JP2010081612A - 送受信パラメータの変更が可能な無線周波数送受信アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】送受信パラメータの変更が可能な無線周波数送受信アンテナを提供する。
【解決手段】無線送信/受信アンテナであって、少なくとも一部が少なくとも一つの液体体積部106.1,106.2によって形成されている送信および受信部と、送信および/もしくは受信回路への接続手段と、前記液体体積部の形状を変える手段であって、前記液体が導電性である場合には、静電気力を用いて、前記液体が強磁性である場合には、電磁気力を用いて、前記液体体積部の形状を変える手段と、前記液体体積部を変形させる手段を制御する制御部とを備える送受信無線アンテナ。
【選択図】図4

Description

本発明は送受信パラメータの変更が可能な無線周波数送受信アンテナに関する。
無線通信システムで使用されるたくさんのアンテナは固定形状である、すなわち、長さと構成が製造時に決められ、その後変更がきかない、もしくは複雑な作業によってのみ変更することができる。よってこれらのアンテナの動作周波数帯は変更できず、より一般的には、それらの送受信パラメータを変更することができない。
この欠点を克服し、この種のアンテナを備えたシステムの動作をアンテナの向きと無関係にするために、アンテナは一般的に、アンテナの放射ができる限り等方性である、すなわち、送信エネルギーが全ての方向において実質的に同じになる大きさとなっている。これは無線システムの場合である。例えば携帯電話の場合、実際にアンテナの向きは永久に変更される。前記のアンテナによって、システムはあらゆる方向の通信を行うことができる。しかしながら、この多方向の送信にはエネルギーを消費するという不利な点がある。しかも移動体通信システムにおいては、エネルギー消費の削減が求められている。
周波数帯域の定期的な変更が必要とされるシステムに関しては、これら周波数帯域のそれぞれに適合するいくつかのアンテナを使用し、1つのアンテナから他のアンテナへと定期的にアンテナを切り替えることが考えられる。しかし、この解決策では無視できないほど広いスペースが占有され、1つのアンテナから他のアンテナへと切り替えるための制御手段が必要となる。
特許文献1は、電気的に制御される機械的スイッチを使って結合できるいくつかのピースを有するアンテナについて記載している。この場合、スイッチを切り替えることによって、アンテナのインピーダンスを変え、それを様々な通信周波数に適合させることが可能である。しかしながら、アンテナと制御機器の製造が複雑であることの他に、アンテナのインピーダンスは段階的にしか変えることができない。また、所要スペースの問題もある。つまり、この種のアンテナは携帯電話タイプのシステムへの組み込みにほとんど適合しない。
さらに、スイッチは開状態であっても容量性インピーダンスを持っており、これによって、切断したいアンテナエレメント(すなわち寄生エレメント)の完全な切断できなくなることが考えられる。そしてついに、このアンテナのそれぞれのピースを絶縁しようとしても、これらのピース間に無線周波数結合が存在する可能性があり、このため、全体的な機能が悪化してしまう。
また、導電性の液体から作られたアンテナもあり、このアンテナの共振周波数は液体アンテナの長さを変えることによって適合させることができる。このタイプのアンテナは特許文献2に記載されている。この目的のために、所定の形状、例えば螺旋状のチューブに液体が含まれ、アンテナの長さは、例えば温度調節装置、ポンプまたはピストンによって変えることができる。
最初に、アンテナの形状はチューブの形状によって強制されるため、アンテナ使用時に変えることはできない。また、アンテナの長さを変えるには、応答時間の比較的長い面倒な手段が必要となる。
従って、本発明の目的の1つは、送受信パラメータの迅速な変更が可能な、小型の無線周波数アンテナを作製することである。
米国特許第7,260,424号明細書 英国特許第2,435,720号明細書 フランス特許第2,841,063号明細書
M.G.Pollack、A.D.Shendorov、R.B.Fair著、「Electro−wetting−based actuation of droplets for integrated mirofluidics(集積マイクロフルイディクス用のエレクトロウェッティングベースの液滴駆動)」、Lab Chip2(1)(2002)96−101
上述の目的は、導電性の液体で作られた少なくとも1つの部分を備え、その形状を静電気力もしくは電磁気力によって変えることができる無線周波数アンテナによって達成することができる。
つまり、液体体積部をエレクトロウェッティングまたは磁界を発生させることによって移動させ、形状および/もしくは長さが所定の周波数帯および/もしくは所定の向きに適合する液体体積部からアンテナを形成する。
このアンテナは製造が比較的簡単で、たくさんの形状を形成することができる。また、液滴の動きは極めて速い。従って、本発明によるアンテナの周波数帯は無線周波数システムの向きに関して極めて迅速に適合させることができる。
従って、本発明の要旨は、少なくとも一部が少なくとも一つの液体体積部によって形成されている送信および受信部と、送信および/もしくは受信回路への接続手段と、前記液体体積部の形状を変える手段であって、前記液体が導電性である場合には、静電気力を用いて、前記液体が強磁性である場合には、電磁気力を用いて、前記液体体積部の形状を変える手段と、前記液体体積部を変形させる手段を制御する制御部とを備える送受信無線アンテナを提供することである。
一実施形態においては、アンテナの送信および受信部のほとんどの部分は固体であり、前記液体体積部は該固体の送信および受信部分の伸張部を形成し、調節可能な形状である。
実施形態の一つの例においては、前記固体部分は送信および/もしくは受信回路に接続するためのワイヤとすることができ、液体体積部はワイヤの一方の自由端に設けられ、液体体積部の形状を変える手段は少なくとも1つの電極で形成され、液体体積部は該液体に対して低い湿潤性を示す電気絶縁性表面に堆積され、前記電極は絶縁性表面に対して液体体積部の反対側に配置される。
実施形態の別の例においては、前記固体部分は、間にスロットを画定してスロットアンテナを形成する2つの導電プレートによって形成し、各プレートは前記プレートで画定されるスロットの上に実質的に重なってスロットを画定するように液体体積部で覆われ、該プレートは該液体体積部から電気的に絶縁された電極を形成し、2つのプレートの間に電位差を設定して、前記液体体積部を互いに近づけるかもしくは遠ざけることによって、スロット幅の変更を生じさせることができる。また、2つのプレート間のスロットに分極電極を設け、分極電極と2つのプレートとの間に電位差を設定して、前記液体体積部を分極電極に近づけたり離したりすることにより、スロット幅の変更を生じさせることもできる。
このアンテナは、スロットに配置された壁を備え、2つの液体体積部が接触するのを避けることが好ましい。
別の実施形態においては、送信および受信部のほとんどが液体状であり、液体体積部の形状を変える手段は、その上で液体体積部が移動し得る電気絶縁性の表面の下に分布された複数の電極または電磁石コイルを含み、前記表面は該液体に対して低い湿潤性を有する。
制御部は電極またはコイルのそれぞれに個々の命令を送ることができる。
本発明による無線アンテナは、送信および/または受信回路に接続するための液体体積部および送信/受信回路に接続される接地面を備えてもよい。また、無線アンテナはGSMアンテナを形成することができる。
本発明によるアンテナは、幅がその全長に亘って一定のスロットによって分離され、スロットアンテナを形成する2つの液体体積部、または、その幅がスロットに沿って増大するスロットによって分離され、ブロードバンドアンテナを形成する、2つの液体体積部を備えることができる。
また、制御部は電極またはコイルに命令を出して前記スロットを回転させ、走査によって一番高いエネルギーの向きを検知できるようにすることが好ましい。
実施形態の別の例においては、アンテナは接地面と、この接地面から実質的に平行に離れた実質的に平面の電極とを備え、前記電極は液体膜によって被覆され、該液体に対して極めて良い湿潤性を示し、接地面と電極との間の電位を調節することによって、接地面に対向する電極の表面上の液膜の分布を変更することができる。
実施形態の別の例においては、アンテナはワイヤまたは点状部分と、ワイヤまたは点状部分から離れた液体部分とを備え、該液体部分が該液体部分の形状を変化させることができる手段を備えた表面を被覆している。例えば、前記表面は球状にして、バラボラアンテナを形成することができる。
無線アンテナは送信および受信部を囲う密封ケーシングを備えることが好ましく、前記送信および受信部はアンテナの少なくとも一部を形成する液体と混和性のない電気絶縁性液体に埋め込むことが好ましい。
例えば、静電気力を利用する場合には、液体は水銀、「Indalloya 46L Ga-In-Sn-Zn合金」または酸、銀粉、カーボン粉などの添加物を1つ以上含む水であってもよく、また、電磁気力を利用する場合には、液体は磁気レオロジカル液体であってもよい。
本発明のもう1つの要旨は、送信および受信回路と該回路に接続する本発明による少なくとも1つのアンテナとを備える携帯電話タイプの移動体通信装置にある。
本発明のさらにもう1つの要旨は、無線アンテナの送信および受信パラメータを変えるために、静電気力または電磁気力によって作動液の少なくとも1つの液体部分の形状を変化させる手段を使用することにある。
本発明は下記の説明と添付の図面を参照すればより良く理解されるであろう。
図1A及び図1Bは本発明による可変長さのアンテナの実施形態の一例を示す斜視図である。 図2は本発明によるアンテナの実施形態の別の例を示す上面図である。 図3A及び図3Bは図2に示す例における電極の分極方法を示す略図である。 図4A及び図4Bは可変形状のアンテナの実施形態の一例の上面図を示し、図4Aはスロットアンテナの構成を、図4Bはブロードバンドアンテナを示し、図4Cはスロットの向きが変えられた図4Aのアンテナの上面図である。 図5Aは本発明による三次元アンテナの斜視図であり、図5Bは図5Aのアンテナの側面図であり、図5Cは液体送信部が密封ケーシングに封入された図5Aのアンテナの実施形態の一例である。 図6は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図7は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図8は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図9は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図10は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図11は本発明によるアンテナの実施形態の他の例の斜視図である。 図12Aは電磁気力を用いる可変形状のアンテナの実施形態の一例の上面図であり、図12Aは折り畳みスロットアンテナの構成を、図12Bは接地面付き折り畳みGSMアンテナの構成を示す。
下記の説明は主にエレクトロウェッティングによる駆動を利用した装置に関するものである。よって最初にエレクトロウェッティングの原理を利用した液滴の移動に関する概要を述べる。なお、電磁気力を使った駆動手段を使った装置も以下に示すように本発明の範囲内である。
エレクトロウェッティングによる液滴の誘電体上での移動に関しては、例えば非特許文献1に記載されている。
移動のために利用される力は静電気力である。
特許文献3は、駆動電極に対向するカテナリーを使って移動させる装置について記載している。
このタイプの移動原理を下記に説明する。
液滴は一連の電極上に存在し、液滴は電極から誘電体層および疎水性層によって分離される。
液滴の近くに位置する電極が駆動されると、誘電体層および疎水性層は、この駆動された電極と電極によって分極された液滴との間で、コンデンサとして作動する。静電帯電効果によって、この電極上で液滴の移動が引き起こされる。この電極はカテナリーであってもよく、この場合には、特許文献3に記載されているように、カテナリーは液滴の移動の際に液滴と電気接触を保つ。
従って、液滴は少しずつ移動することができ、また電極の配列の電極の連続駆動によって、疎水性表面上で大きく又は小さく広げることもできる。
図1Aおよび図1Bは、本発明によるアンテナ2の実施形態の一例を示す。この例では、ワイヤアンテナを示す。
アンテナ2は導電性ワイヤ4とワイヤ4の自由端部4.1を覆う導電性液の液滴6から形成される。ワイヤ4と液滴6は、その長さがアンテナの動作周波数帯を定める導体素子を形成する。
アンテナはまた、液滴6の形状を変化させることによって導体素子の長さを変化させる手段8を備える。
この手段8は、ワイヤ4の自由端部4.1と液滴6が位置する平面10と、平面10に対してワイヤ4の反対側に配置された電極12とによって形成される。ワイヤ4はカテナリーも形成する。
平面10は、液滴6と電極12とを電気的に絶縁する誘電体層と、誘電体層上の想定される液体に対して非湿潤性の層、すなわち水溶液に対しては疎水性の層、また油脂に対しては親油性の層とを備える。
液滴の液体は、送信すべき電気信号を送ることができるようなものを選ぶ。例えば、水を使ってもよい。
好ましくは、液体は、水銀、「Indalloya 46L Ga-In-Sn-Zn合金」または酸、銀粉、カーボン粉などの添加物を1つ以上含む水などの良導電体を形成するものを選ぶ。アンテナの品質係数は、液体が良導体であればあるほど効果的に大きくなる。最大限の導電率は、例えば、105 S.m-1以上が求められる。
銀は周囲温度で最大の導電率を提供し、62.5・106 S.m-1の導電率を有する。銅の導電率は58.8・106S.m-1で、水銀の導電率は1.04・106 S.m-1である。
電極12を分極する手段(図示せず)が提供される。ワイヤ4は固定電位を持ち、液滴6も同じ電位を持つ。
電極12が分極されていない場合、液滴6はそれ自身の特性および平面10の疎水性によって球形となる傾向にある。液滴はワイヤ4の自由端部4.1を覆い、わずかに突出するのみである。従って導電エレメントの長さはワイヤの長さと実質的に同じである。
電極12がアンテナを通過するデータ信号の実効値に対して大きな電位となるように分極(バイアス)される場合、ワイヤ4と電極12との間に連続的(直流)電界が設定される。すると、静電気力が生じ、液滴の液体が電極12に引き寄せられ、液滴は変形して電極12の形状になる傾向にある。その効果によって導電エレメントの長さが伸びる。
電極12の分極電位の値を変えることによって、アンテナの導電エレメントの長さを、ワイヤ4の長さと変形した液滴の長さ分だけ伸びたワイヤ長さとの間で変えることが可能になる。よって、送信または受信したい波長に応じてアンテナを適合させることができる。ワイヤと電極との間の電位差が大きくなればなるほど、ますます液滴は変形して電極を覆うことになり、よって、導電エレメントが長くなる。
アンテナの長さが伸びれば伸びるほど、アンテナの共振周波数は低くなり、信号の送信に使用される搬送周波数が低くなる。
図示の例において、アンテナの長さを変えるためにはたった1つの電極が使用されているが、経路を形成する数個の電極を使用することも本発明の範囲に含まれること、明らかである。
また、図1に示すアンテナは概略図である。実際には、ワイヤ4を挿入するチューブ内に液滴を含めることができるようにし、電極12をチューブに取り付け、これによって例えば装置の移動アイテムに簡単に適用し得るアンテナを提供することができること明らかである。
本発明の手段によって得ることができるいくつかの波長の数値例を以下に説明する。
従来、アンテナの長さは搬送波波長又はその倍数の1/2または1/4に等しい。
波長λと周波数fとの関係は:
λ=3・108/f (I)
で表される。
例えば無線ホームビデオ放送に使用される4つのチャネル、つまり、 2.411GHz、2.431GHz、2.451GHzおよび2.471GHzを有する送信システム用のアンテナを製造することが望ましい場合について考えてみよう。チャネルの1つが別のユーザーに使用される場合、システムは1つのチャネルからもう1つのチャネルへと切り替えることができなければならない。
また、λ/2アンテナ、すなわち、その長さがその波長の1/2に等しいアンテナを作ることが望ましいと考えよう。
方程式(I)により、λ1とλ2を上記の4つのチャネルの波長の2つの極値、すなわち2.411GHzと2.471GHzに対してそれぞれ計算することができる:
λ1= 0.1244m、λ2=0.1214m
これにより、最大長さL1と最小長さL2とを導くことができる;
L1=62.2mm, L2=60.7mm
従って、4つのチャネルの範囲を達成するには、60mmのアンテナを超えて最大で2.2mmの変化が必要とされる。従って、導電性液体の液滴6がその端に置かれた60mmのワイヤ4を作製することが考えられる。静電作用がない状態では、液滴6は小さく、アンテナワイヤの端からほんの0.7mm突出するだけであり(液滴の形状は半径0.7mm、すなわち2.05μL)、このとき、アンテナの長さは60.7mmで、チャネル2.471GHzに対応する。電極12に分極を与えることにより、液滴6の静電引力変形を生じさせ、液滴をアンテナワイヤ4の端を2.2mm越えた長さ(断面約0.9mm、長さ2.2mmの液体ロッドの形状)にすることができる。よってアンテナの長さは62.2mmとなり、チャネル2.411GHzに対応する。
図2は本発明によるアンテナの実施形態の別の例を示す。これはスロットアンテナである。この場合、液体体積部が、高導電性の固形材料、例えば銅または金で作られたアンテナの主要部分であるスロットの長さの調節に使用される。
より具体的には、図2のアンテナ202は高導電性材料、例えば銅や金の2つのプレート204を含み、これらは横に並べて配置され、それらの対向するエッジによりスロット208を画定する。プレート204の材料の導電率が良いほど、アンテナの品質係数が高まり、よって、その効率も高まる。
図示の例において、アンテナはまた、スロット208内に配置された分極電極210を備える。
各プレート204は導電性の液体体積部206によって覆われる。
各プレート204は送信/受信回路に接続される。
液体に対して優れた湿潤性を有する膜でプレートを被覆して、液体が確実にプレート204上に広がるようにすることができる。しかし、毛管力は十分である。
以下、図3Aの電気回路図を参照してこのアンテナの機能を説明する。
スロット208の幅はアンテナの送受信特性の調節に使用することができる。
2つの液体体積部は、それらの対向する端部206.1を介してスロット208’を画定する。停止中、すなわち、電極210の分極がない場合、スロット208とスロット208’は同一である。従って、スロットの幅はプレート204を分離する距離に等しい。
プレート204は電極を形成し、その電位は差動源、例えば送信信号214によって印加される。2つのプレート204の電位は違っていてもよいし、違っていなくてもよい。よって、液体体積部206はプレート204の電位にある。電極210の電位(連続(直流)成分)212によって図式化されている)が重畳される。このとき、静電気力が発生し、この静電気力は液体を電極210の方に引き付ける傾向がある。そして、液体体積部206のエッジが電極210の方へ引き付けられ、プレートを越えて突出し、結果としてスロット208’の幅が減少する。
電極210が強く分極されればされるほど、液体体積部のエッジは引き合い、スロットは狭くなる。
従って、液体体積部206によって画定されるスロット208’の幅は、プレート204と分極電極との間の電位差に応じて変化する。
電極210に中央壁を設けて2つの液体体積部206の接触を防ぐこともできる。この壁は最小スロット幅を画定する。
また、実質的に固定された電位を電極210に与え、プレート204の電位を変化させるようにしてもよい。
図3Bに記号で示す実施形態の別の変形例において、電極210を使用せずに、連続(直流)成分212を送信信号214に重畳することによって2つのプレート204を差動的に分極するようにしてもよい。プレート204間に比較的大きな電位差を与えると、それぞれの固体導電表面に置かれた液体は、スロット208で互いに引き付けあう傾向にあり、よって、このスロットの幅を減らす傾向にある。その結果、アンテナの動作周波数が増加する。
1つの液体体積部206にのみ作用してスロットの幅を変えるようにしてもよい。この場合、スロットの幅に非対称な変化を生じる可能性がある。
スロットの調節によって、例えば共振周波数や送信指向性や帯域幅の調節が可能になる。
図4Aおよび図4Bにおいて、本発明によるパッチアンテナの実施形態のその他の例を見ることができる。これらの例では、複数の電極が格子状に配列されて使用される。実施形態のこれらの例では、アンテナ全体は液体体積部によって形成され、液体はアンテナの相対的に制限された部分の調節のみには使用されない。
図4Aは、データ送信/受信回路への接続手段104、接続手段104と電気接触する2つの導電性の液体体積部106.1と106.2、およびこれらの液体体積部の形状を変える手段とを備える双極式スロットアンテナ102を示す。
2つの導電性液体体積部106.1と106.2はその間に所定の幅と向きのスロット108を画定するためのものである。
液体体積部の上方または下方に接地面を設置してもよい。
これらの液体体積部の形状を変える手段は、十分な精度で液体体積部106.1と106.2のそれぞれの輪郭を変えることができるように、接地面上に分布された複数の電極を備える。図示の例では、電極112は格子状に配置され、それによって高い精度で液体体積部106.1、106.2を動かすことができる多数の静電気力発生源に分割される表面を形成する。電極は誘電体層と、液体体積部106.1、106.2に対して低い湿潤性を有する層とで被覆され、その上に液体体積106.1、106.2が載置される。
各電極112は制御部に個々に連結され、制御部は体積部106.1、106.2を所望のスロット幅および/または所望のスロット向きが得られるように配置するように決定された電極に電位を与える。
電導性液体は電位が与えられた全ての電極に広がる。
図示された構造において、斜線で示す電極は全て分極されている。スロットの幅を変えたいのであれば、電極112.1および/または電極112.2の分極を停止しさえすればよい。
スロットの最小幅は電極幅と実質的に等しい。電極を小さくすればするほど、スロット幅の変化及び波長の変化を小さくすることができる。
また、スロットの向きを変えることも可能である。図4Cに示すように電極を分極することによって、傾斜したスロット108’を画定することも考えられ、この場合には、斜線で示す電極を分極する。
携帯電話の場合には、会話中にスロットの大きさと向きをリアルタイムに変更することができる。その結果、スロットは送信/受信方向をパワーの高い方向に向けるように回転する。スロットは最大エネルギーを持つ方向を探すために回転して方向を走査することができる。
また、波長を変え、アンテナのインピーダンスを送信/受信回路のインピーダンスにリアルタイムに適合させることができる。
図4Aのアンテナは、周波数チャネルを数ギガヘルツに到達させることができる。
図4Bは、液体体積部がブロードバンドアンテナを形成する構成にあるアンテナを示す。液体体積部は互いに向き合う凹状の形状を有し、実質的に上を向いた三角形のスロット108''を画定する。このスロットは電極を単に制御するだけで得ることができる。
このアンテナでは広周波数帯にわたる送信を行うことができ、例えば、数メガヘルツの極めて高速の送信を行うことができる。この構造では明らかにスロットアンテナまたはブロードバンドアンテナ以外のアンテナの作製が可能である。
液体は図1のアンテナで使用されているものと同じ種類のものとしてよい。
図5Aおよび図5Bは3次元アンテナに適用される、本発明による原理の応用例を示す。図5Aおよび図5Bのアンテナ32は、アースに接続される接地面303と、例えば電気的に絶縁性の担体305によって接地面303から離れて配置された固体電極304とを備える。図示の例では電極304は円盤状であるが、何れにせよ、この形状に限らない。
電極304は送信/受信回路に接続される。
本発明によれば、電極304は液膜306で被覆される。停止時において、この膜は上面304.1と下面304.2に均一に分布される。
調節が所望されるパラメータはプレート(電極)と接地面との間の距離dである。より具体的には、接地面303と下面304.2を被覆する膜との間の距離である。
送信信号(または受信信号)に連続値(直流値)を重畳することによって、電極304の上面304.1上に位置する液体の一部を電極304の下面304.2に向けて移動させることができる。この移動の効果によって、距離dを減少させることができる。従ってアンテナの特性が変わる。
液体に対して非常に優れた湿潤性を提供する電極304を使用することが好ましい。電気分極が停止すると、液体はそれ自身で自発的に電極304の周りに広がり、電極304の周り全体に均一な層を形成する。
図5Cは、図5Aおよび図5Bのアンテナの実施形態を示す。図5Cにおいて、膜306で被覆される電極304および接地面303は密封ケーシング308に囲われ、導電性液体の消失もしくは蒸発のリスクが抑えられる。
さらに、容器308を、膜306の液体と混ざらない、例えば誘電体オイルタイプの絶縁液310で、アンテナ全体の体積に達するまで充填することが好ましい。
絶縁液にアンテナを埋め込むことによって、蒸発のリスクを減らすことが可能だが、この埋め込みによって、アンテナを、静電気引力が与えられているにもかかわらず導電性液体を担体の表面から離脱させてしまう乱暴な取扱いに対して不感応にすることもできる。これは移動システムを備えたアンテナに対して特に有利である。
アンテナの構造をもっと複雑にできることは明らかであり、液体膜の変形の制御を改善するために分極電極を付加してもよい。
図6は3次元アンテナ402の実施形態の別の例を示す。
アンテナ402はワイヤ部403と、ワイヤ部を囲う円筒状エレメント405とを備え、該円筒状エレメントの内面は液体膜406で被覆されるよう意図されている。
この目的のために、円筒状エレメント405は内面が膜406で被覆された電気絶縁性の円筒状の担体410と、その外面上に配置された電極408とを備える。
図示の例において、電極408は円筒状の担体410上の外面全体に格子を形成する。各電極は個々に、もしくは列毎または行毎に制御することができる。
ワイヤ部403と電極との間の電位を変えることにより、円筒状の担体410の内面上の膜の分布を変え、この内面の一部のみを被覆することができる。この分布変更によって、例えば送信及び受信の方向を変えることができる。
図7,図8,図9,図10は、液体アンテナが図6の構造の様々なタイプの制御に対して取り得る形状の例を示し、円筒状の担体410は図示されていない。
図7には、液体自身が円筒片704上を分布するように制御されるアンテナが示されている。
図8には、液体がカテナリー403を中心としたリング504の形状になるように制御されるアンテナが示されている。
図9は、液体膜がワイヤ部403と平行なスレッド604を形成するように制御されるアンテナが示している。
図10には、液体がワイヤ部403を囲む螺旋804を形成するように制御されるアンテナ702が示されている。
上述の例において、アンテナの液体部とワイヤ部との間の距離は、送信もしくは受信される信号に連続(直流)成分を加えることによって調節することができ、アンテナの形状は、電極の電気駆動によって液体担体をより大きく又はより小さく被覆することにより調節することができる。
図11は、本発明によるパラボラアンテナの実施形態の一例を示す。
よって、アンテナ902は、ワイヤもしくは点状部分903と、外面に個々に制御できる電極が被覆された球状の担体904とを備える。膜906は担体904の内面の一部分を被覆してキャップを形成し、その凹部の向きが電極手段によって定められる。
有利なことに、重力の下で、キャップの凹部は自動的に上に向いて衛星通信を確実にする。
図5Cに示す実施形態例は、記載した全ての実施形態に適用し得ることは明らかである。
液体体積部の移動が静電気力によって得られる実施形態の例を説明したが、電磁気力による液体体積部移動を考えることもできる。このためには、強磁性を示し、よって磁界に敏感な液体、例えば磁気レオロジカル液体を使用する。この場合には、電極の代わりに例えばコイルなどの磁界を発生する手段を設けることができる。この構造は絶縁破壊のリスクを発生させないという利点がある。図1から図11に示す例の構成は電磁気力を利用する液体移動手段に適用し得ることは明らかである。
静電気力による移動に関しては、力の印加は電極上にいくらかの電荷を置くことを意味する。
電磁気力による移動に関しては、力の印加はコイルにいくらかの電流を供給することを意味する。
図12Aおよび図12Bは、アンテナの形状を変えるために電磁気力を使用する本発明によるアンテナの別の実施形態を示す。
この目的のために、電極を個々に給電されるコイル1004に置き換え、液体1006としては、強磁性の液体、例えば磁気レオロジカル液体を使用する。
コイルは、電流の供給を受けると磁場を発生し、磁気レオロジカル液体を引き付け、磁場の有無に関連して変形する。
図12Aは電磁気力によって得られるアンテナを示す。
コイル1004は絶縁面1008の下に行および列に分布され、液体1006に対して低い湿潤性を有する。
液体1006は導電性の磁気レオロジカル液体である。
アンテナはまた、調節可能な形状のスロット1010を画定する2つの離れた液体体積部1006.1と1006.2とを備える。1006.1と1006.2の液体体積部はそれぞれ導体1012を介して送信/受信回路に接続される。1006.1と1006.2の液体体積部は見やすいように陰影をつけて示されている。
図示の例は小さなスペースで大きな長さを提供する折り畳みスロット1010である。
スロットの最小幅はコイル1004の間のスペースによって決まる。
各コイルに制御を与えることによって、図12bに接地面を備えた折り畳みGSMアンテナを示すように、どんな形状でも作製することができる。
アンテナは、絶縁担体1108の下に行および列状に分布された複数のコイル 1104、担体上に担体から離して設置された接地面1103、担体上に堆積された磁気レオロジカル液体とを備える。
接地面と液体1106はコネクタ1112を介して送信/受信回路に接続される。
図示例では液体1106(見やすいように図12Bに陰影をつけて表示)は螺旋をなす。
図5Aから図11に示すような3次元アンテナは、電磁気力を使って磁気レオロジカル液体の分布を調整するように作製することができること明らかである。
本発明により、例えばワイヤアンテナの長さ、またはスロットアンテナの幅を変えることによって、従来型のアンテナのパラメータを調節することができる。また、送信部品および受信部品のほとんどを、命令に応じて表面上を移動し得る電導性の液体で形成することにより、アンテナ形状を完全に変えることができるアンテナを作製することができる。
折り畳みGSMアンテナ、ダイポールなどの、どんなタイプのアンテナも作製することができる。
よって、本発明を利用すると、自由な周波数帯またはそれらの方向に適合させることのできるアンテナを簡単に作製することが可能である。よって、これらのアンテナが取り付けられる装置に、より効率的な送信および受信特性を提供することができる。
説明した例において、電極またはコイルは同じ大きさであるが、様々な大きさの電極の構造を提供することができることは明らかである。例えば、スロットアンテナに関しては、スロットの電極をより小さくしたり、より多くすることによって、液体体積部のエッジの移動の感度を増大するようにしてもよい。

Claims (19)

  1. 無線送信/受信アンテナであって、少なくとも一部が少なくとも一つの液体体積部(6,106.1,106.2,206,306,406,906,1006.1,1006.2,1106)によって形成されている送信および受信部と、送信および/もしくは受信回路への接続手段と、前記液体体積部の形状を変える手段であって、前記液体が導電性であり場合には、静電気力を用いて、前記液体が強磁性である場合には、電磁気力を用いて、前記液体体積部の形状を変える手段と、前記液体体積部を変形させる手段を制御する制御部とを備える送受信無線アンテナ。
  2. 前記アンテナの送信および受信部の大部分が固体(4,204)であり、前記液体体積部が該固体の送信および受信部分(4,204)の調節可能な形状の伸長部を形成する、請求項1に記載の無線アンテナ。
  3. 前記固体部分は送信および/もしくは受信回路に接続するためのワイヤ(4)であり、前記液体体積部(6)は前記ワイヤ(4)の一方の自由端(4.1)に設けられ、前記液体体積部の形状を変える手段は少なくとも1つの電極(12)で形成され、前記液体体積部(6)は該液体に対して低い湿潤性を示す電気絶縁性表面(10)に堆積され、前記電極(12)は絶縁性表面(10)に対して前記液体体積部(6)の反対側に配置される、前請求項に記載の無線アンテナ。
  4. 前記固体部分は、間にスロット(208)を画定してスロットアンテナを形成する2つの導電プレート(204)によって形成し、各プレート(204)は前記プレートで画定されるスロットの上に実質的に重なってスロット(208’)を画定する液体体積部(206)で覆われ、該プレートは該液体体積部から電気的に絶縁された電極を形成し、前記2つのプレート(204)の間に電位差を設定して、前記液体体積部(206)を互いに近づけるかもしくは遠ざけることによって、前記スロット(208)の幅を変えることができる、請求項2に記載の無線アンテナ。
  5. 前記固体部分は、間にスロット(208)を画定してスロットアンテナを形成する2つの導電プレート(204)によって形成し、各プレート(204)は前記プレートで画定されるスロットの上に実質的に重なってスロット(208’)を画定する液体体積部(206)で覆われ、該プレートは該液体体積部から電気的に絶縁された電極を形成し、前記2つの板(204)の間のスロット(208)に分極電極(210)が配置され、該分極電極(210)と前記2つのプレート(204)との間に電位差を設けて前記液体体積部(206)を前記分極電極(210)に近づけたり離したりすることによって、前記スロット(208)の幅を変えることができる、請求項2に記載の無線アンテナ。
  6. 2つの液体体積の接触を防ぐために前記スロットに配置した壁を備える、請求項4または5に記載の無線アンテナ。
  7. 送信部および受信部の大部分が液体であり、前記液体体積部の形状を変える手段は、前記液体体積部(106.1,106.2,1006.1,1006.2,1106)がその表面上を移動し得る電気絶縁性表面の下に分布された複数の電極(112)もしくは電磁コイル(1004,1104)を備え、前記表面が前記液体に対して低い湿潤性を有する、請求項1に記載の無線アンテナ。
  8. 制御部が電極(112)またはコイル(1004,1104)のそれぞれに個々に命令を送る、請求項7に記載の無線アンテナ。
  9. 送信および/もしくは受信回路に接続するための液体体積部(1106)と、送信および/もしくは受信回路に接続するための接地面(1103)とを備える、請求項7または8に記載の無線アンテナ。
  10. GSMアンテナを形成する、請求項9に記載の無線アンテナ。
  11. 幅がその全長に亘って一定のスロット(108,108’)によって分離され、スロットアンテナを形成する2つの液体体積部(106.1,106.2)、または、その幅がスロットに沿って増大するスロット(108”)によって分離され、ブロードバンドアンテナを形成する2つの液体体積部(106.1,106.2)を備える、請求項7に記載の無線アンテナ。
  12. 前記制御部が、前記電極(112,1004,1104)または前記コイルへの命令を発生し、エネルギーの最も高い方向を走査によって検出するために前記スロット(108’)を回転させる、請求項11に記載の無線アンテナ。
  13. この接地面から実質的に平行に離れた実質的に平面の電極とを備え、前記電極は液体膜によって被覆され、該液体に対して優良な湿潤性を示し、接地面と電極との間の電位を調節することによって、接地面に対向する電極の表面上の液膜の分布の変更が可能となる
    接地面(303)と、該接地面から実質的に平行に離れた実質的に平面の電極(304)とを備え、前記電極(304)が膜を形成する液体体積部(306)によって被覆され、前記電極(304)は該液体に対して優良な湿潤性を示し、前記接地面(303)と前記電極(304)との間の電位を調節することによって、前記接地面(303)と対向する前記電極(304)の表面(304.2)上の液体(306)の膜の分布を変えることができる、請求項1に記載の無線アンテナ。
  14. ワイヤもしくは点状部分(403,503,603,703,803,903)と、該ワイヤもしくは点状部分(403,503,603,703,803,903)から離れた液体部分とを備え、該液体部分は該液体部の形状を変えることのできる手段が設けられる表面(405,504,604,704,804,904)を被覆している、請求項1に記載の無線アンテナ。
  15. 前記表面(904)が球形で、パラボラアンテナ(902)を形成する請求項14に記載の無線アンテナ。
  16. 前記送信および受信部を囲う密封ケーシング(308)を備え、前記送信および受信部は、アンテナの少なくとも一部を形成する液体と混和できない電気的に絶縁された液体(310)内に埋め込まれる、請求項1〜15の何れかに記載の無線アンテナ。
  17. 静電気力を利用する場合には、前記液体は水銀、「Indalloya 46L Ga-In-Sn-Zn合金」または酸、銀粉、カーボン粉などの添加物を1つ以上含む水であり、また、電磁気力を利用する場合には、前記液体は磁気レオロジカル液体である、請求項1〜16の何れかに記載の無線アンテナ。
  18. 送信および受信回路と、前記回路に接続される請求項1〜17の何れかによる少なくとも1つのアンテナとを備える、携帯電話タイプの移動通信装置。
  19. 無線アンテナの送信および受信パラメータを変えるために、静電気力もしくは電磁気力によって作動液の少なくとも1つの液体体積部の形状を変える手段を使用する使用方法。
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