JP2010115132A - ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応における発光強度の低下を抑制するための組成物及び方法 - Google Patents

ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応における発光強度の低下を抑制するための組成物及び方法 Download PDF

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【課題】ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応によって発せられる光の強度が経時的に低下することを抑制するための手段を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制するための組成物、及びアニオン性界面活性剤の存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることを特徴とする、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応の進行に伴って生じる発光強度の低下を抑制するための組成物及び方法に関する。さらに本発明は、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度が経時的に低下することを抑制することに関する新たな知見を提供する。
ルシフェラーゼは、ルシフェリンの酸化を触媒することによって光を発する酵素である。このことから、ルシフェラーゼは、発光酵素としても知られている。多様な生物からの様々なルシフェラーゼが知られており、例えば、ホタル(Photinus pyralis)、ウミシイタケ(Renila)、鉄道虫、ヒカリコメツキ虫、カイアシ類(copepods)、及びヒオドシエビ(oplophorus)等に由来したルシフェラーゼが知られている。其々のルシフェラーゼは、異なる構造及び特性(例えば、基質特異性、熱安定性、発光の安定性、発光強度等)を有する。
ルシフェラーゼによって触媒されるルシフェリンの酸化反応(以下、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応とも称する)によって発せられる光は、ルミノメーターや特別な光学顕微鏡等を用いて検出することが出来る。そのため、ルシフェラーゼはレポータータンパク質として優れており、生きた細胞や生物における生物学的な現象をリアルタイムに観察することを可能にする。従って、ルシフェラーゼは、生物学的な試験や研究において広範に使用されている。このようなルシフェリンールシフェラーゼ系の主要な応用例はレポーターアッセイであり、それは、医薬候補物質等の外来因子が生体に及ぼす影響を評価することや、細胞間でのシグナル伝達を分析すること、更には標的遺伝子の発現を観察・測定すること等に広く使用されている。またレポーターアッセイは、生体におけるタンパク質等の目的物質を定量的に測定するためにも使用されている。
上記以外にも他の多くの用途が存在するため、組換えルシフェラーゼを含む多くのルシフェラーゼが現在までに使用されている。中でもウミホタルルシフェラーゼは、ヒト等の哺乳類の体内環境に近い温度やpH付近において優れた安定性を有し、大腸菌やヒトの細胞での生産が可能であり、且つ細胞外に分泌されるという性質を有していることから、現在最も一般的に使用されているルシフェラーゼの一つである。
以上のようにルシフェラーゼは非常に有用な発光酵素であるが、次のような問題ある。即ち、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応が進むにつれ、その発光強度が低下してしまうのである。この問題は、ルシフェラーゼを利用したレポーターアッセイが、多数のサンプルに対して行われる場合(例えば、96ウェルプレートを用いる場合)に特に顕著となる。96ウェルプレートの全てのウェルにルシフェリン又はルシフェラーゼを分配することは、熟練した当業者であっても通常10分以上の時間がかかる。よって、各ウェルの間で、反応が開始する時間や発光強度の低下が生じる時間にギャップが生じる。そのため、反応開始後の特定の時間における各サンプルにおける発光強度を直接的に比較することはできない。従って、ルシフェラーゼ反応に伴う発光強度の低下を抑制することが求められている。
このようなルシフェラーゼによる発光強度の低下の問題と関連して、特許文献1には、非イオン性界面活性剤であるNP−40及びTriton X−100を用いてガウシアルシフェラーゼによる発光強度の経時的な低下を抑制したことが開示されている。一方で、特許文献1には、アニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)は、発光強度の低下を抑制せず、むしろ当該ルシフェラーゼを失活させてしまうことも開示されている(例えば、図2参照)。このような非イオン性の界面活性剤とアニオン性の界面活性剤の作用は、ウミシイタケルシフェラーゼについても同様である(図6参照)。
WO2006/096735A2
かかる現状の下、本発明は、ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応によって発せられる光の強度が経時的に低下することを抑制するための手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、アニオン性の界面活性剤はウミホタルルシフェラーゼを失活させることなく、ウミホタルルシフェラーゼによる経時的な発光強度の低下を抑制することを見出した。また本発明者らは更なる研究を重ねた結果、アニオン性界面活性剤による発光強度の抑制作用が、非イオン性界面活性剤の存在によって増強されることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき、さらに改良を重ねた結果、完成したものである。
即ち、本発明は、以下のウミホタルルシフェラーゼの発光強度の経時的低下を抑制するための組成物及び方法を提供する。
項1.少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制するための組成物。
項2.更に、少なくとも1種非イオン性の界面活性剤を含む、項1に記載の組成物。
項3.該アニオン性界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、項1に記載の組成物。
項4.該非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテル(NP−40)及び/又はポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100)である、項1に記載の組成物。
項5.少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることを特徴とする、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制する方法。
項6.ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応において、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤がさらに存在することを特徴とする、項5に記載の方法。
項7.該アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、項5に記載の方法。
項8.非イオン性の界面活性剤がポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテル(NP−40)及び/又はポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100)である、項6に記載の方法。
項9.アニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下抑制剤。
本発明によれば、ウミホタルルシフェラーゼによる経時的な発光強度の低下を抑制することができる。一実施形態において、反応開始時の発光強度と比較して、50%以上、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上の発光強度が反応開始から3分後の時点で維持されている。別の実施形態において、反応開始時の発光強度と比較して、14%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の発光強度が反応開始から15分後の時点で維持されている。
一実施形態において本発明は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的な低下を抑制するための組成物である。別の実施形態において本発明は、少なくとも1種の界面活性剤の存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることを特徴とする、ルシフェラーゼによる発光強度の経時的な低下を抑制する方法である。
野生型のウミホタルルシフェラーゼは、分子量約62kDaである単量体の糖タンパク質であり、哺乳類細胞中で発現可能で、且つ分泌性である。ATP要求性であるホタルルシフェラーゼと異なり、ウミホタルルシフェラーゼは、ルシフェリンを酸化して光を発するために、水とO以外の補因子を必要としない。ウミホタルルシフェラーゼの至適pHは約7.2であり、該酵素は哺乳類細胞中の塩濃度において好適に働く。このような特性を有するため、ウミホタルルシフェラーゼは哺乳類細胞を用いたアッセイに適している。
野生型ウミホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列を配列番号1に示す。野生型ウミホタルルシフェラーゼの塩基配列は、NCBIデータベースにアクセス番号AAB86460、AAA30332、又はBAD08210として登録されている。ウミホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列をコードした遺伝子を組み込んだベクターは、例えば、アトー(株)から商業的に入手可能である。よって、これらの情報を基に公知の遺伝子工学的手法や化学合成法により本発明で使用できるウミホタルルシフェラーゼを容易に得ることが出来る。
ウミホタルルシフェラーゼとして、組換え型のウミホタルルシフェラーゼを使用することも、当該組換え体がルシフェリンの酸化を触媒して光を発する能力を有する限り可能である。組換えルシフェラーゼは、部位特異的変異導入法等の任意の公知の遺伝子工学的手法を用いて得ることが出来る。組換え型のウミホタルルシフェラーゼは、好ましくは、野生型ウミホタルルシフェラーゼのアミノ酸配列と85%以上の相同性を有し、より好ましくは95%以上の相同性を有し、さらに好ましくは95%以上の相同性を有し、最も好ましくは98%以上の相同性を有する。
本発明において、ルシフェリンとはウミホタルルシフェラーゼの基質であり、酸化された結果、光を発する物質である。ルシフェリンの好ましい例は、ウミホタルによって産生されるウミホタルルシフェリンであり、以下の式1で表される。
Figure 2010115132
ウミホタルルシフェリンは、例えば、アトー(株)から、商業的に入手可能である。ウミホタルルシフェリンのアナログも、当該アナログがウミホタルルシフェラーゼによる触媒作用により酸化された結果、発光する能力を有する限り使用することができる。このようなルシフェリンのアナログは、本発明者等によって開示されているため(Tetrahedron Letters, vol. 47, p.753 (2006))、その記載に従って合成することが可能である。
「発光強度の経時的な低下」とは、ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応が進行するに伴って生じる発光強度における低下を意味する。発光強度の低下は、通常、ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとが溶液中で混合された直後に始まり、低下の速度は、一定ではない。よって、本発明において、「経時的な低下」とは、反応時間に比例したものに限定されるのではなく、ルシフェリンとルシフェラーゼとの反応が開始した後に生じる任意の発光強度の低下を意味する。多くの場合、図1に示すように、反応開始の直後に比較的急激な低下が起こり、次いで徐々により緩やかな低下へと変化する。このような発光強度の低下の原因はまだ十分には知られていないが、恐らく該酸化反応における生成物阻害に起因していると考えられる。ルシフェリンの酸化が進むにつれて、酸化ルシフェリンが反応溶液中に蓄積し、これが反応速度を弱め、結果として光の強度が低下すると考えられる。発光強度の低下は、過剰な量のルシフェリンを供給した場合であっても見られるため、基質の不足に起因するものではないと考えられる。
発光強度の経時的な低下は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む本発明の組成物によって抑制される。即ち、発光強度の低下は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることによって、抑制される。本発明に使用できるアニオン性界面活性剤は、該発光強度の低下を抑制することができる限り特に制限されない。このような具体的なアニオン性界面活性剤には、コール酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム, オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等のカルボン酸塩;1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−ヘキサデカンスルホン酸ナトリウム、1−オクタデカンスルホン酸ナトリウム、1−テトラデカンスルホン酸ナトリウム、1−トリデカンスルホン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;リン酸モノドデシルナトリウム等のリン酸エステル塩;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びヘキサデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩等が含まれる。これらのアニオン性界面活性剤は、商業的に入手可能である。本発明の組成物は、これらのアニオン性界面活性剤の1種を単独で含むものであってもよく、2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて含んでもよい。好ましいアニオン性界面活性剤は、硫酸エステル塩に分類されるものであり、より好ましくは、ドデシル硫酸ナトリウムである。
本発明において、アニオン性界面活性剤は他の物質と組み合わせることなく単独で使用することもできる。このような実施形態において、アニオン性界面活性剤は、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の低下抑制剤として認識され得る。
ウミホタルルシフェラーゼは、糖鎖に加えて、17個のジスルフィド結合を有する点で他のルシフェラーゼと異なる。このような構造的特徴により、この酵素は優れた安定性を有すると考えられる。そして、この構造と優れた安定性のためにウミホタルルシフェラーゼは、SDSのような比較的強力な界面活性剤の存在下でも酵素活性を失わず、むしろそのような界面活性剤の存在によりオキシルシフェリンとの接触から保護され、結果として経時的な発光強度の低下が抑制されると考えられる。
一つの好ましい実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む本発明の組成物は、更に少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と少なくとも1種の非イオン性界面活性剤との存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることにより、経時的な発光強度の低下を抑制する作用を増強することができる。このようにアニオン性界面活性剤との組み合わせで用いられる非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤による当該抑制効果を増強することができる限り特に限定されない。このような非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(Tween40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(Tween60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(Tween80)、及びポリオキシエチレンソルビタントリオレアート(Tween85)等のエステル−エーテル系界面活性剤;モノミリスチン、モノパルミチン、モノステアリン、ポリエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンラウレート(Span20)、ソルビタンモノパルミテート(Span40)、ソルビタンモノステアレート(Span60)、ソルビタンモノオレエート(Span80)、ソルビタンセスキオレエート(Span83)、及びソルビタントリオレエート(Span85)等のエステル系界面活性剤;ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、エチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−4−オクチルフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100)及びポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテル(NP−40)等のエーテル系界面活性剤が含まれる。これら及び他の本発明に使用できる非イオン性界面活性剤は、商業的に入手可能である。好ましい非イオン性界面活性剤は、エーテル系界面活性剤であり、より好ましくはTriton−X100及びNP−40である。本発明の組成物は、1種以上アニオン性界面活性剤との組み合わせで、更に1種の非イオン性界面活性剤を含んでもよく、2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて含んでもよい。
少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む本発明の組成物が、更に少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む場合、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とは、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的な低下を抑制することができる限り、任意の組み合わせで使用することができ、またそれらは任意の割合で組み合わせることが出来る。好ましい組み合わせは、硫酸エステル塩に分類されるアニオン性界面活性剤から選択される1種以上とエーテル系界面活性剤から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせである。より好ましい組み合わせは、SDSとエーテル系界面活性剤から選択される1種以上の非イオン性界面活性剤であり、さらに好ましくは、SDSとTriton X−100との組み合わせ、又はSDSとNP−40との組み合わせである。
アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とは、重量比で、1:1〜1:10の割合で組み合わせられ、より好ましくは1:1〜1:5の割合で組み合わせられる。
一つの好ましい実施形態において、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び必要に応じて少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む本発明の組成物は、さらに少なくとも1種のカルシウム化合物を含む。少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、必要に応じて少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、少なくとも1種のカルシウムイオンの存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることによって、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度が増強される。これは、カルシウムイオンの存在によってウミホタルルシフェラーゼが活性化されるためと考えられる。カルシウム化合物とは、溶液中でカルシウムイオンを放出することができる、カルシウム含有化合物である。よって、カルシウム化合物は、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度を増強することができ、更にはアニオン性海面活性剤による経時的発光強度の低下を抑制する作用を増強することができると考えられる。本発明において使用することができるカルシウム化合物は、商業的に入手可能であり、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウム等の無機カルシウム化合物;並びに 炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ギ酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、及び酒石酸カルシウム等の有機カルシウム化合物を挙げることができる。好ましいカルシウム化合物は、無機カルシウム化合物であり、より好ましくは塩酸カルシウムである。少なくとも1種のアニオン性界面活性剤及び必要に応じて少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む本発明の組成物は、更に1種のカルシウム化合物を含んでもよく、2種以上のカルシウム化合物を組み合わせて含んでもよい。
本発明の組成物は、上記界面活性剤とカルシウム化合物の他に、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応において通常加えられる物質(例えば、BSA、保存剤、安定化剤等)を適宜含んでいても良い。
少なくとも1種のアニオン性海面活性剤を含む本発明の組成物は、任意の形態で調製することができ、例えば、粉末状や液状に調製することができる。このような形態の組成物は、当該技術分野において公知の方法に従って調製することができる。例えば、本発明の組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、及び少なくとも1種のカルシウム化合物を、粉末状で又は液体(例えば、水や各種の緩衝液))中で混合することによって調製することができる。粉末状の本発明の組成物は、ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応溶液中に予め又は反応開始直後に添加して使用することができる。好ましくは、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応に先立って本発明の組成物は、反応溶液に添加して使用される。
本発明の組成物は、経時的な発光強度の低下を抑制することができる限り、任意の濃度で反応溶液に添加することができる。好ましくは、本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤の終濃度が0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%、非イオン性界面活性剤の濃度が、0.01〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%、カルシウムイオン濃度が1〜300mM、より好ましくは10〜50mMとなるような量で添加される。このような反応溶液自体が、本発明の組成物の1つの好ましい実施形態である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1
10ng/mlのウミホタルルシフェラーゼを含む、8種類のTris-HCl緩衝液(0.1M)を下記に従って、調製した。
緩衝液1:0.1 M Tris-HCl pH7.4
緩衝液2:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% Triton X-100
緩衝液3:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% NP-40
緩衝液4:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% SDS
緩衝液5:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% SDS , 0.2wt% Triton X-100
緩衝液6:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% SDS , 0.2wt% NP-40
緩衝液7:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% SDS , 0.2wt% Triton X-100, 25mM CaCl2
緩衝液8:0.1 M Tris-HCl pH7.4 , 0.2wt% SDS , 0.2wt% NP-40, 25mM CaCl2
Triton X-100、NP-40及びSDSは、和光純薬工業(株)から購入した。ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応は、ルシフェリンを各緩衝液に、終濃度0.5μMで添加し、撹拌することによって反応を開始した。各緩衝液における発光強度をルミノメーターを用いて測定した。結果を下記の表1及び図1に示す。
Figure 2010115132
:ルシフェリンとウミホタルルシフェラーゼとを混合した直後の光の強度
:反応開始から3分後における発光強度
15:反応開始から15分後の発光強度

表1及ぶ図1に示される緩衝液1と4についての結果を比較することにより、アニオン性界面活性剤が存在しない場合(緩衝液1)は、発光強度が反応開始直後から急激に低下するのに対し、アニオン性界面活性剤の存在により(緩衝液4)、その低下が抑制ないし緩和されることが分かる。この抑制効果は、非イオン性の界面活性剤がアニオン性の界面活性剤と共存する場合に増強される(緩衝液5及び6)。
実施例2
10ng/mlのウミホタルルシフェラーゼ、0.2重量%のSDS、及び0.2重量%のNP−40を含むTris-HCl緩衝液(0.1M、pH7.4)を実施例1と同様に調製した。またコントロールとして、10ng/mlのウミホタルルシフェラーゼを含むが界面活性剤を含まないTris-HCl緩衝液(0.1M、pH7.4)を調製した。各緩衝液をそれぞれ別個の96ウェルに分配し、さらにウミホタルルシフェリンを終濃度0.5μMとなるよう添加した。ルシフェリンは、1Aウェルから1Hウェル、次いで2Hウェルから2Aウェル、さらに3Aウェルから3Hウェルという順番で12Aウェルまで順に添加した。全てのウェルにルシフェリンを添加した後、ルミノメーターを用いて各ウェルにおける発光強度を測定した。この際の各ウェルについての積算時間は20秒であった。SDSとNP40とを含む本発明の組成物を添加した緩衝液についての結果を図2に示す。一方、コントロールの結果を図3に示す。図2及び図3の結果を比較することにより、本発明の組成物により、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的な低下が顕著に抑制されることが分かる。
図1は、実施例1で調製した8種類の異なる緩衝液におけるウミホタルルシフェラーゼからの発光強度の経時的低下を示す。各図の左上の番号は、緩衝液の番号を示す。 図2は、10ng/mlのウミホタルルシフェラーゼ、0.2重量%のSDS、及び0.2重量%のNP−40を含む本発明組成物(緩衝液)中のウミホタルルシフェラーゼからの発光強度の経時的な低下を示す。 図3は、界面活性剤を含まないコントロール緩衝液中のウミホタルルシフェラーゼからの発光強度の経時的な低下を示す。

Claims (9)

  1. 少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制するための組成物。
  2. 更に、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 該アニオン性界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1に記載の組成物。
  4. 該非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテル(NP−40)及び/又はポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100)である、請求項1に記載の組成物。
  5. 少なくとも1種のアニオン性界面活性剤の存在下でウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させることを特徴とする、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下を抑制する方法。
  6. ウミホタルルシフェラーゼとルシフェリンとの反応において、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤がさらに存在することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 該アニオン性界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである、請求項5に記載の方法。
  8. 非イオン性の界面活性剤がポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテル(NP−40)及び/又はポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(Triton X−100)である、請求項6に記載の方法。
  9. アニオン性界面活性剤を含む、ウミホタルルシフェラーゼによる発光強度の経時的低下抑制剤。
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