JP2010120998A - 帯電防止剤および帯電防止性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は優れた帯電防止性、耐汚染性及び耐熱性を有する帯電防止剤とそれを含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来、熱可塑性樹脂に帯電防止性能を付与する方法として、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルケニルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤型の低分子型帯電防止剤が使用されているが、この方法は製品成型後の短期間における帯電防止性は有するが、製品表面にブリードアウトした界面活性剤が製品を汚染したり、水洗や経時により帯電防止性能が失われる等の問題があった。
これらの界面活性剤の使用による問題点を解決する手段として、特許文献1にはポリエーテルエステル型の高分子型帯電防止剤を使用する方法や、特許文献2にはポリエーテルエステルアミド型の高分子型帯電防止剤を使用する方法が知られているが、これらの帯電防止性能はポリエーテル構造に起因しているため、帯電防止性能が不足している問題があった。
本発明の原料として使用しているベタイン系化合物は、一般的に界面活性剤として洗剤、ボディーソープ、シャンプーの配合原料として使用されており、帯電防止性能を有していることも知られているが、熱可塑性樹脂に練り込んで使用するには耐熱性が不十分であり、また帯電防止性能も不足していた。
ベタイン系化合物の様な両性イオン化合物の利用技術として、特許文献3、4にはスルホベタイン型化合物を帯電防止剤として利用している。しかしこの化合物の合成には発癌性の疑いのある1,3−プロパンスルトンを用いており、取り扱いに問題があるだけでなく、帯電防止性能も不足していた。特許文献5には両性イオン化合物とプロトン供与体からなるプロトン伝導体を燃料電池に利用している。また、特許文献6にはイミダゾール系の両性イオン化合物と金属イオンからなるイオン性化合物を電解質、電気化学デバイスに用いている。しかし、これらには帯電防止性については、何らの記載も示唆もない。
特開平09−59601号公報(第1−11頁)
特許第2565846(第1−12頁)
特開2005−272316(第1−8頁)
特開2008−63225(第1−15頁)
WO2006/025482(第1−22頁)
特開2004−161615(第1−13頁)
本発明の目的は、熱可塑性樹脂に優れた帯電防止性を付与し、かつ耐汚染性及び耐熱性に優れた帯電防止剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の有機酸金属塩とベタイン系化合物を混合することにより得られる帯電防止剤及び必要に応じポリオキシアルキレン構造を有するポリマーを含有する樹脂組成物が優れた帯電防止性、耐汚染性を発現することを見出し本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、一般式MA(Mは1価の金属原子を表し、Aは1価の有機酸残基を表す。)で表される有機酸金属塩と下記一般式(1)で表される化合物とを混合することにより得られる帯電防止剤に関するものである。
(R1、R2、R3はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
本発明はまた、一般式MA(Mは1価の金属原子を表し、Aは1価の有機酸残基を表す。)で表される有機酸金属塩と下記一般式(2)で表される化合物とを混合することにより得られる帯電防止剤に関するものである。
(R4は炭素数3〜21のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、若しくはアルケニル基を表し、R5は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、R6、R7はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
本発明に係わる耐熱性に優れた帯電防止剤及び必要に応じポリオキシアルキレン構造を有するポリマーを熱可塑性樹脂組成物に使用することにより優れた帯電防止性と耐汚染性を発揮できることが判った。
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式MAで表される有機酸金属塩において、1価の有機酸成分Aの残基を表し、有機酸成分Aとしては、蟻酸、酢酸、脂肪酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸類が挙げられ、更にビストリフルオロメタンスルホンイミド(CF3SO2)2NHも挙げられる。入手しやすさ、扱いやすさの点からはメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸が好ましいが、製造した化合物の耐熱性が優れる点で、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロスルホニル)イミドが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用しても良い。Mは有機酸金属塩の1価の金属成分を表し、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ、入手しやすさ、帯電防止性能の点からリチウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用しても良い。
前記一般式(1)において、R1〜R3はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示す。具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリール基若しくはアラルキル基を表す。上記アルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基は、直鎖、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよいが、中でも直鎖が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。また炭素数1〜20のアルケニル基としては、上記アルキル基で1つの不飽和結合が形成されるアルケニル基(例えば、デセニル基)が例示でき、また炭素数1〜20のアルコキシ基としては、上記アルキル基に酸素原子が結合して形成されるアルコキシ基(例えば、メトキシ基)が例示できる。炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、p位がフッ素原子又は塩素原子で置換されたフェニル基、3,4位が塩素原子で置換されたフェニル基、m位がトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。炭素数6〜25のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、芳香環の3,4位が塩素原子で置換されたベンジル基等が挙げられる。R1としては、炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、炭素数8〜18のアルキル基がより好ましく,R2及びR3としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(1)において、具体的なベタイン化合物としては、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヘキサデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクタデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オクテニルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デセニルジエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、中でもオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、デシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用しても良い。
前記一般式(2)において、R4は炭素数3〜21のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、若しくはアルケニル基を表し、使用する脂肪酸に由来する。これらの中でも帯電防止性と耐汚染性の両立の点で炭素数7〜17のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、若しくはアルケニル基が好ましい。アルキル基としては、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基が挙げられるが、帯電防止性と耐汚染性の両立の点でヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基が好ましい。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基、ヒドロキシエイコシル基、ヒドロキシヘンエイコシル基が挙げられるが、帯電防止性と耐汚染性の両立の点でヒドロキシヘプタデシル基が好ましい。アルケニル基としては、オレイン酸残基、リノール酸残基、リノレン酸残基、エルカ酸残基が挙げられるが、帯電防止性と耐汚染性の両立の点でオレイン酸残基が好ましい。
前記一般式(2)において、R5は炭素数2〜4のアルキレン基を示す。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられるが、帯電防止性と耐汚染性の両立の点でプロピレン基が好ましい。
前記一般式(2)において、R6、R7はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示す。具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリール基若しくはアラルキル基を表す。上記アルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基は、直鎖、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよいが、中でも直鎖が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。また炭素数1〜20のアルケニル基としては、上記アルキル基で1つの不飽和結合が形成されるアルケニル基(例えば、デセニル基)が例示でき、また炭素数1〜20のアルコキシ基としては、上記アルキル基に酸素原子が結合して形成されるアルコキシ基(例えば、メトキシ基)が例示できる。炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、p位がフッ素原子又は塩素原子で置換されたフェニル基、3,4位が塩素原子で置換されたフェニル基、m位がトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。炭素数6〜25のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、芳香環の3,4位が塩素原子で置換されたベンジル基等が挙げられる。R6及びR7としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(2)において、具体的な脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタイン化合物としては、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カプリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドプロピルジエチルアミノ酢酸ベタイン、エルカ酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、中でもカプリル酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カプリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイン酸アミドジエチルプロピルアミノ酢酸ベタインが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用しても良い。
前記一般式(3)において、R8〜R10はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示す。具体的には、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜20のアリール基若しくはアラルキル基を表す。上記アルキル基、アルケニル基及びアルコキシ基は、直鎖、分岐状及び環状のいずれの形態であってもよいが、中でも直鎖が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基及びアラルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。また炭素数1〜20のアルケニル基としては、上記アルキル基で1つの不飽和結合が形成されるアルケニル基(例えば、デセニル基)が例示でき、また炭素数1〜20のアルコキシ基としては、上記アルキル基に酸素原子が結合して形成されるアルコキシ基(例えば、メトキシ基)が例示できる。炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、p位がフッ素原子又は塩素原子で置換されたフェニル基、3,4位が塩素原子で置換されたフェニル基、m位がトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。炭素数6〜25のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、芳香環の3,4位が塩素原子で置換されたベンジル基等が挙げられる。R8としては、炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、炭素数8〜18のアルキル基がより好ましく,R9及びR10としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
前記一般式(3)において、具体的なヒドロキシスルホベタイン化合物としては、オクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、デシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ドデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、テトラデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ヘキサデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、オクタデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、オクテニルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、デセニルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、中でもオクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、デシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ドデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインが好ましい。また、これらの2種以上を混合して使用しても良い。
本発明の一般式(1)、(2)で表されるベタイン成分の製造方法は公知の方法でよく、例えば、対応するアミン化合物、脂肪酸アミドアミン化合物にクロロ酢酸ナトリウムを反応させることにより得られることができる。副生成物の塩化ナトリウムは取り除くことが好ましい。
本発明の一般式(3)で表されるヒドロキシスルホベタイン成分の製造方法は公知の方法でよく、例えば、対応するアミン化合物に1−クロロ2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウムを反応させることにより得られることができる。副生成物の塩化ナトリウムは取り除くことが好ましい。
本発明の帯電防止剤は、ベタイン系化合物に対して、等モルの有機酸金属塩を混合することにより得られるがこれに限定されるものではない。例えば、ベタイン系化合物1.0モルに対して、有機酸金属塩を0.5〜1.5モル混合することが好ましく、0.8〜1.2モル混合することがより好ましい。
本発明において有機酸金属塩にベタイン系化合物を混合させる方法としては、ベタイン系化合物の水溶液若しくは溶剤溶液に有機酸金属塩を加え、70〜100℃で1時間ほど混合攪拌することにより目的の帯電防止剤を得ることができる。又、熱可塑性樹脂に有機酸金属塩とベタイン系化合物を別々に添加し、練り込むことによっても、熱可塑性樹脂中で有機酸金属塩とベタイン系化合物が混合され目的の帯電防止剤が得られ、帯電防止性熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明において有機酸金属塩とベタイン系化合物とを混合することにより得られる帯電防止剤としては、下記の一般式(4)〜(6)で表される様な有機酸金属塩とベタイン系化合物がイオン結合した構造を推定しているが、これに限定されるものではない。
(R1、R2、R3はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を表し、A−は1価の有機酸残基を表し、M+は1価の金属イオンを表す。)
本発明におけるポリオキシアルキレン構造を有するポリマーとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリアルキレンオキサイド樹脂、ポリオキシアルキレン構造とエステル結合を有するポリエーテルエステル樹脂、ポリオキシアルキレン構造とアミド結合を有するポリエーテルアミド樹脂、ポリオキシアルキレン構造とアミド結合及びエステル結合を有するポリエーテルエステルアミド樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂との相溶性、入手しやすさの点からポリエーテルエステル樹脂、ポリエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。
本発明の帯電防止剤成分は従来の練り込み型帯電防止剤に比べて汚染性が少ない優れた帯電防止性能を発現するが、さらにポリオキシアルキレン構造を有するポリマーを混合することにより、各々単体で使用するよりも良好な帯電防止性能を発現させることもできる。主目的である帯電防止性を発揮させ、かつ、相溶性の点で、帯電防止剤成分より選ばれる少なくとも1つを1〜70質量%と前記ポリマー30〜99質量%を配合することが好ましく、帯電防止剤成分20〜50質量%に対して、前記ポリマー50〜80質量%を配合することがより好ましい。帯電防止剤成分が70質量%を超えると相溶性が若干不足し、逆に1質量%未満では帯電防止性能が不足してしまう。
本発明に関わる帯電防止剤に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要により本発明以外の公知の帯電防止剤を含有させてもよい。本発明以外の公知の帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルケニルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸とジエタノールアミンによる縮合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。具体的には、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、グリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリン酸エステル、ステアリン酸とジエタノールアミンによる縮合物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は特に限定されず主に公知の熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等のオレフィンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のオレフィンと極性ビニル化合物との共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、生分解性樹脂等を例示することが出来るが、特にポリオレフィン系樹脂に有用である。
熱可塑性樹脂組成物に対する帯電防止剤の添加量は、単独で用いる場合は主目的である帯電防止性能を発揮させ、かつ、相溶性の点で0.01〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。また、ポリオキシアルキレン構造を有するポリマー(V)を併用する場合は、主目的である帯電防止性能を発揮させ、かつ、相溶性の点で帯電防止剤成分との合計で0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。また、帯電防止剤成分は上記添加量範囲内に混合して使用しても何ら問題はない。
本発明の樹脂組成物はプレス成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、カレンダー成形等による種々の形状の成形品やカレンダーフィルム、Tダイフィルム、インフレーションフィルム、キャストフィルム等のフィルム成形品に加工することができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤や充填剤を付加成分として添加することができる。
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。特に、本発明に係わる樹脂組成物の好ましい例として、ポリプロピレンのプレスシート成形品について説明するが、本発明における樹脂組成物は、これに限定されるものではない。
<有機酸金属塩と酢酸ベタイン化合物の混合物作製例>
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミン1.0モルを仕込み、クロロ酢酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。次に、ガラス製反応容器に脱塩したオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い、目的物のオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた混合物を帯電防止剤(I−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(I−2)〜(I−5)の作製を表1の如く行った。得られた帯電防止剤(I−2)〜(I−5)についても後記のテストに供する。
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミン1.0モルを仕込み、クロロ酢酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、オクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。次に、ガラス製反応容器に脱塩したオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い、目的物のオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた混合物を帯電防止剤(I−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(I−2)〜(I−5)の作製を表1の如く行った。得られた帯電防止剤(I−2)〜(I−5)についても後記のテストに供する。
<耐熱性測定法>
得られた帯電防止剤(I−2)及び(I−3)とドデシルジメチルアミノ酢酸ベタインを熱分析装置(TG/DTA6200:セイコーインスツルメンツ(株)製)にて40〜400℃(昇温10℃/分)における熱残存率を測定し下記表2の結果を得た。
得られた帯電防止剤(I−2)及び(I−3)とドデシルジメチルアミノ酢酸ベタインを熱分析装置(TG/DTA6200:セイコーインスツルメンツ(株)製)にて40〜400℃(昇温10℃/分)における熱残存率を測定し下記表2の結果を得た。
<有機酸金属塩と脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタインの混合物作製例>
ガラス製反応容器にカプリル酸アミドジメチルアミン1.0モルを仕込み、クロロ酢酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、カプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。次に、ガラス製反応容器に脱塩したカプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い目的物のカプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた混合物を帯電防止剤(II−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(II−2)〜(II−5)の作製を表3の如く行った。得られた帯電防止剤(II−2)〜(II−5)についても後記のテストに供する。
ガラス製反応容器にカプリル酸アミドジメチルアミン1.0モルを仕込み、クロロ酢酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、カプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。次に、ガラス製反応容器に脱塩したカプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い目的物のカプリル酸アミドジメチルアミノ酢酸ベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた混合物を帯電防止剤(II−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(II−2)〜(II−5)の作製を表3の如く行った。得られた帯電防止剤(II−2)〜(II−5)についても後記のテストに供する。
<耐熱性測定>
得られた帯電防止剤(II−2)及び(II−3)とラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを上記と同様に熱残存率を測定し下記表4の結果を得た。
得られた帯電防止剤(II−2)及び(II−3)とラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインを上記と同様に熱残存率を測定し下記表4の結果を得た。
<有機酸金属塩とヒドロキシスルホベタイン化合物の混合物作製例>
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミン1.0モルを仕込み、1−クロロ2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、オクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い、目的物のオクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた化合物を帯電防止剤(III−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(III−2)〜(III−5)の作製を表5の如く行った。得られた帯電防止剤(III−2)〜(III−5)についても後記のテストに供する。
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミン1.0モルを仕込み、1−クロロ2−ヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム水溶液1.0モルを温度80℃に維持しながら滴下後、1時間熟成し、オクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン水溶液を得た。得られたベタイン水溶液をイオン交換膜を用いた電気透析槽を使用し脱塩を行った。
ガラス製反応容器にオクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン(30%水溶液)1.0モルを仕込み、N2流入下、メタンスルホン酸ナトリウム(30%水溶液)1.0モルを70〜80℃に維持しながら滴下、1時間熟成後、加熱脱水を行い、目的物のオクチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン・メタンスルホン酸ナトリウム混合物を得た。得られた化合物を帯電防止剤(III−1)とし、後記のテストに供する。これと同様に、帯電防止剤(III−2)〜(III−5)の作製を表5の如く行った。得られた帯電防止剤(III−2)〜(III−5)についても後記のテストに供する。
<耐熱性測定>
得られた帯電防止剤(III−2)及び(III−3)とドデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインを上記と同様に熱残存率を測定し下記表6の結果を得た。
得られた帯電防止剤(III−2)及び(III−3)とドデシルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインを上記と同様に熱残存率を測定し下記表6の結果を得た。
<ポリオキシアルキレン構造を有するポリマー(VI)例>
VI−1:ポリエーテルエステルアミド(富士化成工業(株)製「TPAE237IP−11A」)
VI−2:ポリエーテルエステル(東レ・デュポン(株)製「ハイトレル4777」)
VI−3:ポリエチレングリコール(東邦化学工業(株)製「トーホーポリエチレングリコール1000」)
VI−1:ポリエーテルエステルアミド(富士化成工業(株)製「TPAE237IP−11A」)
VI−2:ポリエーテルエステル(東レ・デュポン(株)製「ハイトレル4777」)
VI−3:ポリエチレングリコール(東邦化学工業(株)製「トーホーポリエチレングリコール1000」)
<評価用シートの作製>
実施例1〜20、比較例1〜8
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP FY6C」)100質量部に表7に示した帯電防止剤1〜18、比較化合物1〜5を表8に示した添加量で配合し、ローラミキサー(東洋精機(株)製「ラボプラストミル4C150−01」)にて200度で溶解混合後、プレス成形機(東洋精機(株)製「ミニテストプレス−10」)にて10cm×10cm×1mmのシートを作製した。得られたシートの評価結果を表8に表す。
実施例1〜20、比較例1〜8
ポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP FY6C」)100質量部に表7に示した帯電防止剤1〜18、比較化合物1〜5を表8に示した添加量で配合し、ローラミキサー(東洋精機(株)製「ラボプラストミル4C150−01」)にて200度で溶解混合後、プレス成形機(東洋精機(株)製「ミニテストプレス−10」)にて10cm×10cm×1mmのシートを作製した。得られたシートの評価結果を表8に表す。
<評価方法>
シートの評価は、下記の方法によって行った。
1.外観評価
得られたシートの帯電防止剤及び比較化合物の相溶状態を無添加ポリプロピレンシートの外観との比較目視により実施。
◎:外観は無添加ポリプロピレンシートと同等で相溶状態は良好。
○:若干の着色は見られるが、相溶状態は良好。
△:若干相溶化しておらず、筋模様になっている状態。
×:全く相溶化しておらず、相溶状態が悪い。
シートの評価は、下記の方法によって行った。
1.外観評価
得られたシートの帯電防止剤及び比較化合物の相溶状態を無添加ポリプロピレンシートの外観との比較目視により実施。
◎:外観は無添加ポリプロピレンシートと同等で相溶状態は良好。
○:若干の着色は見られるが、相溶状態は良好。
△:若干相溶化しておらず、筋模様になっている状態。
×:全く相溶化しておらず、相溶状態が悪い。
2.汚染性評価
得られたシート上にガラス板を載せ、40℃の条件下で1ヶ月保管後のガラス板への付着物を目視により評価。
○:付着物が見られず、透明な状態。
△:若干の付着物が見られる、半透明な状態。
×:付着物により曇っている状態。
得られたシート上にガラス板を載せ、40℃の条件下で1ヶ月保管後のガラス板への付着物を目視により評価。
○:付着物が見られず、透明な状態。
△:若干の付着物が見られる、半透明な状態。
×:付着物により曇っている状態。
3.帯電防止性評価
得られたシートをJIS−K−6911に準じ、表面固有抵抗値を測定した(R−503型超絶縁計:川口電機製作所(株)製)。Log(表面固有抵抗値Ω)が11以下が目標である。
得られたシートをJIS−K−6911に準じ、表面固有抵抗値を測定した(R−503型超絶縁計:川口電機製作所(株)製)。Log(表面固有抵抗値Ω)が11以下が目標である。
表2、4、6の耐熱性評価に示すように、本発明帯電防止剤は耐熱性に優れる。また、表8の実施例1〜20に示すように、本発明帯電防止剤1〜18を添加したポリオレフィン系シートは帯電防止性、耐汚染性に優れている。
Claims (7)
- 請求項1〜3記載の帯電防止剤より選ばれる少なくとも1種を熱可塑性樹脂に対して0.01〜10質量%含有することを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3記載の帯電防止剤より選ばれる少なくとも1種を1〜70質量%と、ポリオキシアルキレン構造を有するポリマー30〜99質量%からなることを特徴とする帯電防止剤。
- 前記ポリオキシアルキレン構造を有するポリマーがポリエーテルエステル又はポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする請求項5記載の帯電防止剤。
- 請求項5又は6記載の帯電防止剤を熱可塑性樹脂に対して0.1〜30質量%含有することを特徴とする帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
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JP2008294287A JP2010120998A (ja) | 2008-11-18 | 2008-11-18 | 帯電防止剤および帯電防止性熱可塑性樹脂組成物 |
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WO2012160186A1 (en) | 2011-05-26 | 2012-11-29 | Jado Technologies Gmbh | Oxygenated amino- or ammonium-containing sulfonic acid, phosphonic acid and carboxylic acid derivatives and their medical use |
US9573886B2 (en) | 2011-05-26 | 2017-02-21 | Glycoregimmune, Inc. | Hydroxy-substituted amino and ammonium derivatives and their medical use |
US9850265B2 (en) | 2011-05-26 | 2017-12-26 | Gri Bio, Inc. | Amino- or ammonium-containing sulfonic acid, phosphonic acid and carboxylic acid derivatives and their medical use |
KR102140491B1 (ko) * | 2019-08-12 | 2020-08-04 | 정준석 | 섬유용 대전방지 마스터배치 조성물 및 이를 포함하는 대전방지 수지 조성물 |
CN117447366A (zh) * | 2023-10-25 | 2024-01-26 | 广州梵泰新材料科技有限公司 | 一种抗静电剂及其制备方法和应用 |
-
2008
- 2008-11-18 JP JP2008294287A patent/JP2010120998A/ja active Pending
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US10952977B2 (en) | 2011-05-26 | 2021-03-23 | Gri Bio, Inc. | Hydroxy-substituted amino and ammonium derivatives and their medical use |
US10829506B2 (en) | 2011-05-26 | 2020-11-10 | Gri Bio, Inc. | Amino- or ammonium-containing sulfonic acid, phosphonic acid and carboxylic acid derivatives and their medical use |
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US10143668B2 (en) | 2011-05-26 | 2018-12-04 | Gri Bio, Inc. | Hydroxy-substituted amino and ammonium derivatives and their medical use |
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