JP2010111797A - cis−cisoid型置換アセチレン重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に有利なcc型置換アセチレン重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(I)
Figure 2010111797

[式中、nは10〜100,000の整数である。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基、CO21で示されるエステル基、CONR23で示されるアミド基、CO2Mで示されるカルボキシル基またはその金属塩のいずれかを表す]で表されるcis-transoid型置換アセチレン重合体を50〜100℃で加熱処理することを特徴とするcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法および同製造方法で得られたcis-cisoid型置換アセチレン重合体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、cis-transoid型置換アセチレン重合体から、cis-cisoid型置換アセチレン重合体を製造する方法、およびそれによって得られるcis-cisoid型置換アセチレン重合体に関する。
cis型置換アセチレン重合体を製造する方法として、例えばロジウム錯体触媒を用いる末端アセチレンの重合方法が知られており、cis型置換アセチレン重合体には、transoid構造とcisoid構造の2つの立体配座が存在し、それぞれらせん構造をとることが知られている。このらせん構造において、cisoid構造の方がtransoid構造よりもらせんピッチが短く、密ならせん構造を有することが報告されている(非特許文献1参照)。
いずれの構造体も置換基はらせん状主鎖の外側に側鎖として配向している。かかる側鎖が互いに相互作用しうる官能基を有する場合、より密ならせん構造体であるcisoid型は、側鎖同士の相互作用をより強力にし、らせん構造の安定化や、側鎖によって導かれる種々の機能がより強力に発現する。以上のように、かかるcisoid構造を有するcis型置換アセチレン重合体、即ちcis-cisoid型置換アセチレン重合体(以下、「cc型置換アセチレン重合体」と略す)は、非常に有用なポリマーである。
cc型置換アセチレン重合体を製造する方法としては、例えば、4−アルコキシフェニルアセチレンをヘキサン溶媒中で重合する方法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、cis型置換アセチレン重合体の重合触媒として一般的に使用されるクロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマーは、ヘキサンなどの低極性溶媒中における触媒活性は必ずしも高くない。工業的な製造を想定した場合、かかる高価な貴金属化合物触媒を希薄濃度で使用する必要があるため、反応速度は極めて低くなり効率的にcc型置換アセチレン重合体を製造することは困難である。一方、アルコールやアミンなどの高極性溶媒中での重合反応では、低極性溶媒に比べて触媒活性は高くなるが、生成するポリマーはcis−transoid型置換アセチレン重合体(以下、「ct型置換アセチレン重合体」と略す)である。
また、cis型置換アセチレン重合体は、有機溶媒蒸気によって、色や構造などが変化することが知られている(例えば、非特許文献1〜3、特許文献1)。しかしながら、有機溶媒蒸気による処理は、人体に対する有害性、引火および爆発という危険性をはらんでおり、必ずしも工業的に有利な方法とは言い難い。
また、cis型置換アセチレン重合体は熱により色や構造が変化することが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1においては、置換アセチレン重合体を得た後それを加熱することがどのように構造の変化した置換アセチレン重合体を製造することになるのかに関しては記載されていない。
以上のことから、工業的に有利なcc型置換アセチレン重合体を製造する方法は知られていない。
田畑、馬渡、高分子、55(12)、pp938-941(2006) 田畑、曽根、貞弘、楊、小林、稲葉、横田、高分子論文集、54、No.12、pp863-874(1997) MASAYOSHI TABATA et al、J. M. S.-PURE APPL. CHEM., A34(4), pp641-653 (1997) 特開2007−314750号公報
したがって、本発明の課題は、工業的に効率的なcc型置換アセチレン重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討し、置換アセチレンを極性溶媒中で重合し、続いて加熱処理することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記
(1)一般式(I)
Figure 2010111797
[式中、nは10〜100,000の整数である。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基、CO21(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるエステル基、CONR23(式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるアミド基、CO2M(式中、Mは水素原子または1価の金属を表す)で示されるカルボキシル基またはその金属塩のいずれかを表す]
で表されるcis-transoid型置換アセチレン重合体を50〜100℃で加熱処理することを特徴とするcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法、
(2)前記cis-transoid型置換アセチレン重合体が一般式(II)
Figure 2010111797
[式中、Rは前記一般式(I)におけるものと同じ基を表す]
で表される置換アセチレンを、8−10族金属化合物存在下重合させたアセチレン重合体である上記(1)に記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法、
(3)前記置換アセチレンが4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレンまたは4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレンである上記(1)または(2)に記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法、
(4)前記cis-transoid型置換アセチレン重合体が粉末状である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法および
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法により得られるcis-cisoid型置換アセチレン重合体を提供する。
本発明により、cc型置換アセチレン重合体を工業的に効率よく提供することができる。このようにして得られたcc型置換アセチレン重合体は密ならせん構造を有するため安定性が高く、また近傍に位置する側鎖同士が高度に配列するため、導電性材料、エレクトロルミネッセンス材料、電磁波遮蔽材、ガス吸着材などの高機能性材料用途に適している。
本発明によれば、cc型置換アセチレン重合体を提供することができる。以下、本発明を詳細に述べる。
上記一般式(I)において、nは数平均重合度を表わし、10〜100,000、好ましくは、100〜100,000の整数である。nを100以上とすることにより、得られるcc型置換アセチレンの成形性、得られた成形体の機械的強度がより優れるので好ましいが、cc型置換アセチレン重合体の製造コストおよび成形コストを考慮すると、100,000以下であることが好ましい。nが10〜100,000のct型またはcc型置換アセチレン重合体の数平均分子量は1000〜30,000,000程度となる。後で述べる反応(重合)条件において、温度を低くするか、反応時間を短くするか、置換アセチレンの濃度を低くすると得られるct型(およびcc型)置換アセチレン重合体の数平均分子量は低くなる。
nが10〜100,000のct型またはcc型置換アセチレン重合体の数平均分子量は1,000〜30,000,000程度となる。後で述べる反応(重合)条件において、温度を低くするか、反応時間を短くするか、置換アセチレンの濃度を低くすると得られるct型(およびcc型)置換アセチレン重合体の数平均分子量は低くなる。
上記一般式(I)および(II)において、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基、CO21(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるエステル基、CONR23(式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるアミド基、CO2M(式中、Mは水素原子または1価の金属を表す)で示されるカルボキシル基またはその金属塩のいずれかを表す。
中でも、原料の入手性、モノマー合成の容易性、重合体におけるcc構造の安定性などの観点から置換基を有する炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
〔炭素数1〜30のアルキル基の説明〕
上記一般式(I)および(II)中、R、R1、R2およびR3が表す炭素数1〜30のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基などの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、などのアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのアルキルチオ基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;メチルスルフォキシド基、エチルスルフォキシド基、フェニルスルフォキシド基などのスルフォキシド基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基などのスルフォン酸エステル基;ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基などの1級または2級のアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert−ブトキシカルボニル基などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基などのアルキル基またはアリール基などで置換されていてもよいアミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;などが挙げられる。
好ましい置換基は、アリール基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、スルフォキシド基、スルフォン酸エステル基、水酸基、アミノ基である。
〔炭素数4〜30のアリール基の説明〕
上記一般式(I)および(II)中、R、R1、R2およびR3が表す炭素数4〜30、好ましくは炭素数6〜10のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などの芳香族系炭化水素;ピリジル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基などの複素環;などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖状、分岐状または環状のアルキル基;ビニル基、アリル基、クロチル基、プレニル基、7−オクテニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、フェニルエチニル基などのアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、などのアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などのアルキルチオ基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;メチルスルフォキシド基、エチルスルフォキシド基、フェニルスルフォキシド基などのスルフォキシド基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基などのスルフォン酸エステル基;ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基などの1級または2級のアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert−ブトキシカルボニル基などで置換された、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、フェニル基などのアルキル基またはアリール基などで置換されていてもよいアミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。
好ましいアリール基は、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいナフチル基である。
好ましい置換基はアルコキシ基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、スルフォキシド基、スルフォン酸エステル基、水酸基、アミノ基である。
〔Mの説明〕
上記一般式(I)および(II)中の置換基Rの一つであるCO2MにおけるMが取り得る1価の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属および銅(I)、銀などの遷移金属が挙げられる。中でも、アルカリ金属が好ましい。
〔製造方法〕
本発明において、cc型置換アセチレン重合体を得る方法としては、下記化学反応式で示される2工程で合成される。即ち、一般式(II)で示される置換アセチレンを8−10族金属化合物存在下重合させることにより、工程2における原料となるct型置換アセチレン重合体を得る工程(以下、「工程1」と略す)およびct型置換アセチレン重合体を加熱処理して目的化合物であるcc型置換アセチレン重合体を得る工程(以下、「工程2」と略す)である。
Figure 2010111797
以下、工程別に詳細を記す。
<工程1(触媒)>
置換アセチレンを重合させる際に用いられる8−10族金属化合物としては、例えばロジウム錯体、パラジウム錯体、イリジウム錯体、白金錯体などが挙げられる。
ロジウム錯体としては、例えばクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、アセチルアセトナトビス(エチレン)ロジウム、アセチルアセトナトビス(シクロオクテン)ロジウム、アセチルアセトナト(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム、(1,5−シクロオクタジエン)ビス(トリフェニルホスフィン)ロジウムヘキサフルオロホスフェート、(ノルボルナジエン)トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(ノルボルナジエン)ロジウムテトラフルオロボレート、クロロビス(エチレン)ロジウム ダイマー、クロロビス(シクロオクテン)ロジウム ダイマー、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム ダイマー、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマー、クロロ(ジシクロペンタジエニル)ロジウム ダイマー、クロロ(テトラフルオロベンゾバレレン)ロジウム ダイマーなどが挙げられる。
パラジウム錯体としては、例えばジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムが挙げられる。
イリジウム錯体としては、アセチルアセトナト(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)イリジウムテトラフルオロボレート、クロロビス(シクロオクテン)イリジウム ダイマー、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム ダイマーなどが挙げられる。
白金錯体としては、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金などが挙げられる。
これらの中でも、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム ダイマー、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマー、クロロ(テトラフルオロベンゾバレレン)ロジウム ダイマーが好ましく、重合活性ならびに工業的な入手性の観点からクロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマーがより好ましい。
上記8−10族金属化合物の使用量は、反応(重合)用混合液(置換アセチレンおよび後で述べる有機溶媒)1リットルあたり、金属原子換算で0.000001〜10モルの範囲であるのが好ましく、0.0001〜1モルの範囲であるのがより好ましい。8〜10族金属化合物の使用量が、金属原子換算で反応(重合)用混合液1リットルあたり0.000001モル未満であると、反応速度が極めて遅くなる傾向にあり、また10モルを超えてもそれに見合う効果が得られず、触媒コストが増大するのみである。
工程1は、反応の活性を高めるために、必要に応じて、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、キノリンなどの添加剤の存在下に実施してもよい。該添加剤を使用する場合、その使用量は、8〜10族金属化合物の金属1モルに対して、通常、1モル以上添加するのが好ましく、反応のための有機溶媒として用いることもできる。
<工程1〔重合(反応)条件〕>
工程1の反応は、通常、有機溶媒中で行なう。かかる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコールなどのアルコール;(モノ、ジ、トリ)メチルアミン、(同)エチルアミン、(同)プロピルアミン、(同)ブチルアミンのようなアルキルアミン;エタノールアミンのようなアミノアルコール;ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル;アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトンなどのケトン;ヘプタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
これらの有機溶媒の中で、反応速度の観点からアルコール、アミン、アミノアルコールのような極性の高い有機溶媒を用いるのが好ましい。
これらの有機溶媒は1つを単独で使用してもよいし、2つ以上を併用してもよい。有機溶媒を使用する場合、有機溶媒の使用量に特に制限はないが、置換アセチレンおよび有機溶媒混合液全体中、通常、1〜95質量%であり、好ましくは70〜95質量%の範囲である。
有機溶媒の使用量を1質量%以上とすることにより、混合液の粘度が低下して効率的な攪拌ができるようになり、95質量%以下とすることにより、実用的な反応速度を維持することができる。
工程1における反応温度は、−60〜100℃の範囲であるのが好ましく、0〜40℃の範囲であるのがより好ましい。
反応温度を−60℃以上とすることにより、反応が適度な時間内に進行し、100℃以下とすることにより、cis型からtrans型への異性化などの副反応を抑制することができる。
工程1における反応時間は、通常、1分〜20時間の範囲であり、0.5〜10時間の範囲であるのが好ましい。通常、反応温度が低い場合は長時間で、温度が高い場合は短時間で反応を行なうのが好ましい。
工程1における反応圧力は、通常、常圧下に行われる。
通常、下記の手順で反応が行われる。
まず、有機溶媒に置換アセチレンを溶解させた混合液1を準備する。別途、同じ有機溶媒に触媒である8−10族金属化合物およびトリエチルアミンのような添加剤を溶解させた混合液2を準備する。次いで、混合液1と混合液2を混合し、所定の反応温度に保ちながら撹拌して所定の時間反応させることによりct型置換アセチレン重合体を含む反応液が得られる。
<工程1(重合体の単離・精製法)>
工程1で得られた反応液からct型置換アセチレン重合体を一般的な手法によって単離、精製することができる。即ち、得られた反応液をメタノール、水のような貧溶媒中に添加して重合体を沈殿させ、ろ過により分離後、乾燥することにより、以下に述べる工程2における原料となるct型置換アセチレン重合体を取得することができる。該重合体は、必要に応じて、さらに再沈処理を施すか、貧溶媒とソックスレー抽出器等を用いて、残留する金属化合物や低分子量成分を除去することができる。
<工程2(ct型置換アセチレン重合体の形状)>
工程2において使用されるct型置換アセチレン重合体の形状としては、塊状、粉末状、薄膜状のものが用いられる。ct型置換アセチレン重合体からcc型置換アセチレン重合体への処理効率の観点、すなわち、効率的に熱を吸収するという観点から表面積が大きいほど有利であり、粉末状、薄膜状であることがより好ましい。
<工程2(加熱処理)>
工程2では、ct型置換アセチレン重合体を加熱処理することにより、cc型置換アセチレン重合体へ異性化させる。好ましい加熱処理温度は50〜100℃である。50℃以上とすることにより、ct型からcc型への異性化効率が低下するのを防止し、100℃以下とすることにより、結晶部が融解しcis型からtrans型に異性化するのを防止する。
<工程2(処理手法)>
工程2における具体的な処理方法としては、不活性ガス雰囲気下または空気雰囲気下のいずれかの状態の下、ct型置換アセチレン重合体を熱風下に暴露させるか、密閉容器内にct型置換アセチレン重合体を加え、容器を所定の温度に加熱することにより行なうのが好ましい。
たとえば、ct型置換アセチレン重合体が粉末状の場合、塔内で不活性ガスまたは空気加熱下、同重合体の粉末を上部から散布してもよいし、粉末または顆粒状のものが堆積した中に不活性ガスまたは空気の熱風を流通させても良い。フィルム状で処理する場合は、網状のスペーサーとともに巻回した状態で不活性ガスまたは空気の熱風を流通させても良い。
<工程2(処理条件)>
工程2における加熱処理時間は、1秒〜20時間の範囲であるのが好ましく、1分〜10時間の範囲であるのがより好ましい。一般的に、温度が高い場合は短時間で、温度が低い場合は長時間かけて加熱処理するのが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例において用いた測定機器および測定方法を示す。
(1)置換アセチレン重合体の分子構造
1H−NMR(核磁気共鳴)測定を行い、テトラメチルシランを内部標準物質とした場合の化学シフト値から構造を同定した。
<分析条件>
装置:日本電子株式会社製JNM−A400II
溶媒:重クロロホルム
濃度 :20mg/0.6ml
温度 :23℃
積算回数:32回
(2)置換アセチレン重合体の数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定を行い、ポリスチレン換算分子量として算出した。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置 :日本分光株式会社製GPC−900
カラム:K−806L(Shodex)を2本連結(カラム温度:40℃)
移動相:クロロホルム(流速:1.0ml/分)
分析時間:30分
検出器:RI
濾過 :孔径0.45μmの精密フィルター
濃度 :3mg/ml
注入量:20μl
標品 :ポリスチレン
解析 :日本分光製807−ITインテグレーター
(3)置換アセチレン重合体の結晶構造
X線回折装置を用いて、回折角(2θ)=2〜35°の範囲を走査速度0.6°/分で走査し、対称反射法で測定した(WAXD分析)。測定条件の詳細を以下に示す。
<分析条件>
装置:株式会社リガク製RINT2200
X線発生装置:封入管式X線発生装置
X線源:Cu 40kV 40mA
ゴニオメーター:試料水平ゴニオメーター
検出器:シンチレーションカウンター
ステップ幅:0.04°
スリット:発散スリット=1°、受光スリット=0.15mm、散乱スリット=1°
コリメーター:なし
サンプル:白金セルに充填
(4)置換アセチレン重合体の立体配座解析
分子力場法を用いて置換アセチレン二十量体の構造最適化を二面角を変化させながら行い、得られた局所安定構造をそれぞれcc型、ct型とし、そのときの分子サイズから結晶の結晶軸の長さを算出した。計算条件の詳細を以下に示す。
<計算条件>
使用ソフト:Spartan’04 Windows ver.1.03
力場 :MMFF94
以下、4−ブトキシフェニルアセチレンを例に具体的な手順について説明する。
(a) 4−ブトキシフェニルアセチレンの20量体を主鎖二重結合の二面角が180°となるように作図し、末端は水素とした。
(b) 二面角を170°とし、その二面角を固定した状態で分子力場法を用いて構造最適化を行い、安定化構造のエネルギーを得た。
(c) 続いて、上記(b)で得られたモデルの二面角を160°に変え、その二面角を固定した状態で分子力場法を用いて構造最適化を行い、安定化構造のエネルギーを得た。
(d) 以下同様に、二面角が40°になるまで10°刻みに繰り返し、各二面角における安定化構造のエネルギーを求めた。
(e) 二面角と各二面角における安定化構造のエネルギー〔strain energy(kcal/mol)〕の関係をプロットし、 70°と120°に極小値が得られた(図1参照)。
図1において、縦軸は安定化構造のエネルギー、横軸は二面角の角度φ(°)を示す。
(f) 二面角70°の構造をcc型、120°の構造をct型とし、その分子サイズから結晶の結晶軸の長さを算出した。
(5)加熱サンプルのESR(スピン密度)測定
装置名:JEOL FE1XG
測定条件:磁場 3360±100G
MODULATION 4G
Microwave Power 0.4mW
測定温度:室温
サンプル:5mm径のESRサンプル管へ試料を50mg入れ、真空ラインに接続し、10-3torrで2時間脱気後封管した。室温での測定後、同サンプル管を140℃のオイルバスへ1時間浸したのち、室温へ冷却したものを測定した。
〔合成例1 置換アセチレン重合体の合成1〕
直径(内径)20mmφ、直線換算長さ200mmのU字型のガラスチューブの両端開口部側を下向きに配置し、その一方の開口部側から乾燥させたエタノール7.2mlに溶解させた4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン667mg(2.9mmol)溶液を、他方側の開口部側から乾燥させたエタノール7.2mlに溶解させたクロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマー13.4mg(0.029mmol)とトリエチルアミン0.4mlの溶液をそれぞれ入れ、U字型のガラスチューブの両端開口部側が上向きになるように反転させることにより両溶液を混合し、反応を開始させた。反応は20℃で、2時間行った。
続いて、過剰のメタノールを添加して反応を停止し、沈殿してきた黄色の重合体を濾過し、メタノールで洗浄した後、12時間真空乾燥した。得られた重合体の1H−NMR分析を行った結果、σ(ppm)=6.58、6.43、5.74、3.66、1.66、1.28、0.88にピークを有しており、置換アセチレンの重合体である4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体であることを確認した。また、得られた重合体の数平均分子量は159,000であった。続いて、WAXD分析を行った。結果を図2に示す。面間隔d=24.0Å(2θ=3.681°)に出現した回折ピークが六方晶の(100)面に帰属されると仮定した場合、面間隔dと格子定数の関係式
1/d2=4(h2+hk+k2)/3a2+l2/c2
a、c:結晶軸の長さ:[Å]
h、k、l:ミラー指数:[−]
から、a=27.7Åが得られる。同様に、面間隔d=12.1Å(2θ=7.306°)に出現した回折ピークが六方晶の(200)面に帰属されると仮定した場合、a/2=14.0Åが得られ、面間隔d=24.0Å(2θ=3.681°)に出現した回折ピークと等価の面であったので、得られた重合体の結晶構造は擬六方晶であると帰属した。WAXD分析から得られたaの値は4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がct型で、かつその結晶構造が擬六方晶であると仮定して分子力場法で算出したaの値27.9Åとほぼ一致することから、得られた重合体はct型であると帰属した。
〔合成例2 置換アセチレン重合体の合成2〕
合成例1における4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレンに代えて4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン626mg(2.9mmol)を用いた以外は、合成例1と同様に反応を行った。得られた重合体の1H−NMR分析を行った結果、σ(ppm)=6.58、6.44、5.74、3.67、1.65、1.31、0.89 にピークを有しており、置換アセチレンの重合体である4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体であることを確認した。また、得られた重合体の数平均分子量は184,000であった。続いて、WAXD分析を行った。結果を図3に示す。面間隔d=23.8Å(2θ=3.712°)に出現した回折ピークが六方晶の(100)面に帰属されると仮定した場合、面間隔dと格子定数の関係式
1/d2=4(h2+hk+k2)/3a2+l2/c2
a、c:結晶軸の長さ:[Å]
h、k、l:ミラー指数:[−]
から、a=27.4Åが得られる。同様に、面間隔d=11.8Å(2θ=7.492°)に出現した回折ピークが六方晶の(200)面に帰属されると仮定した場合、a/2=13.7Åが得られ、面間隔d=23.8Å(2θ=3.712°)に出現した回折ピークと等価の面であったので、得られた重合体の結晶構造は擬六方晶であると帰属した。WAXD分析から得られたaの値は4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がct型で、かつその結晶構造が擬六方晶であると仮定して分子力場法で算出したaの値27.4Åとほぼ一致することから、得られた重合体はct型であると帰属した。
〔実施例1〕
合成例1で得られた粉末状のct型4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から100℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、100℃で10分間保持した。
加熱処理後のWAXD分析結果を図4に示す。面間隔d=28.2Å(2θ=3.133°)に出現した回折ピークが六方晶の(100)面に帰属されると仮定した場合、面間隔dと格子定数の関係式
1/d2=4(h2+hk+k2)/3a2+l2/c2
a、c:結晶軸の長さ[Å]
h、k、l:ミラー指数[−]
から、a=32.6Åが得られる。同様に、面間隔d=14.1Å(2θ=6.268°)に出現した回折ピークが六方晶の(200)面に帰属されると仮定した場合、a/2=16.3Åが得られ、面間隔d=28.2Å(2θ=3.133°)に出現した回折ピークと等価の面であったので、得られた重合体の結晶構造は擬六方晶であると帰属した。
WAXD分析から得られたaの値は4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がcc型で、かつその結晶構造が擬六方晶であると仮定して分子力場法で算出したaの値32.8Åとほぼ一致することから、加熱処理を行うことでct型からcc型へ構造変化したと帰属した。
また、得られた重合体のスピン密度は、5.5×1015(spins/g)であった。
〔実施例2〕
合成例2で得られた粉末状の4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から90℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、90℃で10分間保持した。ct型加熱処理後のWAXD分析結果を図5に示す。面間隔d=27.6Å(2θ=3.201°)に出現した回折ピークが六方晶の(100)面に帰属されると仮定した場合、面間隔dと格子定数の関係式
1/d2=4(h2+hk+k2)/3a2+l2/c2
a、c:結晶軸の長さ[Å]
h、k、l:ミラー指数[−]
から、a=31.9Åが得られる。同様に、面間隔d=13.6Å(2θ=6.499°)に出現した回折ピークが六方晶の(200)面に帰属されると仮定した場合、a/2=15.7Åが得られ、面間隔d=27.6Å(2θ=3.201°)に出現した回折ピークと等価の面であったので、得られた重合体の結晶構造は擬六方晶であると帰属した。
WAXD分析から得られたaの値は4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がcc型で、かつその結晶構造が擬六方晶であると仮定して分子力場法で算出したaの値31.6Åとほぼ一致することから、加熱処理を行うことでct型からcc型へ構造変化したと帰属した。
また、得られた重合体のスピン密度は、6.3×1015(spins/g)であった。
〔比較例1〕
合成例1で得られた粉末状のct型4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から140℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、140℃で10分間保持した。
加熱処理後のWAXD分析結果を図6に示す。結晶性のピークは消失し、結晶部が融解していることは明確である。また、得られた重合体のスピン密度は、7.2×1017(spins/g)であり、実施例1と比較してスピン密度が明らかに増大しており、trans型への異性化が進行していることは明らかである。
〔比較例2〕
置換アセチレン重合体として合成例2で得られたct型4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から130℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、130℃で10分間保持した。加熱処理後のWAXD分析結果を図7に示す。結晶性のピークは消失し、結晶部が融解していることは明確である。
また、得られた重合体のスピン密度は、8.7×1017(spins/g)であり、実施例2と比較してスピン密度が明らかに増大しており、trans型への異性化が進行していることは明らかである。
〔比較例3〕
合成例1で得られた粉末状のct型4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から40℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、40℃で10分間保持した。加熱処理後のWAXD分析結果を図8に示す。図4との比較から、加熱処理前後で構造変化が起こっていないことは明確である。
〔比較例4〕
合成例2で得られた粉末状のct型4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体150mgを30℃から40℃まで10℃/時で昇温させながら加熱処理を行い、40℃で10分間保持した。加熱処理後のWAXD分析結果を図9に示す。図5との比較から、加熱処理前後で構造変化が起こっていないことは明確である。
〔比較例5〕
合成例1において、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウム ダイマーの使用量を1.34mg(2.9μmol)とし、重合溶媒をそれぞれエタノールとヘキサンにした以外は、同様に反応を実施した。モノマーである4−オクチルオキシフェニルアセチレンの転化率の経時変化を図10に示す。図10から、重合反応において高価なロジウム錯体の使用量を少なくした場合、得られる重合体はct型ではあるがモノマーの消費速度はエタノールの方が明らかに速く、非特許文献1に従うヘキサン溶媒中でのcc型への直接重合に比べ、効率的に重合が進行していることがわかる。
本発明の製造法によって得られたcc型置換アセチレン重合体は導電性材料、エレクトロルミネッセンス材料、電磁波遮蔽材、ガス吸着材などの高機能性材料用途に適している。
置換アセチレン重合体の立体配座解析のための、二面角と各二面角における安定化構造のエネルギーの関係をプロットしたグラフである。 合成例1で得られた4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がct型であることを確認するために行なったWAXD分析結果である。 合成例2で得られた4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体がct型であることを確認するために行なったWAXD分析結果である。 実施例1において100℃で加熱処理した4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 実施例2において90℃で加熱処理した4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 比較例1において140℃で加熱処理したct型4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 比較例2において130℃で加熱処理したct型4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 比較例3において40℃で加熱処理したct型4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 比較例4において40℃で加熱処理したct型4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレン重合体のWAXD分析結果である。 比較例5における4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレンの転化率の経時変化を示す図である。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 2010111797
    [式中、nは10〜100,000の整数である。Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基、CO21(式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるエステル基、CONR23(式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4〜30のアリール基を表す)で示されるアミド基、CO2M(式中、Mは水素原子または1価の金属を表す)で示されるカルボキシル基またはその金属塩のいずれかを表す]
    で表されるcis-transoid型置換アセチレン重合体を50〜100℃で加熱処理することを特徴とするcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法。
  2. 前記cis-transoid型置換アセチレン重合体が一般式(II)
    Figure 2010111797
    [式中、Rは前記一般式(I)におけるものと同じ基を表す]
    で表される置換アセチレンを、8−10族金属化合物存在下重合させたアセチレン重合体である請求項1に記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法。
  3. 前記置換アセチレンが4−(n−オクチルオキシ)フェニルアセチレンまたは4−(n−ヘプチルオキシ)フェニルアセチレンである請求項1または2に記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法。
  4. 前記cis-transoid型置換アセチレン重合体が粉末状である請求項1〜3のいずれかに記載のcis-cisoid型置換アセチレン重合体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られるcis-cisoid型置換アセチレン重合体。
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