JP2010097808A - 低粘度分散液、これを用いた銅ナノ粒子配線及び複合材料 - Google Patents

低粘度分散液、これを用いた銅ナノ粒子配線及び複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 銅ナノ粒子の耐酸化、耐融着、分散に必須であった分散剤をほとんど用いずに低粘度分散液、これを用いた銅ナノ粒子配線及び複合材料を提供する。
【解決手段】 銅ナノ粒子を含み、分散媒として、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である有機溶剤を用いた低粘度分散液又は銅ナノ粒子に対し、分散剤を用いずに調整された低粘度分散液、絶縁樹脂層の表面に前記低粘度分散液を印刷してなる銅ナノ粒子配線及び前記銅ナノ粒子配線を形成した前記絶縁樹脂層が、基板上に形成されてなる複合材料。
【選択図】 図1

Description

本発明は、印刷法により銅配線を形成し得る低粘度分散液、これを用いた銅ナノ粒子配線及び複合材料に関する。
低エネルギー、低コスト、高スループット、オンデマンド生産等の優位点から印刷法による配線パターンの形成が有望視されている。この目的には、金属元素を含むインク・ペーストを用い印刷法によりパターン形成した後、印刷された配線パターンに金属伝導性を付与することにより実現される。
近年、金属ナノ粒子を用いた配線パターン形成方法が検討されており、金あるいは銀ナノ粒子を用いる方法は確立されている。具体的には、金あるいは銀ナノ粒子を含む分散液を利用して極めて微細な回路パターンを描画し、その後、金属ナノ粒子相互の焼結を施すことにより、得られる焼結型配線層において、配線幅及び配線間スペースが5〜50nm、体積抵抗率が1×10−7Ω・m以下の配線形成が可能となっている。
しかしながら、金や銀といった貴金属ナノ粒子を用いる際には、材料自体が高価であるため、かかる超微細配線印刷用分散液の作製単価も高くなり、汎用品として幅広く普及する上での大きな経済的障害となっている。以上のことから、微細配線形成用の金属ナノ粒子分散液としては,エレクトロマイグレーションが少なく、金や銀と比較して材料自体の単価も安価な銅の利用が期待されている。
例えば、低真空ガス雰囲気中で、かつ溶剤の蒸気の共存する気相中で金属を蒸発させ分散液を得るガス中金属蒸発法によって作製した粒径100nm以下の銅微粒子を分散した分散液を用いて金属薄膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このようなガス中金属蒸発法により得られる金属超微粒子は凝集しており、溶剤中に分散を試みても安定な状態にはなり難い。従って、このような金属超微粒子分散液をインクジェット用インクとして使用しても、金属超微粒子の凝集体がインクジェットノズルを目詰まりさせてしまうという問題があった。
このように、金属表面は高い活性化エネルギーを有しているため、金属表面を有する金属ナノ粒子を含む分散液の調整に際し、分散剤なしで分散させるのは困難である。特に、銅のナノ粒子の場合、粒子の酸化を防ぐためにも表面処理が有効であり、そのことからも様々な保護・分散剤が用いられている(例えば、特許文献2、3参照)。
ところが、導体化に際して、この保護剤を取り除くために多大なエネルギーを要し、200℃以上への加熱やエネルギー線による加熱との併用が必要であった(例えば、特許文献4、5参照)。
銅配線パターンの形成において、導体化は、銅ナノ粒子を含む層が基板上に形成された状態で加熱することにより行われるため、高熱に耐えるべく耐熱性の高い基板が要求される。このことから、使用可能な基板が限られるという問題がある。従って、このような分散剤を使用せずに良好な分散性を得られることが望まれる。
特許第2561537号公報 特許第3953237号公報 特開2004−315853号公報 特開2004−119686号公報 特開2007−083288号公報
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、銅ナノ粒子の耐酸化、耐融着、分散に必須であった表面処理剤をほとんど用いずに低粘度分散液、これを用いた銅ナノ粒子配線及び複合材料を提供することを目的とする。
本発明者らは上述の如き欠点を詳細に検討した結果、銅ナノ粒子の耐酸化、耐融着、分散に必須であった表面処理剤が焼結温度の高温化、クラックによる断線や高抵抗化の原因のひとつであり、表面処理剤を使用しない方法を用いる必要があるとの結論に達した。この方法を鋭意検討した結果、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である分散媒を用いて、銅ナノ粒子を分散剤なしで分散できることを見出した。
さらにこの分散液を用いれば、インクジェット法に代表される印刷法による配線描画が可能であり、成膜後のパターニング加工なしに所望の配線が形成できることを見出した。
本発明は、銅ナノ粒子を含み、分散媒として、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である有機溶剤を用いた低粘度分散液に関する。
また、本発明は、前記銅ナノ粒子の1次粒子の平均粒径が、1〜300nmである上記の低粘度分散液に関する。
また、本発明は、前記銅ナノ粒子が、銅、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅、コア部が銅であり、シェル部が酸化銅であるコア/シェル構造を有する粒子のうち1種を単独で又は2種以上混合したものである上記の低粘度分散液に関する。
また、本発明は、銅ナノ粒子に対し、分散剤を用いずに調整された低粘度分散液に関する。
また、本発明は、前記分散媒に対する前記銅ナノ粒子の質量分率が1〜60%であり、かつ25℃における粘度が、0.1〜50mPa・sである上記の低粘度分散液に関する。
また、本発明は、絶縁樹脂層の表面に上記の低粘度分散液を印刷してなる銅ナノ粒子配線に関する。
また、本発明は、上記の絶縁樹脂層の硬化率が、10〜95%のときの表面に上記の低粘度分散液を印刷してなる銅ナノ粒子配線に関する。
さらに、本発明は、上記に記載の銅ナノ粒子配線を形成した前記絶縁樹脂層が、基板上に形成されてなる複合材料に関する。
本発明によれば、インクジェット印刷法に代表される印刷法により銅ナノ粒子配線を形成可能な低粘度分散液を得ることができる。
また、銅ナノ粒子配線との密着性が良好な絶縁樹脂層が基板に形成されてなる複合材料を提供することができる。
まず、本発明の銅ナノ粒子について説明する。
銅ナノ粒子は、銅、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅、コア部が銅でありシェル部が酸化銅であるコア/シェル構造を有する粒子のいずれも使用可能であり、少量の不純物として金属塩及び金属錯体を含んでもよい。
酸化第一銅及びコア/シェル構造を有する粒子は、容易に還元が可能であるので特に好ましい。これらの銅ナノ粒子は、市販品を用いてもよく、公知の合成方法を用いて合成することも可能である。これらの銅ナノ粒子は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
一般的に金属は比重が大きく、粒径が大きいと、自重で沈降しやすく分散状態が安定的に保ち難いという観点から、銅ナノ粒子の1次粒径は、平均粒径が1〜300nmであることが好ましく、分散剤を用いずに分散媒に分散させる場合の分散性の観点から、10〜200nmであることがより好ましく、良好な分散性の継続のために、30〜100nmであることがさらに好ましい。
1次粒径の平均粒径は、レーザー回折散乱法によって25℃で測定した散乱光の強度から求められる粒径に対する体積分率の粒度分布から算術平均粒径を算出する方法又は窒素吸着BET法による比表面積の測定値から、1次粒子の比重で、粒子形状を真球粒子と仮定した場合の粒径を算出する方法で求めるが、平均粒径を粉体の状態で測定する場合には、後者により求める方法が一般的である。
分散媒は、分散剤を用いずに良好な銅ナノ粒子の分散性及び分散状態の継続性を得るために、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である分散媒であり、インクジェット法に代表される印刷法に好適な分散媒としては、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である有機溶媒であることが好ましい。
例えば、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記以外でも、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である分散媒であり、1種を単独で又は2種以上を組み合わせた場合の25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満であれば使用可能である。
ここで、ハンセン溶解度パラメータとは、溶剤の溶解パラメータを定義する方法の1種であり、詳細は、例えば「INDUSTRIAL SOLVENTSHANDBOOK」(pp.35−68、Marcel Dekker,Inc.、1996年発行)や、「HANSEN SOLUBILITY PARAMETERS:A USER’S HANDBOOK」(pp.1−41,CRC Press,1999)「DIRECTORYOF SOLVENTS」(pp.22−29、Blackie Academic & Professional、1996年発行)などに記載されている。ハンセン溶解度パラメータは溶媒と溶質の親和性を推測するために導入された物質固有のパラメータであり、ある溶媒と溶質が接したときに系の自由エネルギーがどの程度下がるか、あるいは上がるかをこのパラメータから推測できる。すなわち、ある物質を溶かすことのできる溶媒はある領域のパラメータを有することになる。本発明者等は、同様のことが粒子表面と分散媒との間にも成立すると考えた。すなわち、銅ナノ粒子と分散媒とが接したときエネルギー的に安定化するには、分散媒がある領域の溶解度パラメータを有すると類推した。
ハンセン溶解度パラメータは、非極性な相互作用項δD、極性的な作用項(極性項)δP、水素結合項δHを有し、本発明に係る分散媒は、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項は11MPa0.5以上であり、高極性であることを示している。11MPa0.5未満では、分散系は凝集し、増粘や粒子の沈降、粒子と分散媒の分離を生じることとなってしまう。また、上限は通常は20MPa0.5であり、上限以上の物質がより良いかもしれないが、20MPa0.5を超え、なおかつ水素結合項が7MPa0.5以下の物質は知られていない。
次に、低粘度分散液について説明する。分散剤を用いずに分散媒に分散させる場合の分散効率の観点から、分散媒に対する銅ナノ粒子の質量分率が1〜60%であることが好ましく、インクジェット法に代表される印刷法に好適な粘度の低粘度分散液を得るためには5〜50%であることがより好ましく、分散性及び良好な分散状態の継続性のためには15〜44%であることがさらに好ましい。
前記銅ナノ粒子の分散媒への分散方法は、粉体を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、超音波法、ビーズミル等のメディア分散法、三本ロール法、ホモミキサーやシルバーソン攪拌装置、アルテマイザー等の対向衝突法、クレアSS5などの超薄膜高速回転式分散器、自転公転式ミキサなどで分散処理を施せばよい。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散液の粘度を下げるために加熱して行ってもよい。分散媒の融点が高い場合は、液体になる温度に加熱しながら上記操作を行うことが好ましい。
また、銅ナノ粒子の表面に凝集の原因となる活性な破断面を作らず、より安定な分散状態を得るためには、超音波法、ビーズミルなどのメディア分散法、自転公転式ミキサがより好ましい。これらの分散方法は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、銅ナノ粒子は、分散媒中で凝集体を形成していてもよい。凝集体の比重は、凝集体を構成する1次粒子と粒子近傍の分散媒を含んだ見かけの比重となるため、1次粒子よりは比重が小さいが、低粘度分散液の分散安定性の観点から、凝集体の最大粒径は3000nm以下であることが好ましく、インクジェット法に代表される印刷法に好適な低粘度分散液を得るために2000nm以下であることがより好ましく、インクジェット法に代表される印刷法により好適な低粘度分散液を得るために800nm以下であることがさらに好ましい。なお、凝集体を含んだ最大粒径は、レーザー回折散乱法によって25℃で測定した散乱光の強度から求められる粒径に対する体積分率の粒度分布から算出した。
上記方法で分散処理した低粘度分散液は、遠心分離処理を施すことにより、平均粒径が小さく、より分散安定な状態に調整することができる。遠心分離処理条件である遠心回転数及び遠心時間は使用する装置によって異なるため、1次粒子の比重で沈降粒径が1μm以下を遠心分離できる条件を適宜選択する。
インクジェット法に代表される印刷法に好適な低粘度分散液を得るために、分散後の25℃における粘度が0.1〜50mPa・sであることが好ましく、インクジェット法で印刷する場合には、ノズル等から吐出可能な流動性を得るために、25℃における粘度が1〜30mPa・sであることがより好ましく、安定的な吐出性を保ち、工業的により汎用性の高い低粘度分散液であるためには3〜20mPa・sであることがさらに好ましい。
低粘度分散液には、インクジェット法に代表される印刷法に好適な表面張力に調整するために、表面調整剤を適宜添加してもよい。20℃における表面張力は15〜50mN/mであることが好ましく、インクジェット法で印刷する場合に、より好適な吐出性を得るために20〜45mN/mであることがより好ましい。
上記表面調整剤としては、シリコン系、ビニル系、アクリル系、フッ素系等の化合物が挙げられる。なお、これらの表面調整剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
次に、銅ナノ粒子配線について説明する。銅ナノ粒子配線は、上記低粘度分散液をインクジェット法に代表される印刷法でパターニングしたドット状、ライン状及び膜状の印刷物であり、印刷後に真空乾燥処理又は加熱乾燥処理などにより分散媒を除去して得られる。
銅ナノ粒子配線の厚みは0.1〜10μmが好ましく、接続信頼性の観点から0.2〜5μmがより好ましく、導体化するための還元処理を効率的に行うために、0.4〜3μmがさらに好ましい。
上記の方法で得られた銅ナノ粒子配線を導体化するための還元方法としては、気相還元及び液相還元が挙げられる。気相還元方法としては、例えば、水素やアンモニアのような還元性ガス雰囲気下において加熱還元、高温触媒に水素ガスを吹き付けて原子状水素を発生させ減圧雰囲気化で加熱せずに還元することができる。液相還元方法としては、例えば、還元性のある水溶液及び有機溶媒中で室温又は加熱処理して還元することができる。
上記の方法で還元反応がある程度進行したものと認められたら、銅ナノ粒子配線中の銅ナノ粒子同士が焼結し得る温度(以下、「焼結温度」という)まで加熱し、この焼結温度を一定時間保持することで、銅ナノ粒子同士が焼結し、全体として銅ナノ粒子配線が導体化する。
なお、本発明の低粘度分散液は、分散剤を用いないため、分散剤を除去するために必要なエネルギーは不要であり、比較的低温での焼結が可能である。
また、焼結は還元処理と同時に行ってもよく、還元処理のみで十分に導体化できる場合には、焼結を行わなくてもよい。
焼結温度としては、120〜300℃とすることが好ましく、130〜250℃とすることがより好ましく、140〜200℃とすることがさらに好ましい。本発明の銅ナノ粒子配線は、分散剤を含まないため、焼結温度は300℃以上の高温を必要としない。
また、焼結時間は保持する温度によっても異なるが、例えば0.5〜60分とすることが好ましく、2〜20分とすることがより好ましい。
以上のようにして、いずれの態様においても低抵抗の銅ナノ粒子配線を作製することができる。
また、この銅ナノ粒子配線は、厚膜微細配線を形成する場合には、無電解めっきのシード層として利用することもできる(図2参照)。
次に、絶縁樹脂層について説明する。
絶縁樹脂層は、基板と銅ナノ粒子配線及び銅ナノ粒子配線間の電気絶縁性を示す絶縁性の樹脂組成物を含有する。絶縁性の樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン変性ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、BTレジン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂等を構成する、モノマー、オリゴマー、ポリマー等を含む組成物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、上記樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物から形成されてなる絶縁樹脂層は、耐熱性に優れるとともに、絶縁信頼性及び接続信頼性に優れている。それらの特性が特に優れているという観点から、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有することがより好ましい。加えて、硬化物の強度が優れているという観点から、硬化剤がフェノール類又はフェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物を含有することがさらに好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノール化合物とアルデヒド化合物のグリシジルエーテル化物、二官能フェノール類のグリシジルエーテル化物、二官能アルコールのグリシジルエーテル化物、ポリフェノール類のグリシジルエーテル化物及びこれらのアルキル置換体、窒素含有基置換体、水素又はハロゲン化物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上述したエポキシ樹脂の中でも、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮合反応させて得られるグリシジルエーテル化物を含むものがより好ましい。このようなエポキシ樹脂を用いることで、絶縁樹脂層の耐熱性及び銅ナノ粒子配線に対する絶縁樹脂層の接着性を向上させることが可能となる。
上記フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、カテコール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS等が挙げられる。
また、上記アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒドやサリチルアルデヒドが挙げられる。
硬化剤としては、例えば、アミン類、イミダゾール化合物、酸無水物、フェノール化合物、フェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物等が挙げられる。なお、これらの硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
フェノール類又はフェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフタレンジオール類、ビフェノール類、フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体及び窒素含有基置換体等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記エポキシ樹脂と上記フェノール類又はフェノール化合物とアルデヒド化合物との縮合物を組合せて使用する場合、両者の配合量は、エポキシ当量と水酸基当量の当量比(エポキシ当量/水酸基当量)で0.70/0.30〜0.30/0.70とするのが好ましく、0.65/0.35〜0.35/0.65とするのがより好ましく、0.60/0.30〜0.30/0.60とするのがさらに好ましく、0.55/0.45〜0.45/0.55とするのが特に好ましい。両者の配合量が上記当量比の範囲外であると、硬化性が不十分となる傾向がある。
なお、樹脂組成物中には、上述したような成分のほか、所望とする性状に併せて、硬化促進剤、カップリング剤、酸化防止剤、充填剤、表面調整剤等を含有することもできる。
また、絶縁樹脂層は、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である溶媒を含有してもよい。
絶縁樹脂層が含有する上記溶媒量は、絶縁樹脂層100質量部あたり15質量部未満が好ましく、表面のベタ付きを軽減するためには5質量部未満がより好ましい。なお、絶縁樹脂層が含有する上記溶媒量が、絶縁樹脂層100質量部あたり15質量部以上であると、絶縁信頼性の低下を招き、好ましくない。
なお、上記、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である溶媒としては、上述した樹脂組成物の成分を分散又は溶解するものであればよく、例えば、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、アニソール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチエーテルアセテート、1,3ブチレングリコールジアセテート等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
絶縁樹脂層は、上記、25℃における蒸気圧が1.34×10Pa未満である溶媒に上記、樹脂組成物の成分を分散又は溶解した絶縁体インクをインクジェット印刷法などの印刷法で基板上に塗布して形成してもよい。
なお、インクジェット印刷法により絶縁樹脂層を形成する場合は、インクジェット吐出性の観点から、絶縁体インク中のエポキシ樹脂の分子量は、50000未満が好ましく、15000未満であることがより好ましい。
熱硬化性の樹脂組成物によって絶縁樹脂層を形成した場合は、加熱による硬化処理を行う。
加熱の条件としては、加熱によって絶縁体インクに含有される樹脂組成物が硬化又及び/又は溶媒が除去されることにより絶縁樹脂層が形成されるものであればよく、例えば、室温〜240℃で1〜90分間の条件が挙げられる。またこの処理を減圧下で行ってもよい。
熱硬化性の樹脂組成物を含有する絶縁樹脂層は、銅ナノ粒子配線形成前処理として、加熱条件の変更によるBステージ化、絶縁樹脂層表面のUV照射処理などによって、銅ナノ粒子配線との密着性を向上できる。上記の密着性向上手法は、1種を単独で又は2種を組み合わせて使用することができる。
Bステージ化による密着性向上手法は、上記絶縁樹脂組成物の加熱による硬化処理を完全硬化する処理温度よりも低温又は短時間で行った後に(以下、Bステージ化樹脂という)低粘度分散液による銅ナノ粒子配線形成を行うことで、低粘度分散液中の分散媒によって、Bステージ化樹脂表面がわずかに溶解し、Bステージ化樹脂表面に銅ナノ粒子が入り込み、Bステージ化樹脂表面に微小な凹凸が形成され、銅ナノ粒子配線との密着性を向上できる。
Bステージ化する温度条件は、絶縁樹脂組成物の完全硬化条件によって異なる。絶縁樹脂組成物の示差走査熱量測定において、高分子の架橋反応を示す発熱ピークの立ち上がり温度(a)及び発熱ピークの頂点を観測する温度(b)より、Bステージ化処理温度範囲は、〔(a)−30〕℃以上、(b)℃以下が好ましく、Bステージ化樹脂表面の溶解による銅ナノ粒子配線の変形抑制の観点から、〔(a)−20〕℃以上、〔(b)−3〕℃以下がより好ましく、さらに密着性向上の観点から、〔(a)−10〕)℃以上、〔((b)−10〕℃以下がさらに好ましい。
Bステージ化する時間条件は、Bステージ化する温度によって異なるが、時間短縮の観点から、0.5〜10分が好ましく、0.5〜5分がより好ましい。
また、Bステージ化する時間条件が10分以上になると、完全硬化温度よりも低温であっても硬化が進み、密着性向上の効果が得られない。
UV照射処理による密着性向上手法は、絶縁樹脂層表面をUV照射処理及びUV照射によって発生するオゾンに暴露処理することで微小な凹凸を形成し、後に形成する銅ナノ粒子配線層の密着性を向上できる。
UV照射処理時間は、UV照射ランプから絶縁樹脂層表面の距離が2cmの条件で、5〜300秒が好ましく、10〜200秒がより好ましく、30〜120秒がさらに好ましい。5秒以下では、UV照射ランプの光源が安定せず、300秒以上では、工程の時間短縮の観点から好ましくない。
また、絶縁樹脂層を形成するための絶縁体インクの硬化は、銅ナノ粒子配線の形成及び絶縁体インクの塗布を交互に複数回行った後に全体を加熱するなどして、まとめて実施してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限するものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜4
(低粘度分散液の調整)
酸化銅ナノ粒子(平均粒径75nm、シーアイ化成製)32.5gを実施例又は比較例ごとに表1に示す各分散媒97.5gに混合し、日本精機製作所社製超音波ホモジナイザUS−600CCVPで出力600W、振動数19.5kHz、振幅値26.5μmで5分間処理し、50mlの遠心沈殿管に35g秤量し、1500回転で4分間遠心分離処理を行い、その上澄みを低粘度分散液とした。
(分散性の評価方法)
なお、分散性の評価は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、LS 13 320)で粒度分布測定を行い、以下の評価基準に従って評価した。その結果を表1に示す。
(分散性の評価基準)
○:平均粒径300nm未満、最大粒径800nm未満
△:平均粒径300nm〜800nm、最大粒径800〜3000nm
×:平均粒径800nm以上、最大粒径3000nm以上
Figure 2010097808
ハンセン溶解度パラメータ極性項の単位は、MPa0.5
実施例4及び比較例5
(絶縁樹脂の調整)
エポキシ化合物であるビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(商品名「N−865」、大日本インキ化学工業株式会社製)22.2g、硬化剤であるビスフェノールAノボラック樹脂(商品名「VH−4170」、大日本インキ化学工業株式会社製)12.1g、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(東京応化工業株式会社製)0.02g及び表面調整剤であるシリコン系表面調整剤(商品名「BYK310」、BYK Chemie社製)0.17gを、γ‐ブチロラクトン115.5gに溶解させて絶縁樹脂形成用混合物を得た。
この混合物を3cm×3cmの大きさのガラス板の中央に、1.0g載せ、1500回転20秒の条件でスピンコート塗布し、硬化温度及び時間を変えて加熱処理し、絶縁樹脂層を得た。
(低粘度分散液の塗布)
分散媒γ−ブチロラクトンの低粘度分散液を用いた。調整方法は、上記記載の方法で行った。低粘度分散液を、株式会社マイクロジェット製MJP−1500V(商品名)を使用して、上記絶縁樹脂層上にインクジェット印刷し、膜厚500nm、1cm×1cmの銅ナノ粒子印刷膜を得た。印刷膜を60℃で30分、180℃で30分の条件で分散媒の乾燥及び絶縁樹脂層の硬化を行い、試験片を得た。
(還元処理方法)
上記試験片をホットワイヤー法原子状水素処理装置にセットし、水素70ml/分、タングステンワイヤー温度1500℃、圧力4Pa、ステージ温度50℃の条件で20分間処理を行い、タングステンワイヤーへの通電と水素を止めて10分間冷却した後、常圧に戻して処理された粒子塗布基板を取り出した。処理前は黒色であった銅ナノ粒子印刷膜は、処理後赤銅色となった。
(テープ剥離耐性試験)
還元処理した銅ナノ粒子印刷膜を1mm角にカットし、接着テープを用いて剥離試験を行った。剥離後の状態について、銅ナノ粒子印刷膜の剥離なしを○、剥離ありを×と評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2010097808
本発明の一実施例になる複合材料の断面図である。 本発明を無電解めっきシード層として利用した例の断面図である。
符号の説明
1 銅ナノ粒子配線
2 銅ナノ粒子
3 絶縁樹脂表面処理層
4 絶縁樹脂層
5 基板
6 銅ナノ粒子配線
7 無電解めっき層

Claims (8)

  1. 銅ナノ粒子を含み、分散媒として、ハンセン溶解度パラメータにおける極性項が11MPa0.5以上である有機溶剤を用いた低粘度分散液。
  2. 前記銅ナノ粒子の1次粒子の平均粒径が、1〜300nmである請求項1に記載の低粘度分散液。
  3. 前記銅ナノ粒子が、銅、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅、コア部が銅であり、シェル部が酸化銅であるコア/シェル構造を有する粒子のうち1種を単独で又は2種以上混合したものである請求項1又は2記載の低粘度分散液。
  4. 銅ナノ粒子に対し、分散剤を用いずに調整された低粘度分散液。
  5. 前記分散媒に対する前記銅ナノ粒子の重量分率が1〜60%であり、かつ25℃における粘度が、0.1〜50mPa・sである請求項1〜4のいずれかに記載の低粘度分散液。
  6. 絶縁樹脂層の表面に請求項1〜5のいずれかに記載の低粘度分散液を印刷してなる銅ナノ粒子配線。
  7. 請求項6記載の絶縁樹脂層の硬化率が、10〜95%のときの表面に請求項1〜6のいずれかに記載の低粘度分散液を印刷してなる銅ナノ粒子配線。
  8. 請求項6及びに記載の銅ナノ粒子配線を形成した前記絶縁樹脂層が、基板上に形成されてなる複合材料。
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