JP2010079211A - 光学素子、カラーフィルタ及び有機機能性素子の製造方法、及びこれに用いる吐出パターン生成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズル毎に吐出量を測定した後、そのバラツキを補正することにより、駆動電圧を変更することなく、ノズル毎の吐出バラツキによる濃度むらが発生し品質低下しない、高品質なカラーフィルタ及び有機機能性素子を製造することができる吐出パターン生成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】基板上に多数の開口部を有する隔壁を形成する工程と、インクジェットヘッドに属する複数のノズルのうち、吐出に使用されるべき有効ノズルを選択する工程と、有効ノズルから開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程と、有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に多数の開口部を有する隔壁を形成する工程と、インクジェットヘッドに属する複数のノズルのうち、吐出に使用されるべき有効ノズルを選択する工程と、有効ノズルから開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程と、有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、高精細なパターンを吐出するための吐出パターン生成方法と、これを用いた光学素子の製造方法及びこれに用いる装置に関するものであり、例えばカラーフィルタや有機機能性素子の製造方法に関する。また、本発明は、特に隔壁パターンに対し一定量の液滴を吐出させるために適したインクジェット吐出装置に関するものである。
カラーフィルタの基板サイズは年々大型化が進んでいる。従来では、フォトリソグラフィー工程を繰り返す顔料分散法等が用いられてきたが、カラーフィルタのコストダウン化を図るために、近年は工程数が少なく、カラーフィルタの各着色層を同時に形成することが可能なインクジェット装置を用いた方法が検討されている。
インクジェット装置を用いたカラーフィルタの製造方法としては、隔壁で区切られた開口部に、インクジェットノズルヘッドのノズルからカラーフィルタの各色に対応する着色インクを吐出し、各着色層を形成する方法が一般的である。このとき、各開口部に吐出、充填されるインクの充填量のバラツキが小さいほどカラーフィルタの色ムラが低減され、高品質なカラーフィルタを製造することができる。
一方、カラーフィルタとしては、画像表示装置等の高解像度化、それに伴う高精細化によって、年々微細化する傾向にある。カラーフィルタの画素の微細化に従って、インクジェットで塗工するパターンピッチは狭くなっていくため、インクジェットノズルヘッドからのインクの吐出量を少量でかつ均一となるように高い精度で制御する必要がある。このため、インクジェット装置を用いたカラーフィルタの製造方法においては、複数のインクジェットノズルヘッドを積み重ねて解像度を向上させる方法が検討されている。
しかしながら、インクジェットノズルヘッドから吐出されるインク量は、ノズルごとにバラツキを持っているために、吐出量が異なる場合がある。特に、複数のインクジェットノズルヘッドを積み重ねた、高解像度を目的とする吐出装置の場合には、一つのノズルから吐出されるインク量がごく微小量のために、バラツキは相対的に大きいものとなってしまう。
この場合、各開口部に対し、同量のインクを充填するために、各ノズルから同じ回数のインクを吐出したとしても、ノズルごとのバラツキにより最終的なインクの充填量に差が生じてしまい、各画素間の色ムラとなってカラーフィルタの品質および歩留まりを低下させる原因となっていた。
結果として、同一ノズルヘッドセットの組み合わせによって吐出した各々の隔壁開口部(以下、セル)への吐出量はほぼ等しくなるために、同一ノズルヘッドセットで形成した吐出パターンのライン(以下、セルライン)と、異なるノズルヘッドセットにより形成したセルラインでの吐出量の差が出来、そのバラツキのために視覚的に色ムラとして現われてしまうことになる。
このような問題の解決のため、ノズルごとの吐出バラツキを抑える手段として、例えばノズルごとに駆動電圧値を変更できる回路装置を組み込み、理想吐出量と実際の吐出量を比較し、吐出量を調整することでムラを低減する方法が、特許文献1に掲載されている。
しかしながら上記特許文献1に示すように、全セルラインを理想総液量に近づけるためには何回も吐出し、その測定を繰り返し行い、各ノズルの吐出バラツキが無くなるまで作業をするため、膨大な時間や材料を使用する問題があった。
同様の問題は、予め基板上に隔壁を形成した、その開口部に1層あるいは複数の有機機能層を積層した有機EL素子、または有機太陽電池等の有機機能性素子を、インクジェット法を用いて製造した際にも生じる。例えば、有機EL素子においては、吐出装置からの有機機能性インクを吐出し、形成した発光層にムラやバラツキが生じていると、全体として発光ムラやバラツキの目立った有機EL素子となってしまう。
特開2004−90621号公報
本発明は、これら上記の問題を鑑みてなされたもので、ノズル毎に吐出量を測定した後、そのバラツキを補正することにより、駆動電圧を変更することなく、ノズル毎の吐出バラツキによる濃度むらが発生し品質低下しない、高品質なカラーフィルタ及び有機機能性素子を製造することができる吐出パターン生成装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための本発明の構成を以下に示した。
(請求項1)
基板上に形成した多数のパターン状の開口部に、インクジェットヘッドの複数のノズルから着色インクを吐出し、前記基板上に多数の画素部を形成する光学素子の製造方法であって、少なくとも、
基板上に多数の開口部を有する隔壁を形成する工程と、
前記開口部を有する隔壁形状をもとに、インクジェットヘッドに属する複数のノズルのうち、吐出に使用されるべき有効ノズルを選択する工程と、
前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程と、
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
(請求項2)
前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程において、前記ドロップ数を前記隔壁の特定の開口部内における平均総液量を理想総液量に最も近くなるように設定することと、前記平均総液量と理想総液量の差を求めることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
(請求項3)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記任意に発生させた乱数の代わりに、前記平均総液量と理想総液量の差に基づいて、発生させた乱数のうち低周波部分を除いた乱数を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項4)
ノズルヘッドごとに、ノズルから一回に吐出するインクの吐出量を設定する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項5)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数が、同一ノズルヘッドによって開口部に吐出されると前記平均総液量の理想総液量からのズレの大きさにより重み付けされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項6)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数の最大値が、同一ノズルヘッドによる各開口部の前記平均総液量のバラツキの程度によって決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
(請求項7)
基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(請求項8)
基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に一層あるいは複数の有機機能層を形成する有機機能性素子の製造方法であって、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、有機機能層を形成することを特徴とする有機機能性素子の製造方法。
(請求項9)
請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子の製造方法に用いられる吐出パターンを形成する手段を備えた吐出パターン生成装置。
(請求項1)
基板上に形成した多数のパターン状の開口部に、インクジェットヘッドの複数のノズルから着色インクを吐出し、前記基板上に多数の画素部を形成する光学素子の製造方法であって、少なくとも、
基板上に多数の開口部を有する隔壁を形成する工程と、
前記開口部を有する隔壁形状をもとに、インクジェットヘッドに属する複数のノズルのうち、吐出に使用されるべき有効ノズルを選択する工程と、
前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程と、
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
(請求項2)
前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程において、前記ドロップ数を前記隔壁の特定の開口部内における平均総液量を理想総液量に最も近くなるように設定することと、前記平均総液量と理想総液量の差を求めることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
(請求項3)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記任意に発生させた乱数の代わりに、前記平均総液量と理想総液量の差に基づいて、発生させた乱数のうち低周波部分を除いた乱数を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項4)
ノズルヘッドごとに、ノズルから一回に吐出するインクの吐出量を設定する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項5)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数が、同一ノズルヘッドによって開口部に吐出されると前記平均総液量の理想総液量からのズレの大きさにより重み付けされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(請求項6)
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数の最大値が、同一ノズルヘッドによる各開口部の前記平均総液量のバラツキの程度によって決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
(請求項7)
基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
(請求項8)
基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に一層あるいは複数の有機機能層を形成する有機機能性素子の製造方法であって、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、有機機能層を形成することを特徴とする有機機能性素子の製造方法。
(請求項9)
請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子の製造方法に用いられる吐出パターンを形成する手段を備えた吐出パターン生成装置。
本発明によって、各セルに吐出するインクの吐出量にランダムなバラツキを与える等の関数手段を有することにより、セルごとに実際に吐出するドロップ数に幅を持たせることで、セルライン内に一定幅のバラツキを持たせ、セルラインごとの平均吐出量のバラツキを目立たなくすることができ、これにより全体的な色ムラを低減することができた。また、予め各ノズルからの吐出量のバラツキを測定しそれに基づいて、セルラインごとに平均吐出量と理想総液量の差を求め各セルラインの吐出量に反映させることにより、複数回調整することなく全体的な色ムラを低減することができた。
本発明によって、より均質な着色層が形成できた。このことにより高精細で色むら、バラツキの少ない高品質なカラーフィルタがより短時間で製造可能となった。
本発明によって、より均質な膜厚の有機機能層が形成することができ、発光ムラの少ない有機EL素子等、高品質な有機機能性素子を製造することが可能となった。
図1は、本発明の吐出パターン生成装置の全体構成の一例である。本発明吐出パターン生成装置には、複数のインクジェットノズルを複数列組み合わせて配置したインクジェットノズルヘッド1を複数個配列したインクジェットノズルヘッドユニット2を持つ構成である。カラーフィルタを生成するためには、着色層を形成する各色(例えばR、G、B)のインクの吐出を行う必要があるため、前述した複数個並んでいるインクジェットノズルヘッドの組み合わせが各色配置されている。また、インクジェットノズルヘッドユニットは主走査方向に移動し、画像描画を行う。
本発明の吐出パターン生成装置は、少なくともインクを隔壁の開口部に吐出するためのインクジェットノズルヘッドに存するノズルと、あらかじめ入力されたパラメータ情報に基づいて位置情報を認識あるいは計測し、これを出力する手段と、ノズルから吐出するインクのドロップ数の増減を関数を用いて決定する手段とを有する。さらには、ドロップ数を増減させる特定ノズルを選択する手段を有する吐出パターン生成装置である。なお、パラメータ情報とは、例えば基板のサイズ、形成パターン等の事前に入力される情報と、ノズル及び基板の位置等の逐次入力されるノズル及び基板に係る情報を合わせた、吐出パターンに係る情報である。乱数は、吐出パターン生成装置に組み込まれた擬似乱数生成器を用いて、擬似乱数列を生じさせこれを用いることができる。
本発明に用いる関数は、乱数列におけるパワーベクトルのざらつき感を低減するための乱数であることが望ましい。通常乱数は、図2に示すような形態である。この乱数をFFT(高速フーリエ変換)しパワースペクトルを求めたものを、図3に示す。
一方、画像評価手法に関する公知文献では、人間の目で対象物を観察する際、敏感に知覚するかどうかの一つの尺度として、MTFあるいはVTFを用いることが一般的である。
この関数で、知覚に敏感なのは、空間周波数における低周波数部分である。低周波部分はそこで、乱数の中で、該当する周波数成分を除去した乱数を画像に展開すると、ざらつき感が低減されることが、実験等で確認されている。乱数をハイパスフィルタ(高域フィルタ)に通すことにより、低周波部分の除去が可能となる。ここで、乱数の低周波部分とは3.00E+00以下のことを言う。
その乱数の一例を図4に示す。またそのパワースペクトルを図5に示す。
本発明はシェアウェーブモードでの吐出制御方法で行ったが、本発明の吐出装置はその他の方式でも問題ない。以下、本発明の吐出パターン形成方法によってカラーフィルタを形成する場合を例に説明するが、その他の光学素子、例えば有機EL素子の場合であれば発光層の各色画素を形成する場合にも同様に本発明を用いることができる。
吐出パターン情報に基づいてインクジェットノズルヘッドのノズルからインクを吐出する制御手段として、例えばインクジェットノズルヘッドコントローラー4を吐出装置に接続する。インクジェットノズルヘッドコントローラー4は、インクジェットノズルヘッドを駆動し、インクジェットノズルヘッドパラメータ情報と吐出パターンが格納されている。インクジェットノズルヘッドパラメータ情報は、インクジェットノズルヘッドを駆動させるための情報である。吐出パターン情報は、インクジェットノズルヘッドの位置情報を引数として、特定のノズルの吐出についての情報が格納されている。吐出を行う際にインクジェットノズルヘッドコントローラーから各ノズルに吐出パターン情報が転送され、描画を行うことが可能である。
また、上記インクジェットノズルヘッドコントローラー4のインクジェットノズルヘッドを駆動させるためのインクジェットノズルヘッドパラメータ情報には、インクジェットノズルヘッドごとに最適の電圧値のパラメータを設定できることが好ましい。全てのインクジェットノズルヘッドの駆動電圧を同じ値に設定すると、インクジェットノズルヘッドから吐出される液滴の量が個体差により変わるため、基板内にインクを均一に吐出することができなくなるおそれがある。インクジェットノズルヘッドごとに最適の電圧値のパラメータを設定できるようにすることによって、インクジェットノズルヘッドごとの吐出量を制御することが可能となり、各セルの吐出量を調整することができる。
本発明の有する、位置情報を認識、または計測し、これを出力する手段は、予め入力されたカラーフィルタのサイズ、隔壁パターンのピッチ、画素部のパターン(ストライプ配列、セル配列、モザイク配列等の情報配列パターンを含む)等のカラーフィルタ基板のパラメータと、インクジェットノズルヘッド及びノズルの位置情報(ヘッドの位置ずれ情報を含む)と、吐出装置の基板の置き台の移動量等のパラメータ(以下、合わせて吐出パターン情報と記載)から、ノズルから基板上に吐出されるインクの着弾位置を算出する。あるいは、吐出装置に設置されたカメラによって、基板表面の画像を取得し、処理し、インクの着弾位置を算出することもできる。
基板上の隔壁パターンに対してインクジェットノズルヘッド及びノズルの位置が算出した後、この情報を基に、インクの着弾位置が、画素部の形成位置(目的とする隔壁開口部:セル)であるか否かをプログラムにより処理判断する。着弾位置が目的とする隔壁開口部に該当する場合のみ有効なノズルとして認識され、そうではないノズルからは吐出されない。
図6は、ノズルが有効か否かの判断の具体例である。インクジェットノズルヘッドのノズル5のうち、カラーフィルタ基板の開口部の直上部にあたるノズルについては有効と判断され、それ以外のノズルは無効と判断し、吐出パターン情報を生成する。そして、この吐出パターン情報に従って、各インクジェットノズルヘッドのノズルは目的とするセル内にインクを吐出する。
ここで本発明の吐出装置及び吐出方法を用いない場合には、セルライン内においては、セルごとの吐出量のバラツキが小さい場合、つまり各セルの吐出量の標準偏差が小さい場合(セルライン内の吐出量の標準偏差)でも、各セルライン間の吐出量の標準偏差(セルライン間の吐出量の標準偏差)が、セルライン内の吐出量の標準偏差に比べて大きいために、全体として視覚的に色ムラの大きいカラーフィルタとなってしまう。
そこで本発明の吐出パターン形成装置は、ノズルごとの吐出量のバラツキ、クロストークの影響などを事前に調査し、吐出量のバラツキとクロストークの影響を有効ノズル毎に重み付けし、それを用いることで各セルの平均総液量を理想総液量に近づけることが出来る。ただし、微量ではあるが、平均総液量と理想総液量に差ができてしまい、それが視覚的に高周波の色ムラとして見えてしまう。
そこで本発明の吐出パターン形成装置は、有効なノズルから吐出するインクのドロップ数の増減数が乱数を用いて決定する手段を有することによって、この問題を解決する。つまり、ある一定規定量のドロップ数(以下、基本ドロップ数)から、各セルに実際に吐出するドロップ数に幅を持たせることで、セルライン内に任意のバラツキを持たせ、各セルラインの平均総液量と理想総液量の差を目立たなくすることができ、これにより全体的な色ムラを低減することができる。
また、予め平均総液量と理想総液量の差を消すことにより、複数回の調整をしなくても色ムラがないカラーフィルタを製造することができる。
ここで、ノズルから吐出するインクのドロップ数の増減数を乱数を用いて決定する手段は、上述の有効なノズルから吐出するノズルを選択し、さらに、演算用計算機により、乱数を用いて、吐出するインクのドロップ数を規定の値から任意の増減を与える。あらかじめ設定した増減数の範囲内で、ランダムに増減数を振り分けることで、画素部の各セルに吐出するインクのドロップ数に幅を持たせ、ノズルごとの吐出量バラツキによる各画素間の色ムラを低減することが可能となる。各セルラインにおいて、ランダムにドロップ数の増減を与えることによって、意図的にセルライン間の吐出量の標準偏差と、セルライン内の吐出量の標準偏差を近づけることができるからである。
また、平均総液量が理想総液量より多い場合には、増減するドロップ数が減少する方向に乱数の割り振りに加重を掛ける事により、理想値により近い値にすることが可能であり、より高品質なカラーフィルタが製造できる。例えば、平均総液量が理想総液量よりも多い場合には、ドロップ数が減少する割合よりも増加する割合が増えるように、ランダム関数を増減するドロップ数に割り振る。
なお、インクの平均総液量が理想総液量に比べて大きな液量差がある場合には、ノズルから吐出する基本ドロップ数を増減すればよい。これにより想定総液量と理想総液量の差を1ドロップ以下にすることができる。従来の方法、例えばノズルからの1ドロップの吐出量を増減する方法も考えられるが、ノズルヘッドごとにノズルからの吐出量を設定する場合には、ノズルヘッド全体でノズルからの吐出量が変わってしまうために、液量の調整は困難である。
そこで、本発明のように、ドロップ数の増減を決定する乱数の割り振りに加重を掛ける事により、さらに理想総液量に近い値まで平均総液量を近づけることが可能となる。
本発明は、インクジェット法を用いたパターンの形成において、画素部の膜厚のバラツキを軽減し、ムラをなくすものであるから、インクジェット法を用いた素子の作製に適用可能である。以下に本発明を用いた素子の製造方法の例として、カラーフィルタ及び有機機能性素子の製造方法を説明する。
カラーフィルタあるいは有機機能性素子のいずれの素子の製造についても、基板上に隔壁が形成し、そこに画素部を形成することにより作成できる。
本発明の吐出装置による光学素子の製造方法を具体例により説明する。
まず、前述したように吐出パターンに従って、ノズルの有効・無効が判断される。基上の隔壁開口部に存在し、かつ画素部に形成する画素に対応するインクを吐出するノズルを有効とする(図4参照)。
次に、一つのセル内にある有効なノズルの数(以下、吐出ノズル数)Nは、各セルに充填するインクの総液量や、セルのサイズ等によって任意に決定することが出来る。
一つのノズルから一回に吐出されるインクの量(1ドロップの吐出量)がaとし、全ての吐出ノズルからのインクのドロップ数(基準ドロップ数)をDとすると、インクの理想総液量MはD×aで表され、各ノズルに割り当てられるドロップ数dはD/Nとその余りとなる。
次に、本発明においては、インクの理想総液量Mに対して、Mよりも小さいある設定量mを理想総液量Mからの増減量として想定する。この設定量mは、例えば、実際の各セルライン内のセルの総液量のバラツキ(標準偏差)から算出される。前述のように、このセルライン内の吐出量の標準偏差と、セルライン間の平均吐出量の標準偏差が近く、さらに想定総液量が各セルライン間で一致するように調整することが好ましい。
さらに、ここでクロストークやノズルバラツキ等を考慮して求めた平均総液量M´と理想総液量Mとの差を考慮し、各セルラインのドロップ数を調整する。ここで調整により、理想総液量からできるだけ近しくなることが望ましい。例えば、増減するドロップ数は、平均総液量M´と理想総液量Mとの差と、1ドロップのインク吐出量によって決定することができ、調整後のドロップ数D’は以下のように書くことができる。
D’=D−[(M−M’)/a](式1)
なお、Mは、理想総液量
M´は、平均総液量
Dは、基準ドロップ数(理想ドロップ数)
D’は、調整後のドロップ数
aは、1ドロップの吐出量である。
なお、Mは、理想総液量
M´は、平均総液量
Dは、基準ドロップ数(理想ドロップ数)
D’は、調整後のドロップ数
aは、1ドロップの吐出量である。
上記のようなドロップ数の調整によって、平均総液量は理想総液量に近づけることができ、調整後の想定総液量M´´となる。理想総液量M、平均総液量M´、調整後の想定総液量M´´、設定量m、吐出ノズル数N、1ドロップの吐出量a、基準ドロップ数D、ドロップ数の増減数基準値b等の各設定パラメータは、吐出パターン情報としてあらかじめ設定、格納される。
次に、設定パラメータと乱数を用いて、各セルにおけるドロップ数D(x)を決定する。ここでxは各セルを表すシンボルとする。調整後の想定総液量M´´が理想総液量Mと等しい場合、ドロップ数D(x)を決定する式は、ドロップ数の増減数をb−iとして、例えば以下のように書くことができる。
D(x)=D’+b−i(式2)
ただし、iは
0≦i≦2b+1
i/(2b+1)≦RAND(x)≦(i+1)/(2b+1)
となる整数
なお、D(x)は、ドロップ数数式
bは、ドロップ数の増減数基準値
RAND(x)は、乱数を生成する関数である。
ただし、iは
0≦i≦2b+1
i/(2b+1)≦RAND(x)≦(i+1)/(2b+1)
となる整数
なお、D(x)は、ドロップ数数式
bは、ドロップ数の増減数基準値
RAND(x)は、乱数を生成する関数である。
ここでRAND(x)は0以上1以下の実数の乱数を生成する関数を表す。調整後の想定総液量M´´が理想総液量Mと異なる場合、ドロップ数D(x)を決定する式は、ドロップ数の増減数をb−jとして、例えば以下のように書くことができる。
D(x)=D’+b−j(式3)
ただし、jは、
0≦j≦2b
0≦RAND(x)−(M−M”)/m≦1のとき、j/(2b+1)+(M−M”)/m≦RAND(x)≦(j+1)/(2b+1)+(M−M”)/m
RAND(x)−(M−M”)<0のとき、j=0
1<RAND(x)−(M−M”)/mのとき、j=2b
となる整数
なお、jは、整数である。
ただし、jは、
0≦j≦2b
0≦RAND(x)−(M−M”)/m≦1のとき、j/(2b+1)+(M−M”)/m≦RAND(x)≦(j+1)/(2b+1)+(M−M”)/m
RAND(x)−(M−M”)<0のとき、j=0
1<RAND(x)−(M−M”)/mのとき、j=2b
となる整数
なお、jは、整数である。
上記の式によって、例えば実際の想定総液量M´´が理想総液量よりも多い場合には、各セルのドロップ数は、確率的に基準ドロップ数よりも少ないドロップ数に傾き、結果として、補正された想定総液量は理想総液量に近い値となる。
また、決定されたドロップ数の増減値が、連続するセル間で一定以上偏った場合には、再度乱数によって計算しなおし、一定以上の偏りをなくすことも可能である。
以上のように、本発明の方法によれば、複数回の調整をおこなわなくても1回で全体的な色ムラを低減することができます。
(実施例1)
カラーフィルタを作製した。以下に説明する。図1に示される本発明の吐出装置を用いて、着色層を形成した。ここで、各セルの理想総液量Mは240pl、設定量mは6pl、ドロップ数の増減数bは1、1ドロップの吐出量aは6plである。
カラーフィルタを作製した。以下に説明する。図1に示される本発明の吐出装置を用いて、着色層を形成した。ここで、各セルの理想総液量Mは240pl、設定量mは6pl、ドロップ数の増減数bは1、1ドロップの吐出量aは6plである。
次に、吐出装置のインクジェットノズルヘッドコントローラー4(図1参照)に数2に示された数式で各セルのドロップ数を決定するプログラムを組み込み、画素部の形成を行った。
実施例1の結果、図7〜10に示す表1〜4の各表は基板上着色層のあるセルを示し、表1のドロップ数は補正前の各有効ノズルのドロップ数であり、表2はノズルバラツキとクロストークを加味したドロップ補正前の各有効ノズルのドロップ数、表3は理想総液量に吐出量を最も近づけた際の各ノズルのドロップ数であり、表4は実施例での補正後の各ノズルからの吐出量である。
実施例1の各セルの総液量を実測した結果、補正後の平均総液量M´´は240plと理想総液量Mの240plと同じ値になる。各セルラインで同様な事を行うことにより全体として色ムラの低減されたカラーフィルタとなった。
以上のように、複数回の調整を行うことなく、短時間で各着色層のセルごとの吐出量のバラツキを低減し、高精度なカラーフィルタを製造することができた。
1…インクジェットノズルヘッド
2…インクジェットノズルヘッドユニット
3…基板置き台
4…インクジェットノズルヘッドコントローラー
5…ノズル
6…有効なノズル
7…隔壁開口部
2…インクジェットノズルヘッドユニット
3…基板置き台
4…インクジェットノズルヘッドコントローラー
5…ノズル
6…有効なノズル
7…隔壁開口部
Claims (9)
- 基板上に形成した多数のパターン状の開口部に、インクジェットヘッドの複数のノズルから着色インクを吐出し、前記基板上に多数の画素部を形成する光学素子の製造方法であって、少なくとも、
基板上に多数の開口部を有する隔壁を形成する工程と、
前記開口部を有する隔壁形状をもとに、インクジェットヘッドに属する複数のノズルのうち、吐出に使用されるべき有効ノズルを選択する工程と、
前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程と、
前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記開口部を有する隔壁の容量をもとに、前記有効ノズルから前記開口部に対して付与されるべきインクのインク滴のドロップ数を求める工程において、前記ドロップ数を前記隔壁の特定の開口部内における平均総液量を理想総液量に最も近くなるように設定することと、前記平均総液量と理想総液量の差を求めることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
- 前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記任意に発生させた乱数の代わりに、前記平均総液量と理想総液量の差に基づいて、発生させた乱数のうち低周波部分を除いた乱数を用いることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- ノズルヘッドごとに、ノズルから一回に吐出するインクの吐出量を設定する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数が、同一ノズルヘッドによって開口部に吐出されると前記平均総液量の理想総液量からのズレの大きさにより重み付けされることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
- 前記有効ノズルから吐出するインク滴のドロップ数を、前記インク滴のドロップ数を求める工程で求めたドロップ数に対して、任意に発生させた乱数に基づいて増加させ、又は低減させる工程において、前記ドロップ数の増減数の最大値が、同一ノズルヘッドによる各開口部の前記平均総液量のバラツキの程度によって決定されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に着色層を形成するカラーフィルタの製造方法であって、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
- 基板上に隔壁パターンと、該隔壁パターンの開口部に一層あるいは複数の有機機能層を形成する有機機能性素子の製造方法であって、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法により、有機機能層を形成することを特徴とする有機機能性素子の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子の製造方法に用いられる吐出パターンを形成する手段を備えた吐出パターン生成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008250645A JP2010079211A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 光学素子、カラーフィルタ及び有機機能性素子の製造方法、及びこれに用いる吐出パターン生成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008250645A JP2010079211A (ja) | 2008-09-29 | 2008-09-29 | 光学素子、カラーフィルタ及び有機機能性素子の製造方法、及びこれに用いる吐出パターン生成装置 |
Publications (1)
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JP2010079211A true JP2010079211A (ja) | 2010-04-08 |
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ID=42209678
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JP (1) | JP2010079211A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023188838A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 印刷装置及び印刷方法 |
-
2008
- 2008-09-29 JP JP2008250645A patent/JP2010079211A/ja active Pending
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