫌気性処理することを特徴とするジメチルスルホキシド含有有機性排水の嫌気性処理方法。
  3. ジメチルスルホキシドを副成分として含む有機性排水を嫌気槽で嫌気性処理する方法において、
    該嫌気槽に、ジメチルスルホキシド及び/又は硫化メチルを主成分とした馴養液で馴養した馴養種汚泥を投入して前記有機性排水を嫌気性処理することを特徴とする嫌気性処理方法。
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JP2012210584A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Kurita Water Ind Ltd クラフトパルプ排水の処理方法

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