JP2010117628A - 光ファイバテープ心線および光ファイバケーブル - Google Patents

光ファイバテープ心線および光ファイバケーブル Download PDF

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隆志 藤井
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高橋  健
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Abstract

【課題】偏波分散を効率的に抑制することで、縦波と横波との伝播速度の差を生じることなく、高品質化を図ることができる光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】複数の光ファイバ17,18,19,20を並列に配列して長手方向に一体化した光ファイバテープ心線22であって、内側の光ファイバ19,20が、外側の光ファイバ17,18よりも長さが長い光ファイバテープ心線22および光ファイバケーブル10。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の光ファイバを長手方向に一体化した光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルに関する。
従来の光ファイバテープ心線の一例として、図3に示すように、石英系ガラスファイバ101と、その外周に設けられた被覆層102と、その外周に設けられた着色層103とからなる光ファイバ104に一括被覆層105を施した光ファイバテープ心線100が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−45553号公報(図2)
ところが、上記特許文献1に開示された光ファイバテープ心線100では、例えば1000m程度でドラム巻きをした際や、ドラム巻きから引き出して、例えば500m程度で布設する延線の際に、4本の光ファイバ104の内、内側に配置された2本の光ファイバは、厚さ方向に歪を受け易く、幅方向に歪を受け難い。このため、内側に配置された2本の光ファイバ104の偏波分散が変化して、パルスとして検出される縦波と横波との伝播速度に差を生じる虞がある。なお、偏波分散は、4本の光ファイバ104の伸び率を一律に設定しても抑制するのは難い。
光ファイバに伝送される光信号を変形させてしまう分散の劣化要因はいくつか挙げられるが、昨今、10Gbpsを越える速度での伝送を数百kmも行うことができる技術が開発されてくると、縮退した基底モードにおける微小な分散も伝送路の構築に影響してくるようになった。
そのため、国際標準化の審議団体である国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)における電気通信標準化部門(ITU−T:ITU Telecommunication Standardization Sector)や国際電気標準会議(IEC)による規格に、偏波分散の要項が最近追加された。これらの規格によれば、10Gbpsでの伝送を400kmの距離で実施するためには、リンクPMD(Polarization Mode Dispersion)として0.5ps/r−km以下であることが要請され、さらに偏波分散を抑制することが望まれている。
偏波分散を劣化させる要因は、光ファイバの非円度等の非対称性である。最近の製造技術の向上により、光ファイバのリンクPMDは、0.1ps/r−km以下を実現できる。しかしながら、光ファイバをテープ型光ファイバ心線に加工した場合には、一括して塗布した被覆樹脂の硬化後の収縮等により、光ファイバに対して応力が不均一に作用することによってリンクPMDが劣化して、0.2ps/r−kmを超過することがあり、場合によっては0.5ps/r−kmを越えてしまうこともある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、偏波分散を効率的に抑制することで、縦波と横波との伝播速度の差を生じることなく、高品質化を図ることができる光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルを提供することにある。
上記課題を解決することができる本発明に係る光ファイバテープ心線は、複数の光ファイバを並列に配列して長手方向に一体化した光ファイバテープ心線であって、前記配列における両端の光ファイバよりも内側の光ファイバの長さが長いことを特徴としている。
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、内側の光ファイバが、両端の光ファイバよりも長さが長いため、内側の光ファイバが弛むことによって、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じ、内側の光ファイバが厚さ方向に受ける歪を減らすことができる。これにより、偏波分散を効率的に抑制することができ、縦波と横波との伝播速度の差を生じることなく、光ファイバテープ心線の高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る光ファイバテープ心線は、前記両端の光ファイバに対する前記内側の光ファイバの長さが、0.03%以上長いことが好ましい。
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、内側の光ファイバが、両端の光ファイバに対して0.03%長くなることで、内側の光ファイバが両端の光ファイバに対して弛んだ状態にすることができる。これにより、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じることで、内側の光ファイバが厚さ方向に受ける歪を減らして偏波分散をより効率的に抑制することができる。
また、上記課題を解決することができる本発明に係る光ファイバケーブルは、上記記載の光ファイバテープ心線を収納したことを特徴としている。
このように構成された光ファイバケーブルによれば、収納された光ファイバテープ心線の内側の光ファイバが、両端の光ファイバよりも長さが長いため、内側の光ファイバが弛むことになる。これにより、ドラム巻き時や延線時に、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じることで、内側の光ファイバが厚さ方向に受ける歪量を変化させることができる。これにより、縦波と横波との伝播速度の差を低減し、偏波分散を効率的に抑制した高品質な光ファイバケーブルを得ることができる。
本発明に係る光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルによれば、複数の光ファイバを並列に配列して長手方向に一体化した光ファイバテープ心線において、偏波分散を効率的に抑制することで、縦波と横波との伝播速度の差を生じることなく、高品質化を図ることができる光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルを提供できる。
以下、図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1および図2は本発明に係る光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルの一実施形態を示すもので、図1は本発明の一実施形態に係る光ファイバテープ心線を収納した光ファイバケーブルの断面図、図2は図1の光ファイバテープ心線の一部破断外観斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態である光ファイバケーブル10は、スロット11と、テンションメンバ12と、光ファイバテープ心線集合体13と、シース14と、を備えている。
スロット11は、SZ型スロットであり、例えばプラスチック等の高分子材料を用いて全体として円筒形状に形成されており、中心部にテンションメンバ12を有し、外周部に6個のSZ撚り状をなす光ファイバ収容溝16を有している。なお、光ファイバ収容溝16は、SZ撚り状に代えて螺旋状であっても良い。
光ファイバ収容溝16は、スロット11の円周方向に等間隔で、軸方向に波形状に撚れて形成されている。そのため、光ファイバテープ心線集合体13が収容されることで、伝送特性に支障なく、スロット11の軸方向に光ファイバテープ心線集合体13を支持することができる。
テンションメンバ12は、抗張力体であり、スロット11成形時に同時に押出し成形されることで、スロット11を含めた光ファイバケーブル10の剛性を高めることができる。
光ファイバテープ心線集合体13は、2本の外側光ファイバ17,18と、2本の内側光ファイバ19,20と、の4本を並べて配置して一次被覆21によって被覆した光ファイバテープ心線22を4段に積層して集合させることで、スロット11の軸方向に延在されている。
シース14は、ポリエチレンやポリ塩化ビニル等の樹脂材からなり、光ファイバテープ心線集合体13を収納したスロット11に押出し成形されることで、光ファイバ収容溝16に収容された光ファイバテープ心線集合体13が光ファイバ収容溝16から突出しないように保持する。
図2に示すように、光ファイバテープ心線22は、一次被覆21に収納されている4本の光ファイバ17,18,19,20のうち、2本の内側光ファイバ19,20が2本の外側光ファイバ17,18よりも長さが長く設定されている。具体的には、外側光ファイバ17,18に対して内側光ファイバ19,20の長さの割合が、0.03%以上長く設定されている。つまりは、内側光ファイバ19,20が外側光ファイバ17,18に対して弛んだ状態で一次被覆21内に配置されている。
これにより、例えば、ファイバ張力として、外側光ファイバ17,18に対して110g、内側光ファイバ19,20に対して80gを与えたとき、1000m程度でのドラム巻時と、ドラム巻きから引き出して500m程度で布設する延線時との偏波分散の偏差値が、0.07ps/r−kmを下回る非常に良好な結果となることが予想できる。
また、例えば、外側光ファイバ17,18に対して内側光ファイバ19,20の長さの割合が、微小長さの0.01%だけ長く設定されている場合でも、0.07ps/r−kmを下回る。例えば、外側光ファイバ17,18に対して110g、内側光ファイバ19,20に対して100gを与えたとき、1000m程度でのドラム巻時と、ドラム巻きから引き出して500m程度で布設する延線時との偏波分散の偏差値が、0.07ps/r−kmを下回ることが予想できる。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る光ファイバテープ心線22によれば、内側光ファイバ19,20が、外側光ファイバ17,18よりも長さが長いため、内側光ファイバ19,20が弛むことになる。これにより、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じることで、内側光ファイバ19,20が厚さ方向に受ける歪を減らして偏波分散をより効率的に抑制することができる。よって、偏波分散を効率的に抑制することで、縦波と横波との伝播速度の差を生じることなく、光ファイバテープ心線の高品質化を図ることができる。
また、光ファイバテープ心線22によれば、外側光ファイバ17,18に対して内側光ファイバ19,20の長さの割合が、0.03%以上長くなることで、内側光ファイバ19,20が外側光ファイバ17,18に対して弛んだ状態となる。これにより、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じることで、内側光ファイバ19,20が厚さ方向に受ける歪を変化させて偏波分散をより効率的に抑制することができる。
また、光ファイバケーブル10によれば、収納された光ファイバテープ心線22の内側光ファイバ19,20が、外側光ファイバ17,18よりも長さが長いため、内側光ファイバ19,20が弛むことになる。これにより、ドラム巻き時や延線時に、長手方向にわたって光ファイバの位置が厚さ方向に微小に変動を生じることで、内側光ファイバ19,20が厚さ方向に受ける歪を変化させることができる。よって、偏波分散を効率的に抑制することで、縦波と横波との伝播速度の差を生じることがない、高品質な光ファイバケーブル10を得ることができる。
次に、本発明に係る光ファイバテープ心線および光ファイバケーブルの作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
[偏波分散測定試験]
比較例1として、4本の光ファイバを収容した光ファイバテープ心線をもつ光ファイバケーブルにおいて、2本の外側光ファイバに対して80gのファイバ張力、2本の内側光ファイバに対して150gのファイバ張力を与えたものを用意した。そして、1000mでのドラム巻き時と、500mでの延線時とにおける偏波分散の偏差を、実施例1、実施例2と比べる偏波分散測定試験を行った。
Figure 2010117628
表1から明らかなように、比較例1は、ドラム巻時と延線時との偏波分散の偏差が、0.10ps/r−kmとなった。
これに対して、実施例1は、内側光ファイバが外側光ファイバに対して、0.009%長く設定されることで、ドラム巻時と延線時との偏波分散の偏差が、0.06ps/r−kmとなった。
また、実施例2は、内側光ファイバが外側光ファイバに対して0.03%長く設定されることで、ドラム巻時と延線時との偏波分散の偏差が、0.04ps/r−kmとなった。したがって、実施例1および実施例2において、内側光ファイバが外側光ファイバよりも長く設定されることで、内側光ファイバが弛み、ドラム巻き時や延線時に、内側光ファイバが受ける歪が減じて、偏波分散が抑制されたことがわかる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、光ファイバテープ心線に収容される光ファイバは4本に限らず、8本であっても良い。もちろん、その場合も、内側6本の光ファイバの長さが両端の2本の光ファイバよりも長く設定される。
本発明の一実施形態に係る光ファイバテープ心線を収納した光ファイバケーブルの断面図である。 図1の光ファイバテープ心線の一部破断外観斜視図である。 従来の光ファイバテープ心線の概観図である。
符号の説明
10 光ファイバケーブル
13 光ファイバテープ心線集合体
17,18 外側光ファイバ(光ファイバ)
19,20 内側光ファイバ(光ファイバ)
22 光ファイバテープ心線

Claims (3)

  1. 複数の光ファイバを並列に配列して長手方向に一体化した光ファイバテープ心線であって、
    前記配列における両端の光ファイバよりも内側の光ファイバの長さが長いことを特徴とする光ファイバテープ心線。
  2. 前記両端の光ファイバに対する前記内側の光ファイバの長さが、0.03%以上長いことを特徴とする請求項1記載の光ファイバテープ心線。
  3. 請求項1または2記載の光ファイバテープ心線を収納したことを特徴とする光ファイバケーブル。
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