JP2010102186A - 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに、かつ、高温下で長時間使用してもその特性が変化しない耐久性に優れた防眩フィルムならびに該防眩フィルムを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供する。
【解決手段】樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、ハードコート層は、少なくとも1種の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなり、かつ、ハードコート層の表面ヘイズは5%以上15%以下であり、内部ヘイズは5%以上15%以下であり、ハードコート層の弾性変形割合は、70%以上80%以下である防眩フィルムならびにこれを用いた防眩性偏光板および画像表示装置である。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、ハードコート層は、少なくとも1種の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなり、かつ、ハードコート層の表面ヘイズは5%以上15%以下であり、内部ヘイズは5%以上15%以下であり、ハードコート層の弾性変形割合は、70%以上80%以下である防眩フィルムならびにこれを用いた防眩性偏光板および画像表示装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけず、画像表示装置に適用したときにギラツキが発生することなく、耐久性に優れた防眩(アンチグレア)フィルム、ならびに当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板および画像表示装置に関するものである。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。従来、このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行なう携帯電話等においては、画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止するフィルム層が設けられている。このフィルム層には、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理技術や表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理技術が一般的に用いられている。特に、後者の微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させる技術は、比較的安価に製造することができるため、大型モニタやパーソナルコンピュータ等の用途に広く用いられている。
このような防眩フィルムは従来、たとえば、フィラーを分散させた樹脂溶液を基材シート上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸を基材シート上に形成する方法などにより製造されている。また、フィラーを含有させずに、透明樹脂層の表面に形成された微細な凹凸だけで防眩性を発現させる試みもある。たとえば、特許文献1(請求項1〜6、段落0043〜0046)には、エンボス鋳型と透明樹脂フィルムとの間に電離放射線硬化性樹脂を挟んだ状態で当該電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、三次元10点平均粗さ、および、三次元粗さ基準面上における隣接する凸部同士の平均距離が、それぞれ所定値を満足する微細な凹凸を形成することにより、透明樹脂フィルム上に、当該表面凹凸を有する電離放射線硬化性樹脂層の硬化物層が積層された防眩フィルムが開示されている。しかし、このような従来の防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合、散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる白ちゃけが発生しやすいという問題があった。
また、画像表示装置が高精細化した場合には、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキ現象が発生しやすいという問題があった。ギラツキを解消するために、バインダ樹脂とこれに分散させるフィラーとの間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを、高温下で使用すると、バインダ樹脂およびフィラーが変形もしくは変質することによって、防眩フィルムの表面形状が変化し、映り込みが発生するという問題があった。また、使用初期においてはギラツキが発生していない場合であっても、高温下での使用を継続すると、バインダ樹脂とフィラーとの間の屈折率差が変化することによって、バインダ樹脂とフィラーとの間の散乱が減少し、ギラツキが発生したりするという問題もあった。
特開2002−189106号公報
本発明は、かかる現状に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに、かつ、高温下で長時間使用してもその特性が変化しない耐久性に優れた防眩フィルムを提供し、さらには、その防眩フィルムを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂基材フィルム上に少なくとも1種の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなるハードコート層を形成し、該ハードコート層の表面ヘイズと内部ヘイズを適切に調節し、かつ、該ハードコート層の弾性変形割合を所定の範囲にすれば、結果として、白ちゃけが発生せずに、ギラツキが十分に防止されるとともに、高温下で使用してもその特性がほとんど変化しない耐久性に優れた防眩フィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明による防眩フィルムは、樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであり、該ハードコート層は、少なくとも1種の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなり、かつ、該ハードコート層の表面ヘイズは5%以上15%以下であり、内部ヘイズは5%以上15%以下とされる。そして、該ハードコート層の弾性変形割合は70%以上80%以下である。
本発明の防眩フィルムにおいて、透光性樹脂の屈折率と樹脂微粒子の屈折率との差は、好ましくは0.02以上0.06以下である。
本発明の防眩フィルムにおいて、樹脂微粒子は、その重量平均粒子径が2μm以上10μm以下であり、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上40重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜をさらに有していてもよい。
また本発明により、上記いずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、該偏光フィルムが、防眩フィルムの樹脂基材フィルム側に配置される防眩性偏光板が提供される。
本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルなどの画像表示素子と組み合わせて、画像表示装置とすることができる。すなわち、本発明によれば、上記いずれかに記載の防眩フィルムまたは上記防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、防眩フィルムまたは防眩性偏光板が、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置が提供される。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させず、かつ耐久性に優れたものとなる。かかる本発明の防眩フィルムを偏光フィルムと組み合わせた防眩性偏光板も、同様の効果を発現する。そして、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を配置した画像表示装置は、防眩性能が高く、視認性および耐久性に優れたものとなる。
<防眩フィルム>
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい一例を示す断面模式図である。図1に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム1と、樹脂基材フィルム1の表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層2とを備える。ハードコート層2は、バインダ樹脂である透光性樹脂中に樹脂微粒子3が分散されてなる。以下、本発明の防眩フィルムについてより詳細に説明する。
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい一例を示す断面模式図である。図1に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム1と、樹脂基材フィルム1の表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層2とを備える。ハードコート層2は、バインダ樹脂である透光性樹脂中に樹脂微粒子3が分散されてなる。以下、本発明の防眩フィルムについてより詳細に説明する。
(樹脂基材フィルム)
樹脂基材フィルムとしては、実質的に光学的な透明性を有するフィルムであれば特に制限されるものでなく、各種の透明樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂などのほか、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどからなるフィルムなどが例示される。シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタレン等の環状オレフィンをモノマーとする樹脂であり、具体的な市販品としては、「アートン」(JSR(株)製)、「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)、「ゼオネックス」(日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
樹脂基材フィルムとしては、実質的に光学的な透明性を有するフィルムであれば特に制限されるものでなく、各種の透明樹脂フィルムを用いることができる。具体的には、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂などのほか、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートなどからなるフィルムなどが例示される。シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン、ジメタノオクタヒドロナフタレン等の環状オレフィンをモノマーとする樹脂であり、具体的な市販品としては、「アートン」(JSR(株)製)、「ゼオノア」(日本ゼオン(株)製)、「ゼオネックス」(日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
樹脂基材フィルムの厚みは30μm以上250μm以下であることが好ましく、より好ましくは、40μm以上170μm以下である。樹脂基材フィルムの厚みが30μm未満である場合には、防眩フィルムとしての十分な硬度を得ることが難しいことがある。また、樹脂基材フィルムの厚みが250μmを上回ることは最近の画像表示装置の薄型化への要求およびコスト等の観点から好ましくない。防眩フィルム全体の厚みを薄くする観点からは、樹脂基材フィルムの厚みは150μm以下、さらには120μm以下とするのがより好ましい。
(ハードコート層)
本発明の防眩フィルムが備える、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層は、上記樹脂基材フィルム表面上に積層されるものであり、少なくとも1種の透光性の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂(ハードコート樹脂)からなる。本発明において「透光性」とは、物質内部での散乱の有無を問わず、光がほぼ透過できることを意味する。
本発明の防眩フィルムが備える、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層は、上記樹脂基材フィルム表面上に積層されるものであり、少なくとも1種の透光性の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂(ハードコート樹脂)からなる。本発明において「透光性」とは、物質内部での散乱の有無を問わず、光がほぼ透過できることを意味する。
本発明において、ハードコート層の表面ヘイズは、5%以上15%以下とされ、内部ヘイズは5%以上15%以下とされる。ここで、ハードコート層の表面ヘイズおよび内部ヘイズは、次のようにして測定される。すなわち、まず、該ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、ハードコート層全体のヘイズに相当する。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルムを、グリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、表面凹凸に起因する表面ヘイズが表面凹凸上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、ハードコート層の「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、ハードコート層の「表面ヘイズ」は、下記式(1)より求められる。
表面ヘイズ=全体のヘイズ−内部ヘイズ (1)
ハードコート層の表面ヘイズを15%以下とすることにより、防眩フィルムを画像表示装置に適用した際の白ちゃけを効果的に抑制することができる。より効果的に白ちゃけを抑えるためには、ハードコート層の表面ヘイズは10%以下であることが好ましい。ただし、5%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから、ハードコート層の表面ヘイズは5%以上とされる。
ハードコート層の表面ヘイズを15%以下とすることにより、防眩フィルムを画像表示装置に適用した際の白ちゃけを効果的に抑制することができる。より効果的に白ちゃけを抑えるためには、ハードコート層の表面ヘイズは10%以下であることが好ましい。ただし、5%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから、ハードコート層の表面ヘイズは5%以上とされる。
また、ハードコート層の内部ヘイズを5%以上とすることにより、防眩フィルムを画像表示装置に適用した際のギラツキを効果的に解消することができる。より効果的にギラツキを解消するためには、ハードコート層の内部ヘイズは10%以上であることが好ましい。また、ハードコート層の内部ヘイズを15%以下とすることにより、防眩フィルムを画像表示装置に適用したときに、画面が暗くなり、視認性が損なわれることを防止することができる。
本発明においては、上記した光学特性を満たす表面凹凸が付与されたハードコート層は、少なくとも1種の透光性の樹脂微粒子および透光性樹脂を用いて形成される。より具体的には、このようなハードコート層は、たとえば、フィラーとしての透光性樹脂微粒子を分散させた透光性樹脂溶液を樹脂基材フィルム上に塗布し、塗布膜厚を調整して、透光性樹脂微粒子の部分が凸となるようにすることで形成できる。また、フィラーとしての透光性樹脂微粒子を分散させた透光性樹脂溶液を樹脂基材フィルム上に塗布し、上記特許文献1に開示されるエンボス法によって表面凹凸を形成することもできる。
ここで、本発明の防眩フィルムにおいては、ハードコート層の弾性変形割合は70%以上80%以下とされる。ハードコート層の弾性変形割合を80%以下とすることによって、高温下での使用によっても特性(特には、ハードコート層の表面ヘイズ)の変化が少ない、耐久性に優れた防眩フィルムを得ることができる。ハードコート層の弾性変形割合は、好ましくは79%以下である。弾性変形割合の下限は、耐久性の観点からは特に制限されるものではないが、防眩フィルムの硬度の観点から、70%以上とすることが好ましく、72%以上とすることがより好ましい。本発明において、ハードコート層の「弾性変形割合」とは、ISO−14577による硬さおよび各種材料パラメータの計装化押込み試験において求められる、塑性変形仕事(Wplast)および弾性変形仕事(Welast)からなる、押し込み仕事中に示される全機械的仕事(Wtotal)のうち弾性変形仕事(Welast)が占める割合(Welast/Wtotal×100)をいう。
「弾性変形割合」を測定する装置としては、微小硬さ測定装置が用いられ、具体的には、フィッシャースコープHM2000(Helmut Fischer製)等を用いることができる。ハードコート層の弾性変形割合の測定には、樹脂基材フィルム上にハードコート層を形成した防眩フィルムそのものを、試験用サンプルとして用いる。また、ハードコート層の弾性変形割合の測定において、最大押し込み深さは、樹脂基材フィルムの影響を受けることなく、ハードコート層のみの弾性変形割合が測定できるよう、ハードコート層の厚みに対して十分小さい(典型的なハードコート層厚みの少なくとも50%以下である)0.5μmとする。
ハードコート層の弾性変形割合を80%以下とすることにより、高温環境下での防眩フィルムの特性(特にはハードコート層の表面ヘイズ)劣化が抑制され、防眩フィルムの耐久性が向上する理由の詳細は明らかではないが、本発明者らの検討結果より、樹脂微粒子が分散されたハードコート層を有する防眩フィルムを高温下に保管した際には、多くの場合、透光性樹脂と樹脂微粒子の変形によって表面凹凸形状が変化し、その結果、ハードコート層の表面ヘイズが変化することがわかっている。そして、さらなる検討により、このような表面凹凸形状の変形を、ハードコート層の弾性変形割合を80%以下とすることによって抑制できることが見出された。一般的に、弾性変形割合が高いことは、荷重等をハードコート層に加えて変形させても、荷重等を取り除いた後には、元の状態に復元する割合が高いことを示している。ハードコート層を形成する際には、その形成過程において、ハードコート層内部に歪みが発生する。そのような内部の歪みは、主に硬化過程の透光性樹脂の硬化収縮によって発生すると考えられる。この内部歪みは、ハードコート層に加えられた変形とみなすことができて、ハードコート層の弾性変形割合が高い場合には、このような変形を復元する割合が高いこととなる。このことは、ハードコート層の弾性変形割合が高い場合には、内部歪みを解消する方向へのハードコート層の変形が起こりやすいことを示しており、結果として表面形状の変形が起こりやすいことを示している。一方、ハードコート層の弾性変形割合が低い場合には、内部歪みを復元する割合が小さくなり、結果として表面形状の変形が起こり難いこととなる。
ハードコート層の弾性変形割合の制御は、たとえば後述する透光性樹脂および樹脂微粒子の中から、適切な透光性樹脂および樹脂微粒子の組み合わせを選択することにより行なうことができる。一般的に、弾性率の低い、すなわち架橋密度の低い透光性樹脂および樹脂微粒子を選択することによって、ハードコート層の弾性変形割合を下げることができる。また、ハードコート層を樹脂基材フィルム上に形成する工程における乾燥条件、硬化条件を変更することによっても弾性変形割合を変化させることができる。これは透光性樹脂の架橋密度および樹脂微粒子の分散性が変化するためであると考えられる。具体的には、乾燥温度を上昇させることによって、また、紫外線照射強度を増加させることによって、弾性変形割合を減少させることができる。おそらく、これらの条件変更によって、反応初期での粘度が上昇し、架橋反応が効果的に進行せず、結果として架橋密度が低下することによると考えられる。
ハードコート層に分散される透光性の樹脂微粒子を構成する樹脂の種類は、ハードコート層の光学特性(特に内部ヘイズ)および弾性変形割合を上記範囲内に調整し得るものであれば特に制限されないが、たとえば、メラミンビーズ(屈折率:1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率:1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率:1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率:1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率:1.53)、ポリスチレンビーズ(屈折率:1.6)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率:1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率:1.46)などが挙げられる。
本発明において用いられる樹脂微粒子としては、ハードコート層の内部ヘイズを5%以上15%以下とするために、樹脂微粒子の屈折率とハードコート層の基材となる透光性樹脂(ハードコート樹脂)の屈折率の差の絶対値が0.02以上0.06以下となるような樹脂微粒子を選択することが好ましい。
また、本発明において用いられる樹脂微粒子は、その重量平均粒子径が、2μm以上10μm以下であることが好ましく、4μm以上8μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が2μm未満である場合には、十分な防眩性が得られなかったり、内部ヘイズが大きくなったりする傾向があり、重量平均粒子径が10μmを超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下したり、十分な内部ヘイズが得られなかったりする傾向がある。
また、樹脂微粒子は、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上40重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。より好ましくは、透光性樹脂100重量部に対して、10重量部以上30重量部以下の範囲内で含有される。樹脂微粒子の含有量が1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面凹凸が疎となって質感が低下したり、内部ヘイズが小さくなる傾向がある。また、樹脂微粒子の含有量が40重量部を超える場合には、ヘイズが大きくなり、その結果、防眩フィルムが白ちゃけたり、コントラストが低下したりして視認性が低下する傾向がある。
樹脂微粒子を分散させる透光性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレートの単独または2種以上と、「イルガキュア 907」、「イルガキュア 184」(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、「ルシリン TPO」(BASF社製)等の光重合開始剤との混合物を、紫外線硬化性樹脂とすることができる。たとえば紫外線硬化性樹脂を用いた場合においては、紫外線硬化性樹脂に樹脂微粒子を分散した後、該樹脂組成物を樹脂基材フィルム上に塗布し乾燥後、紫外線を照射することにより、透光性樹脂(ハードコート樹脂)中に樹脂微粒子が分散された、ハードコート層を形成することができる。
また、エンボス法によりハードコート層に微細な凹凸形状を形成する場合には、上記特許文献1等に開示されているように、微細な凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状を透明樹脂フィルム(すなわち、透光性樹脂と樹脂微粒子とからなる樹脂フィルム)に転写すればよい。金型形状のフィルムへの転写は、エンボスにより行なうことが好ましく、エンボスとしては、紫外線硬化性樹脂を用いるUVエンボス法が好ましい。
UVエンボス法では、樹脂基材フィルムの表面に紫外線硬化性樹脂層(透光性樹脂と樹脂微粒子とからなる樹脂組成物層)を形成し、その紫外線硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が紫外線硬化性樹脂層に転写される。具体的には、樹脂基材フィルム上に透光性の樹脂微粒子を分散させた紫外線硬化性樹脂を塗工し、塗工して得られる紫外線硬化性樹脂層を金型の凹凸面に密着させた状態で、樹脂基材フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂層を硬化させ、次に、硬化後の紫外線硬化性樹脂層が形成された樹脂基材フィルムを金型から剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化性樹脂層に転写する。紫外線硬化性樹脂の種類は特に制限されない。また、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光開始剤を適宜選定することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いてもよい。
エンボス法を用いずにハードコート層に表面凹凸形状を形成する場合には、ハードコート層の厚みは、表面ヘイズが上記範囲内となるように適宜調整し得るものであるが、2μm以上20μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、傷付きやすくなる傾向にあり、また、20μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮により防眩フィルムがカールして生産性が低下したりする傾向がある。また、ハードコート層の厚みは、一般的には、分散される透光性の樹脂微粒子の重量平均粒子径に対して85%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ハードコート層の厚みが樹脂微粒子の重量平均粒子径の85%を下回る場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
エンボス法を用いてハードコート層に表面凹凸形状を形成する場合には、ハードコート層の厚みは、2μm以上20μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、傷付きやすくなる傾向にあり、また、20μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮により防眩フィルムがカールして生産性が低下したりする傾向がある。また、ハードコート層の厚みは、一般的には、分散される透光性の樹脂微粒子の重量平均粒子径に対して100%以上であることが好ましく、より好ましくは120%以上である。ハードコート層の厚みが樹脂微粒子の重量平均粒子径の100%を下回る場合には、樹脂微粒子がハードコート層の表面凹凸形状に予期せぬ影響を及ぼし、望ましい表面ヘイズ値が得られない場合がある。
本発明の防眩フィルムは、その最表面、すなわちハードコート層の凹凸面側に低反射膜を有していてもよい。低反射膜がない状態でも、十分な防眩機能を発揮するが、最表面に低反射膜を設けることにより、防眩性をさらに向上させることができる。低反射膜は、ハードコート層の上に、それよりも屈折率の低い低屈折率材料の層を設けることにより形成できる。そのような低屈折率材料として、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、氷晶石(3NaF・AlF3またはNa3AlF6)等の無機材料微粒子を、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料;フッ素系またはシリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の有機低反射材料を挙げることができる。
<防眩性偏光板>
本発明の防眩フィルムは、防眩効果に優れ、白ちゃけも有効に防止され、ギラツキの発生を効果的に抑制でき、また、耐久性に優れているため、これを画像表示装置に適用することにより、視認性および耐久性に優れた画像表示装置を得ることができる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された形のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。偏光フィルムと、本発明の防眩フィルムとを、その防眩フィルムの樹脂基材フィルム側で貼り合わせることにより、防眩性偏光板とすることができる。この場合、偏光フィルムの他方の面は、何も積層されていない状態でもよいし、別の保護フィルムまたは光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が形成されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムをその樹脂基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして上記樹脂基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、樹脂基材フィルム上に上記ハードコート層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
本発明の防眩フィルムは、防眩効果に優れ、白ちゃけも有効に防止され、ギラツキの発生を効果的に抑制でき、また、耐久性に優れているため、これを画像表示装置に適用することにより、視認性および耐久性に優れた画像表示装置を得ることができる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された形のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。偏光フィルムと、本発明の防眩フィルムとを、その防眩フィルムの樹脂基材フィルム側で貼り合わせることにより、防眩性偏光板とすることができる。この場合、偏光フィルムの他方の面は、何も積層されていない状態でもよいし、別の保護フィルムまたは光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が形成されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムをその樹脂基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして上記樹脂基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、樹脂基材フィルム上に上記ハードコート層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわちハードコート層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示手段とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与え、また、優れた耐久性を有する。
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわちハードコート層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示手段とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与え、また、優れた耐久性を有する。
また、本発明の防眩フィルムは、高精細の画像表示装置に適用した場合でも、従来の防眩フィルムに見られたようなギラツキが発生することもなく、十分な映り込み防止、白ちゃけの防止、ギラツキの抑制、優れた耐久性という性能を兼備したものとなる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例における防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
(1)防眩フィルムの光学特性の測定
(1−1)ハードコート層の表面および内部ヘイズ
まず、ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて全体のヘイズを測定した。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを、グリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して、内部ヘイズを測定した。表面ヘイズは、上記式(1)に基づいて算出した。
(1−1)ハードコート層の表面および内部ヘイズ
まず、ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて全体のヘイズを測定した。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを、グリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して、内部ヘイズを測定した。表面ヘイズは、上記式(1)に基づいて算出した。
(1−2)透過鮮明度
JIS K 7105に準拠したスガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である。この場合の透過鮮明度の最大値は400%となる。
JIS K 7105に準拠したスガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である。この場合の透過鮮明度の最大値は400%となる。
(1−3)反射鮮明度
上と同じ写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの反射鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。また、裏面ガラス面からの反射を防止するために、防眩フィルムを貼ったガラス板のガラス面に2mm厚みの黒色アクリル樹脂板を水で密着させて貼り付け、この状態でサンプル(防眩フィルム)側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである3種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である(最大値300%)。
上と同じ写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの反射鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。また、裏面ガラス面からの反射を防止するために、防眩フィルムを貼ったガラス板のガラス面に2mm厚みの黒色アクリル樹脂板を水で密着させて貼り付け、この状態でサンプル(防眩フィルム)側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである3種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である(最大値300%)。
(2)防眩フィルムの防眩性能の評価
(2−1)映り込みおよび白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無および白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込みおよび白ちゃけは、それぞれ1〜3の3段階で次の基準により評価した。
(a)映り込み; 1:映り込みが観察されない。2:映り込みが少し観察される。3:映り込みが明瞭に観察される。
(b)白ちゃけ; 1:白ちゃけが観察されない。2:白ちゃけが少し観察される。3:白ちゃけが明瞭に観察される。
(2−1)映り込みおよび白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無および白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込みおよび白ちゃけは、それぞれ1〜3の3段階で次の基準により評価した。
(a)映り込み; 1:映り込みが観察されない。2:映り込みが少し観察される。3:映り込みが明瞭に観察される。
(b)白ちゃけ; 1:白ちゃけが観察されない。2:白ちゃけが少し観察される。3:白ちゃけが明瞭に観察される。
(2−2)ギラツキの評価
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、まず図2に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。この図において、ユニットセル4は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン5が形成され、そのクロム遮光パターン5の形成されていない部分が開口部6となっている。ここでは、ユニットセル4の寸法が254μm×84μm(図の縦×横)、したがって開口部6の寸法が244μm×74μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセル4が縦横に多数並んで、フォトマスク7を形成する。
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、まず図2に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。この図において、ユニットセル4は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン5が形成され、そのクロム遮光パターン5の形成されていない部分が開口部6となっている。ここでは、ユニットセル4の寸法が254μm×84μm(図の縦×横)、したがって開口部6の寸法が244μm×74μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセル4が縦横に多数並んで、フォトマスク7を形成する。
そして、図3に模式的な断面図で示すように、フォトマスク7のクロム遮光パターン5を上にしてライトボックス8に置き、ガラス板10に粘着剤で防眩フィルム12をその凹凸面が表面となるように貼合したサンプルをフォトマスク7上に置く。ライトボックス8の中には、光源9が配置されている。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置11で目視観察した。ギラツキの程度は1〜3の3段階で次の基準により評価した。
ギラツキ; 1:ギラツキが認められない。2:ごくわずかにギラツキが観察される。3:ひどくギラツキが観察される。
ギラツキ; 1:ギラツキが認められない。2:ごくわずかにギラツキが観察される。3:ひどくギラツキが観察される。
(3)防眩フィルムの耐久性の評価
防眩フィルムを80℃の乾燥機中で200時間保管し、乾燥後の光学特性および防眩性能を上記した評価方法で評価した。
防眩フィルムを80℃の乾燥機中で200時間保管し、乾燥後の光学特性および防眩性能を上記した評価方法で評価した。
(4)ハードコート層の弾性変形割合の評価
ハードコート層の弾性変形割合は、後述する実施例および比較例で作製した樹脂基材フィルムとハードコート層との積層体である防眩フィルムを、樹脂基材フィルム側が接合面となるように、透明粘着剤を用いてガラス基板に貼合したものを測定サンプルとして用いた。測定には、ISO−14577に準拠した微小硬さ測定装置「フィッシャースコープHM2000」(Helmut Fischer製)を用い、塑性変形仕事(Wplast)、弾性変形仕事(Welast)、および全機械的仕事(Wtotal)を求め、その結果より、Welast/Wtotal×100を計算することによってハードコート層の弾性変形割合を求めた。ハードコート層の弾性変形割合の測定において、最大押し込み深さは、0.5μmとした。
ハードコート層の弾性変形割合は、後述する実施例および比較例で作製した樹脂基材フィルムとハードコート層との積層体である防眩フィルムを、樹脂基材フィルム側が接合面となるように、透明粘着剤を用いてガラス基板に貼合したものを測定サンプルとして用いた。測定には、ISO−14577に準拠した微小硬さ測定装置「フィッシャースコープHM2000」(Helmut Fischer製)を用い、塑性変形仕事(Wplast)、弾性変形仕事(Welast)、および全機械的仕事(Wtotal)を求め、その結果より、Welast/Wtotal×100を計算することによってハードコート層の弾性変形割合を求めた。ハードコート層の弾性変形割合の測定において、最大押し込み深さは、0.5μmとした。
<実施例1>
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、硬化後に1.53の屈折率を示す紫外線硬化性樹脂組成物Aを用意した。
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、硬化後に1.53の屈折率を示す紫外線硬化性樹脂組成物Aを用意した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物) 40部
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物Aの固形分100重量部に対して、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(重量平均粒子径3.5μm、屈折率1.55)を25重量部、光重合開始剤である「イルガキュア184;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を3重量部および「イルガキュア907;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を0.5重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液Aを調製した。
多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物) 40部
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物Aの固形分100重量部に対して、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(重量平均粒子径3.5μm、屈折率1.55)を25重量部、光重合開始剤である「イルガキュア184;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を3重量部および「イルガキュア907;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を0.5重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液Aを調製した。
この塗布液Aを、樹脂基材フィルム(富士フィルム製 トリアセチルセルロース(TAC)フィルム「フジタック」、厚み80μm)上に、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるように塗布し、90℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの紫外線硬化性樹脂組成物層(塗布液Aの層)側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、表面に凹凸を有するハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み85.1μm)を得た。
<実施例2>
上記の紫外線硬化性樹脂組成物Aの固形分100重量部に対して、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(重量平均粒子径3.5μm、屈折率1.55)を25重量部、光重合開始剤である「イルガキュア184;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を4重量部、「イルガキュア907;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を1重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液Bを調製した。
上記の紫外線硬化性樹脂組成物Aの固形分100重量部に対して、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(重量平均粒子径3.5μm、屈折率1.55)を25重量部、光重合開始剤である「イルガキュア184;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を4重量部、「イルガキュア907;チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製」を1重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液Bを調製した。
この塗布液Bを、樹脂基材フィルム(富士フィルム製 トリアセチルセルロース(TAC)フィルム「フジタック」、厚み80μm)上に、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるように塗布し、90℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの紫外線硬化性樹脂組成物層(塗布液Bの層)側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、表面に凹凸を有するハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み85.9μm)を得た。
<比較例1>
塗布液Aを塗工した樹脂基材フィルムを80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み85.0μm)を得た。
塗布液Aを塗工した樹脂基材フィルムを80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み85.0μm)を得た。
<比較例2>
塗布液Aを塗工した樹脂基材フィルムを80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させたこと、および、乾燥後の塗布厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み86.7μm)を得た。
塗布液Aを塗工した樹脂基材フィルムを80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させたこと、および、乾燥後の塗布厚みを変更したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコート層と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルム(厚み86.7μm)を得た。
上記実施例1〜2および比較例1〜2の防眩フィルムについての、(I)80℃の乾燥機中で200時間保管する前の弾性変形割合および光学特性、ならびに(II)80℃の乾燥機中で200時間保管した後の光学特性を、それぞれ表1および2にまとめた。なお、表1に示される実施例1の防眩フィルムの透過鮮明度および反射鮮明度の内訳は、次のとおりである。
透過鮮明度 反射鮮明度
0.125mm光学くし: 30.5% −
0.5mm光学くし : 33.6% 5.6%
1.0mm光学くし : 41.2% 7.0%
2.0mm光学くし : 56.9% 15.0%
合計 162.2% 27.6%
0.125mm光学くし: 30.5% −
0.5mm光学くし : 33.6% 5.6%
1.0mm光学くし : 41.2% 7.0%
2.0mm光学くし : 56.9% 15.0%
合計 162.2% 27.6%
表1および2に示されるように、本発明の防眩フィルム(実施例1〜2)は、80℃での200時間の乾燥によっても、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生せず、また、ヘイズ変化(特には表面ヘイズ)も小さく、優れた耐久性を示した。これに対し、比較例1〜2の防眩フィルムは、初期の状態(80℃での200時間の乾燥前)では優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生せず、優れた防眩性能を示したのものの、ハードコート層の弾性変形割合がそれぞれ83.5%、85.1%と高いことに起因して、80℃で200時間乾燥することによって、表面ヘイズがそれぞれ5.9%、5.7%と大きく低下した。その結果、80℃で200時間乾燥した後には映り込みおよびギラツキが発生した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の防眩フィルムを、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種ディスプレイに対し、その防眩フィルムが画像表示素子よりも視認側となるように配置することで、白ちゃけおよびギラツキを発生させることなく、映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与えるものとなる。
1 樹脂基材フィルム、2 ハードコート層、3 樹脂微粒子、4 フォトマスクのユニットセル、5 フォトマスクのクロム遮光パターン、6 フォトマスクの開口部、7 フォトマスク、8 ライトボックス、9 光源、10 ガラス板、11 ギラツキの観察位置、12 防眩フィルム。
Claims (6)
- 樹脂基材フィルムと、前記樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、
前記ハードコート層は、少なくとも1種の樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなり、
かつ、前記ハードコート層の表面ヘイズは5%以上15%以下であり、内部ヘイズは5%以上15%以下であり、
前記ハードコート層の弾性変形割合は、70%以上80%以下である防眩フィルム。 - 前記透光性樹脂の屈折率と前記樹脂微粒子の屈折率との差は、0.02以上0.06以下である請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記樹脂微粒子は、その重量平均粒子径が2μm以上10μm以下であり、前記透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上40重量部以下の範囲内で前記ハードコート層に含有される請求項1または2に記載の防眩フィルム。
- 前記ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜をさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、
前記偏光フィルムは、前記防眩フィルムの前記樹脂基材フィルム側に配置される防眩性偏光板。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルムまたは請求項5に記載の防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、
前記防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置。
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