JP2010101422A - ショックアブソーバ - Google Patents
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Abstract
【課題】伸長方向と圧縮方向とにおいて異なる減衰力を得ることが可能で、その減衰力を広く調節できるショックアブソーバを構成する。
【解決手段】ボトム側の第1油室S1に連通する第1油路L1と、ピストンロッド側の第2油室S2に連通する第2油路L2との間に主連通油路Pと副連通油路Qを形成した。主連通油路Pには第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2とを備え、これらの開度を調節する電動モータMを備えた。副連通油路Qには第1チェック弁CH1と第2チェック弁CH2とを備え、主連通油路Pと副連通油路Qとの中間にアキュムレータAを備えた。
【選択図】図2
【解決手段】ボトム側の第1油室S1に連通する第1油路L1と、ピストンロッド側の第2油室S2に連通する第2油路L2との間に主連通油路Pと副連通油路Qを形成した。主連通油路Pには第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2とを備え、これらの開度を調節する電動モータMを備えた。副連通油路Qには第1チェック弁CH1と第2チェック弁CH2とを備え、主連通油路Pと副連通油路Qとの中間にアキュムレータAを備えた。
【選択図】図2
Description
本発明は、ショックアブソーバに関し、詳しくは、シリンダにピストンをスライド移動自在に収容した構造を有するものにおいて、減衰力特性を変更する技術に関する。
上記のように構成されたショックアブソーバとして特許文献1には、伸び行程においては、シリンダ上室40のオイルが連通孔54、通路52等を介して可変オリフィス102を構成する制御バルブ82に流れ、更に通路74を経てシリンダ下室42へ流れ込む構成が示されている。これによりオイルが可変オリフィス102を通過する際の流通抵抗により減衰力が発生する。
また、縮み行程においては、シリンダ下室42内のオイルが通路44及びチェックバルブ48を経てシリンダ上室40へ流れ、更にシリンダ上室40より連通孔54、通路52等を経て可変オリフィスを構成する制御バルブ82へ流れ込む構成が示されている。特に、制御バルブ82より切欠き溝96、連通孔116等を介してリザーバ室56へ流れるオイルが可変オリフィス102を通過する際の流通抵抗により減衰力が発生する。
この特許文献1では、可変オリフィス102がアクチュエータとしてのフォースモータの駆動により実効通路断面積を増減し、流路抵抗を減少し増大する機能を有している。
また、特許文献2には、ピストン28の内部に弁体14と、スプール19と、これらに付勢力を作用させるバネ11とを備えた構成が示されている。更にこの特許文献2では、バネ11の付勢力によってスプール19が接触することで油路を閉じ状態に維持するディスク26を備え、バネ11の付勢力に抗する方向への吸引力を弁体14に作用させるソレノイドSを備えた構成が示されている。
このような構成により、伸び方向への作動時と圧縮方向への作動時とにおいてピストン28の上側の第1液室R1と、ピストン28の下側の第2液室R2との間でオイルが流れる際には、バネ11の付勢力に抗してスプール19とディスク26との間に隙間を形成し、その隙間にオイルを流すことにより減衰力を作用させるように構成されている。
この特許文献2では、ソレノイドSに供給する電流値の調節により、減衰力を調節できる点が示されている。
この種のショックアブソーバは、自動車等の車両の車輪の懸架部に備えられるものであり、車両の乗り心地の観点から伸び方向への作動と圧縮方向への作動とにおいて異なる減衰特性が望まれることもあった。しかしながら、特許文献1では、伸び方向と圧縮方向との何れの方向への作動でも同じ減衰系にオイルが流れることから伸長方向と圧縮方向とにおいて異なる減衰特性を得られないものであった。
特許文献2では、ピストン部に伸長方向と圧縮方向の減衰力調整機構を設けているが、複筒型のショックアブソーバにおいて圧縮方向に高い減衰力を発生させる為にはベースバルブの設定でピストン下室の圧力を上げる必要があり、逆に低い減衰力を発生することが難しくなり改善の余地がある。
また、シリンダにガスを封入したモノチューブ型のショックアブソーバを考えると、封入されたガス圧によって圧縮側の最大発生減衰力が決まるので、この圧力を超える高い減衰力を得ることが不能であり減衰力を広範囲に調節できない。
このように従来からのショックアブソーバを考えると、伸長方向と圧縮方向とにおいて任意の減衰力特性に可変できるものは無かった。また、複筒型やモノチューブ型のような一般的な構成のショックアブソーバでは、低い減衰力から高い減衰力までの広範囲の減衰力を必要とするものには対応が困難であり改善の余地があった。
本発明の目的は、伸長方向と圧縮方向とにおいて異なる減衰力を得ることが可能で、その減衰力を広範囲で調節できるショックアブソーバを合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、シリンダにスライド移動自在にピストンを収容し、ボトム側の第1油室とピストンロッド側の第2油室との間の油路系を流れるオイルに抵抗を与えることにより前記ピストンの作動に減衰力を作用させる減衰手段を備えており、前記減衰手段が、前記第1油室に連通する第1油路と前記第2油室に連通する第2油路とを結ぶ主連通油路を備え、この主連通油路のうち第1油路側に第1可変オリフィスを備え、この主連通油路のうち第2油路側に第2可変オリフィスを直列に備え、前記第1可変オリフィスと前記第2可変オリフィスとの開度を調節するアクチュエータを備えると共に、前記第1油路の圧力上昇時に第1可変オリフィスを流れたオイルを前記第2油路の方向に流す第2チェック弁と、前記第2油路の圧力上昇時に前記第2可変オリフィスを流れたオイルを前記第1油路の方向に流す第1チェック弁とを備えている点にある。
この構成により、圧縮方向への作動時には第1油室の圧力が高まり、第1油路のオイルが第1可変オリフィスから第2チェック弁に順次流れ、第2油路を介して第2油室に流れる。伸長方向への作動時には、第2油室の圧力が高まり、第2油路のオイルが第2可変オリフィスから第1チェック弁に順次流れ、第1油路を介して第1油室に流れる。このように圧縮方向への作動と伸長方向への作動とにおいて異なる可変オリフィスにオイルを流すことにより異なる減衰力を得る。また、可変オリフィスの開度をアクチュエータによって調節することにより必要とする減衰力を得る。従って、伸長方向と圧縮方向とにおいて異なる減衰力を得ることが可能で、その減衰力を広範囲で調節できるショックアブソーバが構成された。
本発明は、第1油路の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第1油路のオイルを前記第2チェック弁の方向に流す第1リリーフ弁を前記第1チェック弁と並列に備え、第2油路の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第2油路のオイルを前記第1チェック弁の方向に流す第2リリーフ弁を前記第2チェック弁と並列に備えても良い。この構成によると、強い衝撃が加わった場合のように第1油路の圧力が短時間のうちに高い値まで上昇した場合には第1リリーフ弁から第2油路にオイルを流すことが可能となる。これと同様に第2油路の圧力が短時間のうちに高い値まで上昇した場合にも第2リリーフ弁から第1油路に対してオイルを流すことが可能となる。これにより可変オリフィスや油路系を破損することがない。
本発明は、前記第1油路と前記第2油路とを結ぶ副連通油路を前記主連通油路と並列に備え、この副連通油路に対して前記第1チェック弁と前記第2チェック弁とを備えると共に、前記主連通油路のうち前記第1可変オリフィスと前記第2可変オリフィスとの中間位置と、前記副連通油路のうち前記第1チェック弁と前記第2チェック弁との中間位置とを連通するバイパス油路を形成し、このバイパス油路にアキュムレータを備えても良い。この構成によると、ピストンの作動時における第1油室と第2油室とに出入りするオイル量の差をアキュムレータに対するオイルの供給と排出で吸収できる。そして、伸長方向及び圧縮方向にショックアブソーバが作動する場合にはアキュムレータによる圧力がリリーフ弁の下流側に作用することから、圧力低下に伴うキャビテーションを招くことがない。
本発明は、前記第1可変オリフィスと、前記第2可変オリフィスと、前記第1チェック弁と前記第2チェックとをバルブケースに収容したバルブユニットを備えても良い。この構成によると、シリンダやピストンとは別個にバルブユニットを組み立てることができるので、例えば、ピストンの内部にユニットを備えるものと比較して組み立て時の作業が容易となり、しかも、第1油室と第2油室とからの油路をバルブユニットに接続する構造となるため、この油路を形成するにも制限が少なくなり油路抵抗を小さくできる。
本発明は、前記第1油室の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第1油室のオイルを前記第2油室に流す第1リリーフ弁と、前記第2油室の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第2油室のオイルを前記第1油室に流す第2リリーフ弁とを前記ピストンに備えても良い。この構成によると、ピストンにリリーフ弁を備えることにより、第1油室と第2油室との圧力差が短時間のうちに高い値まで上昇した場合にも、この第1油室と第2油室との間で直接的にオイルを流し圧力差を即座に低減できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、シリンダ1にスライド移動自在にピストン2を収容し、シリンダ1の外周を覆うようにシリンダ軸芯Xと同軸芯で筒状のアウタシェル3を備え、シリンダ1のボトム側にはボトムブロック4を備え、シリンダ1のトップ側にはピストンロッド2Aがスライド移動自在に挿通するトップキャップ5を備え、オイルの流れを制御するバルブユニットVをボトムブロック4の側面に連結してショックアブソーバが構成されている。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように、シリンダ1にスライド移動自在にピストン2を収容し、シリンダ1の外周を覆うようにシリンダ軸芯Xと同軸芯で筒状のアウタシェル3を備え、シリンダ1のボトム側にはボトムブロック4を備え、シリンダ1のトップ側にはピストンロッド2Aがスライド移動自在に挿通するトップキャップ5を備え、オイルの流れを制御するバルブユニットVをボトムブロック4の側面に連結してショックアブソーバが構成されている。
シリンダ1の内部には、ピストン2を基準にしてボトム側に第1油室S1が形成され、ピストンロッド側に第2油室S2が形成されている。ボトムブロック4にはシリンダ1のボトム側に内嵌するリングホルダ4Aが備えられ、トップキャップ5にはピストンロッド2Aに外嵌するシールを支持するシールホルダ5Aが備えられている。
第1油室S1、第2油室S2、シリンダ1の外面とアウタシェル3の内面との間のシェル油室S3とにはオイルが封入されている。そして、第1油室S1とバルブユニットVとの間においてオイルの給排を行うボトム側油路6がリングホルダ4Aとボトムブロック4とに亘って形成されている。
シリンダ1には、第2油室S2とシェル油室S3との間でオイルの流通を許すポート1Pが形成され、このシェル油室S3を介して第2油室S2とバルブユニットVとの間でオイルの給排を行うトップ側油路7がボトムブロック4に形成されている。
このショックアブソーバは乗用車等の車両(図示せず)の車輪の懸架部に備えられ、車輪の上下作動に減衰力を作用させて車両の振動を軽減するために使用される。特に、本発明のショックアブソーバは、圧縮方向への作動時と伸長方向への作動時とにバルブユニットVでオイルの流れを個別に制御することで圧縮時と伸長時とで異なる減衰力を作用させ、かつ、この減衰力の調節を広範囲で行えるように構成されている。
尚、バルブユニットVは、第1油室S1と第2油室S2との間の油路系を流れるオイルに抵抗を与えることにより前記ピストン2の作動に減衰力を作用させる減衰手段として機能する。
〔バルブユニット〕
バルブユニットVは、図2〜図4に示すように、バルブケース10に対してボトム側油路6を介して第1油室S1に連通する第1油路L1と、トップ側油路7とシェル油室S3とを介して第2油室S2に連通する第2油路L2とが形成されている。この第1油路L1と第2油路L2と結ぶ主連通油路Pが形成され、主連通油路Pのうち第1油路側に第1可変オリフィスOR1が備えられ、主連通油路Pのうち第2油路側に第2可変オリフィスOR2が直列に備えられている。
バルブユニットVは、図2〜図4に示すように、バルブケース10に対してボトム側油路6を介して第1油室S1に連通する第1油路L1と、トップ側油路7とシェル油室S3とを介して第2油室S2に連通する第2油路L2とが形成されている。この第1油路L1と第2油路L2と結ぶ主連通油路Pが形成され、主連通油路Pのうち第1油路側に第1可変オリフィスOR1が備えられ、主連通油路Pのうち第2油路側に第2可変オリフィスOR2が直列に備えられている。
更に、第1油路L1と前記第2油路L2とを結ぶ副連通油路Qが主連通油路Pと並列に備えられている。この副連通油路Qに対して第1油路L1の圧力上昇時に第1可変オリフィスOR1を流れたオイルを第2油路L2の方向に流す第2チェック弁CH2と、第2油路L2の圧力上昇時に前記第2可変オリフィスOR2を流れたオイルを第1油路L1の方向に流す第1チェック弁CH1とが直列に備えられている。
副連通油路Qには、第1チェック弁CH1と並列する位置に第1リリーフ弁RE1が備えられ、第2チェック弁CH2と並列する位置に第2リリーフ弁RE2が備えられている。
主連通油路Pのうち、第1可変オリフィスOR1と前記第2可変オリフィスOR2との中間位置から、副連通油路Qのうち前記第1チェック弁CH1と第2チェック弁CH2との中間位置に亘るバイパス油路Bが形成され、このバイパス油路Bに抽出油路8を介してアキュムレータAが備えられている。
このバルブユニットVでは、第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度を連係して調節するアクチュエータとしての電動モータMが備えられている。アキュムレータAはオイルを貯留する空間内に窒素ガス等の不活性ガスを封入した構造を有しており、貯留したオイルに対して常に圧力を作用させるものである。
具体的な構造として、バルブユニットVには第1油路L1と第2油路L2とが平行姿勢で形成されている。この第1油路L1と第2油路L2とに直交する姿勢で第1油路L1と第2油路L2とに接続する主連通油路Pが形成され、この主連通油路Pと平行する姿勢で第1油路L1と第2油路L2とに接続する副連通油路Qが形成されている。更に、主連通油路Pの中間位置と副連通油路Qの中間位置とを接続するバイパス油路Bが形成されている。
主連通油路Pはシリンダ状の内面を有した空間として形成され、この主連通油路Pの主軸芯PXと同軸芯上に固定チューブ11が備えられ、この固定チューブ11の内部に回転自在に筒状のロータリチューブ12が備えられている。ロータリチューブ12を一体回転する軸体12Aが電動モータMによって回転自在に連係している。
固定チューブ11のうち第1油路L1に面する部位、及び、第2油路L2に面する部位に貫通孔13が穿設され、ロータリチューブ12のうち貫通孔13と対応する部位に制御孔14が穿設されている。また、固定チューブ11のうちバイパス油路Bに面する部位に外連通孔15が穿設され、ロータリチューブ12のうち外連通孔15と対応する部位に内連通孔16が穿設されている。
貫通孔13と制御孔14との組み合わせのうち、第1油路L1に対応する位置に配置されたもので第1可変オリフィスOR1が構成され、第2油路L2に対応する位置に配置されたもので第2可変オリフィスOR2が構成されている。そして、ロータリチューブ12が主軸芯PX周りで所定角度だけ回転作動した際の第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2の開度(オイルの流れを許す面積)及びその変化割合は目標減衰特性によって任意に設定すれば良い。
つまり、第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との一方の開度が拡大した場合に他方の開度が縮小することや、第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度が同様に拡大することや縮小することを任意に設定して良い、更に、第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との一方の開度の変化に伴う他方の開度の変化の割合も目標減衰特性に従って任意に設定して良い。
また、ロータリチューブ12の回転に拘わらず外連通孔15と内連通孔16とにおいて、オイルに大きい抵抗を作用させずにオイルの流動を許す位置関係で複数の外連通孔15と複数の内連通孔16とが形成されている。
副連通油路Qはシリンダ状の内面を有した空間として形成され、この副連通油路Qと同軸芯上にシャフト21が備えられ、このシャフト21の内部に給排油路22が形成されている。副軸芯QXに沿う方向でシャフト21の中間位置には、このシャフト21の外面部位と給排油路22とを接続する複数の開口21Aが形成されている。尚、給排油路22は抽出油路8に接続しており、この給排油路22を介してアキュムレータAに対するオイルの給排が行われる。
また、副連通油路Qの内部には第1チェック弁CH1と、第1リリーフ弁RE1とを構成する弁モジュール、及び、第2チェック弁CH2と、第2リリーフ弁RE2とを構成する弁モジュールがシャフトに外嵌する状態で備えられている。
夫々の弁モジュールは対称となる位置関係で配置されるものの、等しい構造を有している。夫々の弁モジュールとも、シャフト21に外嵌する弁リング23を有すると共に、主軸芯PXに沿う方向から弁リング23を挟み込む1枚のワッシャ状のチェック弁プレート24と、複数のワッシャ状のリリーフ弁プレート25とが備えられている。尚、チェック弁プレート24とリリーフ弁プレート25とは樹脂板や鋼板のように柔軟に弾性変形し得る素材が用いられている。
また、夫々の弁モジュールの中間位置には、開口10Aを介してバイパス油路Bと給排油路22との間でのオイルの流れを許す開口26Aを有するブッシュ26を備えている。
弁リング23には、副軸芯QXと平行姿勢でチェック弁プレート24にオイルの圧力を作用させるチェック孔部23Cと、リリーフ弁プレート25にオイルの圧力を作用させるリリーフ孔部23Rとが形成されている。尚、チェック孔部23Cと、リリーフ孔部23Rとは弁リング23に対して1つずつ形成することによりチェック弁の機能とリリーフ弁との機能を現出するものであるが、この弁リング23には複数のチェック孔部23Cと、複数のリリーフ孔部23Rとが形成されている。
チェック孔部23Cのうちバイパス油路Bの側の端部にはリリーフ弁プレート25によるオイルの阻害を回避するための開放部が形成されている。これと同様にリリーフ孔部23Rのうちバイパス油路Bと反対側(第1油路側又は第2油路側)にはチェック弁プレート24によるオイルの阻害を回避するための開放部が形成されている。
〔減衰力の作用形態〕
図3に示すように、シリンダ1とピストンロッド2Aとが圧縮方向へ作動した場合には、第1油室S1の圧力が高まり、この圧力がボトム側油路6から第1油路L1に作用する。第1油路L1の圧力が高まるとオイルが第1可変オリフィスOR1の貫通孔13と制御孔14とで形成される開口を介してロータリチューブ12の内部空間に流れ込む。
図3に示すように、シリンダ1とピストンロッド2Aとが圧縮方向へ作動した場合には、第1油室S1の圧力が高まり、この圧力がボトム側油路6から第1油路L1に作用する。第1油路L1の圧力が高まるとオイルが第1可変オリフィスOR1の貫通孔13と制御孔14とで形成される開口を介してロータリチューブ12の内部空間に流れ込む。
このオイルは内連通孔16と外連通孔15で形成される開口を介してバイパス油路Bに流れ、更に、第2チェック弁CH2のチェック孔部23Cからチェック弁プレート24に圧力を作用させ、この弁プレート24を弾性変形させる。弾性変形によりチェック弁プレート24と弁リング23との間に間隙が形成され、この間隙を介してチェック孔部23Cのオイルが第2油路L2に流れ、トップ側油路7から第2油室S2に戻される。
また、第2油室S2にオイルが流れる際に、ピストンロッド2Aの容積に対応した量の余剰のオイルはバイパス油路Bから給排油路22、抽出油路8夫々を介してアキュムレータAに供給される。尚、このように第1油路L1の圧力が高まった状態では第1チェック弁CH1は閉じ状態を維持する。
この圧縮方向への作動時には第1可変オリフィスOR1においてオイルに抵抗が作用することにより減衰力を発生させ、シリンダ1とピストンロッド2Aとの急激な作動が抑制される。そして、第1可変オリフィスOR1の開度を小さくするほど大きい減衰力を作用させることも可能となる。
また、シリンダ1とピストンロッド2Aとの間に圧縮方向へ過大な力が作用した場合には、第1油路L1のオイルの圧力が設定値を超えて高い値まで上昇するため、第1油路L1のオイルの圧力が第1リリーフ弁RE1のリリーフ弁プレート25に作用し、リリーフ弁プレート25弾性変形させる。この弾性変形によりリリーフ弁プレート25と弁リング23との間に間隙が形成され、この間隙を介してオイルがリリーフ孔部23Rからバイパス油路Bの方向に流れる。
更に、このバイパス油路Bに流れたオイルは、前述と同様に第2チェック弁CH2のチェック孔部23Cからチェック弁プレート24に圧力を作用させ、チェック弁プレート24の弾性変形により形成された間隙から第2油路L2に流れ、トップ側油路7から第2油室S2に戻される。このように圧縮方向に強い衝撃が加わった場合でも油路系に過大な力が作用する不都合を解消して油路系の破損を回避できるのである。
これとは逆に、図4に示すように、シリンダ1とピストンロッド2Aとが伸長方向へ作動した場合には、第2油室S2の圧力が高まり、この圧力がシェル油室S3、トップ側油路7を介して第2油路L2に作用する。第2油路L2の圧力が高まるとオイルが第2可変オリフィスOR2の貫通孔13と制御孔14とで形成される開口を介してロータリチューブ12の内部空間に流れ込む。
このオイルは内連通孔16と外連通孔15で形成される開口を介してバイパス油路Bに流れ、更に、第1チェック弁CH1のチェック孔部23Cからチェック弁プレート24に圧力を作用させ、このチェック弁プレート24を弾性変形させる。弾性変形によりチェック弁プレート24と弁リング23との間に間隙が形成され、この間隙を介してチェック孔部23Cのオイルが第1油路L1に流れ、ボトム側油路6から第1油室S1に戻される。
また、第1油室S1にオイルが流れる際に、ピストンロッド2Aの容積に対応した量のオイルが不足するものであるが、この不足分のオイルがアキュムレータAから第1油路L1にオイルが供給されるため、圧力低下に伴うキャビテーションを招くこともない。尚、このように第2油路L2の圧力が高まった状態では第2チェック弁CH2は閉じ状態を維持する。
この伸長方向への作動時には第2可変オリフィスOR2においてオイルに抵抗が作用することにより減衰力を発生させ、シリンダ1とピストンロッド2Aとの急激な作動が抑制される。そして、第2可変オリフィスOR2の開度を小さくするほど大きい減衰力を作用させることも可能となる。
また、シリンダ1とピストンロッド2Aとの間に伸長方向へ過大な力が作用した場合には、第2油路L2のオイルの圧力が設定値を超えて高い値まで上昇するため、第2油路L2のオイルの圧力が第2リリーフ弁RE2のリリーフ弁プレート25に作用し、リリーフ弁プレート25弾性変形させる。この弾性変形によりリリーフ弁プレート25と弁リング23との間に間隙が形成され、この間隙を介してオイルがリリーフ孔部23Rからバイパス油路Bの方向に流れる。
更に、このバイパス油路Bに流れたオイルは、前述と同様に第1チェック弁CH1のチェック孔部23Cからチェック弁プレート24に圧力を作用させ、チェック弁プレート24の弾性変形により形成された間隙から第1油路L1に流れ、ボトム側油路6から第1油室S1に戻される。このように伸長方向に強い衝撃が加わった場合でも油路系に過大な力が作用する不都合を解消して油路系の破損を回避できる。
〔実施形態の効果〕
このように、本発明によると、電動モータMの駆動力により第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度を調節可能に構成しているので、収縮方向への減衰力と、伸長方向への減衰力とを異なる値に設定することが可能になる。
このように、本発明によると、電動モータMの駆動力により第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度を調節可能に構成しているので、収縮方向への減衰力と、伸長方向への減衰力とを異なる値に設定することが可能になる。
特に、車両の走行速度や路面の状況に応じて電動モータMを駆動して第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度を調節することにより路面から車体に伝達する衝撃を適正に減衰できるものとなる。
更に、チェック弁とリリーフ弁とを構成するに、弁リング23をチェック弁プレート24とリリーフ弁プレート25とで挟み込む構成を採用することにより、ボールやポペットとバネとの組み合わせたものと比較して単純な構成でありながら2種の機能を作り出せるものとなる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施形態と同じ機能を有するものには、前記実施形態と共通の番号、符号を付している)。
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施形態では前記実施形態と同じ機能を有するものには、前記実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図5に示すように、ピストン2に対して第1リリーフ弁RE1と第2リリーフ弁RE2とを備える。つまり、前述した弁モジュールのリリーフ弁と同様にピストン2にシリンダ軸芯Xと平行する姿勢となる複数のリリーフ孔部23Rを形成し、このリリーフ孔部23Rの下側と閉塞する複数のリリーフ弁プレート25と、このリリーフ孔部23Rの上側を閉塞する複数のリリーフ弁プレート25とを備えている。
この構成を採用することにより、バルブユニットVの副連通油路Qに2つのリリーフ弁を備えずに済み、このバルブユニットVの構造を簡素化できる。しかも、シリンダ1とピストンロッド2Aとの間に強い衝撃が加わった場合にも第1油室S1と第2油室S2との間で迅速にオイルを流して圧力差を即座に低減できるものとなる。
(b)第1可変オリフィスOR1と第2可変オリフィスOR2との開度を独立して変更するために2つのアクチュエータを備える。このように独立して調節することによりシリンダ1とピストンロッド2Aとの圧縮方向と伸長方向とで異なる減衰力を作用させることも可能となる。
(c)シェル油室S3を用いずに、シリンダ1の上端に形成したポートに対して管路で成るトップ側油路7を直接接続する。これにより、アウタシェル3が不要となる。
1 シリンダ
2 ピストン
2A ピストンロッド
10 バルブケース
A アキュムレータ
B バイパス油路
CH1 第1チェック弁
CH2 第2チェック弁
L1 第1油路
L2 第2油路
M アクチュエータ(電動モータ)
OR1 第1可変オリフィス
OR2 第2可変オリフィス
P 主連通油路
Q 副連通油路
RE1 第1リリーフ弁
RE2 第2リリーフ弁
S1 第1油室
S2 第2油室
V 減衰手段(バルブユニット)
2 ピストン
2A ピストンロッド
10 バルブケース
A アキュムレータ
B バイパス油路
CH1 第1チェック弁
CH2 第2チェック弁
L1 第1油路
L2 第2油路
M アクチュエータ(電動モータ)
OR1 第1可変オリフィス
OR2 第2可変オリフィス
P 主連通油路
Q 副連通油路
RE1 第1リリーフ弁
RE2 第2リリーフ弁
S1 第1油室
S2 第2油室
V 減衰手段(バルブユニット)
Claims (5)
- シリンダにスライド移動自在にピストンを収容し、ボトム側の第1油室とピストンロッド側の第2油室との間の油路系を流れるオイルに抵抗を与えることにより前記ピストンの作動に減衰力を作用させる減衰手段を備えており、
前記減衰手段が、前記第1油室に連通する第1油路と前記第2油室に連通する第2油路とを結ぶ主連通油路を備え、この主連通油路のうち第1油路側に第1可変オリフィスを備え、この主連通油路のうち第2油路側に第2可変オリフィスを直列に備え、前記第1可変オリフィスと前記第2可変オリフィスとの開度を調節するアクチュエータを備えると共に、
前記第1油路の圧力上昇時に第1可変オリフィスを流れたオイルを前記第2油路の方向に流す第2チェック弁と、前記第2油路の圧力上昇時に前記第2可変オリフィスを流れたオイルを前記第1油路の方向に流す第1チェック弁とを備えているショックアブソーバ。 - 第1油路の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第1油路のオイルを前記第2チェック弁の方向に流す第1リリーフ弁を前記第1チェック弁と並列に備え、第2油路の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第2油路のオイルを前記第1チェック弁の方向に流す第2リリーフ弁を前記第2チェック弁と並列に備えている請求項1記載のショックアブソーバ。
- 前記第1油路と前記第2油路とを結ぶ副連通油路を前記主連通油路と並列に備え、この副連通油路に対して前記第1チェック弁と前記第2チェック弁とを備えると共に、
前記主連通油路のうち前記第1可変オリフィスと前記第2可変オリフィスとの中間位置と、前記副連通油路のうち前記第1チェック弁と前記第2チェック弁との中間位置とを連通するバイパス油路を形成し、このバイパス油路にアキュムレータを備えている請求項2記載のショックアブソーバ。 - 前記第1可変オリフィスと、前記第2可変オリフィスと、前記第1チェック弁と前記第2チェックとをバルブケースに収容したバルブユニットを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のショックアブソーバ。
- 前記第1油室の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第1油室のオイルを前記第2油室に流す第1リリーフ弁と、前記第2油室の圧力が設定値を超えて上昇した際に、第2油室のオイルを前記第1油室に流す第2リリーフ弁とを前記ピストンに備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のショックアブソーバ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008273307A JP2010101422A (ja) | 2008-10-23 | 2008-10-23 | ショックアブソーバ |
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---|---|---|---|
JP2008273307A JP2010101422A (ja) | 2008-10-23 | 2008-10-23 | ショックアブソーバ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2010101422A true JP2010101422A (ja) | 2010-05-06 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008273307A Pending JP2010101422A (ja) | 2008-10-23 | 2008-10-23 | ショックアブソーバ |
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---|---|
JP (1) | JP2010101422A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011027255A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-02-10 | Showa Corp | 油圧緩衝器 |
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WO2014184836A1 (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-20 | トヨタ自動車株式会社 | 液圧式ショックアブソーバ |
JP2017180801A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | 株式会社ショーワ | 緩衝器 |
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-
2008
- 2008-10-23 JP JP2008273307A patent/JP2010101422A/ja active Pending
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