JP2010111637A - 金属担持無機質微粒子、金属担持無機質微粒子の製造方法及び金属担持無機質微粒子を含む紫外線遮蔽化粧料 - Google Patents

金属担持無機質微粒子、金属担持無機質微粒子の製造方法及び金属担持無機質微粒子を含む紫外線遮蔽化粧料 Download PDF

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Abstract

【課題】高い紫外線遮蔽能を有する金属担持無機質微粒子及びその製造方法並びに、これを含む紫外線遮蔽化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の金属担持無機質微粒子は、紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子に、該無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属が担持されている金属担持無機質微粒子であり、その製造方法は、紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子の水性分散液と、前記無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属又は金属酸化物の微粒子又は金属塩とを混合すること、前記混合により得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加すること、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属担持無機質微粒子、金属担持無機質微粒子の製造方法及び金属担持無機質微粒子を含む紫外線遮蔽化粧料に関する。
一般的に慢性的な紫外線曝露によって肌荒れやシワの発生、たるみ、色素沈着などの皮膚防止するために、酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線遮蔽剤を含有することも行われている。特に、酸化チタンなどの無機酸化物の紫外線吸収能は粒子形、粒子サイズ、分散性などに依存する。一方、日焼け止め化粧料や塗料などの用途においては、粒子の光触媒活性が高くないことが求められる。
このような要求の下、これまで紡錘状酸化チタンをはじめとする微粒子酸化チタン粒子の開発、さまざまな粉体表面処理方法の開発などがなされてきている。
例えば、特許文献1では、疎水化紡錘状酸化チタンと、有機変性粘度鉱物と油分と水とを含有する日焼け止め化粧料が開示されており、酸化チタンの表面処理法として、油脂処理法や金属石けん処理法、シリコーン処理法、フッ素化号物処理法があると記載されている。
また、特許文献2では、シリカ等で被覆された酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子を併用した化粧料が開示されており、一定の緻密なシリカ膜で被覆した一次粒子が0.01〜0.2μmの酸化チタン粒子と酸化亜鉛粒子とを所定の質量比で併用配合することにより、紫外線防除効果が相乗的に高められると記載されている。
特許文献3には、マンガントープされた二酸化チタン粒子を含むUV遮蔽組成物が開示されており、マンガン3+イオンが二酸化チタンのホスト格子の表面に組み込まれた粒子によって、DNAに対する損傷を少なくすることができると記載されている。
一方、銀や白金といった貴金属を酸化チタンに担持させることによって、光触媒活性を高めることや可視光感度を持たせることができることが知られている。特許文献4には、アナターゼ型結晶を含有する酸化チタン粒子の表面が酸化ジルコニウム又は水酸化ジルコニウムで被覆されている可視光応答性光触媒粒子が開示されており、可視光に対する触媒活性が特異的に向上すると記載されている。
また特許文献5では、酸化チタンに対して金属イオンの注入を検討した結果、特定の金属イオンを酸化チタンに導入することにより得られる光触媒が、可視光領域の光の吸収を起こすと記載されている。
更には抗菌性金属の抗菌活性に着目し、これを利用した抗菌性化粧料が知られている。例えば、特許文献6には、炭化チタンなどのセラミックスに銀、銅、亜鉛などの抗菌性金属を担持させた抗菌性化粧料が開示されている。
しかしながら、このような可視光応答性光触媒粒子や、抗菌性化粧料では、光触媒活性や抗菌活性を高めるために、表面処理を施すものではない。
特開平7−258055号公報 特開2002−154915号公報 特表2002−516347号公報 特開2004−344825号公報 特開平9−262482号公報 特開平7−101821号公報
上述したように、これまでの紫外線遮蔽剤等では、酸化チタンなどの無機質微粒子の表面処理等を改良することや種々の無機質微粒子を組み合わせることなどが中心であり、無機質微粒子そのものの紫外線吸収能を高めるものではない。特に金属イオンを酸化チタンに注入する方法では、紫外光での吸収を顕著に高めないことは公知のことである(特許文献5参照)。しかしながら、無機質微粒子の紫外線吸収能を直接高め、その上で、光触媒活性を効果的に抑制できれば、少ない量で高い紫外線遮蔽効果が期待できる。
本発明の目的は、高い紫外線遮蔽能を有する金属担持無機質微粒子及びその製造方法並びに、これを含む紫外線遮蔽化粧料を提供することである。
本発明は、以下のものである。
[1] 紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子に、該無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属が担持されている金属担持無機質微粒子。
[2] 前記無機質微粒子に担持されている金属が、周期律表10族および11族から選ばれる金属又は金属酸化物である[1]に記載の金属担持無機質微粒子。
[3] 前記無機質微粒子に担持されている金属が、銀、金又は白金である[1]又は[2]に記載の金属担持無機質微粒子。
[4] 前記無機質微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物の粒子である[1]〜[3]のいずれかに記載の金属担持無機質微粒子。
[5] 前記被覆層が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アンチモン、スズ及びセリウムからなる群より選択された少なくとも1つの金属の酸化物、水酸化物及び含水酸化物又はこれらの組み合わせである[1]〜[4]のいずれかに記載の金属担持無機質微粒子。
[6] 前記無機質微粒子の水性分散液と、前記金属又は当該金属酸化物の微粒子又はその金属塩とを混合し、得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加することにより得られる[1]〜[5]のいずれかに記載の金属担持無機質微粒子。
[7] 紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子の水性分散液と、前記無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属又は金属酸化物の微粒子又は金属塩とを混合すること、前記混合により得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加すること、を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の金属担持無機質微粒子を製造する金属担持無機質微粒子の製造方法。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の金属担持無機質微粒子を含有する紫外線遮蔽化粧料。
本発明によれば、高い紫外線遮蔽能を有する金属担持無機質微粒子及びその製造方法並びに、これを含む紫外線遮蔽化粧料を提供することができる。
本発明の金属担持無機質微粒子は、紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子に、該無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属が担持されている金属担持無機質微粒子である。
本発明では、紫外光域に光吸収能を有する無機質微粒子が、その表面に特定の化合物による被覆層を有しており、且つ、該無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属が担持されているので、無機質微粒子そのものの紫外線遮蔽能を高めることができると共に、紫外線遮蔽能を損なうことなく光触媒活性を低減することができる。
すなわち、紫外光域に光吸収能を有する無機質微粒子は、UV−A(320nm〜400nmの波長域)とUV−B(290nm〜320nmの波長域)に吸収を有するものであるが、本発明の金属担持無機質微粒子は、無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属を担持することにより、UV−A及びUV−B、特にUV−Bに対する光吸収能を無機質微粒子そのものと比較して顕著に高めることができる。
本発明における無機質微粒子は、紫外光に対して吸収能を有する無機質微粒子であればよく、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、タルク等を挙げることができる。中でも化粧品原料としての応用を考える上においては紫外光に対する吸収能の高さ及び可視域に吸収を有しない観点から、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物であることが好ましく、UVB領域に高い紫外線遮蔽能を有する観点から酸化チタン(二酸化チタン:TiO)であることが更に好ましい。
無機質微粒子の形状は、選択された無機質の形状によって異なるが、球形、平板状、紡錘状のいずれであってもよい。またサイズは、形状によって異なるが、最大径、球形であれば粒径として、紫外線遮蔽能の観点から好ましくは0.01μm〜1.0μmであり、0.04μm〜0.1μmであることがより好ましい。
酸化チタンの結晶型は、非結晶型、ルチル型、アナターゼ型、ブッカイト型など既知の結晶型のいずれか、又はこれらの混合物であってもよく、例えば、アナターゼ型二酸化チタンとルチル型二酸化チタンとを混合した混合物でもよい。
酸化チタンの形状は特に制限はなく、球形、平板状、紡錘状、薄片状、針状のいずれであってもよい。また酸化チタンのサイズは、一般的に化粧品用途に通常用いられるサイズであれば特に制限はないが、球形とした場合の平均粒子径が0.01μm〜1.0μmであることが紫外線遮蔽能の観点から好ましく、0.04μm〜0.1μmであることがより好ましい。
酸化亜鉛については特に制限はなく、製造方法に関わりなくいずれのものも本発明で使用することができる。
また本発明における無機質微粒子は、単独で構成されたものであってよく、基材粒子上に上述した無機質微粒子の構成成分が被覆されている複合無機質微粒子であってもよい。
例えば、スメクタイト属粘土鉱物からなる薄片状粒子の表面が酸化チタンで被覆されている薄片状被覆粒子を挙げることができる。
この薄片状被覆粒子は、薄片状の基材粒子表面が酸化チタンで被覆され、該基材粒子がスメクタイト属粘土鉱物からなるものである。ここで、スメクタイト属粘土鉱物とは、モンモリロナイト属粘土鉱物のうち、三層構造を有する層状粘土鉱物を意味する。
この薄片状被覆粒子におけるスメクタイト属粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト、鉄サポナイトなどが挙げられる。
これらの層状粘土鉱物を膨潤させるなどして劈開すると、たとえばスメクタイト属粘土鉱物の場合には、厚さを0.001μm程度まで薄くすることができる。このようにして得られた薄片状粒子の表面に、酸化チタンを被覆することにより、厚さ0.001μm〜0.2μm、好ましくは0.001μm〜0.1μmの薄片状被覆粒子が得られる。
このような薄片状被覆粒子は、カオリンやマイカなどに比べて薄片の厚さが薄いのため、化粧料に通常の混合操作で単分散させることができる上、これを配合した化粧料を肌に塗布した場合、少量の配合量で肌の全面をむらなく被覆することができる。また微粒子状酸化チタンを配合した化粧料を肌に塗布した場合に比較して薄片状であるために、化粧料内で凝集することなく均一に分散するので、紫外線遮蔽効果が極めて高く、本発明において特に好ましい。
更に、このような薄片状被覆粒子では、酸化チタンの被覆量が、スメクタイト属粘土鉱物1重量部に対してTiO換算で4重量部以上であることが好ましい。この酸化チタンの被覆量が4重量部未満の場合には、スメクタイト属粘土鉱物からなる薄片状粒子の全表面を酸化チタンで被覆することができないことがある。このように薄片状粒子の全表面が酸化チタンで充分に被覆されていない場合には、薄片状被覆粒子を調製する際の乾燥、焼成工程で粘土鉱物間の再凝集が起こることがある。このような凝集した薄片状被覆粒子を化粧料に配合すると、化粧料にザラツキがでて感触が低下したり、あるいは化粧料に配合した被覆粒子が肌に付き難くなる場合がある。また、このような凝集した薄片状被覆粒子を含む化粧料は、肌に塗った時に所望の紫外線遮蔽効果が得られないことがある。
薄片状被覆粒子で上述したように酸化チタンの被覆量が4重量部以上である場合、酸化チタンの被覆量を極端に多くしても紫外線遮蔽効果などの向上が見られない場合がある。
このような薄片状被覆粒子に被覆される酸化チタンは、チタン酸化物のみで構成されていてもよく、また、チタン酸化物を主成分として含み、かつ他の無機酸化物をも含む複合酸化物であってもよい。
このような薄片状被覆粒子は、その製造方法に特に制限がないが、たとえば特開平1−224220号に記載した方法に基づいて製造することができる。
この方法を具体的に説明すると下記の通りである。まず、含水酸化チタンのゾルおよび・またはゲルに過酸化水素を加えて含水酸化チタンを溶解する。次いで、得られたチタン酸水溶液にスメクタイト属粘土鉱物粒子を加えて60℃以上に加熱する。その結果、酸化チタンが析出してスメクタイト属粘土鉱物粒子の表面を被覆する。このようにして酸化チタンで被覆された粒子を、ろ別、洗浄、次いで乾燥した後、所望に応じて焼成すると目的とする薄片状被覆粒子が得られる。上記方法では、酸化チタンが微細なアナターゼ型結晶として析出するため、スメクタイト属粘土鉱物粒子の表面に非常に緻密な層が形成できる。
無機微粒子の表面に備えられる被覆層は、無機質微粒子の表面の一部又は全部を被覆することができると共に無機質微粒子との組み合わせによって無機質微粒子の光触媒活性を低減することができるものであればよい。
ここで光触媒活性を低減するとは、メチレンブルー評価法で無垢の酸化チタンに比べて消色程度が小さくなっていることを意味する。光触媒活性を低減していることの評価は、メチレンブルー水溶液に酸化チタン分散液を添加、365nmのUV光を一定時間照射し、分光光度計にてメチレンブルーの吸収の減衰程度を比較するメチレンブルー評価法によって行うことができる。
このような被覆層を構成する化合物としては、無機質微粒子による光吸収能を損なわずに光触媒活性を低減することができる酸化物、水酸化物及び含水酸化物又はこれらの組み合わせであればよく、紫外線に対して透過性または吸収性のものであってもよい。
ここで、紫外線に対して透過性とは、照射した紫外線が99%以上透過するであることを意味する。紫外線に対して透過性であることの評価は、一般的な拡散反射スペクトルを測定できる分光光度計によって行うことができ、この評価方法で評価したときに反射あるいは吸収される割合が1%以下のものが該当する。
また紫外線に対して吸収性とは、照射した紫外線の99%以下が透過しないであることを意味する。紫外線に対して透過性であることの評価は、一般的な拡散反射スペクトルを測定できる分光光度計によって行うことができ、この評価方法で評価したときに、反射あるいは吸収される割合が1%以上のものが該当する。
無機質微粒子の被覆層を構成する化合物としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アンチモン、スズ及びセリウムからなる群より選択された少なくとも1つの金属の含水酸化物、酸化物、水酸化物又はこれらの組み合わせであることが好ましく、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム又はこれらの組み合わせが更により好ましい。
このような被覆層を有する無機質微粒子は、公知の方法で作製することができる。
またこのような被覆層を有する無機質微粒子としては市販品をそのまま使用することができる。例えば、石原産業株式会社製TTO−S1、テイカ製MT500SA等を挙げることができる。
無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属としては、無機質微粒子の吸収波長域と異なる波長域に吸収を有し、電子や正孔捕獲性の金属ナノクラスターとして無機質微粒子に付着するものであればよい。このような金属が有する光吸収波長域としては、紫外光であっても可視光であってもよいが、好ましくは、金属担持無機質微粒子の紫外線遮蔽効果の観点から、無機質微粒子の吸収波長域よりも長波長側とすることができ、選択された無機質微粒子の光吸収波長に応じてこの範囲から、適切な金属を選択することができる。
このような金属としては、周期律表10族および11族から選ばれる金属であることが微細クラスターを化学的に安定性生成できること、紫外線遮蔽効果を増大する効率の観点から好ましく、中でも銀、金、白金又はこれらの組み合わせであることが更に好ましい。
坦持される金属の金属源としては特に制限はないが、金属ナノ粒子を分布の偏りなく担持させる観点から、上記の金属又はその酸化物の微粒子又は金属塩であることが好ましい。金属塩としては、金属イオンを含有する塩、錯塩などの金属化合物等を好ましく挙げることができる。
金属イオンを含有する塩には無機塩及び有機塩のいずれであってもよく、硝酸、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、カルボン酸、スルホン酸などを挙げることができ、例えば硝酸銀、塩化金酸、塩化白金酸、ステアリン酸銀などを例示することができる。
金属錯体を形成するキレート剤としては、例えばアセチルアセトナート、EDTAなどを挙げることができる。金属塩と配位子とで錯体を形成してもよく、配位子としては、例えばイミダゾール、ピリジン、フェニルメチルスルフィドなどを挙げることができる。
また、金属イオンのハロゲン化錯体の酸(例えば、塩化金酸、塩化白金酸など)、アルカリ金属塩(例えば、塩化白金酸カリウム、塩化金酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウムなど)も、金属の金属源として挙げることができる。
無機微粒子に担持される金属が、当該金属又は金属酸化物の微粒子である場合には、公知の方法のいずれかによって得られた金属ナノ粒子を用いることができる。中でも、上記の金属化合物を、ポリオール化合物を含む溶媒中で、ポリビニルピロリドン(PVP)と共に加熱還元する製造方法によって得られたものであることが、微細粒子を制御して調製する観点から好ましい。
この方法で用いられるポリオール化合物としては、水酸基を2つ以上有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エチレングリコールが特に好ましい。
前記ポリオール化合物以外の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
溶媒におけるポリオール化合物の含有量としては、溶媒の全容量に対してポリオール化合物を30体積%以上含むことが好ましく、40体積%以上がより好ましく、ポリオール化合物のみ(100体積%)からなることが特に好ましい。前記ポリオール化合物の含有量が30体積%未満であると、平板状金属粒子の収率が低くなってしまうことがある。
また、ポリビニルピロリドン(PVP)は、ピロリドンユニットの繰り返し単位数が85以上であることが好ましく、300以上12000以下がより好ましい。前記繰り返し単位数が85未満であると、PVPが金属粒子の特定の結晶面に吸着できずに、球状粒子となってしまうとなることがある。
ポリビニルピロリドン(PVP)のモル数(ユニット換算)と、前記金属化合物とのモル数の比(PVP/金属化合物)は、4以上が好ましく、5以上がより好ましい。前記モル比(PVP/金属化合物)が、4未満であると、球状粒子の比率が高くなってしまい、平板状金属粒子の収率が低くなってしまうことがある。
加熱還元は、ポリオール化合物を含む溶媒中に金属化合物及びポリビニルピロリドンを添加した反応液を、50℃以上該反応液の沸点以下の温度で0.1〜3時間加熱すればよい。加熱温度が50℃未満であると、反応時間が長くかかりすぎてしまうことがある。
ここで「反応液の沸点」とは、前記反応液に単位時間あたりに与える熱量を一定として温度上昇させる過程において、反応液内部から気化が起こり、反応液全体から気泡が発生する状態で示す温度を最も長い時間保持する温度をいう。
無機質微粒子に担持される金属ナノ粒子は、通常この用途で用いられる金属ナノ粒子と同等のサイズであればよく、可視域に吸収を有せず、紫外線吸収能増大効果をより高めるという観点で好ましくは0.1nm〜20nmであり、より好ましくは0.5nm〜10nmである。金属ナノ粒子の平均粒子径は、上記のようにして得られた金属粒子分散液を、動的光散乱法粒子サイズ測定装置(日機装、Microtrac Nanotrac UPA model UPA−UT(ULTRA))を用いて粒子径(体積平均粒子径)を測定した。
無機質微粒子に対する金属の担持量は、ホストの無機質微粒子の質量あたり0.01%から1%であることが可視域に吸収を持たない観点から好ましく、0.1%から0.5%であることがより好ましい。0.1%よりも少ないと紫外線遮蔽能増大効果が確認できなくなる場合があり、0.5%よりも多いと例えば化粧品への応用を考える場合、化粧品配合上色味の観点で問題となる場合がある。
このような金属担持無機質微粒子は、前記無機質微粒子の水性分散液と、前記金属又は金属酸化物の微粒子又は金属塩とを混合し、得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加することにより得られたものであることが好ましい。
この金属担持無機質微粒子は、特定の化合物による被覆層を有する無機質微粒子の表面に、金属または金属酸化物の微粒子又は金属塩由来の金属が担持された形態の微粒子であり、これにより、光触媒活性を効果的に低減した状態で、無機質微粒子の紫外線吸収能が顕著に高められた金属担持無機質微粒子となる。
上述したような本発明の金属担持無機質微粒子において、無機質微粒子/被覆層/担持される金属の組み合わせとして紫外線吸収能の観点から好ましいものは、以下のものである。
酸化チタン/アルミナ/銀、酸化チタン/アルミナ/白金、酸化チタン/アルミナ/金、酸化チタン/酸化ジルコニア/銀、酸化チタン/酸化ジルコニア/白金、酸化亜鉛/アルミナ/銀、酸化亜鉛/アルミナ/白金、酸化亜鉛/酸化ジルコニア/銀、酸化亜鉛/酸化ジルコニア/白金。
本発明における金属担持無機質微粒子は、油性成分又は水性成分との親和性を向上させるために、金属担持無機質微粒子の表面を更に親水化処理又は疎水化処理されていてもよい。
例えば、シリコーン油やフッ素系油などの油剤、無水ケイ酸(シリカ)、アルミニウムスレアレート、ジンクパルミテート等の脂肪酸石けん、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、パルミチン酸デキストリン等の脂肪酸エステル等による表面処理を挙げることができる。このような表面処理としては、対象となる無機質微粒子の種類及び添加する乳化組成物などの相によって異なるが、油相に添加する場合には、油相との相溶性の観点から、シリコーン処理、脂肪酸処理等が好ましく用いられ、水相に添加する場合には、水分散性の観点からシリカ処理が好ましく用いられる。
特に、オイルに分散させて使用する場合には、金属担持無機質微粒子が疎水化処理されていることが、オイル中に良好に分散させることができるため好ましい。
このような疎水化処理に用いられる疎水化処理剤としては、高級脂肪酸塩類、シリコーン油、アルコキシシラン類、シランカップリング剤類及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたものを挙げることができる。中でも、コストの観点から高級脂肪酸塩類が好ましく、一般的にはステアリン酸やイソステアリン酸などが用いられる。
疎水化処理は、選択された疎水化処理剤に応じて公知の方法をそのまま使用することができる。また疎水化処理済みの無機質微粒子は市販品として入手可能であり、例えば石原産業(株)製TTO−S4、TTO−V4、テイカ(株)製MT−100TV、MT−100Z、MT−150EX等が挙げられる。
本発明の金属担持無機質微粒子の製造方法は、紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子の水性分散液と、前記無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属又は金属酸化物のナノ粒子又は金属塩とを混合すること(混合工程)、前記混合により得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加すること(還元工程)、を含む。
これにより、上述した本発明の金属担持無機質微粒子を確実に且つ効率よく得ることができる。
混合工程では、上述した無機質微粒子の水性分散液と、上述した金属又は金属酸化物のナノ粒子又は金属塩とを混合する。
無機質微粒子の水性分散物は、水性媒体、例えば水を溶媒とする無機質微粒子の分散物である。水性分散物中の無機質微粒子の含有量は、特に制限はないが、均一分散性および調製効率の観点から水性分散物の全質量の1質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。
水性分散物には、無機質微粒子の他に、あらかじめホストの無機質微粒子を十分に分散させるという観点から各種の添加剤が含有されていてもよい。このような添加剤としては、いわゆる界面活性剤等を挙げることができる。
金属又は金属酸化物のナノ粒子又は金属塩の添加量は、水性分散物中の無機質微粒子の量に応じて適宜変更が可能である。
水性分散物と金属又は金属酸化物のナノ粒子又は金属塩の混合は、均一にホストに吸着させるため、室温(25℃)等で十分全体が撹拌できる撹拌条件で金属源を添加する。その後、金属源が十分ホストに吸着する時間を取ることが好ましい。この吸着のための時間は、選択された金属又は金属酸化物の種類によって適宜変更が可能であるが、多くとも24時間程度とすることがより好ましい。
還元工程では、混合工程によって得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤が添加される。これにより、被覆層を有する無機質微粒子の表面に、金属又は金属酸化物が担持される。
紫外線の照射は、照射によって光還元が生じる条件であればよく、蛍光灯下のような条件で液を撹拌した状態で3時間から8時間程度照射する程度でも構わないが、均一性、繰り返し再現性、効率の観点でUVランプ等を使用することがより好ましい。
還元工程で使用される還元剤としては、被覆層を有する無機質微粒子の表面を還元できるものであれば特に制限されず、この目的のために通常用いられているものを使用することができる。このような還元剤としては、テトラヒドロボラン等を挙げることができる。
還元剤を用いて還元処理を行う場合、調製したて10−3N程度の薄い還元剤水溶液を撹拌しながら徐々に添加すればよく、例えば、Dyes and Pigments 75(2007) p613に記載された事項を適用すればよい。
本発明の金属担持無機質微粒子は、乾燥粉末の形態であってもよく、この場合には、上記還元工程の後に、乾燥工程を付加できる。
乾燥方法としては公知の乾燥手段を用いることができ、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、高周波乾燥、超音波乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。これらの手段は単独で用いてもよいが、2種以上の手段を組み合わせて用いることもできる。
上記のようにして得られた金属担持無機質微粒子は、無機質微粒子自身の吸収波長域での紫外線吸収能が向上したものであり、この高い紫外線吸収能は、本発明における特定の被覆層を有していても損なわれない。
このように本発明の金属担持無機質微粒子は、光触媒活性が充分に低減することができると共に、高い紫外線吸収能を有することから、紫外線遮蔽用化粧料として有用である。
即ち、本発明の紫外線遮蔽用化粧料は、上述した金属担持無機質微粒子を含有するものである。
紫外線遮蔽用化粧料における上記金属担持無機質微粒子の含有量は、化粧料の剤型及び処方によって適宜変更が可能であるが、一般に化粧料全体に対し1〜90質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。1質量%以上含有されていれば、紫外線遮蔽効果が期待できる。
特に、本発明の紫外線遮蔽用化粧料では、金属担持無機質微粒子による高い紫外線遮蔽効果が期待できるので、他の紫外線吸収剤や紫外線遮蔽剤、紫外線散乱剤を特に添加する必要がない。
本発明の紫外線遮蔽用化粧料は、上記金属担持無機質微粒子を含有するものであればその種類及び剤型に制限はなく、水性組成物、油性組成物、W/O型エマルション、O/W型エマルションなどであってもよく、また基礎化粧品、頭髪用化粧品、デオドラント化粧品、ファンデーション、白粉、化粧下地、ほほ紅、アイシャドー、アイブロウ、口紅等のメイクアップ化粧品、ボディーパウダー、ベビーパウダー等のボディー化粧品、プレシェーブローション、ボディローション等のローション化粧品等、さらには、などが挙げることができる。
紫外線遮蔽用化粧料には、金属担持無機質微粒子の他に、更に必要に応じて、通常化粧料に含有可能な各種の成分、水、各種粉末、油分、界面活性剤、乳化剤などを、本発明の所期の効果を損なわない質的、量的範囲で配合することが可能である。
前記各種粉末としては、通常化粧料において用いられる粉末を挙げることができる。例えば、タルク、カオリン、合成タルク、シリカ、ナイロン末、窒化ホウ素、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、ゼオライト、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸化鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボン、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色202号、赤色205号、赤色220号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色227号、赤色401号、橙色205号、黄色4号、黄色202号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム、アルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素が挙げられる。
前記油分としては、通常化粧料において用いられる油分を挙げることができる。例えば、液体油脂として、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン等が挙げられる。固体油脂として、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。ロウとして、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、鯨ロウ、ラノリン、還元ラノリン等が挙げられる。炭化水素として、流動パラフィン、スクワラン、パラフィン、セレシン、ワセリン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。高級脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられる。高級アルコールとして、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリルグリセロールエーテル、モノパルミチルグリセロールエーテル、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。エステル油として、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸エチレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等が挙げられる。シリコーンとして、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、三次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの油分は、単独で又は2種以上を組み合わせ用いることができる。
前記界面活性剤としては、そのイオン性の有無に関係なく用いることができる。具体的には、アニオン界面活性剤として、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン;ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン(以下、POEと略する)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩;ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム;POEステアリルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;POEアルキルエーテルカルボン酸塩;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウムなどが挙げられる。
カチオン界面活性剤として、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化セチルピリジウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤として、例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系両性界面活性剤などが挙げられる。
親油性非イオン系界面活性剤として、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類;ポリグリセリン脂肪酸エステル;有機酸モノグリセリド:ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
親水性非イオン系界面活性剤として、例えば、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノオレエート等のPOEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリンモノイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEステアリルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル;POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル、プルロニック等のプルアロニック型類;POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPと略する)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合体;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POEミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられるが、上記の界面活性剤に限定されるものではない。
また、これら界面活性剤は、本発明の紫外線遮蔽用化粧料では、1種又は2種以上を任意に選択して配合することができる。
乳化剤としては、上記の界面活性剤の他、リン脂質を挙げることができる。
リン脂質としては、具体的には、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等を例示でき、これらの成分を含む大豆、トウモロコシ、落花生、ナタネ、麦等の植物由来のものや、卵黄、牛等の動物由来のもの及び大腸菌等の微生物等由来の各種レシチンも挙げることができる。これらの混合物であるレシチンや水素添加レシチンを用いることもできる。またこれらリン脂質の由来は特に限定されず、例えばダイズ油等の植物油、卵黄等の動物由来のもの等が用いられ、特に精製したものが好適である。
また、本発明の紫外線遮蔽用化粧料には、必要に応じて、紫外線防御能向上のために他の紫外線吸収剤を含むものであってもよい。付加的な紫外線吸収剤としては、320nm〜400nmのUV−A領域、290nm〜320nmのUV−B領域に吸収を有する化合物が該当し、例えば、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジパラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジイソプロピルケイ皮酸メチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸ブチル、パラジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸アミル等の安息香酸系紫外線吸収剤;サリチル酸−2−エチルヘキシル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸カリウム等のサリチル酸系紫外線吸収剤;4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−メトキシジベンゾイルメタン、4−t−ブチル−4’−ヒドロキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤;メンチル−o−アミノベンゾエート、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
紫外線遮蔽用化粧料には、その他、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤、防腐剤、高分子、酸化防止剤、香料、各種薬剤等を、本発明の所期の効果を損なわない質的、量的範囲で配合することが可能である。
本発明の金属担持無機質微粒子を含む紫外線遮蔽用化粧料は、金属担持無機質微粒子そのものの紫外線吸収能が高く、また光触媒活性を低減するための被覆層を有していてもこの紫外線吸収能が損なわれない。この結果、少ない配合量で高い紫外線遮蔽能を発揮することができる。このため、金属担持無機質微粒子の含有量を少なくすることができ、白浮きがなく、のびがよいといった使用感等が良好な化粧料等として好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
(1) 粉末化試料の製造
(1−1) 粉末試料Aの製造
(a) 銀ナノ粒子の作製
13mMの硝酸銀(関東化学株式会社製)のエチレングリコール溶液15mLに、0.4mMのポリビニルピロリドン(PVP)(K30、質量平均分子量55,000)のエチレングリコール溶液15mLを添加した。この反応液をホットスターラーで、100℃にて2時間加熱して攪拌したところ、反応液の色が無色から褐色に変化した。この反応液を冷却した後、遠心分離(20000rpm×240分)により精製することにより、平均粒子径が20nmの球状銀粒子を含有する銀粒子分散液を作製した。
(b) 金属担持無機質微粒子の調製
上記(a)で得られた銀粒子分散液を、アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物に、酸化チタン:銀粒子分散液の重量比が100:6の混合比率となるように混合して、反応混合液(銀粒子含有量0.4質量%)を得た。
上記反応混合液を、UVP製UVランプ(UVLMS−38 EL Series 3UV Lamp)波長302nm下で、撹拌しながら室温にて紫外線照射を行った。照射後の反応混合液を遠心分離(12000RPM、30分)により精製して、金属担持無機質微粒子を分離した。
この金属担持無機質微粒子を、真空乾燥機:ヤマト科学製DP−43 CA300にて、−0.1MPa、85℃、2時間の条件で、乾燥して、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Aとした。
(1−2) 粉末化試料Bの製造
アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物に、硝酸銀をモル比で酸化チタンの0.3%の混合比率となるように添加混合して反応混合液を得て、この反応混合液を用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Bとした。
(1−3) 粉末化試料Cの製造
アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物に、ステアリン酸銀を重量比3%の混合比率となるように添加混合して反応混合液を得た。この反応混合液を蛍光灯下で80℃1時間加熱攪拌した以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Cとした
(1−4) 粉末化試料Dの製造
酸化ジルコニウム被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S1)の水分散物を用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Dとした。
(1−5) 粉末化試料Eの製造
(a) 白金ナノ粒子の調製
13mMの四塩化白金酸カリウム(関東化学株式会社製)のエチレングリコール溶液15mLに、0.4mMのポリビニルピロリドン(PVP)(K30、質量平均分子量55,000)のエチレングリコール溶液15mLを添加した。この反応液をホットスターラーで、150℃にて1時間加熱して攪拌したところ、反応液の色が無色から黒色に変化した。この反応液を冷却した後、遠心分離(20000rpm×240分)により精製することにより、平均粒子径が10nmの球状白金粒子を含有する銀粒子分散液を作製した。
(b) 金属担持無機質微粒子の調製
上記(a)で得られた銀粒子分散液を、アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物に、銀の場合と等モル量の混合比率となるように混合した以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Eとした。
(1−6) 粉末化試料Fの製造
アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物に、塩化白金酸カリウムを銀の場合と等モル量の混合比率となるように添加混合して反応混合液を得て、この反応混合液を用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Fとした。
(1−7) 粉末化試料Gの製造
アルミナ被覆酸化チタン(石原産業株式会社製、TTO−S3)の水分散物(10質量%)のみを真空乾燥機:ヤマト科学製DP−43 CA300にて、−0.1MPa、85℃、2時間、乾燥して、無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Gとした。
(1−8) 粉末化試料Hの製造
未被覆酸化チタン(石原産業株式会社提供テストサンプル:LU−175)の水分散物(10質量%)をヤマト科学製DP−43 CA300にて、−0.1MPa、85℃2時間、乾燥して、無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Hとした。
(1−9) 粉末化試料Iの製造
未被覆被覆酸化チタン(石原産業株式会社提供テストサンプル、LU−175)の水分散物を用いた以外は、上記(1−1)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Iとした。
(2) 評価方法
上記(1−1)〜(1−9)で得られた粉末化試料A〜Iについて、以下の評価方法で紫外線遮蔽法について評価を行った。
粉末化試料C以外の粉末化試料については、5質量%の含有量となるように水に分散して、水分散液試料を調製し、スターナ社製石英短光路セル(光路長10ミクロン)につめた後、300nmの吸光度(Labspare社製UV1000S)を室温にて測定した。粉末化試料Gを含有する水分散液試料における吸光度を100とした相対値で評価し、結果を表1に示す。
Figure 2010111637
表1に示されるように、本発明にかかる金属担持無機質微粒子に相当する粉末化試料A〜Fでは、水分散物であってもオイル分散物であっても共に良好な紫外線吸収能を示すことができる。
[実施例2]
(1) 化粧料の調製
(1−1) 化粧料Aの調製
下記の油相成分及び水相成分の各成分を、70〜80℃に加温し,ホモミキサーで5000rpm,5分間、均一に溶解して、分散させた。油相成分を水相成分に添加し、80℃に保ちながらホモミキサーで6,000rpm、10分間撹拌後、パドル撹拌しながら冷却し、35〜30℃で撹拌を止め、10分間放置して、乳化組成物としての化粧料Aを得た。
(油相)
ベヘニルアルコール 2.3%
セタノール 0.9%
スクワラン 9.6%
イソノナン酸イソノニル 4.8%
ミリスチン酸オクチルドデシル 4.4%
イソステアリン酸ポリグリセリル10 1.5%
ステアリン酸グリセリル 0.5%
トコフェノール 0.2%
キサンタンガム 0.1%
プロピルパラベン 0.05%
(水相)
粉末化試料A 5.0%
メチルパラベン 0.1%
1,3−BG 2.3%
グリセリン 4.8%
水 全量で100.0%
(1−2) 化粧料Bの調製
下記の油相成分及び水相成分の各成分を用いた以外は上記(1−1)と同様にして化粧料Bを得た。
(油相成分)
モノステアリン酸POE(20)ソルビタン 0.9%
モノステアリン酸ソルビタン 2.5%
テトラオレイン酸POE(60)ソルビット 1.6%
モノリシノレイン酸ヘキサグリセリル 1.5%
粉末化試料C 5.0%
トリエチルヘキサノイン 8.0%
パルミチン酸エチルヘキシル 8.0%
シクロメチコン 8.0%
プロピルパラベン 0.1%
(水相成分)
メチルパラベン 0.2%
1,3−BG 5.0%
キサンタンガム 0.3%
精製水 全量で100.0%
(1−3) 化粧料Cの調製
粉末化試料Gを用いた以外は上記(1−1)と同様にして、化粧料Cを得た。
(1−4) 化粧料Dの調製
実施例1(1−7)で得られた粉末化試料G 10gを水90mlに混合して、10質量%含有する水分散液を調製した。この水分散液に対して、3質量%となるようにステアリン酸を添加して、80℃で1時間加熱撹拌して疎水化処理を行った。それ以外は実施例1(1−3)と同様にして、粉末化金属担持無機質微粒子を得た。これを粉末化試料Jとした。
この粉末化試料Jを用いた以外は上記(1−2)と同様にして、化粧料Dを得た。
(2)評価
各乳化組成物の評価は、以下のとおりに行った。
化粧料A〜Dの各試料を、8cm×5cmの3M製トランスポアテープ(基材)に、各化粧料80mgを均一に手で塗布(20g/cm)し、乾燥して、得られた試料のUV透過率を、Labsphere社のSPFアナライザーUV1000Sで測定し、SPF値を算出した。
SPF相対評価は、化粧料CについてのSPF値に対する相対評価とした。
結果を表2に示す。
Figure 2010111637
表2に示されるように、本発明の金属担持無機質微粒子に相当する粉末化試料A及びCを用いて調製された化粧料A及びBでは、乳化組成物の水相及び油相のいずれに添加する場合であっても、良好なSPF評価を示すことができる。
従って、本発明によれば、高い紫外線遮蔽能を有する金属担持無機質微粒子及び、これを含む紫外線遮蔽化粧料を得ることができる。

Claims (8)

  1. 紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子に、該無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属が担持されている金属担持無機質微粒子。
  2. 前記無機質微粒子に担持されている金属が、周期律表10族および11族から選ばれる金属又は金属酸化物である請求項1に記載の金属担持無機質微粒子。
  3. 前記無機質微粒子に担持されている金属が、銀、金、白金又はこれらの組み合わせである請求項1又は請求項2に記載の金属担持無機質微粒子。
  4. 前記無機質微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらの混合物の粒子である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属担持無機質微粒子。
  5. 前記被覆層が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アンチモン、スズ及びセリウムからなる群より選択された少なくとも1つの金属の酸化物、水酸化物及び含水酸化物又はこれらの組み合わせである請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の金属担持無機質微粒子。
  6. 前記無機質微粒子の水性分散液と、前記金属又は当該金属酸化物のナノ粒子又はその金属塩とを混合し、得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加することにより得られる請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の金属担持無機質微粒子。
  7. 紫外光域に光吸収能を有すると共に、酸化物、水酸化物及び含水酸化物からなる群より選択された少なくとも1種の化合物による被覆層を表面に備えた無機質微粒子の水性分散液と、前記無機質微粒子と異なる波長域に光吸収を有する金属又は金属酸化物のナノ粒子又は金属塩とを混合すること、
    前記混合により得られた混合分散液に、紫外線を照射する又は還元剤を添加すること、
    を含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の金属担持無機質微粒子を製造する金属担持無機質微粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の金属担持無機質微粒子を含有する紫外線遮蔽化粧料。
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JP2008286908A Pending JP2010111637A (ja) 2008-11-07 2008-11-07 金属担持無機質微粒子、金属担持無機質微粒子の製造方法及び金属担持無機質微粒子を含む紫外線遮蔽化粧料

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015232197A (ja) * 2010-12-24 2015-12-24 株式会社バイオフェイス東京研究所 吸水性・蒸散性に加え抗菌活性を有するプラチナ繊維

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015232197A (ja) * 2010-12-24 2015-12-24 株式会社バイオフェイス東京研究所 吸水性・蒸散性に加え抗菌活性を有するプラチナ繊維
JP2016014214A (ja) * 2010-12-24 2016-01-28 株式会社バイオフェイス東京研究所 発熱性に加え抗菌活性を有するプラチナ繊維

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