従来の電気接続箱のハーネス経路規制構造としては、例えば、特許文献1に、合成樹脂製の接続箱本体に板状の電線こぼれ防止リブを立ち上げ形成し、こぼれ防止リブの外面に沿ってワイヤハーネス(複数本の電線)を配索し、こぼれ防止リブの外側への電線の飛び出しを防止したことが記載され(図示せず)、特許文献2に、接続箱本体に横断面L字状の電線経路規制リブを立ち上げ形成し、経路規制リブの外面に沿ってワイヤハーネスをL字状に屈曲して配索したことが記載されている(図示せず)。
図8は、従来の電気接続箱のハーネス経路規制構造のその他の形態を示すものである。
この構造は、接続箱本体2”の外壁3の内面に水平な鍔状の壁部31を一体に設け、鍔状の壁部31の後端側に略柱状のハーネス経路規制壁32を接続箱本体3の上部開口よりも高く立設し、接続箱本体内でワイヤハーネス17を経路規制壁32の内面に沿って配索し、経路規制壁32でワイヤハーネス17の外側への飛び出しを防止したものである。経路規制壁32は剛性を高めるために、垂直な壁部32aの両側に一対の補強リブ32bを設けて三方の壁部32a,32bで横断面コの字状に形成されている。
図9の如く、経路規制壁32がない場合は、ワイヤハーネス17の一部の電線17
1が外向きに湾曲して、接続箱本体2”の上端から外側に突出し、接続箱本体2”へのアッパカバー(図示せず)の装着時にその電線17
1が接続箱本体2”とカバーとの間に挟まれて傷んだりする心配がある。
特開平11−178155号公報(図3)
特開2006−280038号公報(図1〜図2)
しかしながら、上記従来の電気接続箱のハーネス経路規制構造にあっては、接続箱本体2”の上部開口よりも高くワイヤハーネス17が配索されるために、ハーネス経路規制壁32をある程度高く突出させる必要があり、ワイヤハーネス17の押圧力に負けないように経路規制壁32の剛性を高めなければならず、接続箱本体内に経路規制壁32のための大きなスペースを必要として、他の部品等のレイアウトの自由度が制約を受け兼ねないという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、大きなスペースをとることなく、省スペースで接続箱本体内にハーネス経路規制部を設けることができ、しかも、しっかりと電線を支えて確実にハーネス経路規制することのできる電気接続箱のハーネス経路規制構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、接続箱本体内に備品装着部が設けられ、該備品装着部にハーネス経路規制壁が立設され、該備品装着部に備品が収容され、該備品とは反対側で該ハーネス経路規制壁に沿って電線が配索されたことを特徴とする。
上記構成により、備品装着部とハーネス経路規制壁とが一体化され、ハーネス経路規制壁を単独で形成する場合に較べて、備品装着部から突出したハーネス経路規制壁の長さが備品装着部の寸法分だけ短くて済み、樹脂成形性が高まると共に、ハーネス経路規制壁の曲げ強度や座屈強度が高まる。備品はハーネス経路規制壁に沿って備品装着部内にスムーズに挿入案内される。
請求項2に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、請求項1記載の電気接続箱のハーネス経路規制構造において、前記備品装着部から前記備品の一部が突出し、前記ハーネス経路規制壁が該備品の突出部分に沿って配置されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス経路規制壁が備品の突出部分で補強され、電線がハーネス経路規制壁に強く押接した場合でも、ハーネス経路規制壁と備品の突出部分とでその押圧力を受け止めて電線をしっかりと支持する。ハーネス経路規制壁が備品で補強されるから、ハーネス経路規制壁の薄肉化が可能となる。
請求項3に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、請求項1又は2記載の電気接続箱のハーネス経路規制構造において、前記ハーネス経路規制壁の基部が前記備品装着部の一外壁を兼ねたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス経路規制壁の基部が備品装着部の一外壁を構成し、構造が簡素化される。「基部」とは、備品装着部から高さ方向に突出したハーネス経路規制壁の上半部(主体部)に対する下半部のことである。
請求項4に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、接続箱本体内に備品装着部が設けられ、該備品装着部に備品が収容され、該備品装着部から該備品の一部が突出し、該備品の突出部分に沿って電線が配索されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス経路規制壁が不要となり、備品装着部からの備品の突出部分がハーネス経路規制部として作用する。備品の突出部分が電線で電線径方向に強く押圧された場合でも、備品装着部が備品をしっかり保持しているので、備品と備品装着部とで電線の押圧力を受け止めて、確実にハーネス経路規制する。
請求項5に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁と備品の突出部分、又は請求項4記載の備品の突出部分が前記接続箱本体よりも高く突出したことを特徴とする。
上記構成により、接続箱本体よりも電線が高い位置で配索された場合でも、請求項1〜3の何れか記載のハーネス経路規制壁や請求項4記載の備品の突出部分で電線が確実に経路規制される。請求項1〜3の何れか記載の備品の突出部分はハーネス経路規制壁をほぼ全高に渡って支持補強する。
請求項6に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、請求項1〜5の何れかに記載の電気接続箱のハーネス経路規制構造において、前記備品がヒューズプラーであることを特徴とする。
上記構成により、接続箱本体内のヒューズをメンテナンス等で着脱するために必須なヒューズプラーを利用して、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁の補強や、請求項4記載の電線の経路規制が行われる。
請求項7に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造は、請求項6記載の電気接続箱のハーネス経路規制構造において、前記ヒューズプラーの一対のヒューズ挟持板の撓み直交方向の面に、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁又は請求項4記載の電線が当接することを特徴とする。
上記構成により、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁又は請求項4記載の電線がヒューズプラーの一対のヒューズ挟持板を撓ませる方向ではなく撓ませない方向に当接することで、ハーネス経路規制壁や電線の受け止めがしっかり行われる。
請求項1記載の発明によれば、ハーネス経路規制壁を備品装着部に立設したことで、ハーネス経路規制壁を単独で形成する場合に較べて、ハーネス経路規制壁の長さを短縮でき、ハーネス経路規制壁の強度が増して、樹脂成形性や外部との干渉に対する抗力が高まり、従来の補強リブが不要となって、接続箱本体内の省スペース化が可能となる。また、備品をハーネス経路規制壁に沿ってスムーズに備品装着部内に挿入することができ、備品の組付性が向上する。
請求項2記載の発明によれば、電線がハーネス経路規制壁に強く押接した場合でも、ハーネス経路規制壁と備品とでその押圧力を受け止めて電線をしっかりと支えることができる。これにより、接続箱本体からの電線の飛び出し等が確実に阻止され、電線の飛び出しに起因するカバー装着時における接続箱本体との間への電線の挟み込み等が確実に防止される。また、ハーネス経路規制壁が備品で補強されるので、ハーネス経路規制壁を薄肉に形成することができ、それによって接続箱本体内の省スペース化が促進され、接続箱本体内の他の装着部品等のレイアウトの自由度が向上する。
請求項3記載の発明によれば、備品装着部とハーネス経路規制壁の構造が簡素化・コンパクト化され、これらの樹脂成形性が高まると共に、接続箱本体内が一層省スペース化される。
請求項4記載の発明によれば、ハーネス経路規制壁が不要であるので、接続箱本体内が省スペース化され、接続箱本体内の他の装着部品等のレイアウトの自由度が向上する。また、備品に電線の押圧力が作用した場合でも、備品と備品装着部とで押圧力を受け止めて、確実にハーネス経路規制することができる。これにより、接続箱本体からの電線の飛び出し等が確実に阻止され、電線の飛び出しに起因するカバー装着時における接続箱本体との間への電線の挟み込み等が確実に防止される。
請求項5記載の発明によれば、接続箱本体よりも電線が高い位置で配索された場合でも、請求項1〜3の何れか記載のハーネス経路規制壁や請求項4記載の備品の突出部分で電線を確実に経路規制することができ、これにより、接続箱本体からの電線の飛び出しが確実に阻止され、電線の飛び出しに起因するカバー装着時における接続箱本体との間への電線の挟み込みが確実に防止される。
請求項6記載の発明によれば、接続箱本体内のヒューズをメンテナンス等で着脱するために必須なヒューズプラーを利用して、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁の補強や、請求項4記載の電線の経路規制をコストをかけずに容易に且つ確実に行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載のハーネス経路規制壁又は請求項4記載の電線をヒューズプラーが撓みなくしっかりと受け止めて、ハーネス経路規制を確実に行うことができる。
図1〜図4は、本発明に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造の一実施形態を示すものである。
図1,図2の如く、この構造は、電気接続箱1の合成樹脂製のフレーム(接続箱本体)2の垂直な一外壁3の内面にヒューズプラー装着部(備品装着部)4を一体に設け、ヒューズプラー装着部4にハーネス経路規制壁5を垂直に立設し、ヒューズプラー装着部4から上方に突出したヒューズプラー(備品)6の上半部(突出部分)6aに沿ってハーネス経路規制壁5を配置したものである。
ヒューズプラー装着部6は、左右と前側の三方の垂直な壁部7,8又は前後左右の四方の垂直な壁部7,8…で囲まれて横断面コの字状又は矩形の筒状に構成され、これら周壁7,8…の内側に横断面矩形状のヒューズプラー収容空間を有している。左右と前側の三方の壁部7,8と後側のハーネス経路規制壁5の下半部(基部)5bとでヒューズプラー装着部4の四方の壁部が形成され、ハーネス経路規制壁5の下半部5bがヒューズプラー装着部4の一壁部(外壁)を兼ねることが好ましい。左右の壁部は共に符号7で示す。
前側の壁部8はフレーム2の外壁3に近接して又は一体に続いて位置し、ハーネス経路規制壁5は、後側の壁部と一体に(四方の壁部の場合)又は後側の開口を塞ぐような形で(三方の壁部の場合)左右の壁部7に一体に連結されて、ヒューズプラー収容空間の上部開口9よりも高く垂直に縦長平板状に突出している。なお、明細書で前後左右の方向は説明の便宜上のものであり、必ずしも車両への電気接続箱1の取付方向と一致するものではない。
ヒューズプラー装着部4の一側(左側)の壁部7は水平な鍔状の壁部10に直交し、鍔状の壁部10はフレーム2の前側の外壁3の内面とフレーム内の垂直な隔壁11とに一体に続いている。ヒューズプラー装着部4は少なくとも前側の壁部8と一側壁7とでフレーム2に固定されている。フレーム内のXY方向の垂直な各隔壁11,12に沿ってヒューズ装着部13やリレー装着部14やコネクタ15や、コネクタ15’とヒューズ装着部13’とを有する電子制御ユニット28等が下方からフレーム2内に挿入係止されている。
コネクタ15,15’には上方から相手コネクタ16,16’が嵌合接続され、相手コネクタ16,16’から導出された複数本の絶縁被覆電線(ワイヤハーネス)17が、ハーネス経路規制壁5の外表面(フレーム内側中央に向く後面)に沿って経路規制されつつ略水平に配索されて、フレーム2の右端側のハーネス導出口18から外部に導出されている。
雄・雌両コネクタ15,16はフレーム2の外壁3の内面に近接して位置し、コネクタ15,16とヒューズプラー装着部4とはフレーム内で左右に離間して並列に位置し、ヒューズプラー装着部4と並列にハーネス導出口18が位置し、ヒューズプラー装着部4とハーネス経路規制壁5とはコネクタ15,16とハーネス導出口18との間に位置している。
図3の如く、ハーネス経路規制壁5はヒューズ装着部13や嵌合側の相手コネクタ16よりも上方に高く突出し、フレーム2の傾斜状の上端の最上部(右端側の部分)19よりも高く突出している。コネクタ16’はコネクタ16よりもやや低く位置する。各電線17は各コネクタ16,16’の上端面から導出されて右側に屈曲しつつ(屈曲部を符号17bで示す)水平に配索され、フレーム2の右端側でハーネス導出口18に向けて下向きに屈曲している(図2で屈曲部を符号17cで示す)。電線17の水平部分17aはヒューズ装着部13や相手コネクタ16よりも高く位置し、フレーム2の最上部19とほぼ同じ高さに位置している。フレーム2は左右端のブラケット20で車両ボディに固定される。
図4の如く、ハーネス経路規制壁5の上端5cはヒューズプラー6の上端6cとほぼ同位置(同じ高さ)に位置し、ヒューズプラー6の一側面(後面)6dがハーネス経路規制壁5の内面(前面)5dに接している。ヒューズプラー装着部4が三方の壁部7,8で構成され、後側の壁部がない場合は、ヒューズプラー6の一側面(後面)6dが全長(全高)に渡ってハーネス経路規制壁5の上半部(突出部分)5aと下半部(基部)5bとの内面に接触する。ヒューズプラー装着部4が四方の壁部で構成された場合は、後側の壁部と一体に上方に突出したハーネス経路規制壁5の上半部5aにヒューズプラー6の上半部6aが接触する。
各電線17の水平部分17aはハーネス経路規制壁5の上半部5aの外表面5eに接触しつつ後方に少し屈曲し、各電線17の復元力でハーネス経路規制壁5を矢印Aの如く前方に(ヒューズプラー6に向けて)押圧している。
ハーネス経路規制壁5の上半部5aはヒューズプラー装着部4の上端4aよりも上方に突出した部分であるが、少なくとも上半部5aの内面5dがヒューズプラー6の上半部6aの後面6dに当接し、ヒューズプラー6の下半部(図示せず)はヒューズプラー装着部内にガタつきなくしっかりと保持されており、ヒューズプラー6の上半部6aがハーネス経路規制壁5の上半部5aを支えて、各電線17の押圧力をハーネス経路規制壁5の上半部5aとヒューズプラー6の上半部6aとで同時に受け止めている。すなわち、ヒューズプラー6がハーネス経路規制壁5を補強している。
これにより、ハーネス経路規制壁5を薄肉(撓み可能)に形成することができ、ヒューズプラー装着部4にハーネス経路規制壁5を設けたことと相俟って、ハーネス経路規制部の省スペース化を可能としている。従って、ハーネス経路規制部5の設置に伴ってフレーム内の他の部品等のレイアウトの自由度を阻害する心配がない。また、ハーネス経路規制壁5の内面(前面)5dに沿ってヒューズプラー6をプラー装着部4内にスムーズに挿入案内させることもできる。
ハーネス経路規制壁5を図4よりもさらに薄く形成し、ヒューズプラー装着部4の後側の壁部と同じ板厚として、後側の壁部と同一面位置で上方に突出させることも可能である。この場合でも、薄板状のハーネス経路規制壁5がヒューズプラー6の突出部分6aに接し、薄板状のハーネス経路規制壁5がヒューズプラー6で補強されるから、各電線17をしっかりと支えて経路規制することができる。
また、図4の例とは異なり、各電線17がハーネス経路規制壁5を押圧しない場合、すなわち、各電線17がハーネス経路規制壁5に軽く接する、又はハーネス経路規制壁5との間に隙間を存して近接して位置する場合は、ヒューズプラー6の補助を受けることなく、薄肉のハーネス経路規制壁5のみで十分使用に耐えることができる。
この場合でも、ヒューズプラー装着部4にハーネス経路規制壁5を設けたことによる省スペース化の効果は発揮される。ヒューズプラー装着部4がなければ、従来(図8)のような補強リブなしでは、ハーネス経路規制壁5を反り等なく樹脂成形することは困難であり、外部との干渉によりハーネス経路規制壁5を破損させる心配もある。
ヒューズプラー装着部4を前側と左右の三方の壁部7,8で横断面コの字状に形成した場合、後側の開口内にハーネス経路規制壁5をヒューズプラー装着部4の左右の壁部7とは別体に形成することも可能ではある。この場合でも、ハーネス経路規制壁5がヒューズプラー6で支持補強されるから、電線17の押圧力でハーネス経路規制壁5が撓む心配がない。但し、ハーネス経路規制壁5の樹脂成形性の低下や、ヒューズプラー6とハーネス経路規制壁5の間に隙間を生じるといった懸念がある。
図5は、既存のヒューズプラー6の一形態を示すものである。
このヒューズプラー6は、合成樹脂を材料として、左右一対のヒューズ挟持板21と、両挟持板21の中間部を連結する湾曲状のばね部22とで構成され、各挟持板21の先端に、ブレード型のヒューズ23の頭部23aの溝23bに係合する爪部21aを有し、各挟持板21の基端側にテーパ状の末広がりの操作部21bを有している。
図1の如く、ヒューズプラー装着部4にヒューズプラー6が先端側から挿入され、ヒューズプラー6の外側テーパ面21c(図5)がヒューズプラー装着部4のテーパ状の内壁面に密着して、ヒューズプラー6がガタつきなくしっかりと保持され、ヒューズプラー6の操作部側の上半部6aがヒューズプラー装着部4の上端から上方に突出する。
ヒューズプラー6の一対の挟持板21の板厚方向の押圧操作面21bではなく、両挟持板32の幅方向の一側面6dがハーネス経路規制壁5の内側面5dに接触することで、ハーネス経路規制壁5に各電線17の押圧力が作用した際に、ヒューズプラー6が撓むことなくしっかりとハーネス経路規制壁5を支えて各電線17の押圧力を受け止める。
ヒューズプラー6の形状は図5のものに限られるものではなく、例えば、一対の挟持板21の上半の操作部21b側が一体に連結されており、下半部6bが開閉方向に撓み可能となったもの等も公知である。ヒューズプラー6の操作部表面の滑り止め突起を操作部21bの弾性復元力でヒューズプラー装着部4内に係止させることも可能である。
また、図5のヒューズ23は、絶縁樹脂性の頭部23aと胴部が同じ幅で形成され、胴部の幅方向両側に金属製の一対のタブ端子23cが露出したものであるが、頭部23aが胴部よりも厚く突出し、胴部の下端から一対のタブ端子23cが突出したものも使用可能である。
図1〜図2において、符号25は、フレーム2の下部開口側に組み付けられたロアカバー、26は、フレーム2の下部側においてヒューズ23やリレー27等の接続電線(図示せず)を外部に導出するハーネス導出口、をそれぞれ示している。
図6〜図7は、本発明に係る電気接続箱のハーネス経路規制構造の他の実施形態を示すものである。
この電気接続箱1’のハーネス経路規制構造は、上記図1〜図4の実施形態のハーネス経路規制壁5を排除(省略)し、ヒューズプラー装着部4から上方に突出したヒューズプラー6自体をハーネス経路規制部として用いたものである。ハーネス経路規制壁5がない以外は、図1〜図4の実施形態と同様であるので、図1〜図4と同様の構成部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図6〜図7の如く、ヒューズプラー6の下半部がヒューズプラー装着部4内にしっかりと挿入固定され、ヒューズプラー6の露出した上半部6aの一側面(後面)6dがぐらつきなく各電線(ワイヤハーネス)17を支えてハーネス経路規制する。
ヒューズプラー6の一側面6dはヒューズプラー6の操作部21bにおける挟持方向の面ではなく挟持直交方向の面であるので、各電線17でヒューズプラー6の一側面6dが外(前)向きに押圧されても、操作部21bが何ら撓む(弾性変形する)ことなく、各電線17の矢印A方向の押圧力をしっかりと受け止めて正確に経路規制する。
ヒューズプラー6は操作部21b外面の滑り止め突起でヒューズプラー装着部4の左右の壁部7の内面に係止されることが、各電線17の押圧力に対抗する上で好ましい。ヒューズプラー装着部4の各壁部7,8…は、ヒューズプラー6の少なくとも三方を囲む垂直な横断面コの字状ないし四方を囲む垂直な矩形筒状の周壁を成している。
図3の例で、ヒューズプラー6はハーネス経路規制壁5と同じ高さでフレーム2’の最上端19よりも高く突出しており、図6の例でも同様に、ヒューズプラー6はフレーム2’の最上端19よりも高く突出して、各電線17の外側(フレーム2’の外壁3の外側)への突出を確実に防いでいる。
ヒューズプラー6の種類は図5のものに限られず、種々の形態のものを適宜使用可能である。図1の例でも同様であるが、ヒューズプラー6に代えて他の備品を用いることも可能である。他の備品としては、予備のヒューズや予備のヒュージブルリンク等が一例として挙げられる。
図6〜図7で、符号13,13’はヒューズ装着部、23はヒューズ、27はリレー、16,16’は、電線17を導出させたコネクタ、19はハーネス導出口、25はロアカバーをそれぞれ示している。
上記各実施形態においては、コネクタ16,16’からの導出電線17をハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体で経路規制したが、コネクタ以外のリレー27やヒューズ23やヒュージブルリンク等の電気電子部品からの上向きの導出電線がある場合は、それらをハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体でハーネス経路規制することが可能である。
また、上記各実施形態においては、ハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体をフレーム2の外壁3に沿って配置したが、ハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体を例えばフレーム2の中央側に配置して、各電線17と他の電気電子部品やコネクタ等との干渉を防ぐことも可能である。
また、上記各実施形態においては、アッパカバー(図示せず)とフレーム2との間への電線17の挟み込みをハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体で防いだが、例えばロアカバー25の装着がフレーム2を上下反転して行われる場合には、フレーム2の下部側にハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体を配置して、ロアカバー25とフレーム2との間への電線17の挟み込みを防ぐことが可能である。また、複数本の電線17ではなく一本の太い電線や一本の細い電線をハーネス経路規制壁5やヒューズプラー6自体で経路規制することも可能である。
また、上記各実施形態においては、接続箱本体として上下に貫通した矩形枠状のフレーム2を用いたが、フレーム2に代えて有底の接続箱本体を用いる場合には、有底の接続箱本体の水平な上壁側にヒューズプラー装着部4やハーネス経路規制壁5を設けることが可能である。