JP2010127222A - 自動位相差調整式スターリングエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】2個のピストンを備えたα形スターリングエンジンにおいて、エンジンの出力に応じて両ピストンの位相差を自動的に調整し、エンジンを最適な作動状態とする。
【解決手段】α形スターリングエンジンの高温側ピストン2A及び低温側ピストン2Bを別個のクランクシャフト7Aと7Bに連結し、これらのクランクシャフトを位相差可変装置8を介して接続する。位相差可変装置8には、互いに密着する対向面を有する接合部材80A、80Bが設けてあり、一方の接合部材の対向面に円周方向の溝を形成するとともに、他方の対向面にその溝に嵌まり込む摺動部材を形成して、円周方向の溝内にスターリングエンジンの作動室内の圧力を作動流体導入管85から導入する。作動室内の圧力は、エンジンの加熱量によって変化するので、両方の接合部材の相対的回転位置がエンジンの出力に応じて変わり、両ピストンの位相差を最適な状態に自動的に調整できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、気体状態で封入された作動流体の加熱、冷却による状態変化を利用して、熱源の有する熱エネルギを機械的な回転エネルギに変換する熱機関、いわゆるスターリングエンジンに関するものである。
スターリングエンジンは、作動室内に封入された作動流体を周期的に加熱及び冷却することにより生じる状態変化を利用して、高熱源から機械的な動力を取り出すようにした、理論的な熱効率が高い外燃機関である。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのような内燃機関では、作動流体である空気の中で燃料を間欠的に燃焼させて機械的な動力を発生させる。これに対し、外燃機関であるスターリングエンジンは、連続燃焼によって生じた熱を作動流体に熱伝達させるものであるから、燃料の燃焼状態の制御が容易で、NOx、CO等、燃焼による排気有害成分の生成量が少ないという利点がある。また、燃焼による熱に限らず、内燃機関の排熱など各種の熱源を用いることが可能であり、省エネルギ、環境対策の面でも優れた特性を有するエンジンである。
スターリングエンジンには様々な形式があり、一般的には、作動流体を加熱空間と冷却空間との間を周期的に移動させるディスプレーサを配置するものが多いけれども、スターリングエンジンの中には、2個のピストン・シリンダ機構を配置し、2個のピストン上部の空間を連結して作動室とする形式のエンジン(以下「α形スターリングエンジン」という。)がある。α形スターリングエンジンは、2個のシリンダ内を往復する2個のピストンと、これらを連結するクランクシャフトとにより構成されており、ディスプレーサやロンビック機構と呼ばれる連結機構を要しないため、その構造が簡潔なものとなる。
図4には、α形スターリングエンジンの基本的な構成を示す。この例のα形スターリングエンジンでは、同一構造の2個のシリンダ100A、100B内に同一構造のピストン101A、101Bがそれぞれ往復動する2個のピストン・シリンダ機構が設けられている。2個のシリンダにおけるピストン上部の空間は、連通管102によって互いに連結されてスターリングエンジンの作動室を構成し、その中には、水素、ヘリウム等の比熱の小さい気体からなる作動流体が封入される。連通管102には、作動流体に外部から熱を与える加熱器103、作動流体を冷却する冷却器104及び作動流体の熱を蓄熱する再生器105が配置されており、加熱器103が置かれた側のピストン101Aが高温側ピストン、冷却器104が置かれた側のピストン101Bが低温側ピストンとなる。
両方のピストン101A、101Bは、それぞれコンロッドによりクランクシャフト106に連結されている。この例のスターリングエンジンでは、クランクシャフト106にはフライホイール107を介してモーター/ジェネレーター108が連結され、スターリングエンジンの出力が電気エネルギとして取り出されるとともに、スターリングエンジンの始動時には、モーター/ジェネレーター108に電池等による電力を供給してモーターとして作動させ、クランクシャフト106を駆動できるように構成されている。
図5は、図4のスターリングエンジンの作動を、スターリングエンジンのPV線図を参照しながら概略的に示すものである。加熱行程では、低温側ピストン101Bが上昇するとともに高温側ピストン101Aが下降しており、作動流体は、低温側ピストン101Bの上方の低温空間から高温側ピストン101Aの上方の高温空間へと移動し、作動流体には加熱器103により熱が与えられる。この行程では作動室の容積は実質的に変化せず、作動流体は、PV線図の等容加熱に相当する状態変化を行う。膨張行程では、両方のピストンが同時に下降して作動室の容積が増大し、作動流体は、実質的に温度が一定の状態で膨張する等温膨張を行って外部に仕事を与える。冷却行程では、低温側ピストン101Bが下降するとともに高温側ピストン101Aが上昇して、作動流体が高温空間から低温空間へと移動し、その際に冷却器104で冷却されて等容冷却が行われる。そして、圧縮行程では、両方のピストンが同時に上昇して作動流体が等温圧縮され、以降、これらの行程を繰り返す。
ところで、α形スターリングエンジンは、2個のピストンの上部空間を連通した作動室の容積変化によって作動流体の状態変化を生じさせるものであり、エンジンの理論的な出力(図示仕事量)は、図6に示すとおり、両方のピストンの位相差に応じて変化し、位相差が90°であるとき(低温側ピストンが高温側ピストンよりも90°遅れて運動)に出力が最大となる。そのため、図4のスターリングエンジンにおいては、高温側ピストン101Aと低温側ピストン101Bとが連結されるクランクシャフト106のクランクピンは、その位相差が90°となるように設定されている。
また、出力が位相差により変化することを利用して、α形スターリングエンジンの出力を制御する方法が知られており、例えば特開平7−233758号公報には、低温側ピストンと高温側ピストンとを遊星傘歯車を用いた位相差可変機構によって連結し、両方のピストンの位相差を変更するスターリングエンジンの出力制御法が開示されている。本出願人も、車両に搭載されたスターリングエンジンにおいて、遊星傘歯車を用いた位相差可変機構によりスターリングエンジンの出力を制御するとともに、車両減速時にはスターリングエンジンをヒートポンプとして作動させ、エンジンブレーキの効果を高めながら燃費の向上を図る方法を、特開2007−270718号公報に開示している。
特開平7−233758号公報 特開2007−270718号公報
α形スターリングエンジンの出力は、高温側ピストンと低温側ピストンとの位相差に応じて変化するので、位相差が固定されたエンジンでは、負荷の変動に対応した最適な作動状態を実現できない。例えば、図4のような位相差が90°に設定されているスターリングエンジンでは、最大出力時には好適な作動を行うものの、出力が減少する低負荷時においては、加熱器から与えられる熱量が少なく作動流体の圧力上昇が小さいため、作動室の容積変化が過大となって効率が低下する。さらに、エンジンの始動時には、スターリングサイクルの自立運転を行うようになるまで、モーター/ジェネレーターに電力を供給して両方のピストンを駆動するが、作動室の容積変化が大きいときは、それに伴ういわばポンピングロスも大きくなってクランキングトルクが増大し、エンジンの始動のために大きな電力を必要とする。
α形スターリングエンジンにおけるこうした問題に対処するため、特許文献1又は特許文献2に開示される位相差可変機構を採用し、エンジンの出力に応じて両方のピストンの位相差を制御することが考えられる。しかし、遊星傘歯車等を利用する位相差可変機構は複雑かつ高価なものであり、位相差可変機構を操作する制御装置も大掛かりなものであるため、これらを設置したスターリングエンジンでは、エンジン全体の構成の複雑化あるいは製造コストの上昇を免れない。
本発明は、α形スターリングエンジンにおいて、両方のピストンの位相差を自動的に変更する簡易な位相差可変装置を設置し、上記の問題点を解決することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は、2個のピストンとそれぞれ連結された2個のクランクシャフトにそれぞれ接合部材を固着し、接合部材の対向面を互いに密着させて、一方の対抗面に円周方向の溝を形成するとともに、他方の対向面にはその溝に嵌まり込む摺動部材を形成し、円周方向の溝の一端部と摺動部材との間に作動流体を導入して、2個の接合部材の相対的な回転位置を、作動流体の圧力に応じて自動的に変更するものである。すなわち、本発明は、
「2個のシリンダとそれぞれのシリンダ内を往復動する2個のピストンとが配置され、前記2個のピストンの上方空間が互いに連通されて作動室を構成し、前記作動室に封入された作動流体の状態変化により熱エネルギを機械的な動力に変換するスターリングエンジンであって、
前記2個のピストンが、位相差可変装置を介して接続された2個のクランクシャフトにそれぞれ連結されており、さらに、
前記位相差可変装置は、前記2個のクランクシャフトにそれぞれ固着され、かつ、互いに密着する対向面を有する2個の接合部材を備え、前記接合部材の一方の対向面には両端部を有する円周方向の溝が形成されるとともに、前記接合部材の他方の対向面には、前記円周方向の溝に嵌まり込む摺動部材が設けられており、
前記円周方向の溝の一端部と前記摺動部材との間に前記作動室に封入された作動流体が導入され、前記2個の接合部材の相対的な回転位置が、前記作動室に封入された作動流体の圧力に応じて変更される」
ことを特徴とするスターリングエンジンとなっている。
請求項2に記載のように、前記2個の接合部材の相対的な回転位置は、前記作動室に封入された作動流体が最低圧力のときには、前記2個のピストンの位相差が180°となり、前記作動室に封入された作動流体が最高圧力のときには、前記2個のピストンの位相差が90°となるように設定されていることが好ましい。
本発明のスターリングエンジンにおいては、2個のピストンが独立した2個のクランクシャフトにそれぞれ連結され、2個のクランクシャフトの端部には、位相差可変装置を構成する接合部材がそれぞれ固着されている。両方の接合部材は、互いに密着する対向面を有していて、一方の接合部材の対向面には円周方向の溝が形成されるとともに、他方の接合部材の対向面には、その円周方向の溝に嵌まり込む摺動部材が設けられ、円周方向の溝と摺動部材によって、いわば回転方向変位型アクチュエータが構成される。そして、円周方向の溝の一端部と摺動部材との間には、スターリングエンジンの作動室に封入された作動流体が導入される。
スターリングエンジンは、作動室内に封入された作動流体の周期的な状態変化を利用して機械的な動力を取り出すものであり、作動流体の平均圧力は、スターリングエンジンの出力の増大に伴って増加する(後述の図3のPV線図参照)。本発明では、位相差可変装置を構成する2個の接合部材の一方に形成された溝内に作動流体が導入され、その作動流体の圧力に応じて、他方の接合部材の摺動部材が押圧される。これにより、両方の接合部材の相対的な位相角が変化し、それぞれの接合部材に連結されたピストンの位相差が、作動流体の平均圧力、つまり、スターリングエンジンの出力に対応して変更される。
本発明の位相差可変装置は、接合部材の溝内に導入された作動流体によって2個のピストンの位相差を変更するもので、位相差は、スターリングエンジンの出力に応じて自動的に変更される。したがって、本発明では位相差を制御する外部制御装置を設置する必要はなく、位相差可変装置が簡素なものとすることができる。
請求項2の発明は、2個の接合部材の相対的な回転位置が、作動室に封入された作動流体の平均圧力が最低圧力のときには、2個のピストンの位相差が180°となり、作動室に封入された作動流体の平均圧力が最高圧力のときには、2個のピストンの位相差が90°となるように設定されたものである。
スターリングエンジンの始動時においては、自立運転を行うようになるまで始動用モーターにより駆動され、作動流体は、実質的に加熱されず平均圧力が最低の状態にある。このときは2個のピストンの位相差が180°であって、クランクシャフトが回転しても2個のピストンの上方空間が互いに連通された作動室の容積は、クランクシャフトが回転しても変化しない。そのため、作動室の容積変化に伴うポンピングロスが生じることがないので、始動用モーターのクランキングトルクを大幅に減少させることができる。加熱器から作動流体に与えられる熱量が増加するにつれ、作動流体の平均圧力が増大して2個のピストンの位相差が小さくなり、作動室の容積変化が増大する。熱量が最大となり作動流体の平均圧力が最大値となったときは、位相差が90°に達し作動室の容積変化も最大となる。つまり、加熱器から作動流体に与えられる熱量の増大に応じて、スターリングエンジンが自動的に最適の作動状態としながらその出力を増加させることが可能となり、膨張不足あるいは過膨張に起因する損失は発生しない。
以下、図面に基づき本発明のスターリングエンジンについて説明する。図1は、本発明のスターリングエンジンの一実施例について、全体的な構造を示す概略図である。図2には、本発明のスターリングエンジンにおける位相差可変装置を示す。
図1のスターリングエンジンは、α形スターリングエンジンとして構成され、基本的には図4のエンジンと同様な構造を備えている。すなわち、同一構造の2個のシリンダ1A、1B内に同一構造のピストン2A、2Bがそれぞれ往復動する2個のピストン・シリンダ機構が設けられる。ピストン上部の空間は、連通管3により互いに連結されて作動室を構成し、その中には、気体状態の作動流体が封入される。連通管3には、作動流体に外部から熱を与える加熱器4、作動流体を冷却する冷却器5及び作動流体の熱を蓄熱する再生器6が配置されており、加熱器4が置かれた側のピストン2Aが高温側ピストン、冷却器5が置かれた側のピストン2Bが低温側ピストンとなる。
本発明のスターリングエンジンでは、高温側ピストン2A及び低温側ピストン2Bが、独立した2個のクランクシャフト7A、7Bにコンロッドを介してそれぞれ連結されている。クランクシャフト7A、7Bの接続部には位相差可変装置8が設置してあり、後述するように、この位相差可変装置8によってクランクシャフト7A、7Bの間の位相差、つまり、高温側ピストン2Aと低温側ピストン2Bとの位相差が変更される。位相差可変装置8と反対側のクランクシャフト7Aには、フライホイール9を介してモーター/ジェネレーター10が連結される。
本発明の位相差可変装置8は、図2(a)に示すとおり、クランクシャフト7A、7Bにそれぞれ固着され、かつ、互いに密着する対向面を有する2個の接合部材80A、80Bを備えている。2個の接合部材80A、80Bは、同一径の円板状部材であって同軸に配置され、相対的に回転できるよう両者の間にはベアリングが配置してある。そして、図2(b)に示すとおり、一方の接合部材80Bの対向面には、両端部を有する円周方向の溝81が対称的な位置に2本形成されるとともに、他方の接合部材80Aの対向面には、円周方向の溝81にそれぞれ密着して嵌まり込むように、2個の突起状の摺動部材82が設けられている。円周方向の溝81と摺動部材82とは、いわば回転方向変位型アクチュエータとして構成されたものであり、摺動部材82は、溝81内を摺動するピストンとして機能する。
円周方向の溝81の一端と摺動部材82との間には、スターリングエンジンの作動室内の作動流体が導入される。そのために、溝81の一端には接合部材80Bの外周面に開口する連通路83が設けられ、かつ、接合部材80Bの外周面と密着するケーシングには、その外周面を全周に亘って取り巻く外周溝84が形成されている。外周溝84と作動室内とは径の小さい作動流体導入管85により連結されており(図1も参照)、作動室内の作動流体は、作動流体導入管85、外周溝84及び連通路83を経由して円周方向の溝81に供給される。作動室内の作動流体の圧力は、スターリングエンジンのエンジンサイクルに伴って周期的に変動するが、作動流体導入管85の径は小さく流体抵抗が大きいので、円周方向の溝81に導入された作動流体の圧力は、変動分が減衰されて実質的にスターリングサイクルの平均圧力となる。必要に応じて、変動分を減衰させるためのオリフィスTを作動流体導入管85に介在させることもできる。また、円周方向の溝81の他端と摺動部材82との間には、円周方向に延びるコイルばね86が設置されている。
次いで、本発明のスターリングエンジンの作動について、図3等を参照しながら説明する。図3(a)には、スターリングエンジンの始動時、低熱量時(部分負荷時)及び高熱量時(全負荷時)における、位相差可変装置8とクランクシャフト7A、7Bの状態を示し、図3(b)には、そのときのスターリングエンジンサイクルのPV線図を示す。
スターリングエンジンの始動時には、モーター/ジェネレーター10に電力を供給してモーターとして作動させ、クランクシャフトを回転駆動する(クランキング)。始動時には加熱器4からの熱が実質上作動流体に伝達されていないので、溝81内に供給される作動流体の圧力は最低圧力となり、図3(a)の始動時の状態に示されるとおり、摺動部材82は、円周方向に延びるコイルばね86に押圧されて溝81の一端に当接する。この位置では、接合部材80A、80Bに固着されたクランクシャフト7A、7Bが、図のようにクランクピンが対向して位相差が180°となるように設定されている。各クランクピンに連結された高温側ピストン2Aと低温側ピストン2Bは、同一速度で互いに反対方向に移動し、作動室の容積は変化しない。そのため、モーター/ジェネレーター10には作動室を容積変化させるためのポンピングロスが発生せず、始動時のクランキングトルクを大幅に減少させることができる。このように、始動時には容積及び圧力の変化がなく、図3(b)のPV線図上では状態変化がIの一点に止まることとなる。
スターリングエンジンの負荷の増大に応じて加熱器4から伝達される熱量が大きくなると、その熱量に対応して作動流体の圧力が上昇する。このときには、図3(a)の低熱量の状態に示されるとおり、位相差可変装置8の溝81内に供給される作動流体が摺動部材82をコイルばね86に抗して押圧する。クランクシャフト7A、7Bは図示の状態となり、高温側ピストン2Aと低温側ピストン2Bとの位相差が180°よりも減少して、クランクシャフトの回転により作動室の容積変化が生じるようになる。作動室の容積の変化量は、両ピストンの位相差が減少するにつれ次第に大きくなる。
図3(b)のPV線図では、作動流体が定容加熱されるとその圧力が上昇し、同時に両ピストンの位相差の減少により体積変化が生じて、ある一定の加熱のときにはS1のような状態変化を行うサイクルとなり、それよりも加熱熱量が増加するとS2のようなサイクルとなる。サイクルS2の平均圧力P2はサイクルS1の平均圧力P1よりも増大し、位相差可変装置8によってサイクルS2の最大容積V2はサイクルS1の最大容積V1よりも大きくなる。つまり、本発明の位相差可変装置8により、高温側ピストン2Aと低温側ピストン2Bとの位相差は、スターリングエンジンの出力に対応した最適な位相差に自動的に調整される。スターリングエンジンの出力は、モーター/ジェネレーター10を発電機として作動させることにより、電気エネルギの形で外部に取り出される。
スターリングエンジンが全負荷となり加熱量が最大となると、作動流体の平均圧力が最大値に達する。このときには、図3(a)の高熱量の状態に示されるとおり、溝81内に供給される作動流体が、ストッパ(図示省略)に当接する位置まで摺動部材82を押圧する。クランクシャフト7A、7Bの位相差が90°となり、高温側ピストン2Aが低温側ピストン2Bよりも90°先行して往復動する。スターリングエンジンの作動室の容積変化量は最大となり、図3(b)のPV線図では、S3のサイクルの状態変化が行われて最大容積V3まで膨張し、スターリングエンジンの出力が最大となる。ちなみに、図1には、この状態のクランクシャフト及び両ピストンの位置を示している。
以上詳述したように、本発明は、2個のシリンダ内を往復する2個のピストンを備えたα形スターリングエンジンにおいて、それぞれのピストンと連結されたクランクシャフトに対向面を互いに密着させた接合部材を固着し、一方の対抗面に円周方向の溝を形成するとともに、他方の対向面にはその溝に嵌まり込む摺動部材を形成し、円周方向の溝の一端部と摺動部材との間に作動流体を導入して、2個の接合部材の相対的な回転位置を作動流体の圧力に応じて自動的に変更するものである。上記の実施例では、2個のシリンダを連結する連結管内に加熱器、冷却器等をまとめて設置しているが、2個のシリンダに加熱器、冷却器を別々に設けてもよい。また、モーター/ジェネレーターを用いて出力を電気エネルギとして取り出す代わりに、機械的な負荷を直接駆動するように構成するなど、上記実施例に対し種々の変形が可能であることは明らかである。
本発明のスターリングエンジンの実施例を示す概略図である。 図1のスターリングエンジンの位相差可変装置を示す図である。 図1のスターリングエンジンの作動図である。 従来のα形スターリングエンジンの概略図である。 従来のα形スターリングエンジンの作動サイクルを示す図である。 α形スターリングエンジンの位相差と出力の関係を表すグラフである。
符号の説明
1A、1B シリンダ
2A、2B ピストン
4 加熱器
5 冷却器
7A、7B クランクシャフト
8 位相差可変装置
80A、80B 接合部材
81 溝
82 摺動部材
85 作動流体導入管
10 モーター/ジェネレーター

Claims (2)

  1. 2個のシリンダとそれぞれのシリンダ内を往復動する2個のピストンとが配置され、前記2個のピストンの上方空間が互いに連通されて作動室を構成し、前記作動室に封入された作動流体の状態変化により熱エネルギを機械的な動力に変換するスターリングエンジンであって、
    前記2個のピストンが、位相差可変装置を介して接続された2個のクランクシャフトにそれぞれ連結されており、さらに、
    前記位相差可変装置は、前記2個のクランクシャフトにそれぞれ固着され、かつ、互いに密着する対向面を有する2個の接合部材を備え、前記接合部材の一方の対向面には両端部を有する円周方向の溝が形成されるとともに、前記接合部材の他方の対向面には、前記円周方向の溝に嵌まり込む摺動部材が設けられており、
    前記円周方向の溝の一端部と前記摺動部材との間に前記作動室に封入された作動流体が導入され、前記2個の接合部材の相対的な回転位置が、前記作動室に封入された作動流体の圧力に応じて変更されることを特徴とするスターリングエンジン。
  2. 前記2個の接合部材の相対的な回転位置は、前記作動室に封入された作動流体が最低圧力のときには、前記2個のピストンの位相差が180°となり、前記作動室に封入された作動流体が最高圧力のときには、前記2個のピストンの位相差が90°となるように設定された請求項1に記載のスターリングエンジン。
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