JP2010137048A - イオントフォレシス用電極組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリアニオン性の水溶性多糖類、及びカチオン性薬剤を含む、イオントフォレシス用電極組成物13によって解決することができる。また、イオントフォレシス用電極組成物は、交流電流14と組み合わせることにより、長時間の通電が可能である。更に、イオントフォレシス用電極組成物は、凍結乾燥することにより保存や輸送が容易になる。
【選択図】図1
Description
また、不織布又はナイロンメンブレンを薬物保持層として用いた場合は、シールや包帯等で、不織布又はナイロンメンブレンを固定する必要がある。この場合、薬物保持層自体には、接着性がないため、シール等で固定しても皮膚と薬物保持層との密着性が低く、薬剤の皮下への浸透効率を低下させることになる。
更に、従来の方法では、イオントフォレシスに直流電流を用いていたため、通電を行うと電極の温度が上昇するため、長時間の通電ができず、薬物を充分に皮膚や粘膜に浸透させることができないことがあった。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、ポリアニオン性の水溶性多糖類を、イオントフォレシス用電極組成物に含有させることにより、大量の薬剤を、イオントフォレシス用電極組成物に担持させることが可能であることを見出した。また、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含有するイオントフォレシス用電極組成物は皮膚、又は粘膜に密着させることが可能であり、従ってシールなどによる固定なしに、前記イオントフォレシス用電極を皮膚へ貼付することができる。更に、前記電極は、皮膚、又は粘膜への密着性が優れていることから、大量の薬剤を皮下へ効率よく浸透させることができる。更に、前記電極と交流電流を組み合わせることによって、薬物の浸透効率を低下させることなく、イオントフォレシスを長時間にわたり、継続させることが可能である。
本発明は、このような知見に基づくものである。
本発明によるイオントフォレシス用電極組成物の好ましい態様においては、更にカチオン性薬剤を含む。また、本発明によるイオントフォレシス用電極組成物の好ましい態様においては、ポリアニオン性の水溶性多糖類が、アルギン酸塩であり、特にはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、又はアルギン酸アンモニウムである。また、本発明によるイオントフォレシス用電極組成物の好ましい態様においては、前記イオントフォレシス用電極組成物が、凍結乾燥されている。更に、本発明によるイオントフォレシス用電極組成物の好ましい態様においては、交流電流用である。
また、本発明は、前記イオントフォレシス用電極組成物及び導電体を含むイオントフォレシス用電極にも関する。
更に、本発明は、前記イオントフォレシス用電極に交流電流を通電することを特徴とする、イオン電気導入法にも関する。
また、本発明は(a)正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程、及び(b)前記導電体に堆積したポリアニオン性水溶性多糖類を、金属イオンを用いて架橋する工程を含む、イオントフォレシス用電極の製造方法に関する。
更に、本発明は、(a)正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程、(b)前記導電体に堆積したポリアニオン性水溶性多糖類を、金属イオンを用いて架橋する工程、及び(c)前記ポリアニオン性水溶性多糖類にカチオン性薬剤を結合させる工程、
を含む、イオントフォレシス用電極の製造方法に関する。
本発明のイオントフォレシス用電極の製造方法の別の好ましい実施態様においては、前記ポリアニオン性水溶性多糖類がアルギン酸塩であり、特には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、又はアルギン酸アンモニウムである。
更に、本発明のイオントフォレシス用電極と交流電流を組み合わせることにより、皮膚と電極の間の分極作用を抑えることが可能である。すなわち、従来の直流電流を用いた方法では、通電時間が長くなるにつれて、皮膚と電極の間において電極分極が形成される。従って薬物の浸透効率が低下する。また、そのような状況で長時間通電を行うと、電極の温度が上昇し、電極が溶解し、やけどを起こすこともある。しかしながら、本発明のイオントフォレシス用電極と交流電流の組み合わせによれば、電極分極形成が起きにくく、長時間にわたり通電が可能である。
本発明のイオントフォレシス用電極の製造方法によって製造されたイオントフォレシス用電極は、導電体とポリアニオン性水溶性多糖類のゲルとの密着性が優れており、薬剤をイオントフォレシスによって浸透させる場合に、導電体からポリアニオン性水溶性多糖類のゲルが離脱することがない。
本発明のイオントフォレシス用電極組成物は、ポリアニオン性の水溶性多糖類を含むことができる。ポリアニオン性の水溶性多糖類としては、カチオン性の薬剤を静電相互作用により保持することのできる水溶性多糖類であれば、特に限定されるものではないが、例えばアルギン酸塩、ゲラン、ゲランガム、キサンタンキトサン、及びカラゲナンを挙げることができ、特には、アルギン酸塩が好ましい。前記アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムを挙げることができるが、特にはアルギン酸ナトリウムが好ましい。ポリアニオン性の水溶性多糖類のうちでも、アルギン酸塩は、カルシウムなどの金属イオンで架橋し、ゲル化することが可能であり、架橋することにより、通電により電極の温度が上昇しても溶解することがない。一方、金属イオン以外の架橋剤を用いて架橋し、ゲル化しなければいけない基材において使用される架橋剤としては、グルタールアルデヒドやビスマレイミドなどを挙げることができるが、このような架橋剤は、皮膚刺激や毒性のあるものも多い。従って、アルギン酸塩は、金属イオンによりゲル化する点からも、ポリアニオン性の水溶性多糖類として好ましい。
また、ゲル組成物を乾燥させた乾燥重量において、カチオン性の薬剤を除いたポリアニオン性の水溶性多糖類の含量は、50〜100重量%が好ましく、80〜100重量%が好ましい。
従って、本発明のイオントフォレシス用電極組成物は、実質的にカチオン性の薬剤のイオンと競合するイオンを解離する添加剤を含まないものが好ましい。ここで「実質的にカチオン性の薬剤のイオンと競合するイオンを解離する添加剤を含まない」とは、過度の電極分極を起こさず、長時間通電(好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上)を妨げない程度の、カチオン性の薬剤のイオンと競合する添加剤を含んでもよいことを意味する。
カチオン性の薬剤を含んだイオントフォレシス用電極組成物の場合は、凍結乾燥した組成物に水を供給し、ゲル状の組成物に戻し、そのままイオントフォレシス用電極として使用することができる。また、カチオン性の薬剤を含まないイオントフォレシス用電極組成物の場合は、凍結乾燥した組成物に水を供給し、ゲル状の組成物に戻した後、カチオン性の薬剤を含む溶液にゲル化組成物を浸漬することによって、カチオン性薬剤を保持させ、イオントフォレシス用電極として使用することができる。
また、例えば、口腔内などの唾液などの水分が存在する粘膜に貼付する場合は、水分を供給することなく、そのまま口腔内に貼付することもできる。すなわち、イオントフォレシス用電極組成物が唾液などの水分を吸収し、ゲルの状態となり、イオントフォレシス用電極として用いることも可能である。
交流電流の電流密度としては、約0.01から1.0mA/cm2が好ましく、0.1から0.5mA/cm2がより好ましい。周波数は、好ましくは1Hz〜100kHz、より好ましくは、100Hz〜10kHz、最も好ましくは500Hz〜5kHzである。通電は双方向性形波通電が好ましく、矩形波のデューティサイクルは50〜95%が好ましく、60〜95%より好ましく、60〜90%がもっと好ましい。
本発明のイオントフォレシス用電極の製造方法は、前記イオントフォレシス用電極を製造する方法の1つの好ましい態様であり、イオントフォレシス用電極組成物に含まれるポリアニオン性水溶性多糖類、及び酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を用いて製造することができる。
本発明のイオントフォレシス用電極の製造方法は、正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程を含む。なお、堆積したポリアニオン性水溶性多糖類は、イオン結合及び水素結合によりゲル化している。
前記導電体の具体例としては、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、又はタンタル合金を挙げることができ、特にはアルミニウム、又はアルミニウム合金が好ましい。
また、電気分解の電流密度が大きくなることにより、ポリアニオン性水溶性多糖類の堆積量が増加するため、目的の堆積量を得るために電流密度を適宜調製することができる。例えば、通常0.1〜100mA/cm2であり、好ましくは0.1〜20mA/cm2である。ポリアニオン性水溶性多糖類堆積物の厚さとしては、好ましくは0.05mm〜5cm、より好ましくは0.1mm〜1cm、最も好ましくは、0.2mm〜5mmである。
アルギン酸塩は、その分子内にカルボキシル基を有しており、後述のように、カルボキシル基を有していることにより、酸化物による不動態被膜との強固な結合を形成することが可能であり、またアルギン酸塩自体のゲル化にも有利であると考えられる。更に、ポリアニオン性の水溶性多糖類のうちでも、アルギン酸塩は、カルシウムなどの金属イオンで架橋し、ゲル化することが可能であり、架橋することにより、通電により電極の温度が上昇しても溶解することがない。
アルギン酸は、β−D−マンヌロン酸(Mブロック)、及びそのC−5エピマーであるα−L−グルロン酸(Gブロック)が(1−4)結合した直鎖状のポリマーである。カルボキシル基が脱プロトン化したCOO−が酸化物とイオン結合することにより、導電体と強固な結合を形成する。また、アルギン酸同士は、カルボキシル基(COOH)の水素結合により結合し、ゲル化すると考えられる。
具体的には、ポリアニオン性水溶性多糖の堆積したゲルを、二価カチオンの水溶液、例えば塩化カルシウム溶液に浸漬することによって、架橋することができる。
例えば、前記架橋工程(b)の前に、結合工程(c)を行う場合は、堆積工程(a)において、ゲル化したポリアニオン性水溶性多糖類を、カチオン性の薬剤を含む溶液に浸漬することによっても結合させることができる。また、前記堆積工程(a)の後に、電解槽にカチオン性の薬剤を添加し、アノードとカソードとを逆転させ、ゲル化したポリアニオン性水溶性多糖類にカチオン性薬剤を結合させることもできる。
また、前記架橋工程(b)と同時に、結合工程(c)を行う場合は、二価カチオンの溶液に、カチオン性の薬剤を混合することによって、金属イオンによる架橋と同時に、カチオン性の薬剤をポリアニオン性水溶性多糖類のゲルに結合させることができる。
更に、前記架橋工程(b)の後に、結合工程(c)を行う場合は、前記架橋工程(b)において得られた金属架橋ゲルを、カチオン性の薬剤を含む溶液に浸漬することによって結合させることができる。
本発明の製造方法によって、導電体とポリアニオン性水溶性多糖類とが、強固に結合することのできる機構は、詳細には解明されていないが、以下のように考えることができる。しかしながら、本発明は、以下の説明によって限定されるものではない。
本発明の製造方法に用いる導電体は、その表面に酸化物の不動態被膜を形成することのできるものである。前記酸化物は、弱酸性下でプラスに荷電しており、これにポリアニオン性水溶性多糖類のマイナスに荷電した基、例えばCOO−がイオン結合で結合していると考えられる。すなわち、前記のイオン結合によって、伝導体とポリアニオン性水溶性多糖類との界面が制御され、強固な結合を形成するものと考えられる。
一方、ポリアニオン性水溶性多糖類のゲルは、ポリアニオン性水溶性多糖類のプロトン化した基、例えばCOOHが水素結合することによって、形成されると考えられる。
本実施例1では、ポリアニオン性多糖類として、アルギン酸ナトリウムを用いて、イオントフォレシス用電極組成物を作製した。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粘度300〜400mPa・s)を、超純水に溶解させ、1%の水溶液を調製した。このアルギン酸ナトリウム水溶液2gに、1mol/Lの塩化カルシウム水溶液20mLを添加し、長方形の型に流し込み、フィルム状にゲル化させた。得られたイオントフォレシス用電極ゲル組成物は、厚さが約0.5mmで、縦2.5cm×横4cmであった。このゲル組成物を超純水で十分に洗浄し、余分なカルシウム溶液を取り除いた。作製したイオントフォレシス用電極ゲル組成物を図3に示す。密着性を調べるため、ヒトの皮膚に貼付した。このゲル組成物は、皮膚に対して充分な密着性を示した。関節部に貼付した場合も、関節の動きに追従し、皮膚への十分な密着性が得られた。
本実施例2では、ポリアニオン性多糖類としてアルギン酸ナトリウムを、金属電極としてアルミニウムを用いた、イオントフォレシス用電極を作製した。
アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粘度300〜400mPa・s)を、超純水に溶解させ、1%の水溶液を調製した。このアルギン酸ナトリウム水溶液2gに、約1mol/Lの塩化カルシウム水溶液20mLを添加し、アルミ電極と一緒に、長方形の型に流し込み、フィルム状にゲル化させた。得られたイオントフォレシス用電極ゲル組成物は、厚さが約0.5mmで、縦2.5cm×横4cmであった。このイオントフォレシス用電極におけるゲル組成物を超純水で十分に洗浄し、余分なカルシウム溶液を取り除いた。作製したイオントフォレシス用電極を図4に示す。密着性を調べるため、ヒトの皮膚に貼付した。このゲル組成物は、皮膚に対して充分な密着性を示した。関節部に貼付した場合も、関節の動きに追従し、皮膚への十分な密着性が得られた。
本実施例3では、実施例1の手順に従って作製したイオントフォレシス用電極ゲル組成物を、凍結乾燥し、凍結乾燥イオントフォレシス用電極組成物を作製した。
実施例1の手順により得られた、イオントフォレシス用電極ゲル組成物を、ディープフリーザーを用いて、−20℃で凍結した。凍結したイオントフォレシス用電極ゲル組成物を、凍結乾燥機(VirTis社製)にセットし、12時間で凍結乾燥を行い、凍結乾燥イオントフォレシス用電極組成物を得た。
本実施例4では、ブタの口腔粘膜における本発明のイオントフォレシス用電極組成物、及び凍結乾燥イオントフォレシス用電極組成物の密着性を検討した。
アルギン酸ナトリウムの水溶液の濃度を1%から、0.5%又は2%に変更したことを除いては、実施例1の操作を繰り返し、0.5%イオントフォレシス用電極組成物及び2%イオントフォレシス用電極組成物を得た。また、アルギン酸ナトリウムの水溶液の濃度を1%から、0.5%又は2%に変更したことを除いては、実施例3の操作を繰り返し、0.5%凍結乾燥イオントフォレシス用電極組成物及び2%凍結乾燥イオントフォレシス用電極組成物を得た。
本実施例5では、アルギン酸ナトリウムを用いたイオントフォレシス用電極組成物からの、リドカインの放出を、図6に記載の実験用セル(木下らの論文に記載:T.Kinoshita,T.Shibaji and M.Umino,J.Med.Dent.Sci.,50,71(2003))を用いて調べた。
まず、ポリアニオン性多糖類としてアルギン酸ナトリウムを、カチオン性薬剤としてリドカイン塩酸塩を用いて、薬剤を含むイオントフォレシス用電極組成物を作製した。アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粘度300〜400mPa・s)を、超純水に溶解させ、0.3%の水溶液を調製した。このアルギン酸ナトリウム水溶液に、1%濃度となるようにリドカイン塩酸塩を溶解させた。リドカイン塩酸塩含有アルギン酸水溶液8gに、1mol/Lの塩化カルシウム水溶液20mLを添加し、直径20mm、高さ10mmの円柱状長方形の型に流し込み、ゲル化させた(図5)。得られた円柱状ゲルは、超純水で充分洗浄し、余剰のカルシウム溶液を取り除いた後、1%のリドカイン塩酸塩水溶液中で保存した。得られたリドカイン含有イオントフォレシス用電極組成物は、図6に示すように、実験用システムのガラスセル(25)のドナー側(23)にセットした。ガラスセルのアクセプター側(24)に、3mLの超純水を入れ、その間には皮膚のモデルとしてセロファンフィルム(21)を配置した。試験電圧は、交流20V、デューティサイクル80%の矩形波で、60分間通電した。アクセプター側の超純水中のリドカイン塩酸塩濃度は、10分ごとに、20μLの液を採取し、超純水を用いて40倍に希釈した後、紫外可視分光光度計を用いて262nmの吸光度を測定し、濃度を算出した。対照として、電圧を印加しない場合の、アクセプター側へのリドカインの自然拡散による放出を測定した。結果を図7に示す。アクセプター側へのリドカインの放出は、電圧を印加しない自然拡散の場合と比較して、ほぼ2倍となった。
本実施例6では、導電体としてアルミニウムを用いて、イオントフォレシス用電極組成物を含むイオントフォレシス用電極を製造した。ポリスチレン製のセル(図8)を用いて、陽極のアルミニウムにアルギン酸を堆積させた。
まず、アルギン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粘度80〜120mPa・s)を超純水に溶解させ、0.5%の水溶液を調製した。次に、ポリスチレン製のセルに、調製したアルギン酸ナトリウム水溶液20mLを加えた。陽極に厚さ0.1mmのアルミニウム(ニラコ株式会社製)を用い、陰極に厚さ0.1mmの白金(ニラコ株式会社製)をセットした。電極間距離は10mmとし、電源には直流安定化電源(松定プレシジョン株式会社製、P4K−80)を用いた。電流密度を、0.5、1、1.5、又は3.0mA/cm2に設定し、それぞれ60、120、300、又は600秒間通電した。通電後の電極は、超純水で洗浄し、37℃に設定された乾燥機中で24時間乾燥した。
本比較例1では、導電体として白金を用いて、イオントフォレシス用電極組成物を含むイオントフォレシス用電極を製造した。
具体的には、陽極にアルミニウムに代えて、白金を用いたことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。
本比較例1では、導電体として銀を用いて、イオントフォレシス用電極組成物を含むイオントフォレシス用電極を製造した。
具体的には、陽極にアルミニウムに代えて、銀を用いたことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。
図9には、電流密度3.0mA/cm2で60、120、300、又は600秒間通電した後の、アルミニウムを用いた電極の外観を示す。通電によって、アルミ陽極電極に堆積物が確認され、その堆積量は通電時間に伴い増加した。
1600cm−1付近にカルボキシル基の非対称伸縮振動が検出されたことから、堆積物はアルギン酸であることが明らかとなった。通電時間の増加に伴い、1730cm−1付近にカルボキシル基のC=O伸縮振動に帰属されるピークが検出され、強度が増加した。これは、水の電気分解によって陽極でプロトンが生じたため局所的にpHが減少し、アルギン酸のカルボキシル基がプロトン化されたことを示す。プロトン化されたカルボキシル基は水素結合を形成し、アルギン酸が電極表面でゲル化したと考えられる。
12・・・金属;
13・・・イオントフォレシス用電極組成物;
14・・・電源;
15・・・金属電極;
21・・・セロファンフィルム;
22・・・ボルト;
23・・・ガラスセルのドナー側;
24・・・ガラスセルのアクセプター側;
25・・・ガラスセル;
26・・・白金プレート電極;
27・・・ウォーターバス;
28・・・アクリルプレート。
Claims (14)
- ポリアニオン性の水溶性多糖類を含む、イオントフォレシス用電極組成物。
- 更にカチオン性薬剤を含む、請求項1に記載のイオントフォレシス用電極組成物。
- ポリアニオン性の水溶性多糖類が、アルギン酸塩である、請求項1又は2に記載のイオントフォレシス用電極組成物。
- 前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、又はアルギン酸アンモニウムである、請求項3に記載のイオントフォレシス用電極組成物。
- 凍結乾燥された、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオントフォレシス用電極組成物。
- 交流電流用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオントフォレシス用電極組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のイオントフォレシス用電極組成物及び導電体を含むイオントフォレシス用電極。
- 請求項7に記載のイオントフォレシス用電極に交流電流を通電することを特徴とする、イオン電気導入法。
- 正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程を含む、イオントフォレシス用電極の製造方法。
- (a)正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程、及び
(b)前記導電体に堆積したポリアニオン性水溶性多糖類を、金属イオンを用いて架橋する工程、
を含む、イオントフォレシス用電極の製造方法。 - (a)正極に接続した、酸化物の不動態被膜を形成することのできる導電体を、ポリアニオン性水溶性多糖類を含む溶液に浸漬させ、そして電解することにより、導電体にポリアニオン性水溶性多糖類を堆積する工程、
(b)前記導電体に堆積したポリアニオン性水溶性多糖類を、金属イオンを用いて架橋する工程、及び
(c)前記ポリアニオン性水溶性多糖類にカチオン性薬剤を結合させる工程、
を含む、イオントフォレシス用電極の製造方法。 - 前記導電体が、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、及びタンタル合金からなる群から選択される金属である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の、イオントフォレシス用電極の製造方法。
- 前記ポリアニオン性水溶性多糖類がアルギン酸塩である、請求項9〜12のいずれか一項に記載の、イオントフォレシス用電極の製造方法。
- 前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、又はアルギン酸アンモニウムである、請求項9〜13のいずれか一項に記載の、イオントフォレシス用電極の製造方法。
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2009
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