JP2010096320A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧機器の作動遅れをなくして円滑に制御することができる自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】自動変速機の油圧機器を作動油圧により制御するに当たって要求されるエンジントルクを、エンジン制御手段でのエンジントルクの推定に要する演算時間Eと、このエンジントルクを推定したエンジン制御手段から変速制御手段への通信に要する通信時間Fと、変速制御手段においてクラッチやブレーキなどの油圧機器を作動させる係合油圧を演算し、その係合油圧を発生させて油圧機器に供給されるまでに要する作動時間Gとをそれぞれ加味した変速準備時間(E+F+G)を考慮して、爆発工程において点火がなされた点火タイミングYよりも変速準備時間遡った時点Xで推定し、このエンジントルクに基づいて自動変速機の油圧機器を制御している。
【選択図】図6
【解決手段】自動変速機の油圧機器を作動油圧により制御するに当たって要求されるエンジントルクを、エンジン制御手段でのエンジントルクの推定に要する演算時間Eと、このエンジントルクを推定したエンジン制御手段から変速制御手段への通信に要する通信時間Fと、変速制御手段においてクラッチやブレーキなどの油圧機器を作動させる係合油圧を演算し、その係合油圧を発生させて油圧機器に供給されるまでに要する作動時間Gとをそれぞれ加味した変速準備時間(E+F+G)を考慮して、爆発工程において点火がなされた点火タイミングYよりも変速準備時間遡った時点Xで推定し、このエンジントルクに基づいて自動変速機の油圧機器を制御している。
【選択図】図6
Description
本発明は、自動変速機に連結されたエンジンのトルクを推定し、その推定されたエンジントルクを用いて制御される自動変速機の制御装置に関する。
従来より、自動変速機に連結されたエンジンを搭載した車両が販売されている。このような車両における自動変速機の制御は、エンジンの運転状態と協調して行なう必要がある。そのため、エンジンのトルク情報に基づいて自動変速機のクラッチやブレーキなどの油圧機器の作動油圧による作動を制御するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−37264号公報
ところで、エンジンのトルクが実際に出力されるのは、エンジンの燃焼サイクルにおける爆発工程において点火がなされたタイミング以降である。このことから、爆発工程よりも所定工程前段階でのエンジンの吸入空気量(筒内充填吸気量)に基づいてエンジントルクを制御手段により推定し、この制御手段により推定されたエンジントルクを用いてエンジンの燃料噴射量を制御することが行われている。この筒内充填吸気量に基づいて推定されるエンジントルクは、エンジンの燃料噴射量を決定する上で、燃料噴射の開始時点となる排気工程(爆発工程よりも所定工程前段階)のものが用いられている。
その場合、自動変速機においても、実際にエンジントルクが発生する爆発工程よりも所定工程前段階となる排気工程でのエンジンの筒内充填吸気量に基づいて推定されたエンジントルクを用いて、油圧機器の作動油圧による作動を制御することが行われているが、制御手段からの指令を受けて油圧機器が作動油圧により作動するまでには、一定の時間が必要となる。
しかし、実際にエンジントルクが発生する爆発工程よりも所定工程前段階の排気工程でエンジンの筒内充填吸気量に基づいてエンジントルクが推定されていても、このエンジントルクを推定してから実際にエンジントルクが出力されるまでの時間は、エンジン回転数によって異なっている。つまり、燃料噴射の開始時点から実際にエンジントルクが出力されるまでの時間は、エンジン回転数が高くなるに従って短くなる。
そのため、実際にエンジントルクが発生する爆発工程よりも所定工程前段階の排気工程において推定したエンジントルクを用いて自動変速機を制御していたものでは、エンジン回転数によっては、爆発工程よりも所定工程前段階の排気工程でエンジントルクを推定する推定タイミングから実際にエンジントルクが発生する爆発工程において点火がなされた点火タイミングまでに要する時間が、制御手段からの指令を受けて自動変速機の油圧機器が作動油圧により作動するまでに必要な時間(一定の時間)よりも短くなることがある。これによって、制御手段による自動変速機の制御に遅れ、つまり油圧機器の作動油圧による作動に遅れが生じ、実際のエンジントルクの出力タイミングに対し油圧機器の作動油圧による作動タイミングが間に合わなくなって、自動変速機を円滑に制御することができない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油圧機器の作動遅れをなくして円滑に制御することができる自動変速機の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、自動変速機に連結されたエンジンのトルクを制御手段により推定し、その制御手段により推定されたエンジントルクを用いて制御される自動変速機の制御装置を前提とする。更に、上記自動変速機を、上記制御手段からの指令を受けた油圧機器の作動油圧による作動によって制御している。そして、上記制御手段によって、上記エンジンの燃焼サイクルにおける爆発工程よりも所定時間遡った時点でのエンジントルクを常時推定し、この常時推定されたエンジントルクに基づいて上記油圧機器の作動油圧を逐次制御している。
この特定事項により、自動変速機は、エンジンの燃焼サイクルにおける爆発工程において点火がなされたタイミングよりも所定時間遡った時点で推定されたエンジントルクに基づく油圧機器の作動油圧による作動によって制御されるので、実際にエンジントルクが出力される爆発工程の点火タイミングを基点にしてこれよりも所定時間遡った時点でのエンジントルクを推定していれば、エンジントルクを推定してから実際にエンジントルクが発生するまでに要する時間がエンジンの回転数によって異なることがなく、爆発工程の点火タイミングから所定時間遡った時点といった所望するタイミングのエンジントルクが得られ、この得られたエンジントルクによって自動変速機の油圧機器の作動油圧による作動が行われることになる。このため、実際のエンジントルクの出力タイミングから所定時間遡った時点で推定されたエンジントルクによって自動変速機の油圧機器の作動油圧による作動に遅れが生じることはない。これにより、実際のエンジントルクの出力タイミングから所定時間遡った時点で推定されたエンジントルクに基づく作動油圧により制御される自動変速機の油圧機器の作動タイミングを、実際のエンジントルクの出力タイミングに合わせることが可能となり、自動変速機を円滑に制御することが可能となる。
特に、エンジントルクの推定タイミングを具体的に特定するものとして、以下の構成が掲げられる。つまり、スロットルバルブをスロットルアクチュエータで駆動してスロットル開度を制御する電子スロットルシステムを上記エンジンに設けている。そして、上記スロットルバルブのスロットル開度がアクセルペダルの操作量により変更された際、上記制御手段によって、上記アクセルペダルの操作量、または上記アクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて、上記エンジンの吸入空気量を予測し、この予測された上記エンジンの吸入空気量に基づいて上記所定時間遡った時点での上記エンジントルクを推定し、この推定されたエンジントルクに基づいて上記油圧機器の作動油圧を制御している。
この特定事項により、アクセルペダルの操作量、またはアクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて、エンジントルクが変更されても、爆発工程の点火タイミングよりも所定時間遡った時点でのエンジントルクが、アクセルペダルの操作量またはスロットル開度により推定されたエンジンの筒内充填吸気量に基づいて推定され、この推定されたエンジントルクによって自動変速機の油圧機器の作動油圧による作動が行われることになる。これにより、制御手段により推定されたエンジントルクに基づく自動変速機の油圧機器の作動タイミングを、アクセルペダルの操作により変更された実際のエンジントルクの出力タイミングに合わせることが可能となり、自動変速機をより円滑に制御することが可能となる。
特に、上記所定時間遡った時点でのエンジントルクの推定タイミングを特定するものとして、以下の構成が掲げられる。つまり、上記制御手段による上記所定時間遡った時点での上記エンジントルクの推定を、上記自動変速機による変速過渡期に上記スロットルバルブのスロットル開度がアクセルペダルの操作量により変更された際に、上記アクセルペダルの操作量または上記アクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて予測した上記エンジンの吸入空気量に基づいて行っている。
この特定事項により、自動変速機による変速過渡期に、アクセルペダルの操作量、またはアクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて、エンジントルクが変更されても、爆発工程の点火タイミングよりも所定時間遡った時点でのエンジントルクが、アクセルペダルの操作量またはスロットル開度により推定されたエンジンの筒内充填吸気量に基づいて推定され、この推定されたエンジントルクによって自動変速機の油圧機器の作動油圧による作動が行われることになる。これにより、制御手段により推定されたエンジントルクに基づく自動変速機の油圧機器の作動タイミングを、自動変速機による変速過渡期にアクセルペダルの操作により変更された実際のエンジントルクの出力タイミングに合わせることが可能となり、自動変速機による変速過渡期においても自動変速機を円滑に制御して変速ショックを抑制することが可能となる。
更に、上記所定時間を特定するものとして、以下の構成が掲げられる。つまり、上記所定時間として、少なくとも上記制御手段からの指令を受けた上記油圧機器が作動油圧により作動するまでに要する時間よりも大きな時間を適用している。
この特定事項により、自動変速機を制御するに当たり、燃焼サイクルにおける爆発工程の点火タイミングから少なくとも制御手段からの指令を受けて油圧機器が作動するまでに要する時間よりも大きな時間遡った時点のエンジントルクが推定されることになる。これにより、実際にエンジントルクが出力される時点(爆発工程の点火タイミング)から、少なくとも制御手段からの指令を受けて油圧機器が作動油圧により作動するまでに要する時間よりも大きな時間遡った時点で推定されたエンジントルクに基づいて制御される自動変速機の制御タイミングつまり制御手段からの指令を受けて油圧機器が作動油圧により作動する作動タイミングを、実際のエンジントルクの出力タイミングに合わせることが可能となり、自動変速機をさらに円滑に制御することが可能となる。
以上、要するに、燃焼サイクルにおける爆発工程の点火タイミングよりも所定時間遡った時点で推定されたエンジントルクに基づいて自動変速機の油圧機器の作動油圧を制御することで、この推定したエンジントルクによって自動変速機の油圧機器の作動油圧による作動に遅れが生じることがなく、実際のエンジントルクの出力タイミングから所定時間遡った時点で推定されたエンジントルクに基づく作動油圧により制御される自動変速機の油圧機器の作動タイミングを実際のエンジントルクの出力タイミングに合わせることができ、自動変速機を円滑に制御することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の車両用駆動装置の骨子図であり、ガソリンエンジン等の内燃機関によって構成されているエンジン1の出力は、トルクコンバータ2、自動変速機3、差動歯車装置4等の動力伝達装置を経て図示しない駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。トルクコンバータ2は、エンジン1のクランク軸11と連結されているポンプ翼車20と、自動変速機3の入力軸31に連結されたタービン翼車21と、一方向クラッチ22を介して非回転部材であるハウジング23に固定されたステータ24と、図示しないダンパを介してクランク軸11を入力軸31に直結するロックアップクラッチ25とを備えている。ポンプ翼車20にはギヤポンプ等の機械式のオイルポンプ26が連結されており、エンジン1によりポンプ翼車20と共に回転駆動されて変速用や潤滑用などの油圧を発生するようになっている。上記エンジン1は車両走行用の駆動力源であり、トルクコンバータ2は流体継手である。
自動変速機3は、入力軸31上に同軸に配設されるとともにキャリアとリングギヤとがそれぞれ相互に連結されることにより所謂CR−CR結合の遊星歯車機構を構成するシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車装置30および第2遊星歯車装置32と、上記入力軸31と平行なカウンタ軸33上に同軸に配置された1組の第3遊星歯車装置34と、そのカウンタ軸33の軸端に固定されて差動歯車装置4と噛み合う出力ギヤ35とを備えている。上記遊星歯車装置30,32,34の各構成要素すなわちサンギヤ、リングギヤ、それらに噛み合う遊星ギヤを回転可能に支持するキャリアは、4つのクラッチC0、C1、C2、C3によって互いに選択的に連結され、或いは3つのブレーキB1、B2、B3によって非回転部材であるハウジング23に選択的に連結されるようになっている。また、2つの一方向クラッチF1、F2によってその回転方向により相互に若しくはハウジング23と係合させられるようになっている。なお、差動歯車装置4は軸線(車軸)に対して対称的に構成されているため、下側を省略して示してある。
上記入力軸31と同軸上に配置された一対の第1遊星歯車装置30,第2遊星歯車装置32、クラッチC0、C1、C2、ブレーキB1、B2、および一方向クラッチF1により前進4段、後進1段の主変速部MGが構成され、上記カウンタ軸33上に配置された1組の遊星歯車装置34、クラッチC3、ブレーキB3、一方向クラッチF2によって副変速部すなわちアンダードライブ部U/Dが構成されている。主変速部MGにおいては、入力軸31はクラッチC0、C1、C2を介して第2遊星歯車装置32のキャリアK2、第1遊星歯車装置30のサンギヤS1、第2遊星歯車装置32のサンギヤS2にそれぞれ連結されている。第1遊星歯車装置30のリングギヤR1と第2遊星歯車装置32のキャリアK2との間、第2遊星歯車装置32のリングギヤR2と第1遊星歯車装置30のキャリアK1との間はそれぞれ連結されており、第2遊星歯車装置32のサンギヤS2はブレーキB1を介して非回転部材であるハウジング23に連結され、第1遊星歯車装置30のリングギヤR1はブレーキB2を介して非回転部材であるハウジング23に連結されている。また、第2遊星歯車装置32のキャリアK2と非回転部材であるハウジング23との間には、一方向クラッチF1が設けられている。そして、第1遊星歯車装置30のキャリアK1に固定された第1カウンタギヤG1と第3遊星歯車装置34のリングギヤR3に固定された第2カウンタギヤG2とは相互に噛み合わされている。アンダードライブ部U/Dにおいては、第3遊星歯車装置34のキャリアK3とサンギヤS3とがクラッチC3を介して相互に連結され、そのサンギヤS3と非回転部材であるハウジング23との間には、ブレーキB3と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。
上記クラッチC0、C1、C2、C3およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路51(図3参照)のソレノイド弁S1〜S5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2、SLUの励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブによって油圧回路が切り換えられることにより、例えば図2に示すように係合、解放状態が切り換えられ、シフトレバー60(図3参照)の操作位置(ポジション)に応じて前進5段、後進1段、ニュートラルの各ギヤ段が成立させられる。図2の「1st」〜「5th」は前進の第1速ギヤ段〜第5速ギヤ段を意味しており、「○」は係合、「×」は解放、「△」は駆動時のみ係合を意味している。シフトレバー60は、例えば図4に示すシフトパターンに従って駐車ポジション「P」、後進走行ポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、前進走行ポジション「D」、「4」、「3」、「2」、「L」へ操作されるようになっており、「P」および「N」ポジションでは動力伝達を遮断する非駆動ギヤ段としてニュートラルギヤ段が成立させられるが、「P」ポジションでは図示しないメカニカルパーキング機構によって機械的に駆動輪の回転が阻止される。
図3は、エンジン1や自動変速機3などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル61の操作量(アクセル開度)Accがアクセル操作量センサ611により検出されるようになっている。アクセルペダル61は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。エンジン1の吸気管10には、スロットル指令値TAに従ってスロットルアクチュエータ121が制御されることによりスロットル弁開度θTHが変化させられる電子スロットル弁12(スロットルバルブ)が設けられている。スロットル指令値TAはスロットル弁開度θTHに対応し、基本的にはアクセル操作量Accをパラメータとして予め定められた目標スロットル指令値TA0 のマップに従って制御され、アクセル操作量Accが多くなるほど目標スロットル指令値TA0 、更にはスロットル指令値TAが大きくされ、スロットル弁開度θTHが開き制御されてエンジン出力が増大させられる。
また、エンジン1の回転数NEを検出するためのエンジン回転数センサ63、エンジン1の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ64、上記電子スロットル弁12の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ122、車速Vに対応するカウンタ軸33の回転速度NOUT を検出するための車速センサ65、エンジン1の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ66、フットブレーキ操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ67、シフトレバー60のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ68、タービン回転速度NT(=入力軸31の回転速度NIN)を検出するためのタービン回転速度センサ69、油圧制御回路51内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ511、第1カウンタギヤG1の回転速度NCを検出するためのカウンタ回転速度センサ70などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転数NE、吸入空気量Q、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー60のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、カウンタ回転速度NC、などを表す信号が電子制御装置5に供給されるようになっている。ブレーキスイッチ67は、常用ブレーキを操作するブレーキペダルの踏込み状態でON、OFFが切り換わるON−OFFスイッチである。
電子制御装置5は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン1の出力制御や自動変速機3の変速制御などを実行するものである。また、電子制御装置5は、図5に示すように、機能的にエンジン制御手段52および変速制御手段53を備えている。
エンジン制御手段52は、上記スロットルアクチュエータ121により電子スロットル弁12を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射弁13を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置14を制御するとともに、エンジン1の始動時にはスタータ(電動モータ)15によってクランク軸11をクランキングする。電子スロットル弁12の開閉制御は、基本的には実際のアクセル操作量Accに基づいて目標スロットル指令値TA0 を求め、その目標スロットル指令値TA0 をそのままスロットル指令値TAとして出力してスロットルアクチュエータ121を駆動することにより、アクセル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させるが、トラクションコントロールなどにより必要に応じてアクセル操作量Accに応じた目標スロットル指令値TA0 とは異なるスロットル指令値TAを出力する。
変速制御手段53は、予め記憶された変速線図(変速マップ)から実際のアクセル操作量Accおよび車速Vに基づいて自動変速機3の変速すべきギヤ段を決定し、その決定されたギヤ段への変速作動を開始させる変速出力を実行するとともに、駆動力変化などの変速ショックが発生したり摩擦材の耐久性が損なわれたりすることがないように、油圧制御回路51のソレノイド弁S1〜S5のON(励磁)、OFF(非励磁)を切り換えたり、リニアソレノイド弁SL1、SL2、SLUの通電量を連続的に変化させたりする。
図5を参照して、エンジン1についてさらに説明する。エンジン1は、4気筒のガソリンエンジンである。なお、エンジン1の気筒数は4以外であってもよい。
このエンジン1に吸入される空気は、エアクリーナ16によりろ過され、吸気管10およびインテークマニホールド101を通り、燃料噴射弁13,13,…から噴射された燃料とともに燃焼室内に導入される。そして、燃焼室内で、点火装置14から高電圧が付与された点火プラグ141,141,…により空気と燃料との混合気が点火され、燃焼する。混合気が燃焼することにより、エンジン1は駆動力を発生する。燃焼後の混合気、すなわち排気ガスは、エギゾーストマニホールド17に導かれ、触媒18により浄化された後、車外に排出される。
燃焼室内に導入される空気は、電子スロットル弁12により制御される。また、空気の量は、エアフローメータ161により検出され、検出結果を表す信号が電子制御装置5に送信される。
電子制御装置5のエンジン制御手段52は、エアフローメータ161により検出された空気量から、予めROMに記憶された理論式に基づいて、エンジン1の吸入空気量(筒内充填吸気量)を算出する。なお、筒内充填吸気量を、空気圧から理論式に基づいて算出してもよい。
触媒18の温度TCは、温度センサ181により検出され、検出結果を表す信号が電子制御装置5に送信される。なお、温度センサ181により触媒温度TCを検出する代わりに、エンジン回転数、負荷、水温、吸気温度などに基づいて触媒温度TCを推定してもよい。
エンジン1で発生するノッキングは、ノックセンサ71により検出され、検出結果を表す信号が電子制御装置5に送信される。エンジン1の冷却水の温度は、水温センサ72により検出され、検出結果を表す信号が、電子制御装置5に送信される。電子制御装置5のエンジン制御手段52は、エンジン1の始動時に検出された冷却水の温度および現在の冷却水の温度に基づいて、エンジン1の潤滑油の温度を検出(推定)している。
ところで、図6に示すように、エンジン1のトルクが実際に出力されるのは、エンジン1の燃焼サイクルにおける爆発工程において点火がなされた点火タイミング以降である。このことから、爆発工程よりも前段階でエンジン1の吸入空気量(筒内充填吸気量)に基づいてエンジントルクをエンジン制御手段52により推定し、このエンジン制御手段52により推定されたエンジントルクを用いてエンジン1の燃料噴射量を制御することが行われている。この筒内充填吸気量に基づいて推定されるエンジントルクは、エンジン1の燃料噴射量を決定する上で、実際にエンジントルクが出力される爆発工程の点火タイミングよりも前段階となる燃料噴射の開始時点のものが用いられているものの、この時点でエンジントルクを推定してから実際にエンジントルクが出力されるまでの時間は、エンジン回転数NEによって異なっている。つまり、燃料噴射の開始時点から実際にエンジントルクが出力されるまでの時間は、エンジン回転数NEが高くなるに従って短くなる。
そのため、予め固定された燃料噴射の開始時点で推定されたエンジントルクに基づいて自動変速機3のクラッチCやブレーキBなどの油圧機器を制御していると、変速制御手段53からの指令を受けて油圧機器が作動油圧により作動するまでに一定の時間を必要とするため、エンジン回転数NEによっては変速制御手段53による制御に遅れ、つまり油圧機器の作動油圧による作動に遅れが生じることになる。
そこで、本実施形態では、電子制御装置5は、実際にエンジントルクが出力される燃焼サイクルの爆発工程での点火タイミングよりも所定時間遡った時点でのエンジントルクを常時推定し、この推定されたエンジントルクに基づいて自動変速機3のクラッチCやブレーキBなどの油圧機器の作動油圧による作動を逐次制御するようにしている。つまり、自動変速機3のクラッチCやブレーキBなどの油圧機器の作動油圧による作動を制御するに当たって変速制御手段53が要求するエンジントルクは、図6に示すように、エンジン制御手段52においてエンジントルクの推定に要する演算時間E、この推定したエンジントルクのエンジン制御手段52から変速制御手段53への通信に要する通信時間F、および変速制御手段53においてクラッチCやブレーキBなどの油圧機器を作動させる係合油圧を演算し、その演算値(係合油圧)を発生させて油圧機器に供給されるまでに要する作動時間Gをそれぞれ加味した変速準備時間(E+F+G:所定時間)を考慮し、爆発工程において点火がなされた点火タイミングYよりも変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xでのものを推定するようにしている。要するに、図6において示すように、変速制御手段53が要求するエンジントルクは、エンジントルクが実際に発生し始める爆発工程の点火タイミングYよりも変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xのものである。具体的には、図6に示すように、アクセルペダル61の操作により操作量(アクセル開度)Accが変更された後に電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHが遅れて変更され始めたタイミングのものであり、このときのアクセルペダル61の操作量Accまたはアクセルペダル61の操作量Accにより変更された電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHに基づいて、エンジン1の筒内充填吸気量を予測し、この予測された筒内充填吸気量に基づいてエンジントルクを推定している。
また、図7に示すように、自動変速機3による変速過渡期(例えば3速から4速への変速過渡期)にアクセルペダル61が操作された場合においても、そのアクセルペダル61の操作量Accに基づいてエンジントルクが変更されると、図6に示すように、爆発工程において点火がなされた点火タイミングYよりも変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点X、つまりアクセルペダル61の操作によりアクセル開度が変更された後に電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHが遅れて変更し始めた時点でのエンジントルクを、アクセルペダル61の操作量Acc、またはアクセルペダル61の操作量Accにより変更された電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHに基づいて、推定している。
したがって、上記実施形態では、エンジン1の燃焼サイクルにおける爆発工程において点火がなされた点火タイミングYを基点にし、この基点(点火タイミングY)よりも変速準備時間(エンジン制御手段52においてエンジントルクの推定に要する演算時間E、このエンジントルクを推定したエンジン制御手段52から変速制御手段53への通信に要する通信時間F、および変速制御手段53においてクラッチCやブレーキBなどの油圧機器を作動させる係合油圧を演算し、その演算値(係合油圧)を発生させて油圧機器に供給されるまでに要する作動時間Gをそれぞれ加算した変速準備時間(E+F+G:所定時間))遡った時点Xでのエンジントルクが、アクセルペダル61の操作量(アクセル開度)Acc、またはアクセルペダル61の操作量Accにより変更された電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHにより推定した筒内充填吸気量に基づいて、常時推定されているので、エンジントルクを推定してから実際にエンジントルクが発生するまでに要する時間がエンジンの回転数によって異なることがない。このため、実際にエンジントルクが発生する爆発工程の点火タイミングYから変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xといった所望するタイミングのエンジントルクが得られ、この得られたエンジントルクによって自動変速機3の油圧機器の作動油圧による作動が行われることになり、実際のエンジントルクの出力タイミングYから変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xで推定されたエンジントルクによって自動変速機3の油圧機器の作動油圧による作動に遅れが生じることはない。これにより、実際のエンジントルクの出力タイミングYから変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xで推定されたエンジントルクに基づく作動油圧により制御される自動変速機3の油圧機器の作動タイミングを、実際のエンジントルクの出力タイミングYに常に合わせることができ、自動変速機3を円滑に制御することができる。
また、自動変速機3による変速過渡期(例えば3速から4速への変速過渡期)にアクセルペダル61の操作量Acc、またはアクセルペダル61の操作量Accにより変更された電子スロットル弁12のスロットル弁開度θTHに基づいて、エンジントルクが変更されても、爆発工程の点火タイミングYよりも変速準備時間(E+F+G:所定時間)遡った時点Xでのエンジントルクが、アクセルペダル61の操作量Accまたはスロットル弁開度θTHにより推定されたエンジン1の筒内充填吸気量に基づいて推定され、この推定されたエンジントルクによって自動変速機3の油圧機器の作動油圧による作動が行われることになる。これにより、エンジン制御手段52により推定されたエンジントルクに基づく自動変速機3の油圧機器の作動タイミングを、自動変速機3による変速過渡期にアクセルペダル61の操作により変更された実際のエンジントルクの出力タイミングYに合わせることもでき、自動変速機3による変速過渡期においても自動変速機3を円滑に制御して変速ショックを抑制することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施形態では、エンジン制御手段52においてエンジントルクを推定したが、変速制御手段、またはエンジン制御手段と変速制御手段とを1つに纏めた共通の制御手段により、エンジントルクが推定されるようにしてもよい。その場合には、変速準備時間よりエンジントルクを推定したエンジン制御手段から変速制御手段への通信に要する通信時間Fが削除され、変速準備時間がより短いものとなる。このとき、変速準備時間の短縮により、エンジントルクの推定タイミングX(実際のエンジントルクの出力タイミングYから変速準備時間遡った時点X)が実際のエンジントルクの出力タイミングYに近付けられることになり、より精度の高い筒内充填吸気量に基づいてエンジントルクが推定されて、自動変速機の制御精度をさらに高めることが可能となる。これに対し、変速準備時間が、エンジントルクの推定タイミングXが実際のエンジントルクの出力タイミングYから離れるものの、余裕を見て変速準備時間よりも大きい時間に設定されていてもよい。
また、上記実施形態では、エンジン制御手段52においてエンジントルクを演算により推定するようにしたが、電子制御装置のROMにエンジンの筒内充填吸気量に基づいて予め推定したエンジントルクのマップを備えていてもよく、この場合には、変速準備時間よりエンジントルクを演算により推定する演算時間Eが削除され、変速準備時間がより短いものとなる。また、上記実施形態では、変速制御手段53により、エンジン制御手段52から送信されたエンジントルクに適した自動変速機3の油圧機器の作動油圧を演算したが、電子制御装置のROMに予めエンジントルクに適した自動変速機の油圧機器の作動油圧のマップを備えていてもよく、この場合には、エンジントルクより油圧機器の作動油圧の演算に要する時間が作動時間Gから削除され、変速準備時間がより短いものとなる。
更に、上記実施形態では、エンジン1として、ガソリンエンジンに適用した場合について述べたが、ガソリンエンジンに限定されるものではなく、ディーゼルエンジンなどにも適用できるのはいうまでもない。
1 エンジン
12 電子スロットル弁(スロットルバルブ)
3 自動変速機
5 電子制御装置(制御手段)
61 アクセルペダル
12 電子スロットル弁(スロットルバルブ)
3 自動変速機
5 電子制御装置(制御手段)
61 アクセルペダル
Claims (4)
- 自動変速機に連結されたエンジンのトルクを制御手段により推定し、その制御手段により推定されたエンジントルクを用いて制御される自動変速機の制御装置であって、
上記自動変速機は、上記制御手段からの指令を受けた油圧機器の作動油圧による作動によって制御されており、
上記制御手段は、上記エンジンの燃焼サイクルにおける爆発工程よりも所定時間遡った時点でのエンジントルクを常時推定し、この常時推定されたエンジントルクに基づいて上記油圧機器の作動油圧を逐次制御していることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機の制御装置において、
上記エンジンには、スロットルバルブをスロットルアクチュエータで駆動してスロットル開度を制御する電子スロットルシステムが設けられており、
上記制御手段は、上記スロットルバルブのスロットル開度がアクセルペダルの操作量により変更された際、上記アクセルペダルの操作量、または上記アクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて、上記エンジンの吸入空気量を予測し、この予測された上記エンジンの吸入空気量に基づいて上記所定時間遡った時点での上記エンジントルクを推定し、この推定されたエンジントルクに基づいて上記油圧機器の作動油圧を制御していることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項2に記載の自動変速機の制御装置において、
上記制御手段による上記所定時間遡った時点での上記エンジントルクの推定は、上記自動変速機による変速過渡期に上記スロットルバルブのスロットル開度がアクセルペダルの操作量により変更された際に、上記アクセルペダルの操作量または上記アクセルペダルの操作量により変更されたスロットルバルブのスロットル開度に基づいて予測した上記エンジンの吸入空気量に基づいて行われることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の自動変速機の制御装置において、
上記所定時間としては、少なくとも上記制御手段からの指令を受けた上記油圧機器が作動油圧により作動するまでに要する時間よりも大きな時間が適用されていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008269495A JP2010096320A (ja) | 2008-10-20 | 2008-10-20 | 自動変速機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP2008269495A Withdrawn JP2010096320A (ja) | 2008-10-20 | 2008-10-20 | 自動変速機の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010096320A (ja) |
-
2008
- 2008-10-20 JP JP2008269495A patent/JP2010096320A/ja not_active Withdrawn
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