JP2010125860A - 作業車両の変速装置 - Google Patents

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智之 石田
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Abstract

【課題】前輪と後輪が等速状態から前輪増速状態に切り換わる際に左右均等のステアリングハンドル角度となるようにし、更に直進状態でのハンドル位置が本来の直進時の中立位置からずれることのない作業車両の変速装置の提供である。
【解決手段】4WD・2WD切換スイッチ185がフルターンモードである場合に、切れ角センサ116から得られる検出値に基づいて前輪増速状態への切り換え処理を行う自動切換機能部100eと直進時のハンドル73の中立基準値Aと中立基準値A及びハンドル73の左右の前輪増速状態への切り換え時の旋回量に基づいて設定される、旋回時におけるハンドル73の中立位置の設定値Bとを記憶可能なメモリ100dを有する制御装置100aを設ける。直進時の中立基準値Aを修正できるため、直進走行の認識を精度よくできる。また、作業車両の実際の直進時に、制御装置100aが直進状態を認識できないという不具合がなくなる。
【選択図】図9

Description

本発明は、農業用、建築用、運搬用等の作業機を連結した作業車両、特にトラクタなどの変速装置に関する。
トラクタなどの作業車両が圃場を走行する場合に、畦際での旋回を迅速、かつ小半径に小回りできるよう、変速装置に後輪よりも前輪の速度を増速させる増速装置を組み込んだトラクタが知られている。そして、直進走行時には、後輪と前輪の回転周速度を略同速(標準4輪駆動状態)とし、旋回時にはステアリングハンドル操作に連動して前輪の回転周速度が後輪の回転周速度よりも2倍程度速くなる前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)に切り換えられるようにしている。
この前輪増速状態への切り換えは、ステアリングハンドルの中立位置からステアリングハンドルを旋回操作することで切れ角(中立位置に対するステアリングハンドル(又は前輪)の旋回角度のことである)に基づいて切れ角スイッチがオンすることで行われる。
この前輪増速状態への切り換えのタイミング(切れ角スイッチがオンするタイミング)は増速装置の部品の取り付け等により、使用しているうちに部品の位置がずれて徐々に変わってくるため、左右のハンドル(前輪)の切れ角が均等になるように、前輪増速状態への切り換え調整をする必要が生じる。
この前輪増速状態への切り換え調整を容易にするため、下記特許文献1において、ステアリングハンドルの軸方向に平行に取り付けた前輪の二つの駆動状態(前記標準4輪駆動状態と前輪増速4輪駆動状態)に対応したハンドルの切れ角に応じて接点を入り切りする切れ角スイッチボックスと該切れ角スイッチボックスをハンドルの軸心に対して遠近方向の位置を調整する前後方向調整部と前記軸の上下方向の位置を調整する中立調整部を設けると共に、ハンドルの軸心周りに軸の上下方向にのみ移動可能にこまを取り付けた動力車両が提案されている。
ハンドル操作によりこまが上下に動くことで切れ角スイッチボックスのスイッチを入り切りするものであり、切れ角スイッチボックスをハンドルの軸心に対して遠近方向や上下方向に調整することで、ハンドルの切れ角を左右均等に調整すると共に、入り切りのタイミングを変えて切れ角スイッチのオン位置の切れ角調整が可能となる。
一方、作業時に圃場端に至り、ステアリングハンドルを設定角度以上旋回すると、作業機の上昇と同時に標準4輪駆動状態から瞬時に前輪増速4輪駆動状態に切り換わるため、作業機が地面から離れる前に前輪増速4輪駆動状態となって、車両後部の作業機が振り回されて枕地の処理が困難になることがある。下記特許文献2には、前輪増速状態への切り換えが急激にならないように、ステアリングハンドル操作が直進位置から第1の設定角(旋回角)までは標準4輪駆動状態とし、第1の設定角から第2の設定角までは後輪のみの2輪駆動状態として作業機を上昇させて、第2の設定角以上になると前輪増速4輪駆動状態とした作業車の旋回制御装置が開示されている。
このように段階的に駆動状態を変えて作業機を上昇させることで、圃場を荒らすことが防止できる。
特開2004−17757号公報 特開2002−205564号公報
これらの前記特許文献1及び2記載の構成では、ステアリングハンドル操作に連動して、その旋回角度(切れ角)によって前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)に切り換えられるようにしている。
特許文献1によれば、切れ角スイッチボックスをハンドルの軸心に対して遠近方向や上下方向に調整することで、ステアリングハンドル操作に連動して、その切れ角によって前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)に切り換えられるようにしているハンドルの切れ角を左右均等に調整すると共に、入り切りのタイミングを変えて切れ角スイッチのオン位置の切れ角調整が可能となることが開示されているが、切れ角スイッチボックスはこのように機械的に調整するために精度が悪く、特に、微調整は難しい。
また、特許文献2によれば、段階的に標準4輪、2輪、前輪増速4輪などの駆動状態を変えて作業機を上昇させることが開示されているが、前記第1の設定角や第2の設定角を検出するスイッチの接続機構にずれが生じると、段階的に標準4輪、2輪、前輪増速4輪となるステアリングハンドルの位置がずれてくるという問題がある。
そして、通常は、ステアリングハンドル操作が直進位置(中立位置)に対して同一の旋回角度で前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)に切り換えられるように設定されるが、上記のように切れ角の検出機構は機械的な機構のため、各部材の連結機構にずれ、がたつきなどが生じて中立位置がずれてくることがある。また、このように中立位置がずれてくると、左右均等のステアリングハンドルの旋回角度で前輪増速4輪駆動状態に切り換えるために、直進のときのステアリングハンドルの中立位置(前輪の中立位置に対応)を前輪の本来の中立位置よりも右(又は左)にずらして設定する場合があり、その場合にステアリングハンドル(前輪)の本来の中立位置が検出しにくいという問題があった。
例えば、ステアリングハンドル(前輪)の切れ角検出機構としてのボール・ナット式ステアリング機構においては、作業車両を走行、使用しているうちに、ステアリング・ホイールの回転をギヤなどを介してリレーロッド/タイロッドまたはドラッグリンクに伝えるピットマンアームの傾斜角度がずれてくることがある。
このようにピットマンアームの傾斜角度がずれてくると、ステアリングハンドル操作により、右に旋回するときと左に旋回するときの前輪増速4輪駆動状態に切り換わる旋回角度が異なってくる。例えば、中立位置から左に100度旋回させると前輪増速4輪駆動状態に切り換わるが、右に旋回するときには中立位置から右に110度旋回させないと前輪増速4輪駆動状態に切り換わらないという現象が起きるため、左右均等の切れ角にするためにはステアリングハンドルの中立位置を補正する必要が生じる。
このような場合に、ステアリングハンドル(前輪)の本来の直進時の中立位置がずれてしまい、本来の中立位置が検出しにくくなると、作業車両は直進しているにもかかわらず、制御装置は直進状態を認識できないという問題が生じる。
本発明の課題は、前輪と後輪が等速状態から前輪増速状態に切り換わる際に左右のステアリングハンドルの切れ角が同じとなり前輪の旋回角度がそれぞれ同じとなるようにし、更に直進状態でのハンドル位置が本来の直進時の中立位置からずれないようにして、制御装置が直進状態を認識できるようなトラクタなどの作業車両の変速装置を提供することである。
本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1記載の発明は、前輪(61,61)及び後輪(63,63)と、前輪(61,61)を左右に旋回操作するための操向操作手段(73)と、該操向操作手段(73)の旋回操作による前輪(61,61)の操舵角度を検出する操舵角度検出手段(116)と、直進時は前記後輪(63,63)の回転周速度と前記前輪(61,61)の回転周速度が略同速の標準4輪駆動状態であるが前記操向操作手段(73)による旋回時は前記後輪(63,63)の回転周速度よりも前記前輪(61,61)の回転周速度が増速される前輪増速4輪駆動状態に自動的に切り換わる前輪増速駆動状態自動切換モードを含む複数のモードに設定可能な駆動状態設定手段(185)と、該駆動状態設定手段(185)により前記前輪増速駆動状態自動切換モードに設定されている場合に前記操舵角度検出手段(116)から得られる検出値に基づいて前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態への切り換え処理を行う自動切換機能部(100e)と、直進時における操向操作手段(73)の中立位置の前記操舵角度検出手段(116)から得られる検出値(A)と該検出値(A)及び操向操作手段(73)の左右の前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態への切り換え時の旋回量に基づいて設定される、旋回時における前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態へ切り換わる際の操向操作手段(73)の中立位置の設定値(B)とを記憶可能な記憶部(100d)を備えた制御装置(100a)とを設けた作業車両の変速装置である。
請求項2記載の発明は、前記制御装置(100a)の記憶部(100d)に記憶される直進時の中立位置の検出値(A)は前記操舵角度を検出する操舵角度検出手段(116)から得られる実際の検出値とし、前記旋回時の中立位置の設定値(B)は前記直進時の中立位置の検出値(A)から一定の差を設けた値とした請求項1記載の作業車両の変速装置である。
請求項1記載の発明によれば、後輪(63)と前輪(61)の回転周速度が略同速である(標準4輪駆動状態)直進時の中立位置の検出値(中立位置基準値)(A)と前輪(61)の回転周速度が後輪(63)の回転周速度よりも2倍程度速くなる前輪増速4輪駆動状態に切り換わる時の中立位置の操向操作手段(73)の設定値(中立位置基準値)(B)を異なる値として、それぞれの中立位置基準値を記憶部(100d)に記憶可能とする。
したがって、直進時の中立位置基準値(A)を修正できることで、本来の直進時の中立位置基準値(A)を保持でき、直進走行の認識を精度よくできるようになる。また、実際に前輪増速4輪駆動状態に切り換わる際の操向操作手段(73)の左右の旋回量が同じとなるように修正できるので、オペレータは違和感なく作業車両を操作できる。また、作業車両が実際に直進しているにもかかわらず、制御装置(100a)が直進状態を認識できないという不具合を防止できる。
そして、請求項2記載の発明によれば、前輪増速4輪駆動状態に切り換わる時の前記中立位置基準値(B)と直進時の前記中立位置基準値(A)をそれぞれ調整する場合に、直進時の中立位置基準値(A)は操舵角度を検出する操舵角度検出手段(116)から得られる実際の検出値とし、前輪増速4輪駆動状態に切り換わる時の前記中立位置基準値(B)は直進時の前記中立位置基準値(A)からの一定の差分とすることで容易に調整できる。
前記操舵角度検出手段(116)として、例えばセンサを交換した場合でも、直進時の中立位置基準値(A)のみ再調整すれば、直進時の中立位置基準値(A)から容易に、前輪増速4輪駆動状態に切り換わる時の中立位置基準値(B)も調整できるため、わざわざ前輪増速4輪駆動状態に切り換わる時の中立位置基準値(B)を直進時の中立位置基準値(A)とは別に調整する手間が省けて簡便であり、作業車両を操縦するオペレータの負担も軽減する。
本発明の実施の形態について以下図面と共に説明する。なお、本明細書では車両の前進方向に向かって左右をそれぞれ左、右といい、前後をそれぞれ前、後ということにする。ここで、本明細書において左右の走行車軸とは、作業車両の進行方向を向いて左右方向の走行車軸をいう。そして、本発明の実施の形態によれば、作業車両の一例であるトラクタを例として以下に説明する。
図1には本発明の実施形態の走行装置を搭載したトラクタの左側面図を示し、図2には、図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図を示す。更に図3には図2の動力伝動図の油圧回路図を示し、また、図4には図1のトラクタの制御ブロック図を示す。
乗用四輪駆動の走行形態を有するトラクタ車体Tは、ステアリングハンドル73(図5,図6)で前輪61を操向しながら走行運転する。車体Tの後部にはロータリ耕耘装置等の作業機を3点リンク機構により昇降可能に装着して対地作業を行うことができる。この車体Tは、前端部にフロントアクスルハウジング(図示せず)に支架させるエンジンブラケットを介してエンジン62を搭載し、このエンジン62の後側にクラッチハウジングや、ミッションケース65等を一体的に連結し、このミッションケース65の最後部にリヤアクスルハウジング(図示せず)を設けて、左右両側部に後輪63を軸装する。
図2には、図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図を示す。
エンジン62は後側に突出のエンジン軸1を有し、このエンジン軸1をクラッチハウジング部の入力軸2に連結する。ミッションケース65内の伝動機構を介して後端部の出力軸3及びPTO軸14を連動すると共に、ミッションケース65の下部に設けた前輪出力軸5を連動する構成としている。この出力軸3はミッションケース65内の後部の略中央部において前後方向に沿うように軸受されて後端にドライブピニオンギヤ53を有し、リヤデフ45のデフリングギヤ46に噛合し、リヤアクスルハウジングに沿って軸装されたリヤデフ軸10と後輪軸11を遊星減速機構を介して連動する。また、前輪出力軸5はミッションケース65の下部からエンジン62の下部を経て、フロントアクスルハウジングの中央部に設けられるフロントデフ47の入力軸26に連結され、このフロントアクスルハウジングに沿って軸装されるフロントデフ軸12及び遊星減速機構等を介して前輪軸13へ連動する構成としている。なお、入力軸2から油圧ポンプ80(図3)への動力取り出し用のギヤ駆動軸15,17が入力軸2に並列配置されている。
図2に示すトランスミッションの噛合式変速装置は、エンジン軸1によって駆動される入力軸2から入力ギヤ31に連動されるPTO変速カウンタギヤ44を有するPTOカウンタ軸9上にPTOクラッチパック66を設けている。PTOクラッチパック66や入力ギヤ31などからなるPTOの動力伝達部の構成をPTOクラッチZということにする。
また入力軸2には前後進切替用の前後進切替ギア42、42が遊転状態に設けられ、一方の後進側の前後進切替ギア42には入力軸2と並列配置されたバックカウンタ軸8に設けられたバックカウンタギア43が噛合し、他方の前進側の前後進切替ギア42には主変速軸19上に固定した入力ギヤ48と該主変速軸19上に遊転自在に設けた有効径の異なる4つの主変速ギヤ33を設ける。これら4つの主変速ギヤ33は、四段変速に構成され、クラッチパック76によって切替シフトされ、4つの主変速ギヤ33から構成される変速装置を主変速油圧クラッチVということにする。
前記主変速軸19上には、前記主変速油圧クラッチVの4つの主変速ギヤ33のうち、最も有効径の小さい主変速ギヤ33(第1速用)と3番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第3速用)との間にクラッチパック76を固定して設け、2番目に有効径の小さい主変速ギヤ33(第2速用)と最も有効径の大きい主変速ギヤ33(第4速用)との間にクラッチパック76を固定して設ける。前記2つのクラッチパック76には、各主変速ギヤ33を主変速軸19と一体回転するように連結する摩擦クラッチが各々設けられている。
また、前後進切替ギヤ42の前進側のギヤと噛合可能な入力ギヤ48は、前後進切替ギヤ42の後進側のギヤともバックカウンタ軸8上のバックカウンタギヤ43と噛合っており、該前後進切替ギヤ42のうちの前進側のギヤ42と後進側のギヤ42とを、前後独立した摩擦クラッチから成る2つの前後進切替クラッチパック60の切替によって択一的に入力軸2と一体化して、前進走行と後進走行とに切替えられる構成である。後述する油圧シリンダ85(図3)を含めこれらギヤ42とクラッチパック60などからなる構成を前後進油圧クラッチYということにする。
また、前後進油圧クラッチYの切替を手動で行う前後進切替レバー115(図5)をステアリングハンドル73のポスト部分に設け、クラッチペダル119(図5)はハンドルポストの足下に設けている。クラッチペダル119の操作位置はクラッチペダルセンサ119aからコントローラ100aにセンサ信号が入力される。
主変速軸19と同軸芯位置に設けられた副変速軸20にはクラッチパック76によって切替シフトされる有効径の異なる2つの高低速切替ギヤ34が設けられており、主変速後の駆動力を更に減速して高速と低速とに切り替えることができる。この高速と低速とに切り替え可能なギア構成をハイ・ロー変速クラッチWということにする。
さらに副変速軸20と同軸上には有効径の異なる3つの副変速ギヤ35を有する出力軸3が配置されている。出力軸3は副変速ギヤ35により三段変速する構成としている。この三段変速可能なギヤ35の構成を副変速ギア伝動機構Xということにする。
また、副変速ギヤ35に噛合するクリープカウンタギヤ49を備えたクリープカウンタ軸21が出力軸3に並列位置に設けられている。また主変速ギヤ33や高低速切替ギヤ34等と噛合する主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギヤ40を有する走行カウンタ軸6が主変速軸19や副変速軸20と並列位置に配置されており、主変速軸19から伝動される回転が主変速ギヤ33で変速されて、その回転が主変速カウンタギヤ39と高低速切替ギア40を順次経由して副変速軸20に設けられた高低速切替ギヤ34に伝達される。高低速切替ギヤ34に伝達された動力はクラッチパック76を介して副変速軸20上に設けた副変速ギヤ35による変速機構を介して出力軸3に伝達される。
この走行動力伝達系では、PTO正逆切替ギヤ37機構を備えたPTO連動軸4を回転する伝動形態である正逆転PTOを設けている。
また、前記副変速ギヤ35と噛み合う副変速カウンタギヤ38の副変速カウンタ軸27を回転自在に支持すると共に、出力軸3から前輪取出ギヤ36を介して連動される前輪連動ギヤ51を有する前輪連動軸28を設け、この前輪連動軸28の前方延長軸芯上にはPTO減速ギヤ50を有するPTO減速軸23を設けている。さらに、前輪連動軸28の並行位置にPTO連動軸4を設け、該PTO連動軸4と同軸芯上前端部にPTO連動軸4を正転と逆転に切替えるPTO正逆切替ギヤ37のPTO正逆切替軸22と、PTO変速ギヤ32のPTO変速軸18を配置している。
また、PTO正逆切替ギヤ37と噛合するPTO逆回転カウンタギヤ52を有するPTO逆回転カウンタ軸24が前記PTO正逆切替軸22の側部に設けられ、PTOクラッチパック66の入りによって、入力軸2からPTO変速ギヤ32、PTO変速カウンタギヤ44及びPTO正逆切替ギヤ37等を介してPTO正逆切替軸22へ動力が伝動するように構成している。前記正逆切替ギヤ37は前記PTO変速ギヤ32と同形態のクラッチリングを用いる形態としている。このPTO正逆切替軸22の側方にはPTO逆回転カウンタギヤ52を有する逆回転カウンタ軸24を設け、PTO逆回転カウンタギヤ52は、PTO減速ギヤ50からの連動を受けてPTO正逆切替ギヤ37を逆回転することができる。なお、前記PTOカウンタ軸9の後方に減速軸23が配置される。
更に、ミッションケース65内の下段部に配置された前輪出力軸5は、ミッションケース65の後部底部に軸装されて、前輪連動軸25やカップリング等を介して前記フロントデフ47の入力軸26へ連結する。この前輪出力軸5の横側には前輪駆動軸7が配置されている。前輪駆動軸7の後端には前輪ギヤ55が設けられている。また、前記出力軸3の後端部の前輪取出ギヤ36に前輪連動軸28上の第1の前輪連動ギヤ51が噛合し、該第1の前輪連動ギヤ51を介して前輪連動軸28に伝達される出力軸3の駆動力は、前輪連動軸28と一体回転する第2の前輪連動ギア54に伝達されて、該前輪連動ギア54から前輪駆動軸7に伝達される。
また前輪駆動クラッチパック67を前輪駆動軸7上に設け、この駆動軸7の前端部から前輪出力軸5へギヤ連動する。また、有効径の異なる2つの前輪駆動切替ギヤ41が前輪駆動クラッチパック67の左右に配置されており、該2つの前輪駆動切替ギヤ41は、カウンタ軸59に設けた有効径の異なる2つの切替駆動カウンタギヤ56に各々噛み合わされ、前輪駆動クラッチパック67を択一的に接続することにより、2つの減速比のうちのいずれか一方の減速比で前輪駆動軸7を駆動することができる。
前輪駆動クラッチパック67を中立位置にシフトするときは前輪61を駆動させない後輪駆動の二駆形態とし、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて低速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約1倍の等速駆動させる四駆形態とし、また、この前輪駆動クラッチパック67を油圧操作によって切り換えて高速位置にシフトするときは前輪61を後輪63に対して約2倍に増速駆動させる四駆形態とすることによって走行することができる。
上記構成からなる噛合式変速装置により、エンジン62の回転動力は主クラッチを構成する前後進油圧クラッチYを経由して4段の変速段からなる主変速油圧クラッチVと2段の変速段からなるハイ・ロー変速クラッチW及び3段の変速段からなる副変速ギア伝動機構Xで合計24段のうちのいずれかの変速段に変速され、得られた回転動力はリヤデフ45を経て後輪63が駆動される。また、前記副変速ギア伝動機構Xで変速された回転動力は前輪駆動クラッチパック(二駆四駆切替クラッチ)67にも伝達され、該クラッチパック67により前輪61が「等速」もしくは「増速」に切り換えられた後、フロントデフ47を経て前輪61が駆動される。
また、PTO変速ギヤ32、走行系の主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び副変速ギヤ35等を、ドライブピニオンギヤ53を有する出力軸3の軸芯上に沿って配置する構成とする。走行系の伝動は、入力軸2から出力軸3の軸芯上に配置される主変速ギヤ33、高低速切替ギヤ34及び複変速ギヤ35等を介してドライブピニオンギヤ53へ多段変速連動される。また、PTO系の変速は、この出力軸3の軸芯上の前端部に設けられるPTO変速ギヤ32を介して連動される。
次に図3には図2の動力伝動図の油圧回路図を示す。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ切換弁105、PTOクラッチ比例圧力制御弁106などが設けられている。なお、一点鎖線部分の回路101はメイン油圧回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)となり、サブ回路(走行・ブレーキ・デフロック・PTO側回路)とあまり関係がないため、回路図の図示を省略している。
油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81aを介して主変速油圧クラッチVの第4速用と第2速用の各ギア33をクラッチパック76を介してそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ88と油圧クラッチシリンダ87を切り替える主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁89に供給され、さらに主変速油圧クラッチVの第1速用と第3速用の各ギア33をそれぞれ作動させる油圧クラッチシリンダ91と油圧クラッチシリンダ92を切り替える主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁93に供給される。
減圧弁81aを経由する作動油は、前後進クラッチシリンダ85のオン・オフ制御弁129を介して前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチYを切り替える切替弁86(前進ソレノイド86F,後進ソレノイド86R)に供給される。該前後進クラッチシリンダ85の前進側と後進側の油圧クラッチYのいずれに作動油が供給されているかは前進側クラッチ圧力センサ110(図4)と後進側クラッチ圧力センサ111(図4)で検出できる。また、前・後進クラッチYの油圧を昇圧するための前後進昇圧ソレノイド90(リニア昇圧ソレノイドともいう)を設けている。
そして、同様に、上記及び下記油圧クラッチシリンダに供給される作動油はそれぞれの油圧クラッチシリンダへの入口側の油路に設けた圧力センサ(例えば油圧クラッチVの第1速用から第4速用までの圧力センサ145a〜145dやPTOクラッチZの圧力センサ146、Hi(ハイ)クラッチ圧力センサ113、Lo(ロー)クラッチ圧力センサ114など)で検知できる構成になっている。
また、油圧ポンプ80から吐出した作動油は、減圧弁81bを介してブレーキバルブ82aを経由して左右のブレーキシリンダ83に分岐供給される。前記ブレーキバルブ82aは後輪63を選択する切替制御弁であり、該ブレーキバルブ82aはブレーキ力を調整する圧力制御弁82bと一体構成となっている。
さらに、減圧弁81bを経由する作動油は、前記第1速〜第4速用の各ギア33で変速された速度を「高速」と「低速」の二つのギヤ40のいずれかにクラッチパック76を介して作動させるハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95を切り替えるための制御弁(ソレノイド)96a,96bに供給される。
また、減圧弁81bを経由する作動油は、デフロック制御弁97を経てフロントデフ47用の前輪デフロックシリンダ98a及びリアデフ45用の後輪デフロックシリンダ98bに分岐される。
さらに、前輪駆動クラッチパック67のギア41の切替用の油圧シリンダ99には切替制御弁94を経て前記減圧弁81bを経由する作動油が供給される。
同様に、減圧弁81bを経由する作動油は、PTO用バルブ105,106を介してPTOクラッチシリンダ104に供給され、PTOクラッチZの圧力を調整する。
また図3に示す油圧ポンプ80からの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動されるオービットロール107に作動油を供給する構成である。
クラッチペダル119の非操作時(足踏み式ペダル119の踏み込み操作をしていない時)には前後進切替クラッチパック60、60が接続状態(クラッチ入りの状態)となり、エンジン動力が変速装置内の前進側の駆動機構又は後進側の駆動機構に伝達される。クラッチペダル119を操作すると(足踏み式ペダル119の踏み込み操作をすると)と該前進又は後進用のクラッチパック60の接続状態が解除される(クラッチ切りの状態)。
図4は、コントローラ(制御装置)100a〜100cへの制御信号の入出力を示すブロック図であり、走行速度を制御する走行系コントローラ100aとエンジン62の出力を制御するエンジンコントローラ100bと作業機の昇降を制御する作業機昇降系コントローラ100cが通信回線で連結され、制御信号を交信している。
まず、走行系コントローラ100aには、前記した主変速油圧クラッチVの摩擦クラッチの各クラッチの入/切情報が変速1クラッチ圧力センサ145aと変速2クラッチ圧力センサ145bと変速3クラッチ圧力センサ145cと変速4クラッチ圧力センサ145dから入力され、ハイ・ロー変速クラッチWの入/切情報がHiクラッチ圧力センサ113とLoクラッチ圧力センサ114から入力し、前後進切換クラッチYのクラッチパック60の入/切情報が前進クラッチ圧力センサ110と後進クラッチ圧力センサ111から入力され、前後進切換クラッチYを変速操作する前後進レバー115の変速位置を検出する前後進レバー操作位置センサ115aと副変速レバー179の変速位置を検出する副変速レバー操作位置センサ179fから変速位置情報が走行系コントローラ100aに入力される。
さらに、走行系コントローラ100aには、ミッションケース65内のオイル温度がミッションオイル油温センサ147から入力され、クラッチペダル操作位置センサ119aからクラッチペダル119の位置が入力され、前輪61,61の回転数を検出する前輪駆動軸回転数センサ112a(図2)及び後輪63,63の回転数を検出する後輪駆動軸回転数センサ112b(図2)からは各車輪61,63の駆動軸回転数が入力される。また、後述する4WD・2WD切換スイッチ(4WD(前輪、後輪とも駆動状態)と2WD(後輪のみ駆動状態)の切換スイッチ)185からは、選択された駆動状態の情報が図示しないセンサから入力される。
また、前輪切れ角センサ(前輪操舵角度検出手段)116とはステアリングハンドル73の旋回(操舵)作動に対応する前輪61,61の操舵角度(旋回角度)を検出するセンサであり、前輪切れ角センサ116からは前輪61,61の操舵角度(ステアリングハンドル73の旋回、操舵角度に対応)が入力される。
さらに、走行系コントローラ100aには、アクセル変速設定スイッチ(後述するATシフト路上スイッチ199,ATシフト作業スイッチ200のことである)からアクセル変速情報(後述する自動変速(オートドライブ)が設定されているか否かの情報である)が入力され、主変速増減速操作スイッチ192a、192bから設定情報が入力され、アクセルペダル175の踏み込み位置(作業時の場合はアクセルレバー176の操作量)を検出するアクセルポジションセンサ175aからアクセル設定情報が入力され、アクセル微調整レバー153(図5,図6)から設定情報が入力される。アクセル微調整レバー153は跳ね返り式押しスイッチであり、押す度に段階的に調整値が変化する。
走行系コントローラ100aから出力される制御信号は、前後進切換クラッチYのクラッチパック60を作動させる油圧バルブ86の前後進切換ソレノイド86F,86Rへの切換信号とリニア昇圧ソレノイド90(前後進昇圧ソレノイド)への切換昇圧信号とクラッチソレノイド129a(オン・オフ制御弁129のソレノイド)への中立作動信号、主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁93の1−3速切換ソレノイド93aへの切換信号と1−3速昇圧ソレノイド93bへの昇圧信号、主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁89の変速2−4切換ソレノイド89aへの切換信号と変速2−4昇圧ソレノイド89bへの昇圧信号、ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ95(図3)を切り替えるための油圧バルブのHiクラッチ切換ソレノイド96aとLoクラッチ切換ソレノイド96bへの高・低切換信号である。また、前輪61,61を駆動、速度調整するための前輪増速4WDソレノイド121や前輪等速4WDソレノイド122への作動信号などである。
エンジンコントローラ100bに入力される情報信号は、エンジン排気温度センサ164からの排気温度と、エンジン回転センサ165からの回転数と、エンジンオイル圧力センサ166からのオイル圧力と、エンジン水温センサ167からの冷却水温度と、レール圧センサ168からのコモンレール圧で、エンジンコントローラ100bから出力される制御信号は、燃料高圧ポンプ169への加圧信号と各高圧インジェクタ170への燃料噴射信号である。
作業機昇降系コントローラ100cに入力される情報信号は、作業機の位置を調整するためのポジションコントロールレバー190からの作業機の位置情報と、リフトシリンダ(図示せず)のリフトアームセンサ161からのアーム位置情報と、作業機の上げ位置を規制するための上げ位置規制ダイヤル(上げ調整ダイヤル)183の規制位置情報、及び作業機の下げ速度を規制するための下げ速度調整ダイヤル(下げ速度ダイヤル)197の下げ速度情報であり、作業機昇降系コントローラ100cから出力される制御信号は、左右リフトアーム(図示せず)を作動させる油圧シリンダ用バルブのメイン上昇ソレノイド171aとメイン下降ソレノイド171bへの昇降信号である。
メータパネル213には各センサの検出情報やスイッチの設定情報が表示され、スイッチボックス180(図5,図6)を含む操縦席16シート周辺の操作パネル181で各種の設定信号が入力される。
また、図5には、図1のトラクタの操縦席付近の上面図を示し、図6には同じく斜視図を示し、図7(a)には図5及び図6に示したスイッチボックス180の平面図を示し、図7(b)には図7(a)の側面図を示す。
トラクタの操縦席16の左側には、トラクタの前進と後進の切り替えを行う前後進切替レバー115や駐車ブレーキ172、前方側のPTOチェンジレバー173a(2速−N(中立)−1速にチェンジ可能)、後方側のPTOチェンジレバー173b等を配置している。後方側のPTOチェンジレバー173bは、型式によって3種類ある(機能が異なるだけで図は同じである)。
Z型は正逆切換レバー(前側が正転、後側が逆転)であり、WX型はエコノミーPTO切換レバー(前側が切−後側が入)であり、入りにすると、PTO軸が所定回転ダウンする。また、GWD型はグランドPTO切換レバー(前側が切−後側が入)であり、入りにするとPTO軸の回転が車速に同期(シンクロ)する。
一方、トラクタの操縦席16の右側には、アクセルペダル175やアクセルレバー176(前に倒すとエンジン回転数増大、一番手前にするとアイドリングになる)、更に圃場や建設、土木作業場など(以下、圃場という)の作業領域(以下、圃場内という)における作業時のエンジン回転数を設定してメモリ(記憶部)100dに記憶させるためのエンジン回転数記憶スイッチ177aなどがある。エンジン回転数記憶スイッチ177aは、いわゆるシーソースイッチであり、上側又は下側を押して指を離すと自動的に押していない状態に戻る。また、コントローラ(制御装置)100aのメモリ100dには2通りのエンジン回転数を記憶できるので、その切換スイッチである。
例えば、エンジン回転数記憶スイッチ177aの上側を押すとエンジン回転数がA回転数になり、下側を押すとB回転数となる。上側を押して指を離すとエンジン回転数記憶スイッチ177aは押す前の位置に戻るが、スイッチ177aは入り状態になっており、エンジン回転数はコントローラ100aによりA回転数になるように制御されて保持される。同様に、下側を押して指を離すとエンジン回転数記憶スイッチ177aは押す前の位置に戻るが、スイッチ177aは入り状態になっており、エンジン回転数はコントローラ100aによりB回転数に制御されて保持される。
本実施形態の場合は2通りのエンジン回転数を記憶できる例を示しているが、それよりも多い3通り以上の回転数を記憶できる構成でも良い。この場合は、スイッチを換える必要があり、例えば、上下左右にシーソーするスイッチにすると4通りの回転数が記憶可能となる。
また、エンジン回転数記憶スイッチ177aの後方のエンジン回転数設定スイッチ177bもシーソースイッチであり、上側又は下側を押して指を離すと自動的に押していない状態に戻る。そして、エンジン回転数記憶スイッチ177aを押した後(上側又は下側)、押した状態のままエンジン回転数設定スイッチ177bの上側を押すとエンジン回転数が上昇し、又は下側を押すとエンジン回転数が下降する。エンジン回転数記憶スイッチ177aは押した状態でなくてもよい。そして、新たに設定した回転数がメモリ100dに記憶される。
更に、アクセルレバー176の後方には、副変速操作手段としての副変速レバー179(低速、中速、高速、路上走行速)を設けており、低速8段、中速8段、高速8段、路上走行速4段(高速8段の上側4段)などの変速が可能である。副変速レバー179はレバーガイド179aに沿って前後方向と左右方向に作動し、前方右側に倒すと高速、前方左側に倒すと路上走行速、後方右側に倒すと中速、後方左側に倒すと低速となる。そして、前後方向位置及び左右方向位置は副変速レバー位置センサ179fにより検出されて、当該センサ信号がコントローラ100a(図4)に入力される。また、後述する主変速増減速スイッチ(センサ)192a,192bなどの変速段の操作もコントローラ100aに入力される。
更に前後進切替レバー115の操作位置を検出する前後進レバーセンサ115a(図4)やアクセルペダル175の踏み込み位置を検出するアクセルポジションセンサ175a(図4)等によるセンサ信号がコントローラ100aに入力されることで、コントローラ100aによりそれぞれの操作内容に応じた制御が行われる。
図2には副変速ギア伝動機構Xの拡大図を示している。
副変速レバー179の位置が低速では、ギア137がギア139に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア135、クリープカウンタギヤ49a、クリープカウンタギヤ49b、ギア136、ギア139、ギア137、出力軸3となる。
副変速レバー179の位置が中速では、ギア131がギア133に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア133、ギア131、出力軸3となる。
副変速レバー179の位置が高速では、ギア131がギア130に噛み合い、伝動の流れは副変速軸20、副変速ギヤ35、ギア130、ギア131、出力軸3となる。
路上走行速では副変速のレバー位置の変更はなく、高速位置の状態であり、高速の上側4段(5速〜8速)を使用する。
なお、トランスミッション内の副変速ギア伝動機構Xは3段であるが、副変速レバー179の変速位置は、4段(低速、中速、高速、路上走行速)である。主変速油圧クラッチVは4段、ハイ・ロー変速クラッチWは2段であるため、低速、中速、高速で副変速の位置に対する変速段数は各8段となる。すなわち、副変速が低速で8段、副変速が中速で8段、副変速が高速で8段となる。路上走行速については、高速8段の上側(高速側)4段となり、コントローラ100aにより上側4段のみ使用することにしている。したがって、副変速レバー179を路上走行速にしても、トランスミッション内の変速機構は何も動かず、高速位置のままである。
また、サブコントロールレバー1連目178aは外部油圧取り出しレバーのことであり、トラクタのロータリ耕耘装置を外して別の作業機を駆動するときなどに高圧のオイルを供給するためのものである。サブコントロールレバー1連目178aの後方にはサブコントロールレバー2連目178bを配置しており、3連目(図示せず)や4連目(図示せず)を設けても良い。
ドラフト比調整ダイヤル182は、ドラフトコントロールの感度を調整するダイヤルであり、左側に回すとポジション側、右側に回すとドラフト側となり、ポジション側(左側)にするほど負荷にかかわらず、設定している耕耘深さを維持する制御となる。また、ドラフト比調整ダイヤル182を右側に回すと負荷優先となる。すなわち、所定以上の負荷が作業機に作用すると、耕深よりも負荷を軽くするために作業機(ロータリ耕耘装置など)の図示しない作業機の昇降シリンダを少し上げるように制御する。
したがって、圃場の状態やオペレータの好みでドラフト比を調整できる。表1には、ドラフト比の調整と圃場の状態との関係を示す。
(表1)
ドラフト比 1 5
調整ダイヤル (左回し) (右回し)
耕深 浅くする ←→ 深くする
土質 軽い ←→ 重い
すなわちポジション側(左)に回すほど、負荷に対するロータリ耕耘装置の昇降変化量が少なくなり、耕す深さを優先する。ドラフト側(右)に回すほど負荷に対するロータリ耕耘装置の昇降変化量が大きくなり、負荷の軽減を図るようにする。
そして、ロータリ耕耘装置の上げ調整ダイヤル183は、ロータリ耕耘装置の高さを調整するためのものであって、左側に回すとロータリ耕耘装置の高さが低くなり、右側に回すと高くなる。上げ調整ダイヤル183により、ロータリ耕耘装置の3点リンク機構の高さを調整できる。作業機によっては最も高く上げるとトラクタ本体に当たる場合もあるが、作業機の高さをリフトシリンダの伸縮により調整することで、このような不具合を防止できる。また、それほど上げる必要のない作業機は、この上げ調整ダイヤル183で調整して、効率的な作業を行うことができる。
そして、傾き調整ダイヤル184は、ロータリ耕耘装置の傾きを調整するもので、左側に回すと右上がりとなり、右側に回すと右下がりとなる。
図8には4WD・2WD切換スイッチ185の拡大図を示す。
4WD・2WD切換スイッチ185は、後輪63,63が駆動している2輪駆動状態と前輪61,61及び後輪63,63の4輪が駆動している4輪駆動状態とに切換、設定可能な駆動状態設定手段である。すなわち、前輪61,61の駆動状態を設定するスイッチである。具体的には、4WD・2WD切換スイッチ185は走行ローダと2WDと4WDとフルターンと2WDターンなどのモードに切換、設定ができる。これらの設定情報は、4WD・2WD切換スイッチ(センサ)185からコントローラ100aに入力されて以下の説明に基づいた駆動制御が行われる。
走行ローダは、路上走行やトラックの積み降ろし、傾斜地作業や圃場の出入り、ローダ作業時等に使用し、通常は2輪駆動である。しかし、トラクタがぬかるみに入ったり、急な坂道、凹凸道になった場合は、自動的に4輪駆動になる。トラクタがぬかるみに入った場合は、スリップ状態が起こり前輪61と後輪63の回転数差が規定値より超えるため、また急な坂道になった場合は、車速が落ちると共にエンジン回転数が低下するため、また凹凸道になった場合は、エンジン回転数の頻繁な上下、前輪61と後輪63の回転数差、作業機の水平位置の変化等により、自動的に4輪駆動になる。
そして、ブレーキをかけると自動的に4輪駆動になったり、運転中に停止すると4輪駆動になる。すなわち、前述のような路面の状態に応じて(また操向(旋回)角度が中立位置から全ストロークの1/4程度変化するなど)2輪駆動から4輪駆動に切り換わる。4輪駆動になることで2輪駆動の場合と比べて走行ブレーキ機能がより発揮され、路面への駆動力が増して安定して走行停止ができるようになる。
このように、走行ローダは、自動的に2輪駆動から4輪駆動に切り換わる駆動状態自動切換モードである。
そして、4WD・2WD切換スイッチ185が2WD(2輪駆動)の場合は後輪63,63が駆動し、4WD(4輪駆動)の場合は4輪(前輪61,61及び後輪63,63)が駆動する。また、フルターンは4WDにおいて旋回時に前輪61,61の速度が増速され、小回りがきいて素早い旋回となる前輪増速駆動状態自動切換モードである。
すなわち、直進走行時には、後輪63と前輪61の回転周速度を略同速(標準4輪駆動状態)とし、旋回時にはステアリングハンドル73の操作に連動して前輪61の回転周速度が後輪63の回転周速度よりも2倍程度速くなる前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)に自動的に切り換えられる。
そして、4WD・2WD切換スイッチ185をフルターンに設定したときはメータパネル213のフルターン表示灯(図示せず)が点灯する。
更に2WDターンは固い圃場などでは、旋回時のみ前輪61,61の2輪駆動となり、小回りがきいて旋回が素早くスムーズに行える。左右の前輪61,61の回転数は軸12のベベルギヤ(又は軸13でも良い)に設けられた前輪駆動軸回転センサ(前輪61,61の回転数検出手段)112a(図2、図4)により検出され、左右の後輪63,63の回転数は後輪軸11に設けられた後輪駆動軸回転センサ(後輪63,63の回転数検出手段)112b(図2、図4)により検出される。これらの駆動軸回転センサ112a、112bから検出されたセンサ値をもとにコントローラ100aによって前輪増速4WDソレノイド121や前輪等速4WDソレノイド122を作動制御して、前輪61,61の速度が変化する。
更に、水平シリンダ(図示せず)の手動上げ下げスイッチ186を手動で操作することにより、ロータリ耕耘装置などの3点リンク機構の水平シリンダを動かすことができる。そして、圃場の状態により、ロータリ耕耘装置の左右傾斜を調整する。また、手動上げ下げスイッチ186は、ロータリ耕耘装置などの作業機の脱着等に使用する。
また、PTO入り切りスイッチ187を押しながら右側に回すとPTOが入りになってロータリ耕耘装置が作動し、PTOが入り状態の時に押すと自動でPTOが切りに戻りロータリ耕耘装置が停止する。更に、PTO手動自動スイッチ188を左側に回すと手動になり、ロータリ耕耘装置の作動を手動で設定して操作する。この場合は、PTO入り切りスイッチ187により、PTO変速が入っているとロータリ耕耘装置が常時作動する。 また、PTO手動自動スイッチ188を右側に回すと自動になり、ロータリ耕耘装置の作動が自動で行われる。この場合、ロータリ耕耘装置を上昇させると自動でロータリ耕耘装置の回転が止まり、ロータリ耕耘装置を下降させると自動でロータリ耕耘装置の回転が再開する。
そして、PTO手動自動スイッチ188が手動側に設定されている場合は、PTO入り切りスイッチ187が入りの状態で、チェンジが入っていると(PTOチェンジレバー173が中立以外の時の状態をいう)常時PTO軸14が回転する。PTO手動自動スイッチ188が自動側に設定されている場合は、クラッチペダル119を踏んだり、ロータリ耕耘装置を上昇させることにより回転が止まる。この機能は、主に水田作業で利用する。
そして、デフロックスイッチ189は、シーソースイッチであり、操縦席16とは反対側を押すとデフロックとなり、もう一度押すとデフロックは解除される。なお、オペレータの腕などが不用意に当たることによる誤操作を防止するため、操縦席16側は押せない構成である。
そして、操縦席16右側のアームレスト部30には作業機の昇降位置をコントロールするための作業機ポジションレバー190が配置されており、作業機ポジションレバー190を後側に倒すと作業機は上昇し、前側に倒すと作業機は下降する。この作業機ポジションレバー190の操作角度をポテンショメータ(図示せず)により検出することでその検出値に応じて作業機は昇降する。
また、作業機昇降スイッチ191はシーソースイッチであり、後側をワンプッシュするとロータリ耕耘装置は最大位置まで上昇し、前側をワンプッシュすると作業機ポジションレバー190の設定位置まで下降する。最大位置とは、上げ調整ダイヤル183で調整した位置のことである。
更に、主変速操作手段としての主変速増減速スイッチ192a,192bは、主変速の変速段のシフトアップ(シフトダウン)用のスイッチであり、副変速レバー179によって操作された変速段(低速、中速、高速、路上走行速)を更に細かく手動で変速するためのものである。主変速増減速スイッチ192a,192bによって上述のように低速は更に8段(1速〜8速の主変速位置)、中速は更に8段(1速〜8速の主変速位置)、高速は更に8段(1速〜8速の主変速位置)、路上走行速は4段(通常、高速の5速〜8速の主変速位置)に変速が可能である。
主変速増速スイッチ192aは主変速の変速段(主変速位置)のシフトアップ用のスイッチであり、一回押すごとに変速段がシフトアップし、主変速減速スイッチ192bは、変速段のシフトダウン用のスイッチであり、一回押すごとに変速段がシフトダウンする。エンジン回転数に関係なく、手動操作されると操作された変速段に応じた速度に変速される。
また、これらスイッチの後方にはシガーライター194がある。そして、スイッチボックス180にある作業機上昇・下降モニターランプ195はロータリ耕耘装置などの作業機が上昇又は下降する際に点灯する。また、ATシフト作業感度ダイヤル196は、後述するATシフト作業スイッチ200が入りのときに作用する。
ATシフト作業スイッチ200を入りにすると、後述する自動変速(オートドライブ)が作用するが、ATシフト作業感度ダイヤル196は、この自動的に車速を増減速する自動変速の感度を変更するダイヤルであり、右側に回すと感度がアップし、左側に回すと感度がダウンする。なお、スイッチボックス180内のスイッチを操作しない場合は蓋211を閉じてスイッチボックス180内に埃などが入ることを防いでいる。
下げ速度ダイヤル197は、作業機下降速度を調整するダイヤルであって、右側に回すと速度が大きくなって作業機は速く降りる。したがって、重量が軽い作業機(例えば水田の代掻機など)などに好適である。一方、左側に回すと速度が小さくなって作業機は遅く降りる。この場合は重量が重い作業機(例えばスキ作業機)などに好適である。
そして、ブレーキ調整ダイヤル198を左側に回すとブレーキが弱くなり、右側に回すとブレーキが強くかかる。ブレーキ調整ダイヤル198は、後述するオートブレーキ入切スイッチ206が入りのときに作用する。
また、ATシフト路上スイッチ199を入りにすると、副変速レバー179を路上走行速に設定した路上走行のときにエンジン回転数に応じて副変速高速8段の上側4段のうちの適切な変速段に自動で変速する変速可能な自動変速(オートドライブ)機能がオンして自動変速制御となる。ATシフト路上スイッチ199が入りのときは主変速増減速スイッチ192a、192bを操作しても無効となり、アクセルペダル175の踏み込みのみで変速する。
なお、主変速増減速スイッチ192a、192bを手動操作するときは、ATシフト路上スイッチ199が切りのときである。副変速が路上走行速のときは、副変速高速の上側4段(5速〜8速)を使用するが、ATシフト路上スイッチ199が切りのときに主変速増減速スイッチ192a、192bを操作して、例えば、3速〜8速にして、その後、ATシフト路上スイッチ199を入り状態にすると、アクセルペダル175の操作のみで3速〜8速の間を自動変速する。
そして、ATシフト作業スイッチ200を入りにすると、メモリ100dには副変速レバー179のそれぞれの位置(低速、中速、高速)における使用時間が一番長い主変速位置(1速〜8速の8段の変速段)が記憶されているが、ATシフト作業スイッチ200を入りにして、副変速レバー179を変速操作(低速、中速、高速)すると、メモリ100dに記憶されている主変速位置に応じた速度に自動的に変速されるようになる。
副変速レバー179の位置が路上走行速である路上走行時に、ATシフト路上スイッチ199を入りにするとエンジン回転数に応じて自動で変速制御され、発進、停止時のクラッチペダル119の操作のみで走行中の変速操作は要しない。また、クラッチペダル119を踏んでいなくても、前後進切替レバー115が中立の場合は車体Tが停車した状態であり、前後進切替レバー115を操作してアクセルペダル175を踏み込んでいくと加速しながら自動変速される。そして、自動変速(オートドライブ)制御時には、アクセルペダル175の踏み込み量に応じたエンジン回転数に対応する車速になるように自動的に変速される。
すなわち、アクセルペダル175を踏み込んだ状態ではエンジン回転数が高回転数になり、現在の主変速位置(図2の主変速油圧クラッチVとハイロー変速クラッチWの8段変速のうちの現在の変速位置である。ただし、8速より上はないため、8速は除く)では加速しても車速を上げることができない場合は、コントローラ100aにより現在の変速位置に対してシフトアップする。ブレーキを踏んで減速するときには、アクセルペダル175は踏んでいないので、車速に対応した変速位置に自動変速する。
そして、接続感度変速スイッチ201を押すと入り、再び押すと切りになり、接続感度変速スイッチ201を入り切りすることで、主変速油圧クラッチVにより主変速を変速したときの接続フィーリングを変更できる。例えば、接続感度変速スイッチ201を入りにするとランプ201aが点灯して緩やかな変速をし、切りにするとランプ201aが消灯して急接続(クラッチの早めの接続)をする。プラウなどを後部に装着する牽引系の作業で接続感度変速スイッチ201を使用して切りにすると、主変速油圧クラッチVによる主変速の変速操作時に主変速油圧クラッチVの接続時間が短くなる。
更に、接続感度PTOスイッチ202はPTOクラッチZのつながり方の変更ができる。接続感度PTOスイッチ202を押すたびに、ロータリ、牧草1、牧草2の順で点灯する。接続感度PTOスイッチ202をロータリにすると、PTOクラッチZのつながり方が速くなる。主にロータリ耕耘装置などの作業機で使用する。PTO軸14が回転し始めると、すぐに圃場の土の抵抗に負けない回転力で回る。
また、接続感度PTOスイッチ202を牧草1あるいは牧草2にすると、PTOクラッチZのつながりが緩やかになる。牧草1と牧草2で2種類の変速が可能である。主に牧草作業機やスノーブロワーなどPTOクラッチZの接続をゆっくり行う作業機で使用する。接続感度PTOスイッチ202をロータリにした場合と同様にPTO軸14で使用する。
水平感度スイッチ203は、作業機の自動水平制御装置の動作感度を切り換えるためのスイッチであり、水平感度スイッチ203を押すと、動作感度が鈍くなって自動水平制御の動きが遅くなる。そして、再び水平感度スイッチ203を押すと動作感度が元に戻る。そして、バックアップ入切スイッチ204を入りにすると、トラクタの後進時にロータリ耕耘装置が自動で上昇する。
また、オートリフト入切スイッチ205を入りにしてステアリングハンドル73を回すと、自動でロータリ耕耘装置が上昇する。更にオートブレーキ入切スイッチ206を入りにしてステアリングハンドル73を回すと、自動で旋回内側の後輪63のみにブレーキがかかる。そして、水平切換スイッチ207により、ロータリ耕耘装置などの作業機の水平制御を行うことができる。水平切換スイッチ207を押すと、自動水平、手動、平行、傾斜の順にランプが点灯する。自動水平では、水平センサ(図示せず)により、自動的に水平を保持する。手動の場合は、傾き調整ダイヤル184で手動調整する。平行では、トラクタ車体Tに対して、ロータリ耕耘装置を常に平行に保つ。そして、傾斜では、地面に対してロータリ耕耘装置をある一定の角度をもたせるように制御する。
3点切換スイッチ208は、リフトシリンダ(図示せず)の取り付け穴の選択によって、スイッチボックス180の3点切換スイッチ208の選択を行う。カテゴリ1の作業機(ロワーリンクの前穴に付けるとき)は1を選択し、カテゴリ2の作業機(ロワーリンクの後穴に付けるとき)は2を選択する。そして、オートアクセルスイッチ209は、入りにした状態でロータリ耕耘装置を上昇すると、エンジン回転数が1700rpm程度まで低下する。
一部図4には図示していないが、これらのスイッチ、ダイヤルなどの操作情報は、図示しない各種センサからコントローラ100a、100b、100cなどに入力される。
そして、上述のように、4WD・2WD切換スイッチ185が前輪増速駆動状態自動切換モードであるフルターンのときは4WDにおいて旋回時に前輪61,61の速度が増速され、小回りがきいて素早い旋回となる。すなわち、直進走行時には、後輪63,63と前輪61,61の回転周速度が略同速(標準4輪駆動状態)であるが、旋回時にはステアリングハンドル73の操作に連動して前輪切れ角センサ(操舵角度検出手段)116から得られる検出値(センサ値)に基づいて前輪61,61の回転周速度が後輪63,63の回転周速度よりも2倍程度速くなる前輪増速状態(前輪増速4輪駆動状態)にコントローラ100a内の自動切換機能部100eによって自動的に切り換えられる。
本実施形態によれば、コントローラ100aのメモリ100dには、前輪61,61と後輪63,63が等速状態である場合(標準4輪駆動状態)の直進時のステアリングハンドル73の中立位置のセンサ値Aと前輪61,61が増速される場合(前輪増速4輪駆動状態)の旋回時のステアリングハンドル73の中立位置のセンサ値Bとの二つの異なるセンサ値A,Bが記憶可能であることを特徴としている。センサ値Aは前輪切れ角センサ116から得られる検出値に基づく値であり、センサ値Bはセンサ値A及びステアリングハンドル73の旋回時の前輪増速4輪駆動状態となる旋回角度に基づいて設定される設定値とする。
すなわち、前輪61,61の回転周速度が後輪63,63の回転周速度よりも2倍程度速くなる前輪増速4輪駆動状態に切り換わる旋回時(フルターン時又はフルターン作動時ともいう)の中立位置の設定値(中立位置基準値)Bと前輪等速である直進時の中立位置の検出値(中立位置基準値)Aが異なる値であってもよい。
従来は、左右均等のステアリングハンドル73の切れ角でフルターン(前輪61,61の増速)を作動させるために、ステアリングハンドル73の中立位置基準値を前輪61,61の本来の直進時の中立位置基準値よりも右(又は左)にずらして設定する場合があり、一つしかない中立位置基準値が本来の中立位置基準値よりもずれていた。そして、その場合に、作業車両が直進状態にもかかわらずコントローラ100aは直進状態と認識できず、ステアリングハンドル73を少し回した状態でないと直進と認識できなくなるので、この点が問題であった。
例えば、前輪切れ角センサ116としてのボール・ナット式ステアリング機構において、トラクタを走行、使用しているうちに、ステアリング・ホイールの回転をギヤなどを介してリレーロッド/タイロッドまたはドラッグリンクに伝えるピットマンアームの傾斜角度がずれてくることがある。
このようにピットマンアームの傾斜角度がずれてくると、ステアリングハンドル73の操作により、右に旋回するときと左に旋回するときの前輪増速4輪駆動状態に切り換わる旋回角度が異なってくる。例えば、左に100度旋回させると前輪増速4輪駆動状態に切り換わるが、右に旋回するときには右に110度旋回させないと前輪増速4輪駆動状態に切り換わらないという現象が起きるため、補正する必要が生じる。
中立位置基準値が「512」(センサ値)の場合、例えば、ステアリングハンドル73を右側に一定回転(例えば1.0回転、360度回す)操作したときにフルターン作動し、ステアリングハンドル73を左側に一定回転(例えば1.0回転、360度回す)操作したときにフルターン作動するものとしたとき(設計上)、上記のように右側のフルターン作動時の旋回角度が1.5回転となって、ステアリングハンドル73を1.5回転操作しないとフルターン作動しないような場合に、左右でフルターン作動時のステアリングハンドル73の旋回量(旋回角度)が変わってくるため(右側を余計に回す必要がある)、オペレータは違和感を感じてしまう。したがって、このような問題を解消する必要が生じる。
そこで、特定のスイッチ等の操作によって設定モードが起動し、該設定モードに入ると、左右同様のステアリングハンドル73の旋回角度(操作角度)となるように、直進時の中立位置基準値A(直進基準値Aという場合がある)とは別にフルターン時の中立位置基準値B(フルターン基準値Bという場合がある)及び左右のフルターンの実際の作動位置(センサ値をそれぞれF1,F2とする)を手動で修正して更新記憶させる。
例えば、ステアリングハンドル73を左側に1.0回転させると、フルターン作動し、その時のセンサ値F2は「512−30」であるとする。そして、右側については、ステアリングハンドル73を1.5回転させたときに「512+30」のセンサ値になり、フルターン作動するものとする。すなわち、右側については、前輪切れ角センサ116のリンク機構のズレや経年変化のガタ等のために、ステアリングハンドル73を1.5回転させないと、フルターンが作動しない場合である。
そこで、左右同様のステアリングハンドル73の旋回角度(左右に1.25回転ずつ)となるように、中立位置基準値「512」を左側にずらして(例えば「5」)、フルターン時の中立位置基準値B(センサ値「507」)を直進時の中立位置基準値Aとは別に設定する。このときの左右のフルターンの作動位置(F1,F2)は、F1=512−5−30(=477)となり、F2=512−5+30(=537)となる。
そして、このように中立位置基準値Aとは別に設定されたフルターン時の中立位置基準値Bと、同じく新たに設定されたフルターンの作動位置(センサ値F1,F2)がコントローラ100aのメモリ100dに記憶される。
本構成を採用することにより、直進時の中立位置基準値Aとフルターン時の中立位置基準値Bを異なる値として、それぞれの中立位置基準値をメモリ100dに記憶可能とすることで(上記の例では、直進時の中立位置基準値Aが「512」、フルターン時の中立位置基準値Bが「507」となる)、フルターン時と直進時の中立位置基準値がそれぞれ明確になる。
したがって、直進時の真の中立位置基準値Aは変更されないので、本来の直進時の中立位置基準値Aを保持でき、トラクタが実際に直進しているにもかかわらず、コントローラ100aが直進状態を認識できないという不具合を防止できるようになる。もし、直進時の真の中立位置基準値Aがフルターン時の中立位置基準値Bに変更されるとコントローラ100aに直進状態と認識させるためには、ステアリングハンドル73を中立位置基準値Bの位置まで回す必要が生じるため、オペレータは違和感を感じてしまうが、そのような問題が生じない。
例えば、トラクタの停車中にステアリングハンドル73の直進時の中立位置基準値Aを調整するための直進時の基準値調整モードにして、その後トラクタを直進で少し走行させて、このときのステアリングハンドル73の位置の前輪切れ角センサ116のセンサ値を中立位置基準値Aとし、メモリ100dに記憶させる。
一方、フルターン時の中立位置基準値Bは、初期段階では中立位置基準値Aと同様であるが、その後調整される。このフルターン時の基準値調整モードでは、トラクタが停車した状態で実際にステアリングハンドル73を回し、このときフルターンが作動するステアリングハンドル73の旋回角度に対応するセンサ値F1,F2(油圧駆動開始の位置)を見る。オペレータが左右のフルターン作動時のステアリングハンドル73の旋回角度が同じであると判断した場合はフルターン時の中立位置基準値Bの調整は不要である。
左右のフルターン作動時のステアリングハンドル73の旋回角度が異なると判断した場合は、ステアリングハンドル73の旋回角度が左右で同じとなるように、フルターン時の中立位置基準値B及びフルターン作動センサ値F1,F2を調整する。
これにより、トラクタを操作するオペレータの違和感が解消される。そして、このとき、中立基準値Bが新たに発生し、調整2回目以降では、中立基準値Bの値が更新される。
そして、コントローラ100aは、前輪切れ角センサ116からのセンサ検出値が「検出値=中立位置基準値A±α」で直進範囲と判断する。なお、αはハンドルの遊びである。そして、トラクタが直進状態であるとコントローラ100aにより判断され、前輪切れ角センサ116からのセンサ検出値が「検出値=F1(又はF2)±β」でフルターン作動時であると判断される。この「F1(又はF2)±β」はフルターンが作動する範囲(フルターン作動範囲)であり、βで少し幅を持たせている。例えば、右側に旋回する場合はF1−βでフルターン作動し、F1+βでフルターンを中止する。
図9には、直進基準値A及びフルターン基準値Bをコントローラ100に記憶させるための手順を示す。また、図10には次の(1)〜(3)を示している。
(1)ステアリングハンドル73の旋回量(回転量)
(2)それに対応する前輪切れ角センサ116のセンサ値との関係
(3)旋回時(フルターン作動時)の中立位置基準値Bの変更例
なお、図9では、YesとNoに進むときの判断が人間の判断であるステップには分かりやすいように「*」を付している。
まず、エンジンをかけるとコントローラ100a〜100cにより各センサ、スイッチ類の読み込みが行われ、特定のスイッチ等の操作によって調整モードにする。この調整モードは、後述する「直進時の基準時調整モード」、「フルターン基準値調整モード」、「フルターン補正値調整モード」などの調整用のモードが全て含まれる概念で、これらのモードの総称である。
ステップAにおいて、前輪61,61と後輪63,63が等速状態である直進時の場合(標準4輪駆動状態)の中立位置基準値を調整するための基準値調整モードに入っているか否かを判定する。この判定は、ステップAで特定のスイッチを押すか、実際にトラクタを走行させることで行われ、直進時の基準値調整モードへと移行する。または、フルターンの作動スイッチ(4WD・2WD切換スイッチ185によりフルターンに設定されていることを検出するスイッチ)が切りの時に直進時の基準値調整モードへと移行する。
ステップAにおいて、直進時の基準値調整モードに入っていると判断される場合はYesに進み、次いでステップEへと進む。ステップEにおいては、トラクタを直進で少し走行させて、このときのステアリングハンドル73の位置の前輪切れ角センサ116のセンサ値を中立位置基準値Aとする。この値Aは、ハンドルのリンク機構のずれにより 初期設定値(上記の例では「512」)からずれることもある。
トラクタを直進で少し走行させたときに明らかに直進でない場合はYesには進まないが、オペレータが直進と判断した場合はYesに進む。仮に、この直進時の中立位置基準値Aの調整後、納得がいかない場合は、再び調整する。故障などによりリンク機構の大きなずれが発生すると問題外であるが、通常、オペレータが直進と判断するのは前記「中立位置基準値A±α」の範囲内となる。ここでは、このようにトラクタが直進状態か否かを簡易的に判断する。
例えば、トラクタを直進で少し走行させたときに前輪切れ角センサ116のセンサ値が「514」であれば、この「514」が中立位置基準値Aとなる。なお、直進で少し走行させるとは、実際に直進となるように走るもので、この判断はオペレータ(人間)が行う。
このステップEにおいて、オペレータによってステアリングハンドル73の位置が前輪61,61の直進位置に設定されていると判断される場合はYesに進み、現在の前輪切れ角センサ116から検出されるセンサ値を直進時の中立位置基準値(直進基準値)Aとしてメモリ100dに記憶させる。調整用の外部機器(マイコンチェッカなど)を接続した場合は、設定スイッチを入りにし、また、外部機器を接続しない場合は、トラクタの特定のスイッチ(何でもよい)を利用する。調整モード中であるため、直進走行後に停車してそのハンドル位置を変えないことが条件である。
工場出荷時は初期設定基準値(初期設定値ともいう)として直進基準値がメモリ100dに記憶されており、初期の段階では、この初期設定基準値が直進基準値Aとなる。
一方、ステップAにおいて、直進時の基準値調整モードに入っていないと判断される場合(例えば、フルターンの作動スイッチ(図示せず)が入り)はNoに進み、次いでステップBへと進む。
そして、ステップBにおいて、前輪61,61が増速されるフルターン時(前輪増速4輪駆動状態、)の中立位置基準値を調整するためのフルターン基準値調整モードに入っているか否かを判定する。この判定は、フルターン作動スイッチが入り状態であることで行われ、当然ステップAの前段である「コントローラによる各センサ、スイッチ類の読み込み」で調整モードになっていることが条件である。
ステップBにおいて、適宜設定した既存の複数のスイッチを同時に操作したときはフルターン基準値調整モードに入っていると判断されてYesに進み、メモリ100dに記憶されているフルターン時の中立位置基準値(フルターン基準値という)Bがコントローラ100aによって読み込まれる。なお、ステップBにおいて、設定された通りの操作をしない場合は無効となる。
初期のフルターン基準値Bは、工場出荷時の初期設定値としてメモリ100dに記憶されている初期設定基準値であるため、初期段階ではフルターン時の中立位置基準値Bは初期設定値の中立位置基準値Aと同じ(例えば、「512」)である。調整2回目以降は修正された値Bとなる。
図10の(1)はステアリングハンドル73の左右のハンドル回転(旋回量)を示しており、「1.0」は、360度回転を示す。そして、(2)は前輪切れ角センサ116のセンサ値を示している。フルターンが作動するセンサ値幅は、フルターン基準値B(初期設定値は中立位置基準値A)から「−30」と「+30」であるとし、この値は変わらないものとする。すなわち、フルターンが作動するセンサ値の幅は「60」で固定である。
そして、ステップCにおいて、トラクタの停車中に実際に左右方向へステアリングハンドル73を回して、フルターンが作動するハンドル回転を比較する。このフルターン作動の判断は油圧が起動した音で判断するが、油圧が起動したことをモニターや音声で報知するようにしてもよい。このときに左右同回転でフルターンが作動する場合はフローをリターンする。この判断は人間(オペレータ)の感覚によるものであるが、ステアリングハンドル73のハンドル軸にセンサを設けてハンドル旋回量を測定しても良い。ステップCにおいて、ステアリングハンドル73操作が左右同回転(同旋回角度)でフルターンが作動しないとオペレータが判断した場合は、ステップDに進む。
例えば、ステアリングハンドル73を左側に1.0回転させると、フルターン作動し、その時のセンサ値F2は「512−30(P)」であるとする。そして、右側については、ステアリングハンドル73を1.5回転させないと「512+30(Q)」のセンサ値にならない場合を想定する。すなわち、右側については、前輪切れ角センサ116のリンク機構のズレや経年変化のガタ等のために、ステアリングハンドル73を1.5回転させないと(ステップDの右>左の状況を指す)、センサ値F1が「512+30」のところに到達しない状況である((2)のQ)。
そこで、左右同様のステアリングハンドル73の旋回角度(左右に1.25回転ずつ)となるように、(3)のように、電気的に基準値をAからBに移動させて(センサ値の変化量x、例えば「5」とする)、フルターン基準値Bを左寄りに記憶させる。これにより、右側のフルターン時のセンサ値F1はQからQ1へ移動し、左側のフルターン時のセンサ値F2はPからP1へ移動する。そして、これら新たに設定されたフルターン基準値B、フルターン作動時のセンサ値F1,F2をコントローラ100aのメモリ100dに記憶させる。
このセンサ値の変化量xは、オペレータの経験に基づく値であり、例えば左右のステアリングハンドル73の操作角度が0.5回転違う場合は、経験的にセンサ値を「10」程度、変更する。そして、この値xは、機種や同じ機種であっても使用状態によって異なる。これにより、右側のフルターン時のセンサ値F1はQからQ1へ移動し、左側のフルターン時のセンサ値F2はPからP1へ移動する。このような修正操作は運転者の判断で行うものであるので、修正後実際に走行しながらフルターンを作動させてみて、納得がいかない場合は再び修正を行う。このような修正を繰り返すことでフルターン基準値Bの精度が向上する。
元々のフルターン基準値Bは直進基準値Aであるが、この値がずれてくるため、上記のように修正する。フルターン基準値をAからBに電気的に移動させたり、左右のフルターン作動位置F1,F2を変更する(コントローラ100aのメモリ100dに記憶させる)には、外部入力装置等や機体側のダイヤル等によりオペレータが手動で行う。
また、このようにフルターン基準値Bを図10に示すAからBに移動させるには、自動ではなく人間の感覚に頼ることになる。したがって、自動修正は行われない。
そして、再記憶されたフルターン基準値Bを基準にして左右のハンドル回転がほぼ左右同じ回転でフルターンが作動すれば良く、この判断も人間の感覚による。
図10の場合は、フルターン時の中立位置基準値Bは「507(512−5=507)」となり、フルターン基準値B「507」から「−30」位置(P1)がフルターン作動位置F2「477」となり、左側フルターンが作動し、フルターン基準値B「507」から「+30」位置(Q1)がフルターン作動位置F1「537」となり、右側のフルターンが作動する。このP1とQ1のセンサ値(F1,F2)を検出するまでに、左右のハンドル回転がほぼ同じであれば問題がない。
従来はこのフルターン基準値Bを直進時の中立基準値として使用していたので問題があった。そして、トラクタの直進時には、メモリ100dに記憶された直進時の中立位置基準値(直進基準値)Aを基準として前輪切れ角センサ116から検出されるセンサ値(検出値)が「検出値=A(例えば「512」)±α=直進範囲」の時にトラクタが直進状態であるとコントローラ100aにより判断される。
また、トラクタの旋回時には、前輪切れ角センサ116から検出されるセンサ値(検出値)がフルターン作動位置F1,F2にくるとフルターン作動する。
このように、直進時の中立位置基準値Aとフルターン基準値B、フルターン時の位置F1,F2をそれぞれ設定し、それぞれ中立位置基準値A、フルターン基準値B、フルターン時の位置F1,F2を調整、記憶更新できるようにすることで、前輪増速4輪駆動状態に切り換わるステアリングハンドル73の左右の旋回角度の調整を精度良く行うことができる。
そしてこのフルターン基準値Bと直進基準値Aとの差C(図10のxに対応)をメモリ100dに記憶するようにしても良い。
この差Cをメモリ100dに記憶しておくことで、例えば、前輪切れ角センサ116を交換した場合でも、ステアリングハンドル73の直進状態のみを調整して新たな直進基準値Aを記憶すれば、差Cを加味してフルターン基準値Bは求まる。そして、フルターン基準値Bからフルターン作動位置F1,F2も決まる。
本構成を採用することにより、フルターン基準値Bと直進基準値Aをそれぞれ調整する場合に、直進基準値Aは前輪切れ角センサ116から得られる実際のセンサ値とし、フルターン基準値Bは直進時の直進基準値Aからの一定の差分とする。したがって、フルターン時と直進時の中立位置基準値をそれぞれ調整する場合に、直進基準値Aのみ調整することで、フルターン基準値Bは直進基準値からの一定の差分C(フルターン補正値という)であることから容易に調整できる。
例えば、前輪切れ角センサ116を交換した場合でも、直進基準値Aのみ再調整すれば、直進基準値Aからフルターン補正値Cを加味して、容易にフルターン基準値Bも調整できるため、わざわざフルターン基準値Bを直進基準値Aとは別に調整する手間が省けて簡便であり、トラクタを操縦するオペレータの負担も軽減する。
図11には、前記直進基準値Aからの一定の差分であるフルターン補正値Cを調整するための手順を示す。図11でも、YesとNoに進むときの判断が人間の判断であるステップには分かりやすいように「*」を付している。
まず、コントローラ100a〜100cにより各センサ、スイッチ類の読み込みが行われ、図9の場合と同様に特定のスイッチ等の操作によって調整モードにする。フルターン補正値Cの調整は通常オペレータは行わず、保守点検者によって特定のスイッチを複数個同時に押したり、外部機器を接続することでステップFに進み、ステップFの判定が行われる。
次にメモリ100dに記憶されている直進基準値Aとフルターン補正値C(初期段階では初期設定値)の読み込みが行われる。フルターン補正値Cは、フルターン基準値Bと直進基準値Aとの差である。
次に、ステップCでは、トラクタが停車している状態でオペレータがステアリングハンドル73を左右方向に操作する。そして、ステアリングハンドル73が左右同じ旋回角度でフルターンが作動する(油圧駆動開始)とオペレータが判断すれば、リターンする。そして、ステアリングハンドル73操作が左右同回転(同旋回角度)でフルターンが作動しないとオペレータが判断した場合は、ステップDに進む。ステップDにおいては、ステアリングハンドル73の左右のフルターン作動時の旋回角度の比較を行ない(人間(オペレータ)の感覚による)、フルターン補正値Cを補正して図9の場合と同様にメモリ100dに記憶させる。
例えば、読み込んだ直進基準値Aが「512」でフルターン補正値Cが「−5」の場合は、フルターン基準値Bが「512−5=507」となる。このときに、ステアリングハンドル73を左側に1.25回転させると、フルターン作動し、その時のセンサ値F2はP1(例えば「477」)(図10)であるが、右側については、ステアリングハンドル73を1.3回転させないとQ1(例えば「537」)(図10)のセンサ値にならない場合を想定する。
そこで、図10に示した(3)のように、ステアリングハンドル73の旋回角度が左右で同角度(1.275回転)でフルターン作動するように、電気的にフルターン補正値Cを補正して、左寄りに記憶させる。フルターン補正値Cが「−5」の場合は、例えばフルターン補正値Cの変化量x1を「−1」としてフルターン補正値Cを「−6(−5−1=−6)」として再記憶させる。このセンサ値の変化量x1は上述のようにオペレータの経験に基づく値である。そして、このようにフルターン基準値Bと直進基準値Aの差であるフルターン補正値Cを修正できるようにすれば、センサ値の精度が向上する。
一方、フルターン作動位置(F1,F2)を、フルターン基準値B(上記AとCから求まる)を作動比により調整した値とし、ステアリングハンドル73を左右に回すことで切れ角センサ116から検出されるセンサ値が(直進基準値A+フルターン補正値C)を作動比により調整した値となった場合にフルターン作動する構成でも良い。
そして、この作動比の設定、変更は、手動で行う。左右にステアリングハンドル73を操作してみて、オペレータ(人間)の感覚でステアリングハンドル73が左右同じ位置(同旋回角度)でフルターンが作動すれば作動比を変更する必要はない。フルターンの作動は油圧の起動の音で分かるが、ランプ(図示せず)などを操縦席16の周辺に設けて点灯するようにしてもよい。
このときに、ステアリングハンドル73の旋回量(旋回角度)が左右均等にフルターン作動していないとオペレータ(人間)の感覚で判断した場合は、マイコンチェッカ(外部入力装置)(図示せず)で作動比を変更する。この作業を繰り返すことで、ステアリングハンドル73の旋回量が左右均等となるように修正する。
例えば、走行中(停車中に行ってもよい)において、ステアリングハンドル73を左に0.8回転回したところで左側のフルターンが作動(油圧のみ起動し、音で判断できる。また、外部入力装置に油圧起動を表示してもよい)するものとする。このフルターン作動の判断は、センサ値で見てもよいし、人間の感覚でおおよそ0.8回転と判断してもよい。センサ値で見る場合は、センサ値を表示部215や外部入力装置に表示する。
そして、ステアリングハンドル73を右側に1.2回転回したところで右側のフルターンが作動するとする。右側も0.8回転のところでフルターンを作動させたい場合は、ステアリングハンドル73操作は1.2×(0.8/1.2)回転となって、この(0.8/1.2)が作動比となり、外部入力装置で入力する。そして、ステアリングハンドル73の右側の回転を左側の0.8回転と合わせるようにする。
例えば、フルターン基準値Bが「512」の場合、作動比は(0.8/1.2)であるため、右側を0.8回転のところでフルターン作動させるには、「512+(30×0.8/1.2)=532」として、センサ値「532」でフルターンさせることで右側も0.8回転でフルターン作動するようになる。なお、この「30」は、前述のフルターンが作動するセンサ値幅を分かりやすいように同じ値「30」としたものであるが、本実施形態は図9や図11に示した内容とは異なるものである。
そして、左側はセンサ値「482(512−30)」でフルターンが作動する。したがって、左右のセンサ値幅は、この例では右側が「20(532−512)」となり、左側は「30(512−482)」となって、異なる値となる。
また、左側が0.9回転のところでフルターン作動する場合に0.8回転でフルターン作動させたいときは、(0.8/0.9)が作動比となり、「512−30×(0.8/0.9)」のセンサ値でフルターンが作動する。ただし、0.8回転と0.9回転とでは0.1回転しか違わないため、オペレータが修正する必要がないと判断すれば、修正されない。
そして、この構成は、前記図9や図11に示した内容とは異なるものであり、手動でのフルターン作動位置の修正となる。また、簡易型のものである。基本的には、前記図9や図11の手順に基づいて修正すればよい。
そして、このように設定、変更された作動比に基づいてフルターンが作動する。
図12には、図1のトラクタのコントローラによるフルターンが作動するときの制御例のフローを示している。なお、このフローでは、人間の判断となるステップはなく、コントローラにより自動的に行われる。
まず、コントローラ100a〜100cにより各センサ、スイッチ類の読み込みが行われ、図9と同様に特定のスイッチ等の操作によって調整モードにする。なお、調整モードは停車中に行われる。そして、ステップGに進み、4WD・2WD切換スイッチ185がフルターンであること、すなわちフルターン作動モードであることを確認すると、ステップHへ進む。
ステップHにおいて、走行中(又は停車中)にステアリングハンドル73を回すことで、ステアリングハンドル73(前輪61,61)の操舵角度を前輪切れ角センサ116により検出し、例えば右側にステアリングハンドル73を回した場合には、センサ値が「(直進基準値A+フルターン補正値C)+(センサ値幅)×作動比」の値以上である場合はフルターンが作動する。すなわち、右側フルターンの場合、「切れ角≧(A+C)+(センサ値幅)×作動比」の時、左側フルターンの場合、「切れ角≦(A+C)−(センサ値幅)×作動比」の時にフルターンが作動する。
左右にステアリングハンドル73を操作してみて、オペレータ(人間)の感覚でステアリングハンドル73が左右同じ位置(左右均等の旋回角度)でフルターンが作動すれば良い。フルターンの作動は油圧装置の起動の音で分かるが、ランプ(図示せず)などを操縦席16の周辺に設けて点灯するようにしてもよい。
このときに、左右が同じ位置でフルターンが作動していないとオペレータが判断した場合は、マイコンチェッカ(入力装置)で上述のように作動比を変更する。この作業を繰り返すことで、左右のステアリングハンドル73の旋回量が同じ(左右均等)となるように修正する。
このように、フルターンが作動するときの右側フルターン作動時と左側フルターン作動時の前輪61,61の操舵角度(前輪切れ角センサ116のセンサ値)を、フルターン基準値Bからの相対比とすることで、このようなリンク機構のずれ、がたつき等を吸収することができる。また、トレッド(車輪61,61の幅)を変更して短くした場合にも対応可能となる。
上述のように、オートリフト入切スイッチ205を入りにしてステアリングハンドル73を回すと、自動でロータリ耕耘装置などの作業機が上昇する。
そして、ステアリングハンドル73を直進時の中立位置とすることで、作業車両が直進状態を認識し、すなわち、前輪切れ角センサ116からのセンサ検出値が「検出値=中立位置基準値A±α」で直進範囲と判断する。そして、「検出値>中立位置基準値A±α」となると、制御装置100aにより直進状態ではないと判断し、更にステアリングハンドル73を回すことで、ロータリ耕耘装置などの作業機が自動的に上昇する(オートリフトという)。前輪切れ角センサ116からの「検出値>中立位置基準値A±γ1」となったときにこのオートリフトが作動して、「検出値>中立位置基準値A±γ2」となったときに停止する。
そして、更にステアリングハンドル73を回すことで、フルターンが作動する。すなわち、ステアリングハンドル73を回すことで、順次直進状態からオートリフトの実行、フルターンの実行と制御装置100aにより処理が行われる。
そして、図12に示した作動比を変更するにあたって、ステアリングハンドル73が直進位置に近いほど、上記直進状態、オートリフトの実行、フルターンの実行時の作動範囲(センサ値の範囲)の比率を1に近づけるようにする。
例えば、(a)トラクタが直進状態を認識するときのステアリングハンドル73の回転は、中立基準値A±0.25回転以内とし、(b)オートリフトが作動するときのステアリングハンドル73の回転は、中立基準値A±0.5〜±1.0回転とし、(c)フルターンが作動するときのステアリングハンドル73の回転は、中立基準値B±1.25回転以上とする。
そして、図12の作動比を1.2とした場合、(c)の1.25回転は、そのまま1.25×1.2回転とするが、(a)及び(b)は、作動比を1.1として、1.2よりも1に近い値とする。すなわち、(a)の0.25回転は0.25×1.1回転となり、(b)の0.5〜1.0回転は0.5×1.1〜1.0×1.1回転となる。
また、図12の作動比を0.9とした場合は、(c)の1.25回転は、そのまま1.25×0.9回転とするが、(a)及び(b)は、作動比を0.95として、0.9よりも1に近い値とする。すなわち、(a)の0.25回転は0.25×1.1回転となり、(b)の0.5〜1.0回転は0.5×1.1〜1.0×1.1回転となる。
前記(c)フルターンの実行時の作動範囲よりも(b)オートリフトの実行範囲、又は(b)オートリフトの実行範囲よりも(a)直進状態を認識範囲の方が元々のセンサ値の範囲(幅)が狭いため、(a)の修正範囲を小さくするというものである。狭い範囲の(a)が大きく変更されてしまうのを防止する。
また、上述のように、メモリ100dには副変速レバー179のそれぞれの位置(低速、中速、高速)における使用時間が一番長い主変速位置(1速〜8速の8段の変速段)が記憶されており、ATシフト作業スイッチ200を入りにして、副変速レバー179を変速操作(低速、中速、高速)すると、メモリ100dに記憶されている主変速位置(使用時間が一番長い主変速位置)に応じた速度に自動的に変速されるようになる。従来のトラクタでは、ATシフト作業スイッチ200が切りのときでも、副変速レバー179の各副変速位置に対する主変速位置の使用時間が計測されている。
しかし、ATシフト作業スイッチ200が切りのときは、自動変速(オートドライブ)が作用しないため、副変速レバー179を変速操作後、主変速増減速スイッチ192a、192bを手動操作して(副変速レバー179の操作は主変速増減速スイッチ192a、192bの操作後でも良い)、主変速位置を設定する。
主変速増減速スイッチ192a、192bを手動操作する場合は、オペレータの意思で主変速位置を決めたい場合であり、通常の作業とは圃場の状態、作業条件が異なるとか、オペレータ独自の感覚で作業をしたいとか、何らかの理由がある場合が多い。
このような通常とは異なる条件で作業を行う場合の主変速位置を使用時間として計測すると、本来のATシフト作業スイッチ200を入りにした時の標準的な作業を行う場合に、適切な主変速位置とならないことがある。
そこで、ATシフト作業スイッチ200が切りのときには、そのときの主変速位置の使用時間を計測しないようにすると良い。
本構成を採用することにより、ATシフト作業スイッチ200が切りのときには使用時間として計測しないようにすることで、ATシフト作業スイッチ200が入り時の使用時間を正確に把握でき、ATシフト作業スイッチ200を入りにしたときの副変速レバー179の各変速操作位置に対応する最適な主変速位置に応じた速度に自動的に変速されるようになる。したがって、作業効率が向上すると共に、トラクタの操作性に優れる。
また、ATシフト作業スイッチ200が切りのときであってもオペレータが使用時間に含めたいと思った場合は、容易に変更できるようにすると良い。標準的な作業を行なう場合であっても、ATシフト作業スイッチ200を切りにすることがある。圃場の条件は様々であり、オペレータの走行操作の好みも様々だからである。
例えば、ATシフト作業スイッチ200が切りのときは使用時間として計測されないという機能を入り切りするスイッチ(図示せず)を設けても良い。オペレータが使用時間に含めたいと思った場合は、このスイッチを切りにすることで、使用時間として計測される。又はATシフト作業スイッチ200が切りの時でも使用時間として計測されるという機能を入り切りするスイッチ(図示せず)でも良い。この場合はこのスイッチを入りにすることで、ATシフト作業スイッチ200が切りのときでも使用時間として計測される。
このように、ATシフト作業スイッチ200が切りのときでも、適宜その条件に応じて使用時間に含めたり、使用時間に含めなかったりすることができ、種々の使い方が可能となる。
ところで、メータパネル213の表示部215には、エンジン回転センサ165により検出されるエンジン回転数(rpm)を表示するメーター部216を設けている。また、メーター部216には、エンジン回転数の他にロータリ耕耘装置などの作業機の牽引力や耕耘の深さ、車速なども表示されるようにする。牽引力や耕耘の深さ、車速などは、ぞれぞれ図示しないセンサから信号がコントローラ100a、100cなどに入力される。
なお、エンジン回転数は0〜25×100(rpm)で表示され、牽引力や耕耘の深さ、車速などは所定値(上限値)を100%として、その相対値として0〜100の%表示で簡易的に表される。
図13には、図1のトラクタの表示部215の表示例を示す。図13(a)は、エンジン回転数(rpm)の表示例を示し、図13(b)は牽引力の表示例を示している。
通常、メーター部216のメータ針217はエンジン回転数を表示するが、切換スイッチ220を押すと、各切換スイッチ220a〜220dの入り切りを検出するセンサの信号がコントローラ100aに入力されて、メータ針217の表示内容を変更することができる。表示部215の液晶表示器222の下には、牽引力切換スイッチ220a、耕耘の深さ切換スイッチ220b、エンジン回転数切換スイッチ220c、車速切換スイッチ220dなどの表示切換スイッチ220が設けられ、各スイッチ220a〜220dの操作により、それぞれの内容に応じた数値が表示される。
例えば、メーター部216にエンジン回転数が表示されているときに、牽引力切換スイッチ220aを押すと、エンジン回転数から牽引力表示に切り換わり、表示部215の液晶表示器222の表示が「エンジン回転表示」から「牽引力表示」に切り換わる。この液晶表示器222の切り換えは、メータ針217の表示が牽引力の表示であることをオペレータに知らせるためである。
なお、牽引力表示は0〜100%の間での表示となり、100%とはトラクタの牽引能力の限界値を指している。限界値を超えて牽引すると、エンジンストールを起こす。また、0%とは、なにも牽引していない状態を指し、例えば、路上走行でも牽引負荷はゼロとなる。ただし、路上走行でもトレーラなどを牽引すると牽引負荷は上昇する。圃場内でも、作業機を上昇させて走行すると牽引負荷はゼロである。
また、耕耘の深さとは耕耘していない状態から最大耕耘深さまでの指標(0〜100)であり、車速は、例えば路上走行の法定速度を時速30kmとすれば、100%は時速30kmとなり、0%は時速0kmとなる。
図13には、3つのメータ針217a、217b、217cが図示されているが、実際は、メータ針217は1つであり、メータ針217が動いているイメージを示したものである。ゼロ(0)を指している白抜きのメータ針217aは、図13(a)ではエンジン停止状態、図13(b)では牽引力0%状態を示している。そして、図13(b)の牽引力表示で牽引力が50%(図13(a)のエンジン回転数表示では1250rpm付近)を示しているメータ針217b及び図13(b)の牽引力表示で牽引力が90%(図13(a)のエンジン回転数表示では2250rpm付近)を示しているメータ針217cは針が振れる様子を示している。
図14には、図1のトラクタの表示部215の別の表示例を示す。
図13に示すメーター部216の周囲(メータ針217の先端部の軌跡)にLEDランプ225を複数設けて、牽引力や耕耘の深さ、車速、エンジン回転数などの目標値のLEDランプ225を点灯(点滅でも良い)して表示するようにしても良い。
図14(a)に示す例では、牽引力の目標値を50%に設定している(この場合、50%のところのLEDが点灯している)。例えば、耕耘作業中に耕耘深さの目標値と現在の耕耘深さの状態(目標値と現在値が大きく違うことやほぼ同じであることなど)が一目で分かることで、オペレータは耕耘の深さを最適に調整することができる。なお、50%近傍で針を複数本示しているのは、負荷変動で針が振れている状態をイメージ的に示しているものである。
図14(b)には、上記牽引力や耕耘の深さ、車速、エンジン回転数などのチェックモード時の表示イメージ図を示している。それぞれの目標値の設定時にはダイヤルを使用する。例えば、図6のドラフト比調整ダイヤル182、上げ調整ダイヤル183、傾き調整ダイヤル184、図7のATシフト作業感度ダイヤル196、下げ速度ダイヤル197、ブレーキ調整ダイヤル198などのダイヤルが利用可能であり、これらのダイヤルを、当該ダイヤルの機能を切り換える切り換えスイッチにすることで、どのダイヤルでも利用可能となる。例えば、ドラフト比調整ダイヤル182とした場合に、ドラフト比調整ダイヤル182を押した状態で操作するとドラフトコントロールの感度を調整する本来の機能を発揮し、引いた状態で操作すると牽引力の目標設定が可能となるようにすればよい。
また、切り換えスイッチとして、図6や図7のダイヤルとは全く別のスイッチ(ダイヤル)を設け、このスイッチを、例えばドラフト比調整位置にすることで、ドラフト比調整ダイヤル182が有効になるというものでもよい。
そして、各センサのチェックモード時にはこれらのダイヤルを利用して、それぞれのセンサのチェックを行うことができる。ダイヤルを全ストローク回して(回しきる)メータ針217が追従して作動すると、そのセンサには異常がないと判定できる。例えば、ドラフト比調整ダイヤル182(図6)の全ストロークとメータ針217の全ストロークは一致しているので、ドラフト比調整ダイヤル182を全ストローク動かしてみて針217も全ストローク動けば、ドラフト比調整ダイヤル182は異常無しとなる。
このように、メータ針217の動きを目視で容易に確認できることで、各センサの不具合が簡単にチェックできる。
そして目標設定値にダイヤルを回すと、同様にメータ針217が追従し、目標の所で設定するようにする(目標値にメータ針217が動く)。設定時には針が動き(LEDが点灯してもよい)、作業中は目標値をLEDの点灯で表示し、実際の値はメータ針217で示す。
図15及び図16には、図1のトラクタのコントローラによる別の制御例のフローを示す。
図15には、液晶表示器222及びメータ部216に、エンジン回転数、牽引力、耕耘の深さ、車速等が表示される場合のフローを示している。
まず、トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100a〜100cに各センサ信号(エンジン回転センサ165、負荷センサ、耕深センサ、車速センサなど)が入力される。
次いで、表示切換スイッチ220の入り切りを検出するセンサの信号が入力されると、牽引力切換スイッチ220a、耕耘の深さ切換スイッチ220b、エンジン回転数切換スイッチ220c、車速切換スイッチ220dなどのうちどのスイッチによるセンサ信号であるかを判定する。
まず、コントローラ100a〜100cは、エンジン回転数切換スイッチ220cがオンになっている場合は、Yesに進み、液晶表示器222及びメータ部216にエンジン回転数を表示する。そして、エンジン回転数切換スイッチ220cがオフであると判定した場合は次に牽引力切換スイッチ220aがオンであるかどうかを判定し、同様に耕耘の深さ切換スイッチ220bがオンであるかどうか、車速切換スイッチ220dがオンであるかどうかを順次判定する。
そして、コントローラ100a〜100cに入力された切り換えスイッチ220のセンサ信号の種類を判定したら、その種類の内容を液晶表示器222及びメータ部216に表示する。
なお、通常は液晶表示器222及びメータ部216にはエンジン回転数が表示されている。すなわち、他の全てのスイッチ(牽引力切換スイッチ220a、耕耘の深さ切換スイッチ220b、車速切換スイッチ220d)がオフであればエンジン回転数表示となるが、表示の際には複数の要件があるため、エンジン回転数切換スイッチ220cを設けた方が使い易くなる。
図16には、メータ部216にLEDランプ225を設けた場合の液晶表示器222及びメータ部216に、牽引力や耕耘の深さ、車速、エンジン回転数等が表示される場合のフローを示している。
図16に示すフローは、牽引力や耕耘の深さの目標値をLEDランプ225で点灯する場合の制御例を示している。図16に示すフローは、図15に示すフローとほぼ同様であるが、コントローラ100a〜100cによって牽引力や耕耘の深さをメーター部216及び表示部215に表示する際に、それぞれの目標値(設定位置)が表示される。すなわち、牽引力や耕耘の深さの目標値をLEDランプ225で点灯する点で図15とは異なる。
なお、エンジン回転数は、通常、定格回転数で行うため、図16には目標値(設定位置)表示については記載していないが、牽引力や耕耘の深さの場合と同様にエンジン回転数の目標値をLEDランプ225で点灯するようにしても良い。低負荷作業、例えば、代掻き作業ではエンジン回転数を定格回転数以下に設定する場合があるからである。
また、車速は圃場内は関係なく、路上走行時のみ関係してくるが、特に、目標値を設定することはない。しかし、作業車両の種類によってはオートクルーズ機能(アクセルペダル175を踏み続けることなくセットした速度を維持する機能)が搭載されている場合があるため、目標車速を設定するようにしても良い。すなわち、牽引力や耕耘の深さの場合と同様に車速の目標値をLEDランプ225で点灯するようにしても良い。
本発明は、トラクタなどの作業車両の操作性を良くすることができ、農業用、建築用、運搬用等の様々な作業車両に利用できる。
本発明の一実施形態のトラクタの左側面図である。 図1のトラクタのトランスミッション内の動力伝動図である。 図2の動力伝動図の油圧回路図である。 図1のトラクタの制御ブロック図である。 図1のトラクタの操縦席付近の上面図である。 図1のトラクタの操縦席付近の斜視図である。 図7(a)は図5及び図6のスイッチボックスの平面図であり、図7(b)は側面図である。 4WD・2WD切換スイッチの拡大図である。 直進基準値A及びフルターン基準値Bをコントローラに記憶させるための手順を示した図である。 ステアリングハンドルの旋回量(回転量)とそれに対応する切れ角検出センサのセンサ値との関係を示し、更に旋回時の中立位置基準値Bの変更例を示した図である。 直進基準値Aからの一定の差分であるフルターン補正値Cを調整するための手順を示した図である。 図1のトラクタのコントローラによるフルターンが作動するときの制御例のフローを示した図である。 図1のトラクタの表示部の表示例を示した図である。 図1のトラクタの表示部の別の表示例を示した図である。 図1のトラクタのコントローラによる制御例のフローを示した図である。 図1のトラクタのコントローラによる制御例のフローを示した図である。
符号の説明
1 エンジン軸 2 入力軸
3 出力軸 4 PTO連動軸
5 前輪出力軸 6 走行カウンタ軸
7 前輪駆動軸 8 バックカウンタ軸
9 PTOカウンタ軸 10 リヤデフ軸
11 後輪軸 12 フロントデフ軸
13 前輪軸 14 PTO軸
15,17 ギヤ駆動軸 16 操縦席
18 PTO変速軸 19 主変速軸
19 主変速軸 20 副変速軸
21 クリープカウンタ軸 22 PTO正逆切替軸
23 PTO減速軸 24 PTO逆回転軸
25 前輪連動軸 26 入力軸
27 副変速カウンタ軸 28 前輪連動軸
30 アームレスト 31 入力ギヤ
32 PTO変速ギヤ 33 主変速ギヤ
34 高低速切替ギヤ 35 副変速ギヤ
36 前輪取出ギヤ 37 PTO正逆切替ギヤ
38 副変速カウンタギヤ 39 主変速カウンタギヤ
40 高低速切替ギヤ 41 前輪駆動切換ギヤ
42 前後進切替ギヤ 43 バックカウンタギヤ
44 PTO変速カウンタギヤ
45 リヤデフ 46 デフリングギヤ
47 フロントデフ 48 入力ギヤ
49 クリープカウンタギヤ
50 PTO減速ギヤ 51 前輪連動ギヤ
52 PTO逆回転ギヤ 53 ドライブピニオンギヤ
54 前輪連動ギヤ 55 前輪ギヤ
56 切替駆動カウンタギヤ
59 カウンタ軸
60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック
67 前輪駆動クラッチパック
73 ステアリングハンドル
76 変速クラッチパック
80 油圧ポンプ 81a,81b 減圧弁
82a ブレーキバルブ 82b 圧力制御弁
83 ブレーキシリンダ
85 前後進クラッチシリンダ
86 前後進クラッチ比例圧力制御弁(切替弁)
86F、86R ソレノイド
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
89 主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁
89a 変速2−4切換ソレノイド
89b 変速2−4昇圧ソレノイド
90 前後進昇圧ソレノイド
93 主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁
93a 1−3速切換ソレノイド
93b 1−3速昇圧ソレノイド
94 切替制御弁
95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁(ソレノイド)
97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ
98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ
100a〜100c 制御処理装置(コントローラ)
100d メモリ 100e 自動切換機能部
101 メイン油圧回路 103 パワーステアリング装置
104 PTOクラッチシリンダ
105 PTOクラッチ切換弁
106 PTOクラッチ比例圧力制御弁
107 オービットロール
110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ
112a 前輪駆動軸回転数センサ
112b 後輪駆動軸回転数センサ
113 ハイクラッチ圧力センサ
114 ロークラッチ圧力センサ
115 前後進切替レバー 115a 前後進レバーセンサ
116 前輪切れ角センサ 119 クラッチぺダル
119a クラッチぺダルセンサ
121 前輪増速4WDソレノイド
122 前輪等速4WDソレノイド
129 オン・オフ制御弁 129a クラッチソレノイド
130,131,133〜137,139,140 ギア
145、146 圧力センサ
147 ミッションオイル油温センサ
153 アクセル微調整レバー
161 リフトアームセンサ
164 エンジン排気温度センサ
165 エンジン回転センサ
166 エンジンオイル圧力センサ
167 エンジン水温センサ
168 レール圧センサ 169 燃料高圧ポンプ
170 高圧インジェクタ
171a、171b 上昇、下降ソレノイド
172 駐車ブレーキ 173 PTOチェンジレバー
175 アクセルペダル
175a アクセルポジションセンサ
176 アクセルレバー
177a エンジン回転数記憶スイッチ
177b エンジン回転数設定スイッチ
178a、178b サブコントロールレバー
179 副変速レバー 179a レバーガイド
179f 副変速レバー操作位置センサ
180 スイッチボックス 181 操作パネル
182 ドラフト比調整ダイヤル
183 上げ調整ダイヤル 184 傾き調整ダイヤル
185 4WD・2WD切換スイッチ
186 手動上げ下げスイッチ
187 PTO入り切りスイッチ
188 PTO手動自動スイッチ
189 デフロックスイッチ
190 作業機ポジションレバー
191 昇降用スイッチ(作業機昇降スイッチ)
192a、192b 主変速増減速スイッチ
194 シガーライター
195 作業機上昇・下降モニターランプ
196 ATシフト作業感度ダイヤル
197 下げ速度ダイヤル 198 ブレーキ調整ダイヤル
199 ATシフト路上スイッチ
200 ATシフト作業スイッチ
201 接続感度変速スイッチ
201a ランプ 202 接続感度PTOスイッチ
203 水平感度スイッチ 204 バックアップ入切スイッチ
205 オートリフト入切スイッチ
206 オートブレーキ入切スイッチ
207 水平切換スイッチ 208 3点切換スイッチ
209 オートアクセルスイッチ
211 蓋 213 メータパネル
215 表示部 216 メーター部
217 メータ針 220 切換スイッチ
222 液晶表示部 225 LEDランプ
A 直進時の中立位置基準値
B フルターン時の中立位置基準値
C フルターン補正値 T トラクタ車体
V 主変速油圧クラッチ W ハイ・ロー変速クラッチ
X 副変速ギア伝動機構 Y 前後進クラッチ
Z PTOクラッチ

Claims (2)

  1. 前輪(61,61)及び後輪(63,63)と、
    前輪(61,61)を左右に旋回操作するための操向操作手段(73)と、
    該操向操作手段(73)の旋回操作による前輪(61,61)の操舵角度を検出する操舵角度検出手段(116)と、
    直進時は前記後輪(63,63)の回転周速度と前記前輪(61,61)の回転周速度が略同速の標準4輪駆動状態であるが前記操向操作手段(73)による旋回時は前記後輪(63,63)の回転周速度よりも前記前輪(61,61)の回転周速度が増速される前輪増速4輪駆動状態に自動的に切り換わる前輪増速駆動状態自動切換モードを含む複数のモードに設定可能な駆動状態設定手段(185)と、
    該駆動状態設定手段(185)により前記前輪増速駆動状態自動切換モードに設定されている場合に前記操舵角度検出手段(116)から得られる検出値に基づいて前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態への切り換え処理を行う自動切換機能部(100e)と、直進時における操向操作手段(73)の中立位置の前記操舵角度検出手段(116)から得られる検出値(A)と該検出値(A)及び操向操作手段(73)の左右の前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態への切り換え時の旋回量に基づいて設定される、旋回時における前記標準4輪駆動状態から前輪増速4輪駆動状態へ切り換わる際の操向操作手段(73)の中立位置の設定値(B)とを記憶可能な記憶部(100d)を備えた制御装置(100a)と
    を設けたことを特徴とする作業車両の変速装置。
  2. 前記制御装置(100a)の記憶部(100d)に記憶される直進時の中立位置の検出値(A)は前記操舵角度を検出する操舵角度検出手段(116)から得られる実際の検出値とし、前記旋回時の中立位置の設定値(B)は前記直進時の中立位置の検出値(A)から一定の差を設けた値としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の変速装置。
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