JP2010090171A - β−グルクロニダーゼ阻害剤 - Google Patents

β−グルクロニダーゼ阻害剤 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性が高く食品や化粧品に適用しやすいβ−グルクロニダーゼ阻害剤を提供すること。
【解決手段】本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)の抽出物を有効成分として含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、β−グルクロニダーゼ阻害剤に関する。より詳細には、フロロタンニンを含むおよび/または海藻由来であるβ−グルクロニダーゼ阻害剤に関する。
近年、内分泌攪乱化学物質であるダイオキシン類、ビスフェノールA(BPA)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などの環境汚染物質が、食物連鎖などを通して、人を含む多くの生体内に入り込み、奇形や発癌などの深刻な生物学的な影響を与えていることが問題になっている。これらの有害物質の生体内代謝としては、例えば、BPAやPCBは、体内に入ると肝臓において水酸化され、さらにグルクロン酸抱合を受けた後、胆汁とともに腸管内に排泄される(非特許文献1および2参照)。また、食品中のタンパク質が焦げることによって生じる発癌性物質であるヘテロサイクリックアミン(HCA)類も、腸管から吸収されて肝臓でグルクロン酸抱合を受けた後、腸管内に排泄される(非特許文献3参照)。さらに、いくつかの抗癌剤も、生体内で抗癌活性を発揮した後、肝臓でグルクロン酸抱合を受け、腸管内に排泄される(非特許文献4参照)。また、赤血球の代謝産物であるビリルビンも、肝臓でグルクロン酸抱合を受けた後、腸管内に排泄される(非特許文献5および6参照)。
このように、多くの生体にとって有害な物質または不要になった物質は、肝臓でグルクロン酸抱合を受けて極性が高められた後、胆汁中に排泄され、腸管内を経て体外へ排泄されている。ところが人の腸内に棲息する腸内細菌の有するβ−グルクロニダーゼにより、グルクロン酸抱合体は加水分解され、脱抱合する。脱抱合した物質は、極性が低くなるため、下部消化管より再度吸収されて体内循環し、再び肝臓で代謝/抱合を受けて腸管に排泄される(腸肝循環)。このような腸肝循環により、有害もしくは不要物質は長期にわたり生体内に留まり、遺伝子の変異、発癌などの生体にとって不利益な影響を及ぼす。
そのため、生体に有害または不要な物質の代謝排泄を抑制する(皮膚あるいは腸内などに常在する微生物由来の)β−グルクロニダーゼを阻害することにより、これらの有害または不要な物質の生体外への代謝排泄を促進することができる。したがって、β−グルクロニダーゼを阻害することにより、発癌や抗癌剤による副作用を防止または軽減できると考えられ、これまでにいくつかのβ−グルクロニダーゼ阻害剤が考案されている。例えば、特許文献1には、放線菌ストレプトバーチシリウム属菌株の生産するβ−グルクロニダーゼ阻害物質が開示されている。また、特許文献2には、生薬オウゴンおよびケイガイの成分に由来するβ−グルクロニダーゼ阻害剤が開示されている。さらに、特許文献3には、皮膚に常在する微生物由来のグルクロニダーゼによって生じる不快な体臭を防止するためのβ−グルクロニダーゼ阻害剤が開示されている。
しかし、これらのβ−グルクロニダーゼ阻害剤、例えば、上記特許文献1に開示されている放線菌などの微生物が産生するβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、微生物が産生する抗生物質や抗癌作用を示す未知物質を含むことが多いため、予防目的で日常的に摂取もしくは服用するには問題がある。同様に、上記特許文献2に開示される漢方薬成分であるオウゴンおよびケイガイも、予防の目的のみで日常的に服用するには問題がある。
なお、近年、健康に対する人々の関心がますます高まっている。このような状態において、体内のβ−グルクロニダーゼ活性を阻害することも重要な関心の1つとなりつつある。普段の生活でβ−グルクロニダーゼ活性の阻害をより容易に達成し得る手段を提供することは、今後より多く所望されるところであり、そのような手段の提供が期待されている。
特開平4−304891号公報 特開平5−43469号公報 特開2002−255776号公報 特開2004−189648号公報
日本内分泌攪乱化学物質学会 第4回研究発表会要旨、2001年 厚生労働省、第7回内分泌かく乱物質の健康影響検討会・議事録、1999年 ケミカル・リサーチ・オブ・トキシコロジー(Chemical Research of Toxicology),第6巻,pp.846-851,1993年 医薬品の開発,廣川書店,第18巻,pp.53-59,pp.153-156,1990年 「チャート内科5 消化器・アレルギー 膠原病」,医学評論社,1998年,p.135 「ハーパーズ・バイオケミストリー(Harper's Biochemistry)」,アップレトン(Appleton)およびランゲ(Lange),ユーエスエー コネチカット(USA Connecticut),第24版,1996年,p.351
本発明は、安全性が高く食品や化粧品に適用しやすいβ−グルクロニダーゼ阻害剤を提供することを目的とする。さらに、β−グルクロニダーゼの活性をより効果的に阻害し得るとともに、その摂取が容易な飲食物を提供することを目的とする。
発明者らは、上記のような目的を達成するため、食品として用いられる多くの植物に関してβ−グルクロニダーゼ阻害活性を探索した結果、特定の海藻およびその抽出物が優れたβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有することを見出した。さらに、この抽出物がフロロタンニンを含有しており、このフロロタンニンがβ−グルクロニダーゼ阻害活性に寄与することを見出し、本発明を完成した。
本発明は、フロロタンニンを有効成分として含有する、β−グルクロニダーゼ阻害剤を提供する。
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは海藻由来である。
さらなる実施態様では、上記海藻は、海藻抽出物であり、そして該抽出物は、該抽出物に含まれる固形分の質量を基準として前記フロロタンニンを15質量%以上の割合で含有する。
さらなる実施態様では、上記海藻は、褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Laminaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);ならびに褐藻類ながまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);からなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明はまた、褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Laminaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);ならびに褐藻類ながまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);からなる群より選択される少なくとも1種の海藻または該海藻の抽出物を有効成分として含有する、β−グルクロニダーゼ阻害剤を提供する。
1つの実施態様では、上記海藻または該海藻の抽出物は、該海藻の熱水および/またはエタノール抽出物である。
さらなる実施態様では、上記海藻の抽出物は、上記海藻の熱水抽出物にC1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液を加えることによって調製される50(v/v)%以上の該C1〜C3アルコールを含むアルコール液の可溶性画分である。
ある実施態様では、上記海藻の抽出物は、上記可溶性画分を、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を用いるカラムクロマトグラフィーに供することにより得られる画分である。
特定の実施態様では、上記海藻の抽出物は、上記カラムクロマトグラフィーにおいて40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液で溶出される画分である。
本発明はまた、β−グルクロニダーゼ阻害剤の製造方法を提供し、該方法は、
褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Laminaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);ならびに褐藻類ながまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);からなる群より選択される少なくとも1種の海藻を、60℃から100℃の熱水を用いて熱水抽出物を得る工程;
該熱水抽出物に、C1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液を加えて、50(v/v)%以上の該アルコールを含有するC1〜C3アルコール液を調製する工程;および
該C1〜C3アルコール液の上清を回収する工程;
を包含する。
1つの実施態様では、上記方法は、さらに、上記上清を濃縮して、該上清の濃縮物を得る工程;および該上清の濃縮物を、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を用いるカラムクロマトグラフィーに供する工程;を包含する。
特定の実施態様では、上記カラムクロマトグラフィー工程において、溶出液として40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液を用いる。
本発明はさらに、上記のいずれかに記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含有する、化粧料組成物を提供する。
本発明はまた、固形分含量に換算して2質量%以上のフロロタンニンを添加してなる、飲食物を提供する。
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは90質量%以下である。
本発明はさらに、固形分含量に換算して7質量%以上のフロロタンニンを含有する、飲食物を提供する。
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは90質量%以下である。
本発明はまた、固形分含量に換算して0.1質量%以上のフロロタンニンを添加してなる、液体飲料を提供する。
1つの実施態様では、上記フロロタンニンは10質量%以下である。
本発明はさらに、β−グルクロニダーゼに起因する発癌や抗癌剤による副作用を防止または低減するものである旨の表示を付した飲食品を提供し、該飲食品は、フロロタンニンを有効成分として含有する。
本発明はまた、β−グルクロニダーゼに起因する発癌や抗癌剤による副作用を防止または低減するものである旨の表示を付した飲食品を提供し、該飲食品は、海藻または該海藻の抽出物を有効成分として含有し、該海藻は、褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Lamiaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyolis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undatia peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizilia fusiforme)、およびアカモク(Saegassum horneri);ならびに褐藻類まがまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);からなる群より選択される少なくとも1種の海藻である。
本発明によれば、遺伝子の変異、発癌などの生体にとって不利益な影響を及ぼすあるいは不快な体臭の原因といわれる、生体内のβ−グルクロニダーゼの阻害剤が提供される。本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、主として食品として用いられ得る海藻に由来し得るため、安全性が高い。したがって、日常的な使用が可能であり、種々の形態の飲食物として提供され得る。そのため、健康に対する人々の要求に対して、より広範に満足させることができる。
凍結乾燥したアラメ抽出物についての、抽出回数とフロロタンニン含量との関係を示すグラフである。(実施例17)
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、1つの局面では、フロロタンニンを有効成分として含有する。
フロロタンニンは、ポリフェノールの1種であり、フロログルシノールを基本骨格単位とする、フロロタンニン類全体を包含する化合物の総称である。フロロタンニンの生理作用としては、抗菌作用、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、および抗ウイルス作用が知られている(特許文献4)。しかし、フロロタンニンがβ−グルクロニダーゼの活性を阻害することは、これまでには全く知られておらず、本発明によって初めて明らかになった。
本発明に用いられるフロロタンニンは、好ましくは20,000以上150,000以下、より好ましくは30,000以上100,000以下の平均分子量を有する。本発明に用いられるフロロタンニンは、1種類の当該フロロタンニン類または複数の当該フロロタンニン類でなる混合物のいずれであってもよい。本発明に用いられるフロロタンニンは、市販されているもの、化学的に合成したもの、あるいは種々の天然物から抽出および単離したもののいずれであってもよい。好ましくは、海藻由来のフロロタンニン(海藻タンニン)である。
このようなフロロタンニンを含有する海藻の例としては、褐藻類こんぶ目こんぶ科、褐藻類こんぶ目ちがいそ科、褐藻類ひばまた目ほんだわら科、または褐藻類ながまつも目もずく科に属する海藻が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に好適に用いられる特定の海藻の例としては、褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Laminaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);ならびに褐藻類ながまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);が挙げられる。本発明に用いられる海藻としては、特に、海藻自体の生産量が比較的多く入手が容易であり、かつ後述するβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有する抽出物の画分を得やすいという理由から、アラメ、クロメ、ワカメ、およびヒジキが好ましい。これらの海藻からの抽出物については、以下で詳述する。
本明細書において、海藻とは、これらの海藻の根、茎、および葉を含む全草およびその断片または細片、ならびにこれらの乾燥物およびその粉末などを意味する。好ましくは、乾燥粉末である。
また、本発明において、海藻の抽出物とは、上記の海藻から水、あるいは極性または非極性の溶媒、あるいはこれらの混合物により適切な条件で抽出される抽出物を意味する。抽出物の形態は特に限定されず、液状物、あるいは抽出液を当業者が通常用いる手段により濃縮または乾燥することによって得られる粉末またはペースト状物も含まれる。
抽出に用いられ得る溶媒としては、水、好ましくは熱水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状および環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ピリジン類などが挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。好ましくは、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、ブタノールなど)、アセトン、酢酸エチル、またはこれらの2種以上の混合液であり、さらに好ましくは、水、熱水、または低級アルコール単独、あるいは水または熱水と低級アルコールとの混合液である。
抽出の条件(溶媒の量、温度、時間など)は、特に制限されない。抽出に用いる海藻は、どのような形態であってもよいが、抽出効率を考慮すると、好ましくは、乾燥粉末である。例えば、抽出溶媒の量は、好ましくは、海藻に対して5〜50倍容量/乾燥質量、より好ましくは10〜30倍容量/乾燥質量である。抽出温度は、使用する溶媒の種類に応じて異なるが、通常は、室温〜溶媒の沸点である。抽出時間も、使用する溶媒の種類、量、および抽出温度によって変動し得る。例えば、室温で使用する場合、1〜48時間、好ましくは6〜24時間であり得、溶媒の沸点付近で使用する場合は、1〜60分間程度であってもよい。さらに、1種類の抽出溶媒による単回抽出でもよく、あるいは、異なる種類の溶媒を用いて複数回抽出してもよい。具体的には、海藻の乾燥質量の約20倍容量の熱水で約10分間抽出し、さらに同量のエタノールを加えて混合し、濾過した後、その濾液を抽出物とすることもできる。
ここで、より好適な海藻の抽出物について詳述する。
本発明において、より好適な海藻の抽出物は、上述の特定の海藻から熱水粗抽出物を得、次いで、これにC1〜C3アルコールまたはアルコール水溶液を加えて得られるアルコール液の上清から得られ得る。
上記熱水粗抽出物は、上記の特定の海藻から熱水を用いて抽出することによって得られる。抽出方法は、特に限定されないが、通常は、熱水中に所定の時間浸漬することによって行われる。
この浸漬において、海藻と熱水との量比は特に限定されないが、例えば、海藻100g(乾燥重量)に対して、好ましくは1リットル〜10リットル、より好ましくは2リットル〜5リットルの熱水が使用される。
浸漬に使用される熱水の温度(抽出温度)は、好ましくは60℃〜100℃、より好ましくは80℃〜100℃、さらに好ましくは90℃〜100℃である。なお、上記海藻を浸漬している間は、本発明における有効成分がより抽出されやすくする目的で、熱水の温度を低下させないように、当業者が通常用いる手段を用いて加熱することにより、温度を維持することが好ましい。
熱水中に浸漬する時間(抽出時間)は、抽出温度によって変化するため、必ずしも限定されないが、例えば、熱水をほぼ100℃に維持する場合、好ましくは1分間〜120分間、より好ましくは10分間〜60分間である。抽出時間をこのような範囲内で行うことにより、本発明に用いられる有効成分がより効率よく抽出され得るとともに、不要物の過度の抽出を防止することができる。
上記浸漬の後、例えば、室温まで放冷され、濾過または遠心分離により海藻が除去される。こうして熱水粗抽出物を得ることができる。なお、得られた熱水粗抽出物は、その後、予め不純物を除去する目的で、ヘキサン、クロロホルムなどの有機溶媒と合わせ、有機層を除去した水層であってもよい。さらに、得られた熱水粗抽出物は、後述の工程にそのまま用いられてもよく、あるいは必要に応じて当業者が通常用いる手段によって水分を蒸発させた乾固物またはペースト状物の状態で用いられてもよい。
次いで、当該熱水粗抽出物に、C1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液を加えて、好ましくは50(v/v)%以上、より好ましくは60(v/v)%〜98(v/v)%のC1〜C3アルコールを含むC1〜C3アルコール液が調製される。なお、調製されるC1〜C3アルコール液のアルコール濃度は、このような範囲において、当業者によって任意に設定され得る。例えば、使用する海藻の種類、使用部位、産地、採取時期、採取後の保存状態等によって、本発明において重要なβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有する成分含量が変動することがある。したがって、当業者は、このような条件に応じて、C1〜C3アルコール液の濃度をこのような範囲内で任意に設定することができる。
より具体的には、当該熱水粗抽出物を、1個〜3個の炭素原子を有するアルコールまたは所定濃度に調製された1個〜3個の炭素原子を有するアルコール水溶液(含水アルコール)と合わせることによって、上記のようなアルコール濃度を有するC1〜C3アルコール液が調製される。このような操作において使用可能な1個〜3個の炭素原子を有するアルコールの例としては、メタノール、エタノール、またはプロパノール、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。生体に対する安全性を考慮すると、エタノールを用いることが好ましい。このようなアルコールまたは含水アルコールの使用量は、合わせる熱水粗抽出物の量によって変化するため、特に限定されない。
次いで、このC1〜C3アルコール液の上清を分取することによって、C1〜C3アルコール液に可溶性の画分を得る。
上記のアルコール濃度に設定されたアルコール液を調製することにより、当該アルコール液に不溶物質の沈殿が生じる場合がある。上清の分取は、主としてこの沈殿物を除去する目的で行われる。上清は、当業者が通常行う手段(例えば、濾過または遠心分離)によって取り出される。
得られた上清は、必要に応じて、液−液分配などの手段により、不活性な夾雑物を除去してもよい。さらに、必要に応じて、当業者が通常用いる手段によって、脱臭、脱色などの処理を施してもよい。こうして得られた上清(可溶性画分)は、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤の主成分である海藻の抽出物としてそのまま用いられ得る。
上記海藻の抽出物は、β−グルクロニダーゼ阻害活性を高める目的で、さらに精製が行われてもよい。この精製は、例えば、上記の上清を、当業者が通常用いる手段を用いて濃縮した後、好ましくは40(v/v)%〜90(v/v)%、より好ましくは50(v/v)%〜80(v/v)%のC1〜C3アルコール(好ましくはエタノール)水溶液を用いるカラムに通すことによって行われる。このカラムクロマトグラフィーに有用な吸着剤は、好ましくは芳香族系吸着剤であり、より具体的な例としては、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤が挙げられる。スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤は、例えば、ダイヤイオンHP20という商品名で三菱化学株式会社より市販されている。なお、本発明においては、β−グルクロニダーゼ阻害活性をさらに高める目的で、上記C1〜C3アルコール水溶液を用いる精製を行う前に、上記カラムに対し、水(例えば、蒸留水)を用いて予備的な精製を行うことが好ましい。さらに、この水を用いる予備的な精製は複数回に分けて行うことが好ましい。
上記クロマトグラフィーを行うことにより、β−グルクロニダーゼ阻害活性がより高められた画分を海藻の抽出物として得ることができる。こうして得られた画分は、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤としてそのまま使用することができる。
こうして得られた海藻の抽出物は、上述のようにさらに濃縮または乾燥してもよい。
上記のような熱水粗抽出物、アルコール液上清、精製画分などを含む海藻の種々の抽出物は、該抽出物に含まれる固形分の質量を基準として、フロロタンニンを、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%〜100質量%、さらにより好ましくは30質量%〜99質量%、さらにより好ましくは60質量%〜99質量%、よりさらに好ましくは70質量%〜99質量%の割合で含有する。ここで、本明細書中で用いられる用語「抽出物中に含まれる固形分の質量」とは、上記抽出物を構成する液体成分を除去(例えば、蒸発させる)ことにより、固体成分として残存し得る物質の質量をいう。当該抽出物がこのような範囲内におけるフロロタンニン含量を満足する場合、より強力なβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有する。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、他の局面では、上記の特定の海藻または該海藻の抽出物を主成分とする。
ここで、特定の海藻とは、褐藻類こんぶ目こんぶ科のマコンブ(Laminaria japonica)、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)、サガラメ(Eisenia arborea)、ツルアラメ(Ecklonia stlonifera)、クロメ(Ecklonia kurome)、カジメ(Ecklonia cava)、ワカメ(Undaria pinnatifida)、アオワカメ(Undaria peterseniana)、ヒロメ(Undaria undarioides)、アイヌワカメ(Alaria praelomga)、およびチガイソ(Alaria crassifolia);褐藻類ひばまた目ほんだわら科のホンダワラ(Sargassum fuluvellum)、ヒジキ(Hizikia fusiforme)、およびアカモク(Sargassum horneri);ならびに褐藻類ながまつも目もずく科のモズク(Nemacystus decipieus)およびオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus);からなる群より選択される少なくとも1種の海藻をいう。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤の主成分となる海藻とは、これらの海藻の根、茎、および葉を含む全草およびその断片または細片、ならびにこれらの乾燥物およびその粉末などであり、好ましくは、乾燥粉末である。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤の主成分となる海藻の抽出物とは、特定の海藻に由来する種々の抽出物をいい、代表的には、これらの海藻の熱水および/またはエタノール抽出物が挙げられる。具体的には、上記のような熱水粗抽出物、アルコール液上清、カラムクロマトグラフィー精製画分などが挙げられる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、上記のいずれの局面においても、必ずしもインビボまたはインビトロのいずれかに限定されることなく、β−グルクロニダーゼ活性の阻害を目的とする用途において広範に利用され得る。すなわち、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、例えば、健康食品などの食品組成物に添加される添加物の一種として使用されてもよく、家畜または養殖魚などの生産分野に利用される飼料組成物として、そのままあるいは他の飼料用材料と組み合わせて使用されてもよく、化粧品などの化粧料組成物として、そのままあるいは他の化粧品材料と組み合わせて使用されてもよく、あるいは医薬品、医薬部外品などの医薬組成物として、そのままあるいは他の医薬組成物と組み合わせて使用されてもよい。このように、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、フロロタンニン、あるいは海藻またはその抽出物を主成分とし、阻害剤としてそのままの形態で用いてもよく、あるいは、種々の賦形剤や添加剤などとともに、または他の種々の活性成分とともに、「β−グルクロニダーゼ阻害活性を有する組成物」として用いられ得る。なお、本明細書において、「β−グルクロニダーゼ阻害活性を有する組成物」とは、本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含み、β−グルクロニダーゼ阻害活性を発揮し得る組成物をいう。このような組成物としては、好ましくは、食品組成物、医薬組成物、および化粧料組成物が挙げられる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を使用する場合、その含有される割合は、β−グルクロニダーゼ阻害活性が発揮され得る割合であれば、特に限定されない。通常は、β−グルクロニダーゼ阻害剤を含有する組成物全量に対して、β−グルクロニダーゼ阻害剤を0.0001〜99質量%、好ましくは0.001〜50質量%、より好ましくは0.001〜20質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%の範囲である。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、種々の使用形態に応じてそれらを調製する際に一般的に使用される各種成分と共に使用される。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤が化粧料組成物として使用される場合、化粧料の調製に通常用いられる成分が用いられ得る。このような成分としては、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、香料、着色料、薬剤などが挙げられる。これらの成分を必要に応じて1または2以上含むことができる。化粧料組成物の形態は特に限定されず、ローション、乳液、クリーム、パウダーなどが挙げられる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤が医薬組成物として使用される場合、医薬品の調製に通常用いられる成分が用いられ得る。このような成分としては、薬学的に受容可能な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香料、着色剤、コーティング剤などが挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物の形態は、特に限定されないが、通常、日本薬局方の記載の種々の投与剤形に加工される。経口投与を目的とする医薬組成物の場合、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、徐放剤、溶液剤、シロップ剤、乳剤などが挙げられる。非経口投与を目的とする医薬組成物の場合、注射剤、軟膏剤、ローション剤などが挙げられる。用量は、対象となる者の体重などの種々の条件によって変動するため、当業者によって適宜選択され得る。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤が食品組成物として使用される場合、食品分野で通常使用される食品原料が用いられ得る。例えば、水;アルコール;食肉加工品;米、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、スイートポテト、大豆、コンブ、ワカメ、テングサなどの一般食品材料およびそれらの粉末;デンプン、コーンスターチ、水飴、ラクトース、果糖、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトールなどの糖類;リンゴファイバー、大豆ファイバーなどの食物繊維;肉エキス;黒酢エキス;ゼラチン;蜂蜜;動植物油脂;香辛料;ビタミン類、保存料、デキストリン、着色剤、潤沢剤、乳化剤、懸濁化剤、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、甘味料、香味剤、ポリビニルピロリドン、および結晶性セルロースなどの食品添加物などの食品原料が挙げられる。さらに、必要に応じて他の生理活性成分や薬剤(漢方薬を包含する)を含んでいてもよい。このような他の成分および/または他の薬剤の含有量は、特に限定されず、当業者は、β−グルクロニダーゼ阻害活性を妨げることのない適切な成分および量を選択することができる。
本発明の食品組成物は、食用に供されるものであり、例えば、後述するような本発明の飲食物であってもよい。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤を含む組成物は、その使用形態に応じて当該分野で用いる方法によって製造され、その形態に応じた方法で適宜に適量摂取または適用することができる。
次に本発明の飲食物について説明する。
本発明の飲食物は、通常、食用に供されるもの全般を指し、その形態はどのようなものであってもよく、固形の食品に限定されず、飲料(例えば、液体飲料)も包含される。
ここで、本明細書中で用いられる用語「飲食物」とは、摂取にあたり咀嚼を要するものおよび要しないもののいずれをも包含する食品全般をいい、ペースト状、固形状、ゼリー状などのいずれの形態をも包含する。飲食物の具体的な例としては、キャンディ、クッキー、ビスケットなどの菓子類;シロップ類;乾燥果実、乾燥野菜などの果実または野菜加工品;沢庵、キムチなどの漬物類;ビーフジャーキー、ハンバーグ、ハム、ソーセージなどの畜肉または魚肉製品;ラーメン、うどん、蕎麦、パスタ、素麺などの麺類;食パン、フランスパン、あんぱん、惣菜パンなどのパン類;大福、草もちなどの餅類;フルーツ缶詰などの缶・ビン詰類;ゼリー;アイスクリーム;栄養補助食品などのサプリメント;などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、この「飲食物」には、人を対象とするものに加え、家畜または養殖魚などの生産分野に利用される飼料をも包含する。
本発明の飲食物の第一の例としては、フロロタンニンを含有するものが挙げられる。
本発明の飲食物に用いられるフロロタンニンは、上記本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤に用いられ得るものと同様である。
フロロタンニンの含有量の上限は特に限定されないが、固形分含量に換算して、該飲食物中に好ましくは90質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。これに対し、フロロタンニンの含有量の下限は、フロロタンニンを上記のような食品組成物に用いられ得る食品原料に添加する場合と、それ以外の場合とによって異なる。
例えば、上記食品原料に、フロロタンニンを添加して本発明の飲食物を構成する場合、該フロロタンニンの含有量の下限は、固形分含量に換算して、2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、さらにより好ましくは7質量%以上、またさらに好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上、またさらに好ましくは20質量%以上である。他方、添加する以外で本発明の飲食物を構成する場合の該フロロタンニンの含有量の下限は、固形分含量に換算して、7質量%以上、好ましくは8質量%以上である。
ここで、本発明に用いられる用語「フロロタンニンを添加する」とは、上記のような食品原料とフロロタンニンまたは該フロロタンニンを含有する上記海藻抽出物とを混合または混在させることを意味し、食品原料中にフロロタンニンを仕込む場合、ならびにフロロタンニン中に食品原料を仕込む場合のいずれをも包含する。
上記のように、本発明に用いられるフロロタンニンはそれ自体、例えば、優れたβ−グルクロニダーゼの活性を阻害するなどの優れた効果を発揮する。このようなフロロタンニン自体が有する独自の効果を飲食物中でより効率よく発揮させるためには、飲食物において上記海藻の形態のまま含有させるよりも、上記海藻などから一旦取り出されたフロロタンニン自体を含有させる方が好適である。なぜなら、一般に消化しづらいと言われている海藻をその形態のまま使用する場合では、飲食物として摂取された後、所定時間内に生体内で溶出されるフロロタンニンの量は、摂取された海藻自体に含まれるフロロタンニン量と比較しても低くなり、そして上記効果を発揮するまでに多くの時間を要することが予想されるからである。具体的には、海藻の形態で摂取された場合、まず海藻自体の消化に時間を要する。また、フロロタンニンは一旦生体内で該海藻から溶出されなければならない。さらに、この生体内で生じる溶出は、通常、体温(約37℃)という比較的マイルドな溶出温度で行われ、かつ上述のような海藻からフロロタンニンを取り出す際に用いられ得る熱水、アルコールなどの(生体内と比較して)過酷な溶出溶媒も存在しない。よって、このような生体内でのフロロタンニンの溶出には時間を要し、その溶出量も充分とはいえないため、フロロタンニンが有する独自の効果を早期に発揮させることが比較的困難になることが考えられる。
したがって、上記のように、食品原料にフロロタンニンを直接添加する場合では、生体内における抽出効率を考慮する必要がなく、上記のような比較的低い含有量に設定したとしても、短時間での所望の効果を発揮させる(即効性を向上させる)ことが期待できる。
これに対し、フロロタンニンを添加する場合以外で本発明の飲食物を構成する場合(例えば、本発明の飲食物において、フロロタンニンを上記海藻抽出物の形態で使用し、これをゼラチンなどで被包したサプリメントとする場合)は、上記のような生体内での抽出効率を考慮して、当該フロロタンニンが有する独自の効果をより発揮し易くさせる目的で、通常の海藻中に含まれるフロロタンニン含量(例えば、乾燥クロメでは多くて6質量%のフロロタンニンを含有すると言われている)よりも高く設定することが好ましい。
なお、本発明の液体飲料もまた、上記フロロタンニンを含有する。ここで、本明細書中で用いられる用語「液体飲料」とは、摂取にあたり咀嚼を要しない食品全般をいい、常温において液状の形態を保持し得るものを包含する。液体飲料の具体的な例としては、果実飲料、茶飲料、コーヒー飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
本発明の液体飲料に用いられるフロロタンニンもまた、上記本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤に用いられ得るものと同様である。本発明の液体飲料は、上記食品原料にフロロタンニンを添加することにより構成されている。
本発明の液体飲料に用いられるフロロタンニンの含有量の下限は、0.1質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらにより好ましくは2質量%以上である。これに対し、フロロタンニンの含有量の上限は特に限定されないが、固形分含量に換算して、該液体飲料中に好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
あるいは、上記のような一般食品とは別に、本発明の飲食物の第二の例としては、上記フロロタンニン、海藻または海藻抽出物を有効成分として含有させることにより、該有効成分が有するβ−グルクロニダーゼ阻害作用を利用した各種機能を有する旨の表示を付した食品が挙げられる。このような機能を有する旨の表示を付した食品の具体的な例には、特定保健用食品および特別用途食品が包含される。表示に付されるべき機能の例としては、その表現方法自体は特に限定されないが、β−グルクロニダーゼの活性を阻害する;皮膚に常在する微生物由来のグルクロニダーゼによって生じる体臭の発生を防止または低減する;腸肝循環を低下または防止する;β−グルクロニダーゼに起因する発癌や抗癌剤による副作用を防止または軽減する;β−グルクロニダーゼに起因する有害または不要な物質の生体外への代謝排泄を促進する;などが挙げられる。表示は、使用者にとって上記のような機能が実質的に理解され得る様式で表されておればよく、例えば、当該飲食物の外装または内装パッケージ、商品カタログ、パンフレット、ポスターなどに対して行われ得る。
(実施例1:海藻のエタノール抽出物の調製)
凍結乾燥した各海藻(アラメ、ワカメ、ワカメメカブ、コンブ、ヒジキ、アカモク、オキナワモズク、ホンダワラ、およびスギノリ)10gをミキサーにかけて乾燥粉末を調製した。この2gにエタノール40mLを加え、常温にて16時間抽出を行った。抽出液を濾過して抽出残渣を取り除き、濾液を減圧濃縮乾固した。残渣に20mLの水を加えて懸濁した後、凍結乾燥して、各海藻のエタノール抽出物を得た。
(実施例2:海藻のエタノール抽出物のβ−グルクロニダーゼ阻害活性の測定)
p−ニトロフェニル−β−D−グルクロニド(PNG)(和光純薬工業株式会社製)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、10mMのPNG溶液を調製した。大腸菌由来β−グルクロニダーゼ(和光純薬工業株式会社製)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、0.25Uのβ−グルクロニダーゼ(βGL酵素)溶液を調製した。上記実施例1で得た各種海藻のエタノール抽出物の10mgを量りとり、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して200μg/mLのサンプル溶液を調製した。
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)1.9mL、各サンプル溶液(コントロールは、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0))0.2mL、および10mMのPNG溶液0.1mLを試験管に入れ、37℃で予め加温した。これに0.25UのβGL酵素溶液(各サンプルまたはコントロールに対するブランクの場合は、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0))0.3mLを添加し、37℃にて20分間酵素反応を行った。1N塩酸0.5mLを添加して反応を停止した後、各反応液の波長405nmの吸光度を分光光度計にて測定した。コントロールの吸光度Ac、サンプルの吸光度As、ならびに対応するそれぞれのブランクの吸光度をAcbおよびAsbとして、下記式にて阻害率(%)を算出した:
阻害率(%)={1−(As−Asb)/(Ac−Acb)}×100
結果を表1に示す。なお、参照として、海藻中に含まれる硫酸多糖類であるフコイダン(シグマ社製)の200μg/mL溶液についても同様に阻害率を測定した。
Figure 2010090171
表1に示すように、アラメ、オキナワモズク、アカモク、ワカメ(特にメカブ)などの抽出物では、β−グルクロニダーゼの阻害率が非常に高かった。しかし、コンブの抽出物では、β−グルクロニダーゼは、あまり阻害されなかった。オキナワモズクやワカメメカブを原料とするフコイダンも、β−グルクロニダーゼ阻害活性は弱かった。このことから、特定の海藻のエタノール抽出物が、非常に高いβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有することがわかった。
次に、アラメおよびワカメメカブのエタノール抽出物の10mgを量りとり、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)1mLに溶解して、10mg/mLのサンプル溶液を調製した。さらに、これらのサンプル溶液を、それぞれ0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)にて1/2段階希釈を行って、種々の濃度の評価サンプルを調製した。上記と同様にしてβGL酵素活性を測定し、50%阻害濃度(IC50)値を算出した。
その結果、アラメのエタノール抽出物のIC50は、1μg/mLであり、そしてワカメメカブのエタノール抽出物のIC50は、40μg/mLであった。
(実施例3:アラメ熱水抽出50%エタノール上清画分の調製)
凍結乾燥したアラメ10gをミキサーにかけ乾燥粉末を調製した。この2gに蒸留水40mLを加え、100℃にて10分間加熱抽出を行った。抽出液を濾過して抽出残渣を取除き、濾液として得た熱水抽出液に同量のエタノールを添加した(エタノール濃度50(v/v)%)。この50(v/v)%エタノール液は、沈澱を生じたので濾過して、沈澱物をアラメ熱水抽出50%エタノール沈澱画分として回収し、濾液をもとの液量の1/10容量まで減圧濃縮し、凍結乾燥して、アラメ熱水抽出50%(v/v)エタノール上清画分を得た。得られたそれぞれの画分について、実施例2と同様にして、β−グルクロニダーゼ阻害活性を測定した。アラメ熱水抽出50%エタノール上清画分のβ−グルクロニダーゼ阻害活性は97%と非常に高かったのに対して、アラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール沈澱画分のβ−グルクロニダーゼ阻害活性は、8%と弱かった。このことから、アラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分は、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害剤であることが明らかになった。
(実施例4:経口投与動物実験)
マウス(Crj:CD−1(ICR)、5週齢、日本チャールスリバー)一群5匹に、実施例3で調製したアラメ熱水抽出50%エタノール上清画分の10mg/mL水懸濁液を7日間反復経口投与(0.3mL/10g体重)した。対照群には、水を投与した。投与開始前および7日間の投与終了後の各群の糞便を回収し、凍結保存した。凍結保存した糞便の0.5gを量りとり、2.5mLの0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)に懸濁し、濾液をβ−グルクロニダーゼ活性測定用のサンプルとした。糞便中のβ−グルクロニダーゼ活性測定は、TAKADAら(CANCER RESEARCH,42巻,331-334頁,1982年)の方法に従った。このサンプル0.2mLを遠心チューブにとり(ブランクは0.1M酢酸緩衝液(pH5.5))、0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)で調製した10mMフェノールフタレイングルクロニド(和光純薬製)溶液0.1mL、および0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)0.7mLを加え、37℃にて30分間反応を行った。反応終了後、10,000rpmにて10分間遠心分離し、その上清の波長540nmの吸光度(OD540)を分光光度計にて測定した。各群における投与前後のサンプルのOD540からブランクの値を差し引いた値を、β−グルクロニダーゼ活性の指標とし、投与前の活性を100%とした場合の、投与後のβ−グルクロニダーゼ活性を求めた。その結果、マウス糞便中のβ−グルクロニダーゼ活性は、アラメ熱水抽出50%エタノール上清画分投与群では投与前の64%であり、そして対照群では104%であった。このように、アラメ抽出物投与群では、糞便中のβ−グルクロニダーゼ活性が阻害されていることがわかった。
この結果から、インビトロにおいてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示すアラメ抽出物は、インビボにおいても同様にβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示すことが明らかになった。
(実施例5:アラメ熱水抽出90%エタノール上清画分の調製)
凍結乾燥した100gのアラメをミキサーにかけ、乾燥粉末を調製した。これに2Lの蒸留水を添加し、100℃にて10分間加熱して抽出を行った。抽出液を濾過して抽出残渣を取り除いて、熱水粗抽出液(700mL)を得た。次いで、得られた熱水粗抽出液のうち、ビーカーに取り分けた100mLの当該抽出液にエタノールを添加して、90(v/v)%のエタノール液を調製した。その後、得られたエタノール液を濾過して上清のみを取り出した。次いで、この上清を減圧濃縮かつ凍結乾燥して、1.1gの凍結乾燥物(1)を得た。
得られた凍結乾燥物(1)の10mgを正確に量りとり、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して10mg/mLのサンプル溶液(1)を調製した。このサンプル溶液(1)について、上記実施例2と同様にしてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を測定し、β−グルクロニダーゼのIC50を算出した。得られたIC50を以下の表2に示す。
(実施例6:アラメ熱水抽出60%エタノール上清画分の調製)
90(v/v)%のエタノール液を調製する代わりに、上記実施例5で得られた熱水粗抽出液のうち、ビーカーに取り分けた100mLの当該抽出液にエタノールを添加して、60(v/v)%のエタノール液を調製し、実施例5と同様の操作を行って1.2gの凍結乾燥物(2)を得た。次いで、この凍結乾燥物(2)について、実施例5と同様にしてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を測定し、IC50を算出した。得られたIC50を以下の表2に示す。
(実施例7:アラメ熱水抽出40%エタノール上清画分の調製)
90(v/v)%のエタノール液を調製する代わりに、上記実施例5で得られた熱水粗抽出液のうち、ビーカーに取り分けた100mLの当該抽出液にエタノールを添加して、40(v/v)%のエタノール液を調製し、実施例5と同様の操作を行って1.7gの凍結乾燥物(3)を得た。次いで、この凍結乾燥物(3)について、実施例5と同様にしてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を測定し、IC50を算出した。得られたIC50を以下の表2に示す。
Figure 2010090171
表2に示すように、実施例5〜7で得られた海藻抽出物の上清画分は、いずれもβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示した。また、エタノール濃度が高いほうが、より阻害活性が強い抽出物が得られることがわかった。
(実施例8:アラメ抽出物の精製画分の調製)
凍結乾燥した100gのアラメをミキサーにかけ、乾燥粉末を調製した。これに、2Lの蒸留水を添加し、100℃にて10分間加熱して抽出を行った。抽出液を濾過して抽出残渣を取り除いて、熱水粗抽出物(700mL)を得た。この熱水粗抽出液にエタノールを添加して、90(v/v)%のエタノール液を調製した。その後、得られたエタノール液を濾過して上清のみを取り出した。次いで、この上清を減圧濃縮して、350mLのエタノール上清画分を得た。この上清画分を350mLのクロロホルムと合わせて、分液抽出して水層を回収した。得られた水層のうち50mLを、スチレン−ジビニルベンゼン吸着剤(ダイヤイオンHP20:三菱化学株式会社製)を充填したカラム(φ3.8cm×30cm)にかけ、溶出液として(A)蒸留水(500mL)、(B)蒸留水(500mL)、(C)30(v/v)%エタノール水溶液(500mL)、(D)60(v/v)%エタノール水溶液(500mL)、および(E)100(v/v)%エタノール(500mL)を用いて順次溶出し、粗画分(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)をそれぞれ500mLずつ回収した。次いで、粗画分(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)から溶媒をそれぞれ減圧下にて留去した後、再度40mLの蒸留水に溶解または懸濁して凍結乾燥し、アラメ精製画分(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)を得た。
次いで、得られたアラメ精製画分(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、6.25ng/mLのサンプル溶液(A)、(B)、(C)、(D)、および(E)をそれぞれ調製した。これらのサンプル溶液を用いて、上記実施例2と同様にしてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を測定し、阻害率(%)を算出した。結果を以下の表3に示す。
(実施例9:アラメのメタノール抽出物の調製)
凍結乾燥した10gのアラメをミキサーにかけ、乾燥粉末を調製した。これにメタノール500mLを加え、常温にて48時間抽出を行った。抽出液を濾過して抽出残渣を取り除き、得られたメタノール抽出液を減圧濃縮して、80mLの濃縮物とした後、当該濃縮物に蒸留水(60mL)およびクロロホルム(160mL)を加え、2層分配抽出して上層を回収した。上層について、さらに酢酸エチル(100mL)で2回抽出して酢酸エチル層を回収した。これに、無水硫酸ナトリウム(30g)を添加して乾燥し、酢酸エチル層を減圧下で濃縮して、メタノール抽出物(F)を得た。
次いで、得られたアラメメタノール抽出物(F)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解して、6.25μg/mLのサンプル溶液(F)を調製した。このサンプル溶液を用いて、上記実施例2と同様にしてβ−グルクロニダーゼ阻害活性を測定し、阻害率(%)を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2010090171
表3からわかるように、実施例8で得られたアラメ精製画分(A)〜(E)および実施例9で得られたアラメメタノール抽出物(F)はいずれも、β−グルクロニダーゼに対する阻害活性を有していた。30(v/v)%エタノール水溶液および60(v/v)%エタノール水溶液を用いてカラムから溶出したアラメ精製画分(C)および(D)(実施例8)は、優れたβ−グルクロニダーゼ阻害活性を有していることがわかる。
また、特に高い阻害率を示したサンプル溶液(D)およびサンプル溶液(F)について、それぞれ上記実施例2と同様に1/2段階希釈を行って、β−グルクロニダーゼの50%阻害率を達成する濃度(IC50)を求めた。その結果、実施例8で得られたアラメ精製画分(D)のIC50値は、125ng/mLであり、実施例9で得られたアラメメタノール抽出物(F)のIC50値は、140ng/mLであった。この結果から、実施例8で得られたアラメ精製画分(D)は、実施例9で得られたアラメメタノール抽出物(F)と同等の阻害率を示していたが、潜在的なβ−グルクロニダーゼ阻害活性は、アラメメタノール抽出物(F)よりもアラメ精製画分(D)の方が優れていることがわかった。
(実施例10:フロロタンニンの定量)
アラメからの抽出物である実施例5〜9で得られた乾燥凍結物(1)〜(3)およびアラメ精製画分(A)〜(E)およびアラメメタノール抽出物(F)を、それぞれ100mgずつ正確に量りとり、各乾燥物または画分の総フロロタンニン量を、フロログルシノールを標準物質として用いるFolin−Denis法(日本食品科学工学会誌,2002年,第49巻、pp.507-511)により測定した。得られたそれぞれの総フロロタンニン含量(質量%)を、表4に示す。
Figure 2010090171
表4に示すように、いずれの抽出物にもフロロタンニンが含まれていた。上記表2のIC50および表3の阻害率の結果と比較した場合、より優れたβ−グルクロニダーゼ阻害活性を示す抽出物ほど、それらの中に含まれるフロロタンニン量が高いことがわかる(例えば、実施例8のアラメ精製画分(C)および(D))。このことから、抽出物中に含まれるフロロタンニンが、β−グルクロニダーゼ阻害活性に寄与していると考えられる。
(実施例11:飲食物の調製−1)
上記実施例3で得たアラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分を有効成分として用いて、以下の組成を有する飲食物を調製した。
成分 質量(g)
アラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分 0.6
大豆サポニン 2.0
黒酢エキス 2.0
リンゴファイバー 2.0
レシチン 1.0
フラクトオリゴ糖 2.0
果糖 1.0
粉末酢 0.1
シクロデキストリン 1.0
蜂蜜 1.0
骨粉 1.0
デキストリン 4.9
合計 18.6。
各成分を流動造粒機中で混合した後、水を噴霧して造粒を行い、入風温度80℃で乾燥し、顆粒状食品を得た。
(実施例12:飲食物の調製−2)
アラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分の代わりに、上記実施例8で得たアラメ精製画分(D)を用いたこと以外は、上記実施例11と同様にして、顆粒状食品を得た。使用したアラメ精製画分中のフロロタンニン含量は89.4質量%であり、製造した飲食物中のフロロタンニン含量は2.9質量%であった。
(実施例13:飲食物の製造−3)
上記実施例8で得たアラメ精製画分(D)1.8gを用いて、合計量を19.8gとしたこと以外は、上記実施例11と同様にして、顆粒状食品を得た。製造した飲食物中のフロロタンニン含量は8.1質量%であった。
(実施例14:液体飲料の製造)
上記実施例8で得たアラメ精製画分(D)を用いて、以下の組成を有する液体飲料を調製した。
成分 質量(g)
アラメ精製画分(D) 1.5
オレンジ果汁 60.0
香料 2.0
ビタミンC 3.0
精製水 残部
合計 100.0。
上記のすべての成分を室温にて混合および攪拌し、均一な溶液にして、ジュースを製造した。ジュース中のフロロタンニン含量は、1.3質量%であった。
(実施例15:化粧水の調製−1)
上記実施例3で得たアラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分を有効成分として用いて、下記の割合で成分を含む化粧水(全100質量部)を調製した。
成分 質量部
濃グリセリン 4.0
ソルビット液(70質量%水溶液) 4.0
クエン酸(pH調製剤) 適量
クエン酸ナトリウム 0.3
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
エタノール 15.0
アラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分 2.0
香料 0.05
精製水 残部。
全成分を室温にて攪拌および混合して均一な溶液とし、pH5.5に調整して化粧水(デオドラントローション剤)を得た。
(実施例16:化粧水の調製−2)
上記実施例3で得たアラメ熱水抽出50(v/v)%エタノール上清画分の代わりに、上記実施例8で得たアラメ精製画分(D)を用いたこと以外は、上記実施例15と同様にして、化粧水(デオドラントローション剤)を得た。
(実施例17:凍結乾燥したアラメ中のフロロタンニンの定量)
凍結乾燥した3gのアラメをミキサーにかけ、乾燥粉末を調製した。これに、60mLの蒸留水を添加し、95℃にて2時間加熱して抽出を行い、抽出残渣を遠心分離にて取り除いて、放温し、アラメ抽出物(EXT)を得た。得られたアラメ抽出物(EXT)を凍結乾燥し、当該抽出物中の総フロロタンニン量を、フロログルシノールを標準物質として用いるFolin−Denis法(日本食品科学工学会誌,2002年,第49巻、pp.507-511)により測定し、当該抽出物中に含まれる総フロロタンニン量(g)を算出した。得られたアラメ抽出物(EXT)中の総フロロタンニン量は、0.0623gであった。
次いで、上記遠心分離にて取り出した抽出残渣を、別の60mLの蒸留水に添加し、95℃にて2時間加熱して再抽出を行い、抽出残渣を遠心分離にて取り除いて、放温し、アラメ抽出物(EXT)を得た。得られたアラメ抽出物(EXT)について、上記と同様にして当該抽出物中の総フロロタンニン量を測定し、当該抽出物中に含まれる総フロロタンニン量(g)を算出した。得られたアラメ抽出物(EXT)中の総フロロタンニン量は、0.0525gであった。
さらに、アラメ抽出物(EXT)を得る際に遠心分離にて取り出した抽出残渣を、別の60mLの蒸留水に添加し、95℃にて2時間加熱して再抽出を行い、抽出残渣を遠心分離にて取り除いて、放温し、アラメ抽出物(EXT)を得た。得られたアラメ抽出物(EXT)について、上記と同様にして当該抽出物中の総フロロタンニン量を測定し、当該抽出物中に含まれる総フロロタンニン量(g)を算出した。得られたアラメ抽出物(EXT)中の総フロロタンニン量は、0.0269gであった。
上記の結果を用いて、抽出回数(n)に対する各アラメ抽出物(EXT、EXT、およびEXT)の総フロロタンニン量(g)をプロットした(図1)。図1のグラフに示される測定値3点について、直線最小二乗法による近似曲線を算出したところ、Y=−0.0164X+0.0808(相関係数:R=0.9492)であった(ここで、Xは上記抽出回数(n)を表し、そしてYは当該抽出回数(n)におけるアラメ抽出物(EXT)中の総フロロタンニン量(g)を表す)。
この近似曲線を用いて、抽出回数4回目および5回目におけるアラメ抽出物(EXTおよびEXT)の総フロロタンニン量(g)を算出したところ、それぞれ0.0152gおよび−0.0012gであった。このことから、上記抽出操作を繰り返すことによって、得られるアラメ抽出物中の総フロロタンニン量は減少する傾向にあり、そして上記抽出操作を4回繰り返すことによって、凍結乾燥アラメに含まれるフロロタンニンのほとんどを取り出すことができると推察された。なお、当該抽出操作を4回繰り返すことによって、凍結乾燥アラメ3gに含まれるフロロタンニンは、計算上0.1596gであり、その含有量は5.32%であった。
仮に、5回目の抽出操作によって4回目と同量の総フロロタンニン量が得られたとすると、凍結乾燥したアラメに含まれるフロロタンニン量は0.1748gとなり、この仮定においては、凍結乾燥アラメ中のフロロタンニン含量(合計)は5.82%となる。したがって、使用したアラメは、多くとも6質量%までのフロロタンニンを含むことがわかる。
本発明のβ−グルクロニダーゼ阻害剤は、食品として用いられ得る海藻に由来するものであるため、安全性が高く、日常的な使用が可能である。そのため、食品分野、化粧品分野、医薬品分野などの種々の分野への適用に好適である。例えば、環境ホルモン、発癌性物質などの生体にとって有害な物質から生体を守る効果を有する食品や、デオドラント効果を有する化粧料などとして用いることが好適である。特に、本発明の飲食物および液体飲料は、日常生活における、通常の食事中、休憩中、スポーツ中またはその後、風呂上り後などの任意の時間帯に、適宜に自由に摂取されることにより、特別な手段・方法を介することなく、容易に体内のβ−グルクロニダーゼ活性を低下および/または阻害することができる。

Claims (5)

  1. 褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)の抽出物を有効成分として含有する、β−グルクロニダーゼ阻害剤。
  2. 前記抽出物が、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)の熱水および/またはエタノール抽出物である、請求項1に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
  3. 前記抽出物が、褐藻類こんぶ目ちがいそ科のアラメ(Eisenia bicyclis)の熱水抽出物にC1〜C3アルコールまたはC1〜C3アルコール水溶液を加えることによって調製される50(v/v)%以上の該C1〜C3アルコールを含むアルコール液の可溶性画分である、請求項1に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
  4. 前記抽出物が、前記可溶性画分を、スチレン−ジビニルベンゼン系吸着剤を用いるカラムクロマトグラフィーに供することにより得られる画分である、請求項3に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
  5. 前記抽出物が、前記カラムクロマトグラフィーにおいて40(v/v)%から90(v/v)%のC1〜C3アルコール水溶液で溶出される画分である、請求項4に記載のβ−グルクロニダーゼ阻害剤。
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