以下,図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。しかしながら,以下説明する形態はある例であって,当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
図1は,本発明のコグニティブ無線通信システムの概略を説明するためのブロック図である。コグニティブエンジン(CE)1とは,コグニティブ無線通信端末(たとえば携帯端末)やコグニティブ無線基地局に搭載され,コグニティブ無線通信を行うための装置である。図1に示されるように,コグニティブエンジン1は,センシングコントローラー(SC)3を有する。このSC3は,センサー5a,5b,5c,5d(スペクトラムセンサー5)に各種指令を出し,センサーの動作を制御するための機能ブロックである。なお,スペクトラムセンサー5は,コグニティブ無線通信端末(たとえば携帯電話)に搭載されている。図1中,符号2a,2b,2c,2dは,後述するセンシング情報プロセッサ(SIP)である。
図2は,センシングコントローラー(SC)3の機能ブロック図である。図2に示されるように,センシングコントローラー3は,入力部7と,センサー制御部9と,出力部11とを有する。
入力部7は,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dから,センシング情報を含む送信情報を受取る機能ブロックである。この送信情報は,1又は複数のセンサーのうちのあるセンサーが観測したセンシング情報,及びセンサー自身に関する情報のいずれか又は両方を含んでいる。センシング情報は,信号に関する数値(瞬間的なエネルギー値とその統計値)を示すソフト情報か,又はハード情報(バイナリー情報)を含んでいる。センサー制御部9は,1又は複数のセンサーへ送る制御指令を求める機能ブロックである。出力部11は,1又は複数のセンサーへ制御指令を出力する機能ブロックである。
センサー制御部9は,センサー決定ブロック13と,経路決定ブロック15と,制御指令ブロック17とを含む。センサー決定ブロック13は,入力部7から入力された送信情報のセンシング情報を分析して(又は他のブロックが分析した分析結果を用いて),センシングを行うセンサーを決定する機能ブロックである。経路決定ブロック15は,センシングを行うことが決定されたセンサーからセンシングコントローラー3へセンシング情報が伝達される経路を決定する機能ブロックである。制御指令ブロック17は,決定したセンサー及び経路に関する情報に基づいて,1又は複数のセンサーへ送る制御指令を求める機能ブロックである。この制御指令には,センシングを行うセンサーに関する情報や,センシング情報が伝達される経路に関する情報が含まれる。なお,この制御指令は,センシングを行わないセンサーに関する情報をさらに含むものであってもよい。
上記の構成を採用するため,本発明のコグニティブエンジン1は,以下のように動作する。すなわち,入力部7が,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dから,センシング情報を含む送信情報を受取る。次に,センサー制御部9が,送信情報に含まれるセンシング情報を用いて,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dへ送る制御指令を求める。そして,出力部11が,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dへ制御指令を出力する。その後,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dにおけるそれぞれのセンサーは,制御指令に従って,センシングを行うか又はセンシングを行わない。また,それぞれのセンサーは,制御指令における経路に従って,センシング情報を入力部7へと伝達する。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センサー制御部9が,さらに,品質評価ブロック19を有するものである。品質評価ブロック19には,センシング情報が入力部7を介して入力される。そして,品質評価ブロック19は,センシング情報の品質を評価する。具体的には,品質評価ブロック19は,スペクトラムセンサー5側(ユーザーチャンネル)に,ノイズ,干渉,シャドーイング,及びフェージングなどの悪い要因が発生しているかどうかを判断することで,センシング情報の品質の評価を行う。そして,このコグニティブエンジン1のセンサー決定ブロック13は,センシング情報の品質に関する情報を用いて,センシングを行うセンサーを決定する。よって,このコグニティブエンジン1は,センシング品質の悪い情報をフィルタリングによって除いて,センシング品質の良い情報を集約できる。つまり,コグニティブエンジン1は,複数のセンサーの中から,センシングに優れたセンサーを特定することができる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センサー自身に関する情報が,当該センサーの電力消費量に関する情報を含むものである。電力消費量に関する情報は,電源のバッテリー残量を数値化したものであってもよい。これによって,センサーの電力消費量に関する情報がコグニティブエンジン1に入力されるため,コグニティブエンジン1は,たとえば,電力消費量が少なくなるようにセンサーを選択することができる。また,電力消費量が少なくなるようにセンシング情報を伝達する経路を求めることができる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様では,センシング情報が伝達される経路が,あるセンサーから他のセンサーを経て,前記入力部7へセンシング情報が伝達される経路を含むものである。ところで,従来のコグニティブエンジンを含む無線通信システムでは,単に,各センサーがコグニティブエンジンに直接センシング情報を伝達していた。しかし,コグニティブエンジンを搭載した端末から遠くにあるセンサーは,近くにあるセンサーにセンシング情報を伝達させる方ができれば,電力消費を抑えることが可能となる。そこで,本発明では,センシング情報が伝達される経路が,あるセンサーから他のセンサーを経て,入力部7へセンシング情報が伝達される経路を含むようにし,そして,その経路を選択することで,センサー間のセンシング情報の伝達を可能にしている。これにより,電力消費を抑えることができる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センシングコントローラー3が,さらに,優先順位ブロック21を有するものである。優先順位ブロック21は,センシングコントローラー3を有するコグニティブエンジン1の優先順位に関する情報を得るための機能ブロックである。この態様のコグニティブエンジン1では,出力部11が優先順位に関する情報を出力する。この出力を受けたセンサーは,優先順位に関する情報に従って,アクセスするコグニティブエンジン1を決めることになる。これにより,1又は複数のセンサー5a,5b,5c,5dにおけるそれぞれのセンサーは,コグニティブ無線通信領域内に複数のコグニティブエンジンが含まれている場合,優先順位に関する情報に従って,複数のコグニティブエンジンのうち,あるコグニティブエンジンの入力部7へ最初にセンシング情報を伝達する。具体例を挙げると,優先順位に関する情報をフラグで示すこととし,フラグがON(つまり優先順位が最高)であれば,センサーからコグニティブエンジン1へのアクセスが許容され,フラグがOFF(つまり優先順位が最低)であれば,センサーからコグニティブエンジンへのアクセスが禁止される。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センサー制御部9が,さらに,センサー判断ブロック25を有する。センサー判断ブロック25は,センシング情報(又は送信情報内に含まれる他の情報)から,当該センシング情報を送信したセンサーがコグニティブエンジン1からの指令に基づいて動作するセンサーであるかどうかを判断する機能ブロックである。あるセンサーが,コグニティブエンジン1からの指令に基づいて動作するセンサーではないと判断された場合,そのセンサーは,従来のコグニティブ無線通信用のセンサーであるとコグニティブエンジン1によって識別される。これにより,従来のコグニティブ無線通信用のセンサーと本発明のコグニティブ無線通信用のセンサーとを区別することができる。この態様のコグニティブエンジン1は,センサー判断ブロック25における判断結果を用いて,センシング情報が伝達される経路を決定する。すなわち,従来のセンサー(レガシーセンサー)は,一方的にセンシング情報をコグニティブエンジンへ送信するだけであった。本発明のセンサーは,他のセンサーにもセンシング情報を転送できるように構成されている(後述)。また,ゲートウェイとして機能するセンサーに,複数のセンサーからのセンシング情報を集約し,ゲートウェイからコグニティブエンジン1へと集約したセンシング情報を伝達するように構成することもできる。よって,この態様のコグニティブエンジン1によれば,本発明の制御指令に従って動作できるセンサーを把握して,把握したセンサーによる最適な経路を決定できる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センサー制御部9がセンサー電力調整ブロック27を有する。センサー電力調整ブロック27は,入力部7から入力されたセンシング情報を分析して(又は他のブロックが分析した分析結果を用いて),センサーの電力を調整する指令を求める機能ブロックである。そして,センサーの電力を調整する指令は,センシングを行わないセンサーの電力を小さくする指令,及びセンシングを行うセンサーの電力を大きくする指令,のいずれか又は両方を含む。なお,センシングを行わないセンサーの電力を切り,センシングを行うセンサーの電力を入れ続けるような指令であってもよい。これにより,電力消費量を軽減できる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センシングコントローラー3が,第1の情報フィルタリングブロック29aを有するものである。第1の情報フィルタリングブロック29aは,品質評価ブロック19が評価したセンシング情報の品質に関する情報を用いて,センシング情報を選択するための機能ブロックである。この態様のコグニティブエンジンは,複数のセンシング情報を受取った場合,センシング情報の品質が良くないものを除くことで,センシング特性を向上させることができる。
本発明のコグニティブエンジン1の好ましい態様は,センシングコントローラー3が,さらに,第2の情報フィルタリングブロック29bするものである。なお,この態様のコグニティブエンジン1は,先に説明した第1の情報フィルタリングブロック29aをも有するものであってもよい。そして,第2の情報フィルタリングブロック29bは,センサー判断ブロック25における判断結果を用いて,センシング情報を選択するための機能ブロックである。たとえば,センサー判断ブロック25が,あるセンサーが異常に電力を消費すると判断した場合,そのセンサーを使用しないように判断する。そして,第2の情報フィルタリングブロック29bは,たとえば,その電力を消費するセンサーの電源をOFFにする指令を出力する。これにより,コグニティブ無線通信システム全体の消費電力量を軽減できる。
なお,上記したコグニティブエンジン(CE)1の好ましい態様はそれぞれ任意に組み合わせて用いることができる。この場合,先に説明したそれぞれの技術的効果を奏するコグニティブエンジン1を得ることができる。また,上記CE1は,端末や基地局に搭載されるとしたが,これに代えて,CE1の一部を端末本体とは別体となるようにしてもよい。すなわち,CE1の一部を遠隔操作可能に構成してもよい。
上述したように,コグニティブエンジン(CE)1は,センシングを行うスペクトラムセンサー5を選択することができるようになっており,また,センシング情報を選ぶことができるようになっている。このため,キャリアセンス性能を高めることができる。そのため,CE1を含むコグニティブ無線通信システムでは,スペクトラムの利用効率を高めることができる。また,CE1がスペクトラムセンサー5を選択できるので,CE1は,スペクトラムセンサー5との間で,コグニティブ無線通信を確実に確立することができる。なお,CE1がスペクトラムセンサー5を制御できる限りにおいては,スペクトラムセンサー5は,従来のセンサー(レガシーセンサー)であってもよいが,この場合には,センシング情報プロセッサ(SIP)2を有することが好ましい。
また,上記CE1は,スペクトラムセンサー5の電力消費量を把握でき,スペクトラムセンサー5の電力を調整する指令を出すことができるようになっている。このため,スペクトラムセンサー5の電力消費量を軽減できる。さらに,CE1は,たとえば,スペクトラムセンサー5間でセンシング情報を伝達するようにセンシング情報の経路を制御できる。このため,このCE1を用いたコグニティブ無線通信システムでは,全てのスペクトラムセンサーがCE1に直接センシング情報を伝送しなくても良い。よって,センシング情報の伝送路長を軽減でき,このためコグニティブ無線通信システムの電力消費量を軽減できる。
次に,図3を用いて本発明のスペクトラムセンサー5を説明する。本発明のスペクトラムセンサー(Smart Spectrum Sensor:S3)は,コグニティブ無線通信に用いられる従来のセンサー(レガシーセンサー)を有する。このため,スペクトラムセンサー5は,従来のセンサーの全ての機能を有している。すなわち,スペクトラムセンサー5は,レガシーセンサーと同様,たとえば,プライマリーユーザーの存在など,特殊なラジオアクセス技術に基づいて通信条件を決定できる。さらに,スペクトラムセンサー5は,レガシーセンサーと同様,周囲のラジオ環境の変化を検出してその情報を提供できる。
図3に示されるように,本発明のスペクトラムセンサー5は,センシング情報プロセッサ(SIP)2と,記憶ユニット31と,センシングユニット32と,コミュニケーションユニット33と,電源ユニット34とを有する。センシング情報プロセッサ(SIP)2は,共通のデータ構造となるように情報を加工する処理を行う情報処理部であり,また,必要に応じて,外部からの要求に応じた動作を行う場合もある。
センシングユニット32は,コグニティブ無線通信に用いられるセンシング情報を検出するユニットである。このセンシングユニット32として,コグニティブ無線通信に用いられる公知のスペクトラムセンサーに用いられているセンシングユニットを用いることができる。また,このセンシングユニット32は,検出したセンシング情報をSIP2に入力する。
記憶ユニット31は,センシング情報を記録するとともに,コグニティブ無線通信に用いられる情報を記憶するユニットである。コグニティブ無線通信に用いられる情報には,制御プログラム,フォーマット形式,端末のアドレスなどの情報が含まれていても良い。そして,記憶ユニット31は,最新のセンシング情報などを他のクライアント(コグニティブエンジン1が搭載された端末やSIP2が搭載された端末)に送信するために用いられる。また,記憶ユニット31は,SIP2がスペクトラムやCE1への送信情報をモニタリングするためにも用いられる。このため,記憶ユニット31は,従来のセンサーよりも記憶容量が多い方が好ましい。これにより,たとえば,スペクトラムの長期間にわたる利用に適したスペクトラムセンサー5を提供できる。
コミュニケーションユニット33は,スペクトラムセンサー5に送信された情報(コグニティブエンジン1からの制御情報や他のスペクトラムセンサー5からの送信情報)を受取るとともに,センシング情報プロセッサ(SIP)2から出力された各種情報を送信するためのユニットである。
電源ユニット34は,電源を含み,当該電源からの電力をスペクトラムセンサー5の各ユニットに供給するユニットである。電源ユニット34は,センシング情報プロセッサ(SIP)2からの指令に応じて動作するように構成されている。
センシング情報プロセッサ(SIP)2は,第1のセンシング情報変換部36と,第2のセンシング情報変換部37と,送信先決定部38とを少なくとも含む。そして,本発明のスペクトラムセンサー5は,このSIP2を含むことによって,センシングコントローラー(SC)3からの指令に基づいてさまざまな動作(制御)を行うことができるように構成されている。たとえば,SIP2は,ある周波数帯についてのみセンシングを行うよう指令を受けた場合,その指令に従ってセンシング領域を限定することもできる。なお,センシングコントローラー(SC)3などの制御装置からの制御情報を判別する方法は,公知の方法を用いることができる。
第1のセンシング情報変換部36は,センシングユニット32が検出したセンシング情報を,コグニティブエンジン(CE)1のセンシングコントローラー(SC)3へ送信するために,センシング情報を第1のフォーマットを用いて第1のセンシング情報に変換するための機能ブロックである。すなわち,第1のセンシング情報変換部36は,SC3からセンシング情報をSC3へ送信するような指令を受けた場合,センシング情報をSC3へ送信するためにあるフォーマット(符号化方式や特定のアドレスを付加する形式)に従って,センシング情報を変換する。なお,他のスペクトラムセンサーから受信したセンシング情報と,記憶ユニット31に記憶した最新のセンシング情報とを合わせる処理を行い,合わせたセンシング情報を変換し,変換して得られるセンシング情報を,第1のセンシング情報としてSC3へ送信しても良い。なお,第1のセンシング情報変換部36は,センシング情報を単に変換するだけでなく,必要な処理(たとえば,演算などのデータ処理やデータの追加)を施してもよい。これにより,送信すべきデータ量の削減を図ることができる。また,センサー間の通信路の通信品質が,センサーとCEとの間の通信路の通信品質よりも良い場合,センサー間で情報の送受信を行うことで,センシング品質の向上などを実現することができる。
第2のセンシング情報変換部37は,センシングユニット32が検出したセンシング情報を他のスペクトラムセンサーに送信するために,センシング情報を第2のフォーマットを用いて第2のセンシング情報に変換するための機能ブロックである。すなわち,本発明のスペクトラムセンサー5は,近接する他のスペクトラムセンサーを介して,センシング情報をSC3へ伝達することができる。この伝達経路は,たとえば,SC3からの指令に従って決められる。なお,第2のセンシング情報変換部37は,センシング情報を単に変換するだけでなく,必要な処理(たとえば,データ処理やデータの追加)を施してもよい。
送信先決定部38は,センシングコントローラー(SC)3からの制御指令に従って,センシングユニット32が検出したセンシング情報を,第1のセンシング情報又は第2のセンシング情報のいずれに変換するかを決定する機能ブロックである。具体的には,送信先決定部38は,SC3からの情報を復号化するデコーダ39を含み,デコーダ39が復号化した情報に含まれる制御指令を解析する。そして,送信先決定部38は,その制御指令に含まれるセンシング情報の送信先に従って,第1のセンシング情報変換部36及び第2のセンシング情報変換部37を制御する。これにより,第1のセンシング情報変換部36及び第2のセンシング情報変換部37のいずれかがセンシング情報の変換を行う。このようにして,SC3からの制御指令に従って,センシング情報を流通させることができる。なお,送信先決定部38は,SC3の制御指令に従って動作するとしたが,これに代えて,送信先決定部38は,センサー5の優先順位に従って,上記動作を行ってもよい。この場合,センサー5自身の優先順位に関する情報は,記憶ユニット31に格納されている。
本発明の好ましい態様は,センシング情報プロセッサ(SIP)2が変換する情報に,さらにセンサー自身に関する情報が含まれるものである。すなわち,この態様のスペクトラムセンサー5は,スペクトラムセンサー5の電力消費量や位置などに関する情報をSC3に提供することができる。このような情報を得たSC3は,適切なスペクトラムセンサー5を選択し,またセンシング情報の経路を適切に決めることができることとなる。さらに,あるセンシング情報を得る際に,複数のスペクトラムセンサーに適切に分配できることとなる。
センシング情報プロセッサ(SIP)2は,センシングユニット32が検出したセンシング情報を当該センシングユニット32から受取る。本発明のスペクトラムセンサー5は,先に説明したとおり,SIP2を有するため,センシング情報を近隣のペクトラムセンサー5から受取ることができる。そして,SIP2により集約したセンシング情報をセンシングコントローラーSC3へ出力することができる。
センシング情報プロセッサ(SIP)2は,SC3から指令を受取り,その指令に従った動作を行うことができる。また,SIP2は,クライアント(端末)の優先順位を解析する優先順位解析部を有していることが好ましい。この場合,記憶ユニット31には,クライアント(端末)の優先順位に関する情報がデータベースとして格納されている。これにより,SIP2は,クライアントの優先順位を解析できる。そして,このSIP2は,解析した優先順位に従って,どのクライアントにセンシング情報を提供するかを決めることができる。これにより,たとえば,コグニティブ無線通信領域内に存在する複数の端末において,優先順位の低い端末から,優先順位の高い端末へと情報を順次提供することができる。
また,センシング情報プロセッサ(SIP)2は,スペクトラムセンサー5をレガシーセンサーとして機能させるか又はセンシング情報プロセッサ(SIP)2を有するセンサーとして機能させるかを切替えるスイッチ手段を有することが好ましい。これにより,たとえば,スペクトラムセンサー5をレガシーセンサーとして機能させることで,センシング情報プロセッサ(SIP)2で実現可能な機能の一部を停止させることができる。このように,センシング情報プロセッサ(SIP)2がスイッチ手段を有することで,スペクトラムセンサー5は,SC3から受取った指示に応じた動作を確実に行うことができるようになる。
スペクトラムセンサー5は,コグニティブ無線通信端末などの端末や他のセンサーと情報を交換できるように構成されている。情報交換に関する動作は,コグニティブエンジン(CE)1のセンシングコントローラー(SC)3によって制御される。SC3によって制御される動作は,ある地理的エリアに含まれる複数のセンサー間で分散されてもよい。つまり,SC3は,ある動作を複数の動作に割当て,それら複数のセンサーにそれぞれの動作をするように指示をしてもよい。そして,たとえば,それぞれのセンサーにより検出されたセンシング情報をあるセンサーが集約して,SC3へ伝えるようにしても良い。このようにして,行わなければならないセンシング作業を複数のセンサーに分散させることができる。
スペクトラムセンサー5と端末とが交換する情報には,シグナリングコントロール情報が含まれる。シグナリングコントロール情報は,センサー5のセンシングアクティビティーを制御するための情報である。スペクトラムセンサー5と端末とが交換する情報には,さらにセンシング情報が含まれる。さらに,たとえばセンサー5のコミュニケーション能力が十分でない場合など,あるセンサー5から直接センシング情報を集めることができない場合は,近くにあるセンサーがそのセンサー5に協力(補助)することで,センシング情報を集めることができる。具体的には,コミュニケーション能力が十分にあるセンサーは,コミュニケーション能力が十分でないセンサー5から情報を集め,集めた情報と,センサー自身の情報とを合わせて,SC3に送信する。
また,スペクトラムセンサー5は,SC3から制御されていない間,自身の判断で動作を行うように構成されていることが好ましい。この場合,たとえば,記憶ユニット31には,さらに,センサー5自身の優先順位に関する情報が格納されており,SIP2は,他のセンサーのSIPとの間で,優先順位に関する情報の交換を行うことで,他のセンサーとの優先順位の違いを把握するように構成される。これにより,スペクトラムセンサー5は,優先順位が異なる他のセンサーとの間で,優先順位に応じた動作を行うことが可能となる。たとえば,複数のセンサーが同時にある1つのコグニティブエンジン(CE)1へアクセスしようとした場合,優先順位の高いセンサーが先にCE1へアクセスし,優先順位の低いセンサーは,優先順位の高いセンサーがCE1へのアクセス中に,アクセスを中断するか又は他のセンサーと情報の交換を行う。また,たとえば,コグニティブエンジン1を搭載した端末とSIP2を搭載した端末とが同時に,1つのセンサー5にセンシング情報を含む送信情報の送信を要求した場合,センサー5は,自身の優先順位に応じて一方の端末(クライアント)へ先にセンシング情報を送信する。具体的には,センサー5の優先順位が相対的に低く設定されている場合,SIP2を搭載した端末へ先にセンシング情報を送信し,その後,必要に応じて,コグニティブエンジン1を搭載した端末へセンシング情報を送信し,逆に,自身の優先順位が高い場合には,先にコグニティブエンジン1を搭載した端末へセンシング情報を送信する。このように,スペクトラムセンサー5が自身の判断で動作する場合にも,SIP2の送信先決定部38が用いられる。すなわち,送信先決定部38は,優先順位に従って動作するように構成されている。
上述したように,スペクトラムセンサー5は,センシング情報プロセッサ(SIP)2を有するので,コグニティブエンジン1が搭載された端末や,他のスペクトラムセンサーとの間で,無線ネットワークを容易に構築することができる。これにより,センシング情報などを効率的に共有できる。
続いて,ネットワークについて詳細に説明する。まず,コグニティブコグニティブエンジン(CE)1が搭載された端末と,センシング情報プロセッサ(SIP)2が搭載されたスペクトラムセンサー5との間で構築される無線ネットワークについて説明する。図4〜図6は,端末とスペクトラムセンサー5との接続状況の例を説明するための図である。
図4は,ひとつの端末に複数のスペクトラムセンサー5a,5b,5c,5dからセンシング情報が直接入力されるモードを示す図である。図4に示されるモードは,いわゆるマルチプルセンシングモードである。具体的には,コグニティブエンジン1は,複数のセンサー5a,5b,5c,5dからセンシング情報を受取り,集約する。そして,コグニティブエンジン1は,受取ったセンシング情報を解析して,利用できるスペクトラム(周波数帯や時間帯)を分析する。このマルチプルセンシングモードは,従来と同様ではあるが,各センサーがSIP2を備えているため,コグニティブエンジン1に適したフォーマットで送信情報が送信される。このため,コグニティブエンジン1は,迅速にセンシング情報を集約することができ,その結果,センシング情報の変化が少ない期間に,各センサーに制御指令を送信することができる。また,コグニティブエンジン1は,センシング情報だけでなく,各センサーのさまざまな情報を集約して,比較することができる。
図5は,センシングコントローラー(SC)3が,利用するスペクトラムセンサー5を選択した場合のモードの一例を示す図である。図5に示されるモードは,コグニティブエンジン1が,選択したスペクトラムセンサーからセンシング情報を受取るモードであって,あるセンサーを使用しない場合を含むモードである。
図5に示すモードを実現するために,事前に,センシングコントローラー(SC)3は,複数のセンサー5a,5b,5c,5dから接続開始要求を受取り,接続開始要求に含まれる情報(センシング情報など)に基づいて,たとえば,各センサーのセンシング状況及び電力消費量を評価している。そして,その評価結果に応じて,センシングコントローラー(SC)3は,たとえば,センサー5bを使用しない旨を決定するとともに,センシング情報を伝達する経路として,図5の矢印に示される経路でセンシング情報を提供するように決定する。
その場合,そのような決定をしたSC3は,各センサー5a,5b,5c,5dのSIP2a,2b,2c,2dに対し,センシングの要否,及びセンシング情報の経路に関する情報を含む制御指令を送信する。
すると,図5に示すように,その制御指令を受けたSIP2a,2b,2c,2dのうち,SIP2a,2c,2dはセンシングを行い,一方で,SIP2bはセンシングをやめる。また,センシング情報は,制御指令に含まれる経路に関する情報に従って,SIP2d,2c,2aの順で,つまり,SIP2d,2c,2aという経路で,SC3まで伝達される。つまり,センシングコントローラー(SC)3は,SIP2dのところで集約されたセンシング情報を受取る。
上述したように制御することで,図5に示した例では,それぞれのセンサー5c,5dが個別にSC3へセンシング情報を直接提供しないようにしている。つまり,センシングコントローラー(SC)3は,各センサーに制御指令を送信することで,センシング情報が,所定の時間順で,所定の経路に沿ってSC3まで伝達されるように制御することができる。その結果,このSC3を含むコグニティブ無線通信システムでは,複数のセンサーによるセンシング作業を分担でき,しかも,全てのセンサーが個別にSC3に直接センシング情報を提供(伝送)しなくて良い。このため,センシング情報の伝送路長を軽減でき,結果として,電力消費量も軽減できる。また,図5に示すように,センシング情報を伝達する経路を1種類に定めることにより,経路の下流側のセンサーは,上流側のセンサーが集約したセンシング情報を受取ることとなる。これにより,SC3は,複数のセンサーからの多数のセンシング情報を一度に受信することがなくなり,その結果,通信障害などが起こりにくくなる。
図6は,センシングコントローラー(SC)3が,利用するスペクトラムセンサー5を選択した場合のモードの他の例を示す図である。図6に示されるモードは,コグニティブエンジン1が,選択したスペクトラムセンサーからセンシング情報を受取るモードであって,さらに,あるセンサーからもセンシング情報を受取る場合を含むモードである。
図6では,従来のセンサーであるレガシーセンサー4aもコグニティブ無線通信領域(エリア)内に配置されている。レガシーセンサー4aは,上述したSIP2のようなプロセッサを有さないので,SC3からの指令に従って動作することができず,ひたすらセンシング情報をSC3へと送信する。図6において,矢印6は,レガシーセンサー4aからセンシング情報がSC3へ出力されることを示している。
また,図6に示す例では,センサー5cがゲートウェイとして機能する。すなわち,センサー5d及び5bは,センシング情報をセンサー5cへ出力する(矢印8a,8b)。これらのセンサー5d及び5bは,センシング情報をSC3へ直接送信できないセンサーであってもよい。これにより,ゲートウェイとして機能するセンサー5cのSIPSIP2cには,センシング情報が集約することになる。さらに,このセンサー5cは,センサー5d及び5bから入手したセンシング情報を自らのセンシング情報と合わせて,SC3へと出力する(矢印8c)。このようにして,センシングコントローラー(SC)3は,センサー5cから,局所的に集約されたセンシング情報と,ゲートウェイ自身のセンシング情報とを受取る。また,このセンサー5cは,必要に応じて,センシングコントローラー(SC)3からの制御指令をセンサー5d及び5bへ転送する。
このように,本発明のコグニティブ無線通信システムでは,スペクトラムセンサー5同士がセンシング情報のやり取りを行うことができる。そして,このように,センシング情報をやり取りすることで,スペクトラムセンサー5間の協働的なセンシングが活性化される。特に,コグニティブ無線通信システムにおいてゲートウェイとなるスペクトラムセンサー5を設ける(設定する)ことによって,互いに近くにあるスペクトラムセンサー5同士でセンシング情報のやり取りを行うことができる。これにより,遠くにある基地局へのアップリンクに起因する情報の伝送量の増大を軽減できるとともに,各スペクトラムセンサー5の電力消費量を軽減できる。さらには,ゲートウェイとなるスペクトラムセンサー5が,センシング情報を集約したり,制御情報を転送したりする。つまり,ゲートウェイとなるスペクトラムセンサー5は,センシングコントローラー(SC)3の一部の機能を担っている。これにより,センシングコントローラー(SC)3と直接情報のやり取りをできないセンサーをも無線ネットワークに組み入れることができる。なお,ゲートウェイとなるスペクトラムセンサー5は,センシング情報を集約する機能だけを担ってもよいし,制御情報を転送する機能だけを担ってもよい。
また,本発明のコグニティブ無線通信システムでは,上述したように,スペクトラムセンサー5とセンシングコントローラー(SC)3との間で協働させることが可能である。そして,スペクトラムセンサー5やセンシングコントローラー(SC)3に,各スペクトラムセンサー5を制御する各手段を上述したように設けることで,各スペクトラムセンサー5のタスクやセンシングの時間の制御が容易となる。これにより,コグニティブ無線通信システムにおけるセンシングの効率を高めることができる。
ここで,図5に示した場合と図6に示した場合とで,センシング情報の集約の違いは,図6に示すセンサー5c(ゲートウェイ)が他のセンサーからのセンシング情報を個別に集約するのに対して,図5に示したセンサー5aは,他のセンサーが集約した情報を受取ることにある。前者は,センシング情報を集約するのに時間がかからないという点で有効であり,後者は,あるセンサーがSC3から遠い場合(又は遠ざかるような移動をする場合)であってもコグニティブ無線通信が可能となる点で有効である。
上述したように,本発明のコグニティブ無線通信システムでは,スペクトラムセンサー5に,センシング情報プロセッサ(SIP)2を設け,コグニティブエンジン1にセンシングコントローラー(SC)3を設けることで,それらが搭載された端末間で無線ネットワークを構築している。つまり,端末間には,インターフェイス4が存在していると云える(図1参照)。このようなインターフェイスには,3種類が考えられる。すなわち,SC3とSIP2との間で通信を行うためのインターフェイス(SC−Sインターフェイス)と,SC3同士間で通信を行うためのインターフェイス(S−Sインターフェイス)と,SIP2同士間で通信を行うためのインターフェイス(SC−SCインターフェイス)とがある。
そこで,このようなインターフェイスを端末に設けるインターフェイス装置として説明する。したがって,本発明のインターフェイス装置は,上述した構成要素と同等の機能又は一部の機能を有することとなる。なお,以下の説明は,上述した3種類のインターフェイスのうち,主に,SC−Sインターフェイス用のインターフェイス装置についてのものであるが,S−Sインターフェイス用のインターフェイス装置についても適用可能であるし,SC−SCインターフェイス用のインターフェイス装置についても適用可能である。
本発明のインターフェイス装置は,上記のように,スペクトラムセンサー5同士がセンシング情報のやり取りを行い,かつセンシングコントローラー(SC)3とスペクトラムセンサー5とが情報のやり取りを行うために用いられる。また,このインターフェイス装置は,コグニティブエンジン(CE)1が複数配置されている場合,それらのセンシングコントローラー(SC)3間で情報のやり取りを行うためにも用いることも可能である。
本発明では,コグニティブエンジン(CE)1のSC3とスペクトラムセンサー5のセンシング情報プロセッサ(SIP)2との間で共通のインターフェイス(SC−Sインターフェイス)が確立されている。そのために,SC3とセンシング情報プロセッサ(SIP)2とは,それぞれ,以下のインターフェイス装置を有している。すなわち,各インターフェイス装置は,スペクトラムセンサー5の一部又はコグニティブエンジン(CE)1の一部を構成するものである。そして,このインターフェイス装置は,ハードウェアにより実装されても良いし,ソフトウェアにより実装されても良いし,それらの組み合わせで実現されてもよい。
具体的には,本発明のCE1及びスペクトラムセンサー5は,それぞれ,インターフェイス装置の構成要素として,入力部,出力部,制御部(SC3,SIP2),演算部,及び記憶部を有しており,各構成要素は,バスなどで情報の授受を行うことができるようにされている。なお,上記構成要素に対応する機能がソフトウェアにより実装される場合は,その機能をハードウェアにより実現するための制御プログラムが記憶部のメインメモリに格納されている。そして,入力部から所定の情報が入力された場合,制御部は,上記メインメモリから制御プログラムを読み出して,適宜記憶部から情報を読み出し,演算部に対して各種演算を行うように指令を出す。このようにして,所定の演算処理を行うことができる。なお,インターフェイス装置の各部は,CE1が有する機能ブロック,又はスペクトラムセンサー5が有する機能ブロックに対応するものであってもよいし,それら機能ブロックとは別のものであってもよい。
インターフェイス装置は,接続様式付加手段41を有する。接続様式付加手段41は,スペクトラムセンサー5の接続様式(コネクションタイプ又はセンシングモード)に関する情報を,当該インターフェイス装置から出力される情報に含ませる(載せる)ための手段である。ここで,スペクトラムセンサー5の接続様式には,ポイントトゥーポイント,ピアトゥーピア,及びポイントゥーマルチポイントなどがある。ポイントトゥーポイントは,あるセンシングコントローラー3が,あるひとつのスペクトラムセンサー5からセンシング情報を受取る接続形式である(たとえば,図5参照)。また,ポイントゥーマルチポイントは,あるセンシングコントローラー3は,複数のスペクトラムセンサー5からセンシング情報を受取る接続形式である(たとえば,図4参照)。そして,ピアトゥーピアは,スペクトラムセンサー5間でセンシング情報を送信又は受信する接続形式である(たとえば,後述する図8参照)。なお,図6に示した例では,コグニティブエンジン1とゲートウェイとして機能するスペクトラムセンサー5cとの間の接続形式がポイントトゥーポイントである。また,ポイントトゥーポイントには,図6におけるコグニティブエンジン1とレガシーセンサー4aとの間の接続形式も含まれるとしてもよい。
ここで,インターフェイス装置から出力される情報としては,センシングコントローラー(SC)3から,スペクトラムセンサー5のセンシング情報プロセッサ(SIP)2へ送信する制御指令や,SIP2からSC3へ送信される,センシング情報を含む送信情報などが考えられる。しかし,SIP2は,基本的には,SC3からの制御指令に応じて動作をするので,接続様式付加手段41は,SC3側のインターフェイス装置に設けられることが好ましい。この場合,接続様式に関する情報は,制御情報に含まれることになる。
本発明のインターフェイス装置は,上記の構成を採用するので,接続様式付加手段41が,センシングコントローラー(SC)3から送信される情報に,スペクトラムセンサー5の接続様式(通信方式)に関する情報を送信情報に含ませる。次に,スペクトラムセンサー5のセンシング情報プロセッサ(SIP)2が,スペクトラムセンサー5の接続様式に関する情報が付加された送信情報を読み出す。そして,スペクトラムセンサー5は,読み出したスペクトラムセンサーの接続様式に関する情報を解読する。その後,スペクトラムセンサー5は,センシングコントローラー3が決定した相手にセンシング情報を送信する。
以下,さらに,インターフェイス装置に含まれると好ましい機能ブロックについて説明する。ただし,機能ブロックによっては,センシングコントローラー(SC)3側のインターフェイス装置に設けられることが好ましい場合と,スペクトラムセンサー5側のインターフェイス装置に設けられることが好ましい場合とがあり,また,場合によっては,双方に設けた方が好ましい場合もある。各場合については,適宜判断される。図7は,本発明のインターフェイス装置の構成を例示する図であり,図7(a)は,センシングコントローラー(SC)3側のインターフェイス装置の構成の一例を示す図であり,図7(b)は,スペクトラムセンサー5側のインターフェイス装置の構成の一例を示す図である。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,リンク状態付加手段42をさらに含む。リンク状態付加手段42は,出力される情報に,リンク状態についての情報を付加するための手段である。リンク状態についての情報は,(a)センシングコントローラー(SC)3とスペクトラムセンサー5とが,はじめて接続されるモード(初期化)にあるという旨の情報,(b)センシングコントローラー3がスペクトラムセンサー5に制御情報を送信するモードにあるという旨の情報,または,(c)センシングコントローラー3とスペクトラムセンサー5とが,センシング情報を交換するモードにあるという旨の情報を含む。これにより,このインターフェイス装置を含むコグニティブ無線通信システムは,リンク状態を把握して適切な制御を行うことができる。リンク状態付加手段42は,SC3が複数のセンサーを管理する場合には,SC3側のインターフェイス装置に設けられることが好ましい。しかし,ピアトゥーピア(センサートゥーセンサー)を可能にするためには,スペクトラムセンサー5側のインターフェイス装置にもリンク状態付加手段42を設けることが好ましい。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,リンクの質付加手段43をさらに含む。リンクの質付加手段43は,出力される情報に,リンクの質についての情報を付加するための手段である。リンクの質とは,たとえば,あるセンシングコントローラー3とあるスペクトラムセンサー5とのリンクの質である。ここで,リンクの質についての情報は,通常,SC3側のインターフェイス装置にリンク状態付加手段42が設けられている場合であって,SC3とスペクトラムセンサー5との接続が開始される際にSC3によって評価されるものであるため,リンクの質についての情報は,SC3とスペクトラムセンサー5との接続開始後に得られる。このために,リンクの質についての情報には,未評価であることについての情報をも含んでも良い。このリンクの質についての情報を用いることで,このインターフェイス装置を含む端末は,そのリンクが妥当かどうかを判断できる。また,センシングコントローラー3は,複数のスペクトラムセンサー5とのリンクの質に関する情報を集約した場合,集約した情報を用いて適切なスペクトラムセンサー5を選択できる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,インターフェイス識別情報付加手段44をさらに含む。インターフェイス識別情報付加手段44は,出力される情報に,インターフェイスの識別情報を付加するための手段である。すなわち,インターフェイスにもいくつかの種類がある場合がある。よって,インターフェイス識別情報付加手段44を有する端末は,どの方式のインターフェイスであるかを判断できる。なお,このインターフェイス識別情報については,全ての種類のインターフェイスにおいて共通のものとすることが好ましい。これにより,インターフェイスが扱うことができる形式にデータを変換する必要をなくすことができる。又は,インターフェイス識別情報付加手段44を含む端末が,コグニティブ無線通信領域内において,アクティブなインターフェイスに対して固有のIDを設定してもよい。これにより,全てのインターフェイスを個別に管理することができる。さらには,全てのインターフェイス装置がインターフェイス識別情報付加手段44を有していてもよい。この場合,インターフェイス装置から出力されるルーティングプロトコルパケットに含まれるソースIDをインターフェイスの識別情報として用いることができる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,スペクトラムセンサー識別情報付加手段45をさらに含む。スペクトラムセンサー識別情報付加手段45は,出力される情報に,スペクトラムセンサー5の識別情報を付加するための手段である。したがって,スペクトラムセンサー5側のインターフェイス装置にスペクトラムセンサー識別情報付加手段45を設けることが好ましい(図7(b)参照)。この態様のインターフェイス装置では,たとえば,全てのスペクトラムセンサーの各々に固有の識別情報(センサーID)がある。このスペクトラムセンサー5の識別情報が付加されるため,SC3(センサー判断部25)が搭載された端末では,スペクトルセンサー5の個性や特性を把握できる。スペクトラムセンサー5の識別情報は,無線ネットワーク上で重要なセンサー(たとえば,ゲートウェイとして機能するセンサー)を特定するための情報であってもよい。このような情報は,上記ルーティングプロトコルパケットに付加情報として容易に付加することができる。これにより,接続形式に応じてどのように機能するセンサーであるのかを容易に特定することができる。なお,スペクトラムセンサー識別情報付加手段45をSC3側のインターフェイス装置に設けてもよい(図7(a)参照)。この場合,SC3は,複数のスペクトラムセンサーの識別情報を集約した後で,あるスペクトラムセンサーを介して他のスペクトラムセンサーに制御指令を送る際に,当該他のスペクトラムセンサーを特定する情報を付加することができることになる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,電力状況付加手段46をさらに含む。電力状況付加手段46は,出力される情報に,電力状況に関する情報を付加するための電力状況付加手段をさらに含む。たとえば,スペクトラムセンサー識別情報付加手段45及び電力状況付加手段46の双方が設けられている場合,スペクトラムセンサー5の識別情報(センサーID)とともにその電力状況(消費量や残量)に関する情報を把握できるので,この情報を受取ったセンシングコントローラー(SC)3は,使用するセンサー5を適切に選択できる。なお,スペクトラムセンサー識別情報付加手段45が設けられていないインターフェイス装置に,電力状況付加手段46を設けてもよい。この場合,電力状況付加手段46は,電力状況に関する情報として,電力の残量に関する情報のみを付加するように構成してもよい。これにより,この情報を受取ったセンシングコントローラー(SC)3は,電力の残量が少ないセンサー5を使用しないように選択できる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,スペクトラムセンサーエリアコード付加手段47をさらに含む。スペクトラムセンサーエリアコード付加手段47は,出力される情報に,スペクトラムセンサー5のエリアコードを付加するための手段である。ここで,スペクトラムセンサーエリアコードは,コグニティブ無線通信領域内の位置を特定するための情報(たとえば,基地局からの距離と方角を示す情報)であってもよいし,コグニティブ無線通信領域とは無関係の地理的な情報(たとえば,GPSによって定まる位置情報)であってもよい。このようにエリアコードを付加できるので,適切にエリアを把握することができ,そのエリアに即したコグニティブ無線通信を達成できる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,スペクトラムセンサーの質付加手段48をさらに含む。スペクトラムセンサーの質付加手段48は,出力される情報に,スペクトラムセンサー5の質に関する情報を付加するための手段である。スペクトラムセンサー5の質に関する情報は,たとえば,良い,悪い,又は未評価というように表される。そして,この情報を受取ったセンシングコントローラー(SC)3は,スペクトラムセンサー5の質に応じて,使用するセンサー5を適切に選択できることとなる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,コスト付加手段49をさらに含む。コスト付加手段49は,出力される情報に,あるインターフェイスを介して情報を送信した場合のコストに関する情報を付加するための手段である。コストに関する情報は,たとえば,スペクトラムセンサー5がセンシングコントローラー(SC)3に送信したときのコストの総額を示すものであってもよいし,他のセンシングコントローラー(SC)3に送信したときと比較したときにおけるコストがかかる順序を示すものであってもよい。さらに,このコストに関する情報には,スペクトラムセンサー5が,あるセンシングコントローラー3へセンシング情報を提供した場合の消費電力に関する情報や,使用する周波数帯に関する情報が含まれていても良い。なお,コストに関する情報は,コグニティブエンジン1とスペクトラムセンサー5との間の距離によって変えることが好ましい。そして,この情報を受取ったコグニティブエンジン1は,スペクトラムセンサー5から受取ったコストに関する情報に従って,使用するセンサー5を適切に選択することとなる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,センシング情報付加手段50をさらに含む。センシング情報付加手段50は,出力される情報に,センシング情報を付加するための手段である。したがって,このセンシング情報付加手段50は,少なくとも,スペクトラムセンサー5側のインターフェイス装置に設ける必要がある。なお,上記した各種情報は,あるフレームのペイロードに含まれるようにしてもよい。そして,上記のいずれか又は2つ以上の情報を含むようなペイロード形式を設計し,そのフォーマットにしたがって,情報の授受を行うことが好ましい。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,エンジン優先順位情報付加手段51をさらに含む。エンジン優先順位情報付加手段51は,出力される情報に,コグニティブエンジン1の優先順位に関する情報を付加するための手段である。この優先順位に関する情報は,コグニティブ無線通信領域内に配置されている複数のコグニティブエンジンのうち,スペクトラムセンサー5がどのコグニティブエンジンと優先的に通信を行うのかを示す情報であり,たとえば,数字で表される。なお,各コグニティブエンジン1は,送信先であるスペクトラムセンサー5に関する情報や,状況(リンクの状況,電力状況,コスト,距離など)によって優先順位を変えてもよい。ここで,優先順位は,複数のコグニティブエンジン1が,事前に,SC−SCインターフェイスを介して互いに通信を行うことで決められることが好ましい。そして,この情報を受取ったスペクトラムセンサー5は,優先順位に関する情報に従って,複数のコグニティブエンジン1の中から最初にインターフェイスを確立するコグニティブエンジンを決めることとなる。
本発明のインターフェイス装置の好ましい態様は,センサー優先順位情報付加手段52をさらに含む。センサー優先順位情報付加手段52は,出力される情報に,スペクトラムセンサー5の優先順位に関する情報を付加するための手段である。この優先順位に関する情報は,コグニティブ無線通信領域内に配置されている複数のスペクトラムセンサーのうち,どのスペクトラムセンサーが他のクライアント(SC3又は他のセンサー)と優先的に通信を行うのかを示す情報であり,たとえば,数字で表される。なお,各スペクトラムセンサー5は,送信先であるクライアントに関する情報や,状況(リンクの状況,電力状況,コスト,距離など)によって優先順位を変えてもよい。ここで,優先順位は,複数のスペクトラムセンサー5が,事前に,S−Sインターフェイスを介して互いに通信を行うことで決められることが好ましい。そして,この情報を受取ったクライアントは,優先順位に関する情報に従って,複数のスペクトラムセンサーの中から最初にインターフェイスを確立するスペクトラムセンサー5を決めることとなる。
なお,SC3側に設けられるインターフェイス装置と,スペクトラムセンサー5側に設けられるインターフェイス装置とは,同じものであってもよいし,異なるものであってもよい。各インターフェイス装置には,必要に応じた機能ブロックが設けられる。ところで,スペクトラムセンサー5側に設けられるインターフェイス装置が,SC3側に設けられるインターフェイス装置と同じ場合,スペクトラムセンサー5のSIP2は,SC3と同等の機能を有することとなる。このようなスペクトラムセンサー5は,ゲートウェイとして機能させるセンサーとして最適である。
次に,本発明のコグニティブ無線通信システムの評価について説明する。図8〜図11は,接続形式の概念を示す図である。なお,図8〜図11においては,1又は2つの端末(たとえば携帯端末)と,最大でも2つのスペクトラムセンサー5のみを描画している。しかしながら,これらに示される概念は多数の端末及びスペクトラムセンサー5を用いる場合にまで応用することができる。
図8は,ピアトゥーピアセンシングの例を示す図である。図9は,協調センシングの例を示す図である。図10は,協働センシングの例を示す図である。図11は,ゲートウェイアシスト型センシングの例を示す図である。
図8に示されるピアトゥーピアセンシングでは,センシング情報を,2つの端末の間で,つまりピアトゥーピア(P2P)で伝達する。この例では,それぞれの端末が,コグニティブエンジン1とスペクトラムセンサー5とを含んでおり,互いのインターフェイスは共通するものである。ここで,各端末が有するスペクトラムセンサー5は,他の端末がピアトゥーピアセンシングを行うことが可能なものであるかどうかを判断できるように構成されている。このようにピアトゥーピアで通信を行う場合,2つの端末は,互いに近接していることが好ましい。これにより,他の基地局などを介することなく,確実に2つの端末の間で通信が行われる。また,そのため,電力消費を抑制することができる。
図9に示される協調センシングでは,たとえば2つのセンサー5a,5bがセンシング情報を協調してコグニティブ無線に転送する。協調センシングでは,端末がコモンインターフェイスを通じてすべてのセンサーから独立的にセンシング情報を取得し,それらを集約して信頼性のあるセンシング情報を生成する。このため,センサーの構成を簡略化することができる。
図10に示される協働センシングでは,2つ(またはそれ以上)のセンサー5a,5bが協調して,携帯端末のコグニティブエンジン(CE)1にセンシング情報を提供する。状況に応じて,CE1は,たとえばセンサー5aに対して,センサー5aがそのセンサー5自体のセンシング情報を提供するように命令するだけでなく,その周りのセンサー5bと交流して情報(データ)を交換するよう命令する。これらの命令を受けたセンサー5aは,周りのセンサー5bと情報交換によって少なくとも当該センサー5bのセンシング情報を取得する。そして,そのセンサー5aは,自身に関する情報(センシング情報を含む)と周囲のセンサー5bのセンシング情報とを一緒にしてCE1に送信する。このようにすることで,携帯端末は,複数のセンサー5からの情報を効率的に集約することができる。
図11に示されるゲートウェイアシスト型センシングでは,端末は,2つ(またはそれ以上)のセンサー5a,5bのうち,センサー5bをゲートウェイとして機能させるように選択する。これにより,センサー5bは,センサー5aからセンシング情報を受取った後に,受取ったセンシング情報を自身のセンシング情報とともに,端末へ送信する。このようにすることで,端末とセンサー5aとが情報のやり取りをできない場合であっても,端末は,センサー5bを介して,情報のやり取りを行うことができるようになる。
次に,数値解析を用いて各センシングスキームの性能(パフォーマンス)を評価した。具体的には,図9に示したような協調センシング時の性能を評価するとともに,図10に示したような協調センシング時の性能を評価し,さらに,ゲートウェイアシスト型センシング時の性能を評価した。これらの評価結果を,グラフとして,図10〜図12に示す。
なお,性能の評価については,以下のように行った。
まず,図9や図10に示したような,センサー5aおよびセンサー5bの2つのセンサーは,レイリーセンシングチャンネルにある任意のプライマリ信号を独立的に観察すると想定した。この場合,得られたプライマリ信号は,四位相偏移変調(QPSK:quadrature Phase−shift keying)で変調されることとなる。一方で,各センサーでは,互いに独立でかつ同一の分布となる加算性ホワイトガウスノイズが発生している。そして,このノイズは,変調後のプライマリ信号に追加され,その結果,センシングチャンネルで重畳されることとなる。
続いて,2つのチャンネルパスは,無相関であると仮定した。この場合,センシング情報をコグニティブ無線通信端末に送信するセンサーに関しては,2つのチャンネル条件が考えられる。これは,センサーとコグニティブ無線通信端末との間には,センシングチャンネルとして,第1のチャンネルと第2のチャンネルが配置されているからである。
ここで,上記第1のチャンネルは,ユーザーチャンネル(パーフェクトユーザーチャンネル)であり,ベースライン性能を発揮するために利用可能なチャンネルである。上記第2のチャンネルは,独立型のレイリーフェージングチャンネルである。なお,ゲートウェイを使ったセンシングの場合(たとえば図6,図11参照)及び協調センシングの場合(たとえば図9参照)では,あるセンサーから他のセンサーへのチャンネルもレイリーフェージングチャンネルになる。
そして,オンオフ変調(OOK:on−off keying)の信号を用いて,センサーによる局所的な検出値を示すバイナリー情報を伝達した。続いて,MAP基準を採用することで,これらのバイナリー情報を,コグニティブ無線通信端末で又は周辺のセンサーから抽出した。このようにMAP基準を採用すれば,エラーの確率を最小に抑えることが可能となる。
センサーを用いて,センシング期間ごとに,受信された信号から1000件のサンプルを得ることで,検定統計量を得た。なお,この数は,検定統計量のガウスモデルを概算するには妥当である。そして,モンテカルロシミュレーションを事例ごとに10,000回行うことで,シナリオごとに,センサーの性能を示す曲線(カーブ)を得た。得られた曲線は,図12〜図14に示したとおりである。図12〜図14において,縦軸に示す誤検出の確率に関して,検出要求として妥当な値は,0.1である。
図12の評価結果について説明する。図12は,誤検出の確率とセンシングチャンネルのSNR(信号対ノイズ比)との関係を示す第1のグラフである。図10においては,センシングチャンネルのSNRとして,協調センシング時のパーフェクトユーザーチャンネル条件下に関するSNRと,協調センシング時のレイリーユーザーチャンネル条件下に関するSNRとが主にプロットされている。そして,図12において,四角形のマーカーで示したものは,シングルセンサーに関するものであり,このシングルセンサーは,全てに対して比較対象となるパワー性能を有しており,本実施例では,参考例に相当する。
一方,図12において,逆三角形のマーカーで示したものは,ハード合成を行ったときの協調センシングを示している。ハード合成とは,端末及びセンサー間でハードウェア構成を調整することにより,情報交換を行うことができるようにしたものである。この協調センシングでは,上記参考例(パーフェクトユーザーチャンネル)に比べて,誤検出の確率が0.1のとき,約3dBの性能向上を示すことが分かった。また,この協調センシングでは,パワースプリットが原因で,低いSNRにおいて上記参考例よりも性能(パフォーマンス)が落ちることが分かった。ただし,この性能の下落は,マルチセンサーを使うすべてのスキームにおいて起こる現象である。
また,図12において,円形のマーカーで示したものは,SC3を用いた等利得合成(EGC:イコールゲインコンバイニング)を伴う協調センシングのスキームであり,また,ダイアモンド形のマーカーで示したものは,最大比合成(MRC:マキシマムレイトコンバイニング)を伴う協調センシングのスキームである。これらは,それぞれ,上記参考例(パーフェクトユーザーチャンネル)に比べて,誤検出の確率が0.1のとき,約4dB及び5dBの性能向上を示すことが分かった。したがって,協調センシングの場合,EGCやMRCを伴った方がハード合成よりも性能向上を示すことが分かった。
図13の評価結果について説明する。図13は,誤検出の確率とセンシングチャンネルのSNR(信号対ノイズ比)との関係を示す第2のグラフであり,図12とは別の例が示されている。図13においては,センシングチャンネルのSNRとして,協調センシング時のレイリーユーザーチャンネル条件下に関するSNRと,協働センシング時のレイリーユーザーチャンネル条件下に関するSNRとが主にプロットされており,重要な部分が拡大表示されている。
図13を用いることで,レイリーフェージングユーザーチャンネルのセンシングチャンネルのSNRについて,協調センシングの場合と,協調センシングとを比較できる。なお,図13において,正方形のマーカーと実線とで示した最初のカーブは,レイリーフェージングユーザーチャンネルを伴ったシングルセンサーのシナリオに関するものであり,本実施例では,参考例に相当する。
図13において,三角形のマーカーで示したものは,HCを行ったときの協調センシングであり,この協調センシングでは,誤検出の確率が0.1のとき,パーフェクトユーザーチャンネルを伴う協調センシング(逆三角形のマーカー)と比較して,1dBだけ劣化するにとどまり,ユーザーチャンネル障害に強いことが伺えた。ダイアモンド形のマーカーで示したプロットは,協働センシングを利用したものを示しており,この場合,誤検出の確率が0.1のとき,協調センシングと比較して1dBの向上を実現できた。図13に関して,協働センシングは,高いSNR以外(5dB未満)では,パーフェクトユーザーチャンネルを伴った協調センシングと互角の性能を実現していることが判明した。
図14は,誤検出の確率と,センシングチャンネルのSNRとの関係を示す第3のグラフであり,図12及び図13とは別の例が示されている。図14において,四角形のマーカーで示したものは,レイリーユーザーチャンネルを伴ったシングルセンサーのシナリオに関するものであり,本実施例では,参考例に相当する。
図14において,円形のマーカーで示したものは,ゲートウェイアシスト型センシング時のセンシングチャンネルのSNRをプロットしたもの,つまりセンシング性能を示している。このスキームは,協調センシングの場合のようにセンサーからセンサーへ(センサートゥーセンサー)のレイリーフェージングチャンネルを想定したものである。この場合,レイリーユーザーチャンネルを伴ったシングルセンサー(四角形のマーカーで示したもの)と比較して,誤検出の確率が0.1のとき,約5dBの性能向上が認められた。これにより,マルチプルセンシング時に正常なユーザーチャンネルが1つのみ存在する場合,ゲートウェイアシスト型センシングを利用すれば,性能向上を図ることができることが分かった。