JP2010115688A - 照射作用取得方法および荷電粒子ビーム加工方法ならびに荷電粒子ビーム加工装置 - Google Patents

照射作用取得方法および荷電粒子ビーム加工方法ならびに荷電粒子ビーム加工装置 Download PDF

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和明 内田
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Abstract

【課題】荷電粒子ビームのビーム断面積の大小に関係なく、被加工物の多様な表面形状に対する加工のための基礎データを高効率および高精度に得て、高効率かつ高精度の加工を行う。
【解決手段】被照射物9にガスクラスターイオンビーム8を照射して加工するガスクラスターイオンビーム加工装置M1において、サンプルの被照射物9の一箇所における照射痕のプロファイルである基礎照射作用データ19bを取得し、この基礎照射作用データ19bから、被照射物9のビーム軸の任意の移動量Δrの位置における加工深さzを離散的に算出して照射作用データ19cを生成し、この照射作用データ19cを被照射物9の材質や曲率等の条件で補正した補正照射作用データ19dを用いてガスクラスターイオンビーム8のドーズ量を制御しつつ被照射物9の加工を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、照射作用取得方法および荷電粒子ビーム加工方法ならびに荷電粒子ビーム加工装置に関する。
たとえば、光学素子の高性能化においては光学素子自体の光学機能面の平滑化や、光学素子の型成形に用いられる成形型における成形面の平滑化は不可欠であるが、研磨加工等による平滑化では光学素子に要求される光学的な性能に対して不十分な場合がある。
このため、たとえばガスクラスターイオンビーム等の荷電粒子ビームの照射による平滑化が注目されている。
ガスクラスターイオンビームは、気体原子または分子が数百〜数千個の塊状になったものであり、これらがイオン化され、次に加速電圧によって加速され、被加工物へ照射されるとガスクラスターイオンビームは被加工物との衝突で壊れ、その際クラスター構成原子または分子および被加工物構成原子または分子と多体衝突が生じ、被加工物表面に対して水平方向への運動が顕著になり、表面の凸部が主に削られ原子サイズでの平坦な超精密研磨が実現できる。
ところで、このようなガスクラスターイオンビームを用いた加工では、加工に先立って、予備的な加工結果から加工条件を決定することが考えられる。
たとえば、特許文献1では、その第6図に開示されているように、実際の被加工物とは異なる第2の被加工物を用いて被加工物表面の各位置における除去深さの基礎データの取得を行う場合、前記第2の被加工物を複数個用意しそれぞれに対してビームを走査する位置(中心からの半径位置)を互いにずらして同心円状に複数の位置でビームを走査させ、除去深さを測定して行っていた。
また、これら取得した基礎データのうち、隣り合う2つの同心円のデータを平均化することによって、基礎データを詳細化することができるとしている。
しかし、ガスクラスターイオンビームは所定面積の広がりを有しており、回転中心の付近では固体物質が重複して照射されるために除去深さが深くなるという特異な現象を引き起こすため、単純な平均化による基礎データの詳細化は困難である。
したがって、実際にガスクラスターイオンビームを照射して除去深さを計測する基礎データの取得工程を繰り返し実施する必要があるため、効率が悪いという技術的課題がある。
また、ガスクラスターイオンビームのビーム軸に略直交する断面積が、ガスクラスターイオンビームを照射すべき表面積に対して十分小さい場合において詳細な基礎データを取得するためには、ガスクラスターイオンビームを照射して除去深さを計測する基礎データの取得工程を繰り返し実施する必要がある。したがってこの観点においても、基礎データの取得効率が悪いという技術的課題がある。
特開2007−32185号公報
本発明の目的は、荷電粒子ビームのビーム断面積の大小に関係なく、被加工物の多様な
表面形状に対する加工のための基礎データを高効率および高精度に得て、高効率かつ高精度の加工を行うことが可能な荷電粒子ビーム加工技術を提供することにある。
本発明の第1の観点は、荷電粒子ビーム加工における照射作用取得方法であって、
被照射物の表面に、相対的に静止した荷電粒子ビームを照射したときの照射作用を計測して基礎照射作用データを得る計測工程と、
前記基礎照射作用データに基づいて前記被照射物における前記荷電粒子ビームのビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する計算工程と、
を有する照射作用取得方法を提供する。
本発明の第2の観点は、荷電粒子ビームを被照射物に照射する荷電粒子ビーム加工方法であって、
前記被照射物の表面形状の目標形状に対する形状誤差を計測する第1工程と、
前記被照射物とは別の第2の被照射物の表面に前記荷電粒子ビームを照射して得られる照射作用を計測して基礎照射作用データとし、前記基礎照射作用データに基づいて、前記第2の被照射物における前記荷電粒子ビームのビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する第2工程と、
前記第2工程における前記基礎照射作用データおよび前記照射作用データに基づいて、前記形状誤差を打ち消す除去深さを実現するための前記荷電粒子ビームの前記被照射物に対する照射ドーズ量を算出する第3工程と、
前記照射ドーズ量にしたがって前記荷電粒子ビームを照射して前記被照射物の表面の研磨を行う第4工程と、
を有する荷電粒子ビーム加工方法を提供する。
本発明の第3の観点は、荷電粒子ビームを被照射物に照射する照射手段と、
前記荷電粒子ビームの前記被照射物における照射作用を計測する計測手段と、
前記被照射物の一つの位置における前記照射作用に基づいて、前記被照射物の複数の位置における補正照射作用を決定し、前記補正照射作用に基づいて前記荷電粒子ビームの前記被照射物における照射位置および照射速度を制御する制御手段と、
を有する荷電粒子ビーム加工装置を提供する。
本発明によれば、荷電粒子ビームのビーム断面積の大小に関係なく、被加工物の多様な表面形状に対する加工のための基礎データを高効率および高精度に得て、高効率かつ高精度の加工を行うことが可能な荷電粒子ビーム加工技術を提供することができる。
本実施の形態の第1態様によれば、被照射物の表面にガスクラスターイオンビームを照射して得られる照射作用を計測する工程と、被照射物を対象に計測して得た照射作用データを基礎照射作用データとし、これを基に被照射物におけるビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する計算工程を実施することにより、被照射物の表面に生じる照射作用を取得することができる。
本実施の形態の第2態様によれば、第1態様に記載の照射作用として加工痕また電流値を被照射物から計測することで、照射作用を取得することができる。
本実施の形態の第3態様によれば、第2態様に記載の電流値が被照射物の除去深さと所定の関係があることを用いることによって、照射作用を取得することができる。
本実施の形態の第4態様によれば、被照射物の表面形状の目標形状に対する形状誤差を
計測する第1工程と、第2の被照射物の表面にガスクラスターイオンビームを照射して得られる照射作用を計測し、第2の被照射物を対象に計測して得た照射作用データを基礎照射作用データとして、これを基に前記第2の被照射物におけるビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成することによって照射作用を取得する第2工程と、第2工程における基礎照射作用データおよび照射作用データを基礎データとし、ガスクラスターイオンビームが形状誤差分の固体物質を除去するための被照射物の表面上の照射ドーズ量を算出する第3工程と、前記照射ドーズ量にしたがって前記ガスクラスターイオンビームを照射して前記被照射物の表面の研磨を行う第4工程とにより、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第5態様によれば、被照射物の表面形状を計測して得た被照射物の表面形状データと予め設定されている目標表面形状データから求まる形状誤差を、被照射物の表面上の各位置ごとに算出し、第2の被照射物の表面に前記ガスクラスターイオンビームが照射された場合のガスクラスターイオンビームによる照射位置に対する照射作用データを導入し、被照射物の表面上の各位置ごとに目標形状における該位置の曲率、ガスクラスターイオンビームの照射条件、そして被照射物材料に準ずるように前記照射作用データを補正して補正照射作用データを生成し、照射物表面の各位置ごとの補正照射作用データを用いて、各位置ごとに照射作用を変化させ、且つ、複数の補正照射作用データが重複する位置では該位置の各補正照射作用データの照射作用を加算し、固体物質の除去深さと照射ドーズ量との所定の関係を基に、被照射物における形状誤差が減少するように被照射物上の各位置ごとの照射ドーズ量を決定し、前記ガスクラスターイオンビームを照射させて被照射物の表面の研磨を行うにより、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第6態様によれば、第4態様及び第5態様に記載の超精密研磨方法において、被照射物の形状誤差データに所定のオフセット量を加算することで、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第7態様によれば、第4態様および第5態様に記載の超精密研磨方法において、照射作用として照射痕または電流値を被照射物から計測することで、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第8態様によれば、第7態様に記載の超精密研磨方法において、電流値が被照射物の除去深さと所定の関係があることを用いることによって、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第9態様によれば、第4態様および第5態様に記載の超精密研磨方法において、照射ドーズ量をガスクラスターイオンビームと被照射物との相対速度によって制御することにより、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第10態様によれば、第9態様に記載の超精密研磨方法において、相対速度が被照射物の回転速度およびガスクラスターイオンビームに対する被照射物の揺動速度であることにより、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第11態様によれば、第5態様に記載の超精密研磨方法において、ガスクラスターイオンビームの照射条件が加速電圧、ガス種、照射距離、イオン化電圧、イオン化電流であることを利用することによって、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第12態様によれば、ガスクラスターイオンビームを所定方向に、所定
出力で照射する照射手段と、前記ガスクラスターイオンビームの被照射物における照射位置および照射速度を制御する制御手段と、前記ガスクラスターイオンビームの被照射物における照射作用を計測する計測手段と、によって被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第13態様によれば、第12態様に記載の超精密研磨装置において、制御手段は、被照射物上の各照射位置における照射ドーズ量を算出する算出手段と、ガスクラスターイオンビームに対し、被加工物の照射位置および照射速度を制御する移動制御手段とを有することで被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
本実施の形態の第14態様によれば、第12態様に記載の超精密研磨装置において、計測手段は、前記ガスクラスターイオンビームを被照射物に照射した際に生じる電流値を、前記被照射物の表面上の各位置ごとに計測する計測手段と、計測結果を記録する記録手段とを有することで、被照射物の表面粗さ低減および形状精度の向上を達成できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
〔構成〕
図1は、本発明の一実施の形態である照射作用取得方法および荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置の構成の一例を示す概念図である。
本実施の形態では、荷電粒子ビーム加工装置の一例としてガスクラスターイオンビーム加工装置を例にとって説明する。
図1に示すように、ガスクラスターイオンビーム加工装置M1は、ソース部1(照射手段)と差動排気部2とイオン化部3の3つのチャンバーによって構成されている。前記チャンバー内は、照射前の準備として不純物ガス、水、酸素および窒素等をできるだけ排除するために不図示のポンプにて所望の真空度まで減圧をする。
ソース部1に設けられたノズル4には不図示のガスボンベより、0.3〜1.0MPa程度の高圧ガスを供給する。このガスは、例えばアルゴンガス、酸素ガス、窒素ガス、SFガス、ヘリウムガスの他、化合物の炭酸ガスあるいは2種以上のガスを混合することも可能である。
このような高圧ガスが超音速で、ノズル4から噴出する瞬間に断熱膨張によってガスクラスターが生成され、次にソース部1と差動排気部2の境界に配置されたスキマー5を通過してビーム径を整える。
このときのガスクラスターイオンビーム8は中性ビームであるが、差動排気部2を経由してイオン化部3に入り、タングステン製のフィラメント6の熱電子の衝突によってイオン化される。
次にガスクラスターイオンビーム8は加速電極7で加速される。このとき、ガスクラスターイオンビーム8の径は数十mm程度であり、被照射物9に対するガスクラスターイオンビーム8の形状は、以下に示すアパーチャ11にて形成する。
このアパーチャ11は、ガスクラスターイオンビーム8を所望の形状に形成するものであり、被照射物9より上流に、アパーチャホルダ12によって設置される。このアパーチャ11はステンレス鋼を円柱形状に加工したものである。他にも、板材に穴を開けるなどの構造でもよく、加工手段おいても、レーザ加工、プレス加工、機械加工などから適宜選択すれば良い。また、開口部の形状は円形状以外にも、楕円、矩形などでも良い。
アパーチャ11の下流側には、アパーチャ11を通過したガスクラスターイオンビーム8の照射方向と略対向する位置に被照射物9が設置されている。
このとき上下方向をY方向、紙面の垂直方向をX方向、そしてガスクラスターイオンビーム8の上流から下流に向かう方向をZ方向とし、それらは互いに直交するものとする。
アパーチャホルダ12は、アパーチャ11が高精度に繰り返し位置出しできるように加工精度で保証されている。アパーチャホルダ12は、移動ステージ13に載置され、ガスクラスターイオンビーム8の光軸(Z方向)に直交する方向(X,Y方向)に可動にされている。
アパーチャ11を通過したガスクラスターイオンビーム8が照射される被照射物9は支持台10に取り付けられ、Z軸と平行な回転軸を中心として回転可能な回転手段としての回転ステージ14に搭載され、さらに移動ステージ15に搭載されている。
移動ステージ15は移動ステージ15a、移動ステージ15b、移動ステージ15cから構成され、それぞれX、Y、Z方向に移動可能である。
本実施の形態では、上記の被照射物9の表面形状を回転軸対称形状とし、その回転軸を中心に回転させながら上記被照射物9の表面に生じる照射作用の取得、および超精密研磨を行うものとする。
照射処理時の被照射物9に対する照射方法は、詳しくは後述するが、本実施の形態では被照射物9を軸回転させながらその半径方向へ水平にガスクラスターイオンビーム8を走査させる。これにより、被照射物9の表面全体に対して照射を実施することができる。
また、回転ステージ14および移動ステージ15はY軸に平行な回転軸を有する揺動ステージ16に搭載されており、ガスクラスターイオンビーム8に対する被照射物9の位置を様々に変化させることができる。被照射物9の駆動方法はこの方法だけに留まらず、所望の位置に制御可能であれば他の機構を用いても構わない。
また被照射物9には電流計測器17(計測手段)が接続されている。回転ステージ14、移動ステージ15、そして揺動ステージ16は、たとえば数値制御装置等の制御器18(移動制御手段)に接続され、この電流計測器17と制御器18は、制御コンピュータ19(制御手段)と接続されている。
制御コンピュータ19では、被照射物9の表面の各位置ごとにおいて電流計測器17を介して電流値を検出することで照射中の照射ドーズ量をモニタリングし、照射すべきガスクラスターイオンビーム8の照射ドーズ量となるように、制御器18を介して回転ステージ14の回転速度および移動ステージ15の移動速度を制御する。
また、制御コンピュータ19は、生成して照射作用データを保存する。
すなわち、制御コンピュータ19は、計算プログラム19p(算出手段)を備え、この計算プログラム19pは、後述のように、基礎照射作用データ19bから、照射作用データ19c、補正照射作用データ19d、照射位置、ドーズ量、照射速度(被照射物9の相対移動速度)、等を計算する。
また、制御コンピュータ19はメモリ19a(記録手段)を備え、このメモリ19aには、計算プログラム19pによって処理される後述の基礎照射作用データ19b、照射作用データ19c、補正照射作用データ19dが格納され、制御コンピュータ19は、これらの情報に基づいて、制御器18を介してガスクラスターイオンビーム加工装置M1の全
体を制御することで、後述のようなガスクラスターイオンビーム8による被照射物9の加工を実現する。
〔作用〕
まず、図2から図10を用いて本実施の形態の照射作用取得方法を説明する。
本実施の形態では、被照射物9の表面形状が平面である場合について述べる。さらに、アパーチャ11によって切り出されたガスクラスターイオンビーム8の断面が円形状であり、そのビーム半径をRとする。
本実施の形態の場合、取得する照射作用としては被照射物9の表面に生じる照射痕(加工痕)の除去深さとする。除去深さの計測は、例えば触針式表面形状測定器などが挙げられるが、除去深さを正確に測定可能である計測器であれば何を用いても良い(計測工程)。
また、照射作用の取得において、照射条件(単位照射ドーズ量、ガス種、ガス圧、ガス流量、加速電圧、イオン化電圧、イオン化電流、被照射物の回転速度)は固定とする。
図2Aに示すように被照射物9の回転軸20とガスクラスターイオンビーム8のビーム軸21が一致している状態においてガスクラスターイオンビーム8を照射すると、図2Bに例示されるように被照射物9の表面にはビーム半径Rと等しい同心円状の照射痕22が生じる。
したがって、図2Cに示すようにある一断面データ23(この場合ではX軸断面すなわちX軸とZ軸(回転軸20)とを含む平面での断面)で前記照射痕22の形状を表現することができる。ここで、この図2Cに示す除去深さの断面データを基礎照射作用データとし、以下のように定義する。
z=f(x) …(1)
したがって、X軸上の点xにおける除去深さzは、
=f(x) …(2)
と求めることができる。
この基礎照射作用データ19bを用いて、被照射物9におけるガスクラスターイオンビーム8のビーム中心(ビーム軸21)の半径方向への位置変化に応じた照射作用データ19cを生成する(計算工程)。
すなわちビーム軸21がX軸方向に移動量Δrだけ移動した場合における、X軸上の点x(−∞<i<∞)における除去深さzを被照射物9の表面全体に対しても求める。
ここでビーム軸21の移動量Δrとビーム半径Rとの関係について説明する。移動量Δrがビーム半径R以下の場合(Δr≦R)では、図3Aに示すように被照射物9の回転軸付近ではビームが重複して照射され、除去深さが深くなる領域が存在し、その断面形状は複雑になる。したがってビームの重なりを考慮した除去深さの計算が必要である。
一方で、移動量Δrがビーム半径Rより大きい場合は、前記のようなビームが重複して照射される領域がないため、図3Bに示すような輪帯状の照射痕となる。なおこの輪帯状の照射痕の幅は、ビーム半径がRであることからΔrによらず常に2Rとなる。
これらの検討結果より移動量Δrとビーム半径Rの関係によって照射痕22が大きく異なることから、移動量Δrに伴った照射作用データ19cの導出方法を考慮する必要がある。
そこで、本実施の形態では、以下のように、Δr≦Rと、Δr>Rの二つの場合で異なる方法で照射作用データ19cを生成する。
すなわち、まず、移動量Δrがビーム半径R以下の場合(Δr≦R)における、照射作用データ19cの生成方法について述べる。
図4は、ビーム半径R、ビーム中心の移動量Δrにおいて、ガスクラスターイオンビーム8を相対的に被照射物9の回転軸周りに微小回転量Δθずつ1回転させる場合において、ガスクラスターイオンビーム8が回転軸を中心に回転角度θ(n回目の回転移動)だけ回転した場合の、X軸上の点X(x、0)における除去深さzを求める工程を説明したものである。
被照射物9の相対的な1回転分で考える理由は、基礎照射作用データ19bの取得時の回転数と、半径方向にビーム軸21を移動させた場合の回転数は同じであるからである。ガスクラスターイオンビーム8を回転軸周りに微小回転量Δθずつ1回転させることから、その微小移動回数の最大値Nは以下の(3)式で求めることができる。
N=2π/Δθ …(3)
また、n回目(n≦N)の回転移動の際の回転角度θは以下の(4)式で求めることができる。
θ=nΔθ(0≦n≦N) …(4)
移動量がΔrであるので、回転前のビーム中心は点P(Δr、0)にある。回転角度θだけ回転させると、ビーム中心Pは以下のようになる。
(X、Y)=(Δrcosθ、Δrsinθ)…(5)
ここでX軸上の点Xにおける除去深さは、点Pとの距離Dを求め、図2Cの基礎照射作用データ19bを参照することで求められる。
すなわち、被照射物9の照射痕22が同心円状であることから、ビーム中心Pとの距離が定まれば、基礎照射作用データ19bを参照し、距離Dに対応した除去深さを求めることができるためである。
したがって、点Xと点Pとの間の距離Dは幾何学的な関係より、以下の(6)式のように求めることができる。
=((x−Δrcosθ+(Δrsinθ1/2 …(6)
ここで、(1)式を用いることで、回転角度θにおける点Xにおける除去深さziθは以下のように求めることができる。
iθ=f(D
=f(((x−Δrcosθ+(Δrsinθ1/2) …(7)
よって、ガスクラスターイオンビーム8が一回転するまでに点Xにおける除去深さzは、θごとに求めた除去深さの総和として求めることができるので、点Xにおける除去深さzは、(0≦n≦N)の範囲において以下のようになる。
=Σf(((x−Δrcosθ+(Δrsinθ1/2) …(8)
この(8)式を用いて被照射物9上の全ての点Xにおいて、除去深さzを求めることで、移動量Δrにおける照射痕22の除去深さのプロファイル、すなわち照射作用データ19cを求めることができる。
次に、移動量Δrがビーム半径Rより大きい場合(Δr>R)における、照射作用データ19cの生成方法について述べる。
前述のように移動量Δrがビーム半径Rより大きいと、被照射物9の表面には輪帯状の照射痕22が形成される。
図5に示すように、移動量Δr1、移動量Δr2(Δr1<Δr2)のそれぞれにおける照射面積がS1、S2(S1<S2)である場合について考える。照射面積S1、照射面積S2は移動量Δr1、Δr2、そしてビーム半径Rを用いて以下の様に表現できる。
S1=4πΔr1R …(9)
S2=4πΔr2R …(10)
ガスクラスターイオンビーム8の照射によって被照射物9の表面から除去される除去体積Vは、図6に示すようにガスクラスターイオンビームの照射ドーズ量Dと比例関係にあることから以下の(11)式のように定義することができる。
V=kD(k:比例定数) …(11)
除去体積Vは、ガスクラスターイオンビーム8の照射面積Sと除去深さdの積であることから、(11)式は以下の(12)式のように書き換えることができる。
d=kD/S …(12)
この結果、照射ドーズ量Dは一定であるから除去深さdは照射面積Sに反比例することがわかる。
ここで、移動量Δr1、Δr2における除去深さを、それぞれd1、d2とすると(12)式より以下のようになる。
移動量Δr1のとき d1=kD/S1 …(13)
移動量Δr2のとき d2=kD/S2 …(14)
これら(13)および(14)式を整理し、かつ(9)式および(10)式を代入すると
d2=d1(Δr1/Δr2) …(15)
となる。
したがって、除去深さd2は、移動量Δr1、Δr2、そして除去深さd1から求めることが可能であると言える。
これは、ある移動量Δrにおける除去深さdを基準とすることで、他の移動量Δrにおける輪帯状の照射痕22の除去深さdを(15)式を用いることで導出できることを示している。
そこで、図7に示すように、移動量Δrがビーム半径Rと等しい場合の除去深さを基準とする。このときの除去深さをziRとすると、上記の(6)、(8)式において、Δr=Rについて求めることができ、(0≦n≦N)の範囲で以下の(16)式で与えられる。
iR=Σf(((x−Rcosθ+(Rsinθ1/2) …(16)
したがって、Δr>Rのときの移動量Δrにおける除去深さzは(15)、(16)式を用いて、(0≦n≦N)の範囲で以下の(17)式のように表現できる。
=(R/Δr)Σf(((x−Rcosθ+(Rsinθ1/2) …(17)
以上の手法を用いることで、被照射物9の表面の各位置ごとの照射作用データ19cを、基礎照射作用データ19bから導出することができる。
図8は、上述の基礎照射作用データ19bから照射作用データ19cを生成する処理を、制御コンピュータ19の計算プログラム19pにおいて自動的に実行させる場合の一例を示すフローチャートである。
制御コンピュータ19(計算プログラム19p)は、基礎照射作用データ19bを入力してメモリ19aに格納する(ステップ201)。
次に、移動量Δrの入力を受け付ける(ステップ202)。
そして、各位置を示す添え字の変数i(この場合、0≦i≦imaxの範囲で変化させる)を0に初期化する(ステップ203)。ここでi=imaxのとき、点Xは最大値xmaxを示すものとする。
その後、移動量Δrがビーム半径Rよりも大きいか否かを判別する(ステップ204)。
そして、移動量Δrがビーム半径Rよりも大きい場合には、上述の(17)式で、点Xにおける除去深さzを演算し(ステップ205)、移動量Δrがビーム半径Rよりも小さい場合(Δr≦R)には、上述の(8)式でzを演算する(ステップ206)。
そして、当該除去深さzを照射作用データ19cに追加して格納する(ステップ207)。
そして、添え字の変数iが最大値imaxを超過したか否かを判定し(ステップ208)、超過していない場合には、変数iをインクリメントして(ステップ209)、上述のステップ204以降を反復する。
これにより、照射作用データ19cには、ビーム半径Rと移動量Δrとの大小関係で場合分けされた除去深さz(0≦i≦imax)からなる照射作用データ19cがデータテーブルとして格納され、後述の補正照射作用データ19d等の演算に用いられる。
図9は上記の照射作用データ19cの取得工程によって導出した、被照射物9の表面の各位置ごとにおける照射作用データ19cを重ねてグラフ表示させたものである。この図9では、横軸に被照射物9の半径位置(mm)、縦軸に除去深さ(μm)を示している。
このように、ただ一つの基礎照射作用データ19bを利用することで、ビーム中心Pの半径方向変化に応じた照射作用データ19cを生成できることがわかる。
ここまで、本実施の形態では被照射物9の表面に生じる照射作用を照射痕22の除去深さdであるとしていたが、一般に被照射物9に生じる電流値は照射痕22における固体物質の除去量と相関があることが知られている。このことを利用し、照射作用として、被照射物9から測定可能な電流値Iを用いても良い。
この場合、これまでの照射作用取得工程における除去深さzを、以下の関係の下に書き換えればよい。
=az(a:比例定数) …(18)
この(18)式における比例定数aは図10に示すような、各種の被照射物9の材料との相関から求めることができる。すなわち、比例定数aは、被照射物9を構成する素材に応じて、比例定数a1,a2,a3...、のように設定される。
次に、図11から図24を用いて、本実施の形態のガスクラスターイオンビーム加工装
置M1にて実施される超精密研磨方法の一例を、順を追って説明する。
図11は、本実施の形態における超精密研磨方法の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態では超精密研磨を実施する被照射物9が、一例として、直径:10mmの凸レンズであるとし、この凸レンズにおける目標表面形状(凸レンズの理想形状)からの形状誤差が回転軸対称に生じているものとする。
まず、超精密研磨処理前の凸レンズにおいて目標表面形状からの表面形状誤差を計測する(ステップ101)。超精密研磨前の凸レンズの表面形状計測は、例えば触針式表面形状測定器などが挙げられるが、表面形状を正確に測定可能である計測器であれば何を用いても良い。
次に、ステップ101の測定によって得た表面形状データと、目標表面形状データとを凸レンズ表面上の各位置ごとに比較することによって、その表面形状に対する凸レンズの表面形状の誤差を凸レンズの表面上の各位置において算出する(ステップ102)(第1工程)。
この際、基準点(誤差が0である位置)は、測定領域全体において誤差の値が負にならないように(すなわち、測定形状が目標形状を下回らないようにする)設定した。このようにして得られた誤差データは、制御コンピュータ19に送られ、そこで保存される。
図12は、上述のステップ101およびステップ102の工程で得られた誤差データをグラフ表示したものである。すなわち、この図12は、横軸に凸レンズの表面上の位置(mm)をとり、縦軸に各表面上の位置における誤差量(μm)をとり、凸レンズの目標形状からの誤差の変化をグラフ表示させたものである。
この図12において、一点鎖線は目標表面形状24を、また、目標形状からの誤差分布25を実線で示している。同図に示されているように、本実施の形態で加工対象とした凸レンズは、回転軸上で最大の誤差量(0.15μm)を有し、回転軸から半径方向に5mm程度離れた位置で最小の誤差量(0μm)を有している。この最小誤差量である部位は、目標表面形状24と一致している箇所であり、後の超精密研磨処理ではこの領域を除く他の領域の超精密研磨が必要である。
図11におけるステップ103の工程では、被照射物9とは別の第2の被照射物にガスクラスターイオンビーム8が照射された場合の、ビーム照射範囲において、基礎照射作用データ19bから、被照射物の表面の各位置ごとにおける、ガスクラスターイオンビーム8による照射作用データ19cを取得する。
この照射作用データ19cの取得は、前述の照射作用取得方法によって実施する。これら取得した照射作用データ19cは、制御コンピュータ19に保存される。なお、照射作用データは、基礎照射作用データを含めた全てを示すものとする。
図11におけるステップ103の工程に続く処理として、制御コンピュータ19において、照射作用データ19cから被照射物9の表面の各位置の曲率、ガスクラスターイオンビームの照射条件、そして被照射物9を構成する材料に準じた補正照射作用データ19dを生成する(ステップ104)(第2工程)。
そこで、まず被照射物9の表面の各位置の曲率に準じて照射作用データ19cを補正する手順を述べる。
図13は、被照射物9が平面の場合における照射作用データ19c(照射作用データ2
6)のうちの一つを抜き出して示したものである。
図14のようにガスクラスターイオンビーム8の加速電極7の出射口から被照射物9の表面までの距離(照射距離)と除去量には比例関係k1がある。
したがって本実施の形態のような曲面形状を有する被照射物9の場合では、ガスクラスターイオンビーム8の出射口から被照射物9の表面までの距離が一定ではなく、照射距離に応じて照射作用データ19cを補正する必要がある。
図15は、図13に示した被照射物9が平面の場合における照射作用データ19cを、本実施の形態で研磨対象とする凸レンズに適合させる手法の一例を示している。なお、図15中の一点鎖線は図13において示した照射作用データ26である。
前述のように、除去量はガスクラスターイオンビーム8の出射口から被照射物9の表面までの距離に比例する。ここで、凸レンズ形状の表面上のある点X(x=x)において、照射作用データ26の基準面27および凸レンズの表面形状28の場合を比較した際のビーム軸21の方向の距離の変化量がΔzであるとすると、被照射物9が曲面である場合における補正照射作用データg(x)は以下の(19)式のように求まる。
=g(x)=f(x)−pΔz …(19)
ここでpは図14の除去量とガスクラスターイオンビーム8の出射口から被照射物9の表面までの距離の関係(上述の比例関係k1)より求まる比例定数である。
このように、被照射物9が本実施の形態のように曲面である場合であっても、ガスクラスターイオンビーム8の出射口から被照射物9の表面までの距離の比例関係k1を用いることによって、照射作用データ26を補正することができる。
次に、ガスクラスターイオンビーム8の照射条件に準じて照射作用データ19c(照射作用データ26)を補正する手順を述べる。
照射条件として、加速電圧、ガス種、ガス圧、照射距離、イオン化電圧、イオン化電流を考える。これらは除去深さと相関があり、図14、図16、図17、図18に示すように比例関係を示す。これらの比例係数k2,k3,k4,k5に応じて照射作用データ26を補正する。
すなわち、照射作用データ26を取得した際の照射条件における比例係数を1とするときの、他の照射条件の比例係数k2〜k5の比率を図13の照射作用データ26の各位置で乗算することで、補正照射作用データ16dを求めることができる。
次に被照射物9の材料に準じて照射作用データ26を補正する手順を述べる。この場合も、照射条件に準じて補正した手順をとる。
図19は各種材料における照射ドーズ量と除去深さの関係を示しており、これらは比例関係を示すので、これらの比例係数k5に応じて照射作用データ26を補正する。
すなわち、照射作用データ26を取得した際の被照射物9の材料における比例係数を1とするときの、他の被照射物9、すなわち実際の加工対象の被照射物9の材料の比例係数k5の比率を図13の照射作用データの各位置で乗算することで、補正照射作用データ16dを求めることができる。
このように照射作用データ26を補正することで、例えば図20に示すような補正照射作用データ31(補正照射作用データ19d)を生成することができる。
図11におけるステップ104の工程に続く工程として、上述のステップ101の工程
で得た誤差データ(誤差分布25)を用いてその補正照射作用データ31をもとに被照射物9の表面の各位置ごとの照射ドーズ量の算出処理が実施される(後述のステップ105、ステップ106、ステップ107)。
上述したように、研磨対象としている凸レンズは図12に示されるような誤差分布25の形状誤差を有している。したがって研磨処理においては、その誤差量分の固体物質を除去しなければならない。
図21は、上述の図12の誤差グラフを当該図12の横軸を中心に上下に反転して示した図である。
この図21において除去が必要な領域は、斜線で示した横軸と除去曲線29に囲まれている領域である。理論的にはこの斜線領域のみを除去すれば良いが、ガスクラスターイオンビーム8は被照射物9の表面の照射位置において所定の広がりを持つため、ビームが全く照射されない領域はなく、図21中における点Q(この位置では固体物質の除去量が0とされている)においても必要最小限の固体物質が除去されることになる。
そこで、本実施の形態の場合には、上述の誤差のない領域が受ける加工作用の影響を考慮して、上記理想の除去曲線29を基に実際の除去曲線を生成する。
図22はその必要最小限の固体物質の除去量(最小除去量)を含めて生成した固体物質除去分布(実際の除去分布曲線30)である。
この除去分布曲線30は図21に示される除去曲線29の全体を上記最小除去量(オフセット量)Lだけ下方にスライド(オフセット)することで生成している(ステップ105)。
このとき、被照射物9の固体物質の除去が必要な領域はその横軸とその除去分布曲線30とで囲まれている斜線領域であり、誤差のない点Qにおいても最小除去量Lの固体物質除去が可能となる。
なお最小除去量Lはガスクラスターイオンビーム加工装置M1の構成上可能な高速回転速度と半径方向に走査されるガスクラスターイオンビーム8の最高走査速度によって必然的に除去されてしまう固体物質の除去量(除去深さ)とすることができる。
ここで、上述のようにして求めた補正照射作用データ31(図20)を、除去分布曲線30(図22)に合わせこむ処理を実施する(ステップ106)。
この処理では、補正照射作用データ31として構成されている被照射物9の表面の各位置における補正照射作用データ31の関数曲線全体に個別の係数を乗じてその関数曲線を変形し、それぞれの補正照射作用データ31の変形後の関数曲線をその半径上の各位置で足し合わせてなる曲線が上述の除去分布曲線30に一致または略一致するように上記係数を決定する。
図23および図24は上記合わせこみの処理を説明するための概念図である。図23は、一つの補正照射作用データの関数曲線の変形処理を説明するための図であり、図24は各補正照射作用データと除去分布曲線30との比較図である。
図23に示される補正照射作用データ32は、上述の図20の補正照射作用データ31のうち半径方向位置xにおける補正照射作用データ31を抜き出して示したものである。
ここで、半径方向位置xに中心を持つ補正照射作用データ31の関数曲線をFi(x
)で示すと、各補正照射作用データ31を重ね合わせて得られるその半径上(0mmから5mmの範囲)のプロファイルh(x)はh(x)=Σg(x)と表すことができる。
そして未定の除去分布曲線X(除去分布曲線30)をe(x)としてe(x)−h(x)の値を検証する。この値が正であればg(x)に1+e(eは正の値)の値を乗算して新しいg(x)とする。
逆にe(x)−h(x)の値が負であればg(x)に1+e(eはその絶対値が1を超えない負の値)の値を乗算して新しいg(x)とする。ここでeはe(x)−h(x)の絶対値が大きくなるに従って大きな値をとるように設定しておく。
図23の関数曲線Xは、関数曲線Xを対象とするe(x)−h(x)の値が正で合った場合に1+e(eは正の値)を乗算して得られた新たしい補正照射作用データ31である。eが正であることから、関数曲線Xよりも1+e倍だけ深い除去深さの関数曲線が得られている。
このように、補正照射作用データ31の関数曲線Xに1+eを乗じることによる新たなg(x)の決定を照射開始位置(本実施の形態では半径方向位置x=0)から始め、更に半径方向に補正照射作用データ31を一つずつずらしながら行っていき、照射終了位置まで到達したら照射開始位置に再び戻って同様に決定処理を行っていく。
このような一連の決定処理をΔZ=Σ(e(x)−h(x))の値ΔZが予め決められた閾値ΔZ以下になるまで繰り返す。なお、この閾値ΔZの値は小さい値(例えば略0)に設定しておく。
こうして、最終的に得られた半径方向位置Xごとにおける各係数(1+e)iを各補正照射作用データg(x)に与える係数とする。
以上の処理により、図24の各補正照射作用データ32を足し合わせた曲線の形状が同図の除去分布曲線33で示される形状に合わせこまれることになる。
ところで、ガスクラスターイオンビーム8の照射ドーズ量は、照射が行われた位置における除去量と比例関係にあることが知られている。したがって、照射作用データ26を生成した際の照射ドーズ量に、上述のように算出された係数(1+e)iを乗算することで、図24の除去分布曲線X(除去分布曲線33)に対応する固体物質を除去するために必要な照射ドーズ量を、被照射物9の表面の各半径位置ごとに得ることができる(ステップ107)(第3工程)。
以上のように照射ドーズ量が得られると、図11のステップ107の工程に続いて、上記照射ドーズ量に従ってガスクラスターイオンビーム8を被照射物9である凸レンズの表面に照射し、被照射物9の表面の研磨を行う(後述のステップ108、ステップ109、ステップ110、ステップ111)。
具体的には、凸レンズの表面の半径上に、上述のステップ105の工程で得た各位置の照射ドーズ量に従ってガスクラスターイオンビーム8が照射されるように、例えばその照射ドーズ量を被照射物9の表面上へのビーム走査速度に変換するなどして図1の制御器18で制御する。
ガスクラスターイオンビーム8の照射時間と照射ドーズ量の間には以下の(19)式の関係が成り立つ。
照射時間=(照射ドーズ量×照射面積×電気素量)/検出イオン電流量 …(20)
上記照射面積はガスクラスターイオンビーム8を照射することで被照射物9の表面に生じる照射痕22であり、電気素量は定数であり、また検出イオン電流量は照射条件によって決まる一定の値である。したがって照射ドーズ量が決まっていれば、(20)式より照射時間を求めることができる(ステップ108)。
本実施の形態では、被照射物9をガスクラスターイオンビーム8に対して相対的に回転させ、かつ被照射物9の半径方向へ走査させる形態をとるため、被照射物9の表面に対してスパイラル状に照射が行われる。
上記(20)式の照射面積は、補正照射作用データ31の各点(各照射作用データ26の中心の半径位置)を始点に一回転または複数回転した後に隣の点(隣の各照射作用データ26の中心の半径位置)に到達するスパイラル状の照射溝の面積となる。
したがって、照射時間は凸レンズが上記複数回転する間に、補正照射作用データ31のある点(各照射作用データ26の中心の半径位置)から隣の点(隣の各照射作用データ26の中心の半径位置)にガスクラスターイオンビーム8の中心(ビーム軸21)が移動するまでの時間となる。
上述の(20)式の照射時間と半径方向へのビームの走査速度との関係は、以下(21)式で定義できる。
走査速度=隣り合う照射作用データの中心間距離/照射時間 …(21)
この(21)式を用いることで、被照射物9の表面の各照射位置における照射ドーズ量に対応した、それぞれの位置から隣の位置までの走査速度を求めることができる(ステップ109)。
このようにして求めた走査速度を数値制御(NC)プログラム等のステージ制御プログラム18a(研磨プログラム)として構成し(ステップ110)、それを制御コンピュータ19に保存し、このステージ制御プログラム18aを制御器18に与えて実行させてガスクラスターイオンビーム加工装置M1を制御することによって被照射物9の表面の超精密研磨を実施する(ステップ111)(第4工程)。
本実施の形態によれば、被照射物9の回転軸とガスクラスターイオンビーム8のビーム軸21が一致している状態において生じる照射作用を基準として、ビーム中心(ビーム軸21)の半径方向への位置変化に準じた照射作用データ19cを計算によって生成することができる。
また、照射作用として、被照射物9から計測された電流値を用いた場合では、検出電流値と被照射物9における除去量との関係(比例係数k4)を用いることによって、照射作用データ19cを取得できる。また基礎照射作用データの取得の際に用いる被照射物は平面以外にも曲面を用いても良い。
また、生成された照射作用データ19cを用いることで、曲面形状を有する被照射物9において、その表面を原子レベルで平坦化すると共に、被照射物9の表面形状を目標形状へ限りなく近づけることができる。
ここで事前に取得しておく照射作用データ19cは被照射物9の半径方向に細かく取得するほど、被照射物9の表面形状を目標形状へより近づけることができることは言うまでもない。
(効果)
本実施の形態における照射作用取得方法によれば、従来のような実際に照射して照射痕
を複数取得する手法と比較して、点状の一箇所の基礎照射作用データ19bから、所望の範囲の照射作用データ19cや補正照射作用データ19dに展開して生成するので、超精密研磨を行うための基礎データを効率的に取得することが可能となり、研磨処理工程全体の効率化が実現できる。
さらに、照射作用データ19cは、被照射物9の表面形状、ガスクラスターイオンビーム8の照射条件、そして被照射物9の材料と除去量との関係を用いることで補正可能であるため、被照射物9の表面形状および条件がいかなる場合においても適用可能な多様性のある汎用的な照射作用取得技術であると言える。
すなわち、本発明の実施の形態によれば、高効率および高精度な手法により基礎データを生成し、被加工物が、平面、曲面、そして表面の各位置で曲率が異なる面のいかなる場合においても適用しうるガスクラスターイオンビームを用いた表面研磨方法および装置を提供することができる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係わるガスクラスターイオンビーム加工における、照射作用取得方法および超精密研磨方法、および装置によれば、照射作用データの取得の効率的に取得し、さらに被照射物の表面形状を目標形状へ限りなく近づけることができる。
すなわち、ガスクラスターイオンビーム8等の荷電粒子ビームのビーム断面積の大小に関係なく、被加工物(被照射物9)の多様な表面形状に対する加工のための基礎データ(基礎照射作用データ19b、照射作用データ19c、補正照射作用データ19d等)を高効率および高精度に得て、高効率かつ高精度の加工を行うことが可能な荷電粒子ビーム加工技術を実現することができる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
上述の説明では、一例としてガスクラスターイオンビーム加工によって被照射物における表面を平滑化する技術、とりわけ形状精度が要求されるレンズ等の光学素子、またこれら光学素子の成型金型等の表面を研磨する超研磨方法および装置に適用した場合を開示したがこれに限定されない。
[付記1]
ガスクラスターイオンビーム加工における、被照射物の表面に生じる照射作用の取得方法であって、前記被照射物の表面に前記ガスクラスターイオンビームを照射して得られる照射作用を計測する工程と、前記被照射物を対象に計測して得た照射作用データを基礎照射作用データとし、これを基に前記被照射物におけるビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する計算工程と、を有することを特徴とする照射作用取得方法。
[付記2]
前記照射作用が、前記被照射物から計測される加工痕または電流値であること、を特徴とする付記1に記載の照射作用取得方法。
[付記3]
前記被照射物の除去深さと前記電流値が所定の関係があること、を特徴とする付記2に記載の照射作用取得方法。
[付記4]
ガスクラスターイオンビームを被照射物に照射して該被照射物の表面を研磨する超精密研磨方法であって、被照射物の表面形状の目標形状に対する形状誤差を計測する第1工程と、第2の被照射物の表面に前記ガスクラスターイオンビームを照射して得られる照射作用を計測し、前記第2被加工物を対象に計測して得た照射作用データを基礎照射作用データとして、これを基に前記第2被照射物におけるビーム中心の位置変化に準じた照射作用
データを生成することによって照射作用を取得する第2工程と、第2工程における基礎照射作用データおよび照射作用データを基礎データとし、ガスクラスターイオンビームが前記形状誤差分の固体物質を除去するための前記被照射物の表面上の照射ドーズ量を算出する第3工程と、前記照射ドーズ量にしたがって前記ガスクラスターイオンビームを照射して前記被照射物の表面の研磨を行う第4工程と、を有することを特徴とする超精密研磨方法。
[付記5]
ガスクラスターイオンビームを被照射物に照射して該被照射物の表面を研磨する超精密研磨方法であって、前記被照射物の表面形状を計測して得た被加工物の表面形状データと予め設定されている目標表面形状データから求まる形状誤差を、前記被照射物の表面上の各位置ごとに算出し、第2の被照射物の表面に前記ガスクラスターイオンビームが照射された場合の該ガスクラスターイオンビームによる照射位置に対する照射作用データを導入し、前記被照射物の表面上の各位置ごとに前記目標形状における該位置の曲率、ガスクラスターイオンビームの照射条件、そして被照射物材料に準ずるように前記照射作用データを補正して補正照射作用データを生成し、前記照射物表面の各位置ごとの補正照射作用データを用いて、前記各位置ごとに照射作用を変化させ、且つ、複数の補正照射作用データが重複する位置では該位置の各補正照射作用データの照射作用を加算し、固体物質の除去深さと照射ドーズ量との所定の関係を基に、前記被照射物における前記形状誤差が減少するように前記被照射物上の各位置ごとの照射ドーズ量を決定し、前記ガスクラスターイオンビームを照射させて該被照射物の表面の研磨を行うこと、を特徴とする超精密研磨方法。
[付記6]
前記被照射物の形状誤差データに、所定のオフセット量を加算すること、を特徴とする付記4及び5に記載の超精密研磨方法。
[付記7]
前記照射作用が、前記被照射物から計測される照射痕また電流値であること、を特徴とする付記4、5に記載の超精密研磨方法。
[付記8]
前記被照射物の除去深さと前記電流値が所定の関係があること、を特徴とする付記7に記載の超精密研磨方法。
[付記9]
前記照射ドーズ量を前記ガスクラスターイオンビームの前記被照射物との相対速度によって制御すること、を特徴とする付記4、5に記載の超精密研磨方法。
[付記10]
前記相対速度が、被照射物の回転速度およびガスクラスターイオンビームに対する被照射物の揺動速度であること、を特徴とする付記9に記載の超精密研磨方法。
[付記11]
ガスクラスターイオンビームの照射条件が加速電圧、ガス種、ガス圧、照射距離、イオン化電圧、イオン化電流であること、を特徴とする付記5に記載の超精密研磨方法。
[付記12]
ガスクラスターイオンビームを所定方向に、所定出力で照射する照射手段と、前記ガスクラスターイオンビームの被照射物における照射位置および照射速度を制御する制御手段と、前記ガスクラスターイオンビームの被照射物における照射作用を計測する計測手段と、を有することを特徴とする超精密研磨装置。
[付記13]
前記制御手段は、被照射物上の各照射位置における照射ドーズ量を算出する算出手段と、前記ガスクラスターイオンビームに対し、被加工物の照射位置および照射速度を制御する移動制御手段とを有することを特徴とする付記12に記載の超精密研磨装置。
[付記14]
前記計測手段は、前記ガスクラスターイオンビームを前記被照射物に照射した際に生じ
る電流値を、前記被照射物の表面上の各位置ごとに計測する計測手段と、計測結果を記録する記録手段とを有することを特徴とする付記12に記載の超精密研磨装置。
本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置であるガスクラスターイオンビーム加工装置の構成を示す概念図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射状態の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射痕の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射痕の断面プロファイルを示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法におけるビーム中心の移動量が照射痕に及ぼす影響の説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法におけるビーム中心の移動量が照射痕に及ぼす影響の説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法においてビームが回転軸を中心に回転した場合における除去深さの導出手順の説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法におけるビーム中心の移動量が輪帯状の照射痕に及ぼす影響の説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における照射ドーズ量と除去体積の関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法におけるビーム中心の移動量がビーム半径よりも大きい場合における除去深さの導出手順の一例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における基礎照射作用データからの照射作用データの導出手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射作用データの一例を示す説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における除去深さと電流値の関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における超精密研磨方法の工程の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における被照射物の誤差データの一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射作用データの一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における照射距離と除去量の関係を説明する説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における照射作用データを凸レンズ形状に適合させる工程の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における加速電圧と除去深さの関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置におけるガス圧と除去量の関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法におけるイオン化電流およびイオン化電圧と除去量の関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における照射ドーズ量および被照射物の材料と除去深さの関係の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における補正照射作用データの一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における図12の誤差データの上下反転させた説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における被照射物の固体物質除去量の説明図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法における補正照射作用データの変形処理の一例を示す線図である。 本発明の一実施の形態である荷電粒子ビーム加工方法を実施する荷電粒子ビーム加工装置における補正照射作用データと除去曲線との比較した線図である。
符号の説明
1 ソース部
2 差動排気部
3 イオン化部
4 ノズル
5 スキマー
6 フィラメント
7 加速電極
8 ガスクラスターイオンビーム
9 被照射物
10 支持台
11 アパーチャ
12 アパーチャホルダ
13 移動ステージ
14 回転ステージ
15 移動ステージ
15a 移動ステージ
15b 移動ステージ
15c 移動ステージ
16 揺動ステージ
16d 補正照射作用データ
17 電流計測器
18 制御器
18a ステージ制御プログラム
19 制御コンピュータ
19a メモリ
19b 基礎照射作用データ
19c 照射作用データ
19d 補正照射作用データ
19p 計算プログラム
20 回転軸
21 ビーム軸
22 照射痕
23 一断面データ
24 目標表面形状
25 誤差分布
26 照射作用データ
27 基準面
28 表面形状
29 除去曲線
30 除去分布曲線
31 補正照射作用データ
32 補正照射作用データ
33 除去分布曲線
M1 ガスクラスターイオンビーム加工装置

Claims (15)

  1. 荷電粒子ビーム加工における照射作用取得方法であって、
    被照射物の表面に、荷電粒子ビームを照射したときの照射作用を計測して基礎照射作用データを得る計測工程と、
    前記基礎照射作用データに基づいて前記被照射物における前記荷電粒子ビームのビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する計算工程と、
    を有することを特徴とする照射作用取得方法。
  2. 請求項1に記載の照射作用取得方法において、
    前記計算工程では、前記ビーム中心の前記位置変化が、前記荷電粒子ビームのビーム半径以下か否かに応じて、異なる方法で前記照射作用データを生成することを特徴とする照射作用取得方法。
  3. 請求項1に記載の照射作用取得方法において、
    前記照射作用は、前記被照射物から計測される加工痕または電流値であること、を特徴とする照射作用取得方法。
  4. 請求項3に記載の照射作用取得方法において、
    前記被照射物における前記加工痕の除去深さと前記電流値との相関関係に基づいて、前記電流値から前記除去深さを決定すること、を特徴とする照射作用取得方法。
  5. 荷電粒子ビームを被照射物に照射する荷電粒子ビーム加工方法であって、
    前記被照射物の表面形状の目標形状に対する形状誤差を計測する第1工程と、
    前記被照射物とは別の第2の被照射物の表面に前記荷電粒子ビームを照射して得られる照射作用を計測して基礎照射作用データとし、前記基礎照射作用データに基づいて、前記第2の被照射物における前記荷電粒子ビームのビーム中心の位置変化に準じた照射作用データを生成する第2工程と、
    前記第2工程における前記基礎照射作用データおよび前記照射作用データに基づいて、前記形状誤差を打ち消す除去深さを実現するための前記荷電粒子ビームの前記被照射物に対する照射ドーズ量を算出する第3工程と、
    前記照射ドーズ量にしたがって前記荷電粒子ビームを照射して前記被照射物の表面の研磨を行う第4工程と、
    を有することを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  6. 請求項5記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記第1工程では、前記形状誤差を、前記被照射物の表面上の各位置ごとに算出し、
    前記第2工程では、前記基礎照射作用データおよび前記照射作用データに対して、前記目標形状における前記各位置ごとに、当該位置の曲率、荷電粒子ビームの照射条件、および前記被照射物の材料の少なくとも一つに準ずるように前記照射作用データを補正して補正照射作用データを生成し、
    前記補正照射作用データを用いて、前記各位置ごとに照射作用を変化させ、且つ、複数の前記補正照射作用データが重複する位置では当該位置の各々の前記補正照射作用データの照射作用を加算し、
    前記除去深さと照射ドーズ量との相関関係に基づいて、前記被照射物における前記形状誤差が減少するように前記各位置ごとの照射ドーズ量を決定する、
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記形状誤差に、所定のオフセット量を加算することを特徴とする荷電粒子ビーム加工
    方法。
  8. 請求項5または請求項6に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記照射作用は、前記被照射物から計測される照射痕また電流値であることを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  9. 請求項8に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記照射痕の除去深さと前記電流値との相関関係に基づいて、前記電流値から前記除去深さを決定することを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  10. 請求項5または請求項6に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記照射ドーズ量を、前記荷電粒子ビームと前記被照射物との相対速度によって制御することを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  11. 請求項10に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記相対速度が、前記被照射物の回転速度および前記荷電粒子ビームに対する前記被照射物の揺動速度の少なくとも一方からなることを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  12. 請求項10に記載の荷電粒子ビーム加工方法において、
    前記照射条件は、前記荷電粒子ビームの加速電圧、ガス種、ガス圧、照射距離、イオン化電圧、イオン化電流の少なくとも一つを含むことを特徴とする荷電粒子ビーム加工方法。
  13. 荷電粒子ビームを被照射物に照射する照射手段と、
    前記荷電粒子ビームの前記被照射物における照射作用を計測する計測手段と、
    前記被照射物の一つの位置における前記照射作用に基づいて、前記被照射物の複数の位置における補正照射作用を決定し、前記補正照射作用に基づいて前記荷電粒子ビームの前記被照射物における照射位置および照射速度を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする荷電粒子ビーム加工装置。
  14. 請求項13に記載の荷電粒子ビーム加工装置において、
    前記制御手段は、前記補正照射作用に基づいて前記被照射物上の各照射位置における照射ドーズ量を算出する算出手段と、前記荷電粒子ビームに対し、被加工物の照射位置および照射速度を制御する移動制御手段と、を有することを特徴とする荷電粒子ビーム加工装置。
  15. 請求項13に記載の荷電粒子ビーム加工装置において、
    前記計測手段は、前記荷電粒子ビームを前記被照射物に照射した際に生じる電流値を、前記被照射物の表面上の各位置ごとに計測する手段であり、
    前記制御手段は、前記計測手段の計測結果を記録する記録手段を有することを特徴とする荷電粒子ビーム加工装置。
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