JP2010120836A - ミクロポーラス炭素系材料、ミクロポーラス炭素系材料の製造方法、吸着材及びミクロポーラス炭素系材料を用いた水素吸蔵方法 - Google Patents

ミクロポーラス炭素系材料、ミクロポーラス炭素系材料の製造方法、吸着材及びミクロポーラス炭素系材料を用いた水素吸蔵方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス吸着量が多いミクロポーラス炭素系材料を提供する。
【解決手段】ミクロポーラス炭素系材料であって、炭素骨格中に窒素を有し、3次元の長周期規則構造と、内部にミクロ細孔とを有し、BET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素の元素比が0.07以上である。このミクロポーラス炭素系材料は、多孔質材料1の表面及び空孔(ミクロ孔)の内部に窒素含有有機化合物を導入し、この窒素含有有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、多孔質材料1の表面及び空孔の内部に有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、多孔質材料1を除去する第3の工程と、を有する製造方法により得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒素を含有するミクロポーラス炭素系材料、ミクロポーラス炭素系材料の製造方法、吸着材及びミクロポーラス炭素系材料を用いた水素吸蔵方法に関する。
炭素は、耐熱性が高く、電気や熱も良く伝え、しかも薬品などにも侵されにくいなど、単一の元素からできているとは思えないほど多様な性質を持つ魅力的な材料である。最近では、これまで使われてきた用途の他に、水素やメタンなどに代表される付加価値の高いガスを貯蔵する材料への適用や、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して貯蔵するデバイスであるキャパシタやリチウムイオン電池、燃料電池の電極材料への適用などが提案されている。
このように、用途に応じて古くから種々の炭素材料が製造されてきた。これまで提案されている炭素材料は、石油や石炭から取れる重質芳香族化合物であるピッチや、汎用高分子類など既存の材料を炭素化して目的の構造や特性にいかに巧みに近づけるかという点にポイントを置いて調製されたものであった。今後、新しい機能を備えた炭素材料を調製するためには、分子レベルで炭素材料を設計、合成すること、例えば、ミクロレベルで規則的な構造を有するといった炭素材料を製造することが必要と考えられる。しかし、これまでの調製方法では、そのような炭素材料を合成することは難しいと予想されている。
規則的な構造を有するメソ多孔質炭素を得る方法としては、鋳型としてメソ多孔質(メソポーラス)シリカを使用して、規則構造を有するメソ多孔質炭素を得ることが開示されている。しかし、この方法では、規則的なメソ細孔構造を得ることができるが、更に細孔が小さな規則的なミクロ細孔構造を得ることはできない(非特許文献1及び非特許文献2参照) 。
そこで、本願発明の発明者らのグループは、多孔質材料を鋳型に使用して、多孔質材料の表面及び空孔内部に有機物を導入し、これを加熱した後に多孔質材料を除去することによって、長周期を有する規則構造を備える炭素材料(ゼオライトテンプレートカーボン;以下MPCとする)を得ることを提案している(特許文献1,2、非特許文献3,4参照。)。また、多孔質材料に導入する有機化合物として窒素原子を含有する有機物を用い、この有機物を化学気相成長反応させることを提案している。この反応により、鋳型に用いている多孔質材料の空孔の形状を反映し、かつ窒素がドープされた炭素材料が得られる。この炭素材料は、ナノレベルの構造規則性と、鋳型として用いた多孔質材料の形状を反映した空孔を持ち、かつ、炭素の二次元積層規則性が抑えられ、窒素がドープされた新規な多孔質炭素材料(窒素をドープしたゼオライトテンプレートカーボン、窒素ドープ microporous carbon;以下、窒素ドープMPCと称する。)である(特許文献3参照。)。
特許第3951567号公報 特開2003−206112号公報 特開2006−310514号公報
RooR, et al., J.Phys.Chem.B1999;103:7743-7746 LeeJ, et al., Chem.Commun.1999;2177-2178 Kyotani, et al., Chem.Commun.2000;2365-2366 MaZX, et al., Carbon,40:pp.2367-2374(2002)
特許文献3が開示した窒素ドープMPC(以下、従来型窒素ドープMCPと称する。)の製造法では、Na−Y型ゼオライトを鋳型多孔質材料として用い、導入する有機化合物としてフルフリルアルコールを用いている。そして、ゼオライトにフルフリルアルコールを充填した後、更に窒素源としてアセトニトリルを加えて化学気相成長(CVD)により目的の炭素材料を得る。しかし、本方法で得られる炭素材料(従来型窒素ドープMCP)では、窒素の含有量が低く、N/Cの元素比は0.05〜0.06程度が限界である。また、従来型窒素ドープMPC製造法では、窒素含有量が高く、かつ1500m/g以上のBET比表面積を有する炭素材料を得ることは難しい。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係るミクロポーラス炭素系材料は、炭素骨格中に窒素を有し、3次元の長周期規則構造とミクロ細孔とを有し、BET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素の元素比が0.07以上であることを特徴とする。
本発明に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法は、多孔質材料の表面及び空孔の内部に窒素含有有機化合物を導入し、窒素含有有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、多孔質材料の表面及び空孔の内部に有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、多孔質材料を除去する第3の工程と、を有することを特徴とする。また、本発明に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法は、窒素を含有する多孔質材料の表面及び空孔の内部に第1の有機化合物を導入し、この第1の有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、多孔質材料の表面及び空孔の内部に第2の有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、多孔質材料を除去する第3の工程と、を有する方法であることを特徴とする。
本発明に係る吸着材は、上記本発明に係るミクロポーラス炭素系材料を用いたことを特徴とする。また、本発明に係るミクロポーラス系炭素材料を用いた水素吸蔵方法は、上記本発明に係るミクロポーラス炭素系材料を用いて、−40℃から150℃の範囲で水素を吸蔵放出させることを特徴とする。
本発明によれば、水蒸気をはじめとする極性を有するガス、酸性ガス、含酸素炭化水素蒸気等のガス吸着量が多いミクロポーラス炭素系材料が得られる。
本発明に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法によれば、炭素骨格中に窒素を有し、多孔質材料の構造的特徴が反映された、3次元の長周期規則構造とミクロ細孔とを有し、BET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素の元素比が0.07以上であるミクロポーラス炭素系材料が得られる。
本発明によれば、本発明に係るミクロポーラス炭素系材料を用いるため、水蒸気をはじめとする極性を有するガス、酸性ガス、含酸素炭化水素蒸気等のガス吸着量の多い高性能な吸着材が得られる。
本発明によれば、本発明に係るミクロポーラス炭素系材料を用いるため、低温で効率良く水素の吸蔵及び放出が可能となる。
(a)本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法に用いる多孔質材料を示す図である。(b)多孔質材料とミクロポーラス炭素系材料との複合体を示す図である。(c)ミクロポーラス炭素系材料の一例を模式的に示す図である。(d)本発明の他の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の一例を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法に用いる窒素含有有機化合物の例である。 本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料に遷移金属が配位するイメージ図である。 実施例及び比較例の試料名、ゼオライトのカチオンの種類、炭素前駆体、BET表面積、N/C及びXRDの結果を示す表である。 XPSにより分析した各試料における窒素の存在状態を示す表である。 ミクロポーラス炭素系材料の水蒸気吸着等温線を示す図である。 ミクロポーラス炭素系材料のXRDパターンを示す図である。 30℃における実施例4,7の水素吸蔵能を示すグラフである。 100℃における実施例4,7の水素吸蔵能を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料、ミクロポーラス炭素系材料の製造方法、吸着材及びミクロポーラス系炭素材料を用いた水素吸蔵方法を説明する。
<ミクロポーラス炭素系材料>
図1(c)に、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の一例を模式的に示す。図1(c)に示す本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、図1(a)に示す多孔質材料1のミクロ孔(空孔)1aに炭素源である有機化合物を導入した後に加熱処理して図1(b)に示す多孔質材料1とゼオライト炭素としてのミクロポーラス炭素系材料2との複合体3を得て、その後に多孔質材料1のみを除去することによって得られるものである。本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、炭素骨格中に窒素を有し、鋳型として用いた多孔質材料の構造的特徴が反映された、3次元の長周期規則構造2aとミクロ細孔2bとを有し、BET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素の元素比が0.07以上である。なお、図1(d)に示すのは、後述する本発明の他の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料5であり、ゼオライト炭素として得られた上記した本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2に、遷移金属4を担持したものである。以下、詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、その製造にあたり使用する鋳型材である特定の3次元規則構造を有する多孔質材料1が備える構造的特徴を反映したものであり、直径が0.1〜2nmの範囲内にある細孔(ミクロ細孔)2bが網目状に連結した構造を内部に有する多孔性炭素材料である。具体的には、図1(c)に示すように、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、3次元長周期規則構造2aを有すると共に、内部にミクロ細孔2bを有する。より具体的には、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、炭素鎖と炭素鎖の間の距離が任意の間隔で3次元的に長周期にわたって規則的に繰り返した構造を有する炭素材料であり、3次元長周期規則構造2aを形成する炭素鎖と炭素鎖の間の距離が0.5〜100nmであることが好ましい。より好ましくは、炭素鎖と炭素鎖の間の距離が0.7〜50nmであることが好ましい。また、炭素鎖と炭素鎖の間の距離が0.7〜2nmであることが更に好ましい。なお、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正及び応用化学連合)では、直径2nm以下の細孔をミクロ(マイクロ)細孔(micropore)、直径2〜50nmの細孔をメソ細孔(mesopore)、直径50nm以上の細孔をマクロ細孔(macropore)と定義している。ミクロ細孔を有する物質を総称してミクロ(マイクロ)ポーラス材料と称している。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、そのBET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素のモル比が0.07以上であることを特徴とする。本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、3次元長周期規則構造2aとミクロ細孔2bとを有することによりBET表面積が大きい。詳細については不明だが、一般にガス吸着材への適用に関しては、BET表面積が大きいことが好ましい。また、吸着する分子サイズにも影響されるが、ミクロ孔が存在することも重要であると考えられる。これに対して、メソ孔は前述した用途への適用に際してはあまり効果がないと考えられる。このため、所望の高い機能を発現させるためには、相対的にミクロ孔が多く存在することが重要であり、なるべくメソ孔は少ない方が良いと考えられる。この目安として、BET表面積は1500m/g以上であることが好ましい。また、2000m/g以上であることがより好ましく、さらには2500m/g以上であることが好ましい。
このような本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2の製造には、後述するように、特定の3次元規則構造を有する多孔質材料1を鋳型として、その構造的特徴を反映して得られる鋳型法にを用いることが好ましい。用いる多孔質材料は、炭素鎖と炭素鎖の間が0.5〜100nmであることが好ましい。また、多孔質材料の炭素鎖と炭素鎖の間が0.7〜50nmであることがより好ましく、0.7〜2nmであることがさらに好ましい。このように、炭素鎖と炭素鎖の間が任意の間隔で3次元的に長周期にわたって規則的に繰り返した構造の炭素材料を用いることにより、その構造を反映した3次元長周期規則構造2aとミクロ細孔2bとを有するミクロポーラス炭素系材料2が得られる。
また、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、その炭素骨格中に窒素を有する。骨格中に窒素を有することにより、水素吸着力や、特定のガス吸着力が向上する等、新たな機能が付加される。特に、窒素/炭素のモル比が0.07以上となるように窒素がドープすることにより、特定のガス吸着力が向上する機能が発現する。また、窒素/炭素のモル比が0.09以上の場合には、より十分な窒素ドープ効果が得られる。なお、窒素/炭素のモル比が0.07より低い場合には、窒素ドープしたことによる効果が十分に現れない可能性がある。また、窒素ドープ量が多いほど新たな機能性向上が期待できるが、あまり多く入れると細孔構造の形成が難しくなり、表面積低下を招く可能性がある。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、その構造的特徴として2次元積層規則性が少ないほど、ガス吸着力等が高くなる。例えば、粉末X線回折測定を行った場合には、得られるX線回折パターンは、2次元積層規則性を示す通常26°付近に現れる回折ピークはできるだけ少ないほうが好ましい。この26°付近に現れる回折ピークの存在は、無孔質の炭素層の増加を意味し、BET表面積の低下を意味する。
また、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、25℃において、水蒸気吸着等温線の傾きの極大値を示す相対圧(P/P)が0.6以下であることが好ましい。低い相対圧で水蒸気が吸着するほど窒素ドープによる親水性向上が認められることになるが、相対圧(P/P)が0.6以上では窒素ドープの効果が十分とは言えず、機能性付与の効果が得られない。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料では、炭素骨格中に導入されている窒素の状態として、芳香環にヘテロ原子として取り込まれているピリジンタイプの窒素が、全窒素置換基のモル比で10%以上であることが好ましい。窒素の導入状態として、ピリジン窒素、4級窒素、ニトロ基等による導入状態が考えられる。窒素がピリジンタイプの窒素である場合には、窒素/炭素のモル比0.07以上とBET表面積1500m/g以上の両立がより可能となる。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、BET表面積1500m/g以上の高表面積を維持しながら、N/Cの元素比が0.07以上の窒素ドープにより親水性を有することが特徴となっている。このように、窒素ドープにより親水性を有するため、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、水蒸気をはじめとする極性を有するガス、酸性ガス、含酸素炭化水素蒸気等の吸着剤として有用である。また、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は親水性を有するため、電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極として応用した場合に性能の向上が期待できる。一般に、EDLCの電解液は極性が大きく、電極表面との親和性(濡れ性)を考慮すると親水性を示す電極が望まれる。活性炭、ミクロポーラス炭素系材料も含めて、窒素ドープされていない炭素材料は疎水性が強く、キャパシタ等へ応用する場合に親和性(濡れ性)を改変する。このため、EDLCの直接的な性能に関与しない二次的な表面改質処理を行うことがある。これに対し、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は二次的な表面改質処理を行う必要がなく、そのまま用いることが可能となる。このため、よりすぐれた効果が期待できる。その他、水蒸気の吸脱着を利用する吸着式ヒートポンプにおいて、吸着剤として現在使用されているゼオライトと比べて大幅な性能向上が可能なため、装置の小型化等、性能向上が期待できる。
図1(d)に示す本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料5は、ミクロ細孔2b表面に遷移金属4が担持されて新たな機能性を発現させることが可能である。ここで、ミクロ細孔2b表面とは、ミクロポーラス炭素系材料5を構成するゼオライト炭素としてのミクロポーラス炭素系材料2のミクロ細孔2bの表面を指し、ミクロ細孔2b内部の表面も指す。遷移金属4は、ミクロ細孔2b表面だけではなく、ミクロ細孔2b以外の部分、つまり、ゼオライト炭素としてのミクロポーラス炭素系材料2の外表面に担持されても良い。遷移金属4は、ミクロポーラス炭素系材料5において、0.01〜10wt%の濃度範囲内で担持することが好ましい。この場合、遷移金属4は、微粒子の形態でミクロ細孔2bの表面に担持されている。担持されている遷移金属4が0.01wt%以下である場合、遷移金属の機能を十分に得ることができない。一方、担持されている遷移金属4が10wt%以上である場合には、BET表面積が低下したり、遷移金属の微粒子が大きくなり過ぎる。遷移金属の微粒子の大きさは、3nm以下であることが好ましいが、より小さい方が遷移金属の機能と高いBET表面積を維持する上で望ましい。遷移金属の濃度が0.01〜10wt%の場合、元来有する細孔機能を維持しながら、担持した遷移金属が有する機能を発現可能なミクロポーラス炭素系材料が得られる。
担持する金属は、機能性を付与するという観点で遷移金属であることが好ましいが、遷移金属以外の金属であっても良い。また、遷移金属は単体だけではなく、2種類以上の金属が担持されていても良く、合金であっても良い。なお、耐酸化性を機能として付与する場合には、遷移金属のうち白金を用いることが望ましい。白金を用いる場合には、0.05wt%〜6wt%の範囲で用いることが好ましい。担持する金属の機能を得る為には、少なくとも0.05wt%以上がより好ましい。金属を多く用いるとコストアップの要因ともなる。特に白金等の貴金属やレアメタルを用いるとコスト高となるため、担持する場合には多くとも6wt%程度までが好ましい。これ以上担持することは技術的には可能であるが、担持の割合に対して性能向上は見込めない場合が多い。
製造プロセス、水素貯蔵用途などの使用環境において還元雰囲気を維持できる場合は、担持する金属に耐酸化性を持たせなくとも、使用することが可能である。担持に好ましい遷移金属としては、金属結合型または侵入型水素化物(M−H結合)を形成する遷移金属であれば限定されない。資源的な観点から、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びランタノイド類(特にランタン、セリウム)等があげられる。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料5は、遷移金属4を担持した状態で、ミクロ細孔2bの占める容積が0.8cm/g以上であることが好ましい。ミクロ細孔2bの占める容積は、1.0cm/g以上であることがより好ましく、1.2cm/g以上であることが更に好ましい。また、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料5は、遷移金属4を担持した状態で、BET表面積が1500m/g以上であることが好ましい。BET表面積は2000m/g以上であることがより好ましく、BET表面積が3000m/g以上であることが更に好ましい。ミクロ細孔の占める容積が0.8cm/g以下又はBET表面積が1500m/g以下である場合には、ミクロポーラス炭素系材料の十分な水素貯蔵性能が得られない場合がある。なお、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料を水素貯蔵材料として利用する場合、ミクロ細孔の占める容積の割合は多いほど好ましいが、ミクロ細孔の占める容積Aと直径が2〜50nmの範囲内にある細孔(メソ細孔容積)が占める容積Bの比率A/Bは少なくとも2以上、好ましくは3以上であることが望ましい。比率A/Bが低下した場合、同一比表面積であっても水素貯蔵性能が低下する可能性がある。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、その構造的特徴として2次元積層規則性が少ないほど、ガス吸着力等が高くなる。例えば、粉末X線回折測定を行った場合には、得られるX線回折パターンは、2次元積層規則性を示す通常26°付近に現れる回折ピークはできるだけ少ないほうが好ましい。この26°付近に現れる回折ピークの存在は、無孔質の炭素層の増加を意味し、BET表面積の低下を意味する。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、−40℃から150℃の範囲で水素を吸蔵放出させることができる。特に、遷移金属を担持した場合には、温度上昇と共に吸蔵能が向上する。上限である150℃は、材料の安定性、材料を充填する筐体の設計自由度を考慮したものである。燃料電池の廃熱利用を考慮すると、100℃以下で使用することが望ましい。また、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、水素の吸蔵能だけではなく、吸蔵した水素を容易に放出させることが可能である。このため、水素吸蔵材料として有効に使用することが可能となる。このように、本発明の実施の形態に係る水素吸蔵方法では、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料を用いるため、低温で効率良く水素の吸蔵及び放出が可能となる。
<ミクロポーラス炭素系材料の製造方法>
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、多孔質材料の表面及び空孔の内部に窒素含有有機化合物を導入し、この窒素含有有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、多孔質材料の表面及び空孔の内部に有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、多孔質材料を除去する第3の工程と、を有する製造方法により得られる。上記した構造的な特徴を得るためには、構造内部に空孔を有し、この空孔が網目状に連結した構造を有する多孔質材料を鋳型として用いる。そして、この多孔質材料の表面及び空孔内部に窒素を含有する有機化合物を導入し、これを加熱することによって窒素を含有する有機化合物を炭化し、さらに、新たに有機化合物を導入して窒素を堆積させる。次に、鋳型である多孔質材料を除去する。この方法により、ミクロポーラス炭素系材料を容易に製造することができる。また、窒素の堆積の際に、第1の工程における加熱・炭化温度よりも高い温度で加熱し、次に多孔質材料を除去することで、よりBET表面積の大きなミクロポーラス炭素系材料を得ることができる。詳細については不明だが、上記の連続する処理によって、多孔質材料の内部に均一に炭素材料を形成し、かつその炭素材料に機能的に窒素をドープすることが可能となる。さらに、長周期にわたって規則的に繰り返した構造を有するとともに、親水性が付与された多孔性炭素材料が生成し易くなると考えられる。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の製造において、多孔質材料に導入する窒素含有有機化合物は液化又は気化できることが必要である。液化の方法は、融点以上に加熱することや溶媒に溶解させること、さらには加圧すること等があげられる。気化の方法は、沸点以上に加熱すること、雰囲気を減圧にすること等があげられる。
窒素含有有機化合物は、シアノ基及びアミノ基置換炭化水素、5員含窒素複素環式化合物又は6員含窒素複素環式化合物が挙げられる。窒素のドープ量の向上、特に目的とする窒素/炭素モル比0.07以上の本発明のミクロポーラス炭素系材料を得るためには、アミノ基、シアノ基が2つ以上置換されたジシアノマレオニトリル等のエチレン、プロピレン誘導体があげられる。また、環状化合物としては、置換又は非置換のイミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、トリアジン、テトラジン、及びその誘導体等の窒素含有有機化合物があげられる。このように、使用可能な窒素含有有機化合物として、図2(a)〜(r)に示す化合物があげられる。なお、鋳型として用いる多孔質材料のシラノール基と脱水縮合が期待できる化合物を用いることが好ましく、前述した化合物のヒドロキシル基置換体を、単独又は混合して用いることが特に好ましい。
有機物を多孔質材料の空孔内部へ導入する際には、多孔質材料を予め減圧しておくことが好ましい。有機物を炭化する際には、鋳型の多孔質材料は安定であって、有機物の炭化反応のみが起こる方法であれば良い。通常は、鋳型として用いた多孔質材料に窒素含有有機化合物を含浸した複合体(composite)を加熱することにより、含浸した窒素含有有機化合物(又はその重合物)を炭化することができる。加熱温度は、使用する窒素含有有機化合物によって適宜適切な温度を選択できるが、通常は400〜1500℃の範囲である。また、500〜1100℃の範囲にあることがより好ましく、600〜900℃の範囲にあることがさらに好ましい。また、650〜800℃の範囲が好ましく、650〜750℃の範囲がさらに好ましい。また、加熱時間に応じて適宜適切な温度を選択することもできる。加熱時間は、含浸する窒素含有有機物が十分に炭化される時間とすることが好ましく、使用する有機化合物や使用温度によって適宜適切な時間を選択することができる。ここで開示している分析法を適用して生成物を分析し、その結果に基づいて炭化に必要な時間を設定することができる。また、炭化処理は、減圧又は真空下で行うこともできる。また、加圧下で行うこともできる。さらに、不活性ガス雰囲気下で行うこともでき、それが好ましい場合もある。不活性ガスとしては、例えば、Nガス、ヘリウム、ネオン及びアルゴン等があげられる。
第1の工程の後、次に多孔質材料の表面及び空孔の内部に有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程を行う。ここで導入した有機化合物は気化されて、化学気相成長法に従って処理される。
化学気相成長法とは、鋳型等の基板上に特定の原子又は元素組成からなる薄膜(例えば炭素からなる薄膜)を作る工業的手法である。通常、原料物質を含むガスに熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化することにより、化学反応や熱分解が生じて原料物質がラジカル化する。このようにして原料物質が反応性に富むようになり、基板上に吸着して堆積することを利用する技術である。温度を上げて原料物質を堆積させるものを熱CVD法、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射するものを光CVD法、ガスをプラズマ状態に励起する方法をプラズマCVD法と呼ぶ場合もある。
導入する有機化合物は、例えばアセトニトリル等の窒素を含有する化合物であることが好ましく、窒素を含有する有機化合物を導入して気相炭化することにより、多孔質材料の炭素骨格上に窒素を堆積することができる。窒素を含有する有機化合物は、必要に応じて常温で気体状の有機化合物、又は容易に気化することが可能な有機化合物との混合物として用いることができる。このような有機化合物としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ベンゼン、ビニルベンゼン等を用いることができる。気化した窒素含有有機化合物は、キャリアガスと共に多孔質材料に接触させるように流通させながら加熱する。こうすることにより、気相において、容易に炭素上に窒素の堆積を行うことができる。窒素ドープをするにあたり、得られるミクロポーラス炭素系材料が、親水性や導電性や誘電率に関してより大きな値を示すように行うことが好ましい。なお、キャリアガスの種類、流速、流量及び加熱温度は、使用する有機化合物や多孔質材料の種類によって適宜調節することが必要である。使用するキャリアガスは、例えば、Nガス、ヘリウム、ネオン、アルゴン等があげられるが、酸素ガス又は水素ガスとの混合物を用いることもできる。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料を合成する際に鋳型として用いる多孔質材料は、空孔内部に有機化合物が導入できること、また、この有機化合物を炭化する際に元の構造を安定に保つこと、更には、生成したミクロポーラス炭素系材料と分離できることが必要である。このため、耐熱性に優れ、酸、アルカリに溶解するものが好ましく、多孔質な酸化物が使用できる。また、得られるミクロポーラス炭素系材料は、鋳型の空孔の形状とこの空孔の連結様式を反映した構造と、鋳型自身の形状を反映した空孔を有する。言い換えれば、鋳型の形態を転写した状態でミクロポーラス炭素系材料が合成される。このため、鋳型の多孔質材料は、結晶が十分に発達し、粒子サイズのそろった、構造及び組成が均一な材料であることが望ましい。
以上のように、鋳型の多孔質材料の備えるべき材料物性と、得られるミクロポーラス炭素系材料の物性を考慮すると、鋳型となる多孔質材料はとしてゼオライトを用いることが好ましい。ゼオライトは、シリカ構造のケイ素(Si)の一部がアルミニウム(Al)で置換されたアルミノケイ酸塩であって、骨格自体が負電荷を持つことから、構造内にカチオンが分布した構造を持つ。また、ゼオライトは、Si/Alモル比、カチオンの種類、量、及びカチオンに水和した水分子の数によって多様な結晶構造を有する。また、例えば、空孔が2次元的に連結した構造や、3次元的に連結した構造等の、多様なサイズの空孔を持つ。ゼオライトは、特に12員環以上のゼオライトであることが好ましい。また、このゼオライトはFAU型ゼオライトであることが好ましく、さらにY型ゼオライトであることがより好ましい。また、後述するように、ゼオライトはアンモニウムイオン(NH )交換したゼオライトであることがより好ましい。この場合には、得られるミクロポーラス炭素系材料における窒素の含有量を高くすることが可能となる。なお、鋳型として用いた多孔質材料の除去には、生成したミクロポーラス炭素系材料を分離できる方法であればいかなる方法を用いても良い。例えば、上述のゼオライトは酸で溶解が可能であり、具体的には、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に溶解する。
本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、上述した多孔質材料に窒素を含有する有機化合物を導入する方法とは別に、窒素を含有する多孔質材料を鋳型として用いることによっても得ることができる。この場合には、窒素源として窒素を含有する有機化合物を用いなくても、得られるミクロポーラス炭素系材料は所望の窒素を含む構造となる。つまり、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料は、窒素を含有する多孔質材料の表面及び空孔の内部に第1の有機化合物を導入し、第1の有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、多孔質材料の表面及び空孔の内部に第1の有機化合物とは別に第2の有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、多孔質材料を除去する第3の工程と、を有する工程を経ることにより得られる。
この場合、窒素を含有する多孔質材料はアンモニウムイオン(NH )交換したゼオライトであることが好ましい。この場合には、本発明の実施の形態に係る窒素を含有したミクロポーラス炭素系材料を容易に得ることができる。アンモニウムイオン(NH )交換したゼオライトを用いた場合には、イオン交換されたNH が窒素源として導入されるため、必ずしも窒素源として窒素を含有する有機化合物を用いる必要がない。なお、窒素を含有する多孔質材料に導入する第1及び第2の有機化合物は容易に気化できるものであることが好ましく、また、上記したように窒素を含有する有機化合物であっても良い。窒素を含有する有機化合物を用いた場合には、窒素の含有量を高くすることが可能となる。
また、多孔質材料に導入する第1及び第2の有機化合物は、加熱処理することで重合する化合物を使用することが好ましい。窒素を含有しない化合物としては、例えば、アルコール誘導体等の、酸素原子を複素原子として有する複素環を含有する化合物があげられる。また、例えば、ビニル基含有アルコールの誘導体等の重合性不飽和基を有する化合物があげられる。また、例えば、フェノールアルデヒド、フルフラール等の、芳香族又は複素環式アルデヒド、これらの混合物等があげられる。例えば、フルフリルアルコール、酢酸ビニルが好ましく用いられる。窒素を含有する有機化合物と含有しない有機化合物を混合して用いても良い。
多孔質材料の除去は、生成した多孔質炭素材料を分離できる方法であればどのような方法を用いても良い。例えば、ゼオライトを用いる場合には、酸で溶解することが可能である。具体的には、塩酸やフッ化水素酸を用いることで容易に溶解して除去することができる。
上記したミクロポーラス炭素系材料の製造方法の一つの好適な態様をあげる。まず、第1の工程として、例えば、4,6−ジヒドロキシピリミジン等の窒素を含有する有機化合物をゼオライト空孔内部に導入し、これを加熱して重合する。この後、600〜900℃の温度で加熱して炭化する。次に、第2の工程として、例えばアセトニトリル等のガス状の窒素含有有機化合物を導入し、これを600〜1000℃で加熱して化学気相成長法を行い、第1の工程で生じた炭化物の空洞又は表面に窒素を付着する。次に、第3の工程として、ゼオライトを溶解して除去する。この方法により、所望のミクロポーラス炭素系材料が得られる。必要に応じて、第3の工程の前に、第2の工程よりも高い温度、すなわち、800〜1000℃で更に加熱処理を行ってもよい。
また、別の好適な態様として、例えば、フルフリルアルコール等の液状の有機化合物をアンモニウムイオン(NH )交換したゼオライト空孔内部に導入し、これを加熱して重合する。この後、600〜900℃の温度で加熱して炭化する。次に、第2の工程として、例えばアセチレン等のガス状の有機化合物を導入し、これを600〜1000℃で加熱して化学気相成長法を行い、第1の工程で生じた炭化物の空洞又は表面に窒素を付着する。次に、第3の工程として、ゼオライトを溶解して除去する。この方法により、所望のミクロポーラス炭素系材料が得られる。
本発明の実施の形態に係る遷移金属を担持したミクロポーラス炭素系材料は、多孔質材料を除去する第3の工程で得られたミクロポーラス炭素系材料を遷移金属塩溶液中に浸漬・含浸し、その後液相還元してミクロ細孔表面に遷移金属を担持する方法により得ることができる。
液相還元によりミクロ細孔表面に遷移金属を担持する方法を説明する。遷移金属を担持する方法は、多孔質材料を除去する第3の工程で得られたミクロポーラス炭素系材料を遷移金属塩溶液中に浸漬・含浸して混合液を得る浸漬工程と、この混合液を減圧下で撹拌した後、遠心分離により遷移金属が吸着したミクロポーラス炭素系材料を分離する分離工程と、分離により得た遷移金属が吸着したミクロポーラス炭素系材料と還元剤溶液とを混合し、吸着した遷移金属を液相還元してミクロポーラス炭素系材料の表面及びミクロ細孔内に析出させる液相還元工程と、遷移金属を析出させたミクロポーラス炭素系材料を純水で洗浄して乾燥させる乾燥工程と、を有する。この液相還元により、ミクロポーラス炭素系材料に吸着した遷移金属を還元して析出させることができる。
遷移金属塩溶液は、濃度が10ppm以上5wt%以下の範囲内に調製されていることが好ましい。濃度が10ppm以下である場合、遷移金属の担持効果が得られなくなる。一方、濃度が5wt%以上である場合には、遷移金属の担持量が多すぎてBET表面積が低下し、結果として遷移金属を担持する前にミクロポーラス炭素系材料が有している細孔機能が損なわれる。
遷移金属塩を溶解する溶媒は、後の工程における脱溶媒、乾燥を考慮すると、常圧における沸点が100℃以下の溶媒を用いることが望ましい。100℃以下の沸点を有し、金属塩の溶解度を考慮すると、水、アルコール、アセトン、エーテル(鎖状エーテル又は環状エーテル)等を用いることが好ましく、これらを混合した混合溶媒として用いることも可能である。
添着した金属イオンを還元する方法は、還元剤を溶媒に溶かして用い、この還元剤溶液がヒドリド錯体を含むことが好ましい。ヒドリド錯体は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、及びアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのうちのいずれかを含むことが好ましく、2種類以上含んでいても良い。
用いる溶媒は、担持する遷移金属を酸化する等の影響を与えない溶媒であり、還元剤により還元されない溶媒であることが好ましい。担持する遷移金属として、白金を用いる場合は、水、アルコール、エーテル等、又はこれらを混合した混合溶媒として用いることが可能であるが。遷移金属として、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びランタン、セリウム等のランタノイド類を用いる場合には、溶媒乾燥時の金属の酸化を防止するためにより不活性な溶媒を用いることが好ましく、溶媒として1級アルコール又はエーテルを用いることが好ましい。
活性炭、ミクロポーラス炭素系材料も含めて、窒素ドープされていない炭素材料は疎水性が強いが、窒素ドープをしている本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料2は、極性が向上し親水性であるため、遷移金属を担持する際に分散性が向上する。図3にミクロポーラス炭素系材料に遷移金属が配位するイメージ図を示す。図3に示すミクロポーラス炭素系材料11は、窒素含有有機化合物12の窒素原子13に遷移金属14が配位結合していることを示している。遷移金属14を金属ナノ粒子とするだけではなく、図3に示すように原子レベルで担持することが可能となると考えられる。このように、本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料の製造方法によれば、遷移金属14を原子レベルで窒素原子13に配位させることも期待できる。
以下、実施例1〜7及び比較例1〜6により本発明の実施の形態に係るミクロポーラス炭素系材料及びミクロポーラス炭素系材料の製造方法について更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
1.試料の調製
<実施例1:NaY−DHP−H7(2)−AN8.5(2)−H9(1)>
乾燥したY型ゼオライト(NaY5.5)に6.5%の4,6−ジヒドロキシピリミジン(DHP)/エチレンジアミン溶液を加え、含浸した。Y型ゼオライトは、東ソー製Y型ゼオライトHSZ−300シリーズ:341NHAを用いた。含浸した後、60℃で蒸発乾固した。得られた混合物をN雰囲気下125℃で2h保持した。その後、380℃で2h熱処理した。DHPの融点は300℃であるため、この熱処理によりDHPは液化した状態でゼオライト細孔内に浸透した。熱処理後の混合物をエチレンジアミンで繰り返し洗浄し、粒子外部に存在するDHPを取り除いた。次に、N雰囲気で700℃まで昇温し、この温度で2h保持し、炭素/ゼオライト複合体NaY−DHP−H7(2)を得た。次に、NaY−DHP−H7(2)をいったん室温まで冷却し、その後N雰囲気で850℃まで昇温し、そのまま850℃で2hアセトニトリルCVDを行った。さらに、N雰囲気下で5℃/minで900℃まで昇温して1h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、これを47wt%のフッ化水素酸100mlに投入後、5時間攪拌して処理し、ミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNaY−DHP−H7(2)−AN8.5(2)−H9(1)とした。Anとはアセトニトリルのことであり、An8.5(2)の8.5は、CVD温度が850℃であることを示し、(2)はCVD時間が2hであることを示す。H9(1)のHはCVD後の熱処理の意味であり、9はその温度が900℃であることを、(1)は熱処理時間が1hであることを示す。以降、他の合成条件で得た試料に関しても、この命名法を用いることにする。
<実施例2:NaY−DHP−H7(2)−AN8(2)−H9(3)>
実施例1と同様の処理により得られた炭素/ゼオライト複合体NaY−DHP−H7(2)をいったん室温まで冷却し、その後N雰囲気で800℃まで昇温し、そのまま800℃で2hアセトニトリルCVDを行った。さらに、N雰囲気下で5℃/minで900℃まで昇温して3h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、これを47wt%のフッ化水素酸100mlに投入後、5時間攪拌して処理し、ミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNaY−DHP−H7(2)−AN8(2)−H9(3)とした。
<実施例3:NH Y−DHP−AN8(2)−H9(1)>
実施例1と同様の処理によりDHPをゼオライト細孔内に浸透させて混合物を得た。熱処理後の混合物をエチレンジアミンで繰り返し洗浄し、粒子外部に存在するDHPを取り除いた。なお、ゼオライトは、イオン交換によりNaをNH に交換したものを用いた。次に、N雰囲気で700℃で熱処理を行わずに、N雰囲気で800℃まで昇温し、そのまま800℃で2hアセトニトリルCVDを行った。さらに、N雰囲気下で5℃/minで900℃まで昇温して1h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、これを47wt%のフッ化水素酸00mlに投入後、5時間攪拌して処理し、ミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNH Y−DHP−AN8(2)−H9(1)とした。
<実施例4:NH Y−DHP−AN8(2)−H9(3)>
800℃で2hアセトニトリルCVDを行った後の加熱後の保持時間を3hとした以外は、実施例3と同様に行った。こうして得られた試料をNH Y−DHP−AN8(2)−H9(3)とした。
<実施例5:NH Y−PFA−AN8.5(2)−H9(1)>
乾燥したNH Yゼオライト(東ソー製Y型ゼオライトHSZ−300シリーズ:341NHA、SiO/Al比=7.0)にフルフリルアルコール(FA)を含浸した。その後、150℃で8h熱処理してFAを重合させ、ポリフルフリルアルコール(PFA)/ゼオライト複合体とした。これをN雰囲気下、5℃/minで800℃まで昇温した。次に、850℃で2hアセトニトリルCVDを行った。その後、N雰囲気下5℃/minで900℃まで昇温して1h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、この複合体を47wt%のフッ化水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得た試料をNH Y−PFA−AN8.5(2)−H9(1)とした。
<実施例6:NH Y−PFA−AN8(2)−H9(1)>
アセトニトリルCVDを800℃で行った以外は、実施例5と同様に行った。こうして得た試料をNH Y−PFA−AN8(2)−H9(1)とした。
<実施例7:N‐ZTC/Pt−0.8%>
実施例7では、液相還元により白金担持した例を示す。白金担持に使用したMPCは、実施例4で調製した表面積が2080m/gであるNH Y−DHP−AN8(2)−H9(3)である。4.54wt%の[Pt(NH(NO]/HNO水溶液5mgを2.0gの純水で希釈した溶液Aと、2.4mgのNaBHを20mlの純水で希釈した溶液Bを調製し、溶液A,Bを0℃に冷却した。溶液A,Bの濃度は白金の担持量がMPCに対し0.8wt%になるよう計算した。次に、MPC30mgを0℃の溶液Aに投入し、減圧雰囲気下0℃で30分攪拌した。次に、MPCを遠心分離して0℃の溶液Bと混合し、0℃で10分間攪拌することによりPt(NH(NOを還元して白金ナノ粒子を生成させた。最後に、白金ナノ粒子を担持させたMPCを濾過して純水で洗浄する操作を数回繰り返した後、150℃で6時間真空乾燥させることにより、白金を担持させたMPC(試料N‐ZTC/Pt−0.8%)を得た。
<比較例1:NaY−PFA−P7(1)−H9(3)>
乾燥したゼオライト(NaY5.5)にフルフリルアルコール(FA)を含浸した。これを、150℃で8h熱処理してFAを重合させ、PFA/ゼオライト複合体とした。これをN雰囲気下5℃/minで850℃まで昇温し、次いで700℃で1hプロピレンCVDを行った。その後N雰囲気下5℃/minで900℃まで昇温して3h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後に、この複合体を47wt%のフッ素水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料(MPC)を取り出した。こうして得た試料をNaY−PFA−P7(1)−H9(3)とした。
<比較例2:NaY−PFA−AN8.5(2)−H9(1)>
乾燥したゼオライト(NaY5.5)にフルフリルアルコール(FA)を含浸した。これを、150℃で8h熱処理してFAを重合させ、PFA/ゼオライト複合体とした。これをN雰囲気下5℃/minで850℃まで昇温し、次いで850℃で2hアセトニトリルCVDを行った。その後N雰囲気下5℃/minで900℃まで昇温して1h保持し、炭素/ゼオライト複合体を調製した。最後にこの複合体を47wt%のフッ素水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料(従来型窒素ドープMPC)を取り出した。こうして得た試料をNaY−PFA−AN8.5(2)−H9(1)とした。
<比較例3:NaY−DHP>
実施例1と同様の処理によりDHPをゼオライト細孔内に浸透させて混合物を得た。380℃での熱処理後の混合物をエチレンジアミンで繰り返し洗浄し、粒子外部に存在するDHPを取り除いた。次いでこの複合体を47wt%のフッ素水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNaY−DHPとした。
<比較例4:NaY−DHP−H7(2)>
乾燥したY型ゼオライト(NaY5.5)に6.5%の4,6−ジヒドロキシピリミジン(DHP)/エチレンジアミン溶液を加え、含浸した。含浸した後、60℃で蒸発乾固した。得られた混合物をN雰囲気下125℃で2h保持した。その後、380℃で2h熱処理した。DHPの融点は300℃であるため、この熱処理によりDHPは液化した状態でゼオライト細孔内に浸透した。熱処理後の混合物をエチレンジアミンで繰り返し洗浄し、粒子外部に存在するDHPを取り除いた。次に、N雰囲気で700℃まで昇温し、この温度で2h保持し、炭素/ゼオライト複合体NaY−DHP−H7(2)を得た。最後にこの複合体を47wt%のフッ素水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNaY−DHP−H7(2)とした。
<比較例5:NH Y−DHP>
実施例3と同様の処理によりDHPをゼオライト細孔内に浸透させて混合物を得た。380℃での熱処理後の混合物をエチレンジアミンで繰り返し洗浄し、粒子外部に存在するDHPを取り除いた。次いでこの複合体を47wt%のフッ化水素酸100mlに投入後、5時間攪拌してフッ化水素酸処理し、鋳型であるゼオライトを溶解除去してミクロポーラス炭素系材料を取り出した。こうして得られた試料をNH Y−DHPとした。
2.評価
実施例、及び比較例で合成したミクロポーラス炭素系材料の粉末X線回折測定は、島津製作所製 XRD−6100を用いて行い、線源はCu−Kα、電圧30kV、電流20mAで行った。XPSは、Perkin−Elmer製 PHI 5600を用いて行い、線源はMg−Kα、電圧8kV、電流30mAで行った。BET表面積の測定は、日本ベル製 BELSORP miniを用いて行い、−196℃の温度で、多点法で行った。水蒸気吸着等温線は、日本ベル製 BELSORP MAXを用いて25℃の温度で測定した。
実施例及び比較例で合成したミクロポーラス炭素系材料のゼオライトのカチオンの種類、得られた試料の炭素前駆体、BET表面積、窒素含有量(N/C)及び長周期規則構造の有無を示す粉末X線回折装置(XRD)を用いて測定した結果を図3に示す表にまとめた。図4において、XRDは、X線回折パターンにおける2θ=6.4°近辺のピークの強度の強弱を示している。
実施例1〜実施例4、及び比較例3〜比較例5に示すように、炭素前駆体としてPFAではなくDHPを用いることでも窒素含有量は高くなることがわかる。また、実施例5、比較例2に示すように、ゼオライトのカチオンタイプがNH である場合には、窒素含有量の高い試料が得られることがわかる。特に、実施例3、4に示すように、炭素前駆体がDHPであり、ゼオライトのカチオンタイプがNH である場合には、窒素の含有量が高くなることがわかる。今回得られた窒素ドープMPCの中で最も窒素含有量が高いのは実施例3で得られたNH Y−DHP−An8(2)−H9(1)であり、N/Cは0.09となった。比較例2に示す従来型窒素ドープMPCNaY−PFA−An8.5(2)−H9(1)のN/Cは0.058であり、今回の合成方法により、N/Cを最大で約1.6倍まで増大させることができた。
各実施例ではBET表面積が2000m/g以上と高かった。これに対し、比較例3〜比較例5では窒素の含有量は高かったものの、BET表面積は低かった。このことにより、試料を調製するにあたり、第2の工程として化学気相成長法を行わなければ表面積が上がらないことがわかった。
また、図4、7に示すように、実施例1,2,5では、X線回折パターンは7Xで示す2θ=6°付近の長周期規則構造を示すピークの強度が大きく、また7Yで示す2θ=20〜30°に炭素網面の積層に由来するピークの強度が小さかった。このことから、得られた試料では、MPCの規則構造が保持されている。これは、CVDを行った際に炭素がゼオライト粒子の外表面に堆積せずゼオライトのミクロ細孔内に析出したことを示唆している。
次に、図5にXPSにより分析した各試料における窒素の存在状態を示す。実施例6と比較例2との比較より、ゼオライトのカチオンをNaからNH にすると、窒素含有量が高くなるだけではなく、ピリジン窒素が増加することがわかる。つまり、ゼオライトのカチオンとして存在しているNH は、主にピリジン窒素として炭素骨格中に取り込まれていることがわかる。また、実施例3ではニトロ基の割合が少ない。これにより、炭素前駆体にDHPを用いた場合には、ゼオライトのカチオンであるNH は、ピリジン窒素のみならず4級窒素としても炭素骨格に取り込まれることがわかる。
図5で、ゼオライトにNaYの代わりにNHYを使うとピリジン型窒素が増加する傾向がある。又、PFAの変わりにDHAを使うと4級窒素が増える傾向がある。
図4において、実施例4では熱処理を3h行ったにもかかわらずN/Cが0.084と高いままであるのは、熱に弱いニトロ基の割合が最も少なく、熱に強い4級窒素の割合が最も大きいためであると考えられる。このように、DHPを原料とし、カチオンがNH であるゼオライトを鋳型として窒素ドープMPCを合成すると、高温で長時間処理しても窒素含有量が減少しにくい窒素ドープMPCを合成できることがわかった。一般的に、窒素含有ポリマーから窒素含有炭素を調製する場合、300〜600℃周辺の温度で試料を熱処理して構造を安定化させ、その後に800℃以上で炭素化を行うことで窒素含有量を増加させる。本発明の実施の形態においても、同様に適宜熱処理を施すことで、さらに窒素含有量が増大する可能性がある。
次に、窒素ドープMPCの水蒸気吸着等温線を図6に示す。N/Cが0である比較例1が、相対圧0.5付近で水蒸気急増量に急激な立ち上がりが見られるのに比べ、窒素を含有する実施例3、比較例1,2等は相対圧0.4付近で立ち上がることがわかる。細孔径が同一の場合、吸着量が急激に増加する相対圧が小さいほど材料表面は親水性である。図6より、もっともN/Cが大きい実施例3の相対圧がもっとも低圧側にシフトしていることから、窒素含有量が多いMPCほど親水性が大きいことがわかる。つまり、窒素含有量により、材料表面の極性が大きくなったと考えられる。
〔水素吸蔵能の評価〕
実施例の試料について、ジーベルツ法(容量法、JIS H 7201)に従って圧力−組成等温線(PCT線)を得た。水素吸蔵能は、国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)で定められている圧縮係数を用いて測定した。測定精度はサンプルの充填量に依存する。最低でも1g以上を充填し、必要に応じて上記合成スキームを繰り返し行い、所要量を準備した。試料を秤量して測定用耐圧試料管に入れ、100℃で4時間真空引きして試料管内に残留しているガスを放出させて、水素が吸蔵されていない原点を得た後測定した。測定温度は30℃、100℃とした。その後、大気圧まで減圧して水素放出量の確認を行った。
測定結果を図8、9に示す。図8は30℃における実施例4,7の水素吸蔵能を示すグラフ、図9は100℃における実施例4,7の水素吸蔵能を示すグラフである。図8に示す30℃における水素吸蔵量(PCT線図)によると、8Aで示す実施例4、8Bで示す実施例7の水素平衡圧10.5MPaにおける水素吸蔵量は、それぞれ0.64wt%、0.70wt%であった。白金を担持した実施例7のBET表面積は1780m/gであり、白金を担持しない実施例4のBET表面積は2080m/gであった。このように、実施例7は実施例4よりも表面積が低下したにもかかわらず水素吸蔵量が多く、白金担持により、スピルオーバー等の白金による水素解離吸着等の、これまでとは異なる水素吸蔵メカニズムが働いていると考えられる。また、図9に示す100℃における水素吸蔵量(PCT線図)によると、9Aで示す実施例4、9Bで示す実施例7の水素平衡圧10.5MPaにおける水素吸蔵量は、それぞれ0.41wt%、0.77wt%であった。100℃においても、白金を担持した実施例7は白金を担持しない実施例4より水素吸蔵量が多かった。また、実施例4では温度上昇すると水素吸蔵量が低下しているが、白金担持した実施例7では、温度上昇すると水素吸蔵量も増加した。このように、白金担持することにより、水素吸蔵能の温度依存性が改良され、温度上昇と共に水素吸蔵能が向上することが示唆された。
本発明によれば、1500m/g以上のBET表面積を維持しながら、N/C元素比で0.07以上の窒素がドープされたミクロポーラス炭素系材料では、窒素ドープ量向上と共に、親水性も向上することが明らかとなった。ゼオライトを鋳型とすることにより、ナノレベルの構造規則性と多孔性を兼ね備え、さらには、窒素ドープにより優れた機能を発揮するミクロポーラス炭素系材料は、水蒸気、含酸素炭化水素化合物や、水素、メタンなどに代表される燃料として用いられるガスを貯蔵する材料への適用が期待される。また、新規複合材料のマトリックス、電気伝導性材料、炭素膜、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して貯蔵するデバイスであるキャパシタやリチウムイオン電池、燃料電池などの電極材料への適用、さらには新規複合材料のマトリックス、電気伝導性材料、炭素膜及び吸着式ヒートポンプ等への適用が期待される。このような炭素材料が合成できることは、各種産業上の材料選択の幅を広げたり、製品の性能を飛躍的に向上させる可能性を有する点で有益である。
また、本発明によれば、ミクロ細孔表面に遷移金属が担持されているミクロポーラス炭素系材料では、元来有する細孔機能を維持しながら担持された金属が有する機能を発現可能であることがわかった。このように、遷移金属の担持により、更に様々な分野において適用が期待できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外にも、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
1 多孔質材料
1a ミクロ孔(空孔)
2 ミクロポーラス炭素系材料
2a 長周期規則構造
2b ミクロ細孔
3 複合体
4 遷移金属
5 ミクローポーラス炭素系材料

Claims (17)

  1. 炭素骨格中に窒素を有し、3次元の長周期規則構造と、内部にミクロ細孔とを有するミクロポーラス炭素系材料であって、
    BET表面積が1500m/g以上であり、窒素/炭素の元素比が0.07以上であることを特徴とするミクロポーラス炭素系材料。
  2. 25℃において、水蒸気吸着等温線の傾きの極大値を示す相対圧(P/P)が0.6以下であることを特徴とする請求項1に記載のミクロポーラス炭素系材料。
  3. 芳香環にヘテロ原子として取り込まれているピリジンタイプの窒素が、全窒素置換基のモル比で10%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のミクロポーラス炭素系材料。
  4. 前記ミクロ細孔表面に遷移金属が担持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のミクロポーラス炭素系材料。
  5. 前記遷移金属は、白金、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム及びランタノイド類を含む金属群から選択される少なくとも1種類以上の金属を含むことを特徴とする請求項4に記載のミクロポーラス炭素系材料。
  6. 多孔質材料の表面及び空孔の内部に窒素含有有機化合物を導入し、前記窒素含有有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、
    前記多孔質材料の表面及び空孔の内部に有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、
    前記多孔質材料を除去する第3の工程と、を有することを特徴とするミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  7. 前記窒素含有有機化合物は、シアノ基及びアミノ基置換炭化水素、5員含窒素複素環式化合物又は6員含窒素複素環式化合物であることを特徴とする請求項6に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  8. 前記窒素含有有機化合物は、アミノ基及びシアノ基が2つ以上置換されたエチレン又はプロピレン誘導体、置換又は非置換のイミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン化合物から選ばれるいずれかの含窒素有機化合物であることを特徴とする請求項6に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  9. 窒素を含有する多孔質材料の表面及び空孔の内部に第1の有機化合物を導入し、前記第1の有機化合物を加熱して炭化する第1の工程と、
    前記多孔質材料の表面及び空孔の内部に第2の有機化合物を導入して気相炭化する第2の工程と、
    前記多孔質材料を除去する第3の工程と、を有することを特徴とするミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  10. 更に、前記多孔質材料を除去する第3の工程で得られたミクロポーラス炭素系材料を遷移金属塩溶液中に浸漬・含浸して混合液を得る浸漬工程と、
    前記混合液を減圧下で撹拌した後、遠心分離により遷移金属が吸着したミクロポーラス炭素系材料を分離する分離工程と、
    分離により得た遷移金属が吸着したミクロポーラス炭素系材料と還元剤溶液とを混合し、吸着した遷移金属を液相還元してミクロポーラス炭素系材料の表面及びミクロ細孔内に析出させる液相還元工程と、
    遷移金属を析出させたミクロポーラス炭素系材料を純水で洗浄して乾燥させる乾燥工程と、を有することを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  11. 前記還元剤溶液は、ヒドリド錯体を含むことを特徴とする請求項10に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  12. 前記ヒドリド錯体は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、及びアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項11に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  13. 前記遷移金属塩溶液に用いる溶媒及び/又は前記還元剤溶液に用いる溶媒は、1級アルコール又はエーテルを含むことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  14. 前記多孔質材料はゼオライトであることを特徴とする請求項6乃至請求項13のいずれか一項に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  15. 前記ゼオライトは、アンモニウムイオン(NH )交換したゼオライトであることを特徴とする請求項14に記載のミクロポーラス炭素系材料の製造方法。
  16. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のミクロポーラス炭素系材料を用いたことを特徴とする吸着材。
  17. 請求項16に記載の吸着材を用いて、−40℃から150℃の範囲で水素を吸蔵放出させることを特徴とするミクロポーラス炭素系材料を用いた水素吸蔵方法。
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