JP2010101572A - 加熱調理器 - Google Patents

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龍太 近藤
Masamitsu Kondo
正満 近藤
Ryoji Shimada
良治 島田
Hisahiro Nishitani
久弘 西谷
Shinichi Yamane
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Abstract

【課題】焼き過ぎを防止し美味しく調理することに対して満足のいく加熱調理器を提供すること。
【解決手段】ヒータ2、3の温度を直接検出してヒータ2、3の温度を直接制御することでヒータ2、3からの輻射熱を制御でき、ヒータ2、3の通電率を高くして輻射熱による効果を高くすることができるので、安定して高い調理性能を発揮し、調理時間の短い加熱調理器を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒータを備えた加熱調理器に関する。
従来、この種の加熱調理器は一般的に、加熱室内にヒータを備え、被加熱物を網の上に置き、加熱室内の温度が一定になるようにヒータを温度調節器により制御し、加熱していた。
被加熱物の焼け具合などの出来上がりや調理時間は、加熱室内の温度とヒータからの輻射熱でほぼ決定される。加熱室内の温度は被加熱物の種類により最適の温度が決定される。被加熱物である食品の種類によっても異なるが、早くから焦げ目がつき過ぎないようにしたいものと、肉調理のような表面に素早く焦げ目をつけて内部の旨味を逃さないように加熱したいものとがある。焦げ目を早くつけるように加熱するには、加熱の初期に輻射熱の強い加熱が必要で、良い出来映えの調理を可能にするには、加熱初期の輻射熱を制御してやらなければならない。
また、調理時間を短くするためにはヒータからの輻射熱を高めることが有効である。そして輻射熱はヒータ表面の絶対温度の4乗に比例することは周知である。従って、輻射熱を高めるためにはヒータがより連続的に通電される状態、すなわちヒータの通電率を上げることが有効である。
特開2001−349556号公報
しかしながら、前記従来の構成では、ヒータは加熱室内の温度が一定になるように温度調節器で制御されているので、輻射熱を制御することができなかった。そのため、焦げ目をきれいにつけ、美味しく調理することに対して満足のいくものではないという課題を有していた。
また、庫内温度が上昇してしまうとヒータが制御されて通電量が下がる。加熱調理器の種類、加熱室内の温度などによっても異なるが、一般的には、加熱室内の温度を例えば280゜Cに保つ場合のヒータは、25〜30%といった低い通電率になる。これによりヒータの温度が下がるため、ヒータからの輻射熱が下がり調理性能の低下、すなわち調理時間が延長する。従って、輻射熱が比較的低い状態で動作し、調理時間を短くできないという課題を有していた。
そして、庫内温度を280℃に保つ場合のヒータ通電率の制御方法として例えば上下20degのディファレンシャルを取ったオンオフ制御、すなわち庫内温度が300℃を超えればヒータへの電源を遮断、260℃を下回れば電源供給といった制御方法を用いた場合には、庫内温度260℃近辺のときに加熱調理開始になるとヒータ温度がかなり低下していて、輻射熱が小さくなってしまう。一方、庫内温度がヒータ電源遮断時の300℃近辺で加熱調理を開始すると、ヒータ温度が最高レベルにあり輻射熱が大きくなり焦げ目がつきやすいことになる(例えば、特許文献1参照)。
加熱調理器の条件にもよるが、この程度のディファレンシャルの場合、およそ数十秒から2〜3分の間隔でヒータへの電源遮断と電源供給が繰り返されており、すなわちこの時間間隔で輻射熱が大きくなったり小さくなったりして、調理開始のタイミングによって調
理性能が安定しないという課題もあった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、調理性能の大幅に向上した加熱調理器を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、加熱調理するためのヒータの温度を検出するヒータ温度検出手段と、ヒータの加熱量を制御する制御手段とを備え、前記ヒータ温度検出手段の出力に基づき所定のヒータ設定温度を超えないようにヒータ加熱量を制御するようにしたものである。
これによって、ヒータの温度を直接検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、ヒータの温度を直接制御してヒータからの輻射熱を制御することができるので、安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
本発明の加熱調理器は、ヒータの温度を直接検出してヒータの温度を直接制御し、ヒータからの輻射熱を制御することができるので、安定して高い調理性能を発揮できる。また、ヒータの通電率を高くして輻射熱による効果を高くすることができるので、調理時間を短くすることもできる。そして、ヒータの温度を直接制御しヒータ温度が過度に上昇することを防止できるのでヒータの劣化を防止できる。
第1の発明は、食品を加熱する加熱室と、加熱調理するためのヒータと、前記ヒータの温度を検出するヒータ温度検出手段と、ヒータの加熱量を制御する制御手段とを備え、前記ヒータ温度検出手段の出力に基づき所定のヒータ設定温度を超えないようにヒータ加熱量を制御するようにしたことにより、ヒータの温度を直接検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、肉調理やトーストなどの焼き調理において、理想に近い焼き方とされる一定温度による均一な焼調理ができる。そして、ヒータの温度を直接制御してヒータからの輻射熱を制御することができるので、安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
第2の発明は、加熱室内の温度を検出する庫内温度検出手段を備え、特に第1の発明の制御手段を、前記庫内温度検出手段の出力に基づき、運転開始後に所定の庫内設定温度に到達した場合に予熱完了と判定して報知するようにしたことにより、ヒータ温度が先に上昇しても庫内温度は熱容量があるために昇温に時間がかかるが、この庫内温度が十分に上昇して所定の設定温度に達してから加熱調理を開始することができるので、安定した庫内温度の条件でヒータの温度を直接制御する加熱調理が可能となり、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
第3の発明は、特に第1または第2のいずれか1つの発明の制御手段を、所定の庫内設定温度を優先してヒータの加熱量を制御する庫内優先モードと、ヒータ設定温度を優先して制御するヒータ優先モードの少なくとも二つのモードを有するようにしたことにより、庫内優先モードを選択して庫内温度を優先したり、ヒータ優先モードを選択することでヒータ温度を制御して輻射熱を制御したりすることができる。したがって、早くから焦げ目がつき過ぎないようにしたい食品と、表面に素早く焦げ目をつけて加熱したい食品など、食品に応じた加熱調理モードを選択でき、良い出来映えで美味しく調理する高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。また、庫内優先モードで
加熱中であっても、ヒータの最高温度を制限するように制御することも可能になるので、ヒータ温度が過度に上昇することを防いでヒータの劣化を防止できる。
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれか1つの発明の制御手段を、加熱調理前の予熱中は庫内優先モードで制御し、食品が加熱室に投入後の調理中はヒータ優先モードで制御するようにしたことにより、予熱中は庫内優先モードで制御することで庫内温度が十分に上昇して所定の設定温度に安定させることが可能となり、調理開始時の庫内温度のバラツキが抑えられて調理性能が安定するとともに、安定した庫内温度の条件で調理中はヒータの温度を直接制御する加熱調理が可能となり、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれか1つの発明において、所定の庫内設定温度tc1のときに設定された第一のヒータ設定温度th1に対して、庫内温度tcが設定温度tc1より高いtc>tc1のときは第二のヒータ設定温度th2<th1を目標値として用い、庫内温度が低いtc<tc1のときは第三のヒータ設定温度th3>th1を目標値にしてヒータの加熱量を制御するようにしたことにより、予熱後に連続して複数回の加熱調理を行う場合は、ヒータの温度を直接制御してヒータからの輻射熱を優先して制御すると調理回数を重ねるごとに庫内温度が上昇しやすくなってしまうが、複数回のそれぞれの調理時に庫内温度検出手段が設定温度よりも高いtc(>tc1)の庫内温度を検出すると、第二のヒータ設定温度th2(<th1)を目標値として加熱量を制御し輻射熱を低下させるので、過剰に焦げてしまうことを防止でき、良い出来映えで美味しく調理できる。また逆に、食品の投入に手間取って扉をしばらく開けていたときなど、調理開始時に庫内温度検出手段が設定温度よりも低いtc(<tc1)の庫内温度を検出すると、第三のヒータ設定温度th3(>th1)を目標値にしてヒータの加熱量を制御し輻射熱を増加させるので、焦げ目がつきにくくなることを防止して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
第6の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明のヒータをシーズヒータにし、制御手段は一定の所定時間内で連続した電源供給時間を設定し残り時間を電源遮断時間とする、所定時間での通電率を変化させることで加熱量を制御するようにしたことにより、数秒から数十秒までの時間内の通電率を変化させて加熱量を制御し温度制御できるので、庫内温度を設定温度としてこの設定温度を超えると電源遮断、設定温度を下回ると電源供給という二者択一の制御方法のように数十秒から2〜3分の間隔でヒータへの電源遮断と電源供給を繰り返すことなく、短時間の通電率変化でヒータ自身の温度変動幅を小さく抑えることができ、その結果ヒータからの輻射熱の変動を小さくすることで、安定した高い調理性能を発揮させることができる。
第7の発明は、特に第1〜第5のいずれか1つの発明のヒータをシーズヒータにし、制御手段は前記シーズヒータへの供給電源の交流正弦波の一部を切り欠いて通電率を変化させることで加熱量を制御するようにしたことにより、供給交流電源の一波長内で通電率を変化させて加熱量を制御し温度制御できるので、ヒータ自身の温度変動幅を小さく抑えることができ、その結果ヒータからの輻射熱の変動を小さくすることで、安定した高い調理性能を発揮させることができる。
第8の発明は、特に第1〜第7のいずれか1つの発明のヒータ温度検出手段を熱電対にしたことにより、発熱部の温度を直接測定するような高温での使用においても耐久性と繰り返し信頼性に優れ、確実にヒータの温度を直接検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、調理性能が向上し、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
第9の発明は、特に第1〜第7のいずれか1つの発明のヒータ温度検出手段を赤外線等の波長を検出する赤外線検出器にしたことにより、赤外線検出器によってヒータの表面温度を非接触で検出可能となり、確実にヒータの温度を検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、調理性能が向上し、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態の加熱調理器を図1から図5を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器を側面から見た断面図を示したものである。
図1において、加熱室1内に上ヒータ2と下ヒータ3が設けられ、網4の上に載せられた食品5を上ヒータ2と下ヒータ3とで挟むように加熱する。加熱室1の後方にはマイクロ波を発生するマグネトロン6が設けられ、マイクロ波と上下のヒータの輻射熱や対流熱との少なくともいずれかを供給して食品を加熱処理することができるようになっている。
上ヒータ2にはその表面に接触するように上ヒータ熱電対7が設けられ、マグネトロン6からのマイクロ波の影響を受けないように金属管で覆われて上ヒータ2のヒータ温度検出手段を構成している。また、下ヒータ3の表面には下ヒータ熱電対8が同様に設けられてヒータ温度検出手段となっている。加熱室1の壁面には庫内温度検出手段であるサーミスタ9が固定されており、上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8とサーミスタ9は制御手段10に電気的に接続され、それぞれの出力に基づき、上ヒータ2と下ヒータ3への通電を制御して加熱量を加減制御できるようになっている。
マグネトロン6より発生したマイクロ波を受ける位置には、電波撹拌手段としての回転アンテナ11が設けられている。そして、マグネトロン6からのマイクロ波を、回転アンテナ11に照射することにより、この回転アンテナ11によってマイクロ波を加熱室1内に撹拌しながら供給するようになっている。なお、マグネトロン6や回転アンテナ11は、加熱室1の後方と上面に設けているが、これに限らず加熱室1底部や側面側に設けることもできる。
加熱室1内の側壁の上部に設けられた排気口12は、加熱室1内の空気を換気するため送風機13を介して外部と連通する排気通路14とつながっている。そして送風機13上流の排気通路14内には臭気除去手段15が配置されて、加熱室1内の空気はそこに含まれる臭気成分を除去した後、加熱調理器外に排出できるようになっている。
以上の構成の加熱調理器の基本動作について説明する。図2から図4は、加熱調理を行うときの使用者と制御手段10の動作を示すフローチャートである。以下、図2から図4を参照しながら、使用者が本発明の加熱調理器を用いて食品の加熱調理を行うときの制御手段10の動作について説明する。
まず、使用者は入力操作部(図示せず)を操作して予熱の有無を選択する(ステップS101)。予熱ありの加熱調理を使用者によって選択されると、制御手段10は予熱運転を開始させ(S102)、庫内優先モードで上ヒータ2と下ヒータ3の加熱量制御を行い
(S103)、サーミスタ9の出力から庫内温度が所定の庫内設定温度(例えば使用者が設定した予熱280℃)に到達した場合に、予熱完了と判定して報知する(S104)。
このときの庫内優先モード(S103)は、図3に示すように、サーミスタ9の出力から庫内温度tcを検出し(S201)、庫内温度tcが所定の設定温度280℃になっているか比較し(S202)、庫内温度tcが設定温度280℃と異なる場合は上ヒータ2と下ヒータ3への通電率を加減することで加熱量を加減制御する(S203)。
このステップS203における加熱量加減の制御は、設定温度280℃よりもtcが低い場合は加熱量を増加させtcが設定温度より高い場合は加熱量を減少させる制御、すなわち庫内温度tcと目標温度である設定温度の偏差を元にした比例制御(P制御)を基本として、偏差を元にした公知のPID制御などを用いてヒータ加熱量のフィードバック制御が行われる。ここでの制御定数である比例ゲインや積分係数や微分係数は、制御の応答性と安定性を両立するための最適な値を予め設定しておく必要がある。
なおフィードバック制御は、PI制御でもP制御でもファジーやニューロ制御でもよい。
ステップS203において、このような加熱量のフィードバック制御が行われた後、制御手段10は再びステップS201に戻ってサーミスタ9の出力から庫内温度tcを検出する。そして庫内温度tcが所定の設定温度280℃になっているか比較し(S202)、庫内温度tcが設定温度280℃と等しくなった場合は、庫内優先モードのサブルーチンを抜けて、予熱完了と判定して報知するのである(S104)。
使用者が予熱完了を確認すると、被加熱物である食品5を加熱室1内の網4の上に載せ、開閉扉16を閉じる(S105)。入力操作部(図示せず)を操作して加熱方法、加熱時間、加熱温度等の諸設定を行い、スタートボタンを押下すると、制御手段10の動作によって自動的に加熱調理が開始される(S106)。
一方、ステップS101において、予熱なしの加熱調理を使用者によって選択されると、制御手段10は予熱運転を開始させずに、使用者の次の操作を待つ。そして使用者が食品5を加熱室1内に投入し、開閉扉16を閉じる(S107)。次に入力操作部を操作して加熱方法、加熱時間、加熱温度等の諸設定を行い、スタートボタンを押下すると、制御手段10の動作によって自動的に予熱なしの加熱調理が開始される(S108)。
ステップS109において、使用者がヒータ優先モードの加熱方法を選択したと判定すると、ヒータ優先モードで上ヒータ2と下ヒータ3の加熱量制御を行い(S110)、このヒータ優先モードの加熱時間が入力時の設定時間を経過すると、ヒータ優先モードのサブルーチンを繰り返して温度を維持する加熱調理のループを抜けて、調理終了の報知を行い(S111)、終了する。
このときのヒータ優先モード(S110)は図4に示すように、まずサーミスタ9の出力から庫内温度tcを検出し(S301)、庫内温度tcが所定の設定温度tc1(例えば使用者が設定した予熱300℃)になっているか比較する(S302)。
ステップS302において、庫内温度tcが設定温度tc1(300℃)より低い場合は、上ヒータ2および下ヒータ3のそれぞれの設定温度th0を、あらかじめ記憶していた標準温度のth1(例えば600℃)よりも高温のth3(650℃)に設定する(S303)。
庫内温度tcが設定温度tc1(300℃)と等しい場合は、ヒータの設定温度th0をあらかじめ記憶していた標準温度のth1(600℃)に設定する(S304)。
庫内温度tcが設定温度tc1(300℃)より高い場合は、ヒータの設定温度th0を、あらかじめ記憶していた標準温度のth1(600℃)よりも低温のth2(550℃)に設定する(S305)。
ここで、例として庫内温度が310℃だったとすると、ステップS305によって、ヒータ設定温度th0は550℃となる。
そして、ヒータの設定温度th0が決定したら、ヒータ温度検出手段である上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8のそれぞれの出力から、ヒータ温度thを検出し(S306)、ヒータ温度thが所定の設定温度th0(先の例の場合550℃)になっているか比較し(S307)、ヒータ温度thが設定温度th0と異なる場合は上ヒータ2と下ヒータ3への通電率を加減することで加熱量を加減制御する(S308)。
このステップS308における加熱量加減の制御は、前述のステップS203における加熱量加減制御と同じフィードバック制御でよい。このような加熱量のフィードバック制御が行われた後、制御手段10は再びステップS306に戻って、上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8のそれぞれの出力からヒータ温度thを検出する。そしてヒータ温度thが所定の設定温度th0(例えば550℃)になっているか比較し(S306)、ヒータ温度thが設定温度th0と等しくなった場合は、ヒータ優先モードのサブルーチンを抜け、このヒータ優先モードの加熱時間が入力時の設定時間を経過していないうちは、再度ヒータ優先モードのサブルーチンを開始するループでヒータ温度thを設定温度th0に保持し続ける。
そして、このヒータ優先モードの加熱時間が入力時の設定時間を経過すると、ヒータ優先モードのサブルーチンを繰り返すループを抜けて、調理終了の報知を行い(S111)、終了するようになっている。
また一方、ステップS109において、使用者が庫内優先モードの加熱方法を選択したと判定すると、S103と同じ庫内優先モードで上ヒータ2と下ヒータ3の加熱量制御を行い(S112)、この庫内優先モードの加熱時間が入力時の設定時間を経過すると、庫内優先モードのサブルーチンを繰り返して温度を維持する加熱調理のループを抜けて、調理終了の報知を行い(S111)、終了する。
なお、ここでは上ヒータ2と下ヒータ3のヒータ温度thとヒータ設定温度th0およびth1〜th3を、簡単のためひとつの値として説明したが、上ヒータ2と下ヒータ3のそれぞれが、上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8のそれぞれの出力から別々の温度thを有するものであり、それぞれが別々の設定値th0〜th3を有してよい。
図5は、上ヒータ2と下ヒータ3への加熱量を加減するための通電率の加減制御を説明するヒータ入力のタイムチャートである。以下、図5を参照しながら、ヒータの加熱量を制御するときの制御手段10の動作について説明する。
図5において、横軸は時間、縦軸は上ヒータ2と下ヒータ3へのそれぞれへの入力電圧である。そして制御手段10は、図に示すように、一定の所定時間である2秒の内で、連続した電源供給時間を例えば1.5秒に設定し残り時間0.5秒を電源遮断時間とすることにより、所定時間の2秒での通電率を75%と設定することができる。そしてこの2秒の所定時間の中で、連続した電源供給時間を0秒から2秒まで変化させることで、通電率
を0〜100%に変化させることができる。このヒータへの電源供給と電源遮断のON/OFFは、図示しない電磁リレーやSSRと呼ばれるような半導体リレーを、制御手段10がON/OFFさせることで可能となるものである。
上記構成により、2秒の所定時間の中で連続した電源供給時間を設定し残り時間を電源遮断時間として通電率を変化させることで加熱量を制御するようにしたことにより、2秒という短時間で通電率を変化させて加熱量を制御し温度制御できる。したがって、設定温度を目標温度として現在温度がこの設定温度を超えると電源遮断、設定温度を下回ると電源供給という二者択一の制御方法のように数十秒から2〜3分の間隔でヒータへの電源遮断と電源供給を繰り返すことなく、数十秒以下、ここでの例では2秒という短時間の通電率変化を行うことにより、ヒータ自身の温度変動幅を小さく抑えることができ、その結果ヒータからの輻射熱の変動を小さくすることで、安定した高い調理性能を発揮させることができる。
また、食品5を加熱する加熱室1と、加熱調理するための上ヒータ2と下ヒータ3と、上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8と、上ヒータ2および下ヒータ3の加熱量を制御する制御手段10とを備え、ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8の出力に基づき所定のヒータ設定温度th0を超えないように制御手段10がヒータ加熱量を制御するので、ヒータの温度thを直接検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、肉調理やトーストなどの焼き調理において、理想に近い焼き方とされる一定温度による均一な焼調理ができる。そして、ヒータの温度thを直接制御してヒータからの輻射熱を制御することができるので、安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。また、ヒータ温度が過度に上昇することを防止できるのでヒータを高寿命化できる。
また、加熱室1内の温度を検出するサーミスタ9を備え、制御手段10がサーミスタ9の出力に基づき、庫内温度tcが運転開始後に所定の庫内設定温度に到達した場合に予熱完了と判定して報知するようにしたので、ヒータ温度thが先に上昇しても庫内温度tcは熱容量があるために昇温に時間がかかるが、この庫内温度tcが十分に上昇して所定の設定温度に達してから加熱調理を開始することができるので、安定した庫内温度の条件でヒータの温度を直接制御する加熱調理が可能となり、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
また、制御手段10は、所定の庫内設定温度を優先してヒータの加熱量を制御する庫内優先モードと、ヒータ設定温度を優先して制御するヒータ優先モードの二つのモードを有し、さらに加熱調理前の予熱中は庫内優先モードで制御し、食品5が加熱室1に投入後の調理中はヒータ優先モードで制御するので、庫内温度tcを優先する庫内優先モードとヒータ温度thを制御して、輻射熱を制御できるヒータ優先モードの二つのモードを有するので、早くから焦げ目がつき過ぎないようにしたい食品と、表面に素早く焦げ目をつけて加熱したい食品など、食品に応じた加熱調理モードを選択でき、良い出来映えで美味しく調理する高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
また、庫内優先モードで加熱中であってもヒータの最高温度を制限するように制御することも可能になるので、ヒータ温度が過度に上昇することを防いでヒータの劣化を防止できる。さらに、予熱中は庫内優先モードで制御することにより、庫内温度tcが十分に上昇して所定の設定温度に安定させることが可能となり、調理開始時の庫内温度のバラツキが抑えられて調理性能が安定するとともに、安定した庫内温度の条件でヒータの温度を直接制御する加熱調理が可能となり、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
また、所定の庫内設定温度tc1のときに設定された第一のヒータ設定温度th1に対して、庫内温度tcが設定温度tc1より高いtc>tc1のときは第二のヒータ設定温度th2<th1を目標値として用い、庫内温度が低いtc<tc1のときは第三のヒータ設定温度th3>th1を目標値にして、制御手段10がヒータの加熱量を制御するので、予熱後に連続して複数回の加熱調理を行う場合は、ヒータの温度を直接制御してヒータからの輻射熱を優先して制御すると調理回数を重ねるごとに庫内温度が上昇しやすくなってしまうが、複数回のそれぞれの調理時に庫内温度検出手段が設定温度よりも高いtc(>tc1)の庫内温度を検出すると、第二のヒータ設定温度th2(<th1)を目標値として加熱量を制御し輻射熱を低下させるので、過剰に焦げてしまうことを防止し、良い出来映えで美味しく調理できる。また逆に、食品の投入に手間取って扉をしばらく開けていたときなど、調理開始時に庫内温度検出手段が設定温度よりも低いtc(<tc1)の庫内温度を検出すると、第三のヒータ設定温度th3(>th1)を目標値にしてヒータの加熱量を制御し輻射熱を増加させるので、焦げ目がつきにくくなることを防止して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
また、上ヒータ2および下ヒータ3の温度検出手段をそれぞれ、上ヒータ熱電対7と下ヒータ熱電対8で構成したことにより、発熱部の温度を直接測定するような高温での使用においても耐久性と繰り返し信頼性に優れ、確実にヒータの温度を直接検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、調理性能が向上し、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態を図6および図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、上述した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6は本発明の実施の形態2における加熱調理器の側面から見た断面図を示したもので、図7は本発明の同実施の形態における上ヒータ2と下ヒータ3への加熱量を加減するための通電率の加減制御を説明するヒータ入力のタイムチャートである。
本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、図6および図7に示すように、上ヒータ2および下ヒータ3の温度を検出するヒータ温度検出手段として赤外線等の波長を検出する赤外線検出器であるIRセンサ21が設けられたことと、制御手段10が上ヒータ2および下ヒータ3への供給電源の交流正弦波の一部を切り欠いて通電率を変化させることで加熱量を制御するようにしたことにある。
IRセンサ21は、加熱室1の壁面に揺動自在に配置されている。そして、複数箇所(例えば8箇所)の温度を同時に測定可能で、IRセンサ21を揺動させるスキャン動作により、加熱室1の壁面に設けた検出用孔を通じて、加熱室1内の複数の測定点の温度を測定することができるとともに、上ヒータ2および下ヒータ3のそれぞれの表面温度を測定できるようになっている。
そして、制御手段10はIRセンサ21の出力に基づき、所定のヒータ設定温度を超えないようにヒータ加熱量を制御する際に、図7の横軸は時間、縦軸は上ヒータ2と下ヒータ3へのそれぞれへの入力電圧のタイムチャートに示すように、ヒータへの供給電源の交流正弦波の一部を切り欠いて通電率を変化させることで加熱量を制御する。
このように、供給交流電源の一波長内で通電率を変化させて加熱量を制御し温度制御できるので、ヒータ自身の温度変動幅を小さく抑えることができ、その結果ヒータからの輻射熱の変動を小さくすることで、安定した高い調理性能を発揮させることができる。
また、上記構成により、ヒータ温度検出手段を赤外線等の波長を検出するIRセンサ21にしたことにより、赤外線検出器によってヒータの表面温度を非接触で検出可能となり、確実にヒータの温度を検出することができるため、ヒータの温度制御を正確かつ安定して行うことができる。よって、調理性能が向上し、ヒータからの輻射熱を制御して安定して高い調理性能を発揮でき、輻射熱を高めて調理時間を短くすることもできる。さらに食品5自身の表面温度も検出できることから、出来上がり温度を検出することが可能な優れた加熱調理器を提供できる。
以上のように本発明によれば、輻射熱を高めて被加熱体を短時間で加熱することができるので、オーブンやグリル機能を使用する調理器具としてのオーブン電子レンジ、電気オーブン、業務用の各種オーブン加熱、解凍装置であるとか、乾燥装置などの工業分野での加熱装置、陶芸加熱、焼結あるいは生体化学反応等の用途に適用できる。
本発明の実施の形態1の加熱調理器の側面から見た断面図 本発明の実施の形態1の加熱調理を行うときの使用者と制御手段10の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態1の加熱調理を行うときの使用者と制御手段10の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態1の加熱調理を行うときの使用者と制御手段10の動作を示すフローチャート 本発明の実施の形態1の通電率の加減制御を説明するヒータ入力のタイムチャート 本発明の実施の形態2の加熱調理器の側面から見た断面図 本発明の実施の形態2の通電率の加減制御を説明するヒータ入力のタイムチャート
符号の説明
1 加熱室
2 上ヒータ
3 下ヒータ
5 食品
7 上ヒータ熱電対(ヒータ温度検出手段)
8 下ヒータ熱電対(ヒータ温度検出手段)
9 サーミスタ(庫内温度検出手段)
10 制御手段
21 IRセンサ(赤外線検出器)

Claims (9)

  1. 食品を加熱する加熱室と、加熱調理するためのヒータと、前記ヒータの温度を検出するヒータ温度検出手段と、前記ヒータの加熱量を制御する制御手段とを備え、前記ヒータ温度検出手段の出力に基づき所定のヒータ設定温度を超えないようにヒータ加熱量を制御する加熱調理器。
  2. 加熱室内の温度を検出する庫内温度検出手段を備え、制御手段は前記庫内温度検出手段の出力に基づき、運転開始後に所定の庫内設定温度に到達した場合に予熱完了と判定して報知するようにした請求項1記載の加熱調理器。
  3. 制御手段は、所定の庫内設定温度を優先してヒータの加熱量を制御する庫内優先モードと、ヒータ設定温度を優先して制御するヒータ優先モードの少なくとも二つのモードを有する請求項1または請求項2のいずれか1項記載の加熱調理器。
  4. 制御手段は、加熱調理前の予熱中は庫内優先モードで制御し、食品が加熱室に投入後の調理中はヒータ優先モードで制御する請求項1〜3のいずれか1項記載の加熱調理器。
  5. 所定の庫内設定温度tc1のときに設定された第一のヒータ設定温度th1に対して、庫内温度tcが設定温度tc1より高いtc>tc1のときは第二のヒータ設定温度th2<th1を目標値として用い、庫内温度が低いtc<tc1のときは第三のヒータ設定温度th3>th1を目標値にしてヒータの加熱量を制御する請求項1〜4のいずれか1項記載の加熱調理器。
  6. ヒータはシーズヒータであり、制御手段は前記シーズヒータの一定の所定時間内で連続した電源供給時間を設定し残り時間を電源遮断時間とする、所定時間での通電率を変化させることで加熱量を制御する請求項1〜5のいずれか1項記載の加熱調理器。
  7. ヒータはシーズヒータであり、制御手段は前記シーズヒータへの供給電源の交流正弦波の一部を切り欠いて通電率を変化させることで加熱量を制御する請求項1〜5のいずれか1項記載の加熱調理器。
  8. ヒータ温度検出手段は熱電対である請求項1〜7のいずれか1項記載の加熱調理器。
  9. ヒータ温度検出手段は赤外線等の波長を検出する赤外線検出器である請求項1〜7のいずれか1項記載の加熱調理器。
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