JP2010091353A - バイオセンサおよびバイオセンサ用不溶性粒状マーカー - Google Patents

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Abstract

【課題】被検査液中の測定対象物質の高感度検出測定が可能であり、かつ製造が容易なバイオセンサを提供する。
【解決手段】不溶性粒状マーカーを用いたバイオセンサを、前記不溶性粒状マーカーが1または複数の粒子群よりなり、その粒子群の粒度分布の主ピークが平均粒径15から100nmの範囲にあるものとする。
【選択図】図5

Description

本発明はバイオセンサおよびバイオセンサ用不溶性粒状マーカーに関する。
近年、在宅医療や地域医療の充実、早期診断の要求、緊急性の高い臨床検査の増加などに伴い、臨床検査の専門家でなくとも高精度の測定を簡易かつ迅速に実施できる機器が要望されている。そして、煩雑な操作を要さず短時間で信頼性の高い測定を行えるPOCT(POINT OF CARE TESTING)向けの小型分析装置が脚光をあびている。
POCTとは一般に、診察室、病棟などの「患者の近いところ」で行われる検査の総称であり、医師が検査結果を即座に判断し、迅速な処置を施し、治療の過程や予後のモニタリングまでを行う、という診療の質の向上に大きく役立つものとして注目されている。
POCTでの小型分析装置による検査は、検査室での検査に比べて、検体の運搬や設備コストなどにかかる費用を抑え、トータルの検査費用の削減が可能になるといわれ、POCT市場は、病院経営合理化の進む米国で急速に拡大してきており、世界的に成長市場となっていくことが予想される。
POCTの普及と共に、定量測定可能なイムノクロマトグラフィ試験片などが商品として市場に流通してきている。イムノクロマトグラフィ試験片に代表される乾式分析素子は、試薬の調整を必要とせず、血液や尿などの被検査液を当該分析素子上に滴下するなどの簡単な操作のみでその中の検査対象物質を分析することが可能なものであり、被検査液中の検査対象物質を簡便かつ迅速に分析するのに非常に有用であるため、POCT向けに今日、多数実用化されている。
イムノクロマトグラフィ試験片は一般に、展開層の一部に固定化抗体が配置されるとともに、その抗体固定化部分よりも点着部寄りの位置に標識抗体が被検査液によって溶出可能な乾燥状態で保持された構成である。被検査液を点着部に必要量添加すると展開層を浸透していき、被検査液中に検査対象物質が含まれているときには、その検査対象物質が標識抗体に結合しさらに固定化抗体に結合するので、抗体固定化部分の標識抗体を検出することで検査対象物質を検出することが可能である。標識抗体を構成する標識物の一例は金コロイド粒子であり、金コロイド粒子による呈色反応によって目視可能となるので、その呈色度合いより、被検査液中における検査対象物質の有無および濃度を検出(測定)することができる。
以上は標識抗体を用いた抗原抗体反応のサンドイッチ反応を測定原理とした場合であるが、競合反応を測定原理としても同様に、抗体固定化部分への標識試薬の結合による呈色状態によって検査対象物質の有無および濃度を検出できる。標識物としては上記の金コロイドのほかにも種々に使用されており、標識物が酵素である場合などは、使用者が測定時に酵素基質や反応停止試薬を加える操作などが必要となることもある。使用者が被検査液を点着する操作のみで測定がなされるイムノクロマトグラフィ試験片は、ワンステップイムノクロマトグラフィ試験片と総称されている。
POCTが普及するにしたがい、市場からは、いつでもどこでも誰でも測定できることに加え、より高精度な分析精度が要求されている。近年では、トロポニンTやトロポニンIに代表される心筋マーカーや、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)など微小な濃度領域を検出するイムノクロマトグラフィ試験片が市場を賑わせているのであるが、これらには精度などに問題があり、より低濃度領域を検出する感度の確保が必要とされていた。金コロイド粒子の表面に白金を担持してなる金属コロイド粒子や、金コロイド粒子の表面に白金コロイド粒子を担持してなる金属コロイド粒子を用いる方法が、金コロイド粒子を用いるよりも高感度であるとして提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2003-262638公報 特開2005-233744公報
しかし上記した特許文献1及び2の金属コロイド粒子、つまり不溶性粒状マーカーは、一度作製した金コロイド粒子に新たに加工を施すことが必要である。特許文献1の方法では、金コロイド粒子を作製してからその表面に白金を担持させる加工を要し、特許文献2の方法では、金コロイド粒子と白金コロイド粒子とを作製してからその2種類の粒子を結合させる加工を要する。その分、作業工程が多く、煩雑であり、多くの時間を費やさなければならない上、コストが割高になる。
本発明者らは、上記問題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、不溶性粒状マーカーのサイズを大きくすることにより低濃度領域の測定が可能となること、かかる不溶性粒状マーカーは短時間で容易に作製可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、1または複数の粒子群よりなり、その粒子群の粒度分布の主ピークが平均粒径15から100nmの範囲にある不溶性粒状マーカーを提供する。
また本発明は、上記の不溶性粒状マーカーを用いたバイオセンサを提供する。
本発明において、粒子群とは、一度に製造された粒子溶液の粒子を解析し、その内の粒子の一群を言う。粒子群の粒度分布の主ピークとは、顕微鏡での観察や、光散乱法などの計数法、比重天秤法、光透過法、沈降法、ふるいわけ法など、任意の手法によって不溶性粒状マーカーの粒径を測定した時に得られる、粒径の頻度分布もしくは積算分布の最大ピークを言う。この粒度分布の主ピークの平均粒径が15〜100nmの範囲であればよく、第2ピークや第3ピークやそれ以下のピークの平均粒径はいずれの範囲にあっても何ら問題なく、15以下もしくは100nm以上の範囲に分布があってもなんら問題ない。
本発明において、不溶性粒状マーカーは、被検査液に不溶な粒子であれば特に制限はなく、金属コロイド、ラテックス粒子などの着色重合体ビーズ、重合染料粒子、磁性粒子などを用いることができる。金属コロイドは、金、銀、銅、白金などの金属や合金で構成され、液中にコロイド状に分散する任意の粒子を言う。1種類の材料からなる不溶性粒状マーカーが短時間で容易に低コストで作製できるため好都合である。たとえば金コロイドは好適に使用できる。
不溶性粒状マーカーは、検査対象物質に対して特定の親和性を持った特異的タンパク質を標識して複合体を形成した状態で用いられる。特異的タンパク質としては、任意のタンパク質に対する親和性を持つタンパク質、任意の基質に対する酵素、任意のホルモンに対する受容体、任意のビタミンや毒素などの低分子物質と結合するタンパク質、DNA結合性タンパク質やRNA結合性タンパク質など核酸と結合するタンパク質などが挙げられる。
たとえばバイオセンサは、被検査液を展開する展開層とこの展開層上に設けられた標識試薬部と固定化試薬部とを少なくとも有しており、前記標識試薬部に不溶性粒状マーカーと特異的タンパク質との複合体が配置されている構成とされる。この場合、展開層上に供給された被検査液は、標識試薬部で不溶性粒状マーカーと特異的タンパク質との複合体と混合されながら展開して固定化試薬部に達し、被検査液中の検査対象物質は特異的タンパク質を介して不溶性粒状マーカーで標識され、固定化試薬部に固定されるので、この固定化試薬部に滞留した不溶性粒状マーカーを検出することで、検査対象物質を定性もしくは定量分析することが可能となり、高精度かつ簡易な測定を実施することができる。
特異的タンパク質は免疫反応に関与する物質であってよい。かかる物質は、補体とその捕捉物質、T細胞とその受容体、サイトカインとその受容体など、免疫反応に関与する物質であればなんら制限されない。
免疫反応は抗原抗体反応であってよい。抗原および抗体のいずれが検査対象物質であってもよい。抗原の例には、免疫グロブリン、ホルモン、酵素、ペプチドなどのタンパク質及びタンパク質誘導体や、細菌、ウイルス、真菌類、マイコプラズマ、寄生虫、それらの産物および成分などの感染性物質や、治療薬、乱用薬物などの薬物、及び腫瘍マーカー、ビタミンや毒素などの低分子物質などがある。抗体は、一本鎖抗体、Fab、F(ab’)2などの修飾された抗体、scFv、dsFv、diabody、mSEA−diabody及びminibodyなどの組み換え抗体など、抗原に対して特異的結合能を有しておれば、どのような形状を有していてもよい。
免疫反応を利用するバイオセンサは、イムノクロマトグラフィ試験片として構成することができる。
本発明の不溶性粒状マーカーは、タンパク質染色剤として用いて、あるいは免疫学的測定用標識試薬として用いて、被検査液中の検査対象物質を従来の測定限界よりも低濃度領域であっても測定可能であり、高感度、簡易、迅速、かつ、正確性、汎用性の高いバイオセンサを実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態のバイオセンサであるイムノクロマトグラフィ試験片の分解図および一部斜視図である。
図1において、2は展開層を示し、ニトロセルロースを主材とするメンブレンフィルタ(合成高分子膜)で構成されている。ニトロセルロースメンブレンに限らず、被検査液により湿潤可能な材料であれば、他のメンブレン、濾紙、不織布、布、ガラス繊維等、任意の多孔質な材料で構成できる。単層であっても多層であっても構わない。
4は標識試薬部を示し、被検査液中の検査対象物質を標識可能な標識試薬、ここでは金コロイドで標識した標識抗体が、乾燥状態で被検査液により溶出可能な状態で保持してある。標識試薬は、後述する試薬固定化部5での検査対象物質の固定を検出するために選択されるものである。
5は試薬固定化部を示し、被検査液中の検査対象物質を捕捉可能な固定化試薬、たとえば検査対象物質に対する抗体が、検査対象物質,標識試薬と複合体が形成できるよう、乾燥状態で固定化してある。ここで使用する抗体は、標識試薬および検査対象物質と3元複合体を形成できればよく、検査対象物質に対するエピトープが同じであっても異なっていてもよい。
ここでは試薬固定化部5を1カ所設けた例を示しているが、必ずしも1カ所である必要はなく、1カ所以上であればその目的に応じて自在に選択すればよい。また試薬固定化部5をライン状(帯状)とした例を示しているが、必ずしもライン状である必要はなく、スポット状、文字形、鍵型など、自在に選択できる。
6は液体不透過性シートを示し、たとえばPETで構成される。この液体不透過性シート6は、展開層2の表面を被検査液の展開方向に沿った始端部分と終端部分とを除いて密着被覆することにより、被覆部分を被検査液の接触から遮断し保護すると共に外部からの汚染を防止する。外部からの汚染とは、被検査液の不用意な接触や、被験者が手などで直接に接触することなどを指す。より高精度な測定を必要とする場合には、液体不透過性シート6が、展開層2の上面、特に標識試薬部4から試薬固定化部5にわたる上面を密着密閉し、かつ、両側面を密着密閉する構造をとればよい。液体不透過性シート6の材料は、上述のPETに限らず、展開層2を覆うことができ且つ液体不透過性であれば任意に選択できる。試薬固定化部5を覆う部分は少なくとも、試薬固定化部5の状態を透過して確認できるように透明材料を用いるのが好ましい。3は展開層2における開放部、つまり液体不透過性シート6によって被覆していない終端部分を示している。
7は展開層2を支持する基板を示す。この基板7は展開層2を補強する役割を持つとともに、血液、唾液、尿など、感染の危険性のある被検査液を用いる場合にそれを遮断する役割を持つもので、シートあるいはフィルムと呼ばれる厚みであってよい。展開層2が湿潤すると光透過性を帯びるものである場合などは、この基板7に、光を遮断する効果を持たせることも可能である。白色PETを材料とするのが好ましいが、上記の効果を持つものであれば特に制限はない。
8は微細空間形成材を示し、液体不透過性シート6によって被覆していない展開層2の始端部分上に、被検査液が毛細管現象により流入する微細空間1を形成する役割、および、被検査液の点着後の取り扱い時に外部を汚染から保護する役割を持つ。ここでの保護とは被検査液の不用意な飛散や付着を言う。この微細空間形成材8は、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂材料、金属、ガラスなど、液体不透過性の任意の材料で構成することができる。透明もしくは半透明が好ましいが、有色、不透明でも構わない。
9は細胞収縮試薬(細胞成分収縮剤)であり、微細空間1に配置している。細胞収縮試薬9は、細胞を収縮する効果があればよく、塩化カリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム等の塩類や、グリシン、グルタミン酸等のアミノ酸、プロリン等のイミノ酸、グルコース、スクロース、トレハロースなどの糖類、グルシトール等の糖アルコールなど用いることができる。この様な細胞収縮試薬9を含む系は、全血を被検査液とする場合に特に有効であり、細胞成分を含まない被検査液を意図する場合には特に必要ではない。
上記バイオセンサによる検査方法について説明する。
微細空間1の端部(以下、導入部という)に被検査液を接触させると、毛細管現象によって自然に微細空間1内に流入し、被検査液中の細胞成分が細胞収縮試薬9によって収縮されつつ展開層2を浸透していく。被検査液の流入量が十分であるかどうかは、透明な微細空間形成材8を透して確認できる。被検査液の添加量に制限がある場合、たとえば一定量が必要である場合には、予め微細空間1の体積を一定体積とすることで精度良く添加量を制限できる。
被検査液が標識試薬部4に到達すると標識試薬が溶出し、被検査液中に検査対象物質が存在する場合は、溶出した標識試薬と反応して「標識試薬−検査対象物質」複合体を形成しながら浸透が進み、試薬固定化部5に到達するとその量に応じて「固定化試薬(抗体)−検査対象物質−標識試薬(金コロイド標識抗体)」複合体を形成して捕捉され、金コロイドによる呈色反応を示す。
一方、被検査液中に検査対象物質が存在しないか、検出感度以下の量である場合には、上述のいずれの複合体も形成されず、金コロイド標識抗体はその大半が結合することなく通過する。検査対象物質が存在しない場合も存在する場合も、展開層2を浸透して開放部3に到達した被検査液はここで次第に揮発もしくは蒸発する。
検査結果は、試薬固定化部5での標識試薬の結合による呈色状態を確認することで得る。検査対象物質の有無を調べる定性目的であれば目視による判定も可能である。精度の高い測定が必要な場合は、拡散電磁放射線の反射光や透過光、画像による光学的手段によって、呈色度合いや標識物の結合量を測定することで、定量的な結果を得ることができる。
ここでの電磁放射線は可視領域もしくは近可視領域であることが好ましく、電磁放射線源としては、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)、LD(Laser Diode;レーザーダイオード)など、使用者の必要に応じて選択可能である。画像による光学的手段とは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどにより画像を取り込んでの任意の解析手段をいう。
以上は抗原抗体反応におけるサンドイッチ反応について述べたが、被検査液中の測定対象物と競合的に反応する試薬を用いて競合反応とすることもできる。抗原抗体反応以外にも、特異的な結合を形成する反応系を利用することが可能である。
以下、上述のイムノクロマトグラフィ試験片の作製方法を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
a)試薬固定化部の形成
リン酸緩衝溶液にて希釈して濃度調整をした抗CRP抗体Aを準備した。抗CRP抗体Aを吐出装置にてニトロセルロース膜上にライン状に塗布して試薬固定化部とした。
このニトロセルロース膜を乾燥させ、1%スキムミルク含有Tris−HCl緩衝溶液中に浸漬して30分間緩やかに振った後、Tris−HCl緩衝溶液に入れて10分間緩やかに振る洗浄を2回行い、最後に0.05%スクロースモノラウレート含有Tris−HCl緩衝溶液に入れて10分間穏やかに振る界面活性剤処理を行い、室温で乾燥させた。
b)標識試薬部の形成
金コロイド標識抗体の調製
0.01%塩化金酸溶液を複数に準備し、その各々に還流下(100℃)で1%クエン酸溶液を終濃度が0.03%、0.023%、0.015%、0.01%になるように加え、還流を15分間続け、室温放置にて冷却して、4種類の金コロイドを得た。
pH9に調整した4種類の金コロイドの各々に、抗CRP抗体Bを最終1%になるように加えて5分間攪拌し、さらにpH9に調整した10%BSA(牛血清アルブミン)溶液を最終1%になるように加えて攪拌して、金コロイド- 抗体複合体である「標識抗体」を生成させた。
各標識抗体を含んだ液を4℃、50分間遠心した。クエン酸溶液の終濃度が0.03%の液については20100G、0.023%の液については15000G、0.015%の液については8000G、0.01%の液については3000Gである。分離された各標識抗体を、1%BSA・5%スクロース(pH8.9)液に懸濁し遠心することで洗浄し、0.45μmのフィルタにて濾過した後、520nmの吸光度が150になるように1%BSA・5%スクロース液で希釈した。各々を金コロイド標識抗体として、4℃で保存した。
金コロイド標識抗体の塗布
上述の4種類の金コロイド標識抗体をそれぞれ吐出装置にセットし、上述の試薬固定化部を形成したニトロセルロース膜に前記試薬固定化部よりも被検査液導入部寄りとなるように塗布し、塗布後のニトロセルロース膜を真空凍結乾燥させた。これにより、試薬固定化部と標識試薬部とを持った4種類の展開層を得た。
c)組立て
上述の4種類の展開層をそれぞれ厚さ0.5mmの白色PETからなる基板上に貼り付け、2.0mmの幅で裁断し、裁断後の各片について、標識試薬部よりも始端部寄りの位置から試薬固定化部よりも終端部寄りの位置までの所定範囲を厚さ100μmの透明テープを巻き付けて覆い、透明テープで覆わない始端部に微細空間を形成する微細空間形成材を貼り付けることにより、4種類のイムノクロマトグラフィ試験片を複数個ずつ得た。
なお微細空間形成材は、あらかじめ1.5Mに調整した塩化カリウム水溶液を点着した後に、液体窒素にて直ちに凍結し、凍結乾燥を行うことにより、塩化カリウムが乾燥状態で保持された収縮剤保持部を持たせた。
上述の4種類の金コロイドについて動的光散乱計(ゼーターナノZS、シスメックス株式会社)にて粒径の分布(粒度分布)を調べた。結果を図2(a)に示す。横軸は粒径を対数で示しており、縦軸は散乱光強度を示している。散乱光強度が高いことは粒子数も多いことを意味する。
1%クエン酸溶液を終濃度0.03%としたときには(細い実線で示す)、粒度分布のピークの平均粒径は18.3nmであったので、こうして得られた金コロイド粒子群を20nm金コロイドとした。1%クエン酸溶液の終濃度を0.023%としたときには(点線で示す)、粒度分布のピークの平均粒径は27.5nmであったので、こうして得られた金コロイド粒子群を30nm金コロイドとした。1%クエン酸溶液の終濃度を0.015%としたときには(太い実線で示す)、散乱光強度のピークが分離した2つの粒子群があり、そのうち主ピークの平均粒径は粒径43.6nmであったので、こうして得られた金コロイド粒子群を40nm金コロイドとした。1%クエン酸溶液の終濃度を0.01%としたときには(灰色線で示す)、散乱光強度のピークが分離した2つの粒子群があり、そのうち主ピークの平均粒径は粒径55.6nmであったので、こうして得られた金コロイド粒子群を55nm金コロイドとした。
上述の4種類の金コロイドを用いた金コロイド標識抗体について、一部ずつを採取し、それぞれ純水で150倍希釈した後に、動的光散乱計(ゼーターナノZS、シスメックス株式会社)にて粒度分布を調べた。結果を図2(b)に示す。横軸は粒径を対数で示しており、縦軸は散乱光強度を示している。散乱光強度が高いことは粒子数も多いことを意味する。
20nm金コロイド標識抗体(細い実線で示す)の粒度分布ピークはほぼ1つであり、平均粒径は37.6nmであった。30nm金コロイド標識抗体(点線で示す)の粒度分布ピークはほぼ1つであり、平均粒径は48.7nmであった。40nm金コロイド標識抗体(太い実線で示す)の粒度分布の主ピークの平均粒径は62.9nmであった。55nm金コロイド標識抗体(灰色線で示す)の粒度分布の主ピークの平均粒径は84.1nmであった。
[試験例1]
a)試料の調製
抗凝固剤としてEDTA・2Kを加えたヒト血液をヘマトクリット値40%になるように調整し、調整後の血液(血漿)にCRP溶液を加えて、CRP濃度が0.03mg/dL、0.1mg/dL、1.0mg/dL、10.0mg/dLである血液試料を調製した。各血液試料のCRP濃度は、ラテックス免疫凝集法を用いた市販装置(7020型生化学自動分析装置 日立製作所製)及び試薬を用いて確認した。
b)測定
上述の4種類の金コロイド標識抗体を用いたイムノクロマトグラフィ試験片、すなわち、20nm金コロイド標識抗体試験片、30nm金コロイド標識抗体試験片、40nm金コロイド標識抗体試験片、55nm金コロイド標識抗体試験片の各々の試料導入部に、各濃度の血液試料5μLを添加し、添加から5分後に試薬固定化部の呈色状況を反射吸光度測定器(CS9300 島津製作所製)を用いて635nmの反射吸光度を測定して調べた。測定は各濃度あたり5回行い、平均値をとった。
c)結果
結果を図3に示す。横軸はCRP濃度を対数で示しており、縦軸は吸光度を対数で示している。白色菱形プロットは20nm金コロイド標識抗体試験片の結果、黒色四角プロットは30nm金コロイド標識抗体試験片の結果、白色三角プロットは40nm金コロイド標識抗体試験片の結果、黒色丸プロットは55nm金コロイド標識抗体試験片の結果である。
これらの試験片ではCRPに対するレスポンスが明らかに異なっている。20nm金コロイド標識抗体試験片よりも30nm金コロイド標識抗体試験片が、また30nm金コロイド標識抗体試験片よりも40nm金コロイド標識抗体試験片が、また40nm金コロイド標識抗体試験片よりも55nm金コロイド標識抗体試験片が、低濃度のCRPを測定できている。
[試験例2]
a)試料の調製
抗凝固剤としてEDTA・2Kを加えたヒト血液を遠心して血漿成分を除き、7%BSAを含むリン酸緩衝溶液(PBS)を残留した血球成分に加えた後、遠心してBSAを含むPBSを除き、そこに新たなBSA含有PBSを加えてヘマトクリット値が40%になるように調整して、擬似血液を得た。
この擬似血液にCRP溶液を加えて、血球成分を除いた部分のCRP濃度が0.03mg/dlとなるように調整した。CRP濃度は、ラテックス免疫凝集法を用いた市販装置(7020型生化学自動分析装置 日立製作所製)及び試薬を用いて確認した。このCRP濃度調整後の擬似血液に対して、CRP濃度未調整の擬似血液を加えて、CRP濃度が0.00001mg/dl、0.00003mg/dl、0.0001mg/dl、0.0003mg/dl、0.001mg/dl、0.003mg/dl、0.01mg/dlである擬似血液試料を調製した。
b)測定
上述の20nm金コロイド標識抗体試験片、30nm金コロイド標識抗体試験片、40nm金コロイド標識抗体試験片及び、55nm金コロイド標識抗体試験片の各々の試料導入部に、各濃度の擬似血液試料を5μL程度添加し、添加から5分後に試薬固定化部の呈色状況を反射吸光度測定器を用いて635nmの反射吸光度を測定して調べた。測定は各濃度あたり2回行い、平均値をとった。
c)結果
結果を図4に示す。横軸はCRP濃度の測定値を対数で示しており、縦軸は吸光度を対数で示している。白色菱形プロットは20nm金コロイド標識抗体試験片の結果、黒色四角プロットは30nm金コロイド標識抗体試験片の結果、白色三角プロットは40nm金コロイド標識抗体試験片の結果、黒色丸プロットは55nm金コロイド標識抗体試験片の結果を示す。
これらの試験片では、先の図3に示した結果と同様に、CRPに対するレスポンスが異なっている。20nm金コロイド標識抗体試験片よりも30nm金コロイド標識抗体試験片が、また30nm金コロイド標識抗体試験片よりも40nm金コロイド標識抗体試験片が、また40nm金コロイド標識抗体試験片よりも55nm金コロイド標識抗体試験片が、低濃度のCRPを測定できている。
試験例1、2の結果について、図5にイメージ図を示して説明する。測定限界付近のシグナル応答から各粒径の金コロイドでの検出限界濃度をみると、粒径55nmでは濃度A以上、粒径40nmでは濃度B(B>A)以上、粒径30nmでは濃度C(C>B)以上、粒径20nmでは濃度D(D>C)以上で、測定が可能であることが認められる。
なおシグナルとは、試薬固定化部における、結合した標識試薬からの信号であり、その必要性により、目視で判定することも可能であるが、より正確に測定するためには、吸光度測定器など任意の検出器を用いることが好ましい。
上述の結果は、金コロイドの粒径を制御することにより、つまり粒径を大きくする方向に制御することにより、低濃度領域の測定可能範囲を広げられることを示すものである。粒子群の粒度分布の主ピークが平均粒径15から100nmの範囲にあれば、測定可能範囲を広げることが可能である。免疫学的測定に用いる、タンパク質染色剤として好適な不溶性粒状マーカー(何ら他を標識していない未標識の状態の金コロイド)、それを用いた標識試薬(任意のタンパク質を金コロイドで標識した複合体)の高感度化を実現できるものである。不溶性粒状マーカー自体は金コロイドという単一種の粒子であるため、作製も短時間で容易に行うことができ、低コスト化も実現できる。
なお本発明で言う平均粒径は、未標識の状態(金コロイド)で測定した粒径と、標識後の状態(複合体)で測定した粒径との双方を意味する。上述した55nm金コロイドについては、標識後の平均粒径が84.1nmのもので良好な結果が得られたことを示したが、同様に55nm金コロイドを調製し標識した場合に、平均粒径が100nmを超えることがあり、平均粒径100nmで良好な結果が得られることを確認している。また上述した40nm金コロイドは、未標識の状態での平均粒径の第2ピークが2nm近傍である粒子群であり(図2(a))、良好な結果が得られている。
金コロイドは一例に過ぎず、他の金属コロイド、合金、ラテックス粒子などの着色重合体ビーズ、重合染料粒子、磁性粒子などの不溶性粒状マーカーを使用者の必要に応じて任意に選択可能である。
以上のイムノクロマトグラフィ試験片においては、標識試薬部、試薬固定化部とも1箇所としたが、使用者の目的等に応じて、試薬固定化部の複数化や、使用する抗体の親和力に基づいて各試薬固定化部の関係を変更するなども可能である。標識試薬部も必ずしも1箇所でなくてもよく、複数の標識試薬部と複数の試薬固定化部との組合せにより構成することもできる。例えば複数の試薬固定化部の各々の上流側に標識試薬部を配置することも可能であり、製造上の工法は複雑になるが、任意の位置に任意の数で設置できる。
また、同一のニトロセルロース膜上に標識試薬部と試薬固定化部の双方を設けたが、たとえば標識試薬部をニトロセルロース膜とは異なる材質の例えば不織布のような多孔質性担体に設け、それをニトロセルロース膜上に配置しても構わない。
被検査液としては、尿、血液、血漿、血清、唾液などの体液、水、固体(粉体)や気体を溶かした溶液などが挙げられる。したがって検査には、尿検査、血液検査、便検査、水質検査や土壌分析などの環境分析、食品分析などがある。
検査対象物質としては、上述のC反応性タンパク質(CRP)のほか、抗体、免疫グロブリン、ホルモン、酵素、ペプチドなどのタンパク質、及びタンパク質誘導体や、細菌、ウイルス、真菌類、マイコプラズマ、寄生虫、及びそれらの産物及び成分などの感染性物質や、治療薬及び乱用薬物などの薬物及び腫瘍マーカーが挙げられる。
たとえば、絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、黄体ホルモン(LH)、甲状腺刺激ホルモン、濾胞形成ホルモン、副甲状腺刺激ホルモン、副腎脂質刺激ホルモン、エストラジオール、前立腺特異抗原、B型肝炎表面抗原、ミオグロビン、CRP、心筋トロポニン、HbA1c、アルブミン等がある。これらについて、簡便かつ迅速で、高感度・高性能の検査を十分に広い濃度測定範囲で行うことが可能である。
本発明のバイオセンサは、臨床分野等の医療診断現場に限らず、食品衛生関連分野、環境計測分野などの様々な分野において、簡易、正確、かつ迅速な測定を行うのに有用である。
本発明の一実施形態のバイオセンサであるイムノクロマトグラフィ試験片の構成図 図1のイムノクロマトグラフィ試験片に用いる金コロイドおよび金コロイド標識抗体の粒度分布図 図1のイムノクロマトグラフィ試験片を用いた試験例1の結果図 図1のイムノクロマトグラフィ試験片を用いた試験例2の結果図 試験例1、2の結果を説明する図
符号の説明
1 微細空間
2 展開層
3 開放部
4 標識試薬部
5 試薬固定化部
6 液体不透過性シート材
7 基板
8 微細空間形成材
9 細胞収縮試薬部

Claims (10)

  1. 不溶性粒状マーカーを用いるバイオセンサにおいて、前記不溶性粒状マーカーが1または複数の粒子群よりなり、その粒子群の主ピークが平均粒径15から100nmの範囲にあることを特徴とするバイオセンサ。
  2. 不溶性粒状マーカーは1種類の材料からなることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 不溶性粒状マーカーは、検査対象物質に対して特定の親和性を持った特異的タンパク質を標識して複合体を形成していることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  4. 被検査液を展開する展開層とこの展開層上に設けられた標識試薬部と固定化試薬部とを少なくとも有しており、前記標識試薬部に不溶性粒状マーカーと特異的タンパク質との複合体が配置されていることを特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  5. 特異的タンパク質は免疫反応に関与する物質であることを特徴とする請求項4記載のバイオセンサ。
  6. 免疫反応が抗原抗体反応であることを特徴とする請求項5記載のバイオセンサ。
  7. イムノクロマトグラフィ試験片であることを特徴とする請求項5記載のバイオセンサ。
  8. 不溶性粒状マーカーが金属コロイドであることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のバイオセンサ。
  9. 金属コロイドが金コロイドであることを特徴とする請求項8記載のバイオセンサ。
  10. バイオセンサに用いられる不溶性粒状マーカーであって、1または複数の粒子群よりなり、その粒子群の粒度分布の主ピークが平均粒径15から100nmの範囲にあることを特徴とするバイオセンサ用不溶性粒状マーカー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020166699A1 (ja) * 2019-02-15 2020-08-20 東洋紡株式会社 イムノクロマト試験片およびそれを用いた測定方法

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