JP2010129347A - 燃料電池 - Google Patents

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慎司 城森
Naoki Takehiro
直樹 竹広
Tatsuya Arai
竜哉 新井
Keiichi Kaneko
桂一 金子
Takumi Taniguchi
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Abstract

【課題】単セル内流路に閉塞部を設けた燃料電池において、単セル内流路における流路抵抗のばらつきに起因する電池性能の低下を抑制する。
【解決手段】電解質膜と電極とを備えて電極面に沿ってガス流路が形成される発電体を、複数積層して成る燃料電池であって、反応ガスをガス流路に対して供給するガス供給マニホールドと、ガス流路から排出される反応ガスが流入するガス排出マニホールドと、ガス流路におけるガス供給マニホールドとの接続部近傍、および/または、ガス流路におけるガス排出マニホールドとの接続部近傍に配置され、配置箇所における反応ガスの通過を抑制する閉塞部と、を備える。閉塞部は、ガス供給マニホールドからガス排出マニホールドへと種々の経路を経由して反応ガスが流れる際に、反応ガスに対する抵抗が経路間においてばらつくのを抑制するように構成されている。
【選択図】図3

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、一般に、単セルを複数積層することによって形成され、各単セルが備える一方の電極に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に、他方の電極に酸素を含有する酸化ガスを供給して起電力を得る装置である。従来、このような燃料電池において、ガスの利用率を向上させて電池性能を向上させるための種々の提案がなされてきた。その一つとして、単セル内の燃料ガスあるいは酸化ガスの流路の形状を、入り口部が閉塞部材により閉塞された溝状の流路と、出口部が閉塞部材により閉塞された溝状の流路と、を交互にストライプ状に並べた形状とする構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような燃料電池は、上記した流路形状を実現する凹凸形状が形成されたセパレータを、電解質膜上の電極上に配置したガス拡散層上に、さらに積層することによって形成される。このような構成とすることにより、燃料電池に供給されたガスは、まず、入り口部が開放されると共に出口部が閉塞された溝状流路に流入する。そして、流入した溝流路は出口部が閉塞されているため、溝流路を形成する凸部が当接するガス拡散層内を経由して、入り口部が閉塞されると共に出口部が開放された隣の溝状流路に流入する。このように、ガスの流れの経路が変更されて、電極上に配置されたガス拡散層内全体にガスが行き渡るため、電極面全体でガス利用率が向上する。
特開2006−127770 特開平2−117069 特開2007−234389
しかしながら、単セル内に形成するガス流路において、面内での流路抵抗が不均一である場合には、ガス流れが面内で不均一になるため、上記のように流路に閉塞部を設けてガス利用率の向上を図っても、十分な効果を得られない場合があった。例えば、燃料電池においては、発電効率を向上させるために、電極を形成する発電領域をできるだけ広く確保する必要がある。そのため、燃料電池内を積層方向に貫通して設けられ、各単セル内の流路へとガスを給排するガスマニホールドは、各単セルの面内において、限られた領域内に設ける必要がある。このように、ガスマニホールドが形成される位置が制限されることにより、単セル内の流路においては、溝流路間でマニホールドとの距離が異なることになる。流路長が長いほど流路抵抗が大きくなるため、マニホールドから遠い溝流路ほど流路抵抗が大きくなって、溝流路に流れ込むガス量が抑えられてしまう。特に、閉塞部を設けた溝流路では、流れ込むガス量が減少することにより、既述したようにガス拡散層内に潜り込んで隣の溝流路に流入しようとするガス流れが弱まり、このような領域における発電効率が大きく低下する。そして、部分的に発電効率が低下して、電極面全体で発電効率のばらつきが生じることにより、却って燃料電池全体の性能が低下する可能性がある。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、単セル内の流路において閉塞部を設けた燃料電池において、単セル内流路における流路抵抗のばらつきに起因する電池性能の低下を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
電解質膜と該電解質膜上に形成した電極とを備えて電極面に沿ってガス流路が形成される発電体を、複数積層して成る燃料電池であって、
前記積層の方向に沿って、各々の発電体に形成された前記ガス流路と連通して設けられ、電気化学反応に供される反応ガスを、前記ガス流路に対して供給するガス供給マニホールドと、
前記積層の方向に沿って、各々の発電体に形成された前記ガス流路と連通して設けられ、前記ガス流路から排出される前記反応ガスが流入するガス排出マニホールドと、
前記ガス流路における前記ガス供給マニホールドとの接続部近傍、および/または、前記ガス流路における前記ガス排出マニホールドとの接続部近傍に配置され、配置箇所における前記反応ガスの通過を抑制する閉塞部と
を備え、
前記閉塞部は、前記ガス流路において前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと種々の経路を経由して前記反応ガスが流れる際に、前記反応ガスに対する抵抗が、前記経路間においてばらつくのを抑制するように構成されている
燃料電池。
適用例1に記載の燃料電池では、閉塞部を設けることにより、反応ガスに対する抵抗が経路間においてばらつくのが抑制されるため、ガス流路が形成される面全体で、抵抗が均一化され、反応ガスの流量の分布を面全体で均一化することができる。したがって、ガスの利用率が電極面全体で確保され、燃料電池の性能を向上させることができる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池であって、前記閉塞部は、該閉塞部を前記反応ガスが通過する際の抵抗が、対応する前記経路に応じて異なることにより、前記経路間の抵抗のばらつきを抑制する燃料電池。適用例2記載の燃料電池によれば、閉塞部を反応ガスが通過する際の抵抗が、対応する経路に応じて異なることにより、流路抵抗を面内で均一化することができ、ガス流量の分布を面内で均一化することができる。
[適用例3]
適用例1または2記載の燃料電池であって、前記閉塞部は、少なくとも一部が多孔質体によって形成され、前記多孔質体のガス透過率が、対応する前記経路に応じて異なることにより、前記流路抵抗を均一化する燃料電池。適用例3記載の燃料電池によれば、閉塞部を構成する多孔質体のガス透過率が、対応する経路に応じて異なることによって、流路抵抗を面内で均一化することができ、ガス流量の分布を面内で均一化することができる。
[適用例4]
適用例1ないし3いずれか記載の燃料電池であって、前記ガス流路は、前記ガス供給マニホールドと前記ガス排出マニホールドとの間を流れる前記反応ガスが分割されて流れる複数の分割流路を備え、前記閉塞部は、経由する前記分割流路による、前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと前記反応ガスが流れる際の距離の差に起因する流路抵抗のばらつきを均一化する燃料電池。適用例4記載の燃料電池によれば、経由する分割流路によって流路長が異なることに起因するガス流量の面内ばらつきを、閉塞部によって均一化することができる。
[適用例5]
適用例4記載の燃料電池であって、前記閉塞部は、各々の前記分割流路に対応して設けられており、前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと前記ガスが流れる際の距離が長くなる前記分割流路に対応する前記閉塞部ほど、該閉塞部の配置箇所を前記ガスが通過する際の抵抗が小さく形成されている燃料電池。適用例5記載の燃料電池によれば、ガス流路長が長くなる分割流路に対応して設けられた閉塞部ほど、閉塞部の通過箇所を通過する際の抵抗が小さく形成されているため、このような分割流路に対してガスが流れやすくなる。したがって、流路長が長いことに起因して生じる流路抵抗が抑えられ、ガス流量の分布を面内で均一化することができる。
[適用例6]
適用例1ないし5いずれか記載の燃料電池であって、さらに、前記電極上に配置されるガス透過性を有するガス拡散層と、前記ガス拡散層上に配置され、前記ガス拡散層と接する表面において、前記ガス流路を形成する凹凸形状を有するガスセパレータと、を備え、前記ガス流路は、前記ガス供給マニホールドと前記ガス排出マニホールドとの間を流れるガスが分割されて流れる複数の分割流路を備え、前記閉塞部は、前記複数の分割流路において、上流側端部と下流側端部とに交互に配置される燃料電池。適用例6記載の燃料電池によれば、分割流路における上流側端部と下流側端部とに交互に閉塞部を設けることにより、ガス流れの経路を変更して、ガス拡散層全体にガスを流し、電極全体におけるガス利用率を向上させることができると共に、閉塞部によって、閉塞部を設けない場合に生じる流路抵抗を面全体で均一化することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池における面内ガス流量の均一化方法などの形態で実現することが可能である。
A.燃料電池10の全体構成:
図1は、本発明の好適な一実施例である燃料電池10を構成する単セル15の概略構成を表わす断面模式図である。本実施例の燃料電池10は、図1に示す構成の単セル15を複数積層したスタック構造を有している。なお、本実施例の燃料電池10は、固体高分子型燃料電池であるが、異なる種類の燃料電池、例えば固体電解質型燃料電池においても、同様に適用可能である。
単セル15は、電解質膜20と、電解質膜20の両面に形成された触媒を備える電極であるアノード21およびカソード22を備える。また、電極を形成した上記電解質膜20を両側から挟持するガス拡散層23,24を備える。さらに、ガス拡散層23,24上にはガスセパレータ25,26を備えている。ガスセパレータ25とガス拡散層23との間には、水素を含有する燃料ガスが流れるセル内燃料ガス流路47が形成され、ガスセパレータ26とガス拡散層24との間には、酸素を含有する酸化ガス(本実施例では、空気)が流れるセル内酸化ガス流路48が形成される。なお、図1には記載していないが、隣り合う単セル15間には、例えば、冷媒が流れるセル間冷媒流路を形成することができる。
電解質膜20は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。アノード21およびカソード22は、触媒(例えば白金、あるいは白金合金)を備えており、これらの触媒を、導電性を有する担体(例えば、カーボン粒子)上に担持させることによって形成されている。ガス拡散層23,24は、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパやカーボンクロスによって形成することができる。ガスセパレータ25,26は、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、焼成カーボン、あるいはステンレス鋼などの金属材料により形成されている。ガスセパレータ25,26は、既述したセル内燃料ガス流路47およびセル内酸化ガス流路48の壁面を成す部材であって、その表面には、ガス流路を形成するための凹凸形状が形成されている。
なお、図1では図示していないが、ガスセパレータ25,26の外周近傍の所定の位置には、複数の孔部が形成されている。これらの複数の孔部は、ガスセパレータ25,26が他の部材と共に積層されて燃料電池10が組み立てられたときに互いに重なって、燃料電池10内を積層方向に貫通する流路を形成する。すなわち、上記したセル内燃料ガス流路47やセル内酸化ガス流路48、あるいはセル間冷媒流路に対して、燃料ガスや酸化ガス、あるいは冷媒を給排するためのマニホールドを形成する。
B.セル内ガス流路におけるガス流れの概要:
図2は、ガスセパレータ25上において燃料ガスが流れる様子を示す説明図である。以下では、ガスセパレータ25上に形成されるセル内燃料ガス流路の構成、およびセル内燃料ガス流路において燃料ガスが流れる様子を説明するが、ガスセパレータ26上に形成されるセル内酸化ガス流路の構成、およびセル内酸化ガス流路において酸化ガスが流れる様子も同様とすることができる。
ガスセパレータ25の表面には、複数の線状凸部30と、これらの線状凸部30間に形成される複数の溝部32とが設けられており、複数の溝部32によって、ガス拡散層23との間でセル内燃料ガス流路47が形成される。本実施例の燃料電池10では、複数の溝部32において、1つ置きに、燃料ガス流れの上流側端部近傍に入り口側閉塞部34が設けられている。また、複数の溝部32のうち、入り口側閉塞部34が設けられていない溝部32において、燃料ガス流れの下流側端部近傍に、出口側閉塞部35が設けられている。以下の説明では、入り口側閉塞部34が設けられた溝部32を、溝部32aと呼び、出口側閉塞部35が設けられた溝部32を、溝部32bと呼ぶ。
本実施例では、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35は、配置された溝部32の断面を隙間無く塞ぐ形状に形成されており、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35の少なくとも一部は、多孔質な部材によって形成されている。このような閉塞部34,35は、例えば、セラミックス、カーボン、金属、あるいは、樹脂やゴムにより形成することができる。少なくとも一部の多孔質に形成される部分は、上記材料から成る多孔質体によって構成すればよい。例えば、金属材料によって閉塞部34,35を構成する場合には、多孔質な部分は、金属メッシュや発泡金属によって形成すればよい。このような閉塞部34,35は、ガスセパレータ25上に形成された溝部32の所定の位置において、溶接、接着、圧着等により固着される。なお、ガスセパレータ25と、これに隣接するガス拡散層23との接触抵抗を低減するためには、閉塞部34,35は、導電性を有する材料により構成することが望ましい。
本実施例では、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を構成する多孔質部材において、その配置される位置によってガス透過率が異なっていることを特徴としている。以下に、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を設けたセル内燃料ガス流路における全体的なガス流れの様子について説明する。最初に、設けられたすべての入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35が、ガス不透過な部材によって構成されている場合のガス流れの概要について説明する。
ガスセパレータ25,26の外周近傍に設けられた所定の孔部が形成する燃料ガス供給マニホールドからセル内燃料ガス流路へと燃料ガスが供給されるときには、燃料ガスは、入り口側閉塞部34によって入り口が塞がれていない溝部32bが形成する流路内へと流入する。溝部32bが形成する流路には、出口側閉塞部35が設けられているため、溝部32bが形成する流路へと流入した燃料ガスは、溝部32bが形成する流路の下流側端部から排出されることができない。そこで、溝部32bが形成する流路へと流入したガスは、ガス透過性を有するガス拡散層23内へと広がる。そして、ガス拡散層23内において、溝部32bに沿って設けられた線状凸部30が接する領域を経由して、溝部32bに隣接する溝部32aが形成する流路へと流入する。その後、溝部32aにおける開放された下流側端部から、燃料ガス排出マニホールドへと排出される。
ここで、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を設けることなく、互いに略平行な溝部32によって燃料ガス流路を形成する場合には、ガス拡散層23において、線状凸部30が接する領域(以下、被押圧領域と呼ぶ)では、接しない領域に比べて、溝部32によって形成される燃料ガス流路からのガス拡散距離が長くなるため、ガス拡散が抑制される。そのため、アノード21における被押圧領域に対応する領域ではガス利用率が低下し、その結果、発電性能が抑制されることになる。これに対し、上記のように、複数の溝部32において、ガス不透過な部材から成る入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を交互に配置する場合には、ガス流れの経路を、ガス拡散層23における被押圧領域を経由するように、強制的に変更することができ、アノード21全体におけるガス利用率を向上させて、電池性能を高めることが可能になる。
本実施例の燃料電池10では、既述したように、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35の少なくとも一部は、多孔質体によって形成している。このように、閉塞部を多孔質体によって形成する場合には、燃料ガスは、溝部32bが形成する流路に流入するだけでなく、入り口側閉塞部34内を通過して、溝部32aが形成する流路にも流入する。また、燃料ガスは、溝部32aが形成する流路から排出されるだけでなく、出口側閉塞部35内を通過して、溝部32bが形成する流路からも流出する。この場合には、閉塞部34,35内を通過する(透過する)際の抵抗と、被押圧領域におけるガス拡散層内を経由する際の抵抗との差に応じて、ガスの分配比が定まり、抵抗がより小さい側の経路により多くのガスが流れる。
図3は、本実施例の燃料電池10のセル内燃料ガス流路における閉塞部の構成と、燃料ガス流量の分布の様子を表わす説明図である。本実施例の燃料電池10では、溝部32に閉塞部34,35を設けることによって、ガス拡散層における被押圧領域を経由するようにガス流れの経路を変更すると共に、閉塞部34,35の少なくとも一部を多孔質体とすることで、電極面全体におけるガス流れの分配状態を変更して、ガス利用率のさらなる向上を図っている。
図3では、セル内ガス流路が形成される面において、線状凸部30間に形成される溝部32内に入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35が配置される様子と共に、セル内燃料ガス流路に対して燃料ガスを給排する燃料ガスマニホールドの配置が示されている。ここでは、燃料ガス供給マニホールドの位置を「H2 in」として示し、燃料ガス排出マニホールドの位置を「H2 out」として示している。また、図3においては、各々の溝部32に配置された入り口側閉塞部34あるいは出口側閉塞部35におけるガスの抜け量を、各々の閉塞部が配置される位置に対応づけて模式的に示している。ここで、閉塞部におけるガスの抜け量とは、閉塞部に対してガスを供給してガスを透過させようとしたときのガスの透過度を表わし、ガスの抜け量が多い程、閉塞部を構成する部材のガス透過率が高く、ガスが透過する際の抵抗が小さいことを表わしている。さらに、図3においては、各々の溝部32が形成するガス流路における燃料ガスの流量を、各々の溝部32の位置に対応づけて模式的に示している。
図3に示すように、各々の溝部32が形成する流路は、面内の相対的な位置によって、ガスマニホールドとの距離が異なっている。図3中、A方向を水平方向、B方向を垂直方向とすると、垂直方向上方端側および下方端側に配置される溝部32が形成する流路ほど、燃料ガス供給マニホールドおよび燃料ガス排出マニホールドとの距離が長くなる。そして、垂直方向の中央部に位置する溝部32が形成する流路が、燃料ガス供給マニホールドおよび燃料ガス排出マニホールドとの距離が、最も短くなる。図3中、垂直方向中央部に配置される溝部32と各燃料ガスマニホールドとの距離を「a」と表わし、垂直方向上端および下端に配置される溝部32と各燃料ガスマニホールドとの距離を「b」と表わしており、「a<b」である。従って、垂直方向上端および下端の溝部32を経由する経路を流れるガスの流路が最も長くなり、垂直方向中央部の溝部32を経由する経路を流れるガスの流路が最も短くなる。すなわち、溝部32が形成する流路長を「c」とすると、垂直方向中央部の溝部32を経由する経路の長さは「2a+c」となり、垂直方向上端および下端の溝部32を経由する経路の長さは「2b+c」となる。ガスが流れる際には、流路長が長いほど流路抵抗は大きくなる。そのため、流路長の観点からは、垂直方向上端および下端の溝部32を経由する経路が、最も流路抵抗が大きくなり、垂直方向中央部の溝部32を経由する経路が、最も流路抵抗が小さくなる。
したがって、例えば、図3に示した構成において、入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35とを設けない場合には、垂直方向上端および下端の溝部32が形成する流路ほど、流れるガスの流量は少なくなり、垂直方向中央部の溝部32が形成する流路ほど、流れるガス流量は多くなる。ここで、燃料ガス供給マニホールドを流れる燃料ガスの圧力をPin、燃料ガス排出マニホールドを流れる燃料ガスの圧力をPoutとし、各々の溝部32を経由する経路の流路長をLとして、各溝部32が形成する流路を流れる燃料ガスの流量をQとすると、閉塞部34,35を設けない場合には、他に流路抵抗を変更させる要因がなければ、以下の(1)式に示す関係が成り立つ。
Q ∝ (Pin − Pout)/L …(1)
本実施例では、図3に示すように、垂直方向上端側および下端側ほど、配置された入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35のガスの抜け量が大きく形成されており、ガスが透過する際の抵抗が小さくなっている。そのため、各溝部32が形成する流路を流れる燃料ガスの流量は、図3に示すように、ガスセパレータ上の面全体で均一化される。
以上のように構成された本実施例の燃料電池10によれば、流路長が長くなる垂直方向上端側および下端側ほど、溝部32に配置した入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35のガス透過率を大きくして、閉塞部34,35に起因する流路抵抗を抑えることによって、ガスセパレータ25上の面全体で、ガスが流れる際の流路抵抗を均一化することができる。すなわち、溝部32に設けた閉塞部34,35のガス透過率の設定によって、閉塞部34,35を設けない場合の流路抵抗の不均一状態を抑制して、流路抵抗を均一化することができる。そのため、各溝部32が形成する流路における燃料ガスの流量を、面全体で均一化することができ、燃料電池10の発電性能を向上させることができる。
図4は、本実施例とは異なり、閉塞部34,35におけるガスの抜け量を均一にした様子を、図3と同様に表わす説明図であり、本実施例に対応する部分には同じ参照番号を付している。なお、閉塞部34,35におけるガスの抜け量を均一にするとは、すべての閉塞部34,35を、ガス不透過な部材によって形成しても良く、すべての閉塞部34,35を、同等のガス透過率を示す多孔質体によって形成しても良い。図4に示すように、閉塞部34,35におけるガスの抜け量を均一にする場合には、他に要因がなければ、ガスセパレータ25上の面における流路抵抗が不均一になる要因は、流路長だけとなる。そのため、各溝部32が形成する流路を流れるガスの流量は、図4に示すように、流路長が短く流路抵抗が小さい垂直方向中央部の溝部32が形成する流路ほど多く、流路長が短く流路抵抗が大きい垂直方向上端および下端の溝部32が形成する流路ほど少なくなる。このように、ガスセパレータ25上の面内でガス流量の分布が不均一になると、ガス流量が不足する領域では、アノード21において濃度過電圧が高まる。また、ガス流量が過剰になる領域では、電解質膜20における含水量が低下して、電解質膜20の内部抵抗が増大する。その結果、全体として、燃料電池10の電池性能が低下する。さらに、このようにガス流量の分布が不均一になる場合には、特に、ガス流量が少ない領域に設けられた溝部32bにおける出口側閉塞部35の近傍では、ガス流れを利用した液水の排出が行なわれ難くなる。そのため、液水が滞留し易くなって、滞留した液水によってガス流れが阻害され、発電性能の低下がより大きくなる可能性がある。
これに対して、本実施例の燃料電池10によれば、閉塞部34,35のガス透過率を調節して配置することにより、ガスセパレータ25上の面におけるガス流量の分布を均一化して、上記した不都合を抑制し、電池性能を高めることができる。すなわち、閉塞部34,35を設けることにより、ガス拡散層23の被押圧領域を経由するガス流量を確保して電極面全体でガス利用率を高める効果に加えて、各溝部32が形成する流路におけるガス流量を均一化することによる電池性能向上の効果を得ることができる。
なお、閉塞部34,35におけるガス透過率が高まるほど、溝部32が形成する流路を直進するガスの流量が増し、ガス拡散層23の被押圧領域を経由するようにガスの流れ方向を変更する効果は弱まる。そこで本実施例では、ガスマニホールドとの距離に応じて閉塞部34,35における部位ごとのガス透過率の差を設定している。また、ガス拡散層23の被押圧領域を経由する際の流路抵抗と、閉塞部34,35を透過する際の流路抵抗と、のバランスを考慮して閉塞部34,35におけるガス透過率を設定している。これにより、ガス拡散層23の被押圧領域を経由するように燃料ガスの経路を変更する効果を確保しつつ、面全体における流量分布の均一化を図っている。閉塞部34,35の一部においてガス透過率を高めて流量の面内分布を均一化する効果が、ガス拡散層23の被押圧領域を経由するガス流量に及ぼす影響を上回れば良い。また、図3では、閉塞部34,35の一部におけるガス透過率を高めることにより、各溝部32が形成する流路におけるガス流量が略均一になる様子を示したが、必ずしも略均一になる必要はなく、より均一化されることにより、電池性能を高める同様の効果が得られれば良い。
C.ガス流量均一化の具体例
図3および図4では、ガスセパレータ25上で溝部32によって形成される流路と、マニホールドを形成する孔部との位置関係を模式的に表わしているが、実際の燃料電池では、マニホールドを形成する孔部の位置は、種々の制約を受ける。例えば、ガスセパレータ上の面において、溝部32等によってセル内ガス流路を形成する領域は発電性能を向上させるためにより広く形成する必要があるため、マニホールドを形成する孔部は、限られた領域内に配置する必要がある。以下に、ガスセパレータ25の具体的な形状を例示しつつ、閉塞部34,35のガス透過率の調節によって、面内でガス流量が均一化される様子を説明する。
図5は、ガスセパレータ25の具体的な形状の一例を表わす平面図である。図中、A方向を水平方向、B方向を垂直方向とする。図5に示すガスセパレータ25は、水平方向を長手方向としており、垂直方向の2辺に沿って、外周近傍に孔部40〜45が形成されている。孔部40は、燃料ガス供給マニホールドを形成し(図中、H2 inと示す)、孔部41は冷媒供給マニホールドを形成し(図中、CLT inと示す)、孔部42は酸化ガス供給マニホールドを形成し(図中、O2 inと示す)、孔部43は冷媒排出マニホールドを形成し(図中、CLT outと示す)、孔部44は酸化ガス排出マニホールドを形成し(図中、O2 outと示す)、孔部45は燃料ガス排出マニホールドを形成する(図中、H2 outと示す)。ここで、燃料ガス供給マニホールドを形成する孔部40と、燃料ガス排出マニホールドを形成する孔部45とは、略四角形状のガスセパレータ25において、それぞれ、対向する角部の近傍に配置されている。
図5に示すガスセパレータ25は、その中ほどに、セル内燃料ガス流路が形成されてアノード21と重なる領域であって、孔部40および孔部45と連通すると共に、略四角形状に形成された発電領域50が形成されている。発電領域50の中ほどには、水平方向に延出して、複数の線状凸部30および溝部32が形成されている。各線状凸部30は、ガスセパレータ25内における水平方向の相対的位置が互いに揃った略同一の長さに形成されている。このような複数の線状凸部30間に形成される溝部32では、入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35とが交互に設けられている。また、発電領域50において、複数の線状凸部30の端部と孔部40〜42との間の領域、および、複数の線状凸部30の端部と孔部43〜45との間の領域には、互いに離間して形成された複数の凸部36が形成されている。これら複数の凸部36は、燃料電池10内では、ガス拡散層23に当接して、セル内燃料ガス流路の壁面の一部を構成する。孔部40が形成する燃料ガス供給マニホールドからセル内燃料ガス流路に流入した燃料ガスは、上流側の凸部36間に形成される空間を導かれて、溝部32が形成する流路に分配される。溝部32が形成する各流路を流れた燃料ガスは、下流側の凸部36間に形成される空間を導かれて、孔部45が形成する燃料ガス排出マニホールドに排出される。
以下に、図5に示すガスセパレータ25における、ガスが流れる経路ごとの流路長の違いに起因する圧力損失について説明する。図6は、図5に示すガスセパレータ25上のガス流路における経路ごとの流路長の違いを模式的に表わす説明図である。図6中に示す経路Aは、孔部40から孔部45へと、発電領域50内を直線的にガスが流れる場合の経路を表わす。孔部40から孔部45へと発電領域50内を燃料ガスが流れる際の流路長は、この経路Aが最も短くなる。ただし、複数の線状凸部30が配置されることによって、経路Aのように燃料ガスが流れることはできないため、実際に最も流路長が短くなる経路であっても、流路長は経路Aよりも長くなる。また、図6中に示す経路Bは、孔部40から孔部45へと発電領域50内を燃料ガスが流れる経路の中で、最も流路長が長くなる経路である。
ここで、現実的なガスセパレータ25の大きさの一例として、発電領域50の水平方向の長さを290mm、垂直方向の長さを100mmとする。この場合には、経路Aの流路長LAは、以下の(2)式により求められ、経路Bの流路長LBは、以下の(3)式により求められる。流路長に起因して生じる圧力損失は、流路長に比例するため、経路Aと経路Bとの間の流路長に起因して生じる圧力損失の差の、経路Bにおける流路長に起因して生じる圧力損失に対する割合は、以下の(4)式に示すように、21.3%となる。既述したように、ガスセパレータ25上をガスが流れる経路のうち、流路長が最も短くなる経路の流路長は、経路Aの流路長よりも長いため、実際には、流路長が最も長い経路と最も短い経路との間の圧力損失の差の上記割合は、21.3%よりも小さくなるといえる。
A = √(2902+1002)=307(mm) …(2)
B = 290+100=390(mm) …(3)
(390−307)/390×100=21.3(%) …(4)
これに対して、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35のガス透過率を変更することによって生じる圧力損失の差について以下に説明する。図7は、図2に示すように入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を備える複数の溝部32が一様に形成された部材に対してガスを供給したときの圧力損失(入り口側閉塞部34を有しない溝部32bが形成する流路に対する供給ガス圧と、出口側閉塞部35を有しない溝部32aが形成する流路からの排出ガス圧との差)と、閉塞部におけるガス透過率との関係を求めた結果を表わす説明図である。ここで、閉塞部のガス透過率とは、閉塞部におけるガスの透過し易さを表わすものであるが、図7では、閉塞部におけるガスの透過し易さを、閉塞部先端抜け割合によって表わしている。閉塞部先端抜け割合とは、入り口側閉塞部34を有しない溝部32bに供給したガス流量に対する、同じく溝部32bから排出されたガス流量の割合を指す。ここで、閉塞部先端抜け割合が0とは、閉塞部をガス不透過な部材で構成した場合(以下、完全閉塞時と呼ぶ)を指す。また、閉塞部先端抜け割合が100とは、閉塞部を設けない場合(以下、ストレート時と呼ぶ)を指す。入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を配置して、閉塞部先端抜け割合を0と100の間で変更するには、閉塞部の空隙率および/または閉塞部の平均細孔径を変更すればよい。
図7に示した結果を求める際には、まず、実験によって、ガス拡散層23の透過抵抗(摩擦抵抗係数)と、ガスセパレータ25の溝部32が形成する流路における管摩擦係数を見積もった。そして、得られた係数と、燃料電池10の構成に係る設定した条件とを用いて、計算により、閉塞部先端抜け割合に対応する圧力損失を求めた。燃料電池10の構成に係る設定した条件は、以下の通りである。
溝部32および線状凸部30が形成する溝状流路の構成は、流路長L:0.07m、流路幅(溝部32の幅)D:0.8mm、山幅(線状凸部30の幅)R:0.8mm、流路深さH:0.8mm、閉塞部長さ(ガス流れ方向である水平方向の長さ)S:5mm、である。ガス拡散層23の構成は、厚みt:0.2mm、透気度P:1×1010-2、である。また、供給ガス流量に係る条件は、発電量が3A/cm2となるように燃料電池10を運転する際に、酸化ガスとしての空気を、ストイキ比(発電量に基づいて理論的に必要とされるガス量に対する、実際に供給したガス量の比)が2となる流量として設定した。
図7に示すように、完全閉塞時の圧力損失は300(Pa)、ストレート時の圧力損失は200(Pa)となった。そのため、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を設けることによる圧力損失の変動幅の、完全閉塞時の圧力損失に対する割合は、以下の(5)式に示すように、37.5%となる。
(320−200)/320×100=37.5(%) …(5)
上記のように、閉塞部のガス透過率を変更することによる圧力損失の変動幅の、完全閉塞時の圧力損失に対する割合(37.5%)は、流路長に起因して生じる圧力損失差の、最大流路長時の圧力損失に対する割合(21.3%)よりも大きい。したがって、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35におけるガス透過率(閉塞部先端抜け割合)を調節することにより、ガスが経由する経路の流路長に起因して面内で生じる圧力損失のばらつきの影響を抑えて、各々の経路を経由するガスにおける圧力損失を全体として均一化し、ガス流量の分布を面内で均一化することが可能であるといえる。
図5および6に示す形状のガスセパレータ25に適用する際には、流路長がより長くなる経路、すなわち、経路Bのように垂直方向上端近傍および下端近傍に設けられた溝部32を経由する経路では、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35のガス透過率をより高く設定すればよい。そして、流路長がより短くなる経路、すなわち、経路Aのように垂直方向中央部の溝部32を経由する経路では、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35のガス透過率をより低く設定すればよい。このときに、閉塞部のガス透過率の差を十分に設けることにより、セル内燃料ガス流路の面全体で、ガス流量を均一化することが可能になる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
実施例では、入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35の両方のガス透過率を変更しているが、異なる構成としても良い。例えば、入り口側閉塞部34あるいは出口側閉塞部35の一方のガス透過率を変更し、他方のガス透過率は一定としても良い。入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35の一方だけのガス透過率を変更する場合であっても、ガス透過率の異なる閉塞部を設けた領域間でガスの流れ易さを異ならせることができ、同様の効果を得ることができる。このとき、例えば、入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35とのうち、ガス透過率を異ならせない側の閉塞部は、ガス不透過な部材によって構成しても良い。あるいは、入り口側閉塞部34と出口側閉塞部35とのうち、ガス透過率を異ならせる側の閉塞部においても、一部はガス不透過(閉塞部先端抜け割合が0%)な部材によって構成しても良い。
D2.変形例2:
実施例では、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を設けた溝状の流路は、一定の方向に延出する直線状の流路としたが、異なる構成としても良い。例えば、流路が1以上の折れ曲がり部を有し、途中でガス流れの向きが変更される構成としても良い。このように折れ曲がり部を有する場合には、互いに平行に設けられた溝状の流路において、折れ曲がり部の内側よりに配置された流路ほど流路長が短くなる。さらに、上記折れ曲がり部においては、折れ曲がり部の内側よりに配置された流路と外側よりに配置された流路とでは、折れ曲がり部における流路抵抗が異なる場合がある。このような流路長の違いや、折れ曲がり部における流路抵抗の違いも考慮して、互いに平行に設けられた溝状の流路に配置する入り口側閉塞部および出口側閉塞部のガス透過率を設定すれば、流路面全体でガス流量の分布を均一化することができる。
D3.変形例3:
実施例では、閉塞部34,35におけるガスの透過し易さである閉塞部先端抜け割合を、閉塞部の空隙率および/または閉塞部の平均細孔径を変更することにより調節することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、閉塞部を構成する多孔質体における空隙率および平均細孔径は一定として、あるいは、閉塞部をすべてガス不透過な部材によって構成して、溝流路の延出方向の閉塞部長さを異ならせることによって、閉塞部先端抜け割合を異ならせることができる。具体的には、閉塞部長さをより長くすることにより、閉塞部先端抜け割合を、より小さくすることができる。図8(A)は、閉塞部長さを示す説明図であり、燃料電池10内でガスセパレータ25とガス拡散層23とが積層された部分であって、図5の8−8断面における入り口側閉塞部34の近傍の様子を拡大して示す断面模式図である。入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35において、図8(A)に示す閉塞部長さを、配置された位置に応じて異ならせることによって、ガス流路面全体でガス流量の分布を均一化することができる。
また、閉塞部を構成する多孔質体における空隙率および平均細孔径は一定として、あるいは、閉塞部をすべてガス不透過な部材によって構成して、溝流路の深さ方向の閉塞部高さを異ならせることによって、閉塞部先端抜け割合を異ならせても良い。具体的には、閉塞部高さをより高くすることにより、閉塞部抜け割合を、より小さくすることができる。図8(B)は、閉塞部高さを示す説明図であり、図8(A)と同様の断面を表わしている。閉塞部が、溝部32の断面積を隙間無く塞ぐのではなく、溝部32の深さよりも短い高さを有する場合には、閉塞部とガス拡散層23との間に隙間ができ、閉塞部高さを調節することによって、この隙間の大きさ(抵抗の大きさ)を変更し、閉塞部先端抜け割合を変更することができる。したがって、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35において、図8(B)に示す閉塞部高さを、配置された位置に応じて異ならせることによって、ガス流路面全体でガス流量の分布を均一化することができる。
D4.変形例4:
実施例では、溝部32が形成する流路における流路抵抗のばらつき原因が流路長である場合について説明したが、流路長に加えて、あるいは流路長に代えて、他の要因によって流路抵抗がばらつく場合であっても、閉塞部におけるガス透過率を部位によって変更することで、同様の効果を得ることができる。流路長以外の流路抵抗のばらつき原因としては、例えば、ガスセパレータ25上に線状凸部30および溝部32を形成する際の製作精度に起因する形状のばらつきを挙げることができる。あるいは、複数の溝状流路から成るガス流路において、既述した折れ曲がり部を設ける場合には、折れ曲がり部における折れ曲がり角度の違い等に起因する流路抵抗の違いを挙げることができる。いずれの要因であっても、閉塞部を設けない場合の流路抵抗の面内ばらつきを抑制するように、閉塞部におけるガスの透過し易さを設定することにより、同様の効果を得ることができる。
D5.変形例5:
実施例では、アノード側のセル内燃料ガス流路において、入り口側閉塞部34および出口側閉塞部35を設けることとしたが、異なる構成としても良い。アノード側に加えて、あるいはアノード側に代えて、カソード側のセル内酸化ガス流路において同様の閉塞部を設け、閉塞部を設けない場合の流路抵抗の面内ばらつきを抑制するように、閉塞部におけるガスの透過し易さを設定することにより、同様の効果を得ることができる。
D6.変形例6:
実施例では、複数の溝状流路において、入り口側閉塞部と出口側閉塞部を交互に設けることとしたが、異なる構成であっても本願を適用することができる。例えば、溝状流路の出口部にわたって閉塞部を設ける構成とすることも可能である。このような構成を、図9に示す。図9は、変形例としての燃料電池を構成する単セル115の概略構成を表わす分解斜視図である。ここでは、実施例の燃料電池10の各部に対応する部分には、実施例の参照番号に100加えた番号を付して、詳しい説明を省略する。また、図10は、変形例の単セル115におけるセル内酸化ガス流路端部の様子を表わす断面模式図である。
図9に示す変形例の単セル115は、表面に複数の線状凸部130および溝部132が形成されたガスセパレータ125と、電解質膜120、電極121,122、ガス拡散層123,124と共に、線状閉塞部62を有する流路形成多孔質体60を備えている。このような変形例の単セル115においては、実施例の閉塞部に対応する線状閉塞部62を備える流路形成多孔質体60は、セル内酸化ガス流路側に設けられている。なお、変形例の単セル115では、実施例のようにアノード側に配置したガスセパレータ25と、カソード側に配置したガスセパレータ26との区別はなく、ガスセパレータ125の一方の面には、セル内燃料ガス流路形成するための溝部132が形成されると共に、他方の面には、セル内酸化ガス流路を形成するための溝部132が形成されている。また、変形例の単セル115では、図1とは異なり、セル内燃料ガス流路を形成する溝部と、セル内酸化ガス流路を形成する溝部とが、直交するように形成されている。また、図9では、冷媒流路に係る記載は省略している。
ガスセパレータ125は、酸化ガス供給マニホールドを形成する孔部142および酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部144を備えると共に、孔部142および孔部144を連通させる複数の溝部132と、複数の線状凸部130とが形成されている。ここで、各々の線状凸部130は、一方の端部は、孔部142と接する位置にまで形成されているものの、他方の端部は、孔部144と離間している。すなわち、孔部144の近傍には、孔部144に沿って、線状凸部130が形成されておらず溝部132と連続して形成され、底面が平坦な凹部64が形成されている(図9参照)。
流路形成多孔質体60は、カソード側のガス拡散層24上に配置される薄板状部材であり、発電領域を覆う略四角形状に形成されている。流路形成多孔質体60は、例えば、金メッキを施した発泡チタン等の、親水性を有する導電性多孔質体によって形成される。ここでは、酸化ガス供給マニホールドを形成する孔部142と、酸化ガス排出マニホールドを形成する孔部144との間の領域を覆うように配置されている。燃料電池の内部では、ガスセパレータ125における酸化ガス流路側に設けられた線状凸部130の頭頂部が、流路形成多孔質体60の表面に当接する。流路形成多孔質体60の一方の面は平坦に形成されており、ガス拡散層124に重ね合わせて配置される。また、流路形成多孔質体60の他方の面には、孔部144に近接する一辺に沿って、線状閉塞部62が形成されている。この線状閉塞部62は、ガスセパレータ125における線状凸部30と略同一の高さに形成されている。流路形成多孔質体60とガスセパレータ125とを重ね合わせる際には、線状閉塞部62は、ガスセパレータ125表面の凹部64へと嵌め込まれる。これにより、溝部132が形成するセル内酸化ガス流路の出口部は、線状閉塞部62によって塞がれる(図10参照)。なお、図10に示す断面は、溝部132が形成する空間に対応する断面を表わしており、図10では、線状凸部130は表われていない。
このような変形例の燃料電池では、カソードで生じた水は、親水性を有する流路形成多孔質体60内の細孔表面を伝って、電極の面方向へと連続して伝えられる。ここで、溝部132が形成する空間の端部は、流路形成多孔質体60に設けられた線状閉塞部62によって塞がれている。そのため、溝部132が形成する空間を流れた酸化ガスは、多孔質体によって形成される線状閉塞部62内部の細孔が形成する空間を介して、孔部144が形成する酸化ガス排出マニホールドへと排出される。このような、多孔質体から成る線状閉塞部62内の空間は、ガスが流れる際の抵抗が大きく、酸化ガスが多孔質体内の細孔を通過する際には、圧力損失が高くなる。また、線状閉塞部62は、流路形成多孔質体60において連続して形成されているため、流路形成多孔質体60内の水は、線状閉塞部62内の細孔表面にまで連続している。そのため、線状閉塞部62内を通過して酸化ガスが排出される際には、酸化ガスの流速が速められ、酸化ガス流れによって、線状閉塞部62内の細孔表面に連続して存在する水が引っ張られて、セル内酸化ガス流路からの連続的な排水が行なわれる。
このような変形例の燃料電池において、線状閉塞部62を設けない場合の流路抵抗の面内ばらつきを抑制するように、線状閉塞部62におけるガスの透過し易さを設定することにより、実施例と同様の効果を得ることができる。なお、変形例の燃料電池において、線状閉塞部62を設けない場合の流路抵抗の面内ばらつきの要因としては、例えば、線状凸部130および溝部132を形成する際の製作精度に起因する形状のばらつきを挙げることができる。線状閉塞部62において、部位ごとにガス透過率を異ならせるには、例えば、平均細孔径を異ならせて別々に作製した多孔質体を組み合わせることによって、上記線状閉塞部62を備える流路形成多孔質体60を作製すればよい。あるいは、流路形成多孔質体60を発泡金属によって構成する場合には、発泡金属の材料中に発泡剤を混ぜ込む際に、用いる発泡剤の種類を部位によって異ならせることによって、細孔径を部位によって異ならせても良い。あるいは、材料中に、後の焼成工程で焼失するビーズを混ぜ込む場合には、用いるビーズの粒径を部位によって異ならせることによって、細孔径を部位によって異ならせても良い。
閉塞部の配置の態様は、上記した実施例および変形例に限るものではない。セル内ガス流路におけるガス供給マニホールドとの接続部近傍、および/または、セル内ガス流路とガス排出マニホールドとの接続部近傍に配置され、配置箇所におけるガスの通過を抑制する閉塞部を設けることによって、ガス流れの経路を制御する場合であれば、本発明を適用することができる。すなわち、閉塞部を設けない場合の流路抵抗の面内ばらつきを抑制するように、閉塞部におけるガスの透過しやすさを設定することにより、面内の流量分布の均一化という同様の効果を得ることができる。ここで、閉塞部が配置される位置が、セル内ガス流路におけるガス供給マニホールドとの接続部近傍、および/または、セル内ガス流路とガス排出マニホールドとの接続部近傍であるとは、必ずしも、マニホールドに近接している必要はない。セル内ガス流路が、図5に示す溝状流路のように複数の流路に分割されている場合には、これらの分割された流路の上流側の端部付近および/または、下流側端部付近に、閉塞部が設けられていればよい。
単セル15の概略構成を表わす断面模式図である。 ガスセパレータ25上で燃料ガスが流れる様子を示す説明図である。 閉塞部の構成と燃料ガス流量の分布の様子を表わす説明図である。 閉塞部の構成と燃料ガス流量の分布の様子を表わす説明図である。 ガスセパレータ25の具体的な形状の一例を表わす平面図である。 ガス流路における経路ごとの流路長の違いを模式的に表わす説明図である。 圧力損失と閉塞部のガス透過率との関係を表わす説明図である。 閉塞部の変形例を示す断面模式図である。 単セル115の概略構成を表わす分解斜視図である。 線状閉塞部62の近傍の様子を表わす断面模式図である。
符号の説明
10…燃料電池
15,115…単セル
20,120…電解質膜
21…アノード
22…カソード
23,24,123,124…ガス拡散層
25,26,125…ガスセパレータ
30,130…線状凸部
32,132…溝部
34,35…閉塞部
34…入り口側閉塞部
35…出口側閉塞部
36…凸部
40〜45,142,144…孔部
47…セル内燃料ガス流路
48…セル内酸化ガス流路
50…発電領域
60…流路形成多孔質体
62…線状閉塞部
64…凹部
121,122…電極

Claims (6)

  1. 電解質膜と該電解質膜上に形成した電極とを備えて電極面に沿ってガス流路が形成される発電体を、複数積層して成る燃料電池であって、
    前記積層の方向に沿って、各々の発電体に形成された前記ガス流路と連通して設けられ、電気化学反応に供される反応ガスを、前記ガス流路に対して供給するガス供給マニホールドと、
    前記積層の方向に沿って、各々の発電体に形成された前記ガス流路と連通して設けられ、前記ガス流路から排出される前記反応ガスが流入するガス排出マニホールドと、
    前記ガス流路における前記ガス供給マニホールドとの接続部近傍、および/または、前記ガス流路における前記ガス排出マニホールドとの接続部近傍に配置され、配置箇所における前記反応ガスの通過を抑制する閉塞部と
    を備え、
    前記閉塞部は、前記ガス流路において前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと種々の経路を経由して前記反応ガスが流れる際に、前記反応ガスに対する抵抗が、前記経路間においてばらつくのを抑制するように構成されている
    燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、
    前記閉塞部は、該閉塞部を前記反応ガスが通過する際の抵抗が、対応する前記経路に応じて異なることにより、前記経路間の抵抗のばらつきを抑制する
    燃料電池。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池であって、
    前記閉塞部は、少なくとも一部が多孔質体によって形成され、前記多孔質体のガス透過率が、対応する前記経路に応じて異なることにより、前記流路抵抗を均一化する
    燃料電池。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池であって、
    前記ガス流路は、前記ガス供給マニホールドと前記ガス排出マニホールドとの間を流れる前記反応ガスが分割されて流れる複数の分割流路を備え、
    前記閉塞部は、経由する前記分割流路による、前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと前記反応ガスが流れる際の距離の差に起因する流路抵抗のばらつきを均一化する
    燃料電池。
  5. 請求項4記載の燃料電池であって、
    前記閉塞部は、各々の前記分割流路に対応して設けられており、前記ガス供給マニホールドから前記ガス排出マニホールドへと前記ガスが流れる際の距離が長くなる前記分割流路に対応する前記閉塞部ほど、該閉塞部の配置箇所を前記ガスが通過する際の抵抗が小さく形成されている
    燃料電池。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の燃料電池であって、さらに、
    前記電極上に配置されるガス透過性を有するガス拡散層と、
    前記ガス拡散層上に配置され、前記ガス拡散層と接する表面において、前記ガス流路を形成する凹凸形状を有するガスセパレータと、を備え、
    前記ガス流路は、前記ガス供給マニホールドと前記ガス排出マニホールドとの間を流れる前記反応ガスが分割されて流れる複数の分割流路を備え、
    前記閉塞部は、前記複数の分割流路において、上流側端部と下流側端部とに交互に配置される
    燃料電池。
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