(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図17を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の遊技機1の説明図である。
遊技機1の前面枠(遊技枠)3は本体枠(外枠)2にヒンジ4を介して、遊技機1の前面に開閉回動可能に組み付けられる。前面枠3の表側には、遊技盤10(図2参照)が収装される。また、前面枠3には、遊技盤10の前面を覆うカバーガラス(透明部材)を備えたガラス枠18が取り付けられている。
ガラス枠18のカバーガラスの周囲には、装飾光が発光される装飾部材9が備えられている。この装飾部材9の内部にはランプやLED等からなる図示しない装飾装置620(図3参照)が備えられている。この装飾装置を所定の発光態様によって発光することによって、装飾部材9が所定の発光態様によって発光する。
ガラス枠18の左右には、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ30が備えられている。また、ガラス枠18の上方には照明ユニット11が備えられている。照明ユニット11の内部には、装飾装置が備えられている。
照明ユニット11の右側には、遊技機1において異常が発生したことを報知するための異常報知LED29が備えられている。
前面枠3の下部の開閉パネル20には図示しない打球発射装置に遊技球を供給する上皿21が、固定パネル22には灰皿15、下皿23及び打球発射装置の操作部24等が備えられる。下皿23には、下皿23に貯まった遊技球を排出するための下皿球抜き機構16が備えられる。前面枠3下部右側には、ガラス枠18を施錠するための鍵25が備えられている。
また、遊技者が操作部24を回動操作することによって、打球発射装置は、上皿21から供給される遊技球を発射する。
また、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン17が備えられている。
遊技者が演出ボタン17を操作することによって、遊技盤10に設けられた表示装置53(図2参照)における特図変動表示ゲームの演出内容を選択すること、及び表示装置53における特図変動表示ゲームに、遊技者の操作を介入させた演出を行うことができる。
なお、特図変動表示ゲームは、発射された遊技球が遊技盤10に備わる第1始動入賞口45(図2参照)又は普通変動入賞装置36(図2参照)の第2始動入賞口に入賞した場合に開始される。特図変動表示ゲームでは、表示装置53において複数の識別情報が変動表示する。そして、変動表示していた識別情報が停止し、停止した識別情報の結果態様が特定の結果態様である場合に、遊技機1の状態が遊技者に有利な状態である特別遊技状態に遷移する。
上皿21の右上部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン26、及び、図示しないカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作される排出ボタン27が設けられている。これらのボタン26、27の間には、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部28が設けられる。
図2は、本発明の第1実施形態の遊技盤10の正面図である。
図1に示す遊技機1は、内部の遊技領域10a内に遊技球を発射して(弾球して)遊技を行うもので、ガラス枠18のカバーガラスの前側上半部の奥側には、遊技領域10aを構成する遊技盤10が設置されている。
遊技盤10は、各種部材の取付ベースとなる平板状の遊技盤本体10b(木製もしくは合成樹脂製)を備え、該遊技盤本体10bの前面にガイドレール32で囲まれた遊技領域10aを有している。また、遊技盤本体10bの前面であってガイドレール32の外側には、前面構成部材33、33、…が取り付けられている。そして、このガイドレール32で囲まれた遊技領域10a内に発射装置から遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うようになっている。
遊技領域10aの略中央には、特図変動表示ゲームの表示領域となる窓部52を形成するセンターケース51が取り付けられている。このセンターケース51に形成された窓部52の後方には、複数の識別情報を変動表示する特図変動表示ゲームを実行可能な演出表示装置としての表示装置53が配されるようになっている。この表示装置53は、例えば、液晶ディスプレイを備え、表示内容が変化可能な表示部53aがセンターケース51の窓部52を介して遊技盤10の前面側から視認可能となるように配されている。なお、表示装置53は、液晶ディスプレイを備えるものに限らず、EL、CRT等のディスプレイを備えるものであっても良い。
また、遊技領域10a内には、普図始動ゲート34と、普図変動表示ゲームの未処理回数を表示する普図記憶表示器47、普図変動表示ゲームを表示する普図表示器35が設けられている。また、遊技領域10a内には、第1の始動入賞領域をなす第1始動入賞口45と、第2の始動入賞領域をなす第2始動入賞口を有する普通変動入賞装置36と、が設けられている。そして、遊技球が第1始動入賞口45に入賞した場合は、補助遊技として第1特図変動表示ゲームが実行され、遊技球が普通変動入賞装置36に入賞した場合は、補助遊技として第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また、遊技領域10a内には、第1特図変動表示ゲームを表示する第1特図表示器38と、第2特図変動表示ゲームを表示する第2特図表示器39と、が設けられている。また、第1特図変動表示ゲームの未処理回数(第1特図始動記憶)を表示する第1特図記憶表示器48と、第2特図変動表示ゲームの未処理回数(第2特図始動記憶)を表示する第2特図記憶表示器49が設けられている。なお、普図記憶表示器47、普図表示器35、第1特図表示器38、第2特図表示器39、第1特図記憶表示器48、第2特図記憶表示器49は、遊技状態を表す遊技状態表示LED(図示略)と併せて、セグメントLEDとして一体に設けられている。
さらに遊技領域10aには、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉42aを有し、第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する特別変動入賞装置42、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト穴43が設けられている。この他、遊技領域10aには、一般入賞口44、44、…、打球方向変換部材としての風車46、多数の障害釘(図示略)などが配設されている。
普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するためのゲートSW34a(図3参照)が設けられている。そして、遊技領域10a内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、普図変動表示ゲームが行われる。また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置36が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が1加算されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。なお、普図変動表示ゲームの始動記憶は、LEDを備える普図記憶表示器47にて表示されるようになっている。
普図変動表示ゲームは、遊技領域10a内に設けられた普図表示器35で実行されるようになっている。なお、表示装置53の表示領域の一部で普図変動表示ゲームを表示するようにしても良く、この場合は識別図柄として、例えば、数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うようにする。この普図変動表示ゲームの停止表示が特別の結果態様となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置36の開閉部材36a、36aが所定時間(例えば、0.5秒間)開放される。これにより、普通変動入賞装置36に遊技球が入賞しやすくなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
普通変動入賞装置36は左右一対の開閉部材36a、36aを具備し、第1始動入賞口45の下部に配設され、この開閉部材36a、36aは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいて閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)を保持しているが、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としてのソレノイド(普電SOL36b、図3参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置36に遊技球が流入し易い状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
また、本実施形態の遊技機1は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、遊技状態として時短動作状態(第2動作状態)を発生可能となっている。この時短動作状態(第2動作状態)は、普通変動入賞装置36の動作状態が、通常動作状態(第1動作状態)に比べて開放状態となりやすい状態である。この時短動作状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間が通常動作状態における長い実行時間よりも短くなるように制御され(例えば、10秒が1秒)、これにより、単位時間当りの普通変動入賞装置36の開放回数が実質的に多くなるように制御される。また、時短動作状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置36が開放される場合に、開放時間が通常動作状態の短い開放時間より長くされるように制御される(例えば、0.3秒が1.8秒)。また、時短動作状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置36が1回ではなく、複数回(例えば、2回)開放される。さらに、時短動作状態においては普図変動表示ゲームの当り結果となる確率が通常動作状態より高くなるように制御される。すなわち、通常動作状態よりも普通変動入賞装置36の開放回数が増加され、普通変動入賞装置36に遊技球が入賞しやすくなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
第1始動入賞口45の内部には第1始動口SW45a(図3参照)が備えられ、この第1始動口SW45aによって遊技球を検出することに基づき、補助遊技としての第1特図変動表示ゲームを開始する始動権利が発生するようになっている。また、普通変動入賞装置36の内部には第2始動口SW36d(図3参照)が備えられ、この第2始動口SW36dによって遊技球を検出することに基づき、補助遊技としての第2特図変動表示ゲームを開始する始動権利が発生するようになっている。この第1特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で第1始動記憶(特図1始動記憶)として記憶される。そして、この第1始動記憶は、第1特図記憶表示器48に表示される。また、第2特図変動表示ゲームを開始する始動権利は、所定の上限数(例えば4)の範囲内で第2始動記憶(特図2始動記憶)として記憶される。そして、この第2始動記憶は、第2特図記憶表示器49にて表示される。
そして、第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが開始可能な状態で、且つ、第1始動記憶数及び第2始動記憶数が0の状態で、例えば、第1始動入賞口45に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って第1始動記憶が記憶されて、第1始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに第1始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲームが開始され、この際に第1始動記憶数が1減算される。また、第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが開始可能な状態で、且つ、第1始動記憶数及び第2始動記憶数が0の状態で、例えば、第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置36に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って第2始動記憶が記憶されて、第2始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに第2始動記憶に基づいて、第2特図変動表示ゲームが開始され、この際に第2始動記憶数が1減算される。
一方、第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが直ちに開始できない状態、例えば、既に第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、第1始動入賞口45に遊技球が入賞すると、第1始動記憶数が上限数未満(例えば、4個未満)ならば、第1始動記憶数が1加算されて第1始動記憶が1つ記憶されることになる。同様に、この場合に第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置36に遊技球が入賞すると、第2始動記憶数が上限数未満(例えば、4個未満)ならば、第2始動記憶数が1加算されて第2始動記憶が1つ記憶されることになる。
そして、第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが開始可能な状態となると、第1始動記憶又は第2始動記憶に基づき第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームが開始される。このとき、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームは同時に実行されることはなく、第2特図変動表示ゲームが第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。すなわち、第1始動記憶と第2始動記憶がある場合であって、特図変動表示ゲームの実行が可能となった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
補助遊技としての第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲームは、遊技領域10a内に設けられた第1特図表示器38、第2特図表示器39で実行されるようになっており、複数の識別情報を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置53にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。そして、この特図変動表示ゲームの結果として、第1特図表示器38又は第2特図表示器39の表示態様が特別結果態様(たとえば「7」)となった場合には、大当たりとなって特別遊技状態(いわゆる、大当たり状態)となる。また、これに対応して表示装置53の表示態様も特別結果態様(例えば、「7,7,7」等のゾロ目数字の何れか)となる。なお、遊技機に第1特図表示器38、第2特図表示器39を備えずに、表示装置53のみで特図変動表示ゲームを実行するようにしても良い。
また、本実施形態の遊技機1は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、遊技状態として確変状態(第2確率状態)を発生可能となっている。この確変状態(第2確率状態)は、特図変動表示ゲームでの当り結果となる確率が、通常確率状態(第1確率状態)に比べて高い状態である。なお、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき確変状態となっても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの両方が確変状態となる。また、確変状態と時短動作状態はそれぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし、一方のみを発生させることも可能である。
図3は、本発明の第1実施形態の遊技機1の構成を示すブロック図である。
遊技機1は、遊技機1で行われる遊技を統括的に制御する遊技制御装置500、各種演出を行うために表示装置53及びスピーカ30等を制御する演出制御装置550、遊技球を払い出すために図示しない払出モータを制御する払出制御装置580を備える。
図3では、遊技制御装置500及び演出制御装置550について説明する。
まず、遊技制御装置500について説明する。
遊技制御装置500は、遊技用マイコン501、入力I/F(Interface)505、出力I/F(Interface)506、及び外部通信端子507を備える。
遊技用マイコン501は、CPU502、ROM(Read Only Memory)503及びRAM(Random Access Memory)504を備える。
CPU502は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技制御を司る。ROM503は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM504は、遊技制御時にワークエリアとして利用される。
外部通信端子507は、遊技制御装置500の設定情報等を検査する検査装置等の外部機器に遊技制御装置500を接続する。
CPU502は、入力I/F505を介して各種入力装置(第1始動口SW45a、第2始動口SW36d、一般入賞口SW44a、ゲートSW34a、カウントSW42d、ガラス枠開放SW18a、前面枠開放SW3a、球切れSW54、振動センサ55、及び磁気センサ56)からの検出信号を受けて、大当り抽選等、種々の処理を行う。
第1始動口SW45aは、第1始動入賞口45に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。第2始動口SW36dは、普通変動入賞装置36の第2始動入賞口に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
一般入賞口SWa44a〜44nは、一般入賞口44に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。ゲートSW34aは、普図始動ゲート34を遊技球が通過したことを検出するスイッチである。
カウントSW42dは、特別変動入賞装置42の大入賞口に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
ガラス枠開放SW18aは、ガラス枠18が開放されたことを検出するスイッチである。前面枠開放SW3aは、前面枠3が開放されたことを検出するスイッチである。
球切れSW54は、遊技機1の内部に貯留され、払い出しに用いられる遊技球の数が所定数以下になったことを検出するスイッチである。
振動センサ55は、遊技機1に与えられた振動を検出するセンサであり、遊技機1に振動を与えて、不当に遊技球を獲得する不正を検出する。磁気センサ56は、第1始動入賞口45、普通変動入賞装置36の第2始動入賞口、一般入賞口44、特別変動入賞装置42の大入賞口、及び普図始動ゲート34付近に設けられ、磁力を検出するセンサである。磁気センサ93は、各入賞口付近に磁石を近づけて、遊技領域10aに発射された遊技球を各入賞口に導く不正を検出する。
また、CPU502は、出力I/F506を介して、第1特図表示器38、第1特図記憶表示器48、第2特図表示器39、第2特図記憶表示器49、普図表示器35、普電SOL36b、大入賞口SOL42b、及び払出制御装置580に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
第1特図表示器38には、第1始動入賞口45に遊技球が入賞した場合に補助遊技として実行される第1特図変動表示ゲームが表示される。第1特図記憶表示器48には、所定の上限数の範囲内で記憶される第1特図変動表示ゲームを開始する始動権利である第1始動記憶が表示される。
第2特図表示器39には、普通変動入賞装置36の大入賞口に遊技球が入賞した場合に補助遊技として実行される第2特図変動表示ゲームが表示される。第2特図記憶表示器49には、所定の上限数の範囲内で記憶される第2特図変動表示ゲームを開始する始動権利である第2始動記憶が表示される。
普図表示器35には、遊技球が普図始動ゲート34を通過した場合に行われる普図変動表示ゲームが表示される。
普電SOL36bは、普図表示器35で実行される普図変動表示ゲームの停止表示が特別の結果態様となった場合に、開閉部材36a、36aを開放し、普通変動入賞装置36の第2始動入賞口を遊技球が入賞しやすい状態にする。
大入賞口SOL42bは、第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームの結果が、特別の結果態様となり、特別遊技状態となった場合に、特別変動入賞装置42の開閉扉42aを開放して、大入賞口を遊技球が入賞しやすい状態とする。
また、遊技制御装置500は、遊技機データを、外部情報端子508を介して、図示しない情報収集端末装置を介して、図示しない遊技場管理装置に出力する。遊技場管理装置は、遊技場に設置された遊技機1の遊技データを収集管理する計算機である。
また、払出制御装置580は、遊技球が一般入賞口44又は大入賞口に入賞した場合に、入賞した入賞口に対応する数の遊技球の払い出し、又は球貸ボタン26が操作された場合に、所定数の遊技球の払い出しを行う払出指令を遊技制御装置500から受信した場合に、受信した払出指令に基づいて、図示しない払出モータを制御する。なお、払出指令には、払い出す遊技球の数が含まれる。
遊技制御装置500は、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、遊技の状況を示す遊技データとして、出力I/F506を介して、演出制御装置550へ送信する。
次に、演出制御装置550について説明する。
演出制御装置550は、遊技制御装置500から入力される遊技データに基づいて、演出内容を決定して、役物駆動モータ560、表示装置53、装飾装置620、及びスピーカ30を制御する。また、演出制御装置550は、演出ボタン17から当該演出ボタン17が操作されたことを示す信号が入力される。
演出制御装置550は、CPU551、ROM552、RAM553、画像ROM554、音ROM555、VDP556、音LSI557、入出力I/F558、及びI2CI/F559を備える。
CPU551は、遊技制御装置500からの指令に基づいて、各種演出を制御する主制御装置である。ROM552は、演出制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM553は、演出制御時にワークエリアとして利用される。
画像ROM554には、表示装置53に表示される画像データが格納されている。音ROM555には、スピーカ30から出力される音データが格納されている。
VDP556は、表示装置53への画像出力を制御するプロセッサである。音LSI557は、スピーカ30からの音声出力を制御する回路である。
入出力I/F558は、遊技制御装置500、演出ボタン17、役物駆動モータ560、表示装置53、及びスピーカ30に接続されるインタフェースである。I2CI/F559は、中継基板600に接続されるインタフェースである。
演出ボタン17は、上皿21の上縁部に設けられ、表示装置53で実行される第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームにおける演出で、遊技者によって操作される。
役物駆動モータ560は、遊技盤10に配置される図示しない装飾のための役物を可動させるために動作する。
中継基板600は、演出制御装置550と装飾制御装置610との通信を中継する。装飾制御装置610は、中継基板600に接続され、装飾装置620を制御する。
演出制御装置550と中継基板600との接続方法、及び中継基板600と装飾制御装置610との接続方法は、図5で詳細を説明する。また、中継基板600は、図7で詳細を説明する。装飾制御装置610は、図5、図6、及び図8〜図10で詳細を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態の装飾制御装置610A〜610Fの接続の説明図である。
演出制御装置550は、接続線Vcc、接続線Vled、接続線SDA、接続線SCL、及び接続線GND(以下、この五本の接続線をバスという)を介して中継基板600と接続される。
接続線Vccは、中継基板600及び装飾制御装置610A〜610Fに電源を供給するための接続線である。接続線Vledは、装飾装置620A〜620Fに電源を供給するための接続線である。接続線SDAは、演出制御装置550と装飾制御装置610A〜610Fとの間でデータを通信するための接続線である。接続線SCLは、接続線SDAでのデータ通信に用いられるクロック信号を入出力するための接続線である。接続線GNDは、接続線Vcc及び接続線Vledで供給される電源のグランドである。
中継基板600には、二つの装飾制御装置610A及び610Dが二本のバスによって並列に接続される。
装飾制御装置610Aにはバスを介して装飾制御装置610Bが接続され、装飾制御装置610Bにはバスを介して装飾制御装置610Cが接続される。
一方、装飾制御装置610Dにはバスを介して装飾制御装置610Eが接続され、装飾制御装置610Eにはバスを介して装飾制御装置610Fが接続される。
なお、各装置を接続する接続線の配置順がすべて、接続線Vcc、接続線Vled、接続線SDA、接続線SCL、及び接続線GNDの順で同じであるので、誤配線を防止できる。
ここで、装飾制御装置610の装飾装置620の制御方法について説明する。
演出制御装置550は、遊技制御装置500から入力された遊技データに基づいて、演出内容を決定する。そして、演出制御装置550は、決定された演出内容で装飾制御装置610を制御するために、制御対象となる装飾制御装置610のアドレスと演出内容を示す装飾データとを含む装飾制御データを中継基板600に出力する。装飾制御データは、中継基板600を介して演出制御装置550に接続されるすべての装飾制御装置610に対して接続線SDAから入力される。
装飾制御装置610には、一意なアドレスが予め設定されているので、装飾制御データが入力されると、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと設定されているアドレスとが一致するか否かを判定する。そして、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと設定されているアドレスとが一致すると判定された場合には、装飾制御装置610は、装飾制御データに含まれる装飾データに基づいて、装飾装置620を制御する。
このように、装飾制御装置610は、演出制御装置550からの指令に基づく制御を行うので、演出制御装置550と装飾制御装置610との関係は、演出制御装置550がマスタであり、装飾制御装置610がスレーブである。
図5は、本発明の第1実施形態の装飾制御装置610のブロック図である。
装飾制御装置610は、I2CI/Oエクスパンダ615及び装飾装置620を備える。
接続線SDA及び接続線SCLは、装飾制御装置610内で二つに分岐し、一方は、そのまま次の装飾制御装置610に出力される。他方は、I2CI/Oエクスパンダ615に接続される。
また、I2CI/Oエクスパンダ615には、装飾装置(LED)620が出力側に接続される。I2CI/Oエクスパンダ615は、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと設定されているアドレスとが一致する場合に、装飾制御装置610は装飾制御データに含まれる装飾データに基づいて、装飾装置620を制御する。
なお、他の装飾制御装置610に接続される(最も下流の)装飾制御装置610は、I2CI/Oエクスパンダ615を備えなくてもよい。
この場合には、一つの上流の装飾制御装置610に備わるI2CI/Oエクスパンダ615が、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと最も下流の装飾制御装置610のアドレスとが一致するか否かを判定し、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと最も下流の装飾制御装置610のアドレスとが一致する場合に、装飾制御データに含まれる装飾データに基づく演出を行わせる指令を最も下流の装飾制御装置610に出力する。一方、入力された装飾制御データに含まれるアドレスと最も下流の装飾制御装置610のアドレスとが一致する場合には、最も下流の装飾制御装置610に何も出力しない。
図6Aは、本発明の第1実施形態の装飾装置620がLEDである場合の装飾制御装置610のI2CI/Oエクスパンダ615周辺の回路図である。
I2CI/Oエクスパンダ615は、入力端子としてNC端子、RESET端子、SCL端子、SDA端子、Vcc端子、A0〜A3端子、及びGND端子を備え、出力卵子として、PORT0〜PORT15を備える。
NC端子は内部で何も接続されない端子であるので、NC端子には、外部から何も接続されない。RESET端子には、プルアップ抵抗Rを介してI2CI/Oエクスパンダ615に供給される電源が接続される。したがって、RESET端子に電力が印加されない状態になれば、I2CI/Oエクスパンダ615は初期状態にリセットされる。
SCL端子は接続線SCLに接続され、SDA端子は接続線SDAに接続される。
Vcc端子には、I2CI/Oエクスパンダ615に供給される電源が接続される。また、Vcc端子には、電源ノイズを除去するバイパスコンデンサCPが接続される。
A0端子〜A3端子は、I2CI/Oエクスパンダ615にアドレスを設定するための端子である。なお、通常I2CI/Oエクスパンダ615のアドレスは、4ビットで表現され、「1」を示す端子にはI2CI/Oエクスパンダ615の電源が印加され、「0」を示す端子はグランドしている。したがって、図6に示すI2CI/Oエクスパンダ615のアドレスは「0100」である。GND端子は、電圧をグランドするための端子である。
各PORT0端子〜PORT15端子は、電流制限抵抗Rを介して装飾装置620である各LED0〜LED15に接続される。各PORT0端子〜PORT15端子に電圧が印加されていれば各LED0〜LED15は点灯し、各PORT0端子〜PORT15端子に電圧が印加されていなければ各LED0〜LED15は点灯しない。
図6Bは、本発明の第1実施形態の装飾装置620が役物駆動モータ560及び役物駆動SOL561である場合の装飾制御装置610のI2CI/Oエクスパンダ615周辺の回路図である。
この場合、PORT1端子〜PORT4端子は、役物駆動モータ560に接続される。
具体的には、役物駆動モータ560は、四つのステータコイルを備え、各ステータコイルに、PORT1端子〜PORT4端子が接続されている。また、この四つのステータコイルには、図示しない接続線によって、役物駆動モータ560に供給される電源(Vmot)が印加されている。
いずれのPORT0端子〜PORT15端子に電圧が印加されていれば役物駆動モータ560は駆動せず、いずれかのPORT0端子〜PORT15端子に電圧が印加されていなければ役物駆動モータ560は駆動する。
なお、各PORT1端子〜PORT4端子と役物駆動モータ560とを接続する接続線は分岐し、分岐した一方の接続線は、役物駆動モータ560に供給される電源にダイオードD及びツェナダイオードZDを介して接続される。
また、PORT端子15は、役物駆動SOL561に接続される。PORT15端子と役物駆動SOL561とを接続する接続線は分岐し、分岐した一方の接続線は、役物駆動SOL561に供給される電源(Vsol)にダイオードD及びツェナダイオードZDを介して接続される。また、役物駆動SOL561には、図示しない接続線によって、役物駆動SOL561に供給される電源(Vsol)が印加されている。
よって、PORT15端子に電圧が印加されていれば、役物駆動SOL561は駆動せず、PORT15端子に電圧が印加されていれば、役物駆動SOL561は駆動する。
装飾制御装置610が制御する装飾装置620は、LEDでも、モータでも、ソレノイドであってもよい。
図7は、本発明の第1実施形態の中継基板600の入出力に関する接続線の回路図である。
中継基板600は、入力コネクタ601及び出力側コネクタ602を備える。
入力コネクタ601には、演出制御装置550からバスが接続される。出力側コネクタ602には、装飾制御装置610に接続するバスが接続される。
入力コネクタ601のSDA端子及びSCL端子からのSDA接続線及びSCL接続線は、出力側コネクタ602のSDA端子及びSCL端子に接続される。
SDA接続線及びSCL接続線は、入力コネクタ601側で分岐する。分岐した各SDA接続線及びSCL接続線は、ツェナダイオードZDを介してグランドされる。このツェナダイオードZDは、所定値以上の電流がグランド方向に流れなければ、グランド方向に電流を流さないようにツェナダイオードのアノード側がグランドに接続される。つまり、静電気等によるノイズが含まれ、所定値以上の電流が流れる場合に、この電流をグランドするので、ノイズによる異常電流が発生することを防止できる。
次に、SDA接続線及びSCL接続線には、中継基板600に供給されるプルアップ抵抗Rが接続される。このプルアップ抵抗Rは可変抵抗であり、中継基板600に接続される装飾制御装置610の数が多いほど、大きな電流をSDA接続線及びSCL接続線に流すために、プルアップ抵抗Rの抵抗値は小さく設定される。一方、中継基板600に接続される装飾制御装置610の数が少ないほど、大きな電流をSDA接続線及びSCL接続線に流さなくてもよいため、プルアップ抵抗Rの抵抗値は大きく設定される。これは、中継基板600に接続される装飾制御装置610が電流の損失が大きくなるためである。
次に、SDA接続線及びSCL接続線は、入力コネクタ601側で分岐する。分岐した各SDA接続線及びSCL接続線は、ツェナダイオードZDを介してグランドされる。分岐した他方のSDA接続線が出力側コネクタ602のSDA端子に接続され、分岐した他方のSCL接続線が出力側コネクタ602のSCL端子に接続される。
中継基板600に供給される電源Vccは、Vcc端子に印加される電源電圧から、グランドに接続される平滑コンデンサC及びグランドに接続されるバイパスコンデンサCPを介して、Vcc端子に印加される電源電圧から抽出される。
平滑コンデンサCは、電源の電圧波形を滑らかにするためのコンデンサであり、バイパスコンデンサCPは、電源の電圧のノイズを除去するためのコンデンサである。
また、出力側コネクタ602側のVcc接続線も、同じく平滑コンデンサC及びバイパスコンデンサCPを介して出力側コネクタ602のVcc端子に接続される。
図8は、本発明の第1実施形態の装飾制御装置610の入出力に関する接続線の回路図である。
装飾制御装置610は、入力側コネクタ611、I2CI/Oエクスパンダ615、及び出力側コネクタ602を備える。
入力コネクタ601には、中継基板600又は上流側の装飾制御装置610からバスが接続される。出力側コネクタ602には、下流側の装飾制御装置610に接続するバスが接続される。
SDA接続線及びSCL接続線は、ツェナダイオードZDを介してI2CI/Oエクスパンダ615に接続される。ツェナダイオードZDの作用は、図7に示すツェナダイオードZDの作用と同じなので、説明を省略する。
I2CI/Oエクスパンダ615に供給される電圧Vccは、Vcc端子に印加される電源電圧から、グランドに接続される平滑コンデンサC及びグランドに接続されるバイパスコンデンサCPを介して、Vcc端子に印加される電源電圧から抽出される。
図7で説明したように、平滑コンデンサCは、電源の電圧波形を滑らかにするためのコンデンサであり、バイパスコンデンサCPは、電源の電圧のノイズを除去するためのコンデンサである。このため、I2CI/Oエクスパンダ615に供給される電源(Vcc)は、ノイズが除去されているので、ノイズによるI2CI/Oエクスパンダ615の誤動作を防止できる。
図9は、本発明の第1実施形態の装飾制御装置610の配線基板におけるSDA接続パターン及びSCL接続パターンの説明図である。
入力側コネクタ611のSDA端子と出力側コネクタ612とSDA端子は、SDA接続パターン901によって接続され、入力側コネクタ611のSCL端子と出力側コネクタ612とSCL端子は、SCL接続パターン902によって接続される。
SDA接続パターン901とSCL接続パターン902とは、平行であって、同じ長さとなるように配設される。
また、SDA接続パターン901及びSCL接続パターン902の両側部は、絶縁体で形成されたGNDガードで覆われている。これによって、SDA接続パターン901に印加される電圧とSCL接続パターン902に印加される電圧とが、互いに干渉して、誤った装飾制御データが出力されることを防止できる。
なお、中継基板600についても、同じである。
図10は、本発明の第1実施形態のI2CI/Oエクスパンダ615のVcc端子への電源の供給方法の説明図である。
図7で説明した平滑化コンデンサC及びバイパスコンデンサCPを介して抽出されたI2CI/Oエクスパンダ615に供給される電圧は、I2CI/Oエクスパンダ615のVcc端子からI2CI/Oエクスパンダ615に供給される。
バイパスコンデンサCPの一方側にはGNDパターン1001が接続されることによってグランドしており、バイパスコンデンサの他方側には、I2CI/Oエクスパンダ615のVcc端子に接続されるI2CI/Oエクスパンダ電源接続パターン1002が接続されることによって、I2CI/Oエクスパンダ615に電源を供給する。
この場合、他の回路(例えば、装飾装置620)に電源を供給するために他の回路に接続される他回路電源接続パターン1003よりも、I2CI/Oエクスパンダ電源接続パターン1002が短くなるようにする。つまり、バイパスコンデンサCPは、装飾制御装置610に備わる回路の中で最もI2CI/Oエクスパンダ615の近くに配置される。
また、I2CI/Oエクスパンダ電源接続パターン1002から他回路電源接続パターン1003が分岐しないようにする。
これらは、I2CI/Oエクスパンダ615にノイズのある電源が供給されることを防止するためである。
図11は、本発明の第1実施形態の演出制御装置550から装飾制御装置610に出力されるデータに含まれるアドレス1100の説明図である。
アドレス1100は、固定アドレス部1101及び可変アドレス部1102を含む。
固定アドレス部1101は、「110」が設定されていて、I2CI/Oエクスパンダ615は変更できないアドレスである。
可変アドレス部1102は、I2CI/Oエクスパンダ615が変更できるアドレスであり、制御対象となるI2CI/Oエクスパンダ615のA0〜A3に設定されているI2CI/Oエクスパンダアドレス1103と、当該データが読み出し要求であるのか書き込み要求であるのかを示すデータ1104と、が含まれる。
演出制御装置550から装飾制御装置610に出力される装飾制御データは、書き込み要求であるので、データ1104には、通常「0」が登録される。
図12は、本発明の第1実施形態のI2CI/Oエクスパンダアドレステーブル1200の説明図である。
I2CI/Oエクスパンダアドレステーブル1200は、演出制御装置550によって管理されるテーブルである。
I2CI/Oエクスパンダアドレステーブル1200は、スレーブアドレス1201及びI2CI/Oエクスパンダアドレス1202を含む。
スレーブアドレス1201には、各I2CI/Oエクスパンダアドレス1202に登録されるアドレスの一意な識別子が登録される。
I2CI/Oエクスパンダアドレス1202には、I2CI/Oエクスパンダ615に設定可能なアドレスがすべて登録される。
ただし、スレーブアドレスが「D0h」であるアドレス「0001」及びスレーブアドレスが「D6h」であるアドレス「1101」は、I2CI/Oエクスパンダ615のアドレスとしては使用できない。
「D0h」は、すべての装飾制御装置610に対する指令を出力する場合に指定されるアドレス(オールコールアドレス)の電源投入時のデフォルト値として用いられる。「D6h」はソフトウェアによってデバイスをリセットする場合に用いられるアドレスである。
このように、装飾制御装置610に設定可能なアドレスは14個であるために、演出制御装置550は、14個の装飾制御装置610を制御できる。また、一つの装飾制御装置610は、PORT0〜PORT15を備えるので、16個の装飾装置620(LED)を制御できる。よって、演出制御装置550は、224個の装飾装置620(LED)を制御できる。
図13は、本発明の第1実施形態のI2CI/Oエクスパンダ615がSDA接続線及びSCL接続線を介して出力するデータの開始条件及び終了条件の説明図である。
SCL接続線には、通常時に電圧が印加されており、装飾制御装置610にデータを出力すると、所定周期で電圧のON・OFFが繰り返され、SDA接続線のデータを取り込むためのクロック信号として作用する。
SDA接続線には、通常時に電圧が印加されており、そして、所定周期でON・OFFが繰り返されるSCL接続線のクロック信号に合わせてSDA接続線からデータが出力される。
I2CI/Oエクスパンダ615は、SCL接続線には一定の電圧が印加され、SDA接続線に電圧が立ち下がるタイミングを、データの出力が開始するタイミングであると判断する。
I2CI/Oエクスパンダ615は、SCL接続線には一定の電圧が印加され、SDA接続線に電圧が立ち上がるタイミングを、データの出力が終了するタイミングであると判断する。
図14は、本発明の第1実施形態のデータを出力したI2CI/Oエクスパンダ615にACKデータが入力され、ACKデータを上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に転送するタイミングの説明図である。
SDA1は、下流側のI2CI/Oエクスパンダ615に接続されるSDA接続線に印加される電圧を示す。SDA2は、上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に接続されるSDA接続線に印加される電圧を示す。
下流側のI2CI/Oエクスパンダ615は、SDA接続線を介して8ビットのデータが入力された場合に、演出制御装置550に出力元のI2CI/Oエクスパンダ615を介して、ACKデータを出力する。出力元のI2CI/Oエクスパンダ615は、ACKデータが入力されると、入力されたACKデータを演出制御装置550に出力するために、入力されたACKデータを上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に出力する。
このACKデータは9パルス目のSCL信号を用いて上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に出力される。
図15は、装飾制御データを出力する場合のSDA接続線及びSCL接続線に印加される電圧のタイミングチャートである。
まず、I2CI/Oエクスパンダ615は、装飾制御データを開始する場合には、SDA接続線の電圧を立ち下げることによって、これからデータを出力することを通知する。
次に、I2CI/Oエクスパンダ615は、合計7ビットで、制御対象となる装飾制御装置610のアドレスを出力する。次に、I2CI/Oエクスパンダ615は、読み込み要求である書き込み要求であるかを示すデータを8ビット目に出力する。
そして、I2CI/Oエクスパンダ615は、ACKデータが入力されるので、入力されたACKデータを上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に出力する。
次に、I2CI/Oエクスパンダ615は、装飾制御データの装飾データを合計16ビットで出力する。I2CI/Oエクスパンダ615は、装飾データの8ビット目を出力した後、ACKデータが入力されるので、ACKデータを上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に出力する。また、I2CI/Oエクスパンダ615は、装飾データの16ビット目を出力した後、ACKデータが入力されるので、ACKデータを上流側のI2CI/Oエクスパンダ615に出力する。
そして、装飾制御データの出力が終了したことを出力先のI2CI/Oエクスパンダ615に通知するため、出力元のI2CI/Oエクスパンダ615は、SCL接続線に印加される電圧を所定の値にして、SDA接続線に印加される電圧を立ち上げる。
なお、データの出力を開始することを通知してから、データの出力を終了することを通知するまでの間に、24ビットのデータを出力しているが、24ビット以上であってもよいし、24ビット以下でもよい。
図16は、本発明の第1実施形態のある装飾制御装置610にオールコールアドレスを設定する場合に、演出制御装置550から出力されるデータの説明図である。
はじめに出力される8ビットのデータ1601には、オールコールアドレスを設定する装飾制御装置610のアドレス「A0〜A6」と、書き込み要求であるかを示す「0」とが含まれる。
次に、出力される8ビットのデータ1602には、制御内容を示すデータが含まれ、具体的には、オールコールアドレスを設定するI2CI/Oエクスパンダ615のレジスタのアドレスである「11011」が含まれる。
次に、出力される8ビットのデータ1603には、オールコールアドレスを示す「1101101」が含まれる。
図16に示すデータが、演出制御装置550に接続されるすべての装飾制御装置610に入力される。そして、データ1601に含まれる装飾制御装置610のアドレスと一致するアドレスを有する装飾制御装置610に、オールコールアドレスが設定される。
図17は、本発明の第1実施形態のオールコールアドレスが設定されている装飾制御装置610に装飾制御する場合に、演出制御装置550から出力されるデータの説明図である。
はじめに出力される8ビットのデータ1701には、オールコールアドレス「1101101」と、書き込み要求を示す「0」とが含まれる。
次に出力される8ビットのデータ1702には、オールコールアドレスが設定されている装飾制御装置610のI2CI/Oエクスパンダ615のレジスタのアドレスが含まれる。
次に、出力される8ビットのデータ1703には、オールコールアドレスが設定されている装飾制御装置610が装飾装置620に行う装飾制御の内容を示すデータが含まれる。つまり、全ての装飾制御装置のオールコールアドレスを同じアドレスとすることで、全ての装飾制御装置を同時に制御することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図18及び図19を用いて説明する。
図18は、本発明の第1実施形態の演出制御装置550と装飾制御装置610との接続関係の説明図である。
第1実施形態の複数の装飾制御装置610同士が直列接続されると、各装飾制御装置610を接続するバス、経由する基板のパターンの抵抗等によって、下流側の装飾制御装置610のグランドの電位が高くなってしまう。この場合、図18に示す方向(上流側)に電流が流れてしまい、各装飾制御装置610のI2CI/Oエクスパンダ615が誤作動してしまう可能性がある。
図19は、本発明の第2実施形態の演出制御装置550と装飾制御装置610との接続関係の説明図である。
本発明の第2実施形態では、最も下流側の装飾制御装置610Dのグランドを中継基板600のグランドに接続する。
これによって、最も上流側の装飾制御装置610Aのグランド及び最も下流側の装飾制御装置610のグランドが、中継基板600のグランドに接続される。よって、最も上流側の装飾制御装置610Aのグランドと最も下流側の装飾制御装置610Dの電位とが同じになる。
したがって、装飾制御装置610Bは、装飾制御装置610Aのグランドの電位から装飾制御装置610Aと装飾制御装置Bとを接続するパターンの内部抵抗分だけ大きくなる。装飾制御装置601Bから装飾制御装置610Aへと電流が流れる。
また、装飾制御装置610Cは、装飾制御装置610Dのグランドの電位から装飾制御装置610Dと装飾制御装置610Cとを接続するパターンの内部抵抗分だけ大きくなる。装飾制御装置601Cから装飾制御装置610Dへと電流が流れる。
このため、最も下流側の装飾制御装置610Cのグランドの電位の増加分は、図18に示す装飾制御装置610の増加分よりも小さくすることができるので、上流側の装飾制御装置610に流れる電流を小さくすることができる。このため、I2CI/Oエクスパンダ615の誤動作を防止することができる。
なお、図20では、最も下流の装飾制御装置610Dのグランドを中継基板600のグランドに接続したが、最も下流の装飾制御装置610Dのグランドの電位と最も上流の装飾制御装置610Aのグランドの電位とを同じにすればよく、例えば、最も下流の装飾制御装置610Dのグランドを最も上流の装飾制御装置610Aに接続してもよい。
また、最も上流の装飾制御装置610Aのグランドが演出制御装置550のグランドに接続されている場合には、最も下流の装飾制御装置610Dのグランドを演出制御装置550のグランドに接続してもよい。
なお、今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。