JP2010123169A - 磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射し、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率を向上する。
【解決手段】光源からの光を近接場光として磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、近接場光照射部は、磁極部の内部に埋設されている。
【選択図】 図2

Description

この発明は、磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法に関し、特に、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射することができ、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率を向上することができる磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法に関する。
近年、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記録装置の高記録密度化に伴って、磁気記録媒体である磁気ディスク及び磁気ディスクに対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドの更なる性能の向上が要求されている。磁気記録媒体側で高記録密度化を実現するためには、一般に、磁気記録媒体を構成する磁性微粒子を微小化する必要がある。ところが、磁性微粒子を過度に微小化すると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
磁化の熱安定性は、1つの目安として、KuV/kBTで表される。ここで、Kuは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を微小化することは、体積Vを小さくすることを意味しており、そのままではKuV/kBTが小さくなり、磁気記録媒体側における磁化の熱安定性が低下する。この対策として、Kuを大きくすることも考えられるが、このKuの増加は、磁気記録媒体の異方性磁界Hk(=2Ku/Ms、Msは、飽和磁化)の増加をもたらす。これに対し、磁気ヘッドによる書き込み磁界の大きさは、磁気ヘッドの磁極部を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定される。したがって、磁気記録媒体側で磁気異方性エネルギーKuを増加させることによって、磁気記録媒体の異方性磁界Hkが、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると、磁気ヘッドから磁気ディスクへの磁気情報の書き込みが不可能となる。
かかる磁化の熱安定性の問題を解決する1つの方法として、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この熱アシスト磁気記録方式では、磁気ヘッドによる書き込み磁界の印加直前に、磁気記録媒体に近接場光を照射して、この磁気記録媒体に熱を加えることによって、媒体の異方性磁界Hkを予め小さくしてから書き込みを行う。
これまでに提案されている熱アシスト磁気記録方式として、例えば、特許文献1では、光源からの光から近接場光を発生する散乱体(近接場光照射部に相当)が、磁気記録媒体と垂直となるように、磁気記録媒体に磁界を印加する磁極部に接して形成された磁気ヘッドが開示されている。また、特許文献2では、磁気記録媒体側から見て、近接場光を照射する光発生端(近接場光照射部に相当)が、磁極部のリーディング側に隣接して配置された磁気ヘッドが開示されている。また、特許文献3においては、磁気記録媒体に磁界を印加する磁極部が、近接場光を発生する散乱体(近接場光照射部に相当)の上部に配置された磁気ヘッドが、開示されている。また、特許文献4では、磁気記録媒体側から見て、近接場光照射部の出射開口位置と、磁気記録媒体に磁界を印加する磁極部とが近接して配置された磁気ヘッドが開示されている。
特開2004−158067号公報 特開2007−207349号公報 特開2007−128573号公報 特開2006−351091号公報
しかしながら、特許文献1、2及び4に記載された磁気ヘッドでは、磁極部と近接場光照射部とが別個独立に配置されているため、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と、磁気記録媒体に対する近接場光の照射位置とがずれる。このため、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置に照射される近接場光の強度が低下する。したがって、磁気記録媒体では、磁界の印加位置が、所望の温度まで加熱されず、異方性磁界Hkの低下の程度が小さくなり、その結果、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率が低下していた。
また、特許文献3に記載された磁気ヘッドでは、磁極部が散乱体の上部に配置されているため、光源からの光が散乱体へ入射する際に、磁極部の内部を通過する必要がある。このため、多くの光が磁極部に吸収され、散乱体から出射する近接場光の強度が低下する。したがって、磁気記録媒体では、磁界の印加位置が、所望の温度まで加熱されず、異方性磁界Hkの低下の程度が小さくなり、その結果、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率が低下していた。
開示の技術は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射することができ、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率を向上することができる磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願の開示する磁気ヘッドは、一つの態様において、磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドであって、光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、前記近接場光照射部は、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする。
この態様によれば、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射することができ、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率を向上することができる。
なお、本願の開示する磁気ヘッドの構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも上述した課題を解決するために有効である。
本願の開示する磁気記録媒体の製造方法の一つの態様によれば、磁気記録媒体に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射することができ、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込み効率を向上することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本願の開示する磁気ヘッド、磁気記録装置及び磁気ヘッドの製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1を参照して、実施例1に係る磁気ヘッドを備えた磁気記録装置の構成について説明する。図1は、実施例1に係る磁気記録装置1の構成を示す外観図である。図1に示すように、磁気記録装置1は、磁気ディスク2と、磁気ヘッド3と、スライダ4と、サスペンションアーム5と、ロータリアクチュエータ6とを有する。
磁気ディスク2は、各種の磁気情報を高記録密度に記録する磁気記録媒体であり、図示しないスピンドルモータにより回転駆動される。
磁気ヘッド3は、スライダ4に搭載されており、磁気ディスク2に対して磁気情報の読み書きを行う。また、磁気ヘッド3は、磁気ディスク2の回転によって生じる揚力によって、磁気ディスク2の表面からわずかに浮いた状態を維持しつつ、磁気情報の読み書きを実行する。
なお、サスペンションアーム5は、スライダ4を支持し、ロータリアクチュエータ6は、サスペンションアーム5を磁気ディスク2の半径方向に駆動制御する。
次に、本実施例に係る磁気ヘッド3の構成について説明する。図2は、本実施例に係る磁気ヘッド3の縦断面図である。図3は、図2に示す磁気ヘッド3の底面図である。なお、図2では、図中の矢印の方向に回転している磁気ディスク2に、磁気ヘッド3が対向している状態を示している。図3では、磁気ヘッド3の磁気ディスク2に対向する面である媒体対向面9側から、磁気ヘッド3を見た態様を示している。また、磁気ディスク2は、非磁性材料からなる基板52上に、軟磁性材料からなる裏打層54及び磁性材料からなる記録層56とを順次成膜したものとする。
本実施例に係る磁気ヘッド3は、図2に示すように、近接場光照射部10と、磁極部12と、コイル14と、レーザ16と、導波路部18と、反射ミラー20と、書き込みシールド部22とを有する。なお、図示を省略するが、磁気ヘッド3は、上記の構成に加えて、磁気ディスク2から磁気情報を読み出すための磁気抵抗効果型素子(GMR)又はトンネル磁気抵抗効果型素子(TMR)を有している。また、上記の各部材間は、例えば、Al等の透光性材料により形成されているものとする。
近接場光照射部10は、光源であるレーザ16からの光を近接場光として磁気ディスク2に照射し、この磁気ディスク2を加熱する。また、近接場光照射部10は、外観視で三角形状、より詳しくは、磁気ヘッド3の媒体対向面9に向かって先細りした形状の平板である。近接場光照射部10の材料としては、例えば、Au、Ag、Cu等、表面プラズモンを発生し得る金属材料が用いられる。ここで、表面プラズモンとは、光の照射された金属中で、自由電子が集団的に振動することにより生じる疎密波である。近接場光照射部10は、レーザ16からの光の照射を受けると、表面プラズモンを励起し、この表面プラズモンを、磁気ヘッド3の媒体対向面9側の端部である先端部10aから近接場光として磁気ディスク2に照射する。本実施例では、近接場光照射部10の形状が三角形状であるため、近接場光照射部10は、三角形の頂点である先端部10aから近接場光を照射する。この近接場光によって、磁気ディスク2が加熱される。
磁極部12は、近接場光照射部10によって加熱された磁気ディスク2に、磁気情報に応じた磁界を印加する。磁界は、磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面、すなわち、磁極部12の媒体対向面9側の端面から、磁気ディスク2の記録層56へ印加される。これにより、記録層56に対する磁気情報の記録が行われる。磁極部12の材料としては、例えば、FeNi,FeCo等、飽和磁束密度Bsの比較的に大きい軟磁性材料が用いられる。
コイル14は、図示しない電流供給回路に接続されており、この電流供給回路から供給される駆動電流によって、磁極部12に所望の磁界を発生させる。
レーザ16は、レーザ光を発生する熱アシスト用の光源であり、導波路部18及び反射ミラー20を介して、近接場光照射部10へレーザ光を照射する。
導波路部18は、レーザ16からの光を、反射ミラー20へと導くための光路である。導波路部18は、磁気ディスク2の回転方向に磁極部12と並列した状態で配置されている。導波路部18は、一端から入射したレーザ16からの光を他端側へ出射するコア部18aと、コア部18aの周囲を囲繞するクラッド部18bとを有する。
反射ミラー20は、導波路部18から出射する光を反射し、近接場光照射部10へと導く。反射ミラー20の材料としては、AlやAg等が用いられる。書き込みシールド部22は、磁気ディスク2に磁気情報を書き込む際に、磁極部12から発する磁界を急峻に形成するための部材であり、磁極部12のトレーリング側縁部12aの近傍に配設される。
このように構成された磁気ヘッド3では、特に、近接場光照射部10は、磁極部12の内部に埋設されている。より具体的には、近接場光照射部10は、図3に示すように、磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面から、近接場光を照射する先端部10aを露出させた状態で、磁極部12の内部に埋設されている。この態様では、近接場光照射部10の先端部10aは、媒体対向面9側から見て、磁極部12によって周囲を囲繞されている。上述したように、近接場光は、近接場光照射部10の先端部10aから磁気ディスク2に照射され、磁界は、磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面、すなわち、磁極部12の媒体対向面9側の端面から磁気ディスク2に照射される。したがって、近接場光照射部10を磁極部12の内部に埋設することによって、磁気ディスク2に対する磁極部12による磁界の印加位置と、磁気ディスク2に対する近接場光照射部10による近接場光の照射位置とをほぼ一致させることができる。
また、本実施例の磁気ヘッド3では、近接場光照射部10は、近接場光を照射する先端部10aが、磁極部12のトレーリング側縁部12aに近づく方向に、傾斜した状態で、磁極部12の内部に埋設されている。近接場光照射部10の傾斜によって、近接場光照射部10の先端部10aは、磁極部12のトレーリング側縁部12aの近傍に配置される。一般に、磁極部12のトレーリング側縁部12aから放出される磁界は、磁極部12の他の部分から放出される磁界よりも、磁気ディスク2の記録層56におけるビットの磁化反転に大きく寄与する。近接場光照射部10の先端部10aが、磁極部12のトレーリング側縁部12aの近傍に配置されると、近接場光照射部10の先端部10aからの近接場光は、磁極部12のトレーリング側縁部12aの下方へ照射される。したがって、磁極部12のトレーリング側縁部12aから放出される磁界の磁気ディスク2に対する印加位置に、近接場光照射部10の先端部10aからの近接場光を直接的に照射することができる。その結果、磁気ディスク2の記録層56におけるビットの磁化反転を安定的に実行できる。
なお、磁極部12のトレーリング側縁部12aと磁極部12のリーディング側縁部12bとの幅L1が100〜200nmであるとすると、近接場光照射部10の先端部10aと磁極部12のトレーリング側縁部12aとの距離L2は、50nm以下であることが好ましい。距離L2が、50nmを超える場合は、磁極部12のトレーリング側縁部12aから放出される磁界の磁気ディスク2に対する印加位置と、近接場光照射部10の先端部10aからの近接場光の照射位置とが大きくずれる。このため、磁極部12のトレーリング側縁部12aから放出される磁界の磁気ディスク2に対する印加位置に、強い近接場光を照射することができない。したがって、近接場光照射部10の先端部10aと磁極部12のトレーリング側縁部12aとの距離L2が、50nm以下となるように、近接場光照射部10の先端部10aを、磁極部12のトレーリング側縁部12aの近傍に配置することが好ましい。
ところで、本実施例の磁気ヘッド3では、上述したように、近接場光照射部10を磁極部12の内部に埋設しているため、磁極部12の体積が、近接場光照射部10の体積分だけ減少している。磁極部12の体積が減少すると、磁気ディスク2に対して磁極部12の印加し得る磁界の絶対値が減少し、その結果、磁気ディスク2の記録層56におけるビットの磁化反転が困難となる恐れがある。
そこで、かかる問題を解消すべく、本実施例の磁気ヘッド3では、磁極部12を図3に示す構成とした。すなわち、図3に示すように、磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面の形状は、磁極部12のトレーリング側縁部12a及び磁極部12のリーディング側縁部12bをそれぞれ長辺及び短辺とした逆台形から、磁極部12のリーディング側縁部12bを底辺とした三角形を除外した形状である。磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面には、磁極部12のリーディング側縁部12bから磁極部12のトレーリング側縁部12aへ向かう方向に閉じたV状縁部12cが形成されている。V状縁部12cは、いわゆる形状エッジ効果により、磁気ディスク2の記録層56に対して、斜め成分の磁界を印加する。斜め成分の磁界は、一般に、ビットの磁化反転を促進する。
このように、本実施例では、磁極部12の磁気ディスク2に対向する端面の形状を上記の形状とすることにより、磁気ディスク2の記録層56に対して、斜め成分の磁界を印加することができる。このため、磁極部12の磁界の絶対値が減少した場合であっても、その減少分を斜め成分の磁界で補填することができ、その結果、磁気ディスク2の記録層56におけるビットの磁化反転を安定的に実行することができる。
次に、本実施例に係る磁気ヘッド3の製造方法について説明する。図4−1〜図4−6は、本実施例に係る磁気ヘッド3の製造方法を説明するための図である。磁気ヘッド3の製造工程は、近接場光照射部形成工程と、磁極部形成工程とを含む。
近接場光照射部形成工程は、近接場光照射部10を、透光性基板32上に形成する工程であり、図4−1〜図4−4に示される。図4−1に示すように、近接場光照射部形成工程では、図示を省略するが、GMRやTMR等の磁気情報の読み出し用の素子、導波路部18、反射ミラー20等を、内部に形成した透光性基板32を用意する。透光性基板32の材質としては、AlやSiO等の非磁性体を使用している。
次いで、図4−2に示すように、透光性基板32にエッチングを施し、テーパ面32aを形成する。ここで、テーパ面32aは、後の工程で近接場光照射部10を形成する部分である。したがって、テーパ面32aの傾斜角は、近接場光照射部10の先端部が磁極部12のトレーリング側縁部12aに近づく方向に、近接場光照射部10を傾斜させるように設定する。
次いで、図4−3に示すように、例えば、Au、Ag、Cu等、表面プラズモンを発生し得る金属材料からなる金属膜34を、透光性基板32のテーパ面32a側の面上に形成する。
次いで、図4−4に示すように、金属膜34にエッチングを施し、三角形状の近接場光照射部10を形成する。ここで、媒体対向面9から、近接場光照射部10の先端部10aが露出するように、金属膜34にエッチングを施す。同時に、透光性基板32を加工して、不要部分を除去し、最終的に磁極部12のV状縁部12cを形成するためのテーパ面32aを形成する。このようにして、透光性基板32上に、近接場光照射部10が形成される。
近接場光照射部形成工程を終了すると、磁極部形成工程を実行する。磁極部形成工程は、磁極部12を、この磁極部12の内部に近接場光照射部10を埋設した状態で、透光性基板32上に形成する工程であり、図4−5〜図4−6に示される。
図4−5に示すように、磁極部形成工程では、例えば、FeN、FeCo等、飽和磁束密度Bsの比較的に大きい軟磁性材料からなる軟磁性膜36を、近接場光照射部10を覆うようにして、透光性基板32上に形成する。軟磁性膜36は、後の工程で磁極部12となるものである。そして、軟磁性膜36にイオンミリングを施すことによって、媒体対向面9に向かって先細り形状となるように、軟磁性膜36を加工する。
次いで、図4−6に示すように、軟磁性膜36に所定のレジストパターンをマスクとしたイオンミリングを施すことによって、不要部分を除去し、磁極部12を形成する。ここで、近接場光照射部10の先端部10aが、磁極部12のトレーリング側縁部12aの近傍に配置されるように、イオンミリングを施す。なお、近接場光照射部10の先端部10aと磁極部12のトレーリング側縁部12aとの距離については、既に述べたので説明を省略する。また、磁極部12の媒体対向面9側の端面の形状が、磁極部12のトレーリング側縁部12a及び磁極部12のリーディング側縁部12bをそれぞれ長辺及び短辺とした逆台形から、磁極部12のリーディング側縁部12bを底辺とした三角形を除外した形状となるように、イオンミリングを施す。このようにして、近接場光照射部10を内部に埋設した状態で、磁極部12が、透光性基板32上に形成される。その後、コイル14や書き込みシールド部22が形成されることによって、最終的に、図2に示す磁気ヘッド3が完成する。
以上説明してきたように、本実施例に係る磁気ヘッド3では、近接場光照射部10が、磁極部12の内部に埋設されている。このため、磁気ディスク2に対する磁界の印加位置と近接場光の照射位置とのずれを解消すると共に、磁界の印加位置に強い近接場光を照射することができる。したがって、磁気ディスク2に対する磁界の印加位置を、所望の温度まで急速に加熱することができるため、磁気ディスク2の異方性磁界Hkを確実に低下することができる。その結果、磁気ディスク2に対する磁気情報の書き込み効率を向上することができる。
特に、本実施例に係る磁気ヘッド3では、近接場光照射部10は、近接場光を照射する先端部10aが磁極部12のトレーリング側縁部12aに近づく方向に、傾斜した状態で、磁極部12の内部に埋設されている。このため、ビットの磁化反転に大きく寄与する磁界を放出する磁極部12のトレーリング側縁部12aの下方へ、近接場光照射部10の先端部10aからの近接場光を直接的に照射することができる。したがって、磁気ディスク2の記録層56におけるビットの磁化反転を安定的に実行することができる。
次に、実施例2に係る磁気ヘッド7の構成について説明する。図5は、実施例2に係る磁気ヘッド7の縦断面図である。図6は、図5に示す磁気ヘッド7の底面図である。なお、図5では、図中の矢印の方向に回転している磁気ディスク2に、磁気ヘッド7が対向している状態を示している。図6では、磁気ヘッド7の磁気ディスク2に対向する面である媒体対向面9側から、磁気ヘッド7を見た態様を示している。
本実施例に係る磁気ヘッド7が実施例1に係る磁気ヘッド3と異なる点は、近接場光照射部10と磁極部12との間に、絶縁部24が介設されている点である。その他の構成は、基本的に実施例1と同様であるので、図5及び図6にて図2及び図3と同一物には同一符号を付して、その詳しい説明を省略することとする。
絶縁部24は、AlやSiO等の非磁性体から形成されており、近接場光照射部10と磁極部12との間に介設されている。すなわち、近接場光照射部10の、光源であるレーザ16からの光を受ける面(受光面)と反対側の面に、この面を覆うように、絶縁部24が配設されている。ここで、レーザ16からの光の照射を受けたときに近接場光照射部10で励起された表面プラズモンは、近接場光照射部10の受光面と反対側の面から、磁極部12へ漏洩することがある。絶縁部24は、近接場光照射部10で励起された表面プラズモンの磁極部12への漏洩を遮断する。したがって、近接場光照射部10で励起された表面プラズモンを無駄なく近接場光照射部10の先端部10aへ集めることができ、より強度の強い近接場光を発生することができる。その結果、磁気ディスク2をより効率よく加熱することができ、磁気ディスク2に対する磁気情報の書き込み効率をさらに向上することができる。
次に、本実施例に係る磁気ヘッド7の製造方法について説明する。図7−1〜図7−4は、本実施例に係る磁気ヘッド7の製造方法を説明するための図である。本実施例に係る磁気ヘッド7の製造工程が実施例1と異なる点は、絶縁部24を形成する工程を含む点である。その他の工程は基本的に実施例1と同様であるので、実施例1と同一の工程である図4−1〜図4−3にて既に説明した工程については、その詳しい説明を省略する。
本実施例に係る磁気ヘッド7の製造工程では、図4−3にて既に説明した工程を経た後、図7−1に示す工程を実行する。すなわち、近接場光照射部形成工程では、図7−1に示すように、例えば、AlやSiO等の非磁性体からなる絶縁膜38を、金属膜34上に形成する。
次いで、図7−2に示すように、金属膜34及び絶縁膜38にエッチングを施し、三角形状の近接場光照射部10及び絶縁部24をそれぞれ形成する。同時に、透光性基板32を加工して、不要部分を除去し、最終的に磁極部12のV状縁部12cを形成するためのテーパ面32aを形成する。このようにして、透光性基板32上に、近接場光照射部10及び絶縁部24がこの順序で形成される。
近接場光照射部形成工程を終了すると、磁極部形成工程を実行する。図7−3に示すように、磁極部形成工程では、例えば、FeN、FeCo等、飽和磁束密度Bsの比較的に大きい軟磁性材料からなる軟磁性膜36を、絶縁部24を介して、近接場光照射部10を覆うようにして、透光性基板32上に形成する。軟磁性膜36は、後の工程で磁極部12となるものである。そして、軟磁性膜36にイオンミリングを施すことによって、媒体対向面9に向かって先細り形状となるように、軟磁性膜36を加工する。
次いで、図7−4に示すように、軟磁性膜36に所定のレジストパターンをマスクとしたイオンミリングを施すことによって、不要部分を除去し、磁極部12を形成する。このようにして、近接場光照射部10を内部に埋設した状態で、かつ、近接場光照射部10と磁極部12との間に、絶縁部24を介設した状態で、磁極部12が、透光性基板32上に形成される。その後、コイル14や書き込みシールド部22が形成されることによって、最終的に、図5に示す磁気ヘッド7が完成する。
以上説明してきたように、本実施例に係る磁気ヘッド7では、近接場光照射部10と磁極部12との間に、非磁性体からなる絶縁部24が介設されている。このため、近接場光照射部10で励起された表面プラズモンを無駄なく近接場光照射部10の先端部10aへ集めることができ、より強度の強い近接場光を発生することができる。その結果、磁気ディスク2をより効率よく加熱することができ、磁気ディスク2に対する磁気情報の書き込み効率をさらに向上することができる。
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
例えば、上記実施例では、近接場光照射部10の形状を、三角形状としたが、この形状に限らず、近接場光照射部10に励起される表面プラズモンを、近接場光照射部10の先端部10aに効率よく集めて、近接場光照射部10の先端部10aからの近接場光の強度を向上し得る形状であれば如何なる形状であっても良い。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドであって、
光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、
前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、
前記近接場光照射部は、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする磁気ヘッド。
(付記2)前記近接場光照射部は、
前記近接場光を照射する先端部が前記磁極部のトレーリング側縁部に近づく方向に、傾斜した状態で、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッド。
(付記3)前記磁極部の前記磁気記録媒体に対向する端面の形状は、前記磁極部のトレーリング側縁部及び前記磁極部のリーディング側縁部をそれぞれ長辺及び短辺とした逆台形から、前記磁極部のリーディング側縁部を底辺とした三角形を除外した形状であることを特徴とする付記1又は2に記載の磁気ヘッド。
(付記4)前記近接場光照射部と前記磁極部との間に、非磁性体からなる絶縁部が介設されていることを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の磁気ヘッド。
(付記5)磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドとを有する磁気記録装置であって、
前記磁気ヘッドは、
光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、
前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、
前記近接場光照射部は、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする磁気記録装置。
(付記6)前記近接場光照射部は、
前記近接場光を照射する先端部が前記磁極部のトレーリング側縁部に近づく方向に、傾斜した状態で、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする付記5に記載の磁気記録装置。
(付記7)前記磁極部の前記磁気記録媒体に対向する端面の形状は、前記磁極部のトレーリング側縁部及び前記磁極部のリーディング側縁部をそれぞれ長辺及び短辺とした逆台形から、前記磁極部のリーディング側縁部を底辺とした三角形を除外した形状であることを特徴とする付記5又は6に記載の磁気記録装置。
(付記8)前記近接場光照射部と前記磁極部との間に、非磁性体からなる絶縁部が介設されていることを特徴とする付記5〜7のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
(付記9)磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドの製造方法であって、
光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部を、透光性基板上に形成する工程と、
前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部を、当該磁極部の内部に前記近接場光照射部を埋設した状態で、前記透光性基板上に形成する工程と
を含む磁気ヘッドの製造方法。
実施例1に係る磁気記録装置の構成を示す外観図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの縦断面図である。 図2に示す磁気ヘッドの底面図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例1に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例2に係る磁気ヘッドの縦断面図である。 図5に示す磁気ヘッドの底面図である。 実施例2に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例2に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例2に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。 実施例2に係る磁気ヘッドの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1 磁気記録装置
2 磁気記録媒体(磁気ディスク)
3 磁気ヘッド
7 磁気ヘッド
9 媒体対向面
10 近接場光照射部
10a 先端部
12 磁極部
12a トレーリング側縁部
12b リーディング側縁部
16 光源(レーザ)
24 絶縁部
32 透光性基板

Claims (5)

  1. 磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドであって、
    光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、
    前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、
    前記近接場光照射部は、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 前記近接場光照射部は、
    前記近接場光を照射する先端部が前記磁極部のトレーリング側縁部に近づく方向に、傾斜した状態で、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 前記磁極部の前記磁気記録媒体に対向する端面の形状は、前記磁極部のトレーリング側縁部及び前記磁極部のリーディング側縁部をそれぞれ長辺及び短辺とした逆台形から、前記磁極部のリーディング側縁部を底辺とした三角形を除外した形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッド。
  4. 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドとを有する磁気記録装置であって、
    前記磁気ヘッドは、
    光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部と、
    前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部とを有し、
    前記近接場光照射部は、前記磁極部の内部に埋設されていることを特徴とする磁気記録装置。
  5. 磁気記録媒体に対して磁気情報の読み書きを行う磁気ヘッドの製造方法であって、
    光源からの光を近接場光として前記磁気記録媒体に照射し、当該磁気記録媒体を加熱する近接場光照射部を、透光性基板上に形成する工程と、
    前記近接場光照射部によって加熱された磁気記録媒体に、前記磁気情報に応じた磁界を印加する磁極部を、当該磁極部の内部に前記近接場光照射部を埋設した状態で、前記透光性基板上に形成する工程と
    を含む磁気ヘッドの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012064302A (ja) * 2011-09-27 2012-03-29 Seiko Instruments Inc 記録ヘッド及び情報記録再生装置
JP2012064255A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Seiko Instruments Inc 記録ヘッド及び情報記録再生装置
JP2014167843A (ja) * 2014-06-18 2014-09-11 Seiko Instruments Inc 記録ヘッド及び情報記録再生装置

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