JP2010111954A - 樹脂加工布 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い密着性および補正効果を有し、任意の位置に所望の応力値を与えることができ、さらに応力付与に対する自由度が高く、生産性にも優れた樹脂加工布を提供する。
【解決手段】伸縮性織物上の任意の位置に樹脂液を塗布することにより樹脂部が形成された樹脂加工布であって、該樹脂部を有する織物部分の応力値が、樹脂部を有さない織物部分の応力値よりも高いことを特徴とする樹脂加工布である。
【選択図】なし
【解決手段】伸縮性織物上の任意の位置に樹脂液を塗布することにより樹脂部が形成された樹脂加工布であって、該樹脂部を有する織物部分の応力値が、樹脂部を有さない織物部分の応力値よりも高いことを特徴とする樹脂加工布である。
【選択図】なし
Description
本発明は、主に競泳用水着に用いる樹脂加工布に関し、身体への密着性向上および補正効果によって、水中での水流抵抗を低減させることのできる樹脂加工布に関する。
従来、いくつかの公知のスポーツ着、特に競泳用水着は、身体にぴったりと、そしてしっかりと密着するように、伸縮性のあるストレッチ布帛から作られている。そして、水着が身体に密着していることで、水流抵抗を受ける原因である、水着と身体との間への水の浸入が低減され、皮膚の上を水着が摺動するのを抑制することができる。また、身体を締め付ける補正効果によって、形状抵抗を低減するとともに、水泳中の疲労および身体への水流抵抗の原因であると考えられている筋肉振動の低減も可能となる。
しかし、単に伸縮性の布帛を用いただけでは、水着によって被覆される部分に、水着による緊締力が均一にかかるため、身体の凹凸に合わせて密着させるには限界があり、また、所望の部分を特に補正することはできないため、身体の体表面上の密着性および補正効果は不十分なものであった。
また、高い密着性および補正効果を得るために、単に水着全体の伸縮強度を強くしたとしても、やはり水着によって被覆される部分に、水着による緊締力が均一にかかることには変わりなく、また伸縮強度が強いために逆に運動性能を阻害するといった問題もある。
そのため、近年、より高い密着性および補正効果を得るために、さまざまな改良がなされている。
例えば、特許文献1には、伸縮伸度の異なる素材を縫着または接着等によりつなぎ合わせ、組み合わせることにより、水流抵抗を軽減する競泳用水着が開示されている。
特許文献1によれば、伸縮伸度の異なる素材を組み合わせることにより、部分的に緊締力を変化させることができ、より密着性および補正効果に優れた水着を提供することができる。
特許文献1によれば、伸縮伸度の異なる素材を組み合わせることにより、部分的に緊締力を変化させることができ、より密着性および補正効果に優れた水着を提供することができる。
しかしながら、伸縮伸度の異なる素材を組み合わせるためには、水着を構成するための各部材を縫着または接着する必要があり、工程が複雑となる。
また、縫着または接着箇所が身体に接触することで、着用時に異物感および不快感があるといった問題もある。
また、縫着または接着箇所が身体に接触することで、着用時に異物感および不快感があるといった問題もある。
また、特許文献2には、伸縮性のある生地の特定位置に、フィルムを接着させることにより、表面摩擦の低減および伸張強度を調整することで、形状抗力の低減および水中での安定性を改善した水着が開示されている。
特許文献2によれば、伸縮性のある生地上にフィルムを接着させることにより、所望の位置に対し、部分的に伸縮強度を調整することができる。
特許文献2によれば、伸縮性のある生地上にフィルムを接着させることにより、所望の位置に対し、部分的に伸縮強度を調整することができる。
しかしながら、従来、布帛にフィルムを接着させるためには、手作業にてフィルムシートを布帛の所定位置に配置し、プレス圧着する必要があり、生産性の点で問題がある。また、伸縮性(応力)を変化させたい部位の形状に対する自由度も低く、より細かい伸縮性変化を付与することは不可能であった。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い密着性および補正効果を有し、任意の位置に所望の応力値を与えることができ、さらに応力付与に対する自由度が高く、生産性にも優れた樹脂加工布を提供することである。
本発明者は、鋭意研究の結果、伸縮性織物上の任意の位置に、樹脂部を形成することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、それに基づいて本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は、伸縮性織物上の任意の位置に樹脂液を塗布することにより樹脂部が形成された樹脂加工布であって、該樹脂部を有する織物部分の応力値が、樹脂部を有さない織物部分の応力値よりも高いことを特徴とする樹脂加工布である。
前記樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率が、2〜10倍であることが好ましい。
また、前記樹脂部を有する織物部分の応力値が、繰り返し伸張回復後において、繰り返し伸張回復前の応力値の40%以上を維持していることが好ましい。
また、前記樹脂部の樹脂厚みが、50μm以下であることが好ましい。
また、前記樹脂部を形成する樹脂の付与量が、50〜200g/m2であることが好ましい。
また、前記樹脂部を形成する樹脂は、弾性を有する樹脂であることが好ましい。
また、前記伸縮性織物が、タテおよびヨコ方向にそれぞれ30〜200%の伸度を有していることが好ましい。
また、前記伸縮性織物の厚みが、100〜500μmであることが好ましい。
また、前記伸縮性織物の厚みが、100〜500μmであることが好ましい。
また、前記伸縮性織物の重量が、50〜200g/m2であることが好ましい。
また、前記伸縮性織物は、撥水処理が施されていることが好ましい。
また、前記樹脂部は、2層以上の樹脂層により形成されてなることが好ましい。
また、本発明の樹脂加工布は、水着素材として用いることが好ましい。
本発明によれば、高い密着性および補正効果を有し、任意の位置に所望の応力値を与えることができ、さらに応力付与に対する自由度が高く、生産性にも優れた樹脂加工布を提供することができる。
本発明の樹脂加工布は、伸縮性織物上の任意の位置に樹脂液を塗布することにより樹脂部が形成されてなるものである。
このとき、前記樹脂部を有する織物部分の応力値が、樹脂部を有さない織物部分の応力値よりも高いことが求められる。
さらに、本発明の樹脂加工布は、前記樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率が、2〜10倍であることが好ましく、さらに好ましくは4〜8倍である。前記応力倍率が2倍よりも小さいと、高い密着性と補正効果が十分に得られないおそれがある。また、10倍を超えると、素材の伸びが少なくなりすぎるため、体の曲面に追従せずにシワが発生するおそれや、着脱が非常に困難なものとなるおそれがある。
また、本発明の樹脂加工布は、前記樹脂部を有する織物部分の応力値が、繰り返し伸張回復後において、繰り返し伸張回復前の応力値の40%以上を維持していることが好ましく、さらに好ましくは50%以上である。維持される応力値が40%未満であると、着用初期と繰り返し着用後において着用感が異なり、着用者に違和感を与えるものとなるおそれがある。
なお、後述する実施例においては、維持される応力値を表す指標として、応力保持率(%)を用いる。
なお、後述する実施例においては、維持される応力値を表す指標として、応力保持率(%)を用いる。
次に、本発明の樹脂加工布を構成する各材料等について説明する。
本発明に用いられる織物としては、ポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等の合成繊維や、これらを混繊させた繊維、これら繊維を交絡した繊維などからなる織物が挙げられ、伸縮性を有する織物であれば特に限定するものではないが、なかでも、軽量である点でポリプロピレンからなる織物が、また堅牢性、布帛強度の点で、ナイロン、ポリエステルからなる織物が好ましく用いられる。
なお、前記織物は、弾性糸を含んでなることが好ましく、ポリウレタン弾性糸を含んでなることが特に好ましい。これにより、本発明の樹脂加工布を使用した水着を着用した際に、優れた密着性および身体への優れた追従性を発揮することができる。
ここで、本発明に使用する前記伸縮性織物は、タテおよびヨコ方向にそれぞれ30〜200%の伸度を有していることが好ましく、さらに好ましくは75〜150%である。タテおよびヨコ方向の伸度を上記範囲とすることにより、本発明の樹脂加工布を使用した水着を着用した際に、優れた密着性および着脱性を両立させることが可能となる。
また、前記伸縮性織物は、厚みが100〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは150〜400μmである。厚みが100μm未満であると、布帛強度が十分得られないために水着としての使用が困難となるおそれや、目的とする布帛伸度を得ることが困難となるおそれがある。
また、前記伸縮性織物の重量は、30〜200g/m2であることが好ましく、さらに好ましくは50〜150g/m2である。重量が30g/m2未満であると、織物の強度および伸度を十分に保持することが困難となるおそれがある。また、200g/m2を超えると、重量が大きくなり、着用の際に運動機能を低下させるおそれがある。
さらに、前記伸縮性織物は、撥水処理が施されていることが好ましい。撥水処理を施すことにより、織物組織間に水が浸入することを防ぎ、水流抵抗の減少につながる。
ここで、使用される撥水剤としては、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。なかでも、フッ素系樹脂が、撥水性、耐久性の点で好ましい。
前記撥水剤の付与方法としては、パディング法、スプレー法、グラビア法などが挙げられる。なかでも、パディング法が、性能安定性、加工性の点で好ましい。
また、本発明における樹脂部を形成するために使用される樹脂としては、弾性を有する樹脂を用いることが好ましく、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は、無溶剤系、溶剤系、エマルジョン系のものから適宜選定することができ、特に限定するものではないが、なかでも生産性の点でエマルジョン系のものが好ましく用いられる。
これらの樹脂は、無溶剤系、溶剤系、エマルジョン系のものから適宜選定することができ、特に限定するものではないが、なかでも生産性の点でエマルジョン系のものが好ましく用いられる。
さらに、前記樹脂には、撥水性を高めるために、疎水性のシリカゲル粒子、シリコーン粒子、フッ素粒子などや、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などを添加することができる。
また、ブロッキングの発生防止やタック感抑制等の目的で、パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂、タルクやシリカゲル等の微粒子などを添加することもできる。
また、意匠性を付与する目的で、グリッター、雲母、アルミ等の光輝材や、顔料などを添加することもできる。
また、ブロッキングの発生防止やタック感抑制等の目的で、パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン樹脂、タルクやシリカゲル等の微粒子などを添加することもできる。
また、意匠性を付与する目的で、グリッター、雲母、アルミ等の光輝材や、顔料などを添加することもできる。
また、本発明においては、前記樹脂部における樹脂厚みが、50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。樹脂厚みが50μmを超えると、水流抵抗が増加する原因となるおそれがある。
なお、前記樹脂厚みの下限としては、5μmである。樹脂厚みが5μm未満であると、目的とする応力値を得ることが困難となる。
なお、前記樹脂厚みの下限としては、5μmである。樹脂厚みが5μm未満であると、目的とする応力値を得ることが困難となる。
前記樹脂部を形成する樹脂の付与量としては、50〜200g/m2であることが好ましく、さらに好ましくは75〜150g/m2である。樹脂の塗布量が50g/m2未満であると、目的とする応力値を得ることが困難となる。また、200g/m2を超えると、重量の増加により運動機能の低下につながるおそれがある。
前記樹脂は、スクリーンプリント法、ロータリープリント法、グラビアプリント法、スプレー法などにより、前記織物に付与することができる。なかでも、柄形状や付与条件の自由度の点で、スクリーンプリント法、ロータリープリント法が好ましく、さらに柄サイズの自由度、塗布量設定の容易さの点で、スクリーンプリント法が特に好ましい。
また、前記樹脂部は、2層以上の樹脂層により形成されていてもよい。2層以上の樹脂層を積層させることによって樹脂部を形成することにより、均一な樹脂層を形成することが可能となり、優れた応力保持率を得ることができる。また、最上層に保護層的な役割を有する樹脂を積層させることにより、堅牢度の向上やタックなど触感の改善する効果を得ることが可能である。
なお、前記樹脂部を形成した後で、樹脂部厚みのばらつきを少なくし、また表面を平滑にするために、プレス、または、カレンダー処理を行うことが好ましい。これにより、水流抵抗をさらに低減させることができる。
なお、本発明にかかる樹脂加工布は、水着素材として用いることが好ましいが、競泳用水着用途に限らず、その他の各種スポーツ用途や、インナー用途、サポーター等の医療器具用途にも適用することが可能である。
以下、実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
なお、実施例における測定および評価の方法については、次のように行った。
なお、実施例における測定および評価の方法については、次のように行った。
[応力倍率(樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率)]
まず、樹脂部を有する織物部分に対する応力値、および樹脂部を有さない織物部分の応力値を、下記装置を用いてそれぞれ測定した。
すなわち、インストロン型万能引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−1)を用いて、幅2.5cm×長さ15cmに切り出した試験布を、測定間隔10cmでセットし、引張り速度300±20mm/minで、繰り返し伸張回復を3回行った後の、30%伸張時の荷重および30%回復時の荷重の平均値を、試験布の応力値とした。
次いで、上記方法により測定した各応力値から、次式を用いて、樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率を求めた。
(応力倍率)=
(樹脂部を有する織物部分の応力値)/(樹脂部を有さない織物部分の応力値)
まず、樹脂部を有する織物部分に対する応力値、および樹脂部を有さない織物部分の応力値を、下記装置を用いてそれぞれ測定した。
すなわち、インストロン型万能引張試験機(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−1)を用いて、幅2.5cm×長さ15cmに切り出した試験布を、測定間隔10cmでセットし、引張り速度300±20mm/minで、繰り返し伸張回復を3回行った後の、30%伸張時の荷重および30%回復時の荷重の平均値を、試験布の応力値とした。
次いで、上記方法により測定した各応力値から、次式を用いて、樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率を求めた。
(応力倍率)=
(樹脂部を有する織物部分の応力値)/(樹脂部を有さない織物部分の応力値)
[応力保持率]
樹脂積層部を有する織物部分における前記応力値測定において、1回目の伸張回復時と、3回目の伸張回復時における応力値をそれぞれ測定し、さらに次式を用いて、繰り返し伸張回復における応力保持率を求めた。
(応力保持率[%])=
(3回目の伸張回復時の応力値)/(1回目の伸張回復時の応力値)×100
樹脂積層部を有する織物部分における前記応力値測定において、1回目の伸張回復時と、3回目の伸張回復時における応力値をそれぞれ測定し、さらに次式を用いて、繰り返し伸張回復における応力保持率を求めた。
(応力保持率[%])=
(3回目の伸張回復時の応力値)/(1回目の伸張回復時の応力値)×100
[厚み測定]
厚み測定器(株式会社テクロック製、SM−1201)を用いて、樹脂部を有する織物部分の厚み、および樹脂部を有さない織物部分の厚みを、それぞれ測定した。
厚み測定器(株式会社テクロック製、SM−1201)を用いて、樹脂部を有する織物部分の厚み、および樹脂部を有さない織物部分の厚みを、それぞれ測定した。
[伸縮性織物の伸度測定]
JIS L1096 B法(定荷重法)に基づき、実施例および比較例に用いる織物の、タテ方向およびヨコ方向に対する織物の伸度を測定した。
JIS L1096 B法(定荷重法)に基づき、実施例および比較例に用いる織物の、タテ方向およびヨコ方向に対する織物の伸度を測定した。
[洗濯耐久試験]
JIS L0217 103法に準拠し、実施例および比較例の樹脂加工布に対し、洗濯5回を1サイクルとして、洗濯を20サイクル実施した。
洗濯後の各樹脂加工布の外観を、次の基準により評価した。
○:外観に変化無し
×:樹脂部の剥離が確認できる
JIS L0217 103法に準拠し、実施例および比較例の樹脂加工布に対し、洗濯5回を1サイクルとして、洗濯を20サイクル実施した。
洗濯後の各樹脂加工布の外観を、次の基準により評価した。
○:外観に変化無し
×:樹脂部の剥離が確認できる
[実施例1]
1)伸縮性織物の作製
ナイロン糸(22dtex/7フィラメント)85%と、ポリウレタン弾性糸(44dtex)15%とを使用し、平織物を製織した。作製した伸縮性織物の厚みは195μm、重量は105g/m2、タテ方向に対する伸度は80%、ヨコ方向に対する伸度は70%であった。
1)伸縮性織物の作製
ナイロン糸(22dtex/7フィラメント)85%と、ポリウレタン弾性糸(44dtex)15%とを使用し、平織物を製織した。作製した伸縮性織物の厚みは195μm、重量は105g/m2、タテ方向に対する伸度は80%、ヨコ方向に対する伸度は70%であった。
2)樹脂の作製
下記成分を混合し、粘度を25000cps/20℃に調整した樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ作製した。
<樹脂Aの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
黒顔料(DIC株式会社製、DEXCEL BLACK HR) 10質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
<樹脂Bの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
パラフィン系樹脂(林化学工業株式会社製、粘着防止剤) 10質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
下記成分を混合し、粘度を25000cps/20℃に調整した樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ作製した。
<樹脂Aの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
黒顔料(DIC株式会社製、DEXCEL BLACK HR) 10質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
<樹脂Bの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
パラフィン系樹脂(林化学工業株式会社製、粘着防止剤) 10質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
3)スクリーン捺染版の作製
織物に樹脂を付与するためのスクリーン捺染版を作製した。
なお、実施例1においては、2層の樹脂層からなる樹脂部を形成するため、2枚のスクリーン捺染版(これを以下、スクリーン版1、スクリーン版2とそれぞれ称す)を使用した。
スクリーン版1としては、50メッシュの紗を用い、この紗に常法の製版法により所定位置に柄を形成した。スクリーン版1の厚みは70μmであった。
また、スクリーン版2としては、36メッシュの紗を用いた以外は、スクリーン版1と同様にして、スクリーン版の柄に重なる位置に柄を有するスクリーン版を作製した。
織物に樹脂を付与するためのスクリーン捺染版を作製した。
なお、実施例1においては、2層の樹脂層からなる樹脂部を形成するため、2枚のスクリーン捺染版(これを以下、スクリーン版1、スクリーン版2とそれぞれ称す)を使用した。
スクリーン版1としては、50メッシュの紗を用い、この紗に常法の製版法により所定位置に柄を形成した。スクリーン版1の厚みは70μmであった。
また、スクリーン版2としては、36メッシュの紗を用いた以外は、スクリーン版1と同様にして、スクリーン版の柄に重なる位置に柄を有するスクリーン版を作製した。
4)樹脂部形成工程
前記樹脂Aを、前記スクリーン版1を用いて、自動捺染機により、ゴムスキージにて、付与量40g/m2(乾燥重量)となるよう前記織物に塗布した。
次いで、捺染後の前記織物を、乾燥機を用いて120℃で熱風乾燥させた。
次いで、前記樹脂Bを、前記スクリーン版2を用いて、同様に、付与量50g/m2(乾燥重量)となるよう塗布し、前記乾燥と同様にして乾燥させた。
なお、本実施例においては、自動捺染機の捺染部分と、乾燥機とを交互に配置し、樹脂の塗布および乾燥を一連の工程として行うことができる生産ラインを使用して加工を行なった。
前記樹脂Aを、前記スクリーン版1を用いて、自動捺染機により、ゴムスキージにて、付与量40g/m2(乾燥重量)となるよう前記織物に塗布した。
次いで、捺染後の前記織物を、乾燥機を用いて120℃で熱風乾燥させた。
次いで、前記樹脂Bを、前記スクリーン版2を用いて、同様に、付与量50g/m2(乾燥重量)となるよう塗布し、前記乾燥と同様にして乾燥させた。
なお、本実施例においては、自動捺染機の捺染部分と、乾燥機とを交互に配置し、樹脂の塗布および乾燥を一連の工程として行うことができる生産ラインを使用して加工を行なった。
5)後処理工程
前記方法により樹脂積層部を形成させた前記織物に、後処理として、下記成分からなる後処理剤を、絞り率50%でパディング処理し、その後、120℃で1分間熱処理を行なった。
<後処理剤の成分>
フッ素系撥水剤(旭硝子株式会社製、アサヒガードAG7000) 10質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤
(明成化学工業株式会社製、メイカネートNBP211) 5質量部
水 85質量部
前記方法により樹脂積層部を形成させた前記織物に、後処理として、下記成分からなる後処理剤を、絞り率50%でパディング処理し、その後、120℃で1分間熱処理を行なった。
<後処理剤の成分>
フッ素系撥水剤(旭硝子株式会社製、アサヒガードAG7000) 10質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤
(明成化学工業株式会社製、メイカネートNBP211) 5質量部
水 85質量部
以上、1)〜5)の工程を経て、実施例1の樹脂加工布を得た。
実施例1の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
実施例1の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1における樹脂AおよびBを、下記成分からなる樹脂Cに変更し、さらに、実施例1で使用したスクリーン版1および2を、所定の位置に柄を有した36メッシュ、厚み70μmのスクリーン版に変更し、自動捺染機により、ゴムスキージにて、付与量80g/m2(乾燥重量)となるよう実施例1の平織物に、樹脂Cを1回塗布した。
<樹脂Cの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
黒顔料(DIC株式会社製、DEXCEL BLACK HR) 3質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
なお、樹脂Cの粘度は40000cps/20℃に調整した。
実施例1における樹脂AおよびBを、下記成分からなる樹脂Cに変更し、さらに、実施例1で使用したスクリーン版1および2を、所定の位置に柄を有した36メッシュ、厚み70μmのスクリーン版に変更し、自動捺染機により、ゴムスキージにて、付与量80g/m2(乾燥重量)となるよう実施例1の平織物に、樹脂Cを1回塗布した。
<樹脂Cの成分>
ポリウレタン樹脂(林化学工業株式会社製、バインダーCB503) 100質量部
ブロックイソシアネート系架橋剤(林化学工業株式会社製、オキザールUL−3)
3質量部
黒顔料(DIC株式会社製、DEXCEL BLACK HR) 3質量部
ポリアクリル酸系増粘剤(林化学工業株式会社製、増粘剤) 適量
なお、樹脂Cの粘度は40000cps/20℃に調整した。
次いで、捺染後の前記織物を、乾燥機を用いて120℃で熱風乾燥させ、実施例1と同様の後処理を行い、実施例2の樹脂加工布を得た。
実施例2の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
実施例2の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
[比較例1]
1)前処理工程
実施例1で使用した伸縮性織物に、実施例1の後処理法を用いて撥水処理を行った。
1)前処理工程
実施例1で使用した伸縮性織物に、実施例1の後処理法を用いて撥水処理を行った。
2)転写用フィルムの作成
ポリエステル離型フィルム上に、下記成分からなる樹脂Dを塗布量25g/m2でロールコーターにて塗布した後、熱風乾燥機にて乾燥し、表皮層用フィルムを作製した。
さらに、下記成分からなる樹脂Eを、接着層として、前記フィルム上に、同様の方法にて塗布量50g/m2で積層し、熱風乾燥機にて乾燥して、積層フィルムを作製した。
<樹脂Dの成分>
ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、クリスボンNY324) 100質量部
黒顔料(大日精化工業株式会社製、セイカセブンBS780 BLACK)
10質量部
希釈剤(メチルエチルケトン) 40質量部
<樹脂Eの成分>
ポリウレタン樹脂(大日精化工業株式会社製、レザミンUD1305)100質量部
希釈剤(メチルエチルケトン) 40質量部
ポリエステル離型フィルム上に、下記成分からなる樹脂Dを塗布量25g/m2でロールコーターにて塗布した後、熱風乾燥機にて乾燥し、表皮層用フィルムを作製した。
さらに、下記成分からなる樹脂Eを、接着層として、前記フィルム上に、同様の方法にて塗布量50g/m2で積層し、熱風乾燥機にて乾燥して、積層フィルムを作製した。
<樹脂Dの成分>
ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、クリスボンNY324) 100質量部
黒顔料(大日精化工業株式会社製、セイカセブンBS780 BLACK)
10質量部
希釈剤(メチルエチルケトン) 40質量部
<樹脂Eの成分>
ポリウレタン樹脂(大日精化工業株式会社製、レザミンUD1305)100質量部
希釈剤(メチルエチルケトン) 40質量部
3)フィルムの接着
前記積層フィルムを、裁断機で任意の形状に切り出し、撥水処理を施した前記伸縮性織物の所定の位置に配置し、プレス機にて150℃、1.0kg/cm2の条件で60秒間プレス圧着した後、離型フィルムを剥離した。
前記積層フィルムを、裁断機で任意の形状に切り出し、撥水処理を施した前記伸縮性織物の所定の位置に配置し、プレス機にて150℃、1.0kg/cm2の条件で60秒間プレス圧着した後、離型フィルムを剥離した。
以上1)〜3)の工程を経て、比較例1の樹脂加工布を得た。
比較例1の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
比較例1の樹脂加工布に対する各結果を表1に示す。
[評価]
実施例1および2で得られた樹脂加工布は、いずれも目的とする応力倍率および応力保持率を有し、高い密着性および補正効果を有するものであった。また、実施例1および2で得られた樹脂加工布は、応力を付与するための樹脂部形成において、樹脂部の柄形状の自由度が高く、さらに生産性にも優れたものであった。
一方、比較例1で得られた樹脂加工布は、目的とする応力保持率が得られず、さらに、フィルムによって配置できる柄形状にも限界があり、実施例1および2に比べて劣るものであった。また、生産性についても、実施例1および2に劣るものであった。
実施例1および2で得られた樹脂加工布は、いずれも目的とする応力倍率および応力保持率を有し、高い密着性および補正効果を有するものであった。また、実施例1および2で得られた樹脂加工布は、応力を付与するための樹脂部形成において、樹脂部の柄形状の自由度が高く、さらに生産性にも優れたものであった。
一方、比較例1で得られた樹脂加工布は、目的とする応力保持率が得られず、さらに、フィルムによって配置できる柄形状にも限界があり、実施例1および2に比べて劣るものであった。また、生産性についても、実施例1および2に劣るものであった。
Claims (12)
- 伸縮性織物上の任意の位置に樹脂液を塗布することにより樹脂部が形成された樹脂加工布であって、該樹脂部を有する織物部分の応力値が、樹脂部を有さない織物部分の応力値よりも高いことを特徴とする樹脂加工布。
- 前記樹脂部を有する織物部分に対する、樹脂部を有さない織物部分との応力倍率が、2〜10倍である、請求項1に記載の樹脂加工布。
- 前記樹脂部を有する織物部分の応力値が、繰り返し伸張回復後において、繰り返し伸張回復前の応力値の40%以上を維持していることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂加工布。
- 前記樹脂部の樹脂厚みが、50μm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記樹脂部を形成する樹脂の付与量が、50〜200g/m2である、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記樹脂部を形成する樹脂が、弾性を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記伸縮性織物が、タテおよびヨコ方向にそれぞれ30〜200%の伸度を有している、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記伸縮性織物の厚みが、100〜500μmである、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記伸縮性織物の重量が、50〜200g/m2である、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記伸縮性織物に、撥水処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 前記樹脂部が、2層以上の樹脂層により形成されてなる、請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂加工布。
- 水着素材として用いることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の樹脂加工布。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013154498A (ja) * | 2012-01-27 | 2013-08-15 | Seiren Co Ltd | 伸縮性樹脂加工布帛 |
JP2021502500A (ja) * | 2017-11-03 | 2021-01-28 | ザ ライクラ カンパニー ユーケー リミテッド | 水性ポリウレタン分散体を使用する方法およびそれにより作製された製品 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006121010A1 (ja) * | 2005-05-09 | 2006-11-16 | Wacoal Corp. | 伸縮性生地 |
-
2008
- 2008-11-04 JP JP2008283085A patent/JP2010111954A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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