JP2010102699A - 車両運行管理システム - Google Patents

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雅彦 澤井
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Abstract

【課題】正確な燃料消費量およびCO総排出量の取得が可能な車両運行管理システムを提供する。
【解決手段】モード判別手段25により、車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別し、燃料消費量演算手段25により、各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、燃料消費量を演算し、CO総排出量演算手段26により、燃料消費量に基づいてCO総排出量を演算するので、各運転モードに応じた演算吸入空気量を算出することにより、正確な燃料消費量およびCO総排出量の取得が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の加速度、速度、エンジン回転数を含む運行データに基づき車両の運行を管理する車両運行管理システムに関し、特に燃料消費量およびCO総排出量取得に関する。
従来から、車両に搭載された各種センサにより車両の加速度や速度などの運行データを取得し、この運行データに基づいて安全運転や経済運転などの向上に役立たせる車両運行管理システムが知られており、その一例として、環境負荷の低減を行うために環境負荷の大きさを測定する環境負荷低減システムが知られている(例えば、特許文献1)。
このシステムは、車両に搭載された車載本体部と、車載本体部と通信する管理センタとを有し、前記車載本体部が、車両のエンジン回転数、環境負荷物質の排出濃度、吸気する温度などを測定するセンサ部、および運行管理データを記憶する記録部を有し、管理センタの情報処理部がこの運行管理データに基づいて解析する。
また、他のシステムとして、車両の燃料消費量や運転状況を把握するための車両センサ情報を取得し、その情報を管理センタに無線送信し、管理センタで得られた情報をもとに車両の走行による燃料消費量や、その燃料消費によるCO総排出量を計算し、その情報に基づき診断・アドバイスするエコドライブ診断システムも知られている(例えば、特許文献2)。
特開2002−197158号公報 特開2004−157842号公報
ところで、従来から、例えば車両のECU(Electronic Control Units)からの燃料の噴射時間のデータ等を用いて燃費計算を行い、CO総排出量を計算することが知られている。燃費(燃料消費率)とは、1kmを走行する際に消費する燃料の量をいう(リットル/km)。しかし、ECUからのデータ自体にばらつきがあり、また走行状況などによってもばらつきがあるため、CO総排出量が不正確であるという問題があった。また車両のカタログ表示(10.15モード)の燃費は一般的に実燃費と差異があり、CO総排出量の計算に用いることは困難である。一方、ECUを搭載していない車両では、燃料消費量およびCO総排出量を計算することが一層困難となる。
また、最も一般的に知られている燃費計算である、前回満タンに燃料を給油したのちに走行した距離を今回満タンに給油した燃料の量で割る(燃費=距離÷給油量)満タン法も、満タンの給油量のばらつきなどから同様に不正確であり、走行中における燃費計算や運転状況などの把握は困難である。
本発明は、前記の問題点を解決して、正確な燃料消費量およびCO総排出量の取得が可能な車両運行管理システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明にかかる車両運行管理システムは、車両に搭載されて当該車両の運行データを得る車載本体部と、この車載本体部で得られた運行データを解析する解析部を有して車両の運行を管理する管理センタと、車載本体部と管理センタ間を無線通信するための通信手段とを備えており、前記車載本体部は、少なくとも車両の加速度、速度およびエンジン回転数を含む車両情報を取得するセンサ部と、前記車両情報および時刻情報を含む運行データを記憶する記録部と、各部を制御する制御部とを有し、前記管理センタの解析部は、少なくとも車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別するモード判別手段と、各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、車両の燃料消費量を演算する燃料消費量演算手段とを有する。ここで、演算吸入空気量とは、各運転モードごとにエンジンの空気吸入状態が相違することから、エンジン回転数に基づく理論吸入空気量に各運転モードの補正値を算入して得たものをいう。
この構成によれば、少なくとも車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別し、各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、燃料消費量を演算するので、各運転モードに応じた演算吸入空気量を算出することにより、車両の運行実態に沿った正確な演算吸入空気量を得ることができ、これに基づいた正確な燃料消費量の取得が可能となる。また、ECUを搭載していない車両でも正確な燃料消費量を取得できる。
好ましくは、燃料消費量演算手段から得られた燃料消費量に基づいてCO総排出量を演算するCO総排出量演算手段を有する。したがって、正確な燃料消費量に基づいて正確なCO総排出量の取得が可能となる。
好ましくは、前記モード判別手段で判別される複数の運転モードが、アイドリングモード、加速モード、減速モードおよび定速モードを含むものである。したがって、より運行実態に沿った正確な演算吸入空気量を得ることができる。
好ましくは、前記センサ部は、さらに、エアコン情報を検知するエアコンセンサを有し、前記演算手段は、CO総排出量をエアコン情報に基づき前記演算吸入空気量を補正する。したがって、CO総排出量をこれに影響するエアコン情報に基づいて補正するので、より正確なCO総排出量を得ることができる。
好ましくは、前記車載本体部は、燃料消費量およびCO総排出量の情報を運転者に表示し、燃料消費量およびCO総排出量が基準値を超えた場合にその旨を警告する。ここで、基準値はエコドライブに該当する燃料消費量やCO総排出量の基準に合致する値をいう。したがって、運転者は当該運行がエコドライブに該当しているか否かを認識できる。
本発明の車両運行管理システムは、車両の運行実態に沿った正確な演算吸入空気量を得ることができ、これに基づいた正確な燃料消費量の取得が可能となる。また、ECUを搭載していない車両でも正確な燃料消費量を取得できる。さらに、正確な燃料消費量に基づいて正確なCO総排出量の取得が可能となる。
本発明の一実施形態に係る燃料消費量およびCO総排出量の取得可能な車両運行管理システムを示す概略構成図である。 図1のCO総排出量取得の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る燃料消費量およびCO総排出量の取得が可能な車両運行管理システムを示す概略構成図である。本システムは、車両に搭載されて当該車両の運行データを得る車載本体部1と、この車載本体部1で得られた運行データを解析する解析部23を有して車両の運行を管理する管理センタ2と、車載本体部1と管理センタ2間を無線通信するための通信手段9とを備えている。
車載本体部1は、車両の加速度を検知する加速度センサ4、速度を検知する速度センサ5、エンジン回転数を検知するエンジン回転数センサ6、およびエアコン情報を検知するエアコンセンサ7のほかに、車両の運行状況を撮影するCCDカメラ、車両位置を検知するGPS、およびウインカ、ドア、ギア、速度などの車両情報を検出する各種センサ8を含むセンサ部3と、前記車両情報および時刻情報(図示せず)を含む運行データを記憶する記録部11と、無線通信部12と、燃料消費量やCO総排出量などの運行管理情報を表示する表示部13と、燃料消費量やCO総排出量が基準値を超えた場合に運転者にその旨をスピーカ等で警告する警告部14と、各部を制御する制御部(CPU)10とを備えている。
前記加速度センサ4は、例えば前後、左右、上下の3軸方向の加速度を検知し、前記エンジン回転数センサ6は、例えばエンジンの点火コイルの電気信号からエンジン回転数を検知する。前記エアコンセンサ7は、エアコンのON時の設定温度(夏季、冬季)、強弱などによって生じる負荷に基づくエアコン情報を検知する。
管理センタ2は、前記解析部23のほかに、データベース21および無線通信部22を備えている。車載本体部1の無線通信部12と管理センタ2の無線通信部22とにより前記通信手段9を構成する。この通信手段9は、車載本体部1と管理センタ2との間で、例えば車載本体部1に搭載される携帯電話などの端末を利用してインターネットなどのネットワーク網を介して、無線通信を行うもので、これにより、移動車両に対して情報配信サービスが行われる。
前記管理センタ2のデータベース21では多数の運行データが蓄積され、この蓄積されたデータに基づいて、解析部23による解析が行われる。その他、蓄積されたデータに基づいて、図示しない運行記録報告日報の作成や、運転の良否診断などが行われる。
前記管理センタ2の解析部23は、前記車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別するモード判別手段24と、各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、車両の燃料消費量を演算する燃料消費量演算手段25と、燃料消費量演算手段25から得られた燃料消費量に基づいてCO総排出量を演算するCO総排出量演算手段26とを備えている。
前記モード判別手段24で判別される複数の運転モードは、アイドリングモード、加速モード、減速モードおよび定速モードを含むものである。加速モードとは、所定の加速度でエンジン回転数が大きく車両の速度が大きい状態、減速モードとは、所定の減速度でエンジン回転数が小さく車両の速度が小さい状態をいう。
以下のように、前記燃料消費量演算手段25は燃料消費量を演算し、前記CO総排出量演算手段26はCO総排出量を演算する。まず、燃料消費量演算手段25は理論吸入空気量を演算する。総エンジン回転数はエンジン回転数センサ6から得られる。
理論吸入空気量[Nm
=総エンジン回転数[回]×(1/2)×エンジン排気量[cc]÷10
つぎに、燃料消費量演算手段25は、モード判別手段24により判別された各運転モードごとの演算吸入空気量を演算する。アイドリング時の空気吸入の経路が、通常走行時の経路と異なることや、加速時の演算吸入空気量が通常走行時に対して増加することから、各運転モードの補正値C1〜C4を算入することにより、走行実態に沿った正確な演算吸入空気量を得ることができる。また、この演算ではエアコン情報に基づくエアコン係数および機械抵抗損失補正値により補正される。
(a)アイドリングモード
演算吸入空気量[Nm
=理論吸入空気量[Nm]×C1×エアコン係数×機械抵抗損失補正値
(b)加速モード
演算吸入空気量[Nm
=理論吸入空気量[Nm]×C2×エアコン係数×機械抵抗損失補正値
(c)減速モード
演算吸入空気量[Nm
=理論吸入空気量[Nm]×C3×エアコン係数×機械抵抗損失補正値
(d)定速モード
演算吸入空気量[Nm
=理論吸入空気量[Nm]×C4×エアコン係数×機械抵抗損失補正値
前記補正値C1〜C4は、演算吸入空気量が理論吸入空気量に対して、アイドリングモードでは70%以上のロスがあることから、0.1≦C1≦0.3の範囲内、加速モードでは50%以上のロスがあることから、0.1≦C2≦0.5の範囲内、減速モードではフューエル(燃料)カットが働くことから、C3=1(つまり補正なし)、定速モードでは50%以上のロスがあることから、0.1≦C4≦0.5の範囲内の値である。
また、エアコン係数は、エアコンをONにすることによって生じる負荷に応じて定められ、0.5〜1.0の範囲内の値である。エンジンでの燃焼エネルギがトランスミッションを介して車輪に伝達されることで走行し発生している機械抵抗損失補正値は、エンジン、トランスミッションなどの構造により、0.5〜1.0の範囲内の値である。
つぎに、得られた演算吸入空気量に基づいて、運行ごとに燃料消費重量が演算され、そして、燃料消費量が演算される。下記の理論空気量とは、理論空燃比(最も燃焼効率のよい空燃比)と異なり、燃料が完全に燃焼するために必要な最低の空気量を理論的に算出した値をいう。
燃料消費重量[kg]
=演算吸入空気量[Nm]÷理論空気量[Nm/kg]
理論空気量は、例えば、燃料をガソリンとするガソリン車両では11.557、燃料を軽油とするディーゼル車両では11.69である。
燃料消費量[リットル]
=燃料消費重量[kg]÷燃料密度[kg/リットル]
燃料密度は、例えば、燃料をガソリンとするガソリン車両では0.75、燃料を軽油とするディーゼル車両では0.8である。
最後に、得られた燃料消費量に基づいて、運行ごとのCO総排出量が演算される。
CO総排出量[kg]
=燃料消費量[リットル]×燃料1リットル当たりのCO排出重量[kg/リットル]
燃料1リットル当たりのCO排出重量は、例えば、燃料をガソリンとするガソリン車両では2.3、燃料を軽油とするディーゼル車両では2.6である。なお、ディーゼル車両は、少量の燃料を高圧で燃やすことができ、ガソリン車両と比べて燃費が2〜3割良いので、CO総排出量も少なくなる。
以下、図2のフローチャートを用いて、本システムのCO総排出量演算手段26の動作について説明する。
まず、車載本体部1のセンサ部3により車両の加速度、速度、エンジン回転数、エアコン情報等の車両情報、および時刻情報を含む運行データが取得される(ステップS1)。この運行データは、車載本体部1から管理センタ2に無線通信され、管理センタ2のデータベース21に蓄積される(ステップS2)。
つぎに、管理センタ2の解析部23で運行データが解析され、各運転モードが判別され、燃料消費量演算手段25により得られた燃料消費量に基づいてCO総排出量が演算される(ステップS3)。得られたCO総排出量は、運転中などに車載本体部1に通信され、運転者はその値を表示部13で認識できる。この場合、CO総排出量が基準値を超えるとき、警告部14から運転者にその旨がスピーカ等で警告される。
一方、運行終了後に、管理センタ2から、運行の各時点におけるCO総排出量を含むエコドライブ評価シートのような評価シートが発行される(ステップS4)。そして、この評価シートに基づいて、運転者はエコドライブのための運転方法などを認識できるので、運転方法の工夫などにより燃料消費量およびCO総排出量などが改善される(ステップS5)。
こうして、本発明は、モード判別手段24により、車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別し、燃料消費量演算手段25により、各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、燃料消費量を演算できる。そして、CO総排出量演算手段26により、燃料消費量に基づいてCO総排出量を演算できる。これにより、正確な燃料消費量およびCO総排出量の取得が可能となる。また、ECUを搭載していない車両でも正確な燃料消費量およびCO総排出量を取得できる。
なお、この実施形態では、補正値C1〜C4、理論空気量、燃料密度、燃料1リットル当たりのCO排出重量を、それぞれ燃料をガソリンまたは軽油とする車両についての数値を使用しているが、燃料を異にする各種車両では、それぞれに適合する数値が使用される。
例えば、ハイブリッド車両では、別途、各運転モードに応じた補正値を設けてCO総排出量を算出する。なお、燃料を軽油とするディーゼル車両では、この実施形態のように、理論空燃比の14.9よりも値の小さい理論空気量を使用して算出するのが好ましい。
なお、この実施形態では、センサ部3からの車両情報に基づき、CO総排出量を演算しているが、ECUから得られるエンジンにおける燃料の噴射時間やアクセル開度のデータ等を補正係数に用いて演算するようにしてもよい。
また、この実施形態では、各運転モードごとの演算吸入空気量の演算に際して、エアコン情報に基づくエアコン係数および機械抵抗損失補正値で補正しているが、必要に応じてこれらのいずれかまたは全部を用いて補正しなくてもよい。
なお、この実施形態では、管理センタ2の解析部23で運行データを解析しているが、車載本体部1のCPU10に解析部を設けて、車載本体部1内で解析するようにしてもよい。
1:車載本体部
2:管理センタ
3:センサ部
4:加速度センサ
5:速度センサ
6:エンジン回転数センサ
7:エアコンセンサ
9:通信手段
10:CPU(制御部)
14:警告部
23:解析部
24:モード判別手段
25:燃料消費量演算手段
26:CO総排出量演算手段

Claims (5)

  1. 車両に搭載されて当該車両の運行データを得る車載本体部と、この車載本体部で得られた運行データを解析する解析部を有して車両の運行を管理する管理センタと、車載本体部と管理センタ間を無線通信するための通信手段とを備えた車両運行管理システムであって、
    前記車載本体部は、少なくとも車両の加速度、速度およびエンジン回転数を含む車両情報を取得するセンサ部と、前記車両情報および時刻情報を含む運行データを記憶する記録部と、各部を制御する制御部とを有し、
    前記管理センタの解析部は、
    少なくとも車両の加速度に基づき、当該運転時における複数の運転モードを判別するモード判別手段と、
    各運転モードごとのエンジン回転数から導出した演算吸入空気量に基づいて、車両の燃料消費量を演算する燃料消費量演算手段とを有する、
    車両運行管理システム。
  2. 請求項1において、
    前記管理センタの解析部は、さらに、前記燃料消費量演算手段から得られた燃料消費量に基づいてCO総排出量を演算するCO総排出量演算手段を有する、車両運行管理システム。
  3. 請求項1または2において、
    前記モード判別手段で判別される複数の運転モードが、アイドリングモード、加速モード、減速モードおよび定速モードを含む、車両運行管理システム。
  4. 請求項1において、
    前記センサ部は、さらに、エアコン情報を検知するエアコンセンサを有し、
    前記燃料消費量演算手段は、エアコン情報に基づき前記演算吸入空気量を補正して燃料消費量を演算する、車両運行管理システム。
  5. 請求項2において、
    前記車載本体部は、演算された燃料消費量およびCO総排出量の情報を運転者に表示し、燃料消費量およびCO総排出量が基準値を超えた場合にその旨を警告する、車両運行管理システム。
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