JP2010126821A - 防透け性布帛 - Google Patents
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Abstract
目付け量が小さいにも関わらず、優れた防透け性を発揮する衣料用布帛を提供する。
【解決手段】
【請求項1】
オモテ面側とウラ面側の二重構造からなる布帛の、オモテ面側の色が、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値が70以上で表される淡色であり、かつウラ面側の色が、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率が20%以上である中間色であることを特徴とする防透け性布帛である。さらに、前記布帛のオモテ面側の色が白色であり、かつウラ面側の色がベージュ、青味を帯びた灰色、および灰色のいずれかであることが好ましい。また、前記布帛のオモテ面側の色が白色以外の淡色であり、かつウラ面側の色が、オモテ面側の色と同系色の色相を有している中間色であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
また、二酸化チタンや硫酸バリウム等の無機顔料、有機顔料等を繊維に混練し、紫外線遮蔽効果とともに防透け性を付与する方法も知られているが、混練させる顔料が凝集しやすく均一に分散し難いため、紡糸時に不具合が生じる問題や、単糸毛羽を誘発する問題などが生じ、操業性や製品品位などの面でも問題を抱えている。
しかしながら、衣料用布帛のウラ面側を黒色とした場合、ウラ面側の色がオモテ面側に写ってしまうという問題があった。また、ウラ面側の色がオモテ面側に写らないようにするには、布帛厚みを大きくするしかなく、やはり目付け量が大きくなってしまうという問題があった。
すなわち、本発明は、オモテ面側とウラ面側の二重構造からなる布帛の、オモテ面側の色が、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値が70以上で表される淡色であり、かつウラ面側の色が、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率が20%以上である中間色であることを特徴とする防透け性布帛である。
ここで、布帛のウラ面側とは、該布帛を用いて衣料を作製した際に肌側となる布帛面側を意味し、オモテ面側とはその反対側を意味する。
ここで、最小吸収率とは、上記の波長領域内の可視光線の吸収率において、最小の吸収率を意味している。また、吸収率とは下記式にて定義されるものである。
吸収率(%)=100(%)−{反射率(%)+透過率(%)}
本発明における布帛のウラ面側をこのような中間色とすることで、布帛に高い防透け性を付与することが可能となる。
例えば、オモテ面側の色がオフホワイトの場合は、ウラ面側の色は、前述した中間色のなかでも特に、ベージュとすることが好ましい。
また、例えば、オモテ面側が蛍光白色の場合は、ウラ面側の色は、前述した中間色のなかでも特に、青味を帯びた灰色とすることが好ましい。
例えば、オモテ面側がクリーム色の場合は、ウラ面側の色は、前述した中間色のなかでも特に、クリーム色と同系色の色相を有する色である、ベージュとすることが好ましい。
また、例えば、オモテ面側が淡青色の場合は、ウラ面側の色は、前述した中間色のなかでも特に、淡青色と同系色の色相を有する色である、青味を帯びた灰色とすることが好ましい。
このように、オモテ面側の色が白色以外の淡色である場合に、ウラ面側の色をオモテ面側の色と同系色の色相を有している中間色とすることで、オモテ面側の色がウラ面側の色の影響でにごって見えることを抑制することができ、かつ任意の淡色布帛に対して高い防透け性を発揮することができる。
ただし、本発明においては、オモテ面側の色とウラ面側の色とが異なる必要があるため、染色加工の容易さの点で、織物の場合は綾組織からなる織物、朱子組織からなる織物、二重組織以上の織物が好ましく、さらには二重組織以上の織物が好ましい。
また、編物の場合は、同様の理由から、経編の場合は2枚以上の筬で編成された組織からなるものが好ましく、丸編の場合はダブル組織またはプレーティング組織からなるものが好ましい。
本発明に使用されるフルダル繊維は、上記条件を満たしていれば特に限定するものではないが、なかでもフルダルのポリエステル繊維が加工の容易性や、ウラ面側の色がオモテ面側に響き難い、コストが安価であるなどの点で好ましく用いられる。
本発明における測定および評価は、下記方法に従い、行った。
分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100PC)を用い、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)において、試験片の背部に白板を置いた場合に表される各数値(L*、a*、b*)と、試験片の背部に黒板を置いた場合に表される各数値(L’*、a’*、b’*)をそれぞれ測定し、下記式を用いて色差(ΔE)を求めた。
ΔL=L*−L’*
Δa=a*−a’*
Δb=b*−b’* とすると、
ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2}1/2
実施例および比較例の布帛について、オモテ面側の外観品位を、下記基準に基づいて評価した。
○:ウラ面側の色がオモテ面側の色に影響していない。
×:ウラ面側の色がオモテ面側に響いているのが確認できる。
布帛のオモテ面側に現れる糸条がシングルカバードヤーン(繊度44dtexのポリウレタン糸(旭化成株式会社製)を芯糸とし、芯糸を2.8倍に伸ばしながら、繊度84dtex、48フィラメントのフルダルポリエステル仮撚加工糸(KBセーレン株式会社製)を鞘糸として巻きつけたもの:フルダル繊維の含有率68%)となるようにして緯糸に用い、ウラ面側に現れる糸条がカチオン可染ポリエステル仮撚加工糸(繊度167dtex、72フィラメント)となるようにして緯糸に用い、さらにフルダルポリエステル仮撚加工糸(東レ株式会社製、繊度84dtex、36フィラメント)を経糸に用いて、緯二重織ツイルを製織した。このときの、布帛の目付け量は、190g/m2であった。
次いで、前記布帛を精練、プレセット加工した後、浸染法を用いて、オモテ面側を蛍光白色に染色し、ウラ面側を、青味を帯びた灰色に染色して、実施例1の防透け性布帛を得た。
このとき、得られた布帛の、オモテ面側の蛍光白色の、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は95であり、ウラ面側の青味を帯びた灰色の、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は24.1%であった。
実施例1で得られた防透け性布帛の各結果を表1に示す。
布帛のオモテ面側に現れる糸条がフルダルポリエステル仮撚加工糸(KBセーレン株式会社製、繊度56dtex、24フィラメント:フルダル繊維の含有率100%)となるようにして緯糸に用い、ウラ面側に現れる糸条がカチオン可染ポリエステル仮撚加工糸(東レ株式会社製、繊度56dtex、24フィラメント)となるようにして経糸および緯糸に用いて、完全二重織タフタ(目付け量160g/m2)を製織した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例2の防透け性布帛を得た。
このとき、得られた布帛の、オモテ面側の蛍光白色の、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は97であり、ウラ面側の青味を帯びた灰色の、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は46.7%であった。
実施例2で得られた防透け性布帛の各結果を表1に示す。
オモテ面側の色をクリーム色に染色し、ウラ面側をベージュに染色した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3の防透け性布帛を得た。
このとき、得られた布帛の、オモテ面側のクリーム色の、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は94であり、ウラ面側のベージュの、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は20.5%であった。
実施例3で得られた防透け性布帛の各結果を表1に示す。
実施例1で布帛を製織する際に、布帛のウラ面側に現れる糸条を、セミダルポリエステル仮撚加工糸(南亜塑膠工業製、繊度167dtex、96フィラメント)に変更して、緯二重織ツイルを製織した。このときの布帛の目付け量は、190g/m2であった。
次いで、前記布帛を精練、プレセット加工した後、布帛のオモテ面側およびウラ面側を、実施例1と同様の染色方法を用いて、蛍光白色に染色し、比較例1の布帛を得た。
このとき、得られた布帛のオモテ面側の蛍光白色の、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は95であり、ウラ面側の蛍光白色の、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は3.9%であった。
比較例1で得られた布帛の各結果を表1に示す。
オモテ面側を蛍光白色に染色し、ウラ面側を淡青色に染色した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例2の布帛を得た。
このとき、得られた布帛の、オモテ面側の蛍光白色の、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は94であり、ウラ面側の淡青色の、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は0%であった。
比較例2で得られた布帛の各結果を表1に示す。
オモテ面側をオフホワイトに染色し、ウラ面側を黒色に染色した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例3の布帛を得た。
このとき、得られた布帛の、オモテ面側のオフホワイトの、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値は81であり、ウラ面側の黒色の、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率は80.0%であった。
比較例3で得られた布帛の各結果を表1に示す。
実施例1〜3の布帛は、いずれも優れた防透け性を有したものであった。また、外観品位についても、問題のないものであった。
一方、比較例1および2の布帛は、目的とする防透け性を得ることができなかった。
また、比較例3の布帛は、防透け性を有するものであったが、ウラ面側の黒色がオモテ面側に響いてしまい、外観品位を損ねるものであった。
Claims (8)
- オモテ面側とウラ面側の二重構造からなる布帛の、オモテ面側の色が、標準光源D65を使用した場合のL*a*b*表色系(CIE 1976)におけるL*値が70以上で表される淡色であり、かつウラ面側の色が、400nm〜750nmの波長領域における可視光線の最小吸収率が20%以上である中間色であることを特徴とする、防透け性布帛。
- 前記布帛のオモテ面側の色が白色であり、かつウラ面側の色がベージュ、青味を帯びた灰色、および灰色のいずれかである、請求項1に記載の防透け性布帛。
- 前記布帛のオモテ面側の色が白色以外の淡色であり、かつウラ面側の色が、オモテ面側の色と同系色の色相を有している中間色であることを特徴とする、請求項1に記載の防透け性布帛。
- 前記布帛のオモテ面側が、フルダル長繊維、フルダル短繊維、短繊維、極細繊維、高捲縮繊維のうち少なくとも1種以上を含んでなる糸条で構成されてなることを特徴とする、請求項1〜3に記載の防透け性布帛。
- 前記布帛のオモテ面側が、フルダル長繊維および/またはフルダル短繊維を含んでなる糸条で構成されてなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の防透け性布帛。
- 前記布帛のオモテ面側が、フルダル長繊維および/またはフルダル短繊維を、30%以上含んでなる糸条で構成されてなることを特徴とする、請求項5に記載の防透け性布帛。
- 前記布帛の目付け量が、50〜350g/m2であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の防透け性布帛。
- 防透け性を表す数値である色差(ΔE)が、6.0以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の防透け性布帛。
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-
2008
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