まず、この発明の実施例に係る画像形成装置を図1〜3を用いて説明する。図1は、実施例に係るカラー画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図2は、実施例に係るカラー画像形成装置に装着されたプロセスカートリッジの詳細を示す部分拡大図であり、図3は、プロセスカートリッジの全体構成を示す斜視図である。
すなわち、図1および図2に示すように、カラー画像形成装置Aは、カラー画像用の複数色からなるカラートナー像が形成される中間転写ベルト1と、このトナー像用の各色トナーを補給するトナーボトル2とを画像形成装置本体3内に収容して有し、画像形成装置本体3の下部に積載されて収納された転写紙Sを、中間転写ベルト1に所定に接しさせてカラートナー像を転写しさらにトナー像を定着させて、上部から排出するようにしている。すなわち、カラー画像形成装置Aの概略下部から上部に掛けて、1枚の転写紙Sをフィードする給紙コロ4と、トナー像転写用の搬送タイミングを確保するレジストローラ5と、中間転写ベルト1に接するように対抗配置され中間転写ベルト1との間に所定圧を確保したニップを形成した2次転写ローラ6と、所定に加熱および加圧する定着ユニット7と、転写紙Sを装置外部に排出する排紙ローラ8とが配置されており、転写紙Sに対して、これらのコロやローラによって形成した搬送経路を搬送する過程で、順次、前記ニップにより中間転写ベルト1からトナー像を転写し、定着ユニット7により転写紙S上に転写したトナー像を定着している。
すなわち、カラー画像を形成するための各色を担当してその色のトナー像を形成する4つの画像ステーションとしてプロセスカートリッジ11a〜11dが、図中の斜め左上がりに傾斜して配設された中間転写ベルト1の長手方向に沿って配置されている。これらのプロセスカートリッジ11a〜11dからなる各画像ステーションには、像担持体として感光体ドラム10a,10b,10c,10dをそれぞれ有し、これらの各感光体ドラム10a〜10dは、中間転写ベルト1を介して転写ローラ13,13に所定圧を確保して接しており、またその回りにはそれぞれ専用の帯電手段15a,15b,15c,15d、現像手段としての現像装置16a,16b,16c,16d、クリーニングユニット14a,14b,14c,14dを有している。また、これらのプロセスカートリッジ11a〜11dの下方には、それぞれの感光体ドラム10a〜10dをレーザー光によって所定に露光させて静電潜像を書き込む書き込みユニット9が配置されている。12は、中間転写ベルト1上の残留トナーを収集してクリーニングするクリーニング手段である。
なお、プロセスカートリッジとしては、前記の構成に限ることなく、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうち、少なくとも1つの手段と、像担持体である電子写真感光体(感光体ドラム)とを有して一体に構成され、この構成を装置本体に対して着脱可能としたものであればよい。
カラー画像形成装置Aにトナーを供給するトナーボトル2は、装置内の上部で図中の左側から右側に順次、複数個、配置され、カラー画像形成装置Aに着脱して交換可能に設けられている。これらのトナーボトル2には、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーが充填されている。各トナーボトル2から図示しない搬送経路を介して、各トナーボトル2に対応した各色の現像装置16a〜16dにトナー供給可能に接続され、所定の補給量だけ各色のトナーが補給されている。
したがって、このように構成されたカラー画像形成装置Aでは、転写紙Sが給紙コロ4でフィードされその先端がレジストローラ5まで到達すると、この転写紙Sの先端が図示しないセンサによって検知される。そして、この検出信号に基づき同期のタイミングを取りながら、レジストローラ5によって転写紙Sを2次転写ローラ6と中間転写ベルト1とにより形成したニップに搬送し、中間転写ベルト1から転写紙Sに中間転写ベルト1上に形成した画像を2次転写する。
すなわち、感光体ドラム10a〜10dは、あらかじめ帯電ローラ15a〜15dによって一様に帯電され、次に書き込みユニット9によってレーザー光にて露光走査され、感光体ドラム10a〜10d上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置16a〜16dにより現像され、これにより感光体ドラム10a〜10dの表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。次に転写ローラ13に電圧が印加され各感光体ドラム10上のトナーが、中間転写ベルト1上に順次転写されていく。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト1の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト1の送り方向における上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト1上に形成されたトナー画像は、2次転写ローラ6の位置まで搬送され転写紙Sに2次転写される。各色からなるカラートナー像が転写された転写紙Sは定着ユニット7に搬送されてそのトナー像が熱定着され、排紙ローラ8で排紙される。
このような画像形成動作に伴って生じた廃トナーは、所定にクリーニングされて収集され、プロセスカートリッジ11から排出される。すなわち、感光体ドラム10a〜10d上の残留トナーは、それぞれのクリーニング手段であるクリーニングユニット14a〜14dによって除去され、収集された廃トナーとなり、感光体ドラム10a〜10dをクリーニングしている。また転写紙Sに転写されずに、中間転写ベルト1上に残された残留トナーは、同様にクリーニング手段12によって除去され、収集された廃トナーとなり、中間転写ベルト1の表面がクリーニングされる。
図2,図3および図4(a)に示すように、これらの収集した廃トナーCは、プロセスカートリッジ11から廃トナー排出パイプ18を介して、画像形成装置Aに設けられた廃トナーボトル20に排出される。すなわち、プロセスカートリッジ11には、プロセスカートリッジ11から側方に突出された中空状の廃トナー排出パイプ18が設けられ、この廃トナー排出パイプ18に対応した位置、つまりプロセスカートリッジ11のセット位置に応じた画像形成装置A側の位置には、予め所定の内部容量を確保した容器として廃トナーボトル20が設けられ、プロセスカートリッジ11が画像形成装置Aにセットされると、廃トナーボトル20内に、廃トナー排出パイプ18の先端が差し込まれるようにしている。
また各クリーニングユニット14は、その内部に廃トナー搬送スクリュ17を有しており、この廃トナー搬送スクリュ17によって、廃トナーが廃トナー排出パイプ18の先端側に向けて搬送され、この廃トナー排出パイプ18の先端側に開口された廃トナー排出口19から廃トナーボトル20内に排出される。すなわち、この廃トナー搬送スクリュ17は、コイルバネなどの螺旋形状の部材とされ、廃トナー排出パイプ18内部に同軸上にその長手方向に渡って配設されている。また、この廃トナー搬送スクリュ17は、その一端がクリーニングユニット14内に収集された廃トナーに接するように配置され、その他端が廃トナー排出口19に対面して配置され、図示しない駆動機構によって螺旋が廃トナー排出口19側に進む方向に回転駆動されている。したがって、このように回転駆動される廃トナー搬送スクリュ17によって、クリーニングユニット14から廃トナー排出パイプ18の先端側にまで、廃トナーを運ぶ搬送経路が形成されている。
なお、プロセスカートリッジ11から廃トナーボトル20に直接廃トナーを排出せずに、一旦、画像形成装置本体3内に設けられた廃トナー搬送経路に排出し、この廃トナー搬送経路から廃トナーボトルに廃トナーを搬送する構成にした画像形成装置もある。したがって、この構成では、プロセスカートリッジ11と廃トナーボトル20との間に、廃トナー搬送経路を設けているので、プロセスカートリッジ11の近傍に廃トナーボトル20を設置しなくてもよくなり、装置内における部材配置の自由度を向上できる。他方、各色ごとのプロセスカートリッジ11用に廃トナーボトル20を設けることなく、1つの廃トナーボトル20で兼用した構成とできる。
次に、実施例に係るプロセスカートリッジ11をその脱着に伴い、廃トナー排出パイプ18の廃トナー排出口19を所定に開閉する開閉手段としてシャッタ21を設けたプロセスカートリッジ11と廃トナーボトル20(あるいは廃トナー搬送経路)の構成例を、図4(a)〜(c)に基づき説明する。
すなわち、図4(b),(c)に示すように、プロセスカートリッジ11がセットされ廃トナーボトル20内に廃トナー排出パイプ18の先端が差し込まれた状態で、廃トナー排出パイプ18には、廃トナーボトル20の充分な内部に位置する先端側で下部の箇所に排出口19が設けられ、この廃トナー排出口19は廃トナー排出パイプ18の外周を略矩形状に切欠いた形状に形成され、この廃トナー排出口19の開口としての大きさは、廃トナー排出パイプ18を搬送されてくる廃トナーをスムーズに排出できる大きさが確保されている。
また、プロセスカートリッジ11の廃トナー排出パイプ18内には、廃トナー排出パイプ18と同軸で軸長手方向に移動可能なシャッタ21が設けられ、このシャッタ21によって、プロセスカートリッジ11の脱着に伴い廃トナー排出口19を所定に開閉し、この装着時以外では、廃トナー排出口19の閉止状態を保持するようにしている。
すなわち、このシャッタ21は、廃トナー排出パイプ18の内径よりも僅かに小さい外径を確保した有底の略円筒状に形成され、このシャッタ21の外周の下部の箇所には、シャッタ底部に接するように開口21Aが形成され、この開口21Aは、その大きさが廃トナー排出口19よりも小さく設定されている。このシャッタ21は、非有底側の周縁端部が、スプリングバネ23の一端に当接され、このスプリングバネ23によって、常時、図中の左側つまり開口21Aを廃トナー排出口19から離した閉位置を占めるように付勢されている。すなわち、このスプリングバネ23は、廃トナー排出パイプ18の内径よりも僅かに小さい外径のスプリング径を有し、図示しない図中右側の端部が廃トナー排出パイプ18に固定され、無負荷の自然長よりも縮められた状態で設置され、つまり縮設され、その弾性復帰力によって、シャッタ21を図中の左方向に付勢している。なお、このスプリングバネ23とこのスプリングバネ23の内側に位置した廃トナー搬送スクリュ17との間には、互いにそれぞれの動作を干渉させない程度の間隙が確保されている。
また、廃トナー排出パイプ18の先端側の円形底面における略中央には、この端面を貫通して形成された通過孔18aが設けられている一方、この通過孔18aに対応して、画像形成装置本体3側に設けられた部材としての廃トナーボトル20には、係合部として所定長さが確保された突起22が設けられている。すなわち、この突起22は、廃トナーボトル20に差し込まれる廃トナー排出パイプ18に対向した廃トナーボトル20における内壁の箇所から、廃トナー排出パイプ18の差し込み方向と反対方向に向かって突出されており、その突出された長さとしては、廃トナーボトル20内への廃トナー排出パイプ18が差し込まれる長さに応じて、シャッタ21を開位置に移動させることができる程度の長さが確保されている。すなわち、廃トナー排出パイプ18が廃トナーボトル20内に差し込まれた場合には、突起22が通過孔18aを通過して、その先端がシャッタ21に当接し、さらに差し込みの進展に伴い、シャッタ21を、シャッタ21の開口21Aが廃トナー排出パイプ18の廃トナー排出口19に重なる分だけ移動させる程度の長さが確保されている。
なお、通過孔18aの内周面は、外側の開口から内側に進むほど狭まって先細るテーパー形状とされ、突起22に対面した側の通過孔18aとしての開口を大きくする一方、突起22の最先端部も先細りのテーパー形状とされており、突起22を通過孔18a内に位置させかつ通過しやすくガイドするように構成されている。また、シャッタ21の先端面には、通過孔18aの内径よりも僅かに小さい外径を有した段部が形成されており、この段部はプロセスカートリッジ11がセットされない状態で通過孔18a内に配置されて、通過孔18aから廃トナー排出パイプ18内に至る経路に段差を形成することにより、通過孔18aを通過して外部へ廃トナーが漏れることを防止している。
したがって、画像形成装置Aにプロセスカートリッジ11および廃トナーボトル20がセットされると、廃トナーボトル20の突起22が、シャッタ21を押して廃トナー排出口19が開放され、プロセスカートリッジ11から廃トナーボトル20に廃トナーCが排出される。すなわち、このセットの際には、廃トナーボトル20内に廃トナー排出パイプ18が所定長さ差し込まれるが、この差し込みの進展に伴い、廃トナー排出パイプ18の通過孔18aを通過して、相対的に突起22が廃トナー排出パイプ18内に突出され、この突起22の先端でシャッタ21を開位置に移動させる。このため、図4(c)に示されるように、廃トナー排出口19と開口21Aとが重複して開口位置が一致するので、廃トナー排出口19のシャッタ21による閉止が解除される。この結果、排出口としての廃トナー排出口19が開放され、廃トナー排出口19から廃トナーCが排出される。
他方、プロセスカートリッジ11が画像形成装置Aに装着されない、非セットの状態では、スプリングバネ23により付勢されてシャッタ21が廃トナー排出パイプ18の先端側に移動し、排出口としての廃トナー排出口19と開口21Aのお互いの開口位置がずれて、シャッタ21の外周によって廃トナー排出口19が閉止され、廃トナー排出口19から廃トナーCが排出されない。このようにシャッタ21自体は、廃トナー排出パイプ18内に配置され、廃トナー排出パイプ18から外方に突出した部材や部分を有してなく、シャッタ21の周りを廃トナー排出パイプ18によって囲まれて保護されており、しかもシャッタ21が常時、その閉位置を占めるようにスプリングバネ23によって付勢されているので、上記したように非セットの状態では、シャッタ21による廃トナー排出口19の閉止が保持され、廃トナー排出口19が不意に開かれることがない。
これに加えて、プロセスカートリッジ11として、廃トナー排出パイプ18に上記の構成、少なくとも通過孔18aを有していないものは、廃トナー排出パイプ18の先端が突起22に当接して、廃トナー排出パイプ18が廃トナーボトル20内に充分に差し込めなく、結果としてこのようなプロセスカートリッジが画像形成装置Aにセットできないことになる。このため、型式が異なるなどの他の不適正なプロセスカートリッジがセットされることを排除でき、上記の構成を有した正式な画像形成装置用のプロセスカートリッジ11だけをセットさせることができる。この結果、専用の適正なプロセスカートリッジ11だけを使用させることができるので、画像形成装置Aの画像形成性能を充分に発揮させることが可能となる。
また、シャッタ21を開位置に移動させる突起22も、廃トナーボトル20内に配置され、外部に露出されていないので、この突起22の保護が図れ、突起22自体の破損を防止できる。他方、廃トナーボトル20内に設けた突起22でシャッタ21を開閉動作させているので、シャッタ21の開閉動作を容器としての廃トナーボトル20内部に局限できる。したがって、このような開閉動作に伴って生じるトナー漏れやトナー飛散を、ボトル20内に限定でき、ボトル20外部に影響を与えずに済む。すなわち、廃トナー排出パイプ18の最先端部の外周に廃トナー排出口19を形成し、この廃トナー排出口19を閉止したシャッタ21を、ボトル20内で開位置に移動させる程度の突出長さの突起22で開動作させているので、廃トナー排出口19が廃トナーボトル20の開口を通過した後でシャッタ21が開動作を開始する一方、開口を通過する前にシャッタ21が閉動作を完了する。このため、廃トナーボトル20の開口から充分に離れたボトル20内の箇所で、開閉動作を行なわせて、ボトル20の開口からトナーが放出されることを抑制できる。この結果、プロセスカートリッジ11がセットされる画像形成装置本体3内を廃トナーで汚さずに済む。したがって特に、この構成によれば、トナー飛散しやすい高性能トナーから生成された廃トナーでも、正規の廃トナー排出口19の開閉動作に伴うトナー漏れやトナー飛散をボトル20内に限定できるので、このような廃トナーを扱うプロセスカートリッジ11として最適なものとなる。さらに、通過孔18aの内径と突起22の外径とを所定に設定して、突起22に通過孔18aつまり廃トナー排出パイプ18の差し込み方向の先端を係合させた構成とした場合には、この突起22によって廃トナー排出パイプ18の先端側をある程度支持することが可能になる。したがって、プロセスカートリッジ11がセットされた状態では、少なくとも廃トナー排出パイプ18が片端支持ではなく、両端支持された状態となるので、この廃トナー排出パイプ18が先端側で僅かでも撓むことなく、またその姿勢を安定して保持できる。このため、このように突起22に廃トナー排出パイプ18先端の通過孔18aを係合させることによって、廃トナーボトル20内に差し込まれた廃トナー排出パイプ18の先端側が、少なくとも上下方向に変動せずに安定して保持されるので、この先端側に設けた廃トナー排出口19から安定した廃トナーCの排出が可能となる。特に、上記のように廃トナー排出パイプ18内に廃トナーCを廃トナー排出口19に向けて搬送する廃トナー搬送スクリュ17を有した構成では、この搬送スクリュ17によるスムーズな廃トナーCの搬送が可能となる。
なお、プロセスカートリッジ11の脱着以外に、廃トナーCが満杯となった廃トナーボトル20を脱着して新たな廃トナーボトル20に交換する構成の場合には、この交換時には、この交換に伴って新たな廃トナーボトル20が装着されるまでは、上記のように廃トナー排出口19がシャッタ21によって閉止されるので、少なくともプロセスカートリッジ11から廃トナーが漏れたり、飛散したりすることを防止できる。
次に、本実施例に係る画像形成装置に好適に使用されるトナーについて図5を用いて説明する。この画像形成装置の現像手段で用いられるトナーは、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあるものを用いている。したがって、このようなトナーによれば、トナーの帯電量分布が均一となり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができる。また、静電転写方式を用いた画像形成装置では、転写率を高くすることができる。
近年の高画質要請に対応して、形成した画像に600dpi以上の微小ドットを再現するために、トナーの体積平均粒径は3〜8μmが好ましい。他方、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は、1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。すなわち、この比(Dv/Dn)が、1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このように小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になるので、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また静電転写方式では転写率を高くすることができる。
また、トナーは、その形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあるものが用いられている。したがって、トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーとの接触状態、あるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるので、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率が高くなる。形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため、SF−1、SF−2の範囲を100〜180とすることで転写率を高くすることができる。
すなわち、トナーの形状係数SF−1は100〜180、形状係数SF−2は100〜180の範囲にあることが好ましい。これらの形状係数SF−1、形状係数SF−2を、図5(a),(b)にトナーDの形状を模式的に表した図に基づき、説明する。
形状係数SF−1は、図5(a)に示すように、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。SF−1は、トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を、図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合には、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、図5(b)に示すように、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)2/AREA}×(100π/4) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合には、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
したがって、トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になる。このため、トナー同士の吸着力は弱くなり、従って流動性が高くなり、またトナーと感光体との吸着力も弱くなり、従って転写率は高くなる。しかし、形状係数SF−1、SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
また、本実施例に係る画像形成装置に好適に用いられるトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋及び/又は伸長反応させて得られるトナーとしている。
以下に、トナーの構成材料及び製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性が低下する傾向、特に環境変動の影響を受けやすい傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が低下するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が低下するため好ましくない。
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が低下する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が低下するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が低下する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が低下する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が低下する。
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が低下する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が低下する。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合に得られた画像の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでもよい。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が低下するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が低下し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大して、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しなくても高温オフセットに対して有用な効果が得られる。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
なお、荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えてもよい。
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10-3〜2μmであることが好ましく、特に5×10-3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10-2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合には、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上する。このため、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られ、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性を低下させる傾向がある。このため、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、この副作用の影響に配慮した、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られる。すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でもよいし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N、N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることによって、真球状からラクビーボール状までの間でその形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも、滑らかなものから凹凸が激しい梅干形状のものまでの間で、任意に制御することができる。
したがって、このようにしたトナー構成材料及び製造方法によれば、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状までの間の範囲でその形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状までの間の範囲で制御することができる。
さらに、本実施例に係る画像形成装置に好適に用いられるトナーの形状は、略球形状であり、以下の形状規定によって表されたトナーの形状が長軸r1、短軸r2、厚さr3で規定され(但し、r1≧r2≧r3とする。)、長軸r1と短軸r2との比(r2/r1)が0.5〜1.0の範囲にあり、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲のものを用いている。
すなわち、このトナーDの形状を模式的に示す図6(a)〜(c)に基づき、説明する。図6(a)に示すように、略球形状のトナーを、長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、このトナーは、図6(b)に示すように、長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5〜1.0で、図6(c)に示すように、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。
長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、トナーが球形状として、真球形状から離れるのでドット再現性及び転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、具体的なr1、r2、r3の測定方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
したがって、画像形成装置に用いられるトナーの形状を、略球形状としたので、ドット再現性および転写効率を向上できる。特に、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、この発明のトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)を0.5〜1.0、厚さと短軸との比(r3/r2)を0.7〜1.0の範囲とした構成の場合には、トナー形状が真球形状に近くなる。このため、ドット再現性及び転写効率を向上させることができる。この結果、高品位な画質が得られる。
このように本実施例に係る画像形成装置によれば、プロセスカートリッジおよび廃トナーボトルは、プロセスカートリッジの廃トナー排出シャッタが廃トナー排出パイプ外に突出しておらず、廃トナーボトル内に備えられた突起によってのみ廃トナーシャッタを開閉させるように構成しているので、プロセスカートリッジの脱着時などに廃トナーシャッタを誤って開けてしまうことを防止することができ、廃トナー排出パイプからのトナー飛散、トナー落ちを防止することができる。すなわち、プロセスカートリッジから外方に突出された部材である廃トナー排出パイプに設けた排出口を、開閉する廃トナー排出シャッタは、このシャッタを開閉動作させる部分や関連した部材がパイプ外に突設されたり、簡易に開動作できる程度に露出されたりしていないので、突起による開動作以外はシャッタによる排出口の安定した閉止状態が維持される。このため、プロセスカートリッジ自体の取り扱い性が向上され、脱着時の脱着作業を容易に行なえる。
特に、廃トナー排出パイプが廃トナーボトルに差し込まれ、廃トナー排出パイプの廃トナー排出口が廃トナーボトル内に位置しない限りは、この排出口の閉止が解除されない構成としているので、上述したように高画質化に対応したトナーから生じる廃トナーであっても、トナー飛散、トナー落ちを防止できる。すなわち、このように高画質対応で微粒子化かつ球形化された流動性や浮遊性が高いトナーの場合には、排出口の封止が僅かに不完全でも、トナー飛散やトナー落ちが生じるのに対して、本実施例の構成によれば、排出口の開放を廃トナーボトル内だけに限定できるので、前記の事態が生じることを未然に防止することができる。
なお、本実施例に係る画像形成装置では、プロセスカートリッジから廃トナーボトルに直接、廃トナーを排出する構成に適用したが、これに限られることなく、画像形成装置内に廃トナー搬送経路を有し、プロセスカートリッジからの廃トナーを廃トナー搬送経路を介して廃トナーボトルに導く構成でも、廃トナー搬送経路内に同様な構成の突起を設けることによって、上記の廃トナーシャッタ構造を有したプロセスカートリッジを用いることができる。したがって、この構成の場合にも、上記の廃トナー用のシャッタを設けた構成と同様な作用効果が得られる。
また本実施例に係る廃トナーシャッタに関する構成は、中間転写ベルトクリーニング手段からの廃トナーを、上記のように廃トナーボトルに直接または廃トナー搬送経路を介して導く構成用のシャッタとして同様に適用できる。したがって、この中間転写ベルトクリーニング手段に適用した構成の場合にも、上記の実施例と同様な作用効果が得られる。